【実施例】
【0072】
以下の非限定的な実施例は、本発明の種々の実施形態を例示するのに用いられるものとする。実施例のそれぞれにおいて、担体は、菫青石である。
【0073】
実施例1
比較
1g/in
3(61g/L)のウォッシュコート充填を伴うハニカムフロースルー基板上の三元変換(TWC)触媒を調製した。フロースルー基板は、4.66*5”のサイズ、300/12cpsi、1.4L容積、30g/ft
3白金族金属(PGM)、および0/27/3のPt/Pd/RhのPGM比率を有した。
【0074】
実施例2
基板壁内に三元変換(TWC)触媒を有する低多孔度の粒子フィルターを、1g/in
3(61g/L)、2g/in
3(122g/L(2g/in
3)、および3g/in
3(183g/L)のウォッシュコート充填で調製した。フィルター基板は、4.66*5”のサイズ、300/12cpsi、1.4L容積、30g/ft
3白金族金属(PGM)、および0/27/3のPt/Pd/RhのPGM比率を有した。フィルター基板は、45%の多孔度および13μmの平均細孔径を有した。
【0075】
実施例3
基板壁内に三元変換(TWC)触媒を有する高多孔度の粒子フィルターを、1g/in
3(61g/L)、2g/in
3(122g/L)、および3g/in
3(183g/L)のウォッシュコート充填で調製した。フィルター基板は、4.66*5”のサイズ、300/12cpsi、1.4L容積、30g/ft
3白金族金属(PGM)、および0/27/3のPt/Pd/RhのPGM比率を有した。フィルター基板は、65%の多孔度および20μmの平均細孔径を有した。
【0076】
実施例4
それぞれ1g/in
3(61g/L)を有する実施例1、2、および3の複合体を、2%O
2、10%H
2O、および残りの割合のN
2で900℃の熱水オーブンエージング下で4時間エージングした。New European Drive Cycle(NEDC)条件と、密結合位置にあるガソリン直噴エンジンの下流に位置する複合体を伴う1.6Lエンジン下で、PMPプロトコルを使用して微粒子数を測定した(表1)。非メタン炭化水素(NMHC)、全炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、およびNOxの排出もまた測定した(表1)。
【0077】
【表1】
【0078】
実施例2および3の被覆フィルターに対するTWC触媒効率は、比較実施例1と比較して有意に低い。しかしながら、実施例1の比較フロースルー基板は、濾過効率を示さない。1g/in
3(61g/L)のウォッシュコート充填での実施例2の低多孔度フィルターは、Euro6基準を満たした。実施例2および3の背圧を、NEDCのEUDCセグメント中に評価した。実施例2に対する背圧は、実施例3と比較して有意に高かった。
【0079】
実施例5
様々なウォッシュコート充填での実施例
3の複合体を、1000℃の発熱エージング下で80時間エージングした。New European Drive Cycle(NEDC)条件と、密結合位置にあるガソリン直噴エンジンの下流に位置する複合体を伴う1.6Lエンジン下で、PMPプロトコルを使用して微粒子数を測定した(表2a)。微粒子量、全炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、およびNOxの排出もまた測定した(表2a)。
【0080】
【表2a】
【0081】
ウォッシュコート充填を増加させることにより、高多孔度フィルターは、Euro6微粒子数規制より十分低くなった。フィルターの全ての微粒子排出は、Euro6基準を容易に満たした。より多いウォッシュコート充填は、排出、特に、NOxを減少させた。2g/in
3充填での高多孔度フィルターの実施例3に対する背圧は、実施例2で提供されたような低多孔度の非被覆フィルターと同様であった。
【0082】
実施例3の高多孔度フィルターの充填の多孔度の4.66×4.5”のフィルター基板もまた、1000℃の発熱エージング下で80時間エージングし、それらの酸素吸蔵容量を試験した。表2bは、501℃/26.1kg/hでの前部/後部センサー遅延時間過濃/希薄に基づいて計算された、データの要約を提供する。
【0083】
【表2b】
【0084】
ウォッシュコート充填の増加は、酸素吸蔵容量もまた増加させる。
【0085】
実施例6
1g/in
3(122g/L)および3g/in
3(183g/L)を有する被覆フィルターを、60g/ft
3貴金属を有するフロースルー基板上の密結合のTWC触媒と組み合わせた。これらを、フロースルー基板(CC)上に密結合のTWC触媒のみを有するか、またはアンダーフロア(UF)TWCと組み合わせてフロースルー基板上に密結合のTWC触媒を有する、比較システムとともに、CO
2排出に対して試験した。アンダーフロア位置にあるガソリン直噴エンジンの下流に位置する複合体を伴う2.0Lエンジンに関する個々のNEDC評価結果を、表3に提供する。
【0086】
【表3】
【0087】
TWC触媒のみのシステムと比較して、被覆微粒子フィルターと組み合わせた密結合のTWC触媒に対する同様のレベルのCO
2排出は、NEDCテスト条件下で燃料に不利な条件を示さなかった。
【0088】
実施例7
実施例3の2g/in
3(122g/L)充填を添加して、実施例6のシステムを、次いで、1000℃の発熱エージング下で80時間エージングした。New European Drive Cycle(NEDC)条件と、アンダーフロア位置にあるガソリン直噴エンジンの下流に位置する複合体を伴う2.0Lエンジン下で、全炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、およびNOxを測定した(表4)。
【0089】
【表4】
【0090】
アンダーフロー(UF)TWCまたは被覆微粒子フィルターの添加は、システムがEuro6排出基準を満たすことを可能にした。
【0091】
実施例8
密結合位置にある60g/ft
3白金族金属TWC触媒および3g/in
3被覆微粒子フィルターのシステムを、1000℃発熱エージング下で80時間エージングし、2.0Lエンジンを使用して、繰り返しNEDCテスト下で試験した。表5は、3回の試験後の被覆フィルターに対する微粒子数を示す。次いで、この被覆フィルターを、約130km/hの最大速度を有し、700℃に到達する、15分の模擬ハイウェイ走行、多重加速、および燃料削減の再生活性にさらした。次いで、NEDCテストを、さらに4回繰り返した。
【0092】
【表5】
【0093】
表5は、微粒子フィルターの濾過効率が経時的に向上したことを示す。加えて、被覆フィルターを予想ハイウェイ走行条件下で再生できることが示されている。再生事象後、HC、CO、またはNOx変換に影響を及ぼさないことを示す排出データもまた得られた。
【0094】
実施例9
実施例3の様々な充填の被覆微粒子フィルターを、アンダーフロア位置にあるガソリン直噴エンジンの下流に位置する複合体を伴う2.0Lエンジンを使用して、繰り返しNEDCテスト下で試験した。表6は、被覆フィルターに対する微粒子数を示す。
【0095】
【表6】
【0096】
ウォッシュコート充填が増加すると、アンダーフロア位置にある高多孔度フィルターの濾過効率は向上した。
【0097】
実施例10
基板壁上または基板壁内に三元変換(TWC)触媒を有する触媒粒子フィルターを、様々なゾーン区分構成の2g/in
3(122g/L)のウォッシュコート充填で調製した。非被覆フィルター基板は、20μmの平均細孔径を有し、4.66*5”のサイズ、300/12cpsi、1.4L容積を有した。ウォッシュコートは、60g/ft
3白金族金属(PGM)および0/57/3のPt/Pd/RhのPGM比率を含有した。表7は、実施例10A、10B、および10Cのウォッシュコートと、非被覆フィルターと比較した、結果として生じるフィルターとの要約を提供する。多孔度に関して、前部、中央部、および後部を含むフィルターのセクションを試験した。中央部は、基板全体のごく一部であった。フィルターの多孔度は、通常、前部および後部の多孔度測定の平均から得られる。非対称粒径分布を有した、実施例10Cで列挙したd50およびd90粒径に関して、それらは、2つの単峰性分布の和に相当する。
【0098】
【表7】
【0099】
実施例11
実施例10の触媒フィルターを、1000℃の発熱エージング下で80時間エージングした。New European Drive Cycle(NEDC)条件と、密結合位置にあるガソリン直噴エンジンの下流に位置する複合体を伴う1.6Lエンジン下で、PMPプロトコルを使用して微粒子数を測定した(表8)。微粒子量、全炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、およびNOxの排出もまた測定した(表8)。多孔度の背圧への影響を
図5に提供する。
【0100】
【表8】
【0101】
表8のデータは、2つの平均粒径を有し、入口で100%被覆され、出口で100%被覆されるウォッシュコートを有する実施例10Cのより高い多孔度の触媒フィルターが、実施例10Aと比較して、一定の全充填で、より低いNOx、CO、およびHC変換を提供することを示す。実施例10Cのウォッシュコートで濾過効率もまた向上する。
【0102】
実施例12
基板壁上または基板壁内に三元変換(TWC)触媒を有する触媒粒子フィルターを、様々なゾーン区分構成の2g/in
3(122g/L)のウォッシュコート充填で調製した。非被覆フィルター基板は、20μmの平均細孔径を有し、4.66*5”のサイズ、300/12cpsi、1.4L容積を有した。ウォッシュコートは、60g/ft
3白金族金属(PGM)、および0/57/3のPt/Pd/RhのPGM比率を含有した。表9は、実施例12A、12B、12C、および12Dのウォッシュコートと、結果として生じるフィルターとの要約を提供する。非被覆フィルターは、表7に示したものである。多孔度に関して、前部、中央部、および後部を含むフィルターのセクションを試験した。中央部は、基板全体のごく一部であった。フィルターの多孔度は、通常、前部および後部の多孔度測定の平均から得られる。非対称粒径分布を有する、実施例12A、12B、12C、および12Dで列挙したd50およびd90粒径に関して、それらは、2つの単峰性分布の和に相当する。
【0103】
【表9】
【0104】
実施例13
実施例12の触媒フィルターを、1000℃の発熱エージング下で80時間エージングする。New European Drive Cycle(NEDC)条件と、密結合位置にあるガソリン直噴エンジンの下流に位置する複合体を伴う1.6Lエンジン下で、PMPプロトコルを使用して微粒子数を測定する。微粒子量、全炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、およびNOxの排出もまた測定する。
【0105】
実施例14
触媒材料を有する粒子フィルターを、第1の入口コートおよび第2の入口コートの2つのコートを使用して調製する。三元変換(TWC)触媒複合材料は、上流ゾーンが下流ゾーンよりも多くのパラジウムを有するように、パラジウムを含有する。コートを以下の通りに調製する。
【0106】
第1の入口コート
第1の入口コートに存在する成分は、45重量%のセリアおよびパラジウムを有するセリア−ジルコニア複合材料である。第1の入口コートは、フィルターの全長に沿って提供される。被覆後、フィルターおよび第1の入口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で1時間焼成する。
【0107】
第2の入口コート
第2の入口コートは、上流ゾーンを形成するように、上流端から開始してフィルターの長さに沿って、浸漬として、またはウォッシュコートスラリーとして適用される、パラジウムを含む。適用後、フィルターおよび第1の入口コートおよび第2の入口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で1時間焼成する。
【0108】
実施例15
触媒材料を有する粒子フィルターを、入口コートおよび出口コートの2つのコートを使用して調製する。三元変換(TWC)触媒複合材料は、パラジウムおよびロジウムを含有する。コートを以下の通りに調製する。
【0109】
入口コート
第1の入口コートに存在する成分は、パラジウムであり、このコートはセリアを含まない。被覆後、フィルタープラス入口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で1時間焼成する。
【0110】
出口コート
出口コートは、ロジウムと、45重量%のセリアを有するセリア−ジルコニア複合材料とを含む。適用後、フィルターおよび入口コートと出口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で1時間焼成する。
【0111】
実施例16
触媒材料を有する粒子フィルターを、入口コートおよび出口コートの2つのコートを使用して調製する。三元変換(TWC)触媒複合材料は、白金およびロジウムを含有する。コートを以下の通りに調製する。
【0112】
入口コート
第1の入口コートに存在する成分は、白金と、NOx捕捉材料としてのバリウムである。被覆後、フィルタープラス入口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で1時間焼成する。
【0113】
出口コート
出口コートは、ロジウムと、45重量%のセリアを有するセリア−ジルコニア複合材料とを含む。適用後、フィルタープラス入口コートおよび出口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で1時間焼成する。
【0114】
実施例17
触媒材料を有する粒子フィルターを、入口コートおよび出口コートの2つのコートを使用して調製する。三元変換(TWC)触媒複合材料は、白金およびパラジウムを含有する。コートを以下の通りに調製する。
【0115】
入口コート
第1の入口コートに存在する成分は、パラジウムであり、このコートはセリアを含まない。被覆後、フィルタープラス入口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で1時間焼成する。
【0116】
出口コート
出口コートは、白金と、45重量%のセリアを有するセリア−ジルコニア複合材料と、炭化水素捕捉材料であるゼオライトとを含む。適用後、フィルタープラス入口コートおよび出口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で1時間焼成する。
【0117】
実施例18
触媒材料を有する粒子フィルターを、1つの入口コートを使用して調製する。入口コートは、第1の平均粒径が30μm以下であり、第2の粒径が30μmを超えるような、二峰性粒径分布を有する。粒子フィルターは、第1の平均細孔径が30μm以下であり、第2の細孔径が30μmを超えるような、二峰性細孔径分布を有する。
【0118】
実施例19
触媒材料を有する粒子フィルターを、2つの入口コートを使用して調製する。第1の入口コートは、第1の単峰性粒径分布を有し、平均粒径は30μm以下であり、上流端から入口の50%に沿って被覆される。第2の入口コートは、第2の単峰性粒径分布を有し、平均粒径は30μmを超え、フィルターの全長を被覆される。粒子フィルターは、第1の平均細孔径が30μm以下であり、第2の細孔径が30μm以上を超えるような、二峰性細孔径分布を有する。
【0119】
実施例20
実施例5の粒子フィルターを、第3の単峰性粒径分布を有し、平均粒径は約15μmであり、上流端から入口の50%に沿って被覆される第2の入口コートを使用してさらに調製した。
【0120】
実施例21
比較
触媒材料を有する粒子フィルターを、入口コートおよび出口コートの2つのコートを使用して調製する。三元変換(TWC)触媒材料を、単峰性粒径分布を有し、平均粒径は3.5μmである、パラジウム、ロジウム、アルミナ、およびセリア−ジルコニアのウォッシュコートから形成する。コートを以下の通りに調製する。
【0121】
入口コート
フィルターの入口側を、0.5g/in
3の充填で、TWC触媒材料ウォッシュコートで被覆する。被覆後、フィルターおよび入口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で1時間焼成する。
【0122】
出口コート
フィルターの出口側を、入口側と同じウォッシュコートおよび充填で被覆する。適用後、フィルターおよび入口コートと出口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で1時間焼成する。
【0123】
実施例22
比較
触媒材料を有する粒子フィルターを、1つの入口コートを使用して調製する。三元変換(TWC)触媒複合材料を、単峰性粒径分布を有し、平均粒径は3.5μmである、パラジウム、ロジウム、アルミナ、およびセリア−ジルコニアのウォッシュコートから形成する。入口コートを以下の通りに調製する。
【0124】
入口コート
フィルターの入口側を、1.0g/in
3の充填で、TWCウォッシュコートで被覆する。被覆後、フィルターおよび入口コートを乾燥し、次いで、550℃の温度で1時間焼成する。
【0125】
実施例23
三元変換(TWC)触媒材料を有する粒子フィルターを、1つの入口コートを使用して調製する。入口コートを、0.5〜4.0g/in
3の範囲の量のウォッシュコートから形成し、ウォッシュコートは、パラジウム、ロジウム、およびセリア−ジルコニアを含む。このウォッシュコートは、全触媒材料充填のうち最大5重量%のアルミナのみが存在するように、実質的にアルミナを含まない。
【0126】
実施例24
三元変換(TWC)触媒材料を有する粒子フィルターを、2つの入口コートを使用して調製する。第1の入口コートを、0.25〜2.0g/in
3の範囲の量のウォッシュコートから形成し、ウォッシュコートは、パラジウムおよびセリア−ジルコニアを含む。第2の入口コートを、0.25〜2.0g/in
3の範囲の量のウォッシュコートから形成し、ウォッシュコートは、ロジウムと、第1の入口コートのセリア−ジルコニアと同じであるか、または異なるかのいずれかであるセリア−ジルコニアと、を含む。両方のウォッシュコートは、全触媒材料充填のうち最大5重量%のアルミナのみが存在するように、実質的にアルミナを含まない。
【0127】
「1つの実施形態」、「ある特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、または「実施形態」への本明細書全体を通しての言及は、実施形態に関連して記述される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して種々の場所における、「1つ以上の実施形態において」、「ある特定の実施形態において」、「一実施形態において」、または「実施形態において」等のフレーズの出現は、本発明の同じ実施形態を必ずしも言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。
【0128】
本発明を、上述した実施形態およびその修正を具体的に参照して記述した。第三者が本明細書を読み理解する際に、さらなる修正および変更が生じ得る。全てのそのような修正および変更は、それらが本発明の範囲内にある限り包含されることが意図される。