特許第6728711号(P6728711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6728711
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】炭素系発光材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/65 20060101AFI20200713BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
   C09K11/65
   C09K11/08 AZNM
   C09K11/08 G
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-12275(P2016-12275)
(22)【出願日】2016年1月26日
(65)【公開番号】特開2017-132850(P2017-132850A)
(43)【公開日】2017年8月3日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊左治 忠之
(72)【発明者】
【氏名】大谷 直樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 真一
(72)【発明者】
【氏名】植田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】川崎 剛美
【審査官】 横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/012600(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104401981(CN,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2013−0053146(KR,A)
【文献】 特開2015−036389(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103642494(CN,A)
【文献】 国際公開第2012/016296(WO,A1)
【文献】 特表2014−514231(JP,A)
【文献】 Dan Qu et al.,Three Colors Emission from S,N Co-doped Graphene Quantum Dots for Visible Light H2 Production and Bioimaging,ADVANCED OPTICAL MATERIALS,2015年 3月,Vol.3, No.3,pp.360-367
【文献】 Tran Van Tam et al.,One-pot synthesis of N-doped graphene quantum dots as a fluorescent sensing platform for Fe3+ ions detection,Sensors and Actuators B: Chemical,2014年10月31日,Vol.202,pp.568-573
【文献】 Woosung Kwon et al.,Electroluminescence from Graphene Quantum Dots Prepared by Amidative Cutting of Tattered Graphite,NANO LETTERS,2014年 2月 4日,Vol.14, No.3,pp.1306-1311
【文献】 Yan Li et al.,Bis-N-Annulated Quaterrylene: An Approach to Processable Graphene Nanoribbons,ORGANIC LETTERS,2009年 2月26日,Vol.11, No.6,pp.1385-1387
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K11/00−11/89
C01B32/00−32/991
B82Y5/00−99/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus(STN)
Science Direct
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価カルボン酸及び窒素原子含有複素環式化合物を含む原料、酸触媒及び溶媒を混合して、加熱して炭素系発光材料を製造する工程、及び
前記工程で得られた炭素系発光材料を、酸化剤を用いて酸化処理する工程
を含む、波長250〜600nmの励起光によって波長500nm以上の光を発する、グラフェン構造を有する炭素系発光材料の製造方法であって、
前記多価カルボン酸が、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸及びグルタミン酸から選ばれる少なくとも1種であり、
前記窒素原子含有複素環式化合物が、バルビツール酸又はその誘導体であって、前記誘導体が、チオバルビツール酸、バルビタール、ペントバルビタール、アモバルビタール、フェノバルビタール、チオペンタール、2、4−次オキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリクロロシアヌール酸又はジブロモシアヌール酸であり、
前記酸触媒が、カチオン性のイオン交換樹脂、カチオン性のイオン交換膜、ゼオライト及びポリリン酸から選ばれる固体酸触媒である不均一酸触媒であり、
前記溶媒が、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトニトリル、アセトン、アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等)、グリコール類(エチレングリコール、トリエチレングリコール等)、セロソルブ類(エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等)、多価アルコール類(グリセリン、ペンタエリスリトール等)、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ヘキサデカン、ベンジルアルコール及びオレイルアミンから選ばれる少なくとも1種であり、
前記酸化剤が、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、クロラニル、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、ヨウ素、空気、次亜塩素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、過酸化水素及びメタクロロ過安息香酸から選ばれるものである炭素系発光材料の製造方法
【請求項2】
前記酸化剤が、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンである請求項1記載の炭素系発光材料の製造方法。
【請求項3】
前記多価カルボン酸が、クエン酸である請求項1又は2記載の炭素系発光材料の製造方法。
【請求項4】
前記酸化処理後、得られた炭素系発光材料を、更に2つ以上のアミノ基を含む芳香族環含有化合物又はハロゲン化剤で処理する工程を含む請求項1〜のいずれか1項記載の炭素系発光材料の製造方法。
【請求項5】
前記2つ以上のアミノ基を含む芳香族環含有化合物が、フェニレンジアミン構造を含むものである請求項記載の炭素系発光材料の製造方法。
【請求項6】
前記酸触媒が、細孔を有する多孔質体不均一酸触媒である請求項1〜のいずれか1項記載の炭素系発光材料の製造方法。
【請求項7】
多価カルボン酸及び窒素原子含有複素環式化合物を含む原料、酸触媒及び溶媒を混合して、加熱し、更に酸化剤を用いて酸化処理して得られる炭素系発光材料を、2つ以上のアミノ基を含む芳香族環含有化合物又はヨウ素化剤で処理する、グラフェン構造を有する炭素系発光材料のストークスシフトを拡大させる方法であって、
前記多価カルボン酸が、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸及びグルタミン酸から選ばれる少なくとも1種であり、
前記窒素原子含有複素環式化合物が、バルビツール酸又はその誘導体であって、前記誘導体が、チオバルビツール酸、バルビタール、ペントバルビタール、アモバルビタール、フェノバルビタール、チオペンタール、2、4−次オキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリクロロシアヌール酸又はジブロモシアヌール酸であり、
前記酸触媒が、カチオン性のイオン交換樹脂、カチオン性のイオン交換膜、ゼオライト及びポリリン酸から選ばれる固体酸触媒である不均一酸触媒であり、
前記溶媒が、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトニトリル、アセトン、アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等)、グリコール類(エチレングリコール、トリエチレングリコール等)、セロソルブ類(エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等)、多価アルコール類(グリセリン、ペンタエリスリトール等)、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ヘキサデカン、ベンジルアルコール及びオレイルアミンから選ばれる少なくとも1種であり、
前記酸化剤が、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、クロラニル、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、ヨウ素、空気、次亜塩素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、過酸化水素及びメタクロロ過安息香酸から選ばれるものである方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素系発光材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光材料として、炭素系発光材料が注目されている。炭素系発光材料の一例として、グラフェン量子ドットが挙げられる。グラフェン量子ドットは、半導体量子ドットに比べて、価格、安全性、化学的安定性等の点で優位性が期待されているが、肝心の発光特性は、現在のところ半導体量子ドットの方が優れている。グラフェン量子ドットの利点を生かして次世代発光体として用いるためには、光学的な特性を改善する必要がある。
【0003】
本発明者らは、高い量子収率を示し、優れた発光特性を有する炭素系発光材料の製造方法を報告している。しかし、前記方法は、青色蛍光を発する炭素系発光材料の製造には適しているが、緑色ないしは赤色の蛍光を発する炭素系発光材料の製造には適していなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、緑色ないしは赤色の光を発する炭素系発光材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、多価カルボン酸及び窒素原子含有複素環式化合物を含む原料、酸触媒及び溶媒を混合して、加熱し、更に酸化剤で処理することによって、炭素系発光材料が得られ、該材料が緑色ないしは赤色の光を発することを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、下記炭素系発光材料の製造方法を提供する。
1.多価カルボン酸及び窒素原子含有複素環式化合物を含む原料、酸触媒及び溶媒を混合して、加熱して炭素系発光材料を製造する工程、及び
前記工程で得られた炭素系発光材料を、酸化剤を用いて酸化処理する工程
を含む、波長250〜600nmの励起光によって波長500nm以上の光を発する、グラフェン構造を有する炭素系発光材料の製造方法であって、
前記多価カルボン酸が、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸及びグルタミン酸から選ばれる少なくとも1種であり、
前記窒素原子含有複素環式化合物が、バルビツール酸又はその誘導体であって、前記誘導体が、チオバルビツール酸、バルビタール、ペントバルビタール、アモバルビタール、フェノバルビタール、チオペンタール、2、4−次オキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリクロロシアヌール酸又はジブロモシアヌール酸であり、
前記酸触媒が、カチオン性のイオン交換樹脂、カチオン性のイオン交換膜、ゼオライト及びポリリン酸から選ばれる固体酸触媒である不均一酸触媒であり、
前記溶媒が、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトニトリル、アセトン、アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等)、グリコール類(エチレングリコール、トリエチレングリコール等)、セロソルブ類(エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等)、多価アルコール類(グリセリン、ペンタエリスリトール等)、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ヘキサデカン、ベンジルアルコール及びオレイルアミンから選ばれる少なくとも1種であり、
前記酸化剤が、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、クロラニル、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、ヨウ素、空気、次亜塩素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、過酸化水素及びメタクロロ過安息香酸から選ばれるものである炭素系発光材料の製造方法
2.前記酸化剤が、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンである1の炭素系発光材料の製造方法。
3.前記多価カルボン酸が、クエン酸である1又は2の炭素系発光材料の製造方法。
.前記酸化処理後、得られた炭素系発光材料を、更に2つ以上のアミノ基を含む芳香族環含有化合物又はハロゲン化剤で処理する工程を含む1〜のいずれかの炭素系発光材料の製造方法。
.前記2つ以上のアミノ基を含む芳香族環含有化合物が、フェニレンジアミン構造を含むものであるの炭素系発光材料の製造方法。
.前記酸触媒が、細孔を有する多孔質体不均一酸触媒である1〜のいずれかの炭素系発光材料の製造方法。
.多価カルボン酸及び窒素原子含有複素環式化合物を含む原料、酸触媒及び溶媒を混合して、加熱し、更に酸化剤を用いて酸化処理して得られる炭素系発光材料を、2つ以上のアミノ基を含む芳香族環含有化合物又はヨウ素化剤で処理する、グラフェン構造を有する炭素系発光材料のストークスシフトを拡大させる方法であって、
前記多価カルボン酸が、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸及びグルタミン酸から選ばれる少なくとも1種であり、
前記窒素原子含有複素環式化合物が、バルビツール酸又はその誘導体であって、前記誘導体が、チオバルビツール酸、バルビタール、ペントバルビタール、アモバルビタール、フェノバルビタール、チオペンタール、2、4−次オキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリクロロシアヌール酸又はジブロモシアヌール酸であり、
前記酸触媒が、カチオン性のイオン交換樹脂、カチオン性のイオン交換膜、ゼオライト及びポリリン酸から選ばれる固体酸触媒である不均一酸触媒であり、
前記溶媒が、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトニトリル、アセトン、アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等)、グリコール類(エチレングリコール、トリエチレングリコール等)、セロソルブ類(エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等)、多価アルコール類(グリセリン、ペンタエリスリトール等)、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ヘキサデカン、ベンジルアルコール及びオレイルアミンから選ばれる少なくとも1種であり、
前記酸化剤が、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン、クロラニル、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、ヨウ素、空気、次亜塩素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、過酸化水素及びメタクロロ過安息香酸から選ばれるものである方法
【発明の効果】
【0007】
本発明の炭素系発光材料の製造方法によれば、緑色ないしは赤色の光を発する炭素系発光材料を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の炭素系発光材料の製造方法は、多価カルボン酸及び窒素原子含有複素環式化合物を含む原料、酸触媒及び溶媒を混合して、加熱して炭素系発光材料を製造する工程(以下、工程1という。)、及び前記工程で得られた炭素系発光材料を、酸化剤を用いて酸化処理する工程(以下、工程2という。)を含むものである。
【0009】
[工程1]
工程1において使用する多価カルボン酸は、カルボキシル基を2つ以上有するカルボン酸であれば特に限定されない。その具体例としては、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。これらのうち、クエン酸、コハク酸、シュウ酸が好ましく、クエン酸がより好ましい。多価カルボン酸は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0010】
前記窒素原子含有複素環式化合物としては、バルビツール酸、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、アゼパン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ベンゾチアゾール、トリアジン、アゼピン、ジアゼピン、ベンゾジアゼピン、ピロール、イミダゾリン、モルホリン、チアジン、インドール、イソインドール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、シンノリン、ベンゾ−C−シンノリン、ポルフィリン、クロリン、コリン、トリアミノトリアジン、トリクロロトリアジン等及びこれらの誘導体が挙げられる。これらは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0011】
これらのうち、バルビツール酸及びその誘導体が好ましい。バルビツール酸及びその誘導体の具体例としては、バルビツール酸、チオバルビツール酸、バルビタール、ペントバルビタール、アモバルビタール、フェノバルビタール、チオペンタール、2、4−次オキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリクロロシアヌール酸、ジブロモシアヌール酸等が挙げられる。
【0012】
窒素原子含有複素環式化合物の使用量は、窒素原子などの非炭素原子導入の点から、多価カルボン酸1モルに対して0.1〜10モルが好ましく、0.2〜5モルがより好ましい。
【0013】
原料として、更に、多価カルボン酸及び窒素原子含有複素環式化合物以外の有機化合物を使用してもよい。このような有機化合物としては、本発明の効果を妨げないものであれば、特に限定されない。
【0014】
前記酸触媒は、均一酸触媒でも不均一酸触媒でもよいが、量子収率を向上させる観点から不均一酸触媒が好ましい。均一酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、スルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。一方、不均一酸触媒としては、固体酸触媒が好ましく、例えば、カチオン性のイオン交換樹脂、カチオン性のイオン交換膜、Nature 438, p. 178 (2005)に記載された固体酸触媒等が挙げられる。固体酸触媒としては、市販品を使用することができ、例えば、ロームアンドハース社製イオン交換樹脂のAMBERLYST(登録商標)15、16、31、35等、AMBERLITE(登録商標)IR120B、IR124、200CT、252等、デュポン社製イオン交換膜のNAFION(登録商標)、ゼオライトやポリリン酸等の無機系固体酸触媒等が挙げられる。前記酸触媒は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
均一酸触媒を用いる場合、通常、均一酸触媒を原料の質量に対して0.01〜10質量%添加するが、0.1〜5質量%がより好ましく、0.5〜1質量%がより一層好ましい。
【0016】
不均一酸触媒は、生成した炭素系発光材料を内包できる細孔を有する多孔質体であることが好ましい。この細孔の大きさにより生成する炭素系発光材料の粒子径又はディスク径を制御することができる。一般的には、20nmまでの細孔径を有する多孔質体の固体酸触媒により、20nmまでの粒子径(ディスク径)の炭素系発光材料を製造するのが好ましい。
【0017】
不均一酸触媒を用いる場合、原料の質量に対して概ね0.1〜100質量%の添加が好ましく、1.0〜50質量%の添加がより好ましく、5.0〜10質量%の添加がより一層好ましい。
【0018】
前記溶媒は、使用する原料を溶解できるものであれば特に限定されない。このような溶媒としては、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、アセトニトリル、アセトン、アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等)、グリコール類(エチレングリコール、トリエチレングリコール等)、セロソルブ類(エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等)、多価アルコール類(グリセリン、ペンタエリスリトール等)、テトラヒドロフラン、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ヘキサデカン、ベンジルアルコール、オレイルアミン等が挙げられる。これらのうち、水、トルエン等が好ましい。前記溶媒は、1種単独でも2種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
溶媒の使用量は、均一粒子サイズの炭素系発光材料調製の点から、原料100質量部に対して100〜10,000質量部が好ましく、400〜2,500質量部がより好ましい。
【0020】
工程1は、界面活性剤存在下で行ってもよい。前記界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0021】
カチオン性界面活性剤としては、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。前記界面活性剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
界面活性剤の使用量は、原料の分散性と、合成条件での臨界ミセル濃度の点から、原料100質量部に対して10〜2,000質量部が好ましく、50〜500質量部がより好ましい。
【0023】
工程1は、原料、酸触媒、溶媒、及び必要に応じて界面活性剤を混合して、加熱するものであるが、これらの混合は、任意の順で行えばよい。例えば、原料及び必要に応じて界面活性剤をあらかじめ溶媒に加え、次いで酸触媒を加えてもよく、原料、酸触媒及び必要に応じて界面活性剤を同時に溶媒に加えてもよい。
【0024】
加熱は、常圧(大気圧)下でも加圧下で行ってもよい。加圧下で行うと、常圧での沸点以上に反応温度を上げることができるため、常圧で反応させる場合と比べて、反応時間を短縮することができる。
【0025】
加圧する場合は、例えば、オートクレーブを使用すればよい。オートクレーブを使用することで、常圧での沸点以上に反応温度を上げることができる。例えば、溶媒として水を使用する場合でも、オートクレーブを用いて反応させることで、200℃程度の反応温度は容易に達成できる。
【0026】
加圧は、所望の反応温度を達成できるものであれば特に限定されないが、概ね200kPa〜2.0MPa程度が好ましく、500kPa〜1.0MPa程度がより好ましい。
【0027】
常圧で反応させる場合、反応温度は、使用する溶媒の沸点にもよるが、通常、40〜250℃程度が好ましく、60〜200℃がより好ましく、100〜150℃がより一層好ましい。加熱は、通常水浴や油浴でなされるが、マイクロ波で加熱することもできる。これによって、例えば、溶媒として水を用いる場合は、水浴や油浴で加熱する場合に比べて、短時間で生成物を得ることができる。
【0028】
常圧で反応させる場合、反応時間は、1分〜240時間間程度が好ましく、10分〜48時間程度がより好ましく、12〜30時間程度がより一層好ましい。加圧して反応させる場合、反応時間は、1分〜24時間程度が好ましく、10分〜12時間程度がより好ましく、30分〜3時間程度がより一層好ましい。
【0029】
また、固体酸触媒を用いる場合は、攪拌して反応させることが好ましく、固体触媒が砕けない範囲で、攪拌速度を上げると良い結果が得られる。攪拌速度は、10〜500rpm程度が好ましく、50〜300rpm程度がより好ましい。
【0030】
反応終了後、反応溶液をろ過して不純物を取り除き、そのまま工程2の酸化処理を行ってもよく、反応生成物を精製した後に工程2の酸化処理を行ってもよい。精製は、サイズ排除クロマトグラフィー、セルロースカラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、あるいは選択的な溶媒抽出、再結晶、再沈殿等によって行うことができる。
【0031】
工程1で得られた炭素系発光材料は、波長200〜420nmの励起光によって、波長450〜550nmの光を発するものであることが好ましい。
【0032】
[工程2]
次いで、工程1で得られた炭素系発光材料を、酸化剤を用いて酸化処理する。酸化処理は、溶媒中、工程1で得られた炭素系発光材料に酸化剤を加えて、50〜200℃で1〜50時間反応させることで行うことができる。前記溶媒としては、工程1で使用したものと同様のものが挙げられる。
【0033】
前記酸化剤としては、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、クロラニル、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、ヨウ素、空気、次亜塩素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、硝酸セリウム(IV)アンモニウム(CAN)、過酸化水素、メタクロロ過安息香酸等が挙げられる。これらのうち、DDQ、クロラニル、TCNQ等が好ましい。
【0034】
工程2において、前記酸化剤の使用量は、工程1で得られた炭素系発光材料100質量部に対して、50〜1,000質量部が好ましく、100〜500質量部がより好ましい。また、溶媒の使用量は、工程1で得られた炭素系発光材料100質量部に対して、50〜2,000質量部が好ましく、100〜1,000質量部がより好ましい。
【0035】
工程2の酸化処理後は、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、あるいは選択的な溶媒抽出、再沈殿等によって得られた生成物を精製することができる。
【0036】
[工程3]
工程2の後、得られた炭素系発光材料を、更に2つ以上のアミノ基を含む芳香族環含有化合物又はハロゲン化剤で処理してもよい(以下、工程3という。)。工程3の処理によって、吸収波長、発光波長のシフトを起こさせ、その結果ストークスシフトも変化させることができる。
【0037】
工程3の処理は、溶媒中、工程2で得られた炭素系発光材料に2つ以上のアミノ基を含む芳香族環含有化合物又はハロゲン化剤を加えて、反応させることで行うことができる。前記溶媒としては、工程1で使用したものと同様のものが挙げられる。
【0038】
前記2つ以上のアミノ基を含む芳香族環含有化合物としては、フェニレンジアミン骨格を有するものが好ましい。このような化合物としては、例えば、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4−フェニレンジアミン、3−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン、4−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン、3−メチル−1,2−フェニレンジアミン、4−メチル−1,2−フェニレンジアミン、1,2,4−ベンゼントリアミン、3,4−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン、3−フルオロ−1,2−フェニレンジアミン、4−フルオロ−1,2−フェニレンジアミン、3,4−ジフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、3,5−ジフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、3−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、4−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、3,4−ジクロロ−1,2−フェニレンジアミン、3,5−ジクロロ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジクロロ−1,2−フェニレンジアミン、3−ブロモ−1,2−フェニレンジアミン、4−ブロモ−1,2−フェニレンジアミン、3,4−ジブロモ−1,2−フェニレンジアミン、3,5−ジブロモ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジブロモ−1,2−フェニレンジアミン、2,3−ナフタレンジアミンベンジジン、3,3'−ジアミノベンジジン、3,4−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸メチル、3,4−ジアミノ安息香酸エチル、4−(4−アミノフェノキシ)−1,2−ベンゼンジアミン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、5,6−ジアミノ−1,3−ジヒドロ−2H−ベンゾイミダゾール−2−オン等が挙げられる。これらのうち、3−メチル−1,2−フェニレンジアミン、4−メチル−1,2−フェニレンジアミン、3−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン、4−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン、ベンジジン、3,3'−ジアミノベンジジン、3−フルオロ−1,2−フェニレンジアミン、4−フルオロ−1,2−フェニレンジアミン、3,4−ジフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、3,5−ジフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジフルオロ−1,2−フェニレンジアミン、3−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、4−クロロ−1,2−フェニレンジアミン、3,4−ジクロロ−1,2−フェニレンジアミン、3,5−ジクロロ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジクロロ−1,2−フェニレンジアミン、3−ブロモ−1,2−フェニレンジアミン、4−ブロモ−1,2−フェニレンジアミン、3,4−ジブロモ−1,2−フェニレンジアミン、3,5−ジブロモ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジブロモ−1,2−フェニレンジアミン等が好ましい。
【0039】
前記ハロゲン化剤は、有機合成において一般的に使用されているものであれば特に限定されない。例えば、ヨウ素化剤としては、1,3−ジヨード−5,5'−ジメチルヒダントイン、N−ヨードスクシンイミド、N−ヨードサッカリン、ビス(2,4,6−トリメチルピリジン)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジクロロヨウ素酸ベンジルトリメチルアンモニウム、ビス(ピリジン)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ヨウ素、ピリジンヨードクロリド等が挙げられる。臭素化剤としては、ブロモジメチルスルホニウムブロミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、N−ブロモスクシンイミド、テトラ−n−ブチルアンモニウムトリブロミド、臭素等が挙げられる。塩素化剤としては、五塩化リン、クロラミンT、トリクロロイソシアヌル酸、1,3−ジクロロ−5,5−ジメチルヒダントイン、クロロメタン、塩化アンチモン、塩素等が挙げられる。
【0040】
工程3において、2つ以上のアミノ基を含む芳香族環含有化合物の使用量は、工程2で得られた炭素系発光材料100質量部に対して、10〜1,000質量%が好ましく、50〜500質量%がより好ましい。このときの反応温度及び時間は、50〜200℃及び0.5〜100時間が好ましく、60〜120℃及び1〜10時間がより好ましい。また、ハロゲン化剤の使用量は、工程2で得られた炭素系発光材料100質量部に対して10〜1,000質量%が好ましく、50〜500質量%がより好ましい。このときの反応温度及び時間は、0〜200℃及び0.5〜100時間が好ましく、20〜120℃及び1〜50時間がより好ましい。溶媒の使用量は、工程2で得られた炭素系発光材料100質量部に対して、50〜2,000質量部が好ましく、100〜1,000質量部がより好ましい。
【0041】
工程3の処理後は、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、セルロースカラムクロマトグラフィー、ペーパークロマトグラフィー、あるいは選択的な溶媒抽出、再結晶、再沈殿等によって得られた生成物を精製することができる。
【0042】
本発明の方法で製造された炭素系発光材料は、化学的安定性、発光量子収率、発光特性制御等の点から、グラフェン構造を含むものであることが好ましい。
【0043】
本発明の方法で製造された炭素系発光材料は、波長250〜600nmの励起光によって、波長500nm以上の光を発するものである。発光波長の上限は、特に限定されないが、700nm程度である。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。なお、使用した装置は以下のとおりである。
(1)蛍光スペクトル:日本分光(株)製FP−6500
(2)量子収率の測定:(株)島津製作所製UV−3600及び日本分光(株)製FP−6500
【0045】
[実施例1]
クエン酸(0.78g、4.05mmol)(ナカライテスク(株)製09109−85)及びバルビツール酸(0.22g、1.74mmol)(東京化成工業(株)製B0003)を24mLの脱イオン水に溶解して得られた水溶液25mLを、50mLサンプル瓶に入れ、攪拌子及びAmberlyst 15 dry 0.05gを加え、オートクレーブにセットした。200℃で2時間攪拌しながら反応させ、放冷した。放冷後、溶媒をDMFに置換し、不溶物を濾別した。このDMF溶液に、DDQ0.5gを加え、60℃で12時間反応させた。溶媒を留去し、水25mLを加え、不溶物を濾別し、炭素系発光材料を含む溶液を得た。
【0046】
[実施例2]
クエン酸(0.78g、4.05mmol)(ナカライテスク(株)製09109−85)及びバルビツール酸(0.22g、1.74mmol)(東京化成工業製(株)B0003)を24mLの脱イオン水に溶解して得られた水溶液25mLを、50mLサンプル瓶に入れ、攪拌子及びAmberlyst 15 dry 0.15gを加え、オートクレーブにセットした。200℃で2時間攪拌しながら反応させ、放冷した。放冷後、溶媒をDMFに置換し、不溶物を濾別した。このDMF溶液に、DDQ1.5gを加え、60℃で12時間反応させた。溶媒を留去し、水25mLを加え、不溶物を濾別し、炭素系発光材料を含む溶液を得た。
前記炭素系発光材料を含む溶液0.1mLを6mLサンプル瓶に入れ、ジアミノトルエン(DAT)10mgをエタノール5mLに溶解した溶液0.1mLを加えた。そこへ、更にエタノールを加えて全量を3mLとし、60℃で6時間加熱して、DAT処理を行った。
【0047】
[実施例3]
実施例1の方法で得られた炭素系発光材料を含む溶液0.1mLを6mLサンプル瓶に入れ、そこへ4−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン(NPDA)10mgをエタノール5mLに溶解した溶液0.1mLを加えた。更にエタノールを加えて全量を3mLとし、60℃で6時間加熱して、NPDA処理を行った。
【0048】
[実施例4]
実施例1の方法で得られた炭素系発光材料を含む溶液0.1mLを6mLサンプル瓶に入れ、そこへ4−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン(NPDA)10mgをエタノール5mLに溶解した溶液0.1mLを加えた。更にエタノールを加えて全量を3mLとし、60℃で6時間加熱して、NPDA処理を行った。沈殿が生じたので、これをデカンテーションによって可溶分のみを得た。
【0049】
[実施例5]
実施例1の方法で得られた炭素系発光材料を含む溶液0.1mLを10mLサンプル瓶に入れ、そこへエタノール0.2mLを加え、更に、これに氷冷下、濃硫酸0.5mLを加えた。これに、1,3−ジヨード−5,5'−ジメチルヒダントイン0.01gを0.3mLのエタノールに溶解した溶液全量を滴下した。バス型ソニケーターで均一にしたのち、60℃で24時間反応させた。その後放冷し、17質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和した。溶媒を留去後、可溶分をエタノール5mLで抽出し、炭素系発光材料を得た。
【0050】
[蛍光スペクトルの測定]
実施例1〜5で得られた炭素系発光材料について、蛍光スペクトルの測定を行った。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
表1に示したように、本発明の方法で得られた炭素系発光材料は、波長500nm以上の蛍光を発するものであった。
また、2つ以上のアミノ基を含む芳香族環含有化合物又はヨウ素化剤で処理することによって炭素系発光材料のストークスシフトを拡大させることができた。