特許第6721693号(P6721693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6721693基板処理装置、液体原料補充システム、半導体装置の製造方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6721693
(24)【登録日】2020年6月22日
(45)【発行日】2020年7月15日
(54)【発明の名称】基板処理装置、液体原料補充システム、半導体装置の製造方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20200706BHJP
   C23C 16/448 20060101ALI20200706BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20200706BHJP
【FI】
   H01L21/31 B
   C23C16/448
   H01L21/316 X
【請求項の数】6
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-540287(P2018-540287)
(86)(22)【出願日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】JP2017034050
(87)【国際公開番号】WO2018056346
(87)【国際公開日】20180329
【審査請求日】2018年9月21日
(31)【優先権主張番号】特願2016-184537(P2016-184537)
(32)【優先日】2016年9月21日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】磯辺 紀之
(72)【発明者】
【氏名】寿崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】葛西 健
(72)【発明者】
【氏名】河原 喜隆
(72)【発明者】
【氏名】島田 真一
【審査官】 長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−524443(JP,A)
【文献】 特表2012−515842(JP,A)
【文献】 特表2001−503106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205、21/31−21/32、21/365、
21/469−21/475、21/86、
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に基板を収容する処理室が形成されている処理部と、
凹状の凹部を有する底部と、前記底部の周縁から立ち上がる壁部とを含んで形成され、液体原料が貯留される貯留タンクと、
前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料を気化して原料ガスを生成する気化部と、
前記気化部によって生成された前記原料ガスを前記処理室に供給する供給部と、
前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料の液面レベルを連続的に検知すると共に前記凹部に配置されているセンサ素子を有するセンサと、
前記貯留タンクに前記液体原料を補充する補充部と、
前記供給部を制御して、前記処理室に前記原料ガスを供給させて前記基板を処理する基板処理を行わせると共に、前記基板処理を予め決められた回数行う毎に、前記センサが検知した前記液体原料の液面レベルに基づいて、前記補充部を制御し、前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料の液面レベルが予め決められたレベルとなるように、前記貯留タンクに前記液体原料を補充させる制御部と、を有し
前記予め決められたレベルは、前記センサが前記液面レベルを検知するために要する最小の前記液体原料の量と、前記基板処理を予め決められた回数行うために要する前記液体原料の量と、の総量を前記貯留タンクに貯留した際の液面レベルである基板処理装置。
【請求項2】
前記貯留タンクの天井部を貫通し、一端が前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料内に配設されるキャリアガスを供給するガス供給管を有し、
前記気化部は、前記ガス供給管から供給される前記キャリアガスが前記液体原料に作用して、前記液体原料を気化して原料ガスを生成する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
凹状の凹部を有する底部と、前記底部の周縁から立ち上がる壁部とを含んで形成され、液体原料が貯留される貯留タンクと、
前記貯留タンクが貯留している前記液体原料を気化して原料ガスを生成する気化部と、
前記気化部によって生成された前記原料ガスを対象物に供給する供給部と、
前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料の液面レベルを連続的に検知すると共に前記凹部に配置されているセンサ素子を有するセンサと、
前記貯留タンクに前記液体原料を補充する補充部と、
前記供給部を制御して、前記対象物に前記原料ガスを供給させると共に、前記対象物に前記原料ガスを予め決められた回数供給する毎に、前記センサが検知した前記液体原料の液面レベルに基づいて、前記補充部を制御し、前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料の液面レベルが予め決められたレベルとなるように、前記貯留タンクに前記液体原料を補充させる制御部と、を有し、
前記予め決められたレベルは、前記センサが前記液面レベルを検知するために要する最小の前記液体原料の量と、基板処理を予め決められた回数行うために要する前記液体原料の量と、の総量を前記貯留タンクに貯留した際の液面レベルである液体原料補充システム。
【請求項4】
前記貯留タンクの天井部を貫通し、一端が前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料内に配設されるキャリアガスを供給するガス供給管を有し、
前記気化部は、前記ガス供給管から供給される前記キャリアガスが前記液体原料に作用して、前記液体原料を気化して原料ガスを生成する請求項3に記載の液体原料補充システム。
【請求項5】
凹状の凹部を有する底部と、前記底部の周縁から立ち上がる壁部とを含んで形成されている貯留タンクに貯留されている液体原料の液面レベルが予め決められたレベルとなるように、前記貯留タンクに前記液体原料を貯留する貯留工程と、
前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料を原料ガスに気化する気化工程と、
前記原料ガスを用いて基板を処理する処理工程と、
前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料の液面レベルを連続的に検知すると共に前記凹部に配置されているセンサ素子を有するセンサが検知した前記液体原料の液面レベルに基づいて、前記処理工程を予め決められた回数行う毎に、前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料の液面レベルが前記予め決められたレベルとなるように前記液体原料を前記貯留タンクに補充する補充工程と、を有し、
前記貯留工程での前記予め決められたレベルは、前記センサが前記液面レベルを検知するために要する最小の前記液体原料の量と、基板処理を予め決められた回数行うために要する前記液体原料の量と、の総量を前記貯留タンクに貯留した際の液面レベルである半導体装置の製造方法。
【請求項6】
基板処理装置に備えられ、凹状の凹部を有する底部と、前記底部の周縁から立ち上がる壁部とを含んで形成されている貯留タンクに貯留されている液体原料の液面レベルが予め決められたレベルとなるように、前記貯留タンクに前記液体原料を貯留する手順と、
前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料を原料ガスに気化する手順と、
前記原料ガスを用いて前記基板を処理する手順と、
前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料の液面レベルを連続的に検知すると共に前記凹部に配置されているセンサ素子を有するセンサが検知した前記液体原料の液面レベルに基づいて、前記原料ガスを用いて前記基板を処理する基板処理を予め決められた回数行う毎に、前記貯留タンクに貯留されている前記液体原料の液面レベルが前記予め決められたレベルとなるように前記液体原料を前記貯留タンクに補充する手順と、を有し、
前記貯留する手順では、前記予め決められたレベルを、前記センサが前記液面レベルを検知するために要する最小の前記液体原料の量と、前記基板処理を予め決められた回数行うために要する前記液体原料の量と、の総量を前記貯留タンクに貯留した際の液面レベルとすること、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行されるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、液体原料補充システム、半導体装置の製造方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、処理室内に収容された基板に膜を形成する成膜処理について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−67877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成膜処理には、原料ガス(例えば、トリメチルアルミニウム(Al(CH) 略称:TMA)が用いられる。そして、この原料ガスには、ppb(parts per billion)レベルで、不純物が含まれている。この不純物の量に起因して、基板に形成される膜の面内均一性の値がばらついてしまう。
【0005】
本発明の課題は、基板に形成される膜の面内均一性の値がばらついてしまうことを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、内部に基板を収容する処理室が形成されている処理部と、凹状の凹部を有する底部と、前記底部の周縁から立ち上がる壁部とを含んで形成され、液体原料が貯留される貯留タンクと、前記貯留タンクに貯留されている液体原料を気化して原料ガスを生成する気化部と、前記気化部によって生成された原料ガスを前記処理室に供給する供給部と、前記貯留タンクに貯留されている液体原料の液面レベルを連続的に検知すると共に前記凹部に配置されているセンサ素子を有するセンサと、前記貯留タンクに液体原料を補充する補充部と、前記供給部を制御して、前記処理室に原料ガスを供給させて前記基板を処理する基板処理を行わせると共に、前記基板処理を予め決められた回数行う毎に、前記センサが検知した液体原料の液面レベルに基づいて、前記補充部を制御し、前記貯留タンクに貯留されている液体原料の液面レベルが予め決められたレベルとなるように、前記貯留タンクに液体原料を補充させる制御部と、を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板に形成される膜の面内均一性の値がばらついてしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置に備えられた貯留タンク等を示した構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る基板処理装置に備えられた処理室等を示した断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る基板処理装置を示した概略構成図である。
図4】本発明の実施形態に係る基板処理装置に備えられたコントローラを説明するためのブロック図である。
図5】本発明の実施形態に係る基板処理装置を用いてウエハに成膜処理を行う場合の成膜シーケンスを示した図面である。
図6】(A)(B)本発明の実施形態に係る基板処理装置の必要性を説明するために用いた図面であって、面内均一性と、貯留タンクに残留されている液体原料の量との関係をグラフで示した図面である。
図7】本発明の実施形態に係る基板処理装置に対する比較形態に係る基板処理装置に備えられた貯留タンク等を示した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者等は、貯留タンクに貯留されている液体原料の量と、この液体原料を気化することで生成された原料ガスによって基板に形成される膜の面内均一性との関係について鋭意研究した。この結果、本発明者等は、以下の知見から本発明に至った。
【0010】
本発明者等は、貯留タンクに貯留されている液体原料の量(残量)に応じて気化された原料ガスに含まれる不純物濃度が変化することを見出した。これは、貯留タンクに貯留される液体原料(TMA)の残量に応じて気化された原料ガス(TMAガス)に含まれる不純物濃度は変化するためである。つまり、どの残量においても液体原料に不純物が飽和はしているが濃度は微少に変化している。
【0011】
ここで、貯留タンクに貯留されている液体原料の量が小さくなると、基板に形成される膜の面内均一性の値が小さくなる。これに対して、貯留タンクに貯留されている液体原料の量が大きくなると、基板に形成される膜の面内均一性の値が大きくなる。つまり、貯留タンクに貯留されている液体原料の量に応じて、基板に形成される膜の面内均一性の値がばらついてしまう。
【0012】
なお、面内均一性とは、基板に形成されている膜において、面内の最大膜厚と、面内の最小膜厚と、面内の平均膜厚とを用いて、下記式(1)により算出される。
【0013】
面内均一性=[(面内最大膜厚−面内最小膜厚)/(面内平均膜厚×2)]×100(±%)・・・(1)
【0014】
この式から分かるように、面内均一性の値が小さい程、面内最大膜厚と面内最小膜厚との差が小さく、面内均一性の値が大きい場合と比して、面内均一性が向上している。
【0015】
以下グラフを用いて説明する。図6(A)(B)には、面内均一性と、貯留タンクに貯留されている液体原料の量との関係がグラフで示されている。図6(A)(B)の各グラフの縦軸は、面内均一性を示し、横軸は、貯留タンクに貯留されている液体原料の量を示している。
【0016】
図6(A)は、ボート(詳細は後述)に積載された複数の基板の中で、最上位(TOP)の基板に形成された膜ついて示し、図6(B)は、ボートに積載された複数の基板の中で、最下位(BTM)の基板に形成された膜ついて示している。
【0017】
図6(A)(B)に示されるように、貯留タンクに貯留されている液体原料の量が小さくなると、基板に形成される膜の面内均一性の値が小さくなり、貯留タンクに貯留されている液体原料の量が大きくなると、基板に形成される膜の面内均一性の値が大きくなる。
【0018】
これは、基板に膜を形成させるために、バッチ処理を終えると、貯留タンクの液体原料の量が小さくなり、液面レベルが低くなる。この状態で、液体原料を気化すると、気化された原料ガスの不純物濃度が低くなるためと考える。
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0020】
(全体構成) 本発明の実施形態に係る基板処理装置、液体原料補充システム、半導体装置の製造方法、及びプログラムの一例を図1図7に従って説明する。なお、図中に示す矢印Hは装置上下方向(鉛直方向)を示し、矢印Wは装置幅方向(水平方向)を示し、矢印Dは装置幅方向(水平方向)を示す。
【0021】
図3に示されるように、液体原料補充システム780を備えた基板処理装置10は、基板としてのウエハ200を処理する処理炉202を備えている。処理炉202は、装置上下方向に延びる円筒形状のヒータ207を有し、ヒータ207は、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されている。そして、ヒータ207は、後述する処理室201内を所定温度に加熱するようになっている。
【0022】
さらに、ヒータ207の内側には、図2図3に示されるように、ヒータ207と同心の円筒形状とされる処理部としての処理管203が配設されている。処理管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料から形成され、上端が閉塞し下端が開口している。そして、処理管203の内部には、複数のウエハ200を処理する処理室201が形成されている。具体的には、基板支持具としてのボート217によって、複数(例えば25〜200枚)のウエハ200が上下方向に積載され、このボート217によって積載された状態の複数のウエハ200が、処理室201の内部に配設されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料から形成されている。ボート217の下部には、石英やSiC等の耐熱性材料から形成されている円筒形状の断熱筒218が配設されている。この構成により、ヒータ207からの熱が後述するシールキャップ219側に伝わりにくくなっている。
【0023】
また、処理管203の下方には、図3に示されるように、処理管203と同心の円筒形状とされているマニホールド(インレットフランジ)209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)等の金属から形成され、上端および下端が開口されている。マニホールド209の上端は、処理管203の下端に対向しており、マニホールド209は、シール部材としてのOリング220を介して処理管203を支持している。
【0024】
また、処理室201には、処理管203の壁面と、ボート217によって積載された複数のウエハ200との間で、上下方向に延びるノズル410,420が、配設されている。さらに、ノズル410,420において、ウエハ200と水平方向において対向する範囲には、ガスを供給する複数の供給孔410a,420aがそれぞれ形成されている。これにより、供給孔410a,420aから噴出したガスは、ウエハ200に向けて流れるようになっている。
【0025】
さらに、ノズル410,420の下端側の部分は、屈曲して、マニホールド209の側壁を貫通し、ノズル410,420の下端側の端部は、マニホールド209の外部に突出している。そして、ノズル410,420の下端側の端部には、ガス供給ラインとしてのガス供給管310、320が、それぞれ接続されている。これにより、処理室201へ複数種類のガスが供給されるようになっている。
【0026】
ガス供給管310,320には、ガス供給管310,320を流れるガスの流れ方向(以下「ガス流れ方向」)の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)312,322および開閉弁であるバルブ314,324がそれぞれ設けられている。また、ガス供給管310,320において、バルブ314,324に対してガス流れ方向の下流側の部分には、不活性ガスを供給するガス供給ラインとしてのガス供給管510,520の端部がそれぞれ接続されている。ガス供給管510,520には、ガス供給管510,520を流れるガスの流れ方向の上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるMFC512,522および開閉弁であるバルブ514,524がそれぞれ設けられている。
【0027】
ガス供給管310からは、処理ガスとしての原料ガスが、MFC312、バルブ314、ノズル410を介して処理室201へ供給されようになっている。このように、原料ガスを処理室201に供給する供給部308は、ガス供給管310、MFC312、バルブ314、及びノズル410を含んで構成されている。
【0028】
また、原料ガスとしては、例えば、金属元素であるアルミニウム(Al)を含む金属含有ガスであるアルミニウム含有原料(Al含有原料ガス、Al含有ガス)としてのトリメチルアルミニウム(Al(CH、略称:TMA)が用いられる。TMAは有機系原料であり、アルミニウムにリガンドとしてアルキル基が結合したアルキルアルミニウムである。
【0029】
原料ガスとは、気体状態の原料、例えば、常温常圧下で気体状態である気体原料や、常温常圧下で液体状態である液体原料を気化することで得られるガス等のことである。
【0030】
ガス供給管310から所定温度で自己分解する原料ガスを供給する場合、主に、ガス供給管310、MFC312、及びバルブ314により、原料ガス供給系が構成される。ノズル410を原料ガス供給系に含めて考えてもよい。原料ガス供給系を原料供給系と称することもできる。ガス供給管310から金属含有ガスを供給する場合、原料ガス供給系を金属含有ガス供給系と称することもできる。
【0031】
金属含有ガスとしてアルミニウム含有原料(Al含有原料ガス、Al含有ガス)を用いる場合、金属含有ガス供給系をアルミニウム含有原料(Al含有原料ガス、Al含有ガス)供給系と称することもできる。アルミニウム含有原料としてTMAを用いる場合、アルミニウム含有原料供給系をTMA供給系と称することもできる。
【0032】
これに対して、ガス供給管320からは、処理ガスとしての反応ガスが、MFC322、バルブ324、及びノズル420を介して処理室201へ供給されようになっている。反応ガスとして、例えば、酸素(O)を含み、Alと反応する反応ガス(リアクタント)としての酸素含有ガス(酸化ガス、酸化剤)が用いられる。
【0033】
ガス供給管320から反応ガス(リアクタント)を供給する場合、主に、ガス供給管320、MFC322、バルブ324により、反応ガス供給系(リアクタント供給系)が構成される。ノズル420を反応ガス供給系に含めて考えてもよい。反応ガスとして酸素含有ガス(酸化ガス、酸化剤)を供給する場合、反応ガス供給系を、酸素含有ガス(酸化ガス、酸化剤)供給系と称することもできる。酸素含有ガスとしてOを用いる場合、酸素含有ガス供給系をO供給系と称することもできる。ノズル420から反応ガスを流す場合、ノズル420を反応ガスノズルと称してもよい。
【0034】
さらに、ガス供給管510,520からは、不活性ガスが、MFC512,522、バルブ514,524、及びノズル410,420を介して処理室201へ供給されようになっている不活性ガスとして、例えば、Nガスが用いられる。
【0035】
主に、ガス供給管510,520、MFC512,522、及びバルブ514,325により、不活性ガス供給系が構成される。
【0036】
一方、マニホールド209の壁面には、処理室201の雰囲気を排気する排気流路としての排気管231の一端が接続されている。排気管231には、処理室201の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および排気バルブ(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243が取り付けられ、排気管231の端部には、真空排気装置としての真空ポンプ246が取り付けられている。
【0037】
APCバルブ243は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201の真空排気および真空排気停止を行うことができ、さらに、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201の圧力を調整することができるように構成されているバルブである。主に、排気管231、APCバルブ243、及び圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。排気管231は、処理管203に設ける場合に限らず、ノズル410,420と同様にマニホールド209に設けてもよい。
【0038】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に鉛直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属から形成され、円盤状とされている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219に対して処理室201の反対側には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。
【0039】
シールキャップ219は、処理管203の外部に鉛直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって鉛直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201内外に搬入および搬出することが可能なように構成されている。ボートエレベータ115は、ボート217すなわちウエハ200を、処理室201内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。また、マニホールド209の下方には、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を降下させている間、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシャッタ219sが設けられている。シャッタ219sは、例えばSUS等の金属により形成され、円盤状とされている。シャッタ219sの上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220cが設けられている。シャッタ219sの開閉動作(昇降動作や回動動作等)は、シャッタ開閉機構115sにより制御される。
【0040】
また、処理室201には、図2に示されるように、温度検出器としての温度センサ263が配設されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201の温度が所望の温度分布となるようになっている。温度センサ263は、ノズル410,420と同様に処理管203の内壁に沿って設けられている。
【0041】
次に、基板処理装置10に備えられた制御部としての制御部121について説明する。 制御部121は、図4に示されるように、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。制御部121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0042】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム等が、読み出し可能に格納されている。
【0043】
RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0044】
I/Oポート121dは、前述のMFC512,522,312,322、バルブ514,524,314,324、圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246、温度センサ263、ヒータ207、回転機構267、ボートエレベータ115、シャッタ開閉機構115s、後述の超音波センサ650、MFC706、バルブ758等に接続されている。
【0045】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからデータを読み出すように構成されている。
【0046】
CPU121aは、読み出したデータの内容に沿うように、MFC512,522,312,322による各種ガスの流量調整動作、バルブ514,524,314,324の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ243による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、シャッタ開閉機構115sによるシャッタ219sの開閉動作等を制御するように構成されている。
【0047】
制御部121は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123に格納されたプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。
【0048】
記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0049】
また、制御部121による後述の超音波センサ650、MFC706、バルブ758に対する制御については、後述する作用と共に説明する。
【0050】
(要部構成) 〔貯留タンク〕 次に、気化することで原料ガス(TMAガス)となる液体原料(TMA)を貯留する貯留タンク610について説明する。
【0051】
貯留タンク610は、直方体状とされている。さらに、貯留タンク610の内部に形成された貯留空間612は、図1に示されるように、底部620と、底部620の周縁から立ち上がる複数の壁部630と、複数の壁部630によって囲まれた貯留空間612を上方側から閉止する天井部640とによって形成され、外部から密閉された空間とされている。そして、この貯留空間612は、予め決められた圧力とされている。さらに、前述したガス供給管310の下端側の部分が、天井部640を貫通して貯留空間612に配設されている。
【0052】
底部620は、上方を向く底面622を有し、底面622において装置幅方向、及び装置奥行方向の中央側の部分には、底面622の一部が凹む凹部624が形成されている。この凹部624は、上下方向に延び、断面矩形状とされている。
【0053】
そして、この貯留空間612に液体原料が貯留可能な下限値(Lowリミット)に対して、本実施形態での液体原料に対する下限設定値(Low Setting)は、高く(大きく)されている(図示参照)。また、この貯留空間612に液体原料が貯留可能な上限値(Highリミット)に対して、本実施形態での液体原料に対する上限設定値(High Setting)は、低く(小さく)されている(図示参照)。
【0054】
下限設定値を貯留可能な下限値より高くする理由は、超音波センサ650が精度よく液面を監視できる下限を達成しつつ、下限値から成膜を行った場合であっても原料不足となることを回避するためである。また、1回の成膜に要する使用量を上限設定値とするが、仮に上限設定値を超えたとしても装置に影響を及ぼさないようにするため貯留可能な上限値より上限設定値は低くされている。ここで、上限設定値を1回の成膜に要する使用量とする場合、毎バッチリフィルされることとなる。2回のリフィルが必要となる場合もある。
【0055】
〔超音波センサ〕 超音波センサ650は、貯留空間612に配設されて上下方向に延び、上端が天井部640に取り付けられている。超音波センサ650の断面形状は、凹部624の断面形状と比して、小さい矩形状とされている。そして、超音波センサ650の下方側の部分は、凹部624に配設され、超音波センサ650の下端部に、センサ素子652が取り付けられている。
【0056】
この構成において、センサ素子652によって発生した超音波が、液体原料の液面に反射し、この反射波を超音波センサ650の受波部(図示省略)が受信することで、超音波センサ650は、貯留タンク610に貯留されている液体原料の液面レベルを連続して検知するようになっている。このように、超音波センサ650は、連続センサ(連続式センサ、連続式レベルセンサ、連続液面センサとも称する)として機能している。
【0057】
〔気化部〕 気化部700は、バブリング方式により、貯留タンク610に貯留されている液体原料を気化して原料ガスとする装置であって、キャリアガスが流れるガス供給管704と、マスフローコントローラ(MFC)706とを備えている。
【0058】
ガス供給管704は、天井部640を貫通し、ガス供給管704の一端は、貯留タンク610に貯留されている液体原料内に配設されている。また、MFC706は、ガス供給管704において、貯留タンク610の外部に配設された部分に設けられている。
【0059】
この構成において、MFC706によって流量が調整されたキャリアガスは、ガス供給管704の一端から液体原料に供給されるようになっている。そして、キャリアガスが液体原料に作用して、液体原料が気化するようになっている。
【0060】
なお、バブリング方式では、貯留タンク610(バブラ)へ供給するキャリアガス(例えばNガス)の供給量を制御することができるが、実際の気化量は把握することができない。そこで、本実施形態では、前述した超音波センサ650を用いて液体原料の減少量を検知することで、気化量を把握している。
【0061】
〔補充部〕 補充部750は、所謂自動供給システム(ARS:Auto Refill System)により、貯留タンク610に液体原料を補充する装置であって、液体原料が流れる液体供給管754と、開閉弁であるバルブ758と、補充される液体原料が内部に貯留される補充タンク760とを備えている。
【0062】
液体供給管754は、天井部640を貫通し、一端が貯留空間612に配設されている。補充タンク760は、貯留タンク610の外部に配設され、液体供給管754の他端に接続されている。バルブ758は、液体供給管754において、貯留タンク610の外部に配設された部分に設けられている。
【0063】
この構成において、液体供給管754において補充タンク760とバルブ758との間の部分には、常時液体原料が溜まっている。そして、閉止されているバルブ758を開放することで、補充部750は、液体原料を貯留タンク610に補充するようになっている。
【0064】
(作用) 次に、基板処理装置10を用いて半導体装置を製造する半導体装置の製造方法について説明する。なお、基板処理装置10を構成する各部の動作は制御部121によって制御される。
【0065】
先ず、基板処理装置10を用いて、ウエハ200に膜を形成するシーケンス例について、図5を用いて説明する。本実施形態では、複数のウエハ200が積載された状態で収容された処理室201を所定温度で加熱する。そして、処理室201に、ノズル410の供給孔410aから原料ガスとしてTMAガスを供給する原料ガス供給工程と、ノズル420の供給孔420aから反応ガスとしてOガスを供給する反応ガス供給工程と、を所定回数(n回)行う。これにより、ウエハ200上に、AlおよびOを含む膜としてアルミニウム酸化膜(AlO膜)を形成する。
【0066】
以下、半導体装置の製造方法について具体的に説明する。
【0067】
〔積載・搬入〕 先ず、複数のウエハ200がボート217に積載(ウエハチャージ)される。シャッタ開閉機構115sによりシャッタ219sが移動させられて、マニホールド209の下端開口が開放される(シャッタオープン)。そして、図3に示すように、複数のウエハ200が積載されたボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0068】
〔圧力・温度調整〕 次に、処理室201が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空脱気される。この際、処理室201の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。
【0069】
また、処理室201が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201が所望の温度分布となるように、温度センサ263(図2参照)が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0070】
さらに、ボート217及びウエハ200が、回転機構267により回転する。回転機構267によるボート217及びウエハ200の回転は、少なくとも、ウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0071】
〔液体原料量の調整(貯留工程の一例)〕 次に、図1に示す貯留タンク610に貯留されている液体原料の液面レベルが予め決められた初期液面レベルとなるように、貯留タンク610に液体原料を貯留する。ここで、本実施形態では、初期液面レベルとは、超音波センサ650が液面レベルを検知するために要する最小の液体原料の量と、後述する成膜処理を予め決められた回数(1バッチ)行うために要する液体原料の量と、の総量を貯留タンク610に貯留した際の液面レベルである。
【0072】
超音波センサ650が液面レベルを検知するために要する最小の液体原料の量とは、液面レベルが貯留タンク610の下限値(Lowリミット)に位置した場合の量である。
【0073】
また、成膜処理を予め決められた回数行うために要する液体原料の量とは、後述する原料ガス供給工程、残留ガス除去工程、反応ガス供給工程、残留ガス除去工程を順に行うサイクルを予め決められた回数(1回以上)行ってウエハ200にAlO膜を形成させるために要する量である。
【0074】
以下、具体的に液体原料量の調整について説明する。
【0075】
制御部121は、超音波センサ650によって液体原料の液面レベルを検知する。液体原料の液面レベルが初期液面レベルに達してしない場合には、制御部121は、閉止されているバルブ758を開放することで、補充部750によって液体原料を貯留タンク610に補充させる。そして、超音波センサ650によって検出された液体原料の液面レベルが初期液面レベルに達した場合には、制御部121が開放されているバルブ758を閉止することで、液体原料量の調整を終了させる。
【0076】
なお、補充部750によって初期液面レベルよりも高くなるように液体原料が貯留タンク610に補充されることはない。このため、最初に、超音波センサ650が液体原料の液面レベルを検知する際の液面レベルが、初期液面レベルよりも高いことはない。
【0077】
〔成膜処理(基板処理の一例)〕 [気化工程] 貯留タンク610に貯留されている液体原料を原料ガスに気化する。
【0078】
具体的には、制御部121には、後述する原料ガス供給工程で要する原料ガスの量が予め記憶されており、制御部121は、気化部700のMFC706を制御し、貯留タンク610に貯留されている液体原料にキャリアガスを供給する。これにより、液体原料が原料ガスに気化される。
【0079】
[原料ガス供給工程(処理工程の一例)] 次に、図3に示すバルブ314を開き、ガス供給管310へ原料ガス(TMAガス)を流す。原料ガスは、MFC312により流量調整され、ノズル410の供給孔410aから処理室201へ供給される。このとき同時に、バルブ514を開き、ガス供給管510内にキャリアガス(Nガス)を流す。キャリアガスは、MFC512により流量調整され、原料ガスと一緒にノズル410の供給孔410aから処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0080】
さらに、ノズル420への原料ガスの侵入を防止(逆流を防止)するため、バルブ524を開き、ガス供給管520内へキャリアガスを流す。キャリアガスは、ガス供給管520、ノズル420を介して処理室201へ供給され、排気管231から排気される。
【0081】
このとき、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201の圧力を、例えば1〜1000Paの範囲内の圧力とする。なお、本明細書では、数値の範囲として、例えば1〜1000Paと記載した場合は、1Pa以上1000Pa以下を意味する。すなわち、数値の範囲内には1Paおよび1000Paが含まれる。圧力のみならず、流量、時間、温度等、本明細書に記載される全ての数値について同様である。
【0082】
MFC312で制御する原料ガスの供給流量は、例えば、10〜2000sccm、好ましくは50〜1000sccm、より好ましくは100〜500sccmの範囲内の流量とする。
【0083】
流量を2000sccm以下とすることで、後述する残留ガス除去を好適に行うことができると共に、ノズル410内で原料ガスが自己分解してノズル410の内壁に堆積してしまうことを抑制することができる。流量を10sccm以上とすることで、ウエハ200表面での原料ガスの反応速度を高めることができる、実用的な成膜速度を得ることが可能となる。
【0084】
MFC512で制御するキャリアガスの供給流量は、例えば、1〜30slmの範囲内の流量とする。
【0085】
原料ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば、1〜60秒の範囲内とする。
【0086】
ヒータ207は、ウエハ200の温度が、例えば、400〜600℃、好ましくは400〜550℃、より好ましくは450〜550℃の範囲内となるように加熱する。
【0087】
温度を600℃以下とすることで、原料ガスの過剰な熱分解を抑制しつつ成膜速度を適切に得ることができ、不純物が膜内に取り込まれて抵抗率が高くなることが抑制される。なお、原料ガスの熱分解は、当該処理に近い条件下においては450℃程度で開始するため、550℃以下の温度に加熱された処理室201内において本発明を用いるとより有効である。一方、温度が400℃以上であることにより、反応性が高く、効率的な膜形成が可能である。
【0088】
前述の条件下で処理室201へ原料ガスを供給することにより、ウエハ200の最表面上に、例えば、1原子層未満から数原子層程度の厚さのCおよびHを含むAl含有層が形成される。CおよびHを含むAl含有層は、CおよびHを含むAl層であってもよいし、TMAの吸着層であってもよいし、それらの両方を含んでいてもよい。
【0089】
TMAの吸着層は、TMAの物理吸着層であってもよいし、TMAの化学吸着層であってもよいし、それらの両方を含んでいてもよい。ここで、1原子層未満の厚さの層とは不連続に形成される原子層のことを意味しており、1原子層の厚さの層とは連続的に形成される原子層のことを意味している。
【0090】
[残留ガス除去工程(処理工程の一例)] Al含有層が形成された後、バルブ314を閉じ、原料ガスの供給を停止する。このとき、APCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201を真空排気し、処理室201に残留する未反応又はAl含有層形成に寄与した後の原料ガスを処理室201から排除する。バルブ514,524は開いた状態でキャリアガスの処理室201への供給を維持する。キャリアガスはパージガスとして作用し、処理室201に残留する未反応又はAl含有層形成に寄与した後の原料ガスを処理室201内から排除する効果を高めることができる。なお、バルブ514,524からのキャリアガスは残留ガス除去工程の間、常に流し続けてもよいし、断続的(パルス的)に供給してもよい。
【0091】
[反応ガス供給工程(処理工程の一例)] 処理室201の残留ガスを除去した後、バルブ324を開き、ガス供給管320内に反応ガス(Oガス)を流す。反応ガスは、MFC322により流量調整され、ノズル420の供給孔420aから処理室201内のウエハ200に対して供給され、排気管231から排気される。すなわちウエハ200は反応ガスに暴露される。
【0092】
このとき、バルブ524を開き、ガス供給管520内にキャリアガスを流す。キャリアガスは、MFC522により流量調整され、反応ガスと共に処理室201内に供給されて、排気管231から排気される。このとき、ノズル410内への反応ガスの侵入を防止(逆流を防止)するために、バルブ514を開き、ガス供給管510内へキャリアガスを流す。キャリアガスは、ガス供給管510、ノズル410を介して処理室201内に供給され、排気管231から排気される。
【0093】
このとき、APCバルブ243を適正に調整して、処理室201の圧力を、例えば1〜1000Paの範囲内の圧力とする。MFC322で制御する反応ガスの供給流量は、例えば、5〜40slm、好ましくは5〜30slm、より好ましくは10〜20slmの範囲内の流量とする。反応ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば、1〜60秒の範囲内とする。その他の処理条件は、前述の原料ガス供給工程と同様の処理条件とする。
【0094】
このとき処理室201に流しているガスは、反応ガスと不活性ガス(Nガス)のみである。反応ガスは、原料ガス供給工程でウエハ200上に形成されたAl含有層の少なくとも一部と反応する。Al含有層は酸化され、金属酸化層としてAlとOとを含むアルミニウム酸化層(AlO層)が形成される。すなわちAl含有層はAlO層へと改質される。
【0095】
[残留ガス除去工程(処理工程の一例)] AlO層が形成された後、バルブ324を閉じて、反応ガスの供給を停止する。そして、原料ガス供給工程後の残留ガス除去工程と同様の処理手順により、処理室201内に残留する未反応もしくはAlO層の形成に寄与した後の反応ガスや反応副生成物を処理室201内から排除する。
【0096】
以上説明した気化工程、原料ガス供給工程、残留ガス除去工程、反応ガス供給工程、残留ガス除去工程を順に行うサイクルを予め決められた回数(1回以上)行う。このように、バッチ処理され(複数の工程が複数回行われ)ることで、ウエハ200上にAlO膜が形成される。
【0097】
なお、バッチ処理とは、気化工程、原料ガス供給工程、残留ガス除去工程、反応ガス供給工程、残留ガス除去工程を順に行うサイクルを予め決められた回数行い、ウエハ200上にAlO膜を形成させる処理である。そして、1バッチで、ウエハ200上にAlO膜が形成させる。
【0098】
また、AlO膜の厚さ(膜厚)は、例えば、10〜150nm、好ましくは40〜100nm、より好ましくは60〜80nmとする。150nm以下とすることで表面粗さを小さくすることができ、10nm以上とすることで下地膜との応力差に起因する膜剥がれの発生を抑制することができる。
【0099】
[補充工程] このように、ウエハ200がバッチ処理されることで、ウエハ200には、AlO膜が形成される。そして、貯留タンク610に貯留されている液体原料が消費されているため、貯留タンク610の液体原料の液面レベルは、初期液面レベルより低くなっている。
【0100】
そこで、制御部121は、図1に示す超音波センサ650によって検出された液体原料の液面レベルを入手する。さらに、制御部121は、閉止されているバルブ758を開放することで、補充部750によって液体原料を貯留タンク610に補充させる。そして、超音波センサ650によって検出された液体原料の液面レベルが初期液面レベルに達した場合には、制御部121が開放されているバルブ758を閉止することで、補充工程を終了させる。
【0101】
〔排気・圧力調整〕 AlO層が形成され、残留ガス除去工程が終了した後、図3に示すバルブ514,524を開き、ガス供給管310,320のそれぞれからキャリアガスを処理室201へ供給し、排気管231から排気する。キャリアガスはパージガスとして作用し、処理室201内に残留するガスや副生成物が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201の雰囲気がキャリアガスに置換され(Nガス置換)、処理室201内の圧力は常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0102】
〔搬出・取出し〕 その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、マニホールド209の下端が開口され、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態でマニホールド209の下端から処理管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。
【0103】
搬出の後は、シャッタ219sが移動させられ、マニホールド209の下端開口がOリング220cを介してシャッタ219sによりシールされる(シャッタクローズ)。処理済のウエハ200は、処理管203の外部に搬出された後、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0104】
以上説明したように、各処理(工程)を経て、AlO膜が形成されたウエハ200が取り出された後に、さらに、他のウエハ200にAlO膜を形成する場合には、前述した「液体原料量の調整」を除いた「積載・搬入」、「圧力・温度調整」、「成膜処理」、「排気・圧力調整」、及び「搬出・取出し」が再度行われる。つまり、ウエハ200に対するバッチ処理が再度行われる。
【0105】
〔その他〕 その後、AlO膜が形成されたウエハ200に対して、既知のパターン形成工程、ダイシング工程、ワイヤーボンディング工程、モールド工程、トリム工程等が行われ、半導体装置が製造される。
【0106】
(まとめ) 以上説明したように、ウエハ200がバッチ処理される毎に、補充部750によって液体原料が貯留タンク610に補充させる(毎バッチリフィル)。これにより、貯留タンク610に貯留されている液体原料の量が、予め定められた範囲内に入る。換言すれば、減った分だけ液体原料を補充することで、ウエハ200を成膜処理する際に貯留タンク610に貯留されている液体原料の量が一定となる(液面レベルが一定となる)。これにより、原料ガスに含まれる不純物濃度のばらつきが抑制されることで、ウエハ200に形成される膜の面内均一性の値がばらついてしまうのを抑制することができる。
【0107】
また、上記実施形態では、超音波センサ650を用いて液面レベルを検知することで、貯留タンク610に貯留されている液体原料の量を求めた。従来は、ポイントセンサ(深さ方向に数点のポイントで検知、ポイント式センサとも称する)により、液体原料の量を検知していた。しかし、液体原料の使用量が異なる場合もあり、バッチ処理を開始する際に液体原料の量を常に一定とするためには、ポイント検知では不十分である。そこで、超音波センサ650(連続センサ)を用いることにより、液体原料の量を連続的に検知することができる。
【0108】
また、上記実施形態では、貯留空間612を形成する底面622に、一部が凹む凹部624が形成され、この凹部242に超音波センサ650のセンサ素子652が配設されている。このため、例えば、図7に示す比較形態に係る貯留タンク910のように、底面922に凹部が形成されていない場合の液面とセンサ素子652との距離(図7のL2)と比して、液面とセンサ素子652との距離(図1のL1)が長くなる。これにより、本実施形態では、液体原料の量が小さい場合であっても、比較形態と比して、液面レベルを精度良く検知できる。
【0109】
また、上記実施形態では、初期液面レベルは、超音波センサ650が液面レベルを検知するために要する最小の液体原料の量と、成膜処理を予め決められた回数行うために要する(ウエハ200にAlO膜を形成するために要する)液体原料の量と、の総量を貯留タンク610に貯留した際の液面レベルとされている。換言すれば、貯留タンク610に貯留されている液体原料に含まれる不純物の絶対量が出来るだけ少なくなるように、液面レベルは、許容される最も低い位置でキープされている。そして、1バッチで使用する液体原料の量が変化しても、減った分だけ液体原料を補充(リフィル)し、常に補充後の液面レベルは一定の高さとなるようになっている。このため、初期液面レベルが、例えば、貯留タンク610の上限設定値に位置する場合と比して、原料ガスに含まれる不純物濃度が小さくなるため、面内均一性を向上させることができる。
【0110】
また、上記実施形態では、貯留タンク610を完全にカラにはしないようになっている。例えば、貯留タンク610に1バッチ分だけ液体原料を貯留させる場合には、AlO膜の面内均一性に揺らぎが生じてしまうが、このような揺らぎが生じないようになっている。つまり、本実施形態では、1バッチ処理終了後に貯留タンク610が完全にカラになる場合と比して、ウエハ200に形成されたAlO膜の面内均一性を向上させることができる。
【0111】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、バブリング方式によって液体原料を原料ガスに気化したが、ベーキング方式、又は直接気化方式等を用いて液体原料を原料ガスに気化してもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、超音波センサ650を用いて液体原料の液面レベルを検出したが、超音波センサ650と共にポイントセンサを用いてもよい。超音波センサ650が故障した場合の予備としてポイントセンサを用いることができる。ポイントセンサとしては、例えば、上限設定値(High Setting)のみを検知するものが用いられる。
【0113】
また、上記実施形態では、バブリング方式に用いるバブラとして貯留タンク610を用いたが、貯留タンク610とは別にバブラを用意してもよい。この場合には、貯留タンク610から液体原料がバブラに供給され、このバブラに供給された液体原料を気化することとなる。
【0114】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、液体原料の温度を検出する温度センサを用いてもよい。温度センサを設けることで、成膜処理における品質管理を適切に行うことができる。また、液体原料の消費量に異常が生じた場合に値を参照することで原因究明に役立てることが可能となる。
【0115】
また、上記実施形態では、ウエハ200にAlO膜を形成させるために液体原料としてTMAを用いたが、例えば、ウエハ200に、TaO膜(タンタル酸化膜)を形成させるために液体原料としてトリスエチルメチルアミノターシャリーブチルイミノタンタル(Ta[NC(CH][N(C)CH、略称TBTEMT)を用いてもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、貯留タンク610に貯留されている液体原料の液面レベルが、下限値又は上限値のいずれかに達した場合に、アラームで報知したり、インターロックを作動させてもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、特に説明しなかったが、初期液面レベルを、貯留タンク610に貯留可能な液体原料に対して半分の量を、貯留タンク610に貯留させた場合の液面レベルであってもよい。これにより、初期液面レベルが、例えば、貯留タンク610の上限設定値に位置する場合と比して、原料ガスに含まれる不純物濃度が小さくなるため、面内均一性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、基板に形成される膜の面内均一性の値がばらついてしまうことを抑制することができる。
【符号の説明】
【0119】
10 基板処理装置121 制御部200 ウエハ(基板の一例)201 処理室203 処理管(処理部の一例)308 供給部620 底部624 凹部630 壁部650 超音波センサ652 センサ素子700 気化部750 補充部780 液体原料補充システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7