(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6728858
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月22日
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器及び超純水製造装置
(51)【国際特許分類】
F28D 9/02 20060101AFI20200713BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20200713BHJP
【FI】
F28D9/02
F28F3/08 301Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-62154(P2016-62154)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-172932(P2017-172932A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】勝又 卓也
【審査官】
瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−248996(JP,A)
【文献】
特開平08−094279(JP,A)
【文献】
特開2003−010849(JP,A)
【文献】
特開平09−264698(JP,A)
【文献】
特開2001−133170(JP,A)
【文献】
実開昭61−089692(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/00−13/00
F28F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝熱プレートがフロントフレームとエンドフレームとの間に配置され、前記伝熱プレート間に熱媒体の通路と被熱交換流体の通路とが、互いに隣り合う状態で交互に設けられているプレート式熱交換器において、
被熱交換流体の入口及び出口が前記フロントフレームに開口するとともに、
最も前記エンドフレーム側の被熱交換流体の通路の最上部から空気をエンドフレーム側に流出させるノズル(40)と、
前記被熱交換流体の入口(8b)に接続された第1弁(51)と、
前記被熱交換流体の出口(8a)に接続された第2弁(52)と、
前記ノズル(40)に設けられた第3弁(53)と、
前記被熱交換流体の出口(8a)に接続された分岐管(54)と、
該分岐管(54)に設けられた第4弁(55)と
を有しており、
被熱交換流体の通水開始時には、該第1弁、第3弁及び第4弁が開とされ、第2弁が閉とされ、
通水開始から所定時間経過後に、該第3弁が閉とされ、
次いで該分岐管からの流出水中のDO濃度が規定値以下であれば第4弁が閉とされ、第2弁が開とされる
ことを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項2】
請求項1において、前記ノズルは、前記エンドフレームを貫通し、前記被熱交換流体の通路の最上部に連通することを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項3】
複数の伝熱プレートがフロントフレームとエンドフレームとの間に配置され、前記伝熱プレート間に熱媒体の通路と被熱交換流体の通路とが、互いに隣り合う状態で交互に設けられているプレート式熱交換器において、
被熱交換流体入口が前記フロントフレームに開口すると共に被熱交換流体出口が前記エンドフレームに開口しており、
最も前記フロントフレーム側の被熱交換流体の通路の最上部から空気をフロントフレーム側に流出させるノズル(40)と、
前記被熱交換流体の入口(8b)に接続された第1弁(51)と、
前記被熱交換流体の出口(8a)に接続された第2弁(52)と、
前記ノズル(40)に設けられた第3弁(53)と、
前記被熱交換流体の出口(8a)に接続された分岐管(54)と、
該分岐管(54)に設けられた第4弁(55)と
を有しており、
被熱交換流体の通水開始時には、該第1弁、第3弁及び第4弁が開とされ、第2弁が閉とされ、
通水開始から所定時間経過後に、該第3弁が閉とされ、
次いで該分岐管からの流出水中のDO濃度が規定値以下であれば第4弁が閉とされ、第2弁が開とされる
ことを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項4】
請求項3において、前記ノズルは、前記フロントフレームを貫通し、前記被熱交換流体の通路の最上部に連通することを特徴とするプレート式熱交換器。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプレート式熱交換器を備えた超純水製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の熱交換に利用される伝熱プレートを多数積層してなるプレート式熱交換器に関するものである。また、本発明は、このプレート式熱交換器を用いた超純水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超純水製造装置等に用いられるプレート式熱交換器1は、
図7〜12に示すように、固定フレーム(フロントフレーム)2と移動フレーム(エンドフレーム)3との間に、多段に伝熱プレート10,10D,10Eをガスケットを介して配置し、両フレーム2,3を締め付けボルト5で固定することにより構成される(特許文献1)。
【0003】
伝熱プレート10は、表面に適宜の凹凸模様を施したものであり、
図8に示すように、その伝熱面11の四隅に、流体の出入口となる流通孔12a,12b,13a,13bを有する。ガスケット15は、上下一対の孔、例えば、
図8では上右隅と下右隅の流通孔12a,12bを含めて取り囲む周回部15cを有すると共に、他の上下一対の孔、例えば、
図8では上左隅と下左隅の孔13a,13bの周囲を取り囲む囲繞部15a,15bを有する。
【0004】
なお、エンドフレーム3に沿う最後部の伝熱プレート10Eには、流通孔12a,12bは設けられていない。また、フロントフレーム2に沿う最前部の伝熱プレート10D(
図12)には、流通孔12a,12bを囲む囲繞部15d,15eがさらに設けられている。
【0005】
この伝熱プレート10を、
図9に示すように、交互に上下反転して多数積層させることにより、
図10,11に示すように、伝熱プレート10D,10,10E間に純水通路21,22,23,24,25と熱媒体通路31,32,33,34とを交互に形成する。
【0006】
純水通路21〜25は、フロントフレーム2に設けられた純水入口8b及び純水出口8aに連通している。熱媒体通路31〜34は、フロントフレーム2に設けられた熱媒体入口7a及び熱媒体出口7bに連通している。
【0007】
純水通路21〜25を流れる純水に対し熱媒体通路31〜34を流れる熱媒体の熱が伝熱プレート10を介して伝熱し、純水が加温される。
【0008】
このようなプレート式熱交換器1で伝熱プレート10の四隅に開口した流通孔12a,12b,13a,13bの縁部とガスケット15の囲繞部15a,15bとの間に間隔があいているため、運転開始時に純水を供給しても、純水通路21〜25内の上部に空気が残留して空気溜りができる。この空気が残留すると、この空気中の酸素が純水に溶け込み、超純水中の溶存酸素濃度が長期にわたって高い値となる。
【0009】
特許文献2には、プレート10,10間の純水通路21〜25の上部から空気抜きがなされるように、
図13に示すように、伝熱プレート10の各流通孔12a,12b,13a,13bの上下に、先端がガスケットの内周に限りなく近接する切欠き18,19を設けることが記載されている。
【0010】
このように、伝熱プレートの各流通孔12a,12b,13a,13bの上下に先端がガスケットの内周に限りなく近接する切欠き18,19を設ければ、隣接する伝熱プレート10,10間のガスケット内の天部に溜ろうとする空気を切欠き18を介して流出させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−94279
【特許文献2】実開平1−151067
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献1のように、流通孔の上縁部に切欠き18を設けても、最もエンドフレーム3側の純水通路25にあっては、その最上部(天部)に空気が溜り易い。これは、純水通路25を上昇してきた純水が流通孔12bの下縁を回り込むように流れるため、純水通路25の最上部は純水の流れが遅い滞留域となり、空気が残留し易いからである。
【0013】
プレート式ではなくシェルアンドチューブ式を採用すれば、構造的に空気溜りが少なくなるが、伝熱面積が小さく、設置スペースとイニシャルコストがかかるため、水量が大きい場合はプレート式を採用する必要があった。
【0014】
大流量で熱交換器を洗浄する事ができれば、空気の溜りは除去されやすくなるが、流量を確保するためには超純水設備そのものを大型化する必要があり、コストアップになるため現実的ではない。残留空気を除去するために、窒素ブローや真空引きをする場合、一過式で押し出す事が出来ないため残留空気の拡散を待つ必要があり、運転再開まで数日かかることもある。
【0015】
本発明は、最もエンドフレーム側又はフロントフレーム側の被熱交換流体通路内の空気の滞留を防止することができるプレート式熱交換器と、このプレート式熱交換器を用いた超純水製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1発明のプレート式熱交換器は、複数の伝熱プレートがフロントフレームとエンドフレームとの間に配置され、前記伝熱プレート間に熱媒体の通路と被熱交換流体の通路とが、互いに隣り合う状態で交互に設けられているプレート式熱交換器において、被熱交換流体の入口及び出口が前記フロントフレームに開口するとともに、最も前記エンドフレーム側の被熱交換流体の通路の最上部から空気をエンドフレーム側に流出させる空気流出手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
第2発明のプレート式熱交換器は、複数の伝熱プレートがフロントフレームとエンドフレームとの間に配置され、前記伝熱プレート間に熱媒体の通路と被熱交換流体の通路とが、互いに隣り合う状態で交互に設けられているプレート式熱交換器において、被熱交換流体入口が前記フロントフレームに開口すると共に被熱交換流体出口が前記エンドフレームに開口しており、最も前記フロントフレーム側の被熱交換流体の通路の最上部から空気をフロントフレーム側に流出させる空気流出手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の超純水製造装置は、かかる第1又は第2発明のプレート式熱交換器を備える。
【発明の効果】
【0019】
第1発明のプレート式熱交換器では、最もエンドフレーム側の被熱交換流体(例えば純水)通路内を上昇してきた被熱交換流体は、伝熱プレートに設けられた流通孔を通ってエンドフレームから遠ざかる方向(フロントフレームに向う方向)に流れる。この最もエンドフレーム側の被熱交換流体の通路の最上部に連通するように空気抜き手段が設けられているので、最もエンドフレーム側の被熱交換流体の通路の最上部に空気が滞留することが防止される。
【0020】
第2発明のプレート式熱交換器では、最もフロントフレーム側の被熱交換流体(例えば純水)通路内を上昇してきた被熱交換流体は、伝熱プレートに設けられた流通孔を通ってフロントフレームから遠ざかる方向(エンドフレームに向う方向)に流れる。この最もフロントフレーム側の被熱交換流体の通路の最上部に連通するように空気抜き手段が設けられているので、最もフロントフレーム側の被熱交換流体の通路の最上部に空気が滞留することが防止される。
【0021】
本発明のプレート式熱交換器を備えた超純水製造装置によると、超純水製造装置の立ち上げ時に設計水量の1/10程度の小流量でも短時間で純水中の酸素濃度を十分に低くすることができる。そのため、試運転・メンテナンス時の立上げ時間が大幅に短縮されると共に、試運転用純水が削減される。また、空気抜きの確実性向上により、窒素ブローや真空引き等の仮設作業を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(a)は実施の形態に係るプレート式熱交換器の縦断面図であり、
図2のI−I線断面を示す。(b)は(a)の一部の拡大図である。
【
図2】(a)は実施の形態に係るプレート式熱交換器の斜視図、(b)は(a)とは反対側から見た場合のプレート式熱交換器の斜視図である。
【
図3】実施の形態に係るプレート式熱交換器における純水の流れの説明図である。
【
図4】実施の形態に係るプレート式熱交換器における各流体の出入り状況を示す斜視図である。
【
図5】別の実施の形態に係るプレート式熱交換器の縦断面図である。
【
図6】
図5の別のプレート式熱交換器の縦断面図である。
【
図9】伝熱プレートの積層構造を示す分解斜視図である。
【
図10】従来のプレート式熱交換器の
図9のX−X線に沿う縦断面図である。
【
図11】従来のプレート式熱交換器の
図9のXI−XI線に沿う縦断面図である。
【
図13】(a)は伝熱プレートの正面図、(b)は(a)の一部の拡大図である。
【
図14】超純水製造装置の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
図1〜3は第1発明の実施の形態に係るプレート式熱交換器1Aを示すものである。この実施の形態では、純水が被熱交換流体となっている。熱媒体としては温水が用いられている。
【0024】
図1の通り、このプレート式熱交換器1Aも、前記
図7に示したプレート式熱交換器1と同様に、固定フレーム(フロントフレーム)2と移動フレーム(エンドフレーム)3との間に、多段に伝熱プレート10D,10,10Eをガスケット15を介して配置し、両フレーム2,3を締め付けボルト5(
図1〜3では図示略)で固定したものである。
【0025】
伝熱プレート10は
図8に示したものと同一構成を有する。伝熱プレート10Dは
図12に示したものと同一構成を有する。伝熱プレート10Eは
図9に示したものにおいて空気抜き用の小孔42及びノズル40を設けたものであり、該小孔42及びノズル40以外の構成は
図9に示した伝熱プレート10Eと同一である。小孔42は、伝熱プレート10,10E間のガスケット15で囲まれた純水通路25の最上部に位置している。小孔42は、その上側に位置するガスケット15の内周に限りなく近接して設けられることが好ましい。ノズル40は、小孔42と同軸状に伝熱プレート10Eと垂直に立設されている。ノズル40は、エンドフレーム3に設けられたノズル挿通孔41に挿通され、エンドフレーム3から突出している。
【0026】
図3の通り、このプレート式熱交換器1Aの純水入口8bには弁51が接続され、純水出口8aには弁52が接続され、ノズル40には弁53が接続されている。また、純水出口8aには分岐管54が接続され、この分岐管54に弁55が設けられている。
【0027】
このプレート式熱交換器1Aのその他の構成は前記プレート式熱交換器1と同一であり、同一符号は同一部分を示している。即ち、伝熱プレート10D、複数枚の伝熱プレート10及び伝熱プレート10Eがガスケット15を介して
図9と同様に積層され、純水通路21〜25及び熱媒体通路31〜34が交互に形成されている。
【0028】
定常状態の純水加熱運転中には、
図3(a)のように弁51,52が開とされ、弁53,55が閉とされる。そして、
図1,2の通り、純水がフロントフレーム2の純水入口8bから各純水通路21〜25に供給される。この純水は、各純水通路21〜25を上方に向って流れ、熱媒体通路31〜34を流れる熱媒体と熱交換して加熱された後、フロントフレーム2の純水出口8aから流出する。熱媒体は、フロントフレーム2の熱媒体入口7aから各熱媒体通路31〜34に供給され、純水と熱交換して降温した後、フロントフレーム2の熱媒体出口7bから流出する。
【0029】
このプレート式熱交換器1Aでは、最もエンドフレーム3側の純水通路25を上方に向って流れてきた純水は、
図1(b)の通り、伝熱プレート10Eに隣接した伝熱プレート10の流通孔13bを通過し、さらに各伝熱プレート10,10Dの流通孔を通って純水出口8aに向って流れる。
【0030】
この純水通路25の最上部にあっては、純水は流通孔13bの下縁側を回り込むようにして流れる。そのため、通水開始時には、該純水通路25の最上部付近に空気が滞留しようとする。この実施の形態では、この純水通路25の最上部に滞留しようとする空気を小孔42及びノズル40を介してエンドフレーム3側へ抜き出すことができる。即ち、プレート式熱交換器1Aへの純水通水を開始するに際しては、
図3(b)の通り、弁51,53,55を開とし、弁52を閉とし、純水をプレート式熱交換器1Aに流通させる。なお、弁53は、通水開始時には閉とされ、その後、開とされてもよい。弁53を開とすることにより、純水通路25の最上部に溜った空気(又は空気混じりの純水)がノズル40から流出する。
【0031】
所定時間経過後、
図3(c)の通り、弁53を閉とする。そして、弁55から流出する純水中のDO(溶存酸素)濃度をDO計56で測定し、DO濃度が規定値以下であれば
図3(a)のように弁55を閉、弁52を開とし、純水を弁52から送水する。
【0032】
このように、このプレート式熱交換器1Aによると、純水通路25の最上部に残留しようとする空気を速やかに流出させることができ、熱交換器1Aの立ち上げ時に純水中のDO濃度を早期に低下させることができる。
【0033】
なお、この実施の形態では、熱媒体の流れと純水の流れを向流としているが、並流としてもよい。また、伝熱プレート10の積層枚数は図示のものに限定されず、さらに多数枚が配列されてもよい。
【0034】
上記実施の形態では、純水出口8a、純水入口8b、熱媒体入口7a及び熱媒体出口7bをいずれもフロントフレーム2に設けていたが、純水出口8a及び純水入口8bの一方をフロントフレーム2に設け、他方をエンドフレーム3に設けると共に、熱媒体入口7a及び熱媒体出口7bの一方をフロントフレーム2に設け、他方をエンドフレーム3に設けるようにしてもよい。その一例を
図4〜6に示す。
【0035】
図4〜6のプレート式熱交換器1Bでは、純水入口8b及び熱媒体出口7bをフロントフレーム2の下部に設け、純水出口8a及び熱媒体入口7aをエンドフレーム3の上部に設けている。最もエンドフレーム3側の伝熱プレート10Eの上部には純水流通孔12aと熱媒体流通孔13aが設けられている。また、最もフロントフレーム2側の伝熱プレート10Dの上部には純水及び熱媒体の流通孔は設けられていない。該伝熱プレート10Dの最上部に前記小孔42と同様の小孔が設けられ、ノズル40が該小孔と同軸状に立設されている。このノズル40は、フロントフレーム2に設けられたノズル挿通孔41を通ってフロントフレーム2の前面側に突出している。このノズル40に弁53が接続されている。
【0036】
このプレート式熱交換器1Bでは、純水は
図5の通り、フロントフレーム2下部の純水入口8bから各純水通路21〜25を通ってエンドフレーム3の純水出口8aから流出する。最もフロントフレーム2側の純水通路21を上昇してきた純水は、隣接する伝熱プレート10の流通孔12aの下縁を回り込むようにして純水出口8aに向って流れるので、該純水通路21の最上部に空気が残留し易い。前記
図3(b)と同様に、純水の通水開始時に弁53を開としてノズル40から空気(又は空気混じりの純水)を流出させることにより、プレート式熱交換器1Bの立ち上げ時に純水のDOを早期に低下させることができる。
【0037】
本発明のプレート式熱交換器は、超純水製造装置の熱交換器に用いるのに好適である。
【0038】
超純水製造装置は、通常、前処理システム、一次純水システム、二次純水システム(サブシステムと称されることも多い。)から構成される。
【0039】
一次純水システムは、前処理された水のタンク、熱交換器、逆浸透膜処理装置(RO装置)、イオン交換装置(混床式又は4床5塔式など)及び脱気装置を備え、さらにUV装置を備えることもある。
【0040】
二次純水システムは、純水タンク、ポンプ、熱交換器、低圧紫外線酸化装置(UV装置)、イオン交換装置及び限外濾過膜(UF膜)分離装置を備えている。さらにガス溶解膜装置を備えることもある。低圧紫外線酸化装置の低圧紫外線ランプより出される185nmの紫外線によりTOCを有機酸、さらにはCO
2まで分解する。分解により生成した有機物及びCO
2は後段のイオン交換装置で除去される。限外濾過膜分離装置では、微粒子が除去され、イオン交換樹脂からの流出粒子も除去されて超純水となる。
【0041】
図14は超純水製造装置の一例を示すフロー図である。
図14中U/Pはユースポイントを表わす。本発明のプレート式熱交換器は、
図14以外の超純水製造装置の熱交換器としても用いることができる。
【0042】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態とされてもよい。
【0043】
前記の通り、特許文献2には、プレート10,10間からの空気抜きがなされるように、
図13に示したように、伝熱プレート10の各流通孔12a,12b,13a,13bの上下に、先端がガスケットの内周に限りなく近接する切欠き18,19を設けることが記載されている。
【0044】
本発明においても、伝熱プレート10の各流通孔12a,12b,13a,13bの上下に、先端がガスケットの内周に限りなく近接する切欠き18,19を設けてもよい。切欠き18,19を設ける代りに、流通孔をガスケットの内周に限りなく近接させてもよい。
【0045】
上記実施の形態では純水を加熱するようにしているが、純水以外の液体の加熱又は冷却にも用いることができる。
【0046】
本発明のプレート式熱交換器は、複数台並列に設けられてもよい。この場合、一部のプレート式熱交換器について洗浄、メンテナンス等を行っているときに他のプレート式熱交換器で定常運転を行うように運用してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1,1A,1B プレート式熱交換器
2 フロントフレーム
3 エンドフレーム
10,10D,10E 伝熱プレート
12a,12b,13a,13b 流通孔
21〜25 純水通路
31〜34 熱媒体通路
40 ノズル
42 小孔