(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端部と他端部とを有する気化室と、前記他端部で気化室に接続され、前記一端部に向けてキャリアガスと液体原料が混合された混合流体を噴射口から供給する第1流体供給部と、前記一端部の前記混合流体に向けて前記一端部の中心部に形成された噴出孔からキャリアガスを供給する第2流体供給部と、
を備える気化システムであって、
前記第1流体供給部及び前記第2流体供給部のうち少なくとも一方は、前記噴射口または前記噴出孔から前記気化室に供給されるキャリアガスの流れと、該キャリアガスの流れと異なる前記キャリアガスの他の流れをそれぞれ形成するように構成されている気化システム。
前記第1流体供給部は、前記液体原料が供給されるノズルの周囲に複数のキャリアガス用のパージ孔を設けるホルダと、前記ノズル及び前記ホルダに取り付けられ、前記ノズルとの間に開口を形成する保護部材と、を備える請求項1記載の気化システム。
前記ノズル及び前記ホルダに取り付けられた前記保護部材は、更に空間を形成し、前記噴射口を通過した前記キャリアガスは、前記空間、前記開口を通過し、前記ノズルの先端部へ到達し、前記液体原料をミスト化するように構成されている請求項2に記載の気化システム。
前記ノズル及び前記ホルダに取り付けられた前記保護部材は、更に空間を形成し、前記パージ孔を通過した前記キャリアガスは、該空間を介して前記保護部材に衝突した後、前記空間を流れ、前記開口近傍で前記噴射口から噴き出したキャリアガスと合流するように構成されている請求項2に記載の気化システム。
前記第1流体供給部は、前記保護部材により前記ノズルの先端部で発生するミストが前記ホルダに流入する領域がノズル断面積分を除く前記開口に制限されるよう構成されている請求項3記載の気化システム。
前記第2流体供給部は、前記噴出孔の開口断面積と前記気化管のガイド部の開口断面積が同じ大きさかもしくは前記ガイド部の開口断面積の方が大きく構成されている請求項2記載の気化システム。
基板を収容する処理室と、基板に反応ガスを供給する反応ガス供給系と、液体原料を気化器により気化させた気化ガスを原料ガスとして前記処理室に供給する原料ガス供給系と、を少なくとも具備し、前記気化器は、一端部と他端部とを有する気化室と、前記他端部で気化室に接続され、前記一端部に向けてキャリアガスと液体原料が混合された混合流体とを噴射口から供給する第1流体供給部と、前記一端部の前記混合流体に向けて前記一端部の中心部に形成された噴出孔からキャリアガスを供給する第2流体供給部と、を有し、前記第1流体供給部及び前記第2流体供給部のうち少なくとも一方は、前記噴射口または前記噴出孔から前記気化室に供給されるキャリアガスの流れと、該キャリアガスの流れとは異なる前記キャリアガスの他の流れをそれぞれ形成するように構成されている基板処理装置。
一端部と他端部とを有する気化室と、前記他端部で気化室に接続され、前記一端部に向けてキャリアガスと液体原料が混合された混合流体とを噴射口から供給する第1流体供給部と、前記一端部の前記混合流体に向けて前記一端部の周縁側から中心側へキャリアガスを供給する第2流体供給部とを備え、前記第1流体供給部及び前記第2流体供給部のうち少なくとも一方は、前記噴射口または前記噴出孔から前記気化室に供給されるキャリアガスの流れと、該キャリアガスの流れとは異なる前記キャリアガスの他の流れをそれぞれ形成するように構成されている気化器により、前記液体原料を気化させた気化ガスを原料ガスとして基板が収容された処理室に供給する工程と、該処理室から原料ガスを除去する工程と、原料ガスが除去された前記処理室に反応ガスを供給する工程と、前記処理室から反応ガスを除去する工程とを有する半導体装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
先ず、半導体装置の製造工程の一工程で使用される半導体装置の一例である、基板処理装置について説明する。
【0012】
以下、該基板処理装置の一例として、一度に複数枚の基板に対して成膜処理等を行うバッチ式の縦型装置である基板処理装置を使用した場合について説明する。
【0013】
図1及び
図2を用いて、本実施形態における基板処理装置の処理炉1について説明する。
【0014】
処理炉1は、中心線が垂直になる様に縦向きに配置され、筐体(図示せず)により固定的に支持された反応管としての縦型のプロセスチューブ2を有している。プロセスチューブ2は、インナチューブ3とアウタチューブ4とを有している。インナチューブ3及びアウタチューブ4は、例えば石英(SiO2)又は炭化珪素(SiC)、石英や炭化珪素の複合材料等耐熱性の高い材料によって、それぞれ一体に成形されている。
【0015】
インナチューブ3は、上端が閉塞され下端が開放された円筒形状であり、インナチューブ3内には基板保持手段(基板保持具)としてのボート5が収納され、該ボート5には基板としてのウェーハ6が水平姿勢で多段に積層されており、インナチューブ3にウェーハ6を収納して処理する処理室7が画成される。インナチューブ3の下端開口は、ウェーハ6を保持したボート5を挿脱する為の炉口を構成している。従って、インナチューブ3の内径は、ウェーハ6を保持したボート5の最大外径よりも大きくなる様に設定されている。
【0016】
アウタチューブ4は、上端が閉塞され下端が開口された円筒形状であり、内径がインナチューブ3よりも大きく、該インナチューブ3の外側を囲む様同心に配置される。アウタチューブ4の下端部は、マニホールド8のフランジ9にOリング(図示せず)を介して取付けられ、Oリングにより気密に封止される。
【0017】
インナチューブ3の下端部は、マニホールド8の内周面に形成された円板状のリング部11上に載置されている。マニホールド8には、インナチューブ3及びアウタチューブ4についての保守点検作業や清掃作業の為、インナチューブ3及びアウタチューブ4が着脱自在に取付けられている。更に、マニホールド8が筐体(図示せず)に支持されることにより、プロセスチューブ2は垂直に据付けられた状態になっている。
【0018】
尚、上記に於いてはインナチューブ3の内部に画成される空間を処理室7としているが、以下では、アウタチューブ4内に画成される空間を処理室7と呼ぶ場合もある。
【0019】
マニホールド8の側壁の一部には、処理室7内の雰囲気を排気する排気管12が接続されている。マニホールド8と排気管12との接続部には、処理室7内の雰囲気を排気する排気口が形成されている。排気管12内は、排気口を介してインナチューブ3とアウタチューブ4との間に形成された隙間からなる排気路47(後述)内に連通している。尚、該排気路47の横断面形状は略円形リング状になっている。これにより、後述するインナチューブ3に形成された排気孔13の上端から下端迄均一に排気することができる。即ち、ボート5に載置された複数枚のウェーハ6全てから均一に排気することができる。
【0020】
排気管12には、上流側から順に、圧力センサ14、圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ15、真空排気装置としての真空ポンプ16が設けられている。該真空ポンプ16は、処理室7内の圧力が所定の圧力(真空度)となる様真空排気し得る様に構成されている。圧力センサ14及びAPCバルブ15には、コントローラ17が電気的に接続されている。該コントローラ17は、処理室7内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となる様に、圧力センサ14により検出された圧力に基づいてAPCバルブ15の開度を制御する様に構成されている。
【0021】
主に、排気管12、圧力センサ14、APCバルブ15により、本実施例に係る排気ユニット(排気系)が構成される。又、該排気ユニットには真空ポンプ16を含めてもよい。又、排気管12には、排気ガス中の反応副生成物や未反応の原料ガス等を補足するトラップ装置や、排気ガス中に含まれる腐食成分や有毒成分等を除外する除外装置が接続されている場合がある。この場合、トラップ装置や除外装置を排気ユニットに含めてもよい。
【0022】
マニホールド8には、該マニホールド8の下端開口を閉塞するシールキャップ18が垂直下方から当接される。該シールキャップ18は、アウタチューブ4の外径と同等以上の外径を有する円盤形状となっており、プロセスチューブ2の外部に垂直に設置されたボートエレベータ19(後述)によって水平姿勢で垂直方向に昇降される。
【0023】
シールキャップ18上には、ウェーハ6を保持するボート5が垂直に立脚されて支持されている。該ボート5は、上下で一対の端板21と、該端板21間に垂直に設けられた複数本の保持部材22とを有している。端板21及び保持部材22は、例えば石英(SiO2)又は炭化珪素(SiC)、石英や炭化珪素の複合材料等の耐熱性材料からなる。各保持部材22には、多数条の保持溝23が長手方向に等間隔に形成されている。ウェーハ6の円周縁が複数本の保持部材22に於ける同一段の保持溝23内にそれぞれ挿入されることにより、複数枚のウェーハ6が水平姿勢且つ互いに中心を揃えた状態で多段に積層されて保持される。
【0024】
ボート5とシールキャップ18との間には、上下で一対の補助端板24が複数本の補助保持部材25によって支持されている。各補助保持部材25には、多数条の保持溝26が形成されている。該保持溝26には、例えば石英(SiO2)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性材料からなる円板形状の複数枚の断熱板27が、水平姿勢で多段に装填される。該断熱板27によって、後述するヒータユニット28からの熱が前記マニホールド8側に伝わり難くなっている。又、ボート5に載置される複数枚のウェーハ6の下側での温度低下を抑制できる様になっている。
【0025】
シールキャップ18の処理室7と反対側には、ボート5を回転させる回転機構29が設けられている。該回転機構29の回転軸31は、シールキャップ18を貫通してボート5を下方から支持している。回転機構29により回転軸31を回転させることで、処理室7内にてウェーハ6を回転させることができる。
【0026】
又、シールキャップ18は、搬送手段(搬送機構)としてのボートエレベータ19によって垂直方向に昇降される様に構成されており、該ボートエレベータ19によってボート5を処理室7内外に搬送することが可能となっている。
【0027】
アウタチューブ4の外部には、プロセスチューブ2内を全体に亘って均一又は所定の温度分布に加熱する加熱手段(加熱機構)としてのヒータユニット28が、アウタチューブ4を囲繞する様に設けられている。ヒータユニット28は、基板処理装置の筐体(図示せず)に支持されることにより、垂直に据付けられた状態となっており、例えばカーボンヒータ等の抵抗加熱ヒータとして構成されている。
【0028】
プロセスチューブ2内には、温度検出器としての温度センサ32が設置されている。主に、ヒータユニット28、温度センサ32により、本実施例に係る加熱ユニット(加熱系)が構成される。
【0029】
インナチューブ3の側壁(後述する排気孔13とは180°反対側の位置)には、チャンネル形状の予備室33が、インナチューブ3の側壁から該インナチューブ3の径方向外向きに突出して垂直方向に長く延在する様に形成されている。又、予備室33の内壁は処理室7の内壁の一部を形成している。
【0030】
予備室33の内部には、該予備室33の内壁(即ち処理室7の内壁)に沿う様に、予備室33の下部から上部に沿ってウェーハ6の積層方向に延在し、処理室7内にガスを供給するノズル34,35,36,37が設けられている。即ち、該ノズル34,35,36,37は、ウェーハ6が配列されるウェーハ配列領域の側方の、ウェーハ配列領域を水平に取囲む領域に、ウェーハ配列領域に沿う様に設けられている。
【0031】
ノズル34,35,36,37は、L字型のロングノズルとして構成されており、該ノズル34,35,36,37の水平部はマニホールド8を貫通し、ノズル34,35,36,37の垂直部はウェーハ配列領域の下端から上端に向って立ち上がる様に設けられている。尚、便宜上、
図1には1本のノズル34を記載しているが、実際には
図2に示される様に、4本のノズル34,35,36,37が設けられている。
【0032】
又、該ノズル34,35,36,37の側面には、ガスを供給する多数のガス供給孔38,39,40,41がそれぞれ設けられている。該ガス供給孔38,39,40,41は、下部から上部に亘ってそれぞれ同一、又は大きさに傾斜を付けた開口面積を有し、更に同一の開口ピッチで設けられている。
【0033】
マニホールド8を貫通したノズル34,35,36,37の水平部の端部は、プロセスチューブ2の外部で、ガス供給ラインとしてのガス供給管43,44,45,46とそれぞれ接続されている。
【0034】
上記した様に、本実施例に於けるガス供給の方法は、予備室33内に配置されたノズル34,35,36,37を介してガスを搬送し、ガス供給孔38,39,40,41からウェーハ6の近傍より処理室7内にガスを噴出させている。
【0035】
インナチューブ3の側壁であって、ノズル34,35,36,37に対向した位置、即ち予備室33とは180°反対側の位置には、例えばスリット状の貫通孔である排気孔13が垂直方向に細長く開設されている。インナチューブ3とアウタチューブ4との間の隙間により排気路47が形成され、該排気路47は排気孔13を介して処理室7と連通している。従って、ガス供給孔38,39,40,41から処理室7内に供給されたガスは、排気孔13を介して排気路47内へと流れた後、排気口を介して排気管12内に流れ、処理室7外へと排出される。
【0036】
この時、ガス供給孔38,39,40,41から処理室7内のウェーハ6の近傍に供給されたガスは、水平方向、即ちウェーハ6の表面と平行な方向に向って流れた後、排気孔13を介して排気路47へと流れる。つまり、処理室7内に於けるガスの主たる流れは水平方向、即ちウェーハ6の表面と平行な方向となる。この様な構成とすることで、各ウェーハ6に対して均一にガスを供給でき、各ウェーハ6に形成される薄膜の膜厚を均一にすることができる。尚、排気孔13はスリット状の貫通孔に限らず、複数個の孔により形成されていてもよい。
【0037】
次に、
図3を参照して本実施例に係るガス供給系について説明する。
【0038】
ガス供給管43には、上流側から順に、流量制御装置(流量制御部)としてのMFC(マスフローコントローラ)48及び開閉弁であるバルブ49がそれぞれ設けられており、例えば不活性ガスである窒素(N2)ガスがガス供給管43及びノズル34を通って処理室7へ供給される。主に、ノズル34、ガス供給管43、MFC48、バルブ49により第1の不活性ガス供給系が構成される。
【0039】
ガス供給管46には、上流側から順に、流量制御装置(流量制御部)としてMFC(マスフローコントローラ)51及び開閉弁であるバルブ52がそれぞれ設けられており、例えば不活性ガスである窒素(N2)ガスがガス供給管46及びノズル37を通って処理室7へ供給される。主に、ノズル37、ガス供給管46、MFC51、バルブ52により第2の不活性ガス供給系が構成される。
【0040】
不活性ガス供給系は、第1の不活性ガス供給系と第2の不活性ガス供給系のいずれか又は両方で構成される。ウェーハ6への処理によって2つを使い分けてもよいが、第1の不活性ガス供給系と、第2の不活性ガス供給系の両方を用いることで、ウェーハ6に均一な処理を施すことができる。又、
図2に示される様に、ノズル34とノズル37は、他のノズルを挾む様に配置することが好ましい。この様な配置とすることで、ウェーハ6への処理均一性を向上させることができる。
【0041】
ガス供給管44には、上流側から順に、反応ガス活性化装置としてのオゾナイザ53、流量制御装置(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)54及び開閉弁であるバルブ55が設けられている。ガス供給管44の先端部には、ノズル35が接続されている。
【0042】
ガス供給管44の上流側は、酸化ガスとしての酸素(O2)ガスを供給する図示しない酸素ガス供給源に接続されている。オゾナイザ53に供給されたO2ガスは、該オゾナイザ53にて活性化されて反応ガスである酸化ガスとしてのオゾン(O3)ガスとなり、処理室7内に供給される。主に、ノズル35、ガス供給管44、オゾナイザ53、MFC54、バルブ55により反応ガス供給系が構成される。
【0043】
ガス供給管45には、気化システム(気化部)であり、液体原料を気化して原料ガスとしての気化ガスを生成する気化器56が設けられており、該気化器56の下流側には、上流側から順に開閉弁であるバルブ57、ガスフィルタ58が設けられている。ガス供給管45の先端部には、ノズル36が接続されている。バルブ57を開けることにより、気化器56内にて生成された気化ガスがノズル36を介して処理室7内に供給される。主に、ノズル36、ガス供給管45、気化器56、バルブ57、ガスフィルタ58により原料ガス供給系(気化ガス供給系)が構成される。尚、後述するキャリアガス供給系、液体原料供給系も原料ガス供給系に含めてもよい。
【0044】
ガス供給管45の気化器56よりも上流側には、上流側から順に液体原料タンク59、液体流量制御装置(LMFC)61、開閉弁であるバルブ62が設けられている。気化器56内への液体原料の供給量、即ち該気化器56内で気化され処理室7内へ供給される気化ガスの供給流量は、LMFC61によって制御される。主に、ガス供給管45、液体原料タンク59、LMFC61、バルブ62により液体原料供給系が構成される。
【0045】
又、気化器56には、第1キャリアガスとしての不活性ガスがガス供給管85から、第2キャリアガスとしての不活性ガスがガス供給管91からそれぞれ供給される。該ガス供給管85には、上流側から順にMFC86とバルブ87が設けられている。気化器56で生成された気化ガスをキャリアガスで希釈することにより、ボート5に搭載されるウェーハ6間の膜厚均一性等、ウェーハ6間に於けるウェーハ6の処理の均一性を調整することができる。主に、ガス供給管85、MFC86、バルブ87により、第1キャリアガス供給系が構成され、ガス供給管91、MFC92、バルブ93、加熱機構94により、第2キャリアガス供給系が構成される。
【0046】
ガス供給管45からは、例えば金属含有ガスである原料ガスとして、ジルコニウム原料ガス、即ちジルコニウム(Zr)を含むガス(ジルコニウム(Zr)含有ガス)が原料ガスとして、LMFC61、気化器56、ガスフィルタ58、ノズル36等を介して処理室7内へ供給される。ジルコニウム含有ガスとしては、例えばテトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(TEMAZ、Zr
[N(CH3)C2H5]4)を用いることができる。TEMAZは、常温常圧に於いては液体であり、液体のTEMAZは液体原料として液体原料タンク59内に貯留される。
【0047】
尚、気化器56の詳細については後述する。
【0048】
次に、
図7に於いて、制御部(制御手段)であるコントローラ17と各構成の接続について説明する。
【0049】
コントローラ17は、CPU(Central Processing Unit)75、RAM(Random Access Memory)76、記憶装置77、I/Oポート78を具備するコンピュータとして構成されている。RAM76、記憶装置77、I/Oポート78は、内部バス79を介してCPU75とデータ交換可能な様に構成されている。コントローラ17には、ディスプレイ等の表示装置80や、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置81が接続されている。
【0050】
記憶装置77は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。該記憶装置77内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム、後述する基板処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が読出し可能に格納されている。尚、プロセスレシピは、後述する基板処理工程に於ける各手順をコントローラ17に実行させ、所定の結果を得ることが出来る様に組合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。尚、本明細書に於いて、プログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、又は、その両方を含む場合がある。又、RAM76は、CPU75によって読出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0051】
I/Oポート78は、MFC48,51,54,92、バルブ49,52,55,57,62,93、圧力センサ14,114、APCバルブ15、真空ポンプ16、ボートエレベータ19、ヒータユニット28、回転機構29、温度センサ32、オゾナイザ53、気化器56、LMFC61、加熱機構94等に接続されている。
【0052】
CPU75は、記憶装置77から制御プログラムを読出して実行すると共に、入出力装置81からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置77からプロセスレシピを読出す。そして、CPU75は、読出したプロセスレシピの内容に沿う様に、MFC48,51,54による各種ガスの流量調整動作、LMFC61による液体原料の流量制御、バルブ49,52,55,57,62の開閉操作、APCバルブ15の開閉動作及び該APCバルブ15による圧力センサ14に基づく圧力調整動作、温度センサ32に基づくヒータユニット28の温度調整動作、真空ポンプ16の起動及び停止、回転機構29によるボート5の回転及び回転速度調節動作、ボートエレベータ19によるボート5の昇降動作、加熱機構94による第2キャリアガス(不活性ガス)の加熱調整動作等を制御する。
【0053】
尚、コントローラ17は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)82を用意し、該外部記憶装置82を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施例に係るコントローラ17を構成することができる。尚、コンピュータにプログラムを供給する為の手段は、外部記憶装置82を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置82を介さずにプログラムを供給する様にしてもよい。尚、記憶装置77や外部記憶装置82は、コンピュータで読取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。尚、本明細書に於いて記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置77単体のみを含む場合、外部記憶装置82単体のみを含む場合、又は、その両方を含む場合がある。
【0054】
次に、上述した基板処理装置の処理炉1を用いて半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に絶縁膜であって、例えば高誘電率(High−k)膜である金属酸化膜としてジルコニウム酸化膜(ZrO2、以下ZrOとも称す)を成膜するシーケンス例について、
図8を参照して説明する。尚、以下の説明に於いて、基板処理装置を構成する各部の動作は前記コントローラ17により制御される。
【0055】
尚、本明細書に於いて、「ウェーハ」という言葉を用いた場合は、「ウェーハそのもの」を意味する場合や、「ウェーハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合、即ち表面に形成された所定の層や膜等を含めてウェーハと称する場合がある。又、本明細書に於いて「ウェーハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウェーハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウェーハ上に形成された所定の層や膜等の表面、即ち積層体としてのウェーハの最表面」を意味する場合がある。
【0056】
従って、本明細書に於いて「ウェーハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウェーハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウェーハ上に形成されている層や膜等に対して、即ち積層体としてのウェーハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。又、本明細書に於いて「ウェーハ上に所定の層(又は膜)を形成する」と記載した場合は、「ウェーハそのものの表面(露出面)上に所定の層(又は膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウェーハ上に形成されている層や膜等の上、即ち積層体としてのウェーハの最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0057】
尚、本明細書に於いて「基板」という言葉を用いた場合も「ウェーハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明に於いて、「ウェーハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0058】
以下、基板処理工程について説明する。
【0059】
STEP:01 先ず、複数枚のウェーハ6がボート5に装填(ウェーハチャージ)される。
【0060】
STEP:02 次に、該ボート5がボートエレベータ19により持上げられ、処理室7内に搬入(ボートロード)される。この状態では、シールキャップ18はマニホールド8の下端をシールした状態となる。
【0061】
STEP:03 ボート5の搬入後、処理室7内が所望の圧力(真空度)となる様に、真空ポンプ16によって真空排気される。この際、処理室7内の圧力は、圧力センサ14で測定され、測定された圧力に基づきAPCバルブ15にフィードバック制御される(圧力調整)。又、処理室7内が所望の温度となる様にヒータユニット28によって加熱される。この際、処理室7内が所望の温度分布となる様に、温度センサ32が検出した温度情報に基づきヒータユニット28への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。続いて、回転機構29により、ボート5が回転されることで、ウェーハ6が回転される。
【0062】
尚、真空ポンプ16の作動、ヒータユニット28による処理室7内の加熱、回転機構29によるボート5及びウェーハ6の回転は、少なくともウェーハ6に対する処理が終了する迄の間は継続して行われる。
【0063】
次に、TEMAZガスと、O3ガスを処理室7内に供給することによりZrO膜を形成するジルコニウム酸化膜形成工程を行う。ジルコニウム酸化膜形成工程では、STEP:04〜STEP:08の4つのステップを順次実行する。
【0064】
STEP:04 先ず、ガス供給管45のバルブ57を開放し、気化器56、ガスフィルタ58を介してガス供給管45内にTEMAZガスを流す。該ガス供給管45内を流れるTEMAZガスは、LMFC61により流量調整され、気化器56により気化された状態で、ノズル36のガス供給孔40から処理室7内に供給され、排気管12から排気される。
【0065】
又、TEMAZガスの供給と並行して、バルブ49を開き、ガス供給管43、ノズル34、ガス供給孔38からN2等の不活性ガスを流すと共に、バルブ52を開き、ガス供給管46、ノズル37、ガス供給孔41からN2等の不活性ガスを流す。
【0066】
この時、APCバルブ15の開度を適正に調整して処理室7内の圧力を、例えば100〜500Paの範囲内の圧力とする。LMFC61で制御するTEMAZガスの供給流量は、例えば0.045〜5.0g/分の範囲内の流量とする。本実施の形態においては、2.0g/分である。又、ウェーハ6をTEMAZガスに曝す時間、即ちガス供給時間(照射時間)は、例えば10〜300秒間の範囲内の時間とする。又この時のヒータユニット28の温度は、ウェーハ6の温度が例えば150〜300°の範囲内の温度となる様な温度に設定する。TEMAZガスの供給により、ウェーハ6上にZr(ジルコニウム)含有層が形成される。
【0067】
STEP:05 TEMAZガスの供給後、バルブ57を閉じ、処理室7内へのTEMAZガスの供給を停止する。この時、排気管12のAPCバルブ15は開いたままとし、真空ポンプ16により処理室7内を真空排気し、該処理室7内に残留する未反応、若しくはZr含有層形成に寄与した後のTEMAZガスを処理室7内から排気する。
【0068】
この時、バルブ49,52を開いたままとし、不活性ガスとしてのN2ガスの処理室7内への供給を維持する。N2ガスはパージガスとして作用し、処理室7内に残留する未反応、若しくはZr含有層形成に寄与した後のTEMAZガスを処理室7内から排気する効果を更に高めることができる。
【0069】
又、処理室7内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、該処理室7内を完全にパージしなくてもよい。該処理室7内に残留するガスが微量であれば後述するSTEP:06に於いて悪影響が生じることはない。この時、処理室7内に供給するN2ガスの流量は大流量とする必要はなく、例えば、アウタチューブ4(若しくは処理室7)の容積と同程度の量を供給することで、STEP:06に於いて悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。この様に、処理室7内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。又、N2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0070】
STEP:06 該処理室7内の残留ガスを除去した後、ガス供給管44のバルブ55を開くことで、オゾナイザ53によって生成されたO3ガスが、MFC54により流量調整され、ノズル35のガス供給孔39から処理室7内に供給され、排気管12から排気される。又、O3ガスの供給と並行して、バルブ49を開き、ガス供給管43、ノズル34、ガス供給孔38からN2等の不活性ガスを流すと共に、バルブ52を開き、ガス供給管46、ノズル37、ガス供給孔41からN2等の不活性ガスを流す。
【0071】
O3ガスを流す時は、APCバルブ15の開度を適正に調整し、処理室7内の圧力を、
例えば100〜500Paの範囲内の圧力とする。MFC54で制御するO3ガスの供給
流量は、例えば10〜90SLMの範囲内の流量とする。又、O3ガスをウェーハ6に曝す時間、即ちガス供給時間(照射時間)は、例えば10〜300秒間の範囲内の時間とする。又、前記ヒータユニット28の温度は、STEP:04と同様、ウェーハ6の温度が150〜300
℃の範囲内の温度に設定されている。O3ガスの供給により、STEP:04でウェーハ6上に形成されたZr含有層が酸化され、ZrO層が形成される。
【0072】
STEP:07 ZrO層の形成後、バルブ55を閉じて処理室7内へのO3ガスの供給を停止する。この時、排気管12のAPCバルブ15は開いたままとし、真空ポンプ16により処理室7内を真空排気し、該処理室7内に残留する未反応、若しくは酸化に寄与した後のO3ガスを処理室7内から排気する。
【0073】
この時、バルブ49,52を開いたままとし、不活性ガスとしてのN2ガスの処理室7内への供給を維持する。N2ガスはパージガスとして作用し、処理室7内に残留する未反応若しくはZrO層形成に寄与した後のO3ガスを処理室7内から排気する効果を更に高めることができる。
【0074】
又、処理室7内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、該処理室7内を完全にパージしなくてもよい。該処理室7内に残留するガスが微量であれば再度STEP:04を行う場合に悪影響が生じることはない。この時、処理室7内に供給するN2ガスの流量は大流量とする必要はなく、例えば、アウタチューブ4(若しくは処理室7)の容積と同程度の量を供給することで、STEP:04に於いて悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。この様に、処理室7内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。又、N2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0075】
STEP:08 上述したSTEP:04〜STEP:07を1サイクルとし、このサイクルが所定数だけ行われたかどうかが判断される。このサイクルが少なくとも1サイクル行われることで、ウェーハ6上に所定膜厚のジルコニウム及び酸素を含む高誘電率膜、即ちZrO膜を形成することができる。尚、上記したサイクルは複数回繰返すのが好ましく、サイクルが複数回行われることで、ウェーハ6上に所定膜厚のZrO膜を形成することができる。
【0076】
STEP:09 ZrO膜の形成後、バルブ49,52を開き、処理室7内にN2ガスを流す。N2ガスはパージガスとして作用し、これにより処理室7内が不活性ガスでパージされ、該処理室7内に残留するガスが該処理室7内から除去される。
【0077】
STEP:10 該処理室7内の雰囲気が不活性ガスに置換された後、該処理室7内の圧力が大気圧(常圧)に復帰される(大気圧復帰)。
【0078】
STEP:11 その後、ボートエレベータ19によりシールキャップ18が下降され、マニホールド8の下端が開口されると共に、処理済みのウェーハ6がボート5に保持された状態でマニホールド8の下端からプロセスチューブ2の外部に搬出される(ボートアンロード)。
【0079】
STEP:12 最後に、処理済みのウェーハ6がボート5より取出され(ウェーハディスチャージ)、基板処理を終了する。
【0080】
(第1の実施形態) 次に、
図4乃至
図6を用いて、本発明の実施例に係る気化器56の詳細について説明する。
【0081】
図4に示すように、気化システムとしての気化器56は、気化室65及び送出部69を構成する気化管66と、気化室65に第1キャリアガス(不活性ガス)88と液体原
料63が混合された混合流体を供給する第1流体供給部と、混合流体に向かって第2キャリアガス(不活性ガス)105を気化室65に供給する第2流体供給部を少なくとも有する。気化室65の一端側に第2流体供給部が設けられると共に、その第2流体供給部の他端側に第1流体供給部が設けられる。
【0082】
気化室65は、気化管66で構成され、その気化室65内壁は、供給されるガスの滞留や乱流を抑制するようにテーパ部が気化室65の上側及び下側に設けられ、気化室65の中央部には、排出孔70が設けられている。送出部69は、気化されてガスの流路を形成する部分であり、その入口に相当するのが複数の排出孔70であり、出口に相当するのが送出孔71である。そして、送出孔71から気化されたガス(原料ガス)が処理室7に供給される。
【0083】
気化室65の上部には、第1流体供給部(A)が配置され、気化室の下部には、第2流体供給部(B)が配置される。第1流体供給部及び第2流体供給部は、それぞれガス噴射孔を有する。よって、気化器56は、気化室65の上下対向面で、それぞれガス噴射孔を具備する。一方は、上記液体原料と第1キャリアガス88が混合されたアトマイジングミストとしての混合流体(以後、単にミストともいう)であり、残りの一方は、このミストの気化に必要な熱エネルギーをもった不活性ガス(以後、Hot−N2ガスともいう)である第2キャリアガス105であり、これらミストと第2キャリアガス105が気化管66内で衝突する構造を有する。尚、上下方向だけではなくそれ以外の異方向も可能なのは言うまでもない。
【0084】
また、気化室65内壁は、供給されるガスの滞留や乱流を抑制するようにテーパ部73が気化室65の上側及び下側に設けられ、気化室65の中央部には、排出孔70が複数設けられている。具体的には、第1流体供給部及び第2流体供給部から排出孔70近傍までテーパ加工が施され、混合流体及び第2キャリアガス105の流路を確保している。これにより、気化管66内の淀み領域の低減が可能となる。更に、気化管66は図示しないヒータが設け
られ、このヒータにより壁面の温度が調整されている。よって、気化管66壁面からの熱伝達効率の向上し、壁面に付着するミストが効率よく気化されるので、気化管66壁面の残渣を低減することができる。
【0085】
また、気化室65内で気化された気化ガス(原料ガス)は、複数の排出孔70を介して送出孔71で一つの配管に集約されてから、処理室7へ供給される。複数の排出孔70から流入した気化ガスが混合され、その混合される部分から送出孔71までの距離は、混合された気化ガスの流れの向きが一定になるよう所定の長さに構成される。
【0086】
気化管66内に、ミストの淀みがあると、気化管66の壁面に残渣が付着し、付着量が多くなると排出孔70へのガスの流れを乱し、乱流が発生する恐れがある。このような混合流体の残渣及び乱流等の発生は、気化されたガス(原料となるガス)の流量の安定供給を妨げる原因となるが、本実施の形態によれば、その原料供給の不安定さが大幅に減少する。
【0087】
尚、
図4に示すように、本実施形態における気化室65の側壁に設けられた排出孔70は2つである。但し、本実施の形態に限らず3つ以上設けてもよく、気化室65の側壁に周方向に均等、且つ多数設けられる。
【0088】
図6に示すように、第1流体供給部は、他端部としてのノズルホルダ95と、液体原料63を供給するためのノズル96と、キャリアガス室98と、を少なくとも含む構成としている。
【0089】
ノズルホルダ95は、液体原料63を気化室65内に噴霧(アトマイジング)する噴霧ノズルとして、液体原料63を微粒化する二流体噴霧方式の噴霧ノズル96が設けられる。
【0090】
該噴霧ノズル96は円筒状であり、該噴霧ノズル96の内部には、ガス供給管45(
図3参照)から液体原料63が供給される噴霧流路97が形成されている。
【0091】
気化器56には、所定の体積を有する例えば倒立円錐台形状のキャリアガス室98が噴霧ノズル96を囲繞する様形成され、該噴霧ノズル96はキャリアガス室98を垂直に貫通する様になっている。
【0092】
キャリアガス室98にはキャリアガス供給孔99が形成されている。該キャリアガス供給孔99はガス供給管85(
図3参照)と連通しており、キャリアガス供給孔99を介してガス供給管85からキャリアガス室98に第1キャリアガス88が供給される様になっている。
【0093】
又、キャリアガス室98の下面には、噴霧ノズル96の先端部と平行であり、キャリアガス室98と気化室65とを連通させる第1噴出口としてのアトマイザー噴射口(以後、単に噴射口ともいう)101が形成されている。該噴射口101は、噴霧ノズル96の周囲に形成されている。尚、この噴霧ノズル96の先端部が噴射口101の開口部よりも若干出ている形態であり、例えば、噴霧ノズル96の先端部は、噴射口101の開口部より0.5mm程度出ている。但し、噴射ノズル96の先端部が出ていても、その先端部を囲うように噴射口101が設けられ、また、噴射口101から供給される第1キャリアガスは高速であるので、周囲付着の確率は極めて低い。また、噴霧ノズル96の先端部も第1噴出口として含めてもよいのは言うまでもない。
【0094】
尚、噴射口101の内径は、キャリアガス供給孔99の内径よりも極めて小さくなっており、噴射口101から噴出される第1キャリアガス88の流速は、噴霧流路97の先端より噴出される液体原料63の流速よりも高速となっている。
【0095】
気化器56により液体原料63を気化させる際には、ガス供給管45からLMFC61(
図3参照)により流量調整された液体原料63が噴霧流路97に供給され、ガス供給管85からMFC86(
図3参照)により流量調整された第1キャリアガス88が、キャリアガス供給孔99を介してキャリアガス室98に供給される。
【0096】
この時、噴射口101の内径がキャリアガス供給孔99の内径よりも小さくなっているので、キャリアガス室98内は高圧となる。例えば、噴射口101は、30μm〜300μm、キャリアガス供給孔99の内径は、1.75mm〜9.53mmであり、その比は、50〜300が望ましい。例えば、本実施形態において、噴射口101の内径は、75μmである。
【0097】
高圧となった該キャリアガス室98の第1キャリアガス88は、噴射口101を通過する際に更に圧縮されて加速され、気化室65内に噴出される。又、噴霧流路97に供給された液体原料63も、噴霧流路97の先端より気化室65内に噴出される。
【0098】
この時、該噴霧流路97の出口部分(液出口)、噴射口101の出口部分では、液体原料63と第1キャリアガス88との間で大きな速度差が生じている。よって、高速の該第1キャリアガス88により液体原料63が引きちぎられることで、液体原料63が分裂して微粒化し、微粒化した該液体原料63と第1キャリアガス88とが混合されたミストが生成される。該ミストは、高速、高圧な気液二層流103として気化室65内に噴霧される。
【0099】
本実施の形態では、小流量でも噴射口101の出口の初速を高めることができ、速度を上げることで高速噴射が可能となり液滴微細化に寄与できる。これにより、気化効率の向上が期待できるので、結果として気化ガス(原料ガス)の大流量化が期待できる。
【0100】
また、本実施の形態では、噴射口101の内径とキャリアガス供給孔99の内径の比が、50〜300に調整されているので、ノズル噴射速度が下がり過ぎることによる、噴霧(アトマイズ)状態が悪くミスト径が大きくなり気化効率が悪くなることはない。また、ノズル噴射速度を上げ過ぎると、ミストがノズル周囲に飛散し、例えば、噴射口101に付着することによる、ノズル噴射性能へ悪影響が考えられるが、そのようなミスト付着による噴射口101の閉塞の影響は検討する必要が無い。
【0101】
また、本実施の形態では、噴霧流路97の出口部分(先端部)と噴射口101の出口部分(開口部)を同じ高さ又は若干高くしているが、この形態に限らず、粘度の低い液体であれば、噴霧流路97の出口部分をノズルホルダ95内に引き込む形態にしてもよい。例えば、引き込む量は、0.5mm〜1mmである。この場合、第1キャリアガス88と液体原料63がより確実に混合しあうので、ミスト化効率の向上が見込まれる。このような、ミスト化の効率向上により、結果として、気化効率の向上が見込まれる。
【0102】
図5に示すように、第2流体供給部は、気化室65に第1キャリアガス(不活性ガス)88と液体原料ガスが混合ガスされた混合流体を供給する第1流体供給部の対向する側に設けられ、この混合流体に向けて気化室65の下部に設けられたBlow−UPプレート(B.UPプレート)としてのプレート部材109の表面を外周側から中心側に向けて第2キャリアガス(不活性ガス)105を供給するよう構成されている。
【0103】
また、第2流体供給部は、第2キャリアガス105を気化器56内に導入するためのキャリアガス導入孔106及び第2キャリアガスの流路を形成するキャリアガス導入溝107を有するガス導入部材108と、第2キャリアガス105を気化室65に噴出させる吹き出し穴(第2噴出孔) 1 1 1と、この第2噴出孔111の外周側であって、キャリアガス導入溝107と連通して第2噴出孔111を迂回する流路を形成する開口部としての複数の孔110をそれぞれ有す
るプレート部材109と、この孔110に連通されている切欠部(スリット)112を有し、この切欠部112を介して第2キャリアガス105を気化室65に供給するための円環状のリング(スリットリング)としてのリング部材113とを少なくとも有する構成である。
【0104】
以後、プレート部材109はシャワープレート、リング部材113はシャワープレートスペーサと称する場合がある。更に、プレート部材109は、気化室65(又は気化管66)の下部に設けられ、気化室65(又は気化管66)の一端部を構成
する。また
、それぞれの部材は、図示しないが螺子止めされて固定されている。また、圧力センサ114は、第2流体供給部の圧力を検出している。尚、圧力センサ114については後述する。
【0105】
ここで、各部材について説明する。
図11に示されるように
、ガス導入部材108に設けられるキャリアガス導入溝107の径は一例として2mmであり、例えば、キャリアガス導入溝107が、円周方向に均等に8か所設けられている。
図10に示されるように、プレート部材109には、第2噴出孔としての無数の吹き出し穴111が、プレート部材109の中心から円状に形成されている。この吹き出し穴111の径は、例えば、0.1mmである。プレート部材109には、この円状に形成された吹き出し穴111よりも外周側の位置に開口部110が設けられている。この開口部110は、プレート部材109の周縁部に設けられているので、第1噴出口から噴出される混合流体が直接当たらない。この開口部110も円周方向に均等に8か所設けられている。
図9に示すように、シャワープレートスペーサとしての円環状のリング部
材113は、例えば、切欠部112が、円周方向に均等に8か所設けられている。また、切欠部の角度は、90゜である。尚、これら切欠部112の数、及び切欠部112の角度は、適宜変更可能に構成される。
【0106】
このような構成であるので、
図5に示されるように、第2流体供給部は、キャリアガス導入孔106を介してガス導入部
材108とプレート部
材109により構成される空間に第2キャリアガス105が供給され、この空間に供給された第2キャリアガスは、プレート部
材109に設けられた第2噴出孔111から上方向(垂直方向)に混合流体103を気化するために気化室65に供給される。一方で、第2キャリアガス105は、ガス導入部
材108とプレート部
材109により構成される空間からキャリアガス導入溝107を介してプレート部
材109に設けられた開口部を上昇し、気化管66のテーパ部73の最下部より径方向に延在するよう設けられたガイド部74により流れの向きが変更され、プレート部
材109の表面に水平方向に供給される。つまり、第2流体供給部は、第2キャリアガス105を、開口部110と連通された切欠部112を介してプレート部
材109の表面に供給されるよう構成されているので、第2噴出孔に目詰まりが発生しても、この第2噴出孔を迂回してプレート部
材109の表面に第2キャリアガスを供給できる構成になっている。
【0107】
この第2噴出孔の開口断面積は、気化管66に設けられたテーパ部73の最下部の面積(気化管66の下部のガイド部74の開口断面積と同じ、又は、若干小さく構成されている。
【0108】
第1噴出口から噴射された混合流体が、プレート部
材109に衝突時、分解、飛散するが、加熱された第2キャリアガス105がプレート部材
109表面上の上下方向だけでなく、水平方向にも供給されるので、気化管66の周囲内壁への付着防止とプレート部材
109表面の第2噴出孔の目詰まり防止を図ることができる。
【0109】
また、この孔(開口部)110は混合流体が直接当たらない位置にあるため、第2噴出孔111が目詰まりした場合も当該第2噴出孔111へのHot−N2ガスの供給量が増加され、プレート表面のホットガス吹出領域の目図り箇所においてもミストの付着を抑制する効果がある。
【0110】
ここで、第1噴出口から供給される混合流体の流量と、第2噴出孔111から供給されるHot-N2ガス105の流量のバランスが最適化されている。例えば、このプレート部
材109に付着する残湾量は、第1噴出口の吹出量と第2噴出孔の吹出量の比は1:7以下の領域に設定されている。
【0111】
また、ガス導入部
材108と
プレート部
材109の間の空間には、圧カセンサ114が設けられている。この圧カセンサ114の値を記録することにより、プレート部
材109の中心に設けられた第2噴出孔1111の目詰まり判定が行われる。尚、
図5に示す例は一例であるのは言うまでもない。このように、圧力値により気化器56のメンテナンス時期の判定を行うことができる。
【0112】
本実施の形態によれば、第2流体供給部は、気化管66の
プレート部材109の表面をプレート部
材109の外周側から中心側に向けて水平方向に第2キャリアガス105を供給するよう構成されている。よって、ミストが、
プレート部材109の第2噴出孔111が存在する領域において、第2噴出孔111の無い領域(孔と孔の間)ではミスト付着の確率が高くミストが付着、堆積しても、第2噴出孔111を塞ぐ前に第2キャリアガス105をシャワープレート
109表面に供給することができるので、この第2噴出孔111の無い領域に付着したミストについても効率よく気化できる。また、シャワープレート
109周辺の
残渣の発生を抑えることができ
る。
【0113】
本実施の形態によれば、第2流体供給部は、
気化管66の
プレート部材109の表面をプレート部
材109の外周側から中心側に向けて水平方向に第2キャリアガス105を供給するよう構成されているので、シャワープレート
109の第2噴出孔111が存在する領域において、第2噴出孔111の無い領域(孔と孔の間)ではミスト付着の確率が高くミストが付着、堆積しても第2噴出孔111を塞ぐ前に気化することができる。よって、ミストの噴出される流量を多くすることができ、気化器56の一回で発生させる気化ガスの流量を多くすることができる。
【0114】
本実施の形態によれば、ガス導入部
材108に連通される孔110から切欠き部112を介してシャワープレート
109表面に供給される第2キャリアガスは、気化管66に設けられたガイド部74により、シャワープレート
109表面への流路が確保されているので、第2噴出孔111の目詰まりに関係なく、シャワープレート
109表面に付着したミストを効率に気化することができる。また、この孔110は、ミストが直接付着しない位置にあるため、目詰まりの心配はなく、気化器56の性能向上及び装置信頼性の向上が期待できる。
【0115】
本実施の形態によれば、この孔110は、ミストが直接付着しない位置にあるため、第2噴出孔111に目詰まりが発生しても、ガス導入部
材108に連通される孔110から切欠き部112を介してシャワープレート
109表面に供給される第2キャリアガスは、気化管66に設けられたガイド部74により、シャワープレート
109表面への流路が確保されているので、シャワープレート
109表面に付着したミストを気化することができる。このように、第2噴出孔111に目詰まりが発生しても気化器56の性能を維持しながら装置信頼性の向上が期待できる。
【0116】
本実施の形態において、第2流体供給部に第2噴出孔111を迂回するようにガス流路を形成し、シャワープレート表面に水平方向に第2キャリアガス105を供給することができるため、結果として、第2噴出孔111の無い領域にミストが付着しても、シャワープレートの開口面積が減少し、気化効率が悪くなるのが極力抑えられる。よって、加速度的に堆積量が増化し、開口面積が減少しないため、圧力上昇の発生を抑えることができる。
【0117】
本実施の形態によれば、第2流体供給部は、第2噴出孔111を迂回する流路により第2キャリアガス105を気化室65内に供給することができるため、第2噴出孔111の目詰まりが発生しても、
図5に示す圧力センサ114の検出値の変動が少なくて済むため、気化器56を連続して使用する回数を多くすることができる。よって、本実施の形態によれば、気化器56の気化性能を維持しながら装置信頼性が向上する。
【0118】
図12は、従来の気化器の第2キャリアガス(Hot−N2ガス)の供給圧力と本発明の気化器の第2キャリアガス(Hot−N2ガス)105の供給圧力とを比較したグラフである。従来の気化器(以後、従来品と称する)は、第2噴出孔111からのみ気化室65内に加熱された不活性ガス(Hot−N2ガス)105を供給する構成であり、本発明の気化器(以後、発明品と称する)は、第2噴出孔111からだけでなく、ガス導入部のキャリアガス導入溝107、シャワープレート109の第2噴出孔111より外周側に設けられた流路を形成する孔110、シャワープレートスペーサの切
欠部112を介して気化室65内にシャワープレート109表面に供給されるように構成されている。
【0119】
気化器56の検査は、従来品、発明品共に、原料(Source)ガス流量は、2.0〜4.0g/minで、2分間(2.0min)の原料供給(Vapor FLOW)と1分間(1.0min)のパージガス供給(N2パージ)を1サイクルとして、24〜47サイクル実施する。ここで、
図12に示す検査条件(Test Condition)は、原料(Zr source)ガスは、TEMAZガスであり、原料ガス流量は、3.0g/minで、47サイクルのものである。
【0120】
図12に示すように、従来品は、使用する回数(Cycle)が増えるにつれてガス供給圧力が増加しているのに対して、発明品は、使用する回数が増えても圧力変動がほとんどない。要するに、従来品は、使用する回数(Cycle)が多くなるにつれて第2噴出孔111の開口部の目詰まりが発生しているため、気化器56の性能を維持するために(混合流体を気化するために)第2キャリアガスの供給量を維持するため、ガス供給圧力が増加していることが分かる。一方、発明品は、使用する回数が増えても圧力変動がほとんどない。つまり、発明品では、第2噴出孔111の目詰まりが発生していないことが分かる。仮に、目詰まりが発生していても第2噴出孔111を迂回する流路で第2キャリアガス105を供給することができるので、第2噴出孔111に付着したミストを気化することができる。
【0121】
上述の様に、本実施の形態によれば、以下(a)乃至(j)のいずれか一つの効果を奏する。
【0122】
(a)本実施の形態によれば、気化器が、断熱膨張により気化できなかった液体原料に関しても、霧状の液滴となっているので、気化室内で気化される迄の時間が短くなり、該気化室内での液体原料が反応を起こすこと、或は副生成物が形成されることにより生じ、気化室内に残留する残渣を軽減することができる。
【0123】
(b)本実施の形態によれば、第1流体供給部の噴霧流路内の液体原料の圧力が、気化室内の圧力よりも高ければよいので、該気化室内を減圧した減圧場(高真空場)に於いても液体原料を容易に微粒化させ、気化させることができる。
【0124】
(c)本実施の形態によれば、第1流体供給部の噴霧流路内の増圧、気化室内の減圧が可能であるので、広い圧力範囲で液体原料を気化室内に噴霧することが可能となり、該気化室内に残留する残渣を軽減することができる。
【0125】
(d)本実施の形態によれば、気化器が、気化室内に混合流体を供給する第1流体供給部と対向する位置に、加熱された不活性ガスを供給する位置に第2流体供給部を設けることにより、気化室内に噴霧された液体原料と第1キャリアガスが混合された混合流体に加熱された不活性ガスを供給するように構成されているので、気化効率が格段に向上すると共に、気化室内に残留する残渣が格段に低減する。
【0126】
(e)本実施の形態によれば、気化器が、第2流体供給部に構成された第2噴射孔の開口面積と気化管下部の断面積を近似させ、かつその下部から気化管の連通口近傍までテーパ加工を施し、複数の連通口でガス流路を確保させている構成をしているので、気化管の壁面からの熱伝達効率が向上し、ガスの流れの淀み領域が格段に減少する。
【0127】
(f) 本実施の形態によれば、第2流体供給部が、第2流体供給部に設けられた第2噴出孔を有するプレート部材を介して気化室内に加熱された不活性ガスを噴霧すると共にこのプレート部材の表面を水平に加熱された不活性ガスを供給する構成であるので、気化効率が格段に向上するだけでなく、プレートの噴出孔の目詰まりが抑えられる。
【0128】
(g) 本実施の形態によれば、第1流体供給部から供給される混合流体の流量と、第2流体供給部から供給される加熱された不活性ガスの流量を比較すると、第2流体供給部から供給される不活性ガスの流量を多く設定するよう構成されているので、気化効率が向上するだけでなく、プレートの噴出孔の目詰まりが抑えられる。特に、第1流体供給部から供給されるガス流量と第2流体供給部から供給されるガス流量の流量比が1:7以下にするように構成されると気化効率が向上するだけでなく、プレートの噴出孔の目詰まりが抑えられる。
【0129】
(h)本実施の形態によれば、第2流体供給部は、プレート部
材の表面に設けられた噴出孔を迂回して加熱された不活性ガスをプレート部
材表面に水平に供給する構成であるので、プレート部
材に付着する混合流体を気化することによる気化効率が向上する。例えば、プレート部
材の噴出孔の無い領域に混合流体が付着しても、プレート部
材の表面に加熱された不活性ガスを供給して目詰まりが発生する前に気化することができる。
【0130】
(i)本実施の形態によれば、第2流体供給部は、ガス導入部
材とプレート部
材とリング部
材が積層された構成であるので、噴出孔を迂回して加熱された不活性ガスをプレートの表面に供給することができる。よって、噴出孔の目詰まりによる圧力上昇を抑制でき、気化器の性能を長期に亘り維持できる。
【0131】
(j)本実施の形態によれば、第2流体供給部に導入された不活性ガスは、ガス導入部
材のキャリアガス導入溝、プレート部
材の噴出孔より外側に設けられた流路を形成する孔、リング部
材の切欠き部を介して気化器内にプレート部
材表面を水平方向に供給されるように構成されているので、第1流体供給部から供給された混合流体がプレート部
材の孔が無い領域に付着しても、不活性ガスによる気化が可能であり、気化効率が向上する。また、プレート部
材の孔が無い領域に付着した混合流体により、プレート部
材の噴出孔が目詰まり開口面積が少なくなるのを抑えることができる。よって、噴出孔の目詰まりによる圧カ上昇を抑制でき、気化器の性能を長期に亘り維持できる。
【0132】
(第2の実施形態)第1の実施形態のノズル96及び噴射口101の形状では、
図13Aに示すように噴射口101の断面積を小さくすることで少量の不活性ガスで高速噴射が可能となる。
【0133】
ところが、この構成では、ノズル96先端部で生成されるミストが鉛直方向だけでなくあらゆる方向へ飛散するため、ノズル96先端及びノズル96本体及び噴射口101周囲に付着し残渣となる。
図13Bに示すように、長期運用後、噴霧時間の累積に比例し、残渣は、ほぼノズルホルダ95全領域及び上記箇所及びその周辺に多量に堆積した残渣により噴射口101の閉塞、またアトマイジング不良を引き起こし、気化器56の気化性能低下の要因となっていた。尚、このときの第1キャリアガスの供給圧力の圧力上昇値は、6KPaから7KPaであった。
【0134】
先ず、第2の実施形態におけるノズルホルダ95の構成を変更した。具体的には、
図14に示すように、ノズル96の周囲にパージ孔としての複数のパージ用の孔121を設けるよう構成し、パージガス(例えば、不活性ガス)をノズル96の周囲に供給できるようにした。これらはノズルプレートカバー122(以後、単にカバーということがある)との組み合わせにより、後述するミスト付着除去効果をもたらす。
【0135】
また、
図15は、保護部材としてのカバー122の構成を示す正面図である。この正面図は、カバー122を説明するため、ノズル96及びノズルホルダ95に取り付けた場合の、該ノズル96と複数のパージ孔121付近の構成を示す図である。
図15に示すように、ノズル96とカバー122との間で形成される環状口としての円筒状開口123の径は300μmであり、一方、噴射口101の径は75μmである。また、このカバー122は、ノズル96先端部で発生するミストのノズルホルダ95に流入する領域がノズル断面積分を除く300μmの環状口123に制限されるよう構成されている。この環状口123はミストの付着状況により小さくする事も可能であるが、気化性能の制約上噴射口101の開口(この場合、75μm)以上に構成される。更に、この環状口123からパージガスを気化室65内に供給される構成のため、ノズル96先端部及びノズル96円筒部に、ミスト付着が発生せず、後述するミスト付着除去効果が向上する。よって、噴射口101の閉塞が発生しない。
【0136】
図16は、ノズルホルダ95にノズルプレートカバー122を設けた第2の実施形態における第1流体供給部の構成を示す断面図である。本構成は、ノズル96と、このノズル96周囲に複数の孔121を設けるよう構成されているノズルホルダ95と、このノズルホルダ95を覆うよう取り付けられるカバー122とを少なくとも含む構成である。尚、
図16に示す点線は第1キャリアガスの流路を模式的に示したものである。
【0137】
これにより、噴射口101に供給される不活性ガスが、そのまま環状口123を介して気化室65に供給されることにより、第1実施形態と同様に液体原料63のミスト化を行う。複数の孔121から供給される不活性ガスがカバー122内に構成されるパージ空間(以後、プレートカバー内空間ともいう)としての空間124を通過した後、液体原料63のミスト化を行う不活性ガスと同様に環状口123から気化室65内に流れるよう構成される。このような構成により、噴射口101から供給される不活性ガスと複数の孔121から供給される不活性ガスによる2つの異なるガス流が、この環状口123と空間124の境界付近で合流し、環状口123の付近に存在することが可能になる。
【0138】
次に、
図16に示される第2実施形態における第1流体供給部の要部における第1キャリアガス88としての不活性ガスの流れについて説明する。先ず、不活性ガスがキャリアガス室98に充填される。そして、加圧された不活性ガスが、噴射口101及びパージ孔121を通過する。
【0139】
そして、
図16内の点線で示されているように、噴射口101より噴き出した不活性ガスは、パージ空間124、環状口123を通過し、ノズル96先端へ到達しノズル96先端部の液体原料63をアトマイジングし、ミスト化する。この際、噴射口101から噴き出した不活性ガスは、その速度低下を妨げられることなく(高速のまま)、液体原料63のミスト化に寄与するように構成されている。
【0140】
一方、
図16内の点線で示されているように、パージ孔121を通過した不活性ガスは、パージ空間124を介してカバー122に衝突する。これにより、速度を落とした状態で不活性ガスの向きがノズル96方向へ変更され、パージ空間124でその周囲に沿ったガス流となり環状口123近傍で噴射口101から噴き出した不活性ガスと合流され気化室65に供給される。このガス流は噴射口101及びその円周部直下でミスト付着保護層を形成させかつ環状口123より流入されるミストを環状口123より排出するミスト付着除去相乗効果を生み出す事ができる。
【0141】
このように、本実施形態(第2実施形態)における第1流体供給部(A)によれば、第1実施形態における噴射口101に加え、パージ孔121からも不活性ガスを供給することにより、ノズル96先端部でアトマイジングされたミストは、カバー122の環状口123周囲及びカバー122のテーパ面及びノズル96先端部に付着するが、噴射口101周囲及びノズル円筒部には、微量の付着に留めることができる。従い、第1実施形態に比べ、噴射口101の閉塞及びノズル円筒部への付着の抑制効果は大きく改善されている。
【0142】
(第2の実施形態における検証結果)
図17に第1流体供給部(A)の構成を第1実施形態から第2実施形態に変更して気化器56の気化性能を検証した結果を示す。
【0143】
図17の左欄(気化器Aと記載)は、ノズル96の噴射口101のみの構成で第1流体供給部(特にノズル96周囲)の残渣における効果を示す。
図17の右欄(気化器Bと記載)は、気化器Aのノズルホルダ95に、更に、ノズルプレートカバー122を設けた構成に変更したときの第1流体供給部(特に、ノズル96周囲)の残渣における効果を示す。
【0144】
気化器56の検査は、気化器A、気化器B共に、原料(Source)ガス流量は、3.0g/minで、2分間(2.0min)の原料供給(Vapor FLOW)と1分間(1.0min)のパージガス供給(N2パージ) 1分間(1.0min)のガス排気(VACUUM)を1サイクルとして、気化器Aは375サイクル、気化器Bは、320サイクル行った。そして、圧力センサによる第1キャリアガスの供給圧力の圧力上昇値の閾値を1KPa以下と設定した結果、気化器Aは、圧力が6KPa上昇したが、気化器Bは、圧力が600Pa(1KPa未満)しか上昇していない。
【0145】
気化器Aであっても、残渣量は低減されているものの長期運用を考慮すると、ノズルホルダ95及びノズル96先端部に残渣量が多くなっており、圧力上昇が設定値(1KPa)と比較して大きくなっている。一方、気化器Bは、320回繰返した後であっても、残渣量も微量となっており、圧力上昇が1KPa未満に抑えられている。従い、実用化を考慮すると、気化器Bは、圧力上昇が小さく長期運用に適用可能である。
【0146】
更に、気化器Bは、ノズルホルダ95及びノズル96先端部に極僅かな量の残渣は見受けられるが、ノズル96の円筒部に残渣が付着していない。つまり、噴射口101が全く閉塞していないことを示している。また、
図17によれば、カバー122の周囲に微量の残渣が付着している程度であり、第1流体供給部(A)の性能が保持されていることを示している。
【0147】
上述のように、第2の実施形態における第1流体供給部(A)の構成をパージ用の複数の孔121を設けることにより、残渣量を低減でき、更に、カバー122を設けることにより、気化器56の長期運用後でも性能維持が確保されており、気化性能の信頼性向上が図れる。
【0148】
尚、第2の実施形態において、第2流体供給部(B)の構成は同じであるため、詳細説明は省略する。また、第2の実施形態において、第2流体供給部の構成は同じであるため、第1の実施形態における効果を包含する。但し、この第2流体供給部(B)の構成は本形態に限定されない。
【0149】
上述の様に、本実施の形態(第2の実施形態)によれば、第1の実施形態における効果のうち、少なくとも一つ以上の効果を含むのに加え、更に、以下(k)乃至(n)のいずれか一つの効果を奏する。
【0150】
(k)本実施の形態によれば、ノズルホルダに噴射口以外に複数のパージ用の孔を設けることにより、ノズル及びノズルの円筒部のミスト付着を抑制させ、噴射口周囲の残渣量を低減できる。
【0151】
(l)本実施の形態によれば、ノズルホルダを、ノズルプレートカバーで覆うように設けることにより、ミストがノズルホルダに流入する領域が、ノズル断面積分を除く300μmの開口に制限される。これにより、ノズル及びノズルの円筒部のミスト付着を抑制させ、噴射口周囲の残渣量を低減できる。
【0152】
(m)本実施の形態によれば、流路の異なるガス流が、ノズルとノズルプレートカバーの開口付近に常時存在することにより、アトマイジング性能低下の要因である、ノズル及びノズルの円筒部のミスト付着を抑制させ、噴射口周囲の残渣量を低減することができる。
【0153】
(n)本実施の形態によれば、ノズルホルダに噴射口以外に複数のパージ用の孔を設け、更に、このノズルホルダをノズルプレートカバーで覆うように設けることにより、アトマイジング性能低下の要因である、ノズル及びノズルの円筒部のミスト付着を抑制させ、噴射口周囲の残渣量を低減し、アトマイジング性能の長寿命化が可能な気化システムを提供することができる。
【0154】
尚、本発明の実施例に於いては、前記液体原料63としてTEMAZを用いているが、テトラキスジエチルアミノジルコニウム(TDEAZ、Zr[N(C2H5)2]4)、テトラキスジメチルアミノジルコニウム(TDMAZ、Zr[N(CH3)2]4)等の他のZr原料を用いてZrO膜を形成してもよい。
【0155】
又、本発明の実施例に係る基板処理装置は、蒸気圧が低い原料を用いる膜種であれば、ZrO以外の膜種にも適用可能である。例えば、Niアミジネート(Ni−amidinate)をガス種としてウェーハ6上にニッケル膜(Ni膜)を形成する処理、Coアミジネート(Co−amidinate)をガス種としてウェーハ6上にコバルト膜(Co膜)を形成する処理にも本実施例に係る基板処理装置を適用することができる。
【0156】
<本発明の好ましい態様>以下、本発明の好ましい態様について付記する。
【0157】
(付記1)本発明の一態様によれば、一端部109と他端部95とを有する気化室65と、前記他端部95で気化室65に接続され、前記一端部109に向けて第1キャリアガス88と液体原料63が混合された混合流体とを供給する第1流体供給部(A)と、前記一端部の前記混合流体に向けて前記一端部109の周縁側から中心側へ第2キャリアガス105を供給する第2流体供給部(B)と、を備える気化システム56が提供される。
【0158】
(付記2)好ましくは、付記1の気化システムであって、前記第2流体供給部(B)には、前記一端部109の周縁部に前記第2キャリアガス105が流れる流路を構成する孔110が形成されるよう構成される。
【0159】
(付記3) 好ましくは、付記2の気化システムであって、前記第2流体供給部(B)には、前記孔110の下流側に前記孔110から供給された前記第2キャリアガス105の流れの向きを前記一端部109の中心側へ変更するガイド部74が構成される。
【0160】
(付記4)好ましくは、付記3の気化システムであって、前記第2流体供給部(B)は、前記ガイド部74と前記孔110の間に隙間が設けられるよう構成される。
【0161】
(付記5)好ましくは、付記4の気化システムであって、前記隙間は、前記気化室65と前記孔110とを連通させる複数の切欠き部112が設けられるように前記一端部109の周縁側の部位が構成される。
【0162】
(付記6)好ましくは、付記2の気化システムであって、前記第2流体供給部(B)には、前記孔110の上流側に該孔110に接続される空間と、該空間へ前記第2キャリアガス105を導入するガス導入部108が構成される。
【0163】
(付記7)好ましくは、付記6の気化システムであって、前記空間には、前記孔110と前記ガス導入部108を連通させる複数の溝部107が設けられるように前記一端部109の周縁側の部位が構成される。
【0164】
(付記8)好ましくは、付記1の気化システムであって、前記第2流体供給部(B)は、前記一端部109の中心部に前記第2キャリアガス105を噴出する噴出孔111が形成されるよう構成される。
【0165】
(付記9)好ましくは、付記8の気化システムであって、前記第2流体供給部(B)は、前記一端部109の前記噴出孔111から前記一端部109の中心側の混合流体へ向けて前記第2キャリアガス105を供給するよう構成される。
【0166】
(付記10)好ましくは、付記1乃至付記3、付記6、付記8または付記9のうちいずれか一つの気化システムであって、前記第2キャリアガス105は、加熱された不活性ガスである。
【0167】
(付記11)好ましくは、付記1の気化システムであって、前記気化管66のガイド部74の開口断面積と前記一端部109の中心部に形成される噴出孔111の面積は略同じに構成される。
【0168】
(付記12)好ましくは、付記1の気化システムであって、前記気化管66の側壁は、前記混合流体が前記第2キャリアガス105により気化されたガスを前記気化室65から排出するための排出孔70が設けられるよう構成される。
【0169】
(付記13)好ましくは、付記12の気化システムであって、前記排出孔70は、前記気化管66の側壁に周方向に均等で複数設けられるよう構成される。
【0170】
(付記14)好ましくは、付記12または付記13の気化システムであって、前記気化室65は、前記気化管66内に前記気化されたガスの流路が形成され、前記気化されたガスが前記排出孔70に流れるよう構成される。
【0171】
(付記15)本発明の他の態様によれば、基板を収容する処理室と、基板に反応ガスを供給する反応ガス供給系と、液体原料を気化器により気化させた気化ガスを原料ガスとして前記処理室に供給する原料ガス供給系と、を少なくとも具備し、前記気化器は、一端部と他端部とを有する気化室と、前記他端部で気化室に接続され、前記一端部に向けて第1キャリアガスと液体原料が混合された混合流体とを供給する第1流体供給部と、前記一端部の前記混合流体に向けて前記一端部の周縁側から中心側へ第2キャリアガスを供給する第2流体供給部と、構成されている基板処理装置が提供される。
【0172】
(付記16)本発明の更に他の態様によれば、一端部と他端部とを有する気化室と、前記他端部で気化室に接続され、前記一端部に向けて第1キャリアガスと液体原料が混合された混合流体とを供給する第1流体供給部と、前記一端部の前記混合流体に向けて前記一端部の周縁側から中心側へ第2キャリアガスを供給する第2流体供給部と、を備える気化器により、前記液体原料を気化させた気化ガスを原料ガスとして基板が収容された処理室に供給する工程と、該処理室から原料ガスを除去する工程と、原料ガスが除去された前記処理室に反応ガスを供給する工程と、前記処理室から反応ガスを除去する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0173】
(付記17)本発明の更に他の態様によれば、一端部と他端部とを有する気化室で前記他端部から前記一端部に向けて第1キャリアガスと液体原料が混合された混合流体を供給し、前記一端部の前記混合流体に向けて前記一端部の周縁側から中心側へ第2キャリアガスを供給し、前記混合流体を気化する工程と、前記気化ガスを原料ガスとして基板が収容された処理室に供給する工程と、該処理室から原料ガスを除去する工程と、原料ガスが除去された前記処理室に反応ガスを供給する工程と、前記処理室から反応ガスを除去する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0174】
(付記18)本発明の更に他の態様によれば、一端部と他端部とを有する気化室で前記他端部から前記一端部に向けて第1キャリアガスと液体原料が混合された混合流体を供給し、前記一端部の前記混合流体に向けて前記一端部の周縁側から中心側へ第2キャリアガスを供給し、前記混合流体を気化する方法が提供される。
【0175】
(付記19)本発明の更に他の態様によれば、コンピュータに、一端部と他端部とを有する気化室と、前記他端部で気化室に接続され、前記一端部に向けて第1キャリアガスと液体原料が混合された混合流体とを供給する第1流体供給部と、前記一端部の前記混合流体に向けて前記一端部の周縁側から中心側へ第2キャリアガスを供給する第2流体供給部と、を備える気化器により液体原料を気化させた気化ガスを原料ガスとして基板が収容された処理室に供給する手順と、該処理室から原料ガスを除去する手順と、原料ガスが除去された前記処理室に反応ガスを供給する手順と、前記処理室から反応ガスを除去する手順とを実行させるプログラム、及び該プログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体が提供される。
【0176】
(付記20) 本発明の更に他の態様によれば、気化部(気化室65、気化管66内)に第1キャリアガス(不活性ガス) 88と液体原料63が混合された混合流体を供給する第1流体供給部(A)に対向する位置に設けられ、前記混合流体に向けて前記気化部(気化室65、気化管66内)の
シャワープレート(B.UPプレート)109の表面から第2キャリアガス(不活性ガス)105を供給する第2流体供給部(B)が、前記気化部(気化室65、気化管66内)の
シャワープレート(B.UPプレート)109に到達した前記混合流体に向けて、前記
シャワープレート109の周縁側から中心側へ(前記
プレート部材109の表面に平行に、若しくは水平方向に)前記第2キャリアガス105を供給するよう構成されている気化システム(気化器56) が提供される。
【0177】
(付記21) 好ましくは、付記20の気化システムにおいて、 前記第2流体供給部(B)は、前記底面部109の周縁部にガス流路を形成する前記孔(開口穴)110が構成されている。
【0178】
(付記22) 好ましくは、付記21の気化システムにおいて、 前記気化部は、前記孔(開口穴)110の上側にガスの流れの向きを変更するガイド部74が構成されている。
【0179】
(付記23) 好ましくは、付記22の気化システムにおいて、 前記第2流体供給部(B)は、前記ガイド部74と前記孔(開口穴)110の間に隙間が設けられ、前記孔(開口穴)110は、第2噴出孔(吹き出し穴)111よりも外側(外周側)であって、底面部(B.UPプレート)109の周方向に均等、多数設けられる。
【0180】
(付記24) 好ましくは、付記23の気化システムにおいて、 前記第2流体供給部(B)は、前記隙間には拡大部(切欠き部)112が設けられる。
【0181】
(付記25) 好ましくは、付記20または付記24の気化システムにおいて、 前記第2流体供給部(B)は、前記気化部の底面部109上を外周側から中心側に向かう方向に加え、底面部109の第2噴出孔(吹き出し穴)111から上方へ向けて第2キャリアガス105を供給するよう構成されている。
【0182】
(付記26) 好ましくは、付記25の気化システムにおいて、 前記第2流体供給部(B)は、前記気化部の底面部109上を外周側から中心側へ(水平方向に)供給されるガスの流量は、底面部109の第2噴出孔(吹き出し穴)111から上方へ向けて供給されるガスの流量より少なくなるよう構成される。
【0183】
(付記27) 好ましくは、付記28の気化システムにおいて、 前記第2流体供給部は、底面部109の第2噴出孔(吹き出し穴)111から上方へ向けて供給されるガスの流量は、気化部の上側から供給される混合流体(ミスト)の流量の7倍以上になるよう構成される。
【0184】
(付記28) 本発明の他の態様によれば、 基板を収容する処理室と、基板に反応ガスを供給する反応ガス供給系と、液体原料を気化器により気化させた気化ガスを原料ガスとして前記処理室に供給する原料ガス供給系と、前記反応ガス供給系と前記原料ガス供給系とを少なくとも制御する制御部とを具備し、前記気化器は、内部に第1キャリアガスと液体原料ガスの混合ガスを供給する第1流体供給部と、該第1流体供給部に対向する位置に設けられ、前記混合流体に向かって前記気化管の底面部の表面から(垂直方向に)第2キャリアガスを供給する第2流体供給部とを有し、前記第2流体供給部が、前記気化管の底面部に到達した前記混合流体に向かって前記底面部の周縁側から中心側へ(水平方向に)前記第2キャリアガスを供給するよう構成されている基板処理装置が提供される。
【0185】
(付記29) 本発明の更に他の態様によれば、液体原料を気化器により気化させた気化ガスを原料ガスとして基板が収容された処理室に供給する工程と、該処理室から原料ガスを除去する工程と、原料ガスが除去された前記処理室に反応ガスを供給する工程と、前記処理室から反応ガスを除去する工程とを有し、前記処理室に原料ガスを供給する工程は、前記気化器内に第1キャリアガスと液体原料の混合流体を供給し、前記混合ガスに向かって前記気化管の底面部の表面から(垂直方向に)第2キャリアガスを供給すると共に前記気化管の底面部に到達した前記混合流体に向かって前記底面部の周縁側から中心側へ(水平方向に)前記第2キャリアガスを供給する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0186】
(付記30) 本発明の更に他の態様によれば、コンピュータに液体原料を気化器により気化させた気化ガスを原料ガスとして基板が収容された処理室に供給する手順と、該処理室から原料ガスを除去する手順と、原料ガスが除去された前記処理室に反応ガスを供給する手順と、前記処理室から反応ガスを除去する手順とを実行させるプログラム、及び該プログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体であって、前記処理室に原料ガスを供給する手順は、前記気化器内に第1キャリアガスと液体原料が混合された混合流体を供給し、前記混合流体に向かって前記気化管の底面部の表面から(垂直方向に)第2キャリアガスを供給すると共に前記気化管の底面部に到達した前記混合ガスに向かって水平方向に前記第2キャリアガスを供給する手順とを少なくとも有するプログラム、及び該プログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体が提供される。
【0187】
この出願は、2015年7月16日に出願された国際出願PCT/JP2015/070396を基礎として優先権の利益を主張するものであり、その開示の全てを引用によってここに取り込む。