(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の微小試料台の実施形態1を示す外観斜視図。
【
図2】
図1の微小試料台の製造方法を説明するための図であり、(a)は最初の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図3】(a)は
図2の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図4】(a)は
図3の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図5】(a)は
図4の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図6】(a)は
図5の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図7】(a)は
図6の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図8】(a)は
図7の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図9】(a)は
図8の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図10】(a)は
図9の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図11】(a)は
図10の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図12】(a)は
図11の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図13】(a)は
図12の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図14】(a)は
図13の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図15】(a)は
図14の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図16】(a)は
図15の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図17】(a)は
図16の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図18】(a)は
図17の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図19】(a)は
図18の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図20】(a)は
図19の次の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の上面図。
【
図21】本発明の微小試料台の実施形態2を示す外観斜視図。
【
図22】(a)は
図21の微小試料台の製造方法を説明するための図であり、(a)は最初の工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図23】(a)は
図22の次の工程を示す断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図24】(a)は
図23の次工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図25】(a)は
図24の次工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図26】(a)は
図25の次工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図27】(a)は
図26の次工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図28】(a)は
図27の次工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図29】(a)は
図28の次工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図30】(a)は
図29の次工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図31】(a)は
図30の次工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図32】(a)は
図31の次工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図33】(a)は
図32の次工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図34】(a)は
図33の次工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図35】(a)は
図34の次工程におけるシリコン素材の断面図、(b)は(a)の下面図。
【
図36】本発明の微小試料台の実施形態3を示す外観斜視図。
【
図37】(a)、(b)は、それぞれ、アライメント用マーク部の変形例を示す上方からの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
−実施形態1−
[微小試料台の構造]
以下、本発明の微小試料台1の実施形態1を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の微小試料台1の実施形態1の外観斜視図である。
微小試料台1は、ベース部10と、3つの中間台部20と、3つの試料固定部30と、3つのアライメント用マーク部40とを有する。ベース部10と、3つの中間台部20と、3つの試料固定部30と、3つのアライメント用マーク部40とは、シリコンにより一体に形成されている。
【0010】
ベース部10は、例えば、長手方向の長さが1mm程度の直方体形状を有する。ベース部10の形状を、半円形状や扇形とすることもできる。3つの中間台部20は、ベース部10の長手方向に沿って配列されている。各中間台部20は、直方体形状を有する。中間台部20の厚さは、ベース部10の厚さよりも小さく、各中間台部20は、ベース部10の厚さ方向のほぼ中央に配置されている。3つの中間台部20は、長さ、厚さ、高さがほぼ同一に形成されている。しかし、3つの中間台部20は、長さ、厚さ、高さの1つまたはすべてが異なる構造とすることも可能である。
【0011】
各中間台部20の上面には、試料固定部30が設けられている。各試料固定部30は、直方体形状を有する。試料固定部30の長さおよび厚さは、中間台部20の長さおよび厚さよりも小さく、各試料固定部30は、中間台部20の厚さ方向のほぼ中央に配置されている。試料固定部30の厚さは、例えば、5μm程度である。3つの試料固定部30は、長さ、厚さ、高さがほぼ同一に形成されている。しかし、3つの試料固定部30は、長さ、厚さ、高さの1つまたはすべてが異なる構造とすることも可能である。
【0012】
各試料固定部30の上面31には、アライメント用マーク部40が設けられている。アライメント用マーク部40は試料固定部30の上面31から突出する突起として形成されている。アライメント用マーク部40である突起は、円柱状を有する。突起の直径は、試料固定部30の厚さよりも小さい。突起は、それぞれ、試料固定部30の中央部から外れた、長手方向の端部側寄りに配置されている。また、各突起は、厚さ方向においても、試料固定部30の中央部から外れた、側面部側寄りに配置されている。突起の形状は、角柱状とすることもできる。中間台部20および試料固定部30は3つに限られるものではなく、2つまたは4つ以上とすることができる。また、中間台部20および試料固定部30は、1つとすることもできる。
【0013】
微小試料Mは、各試料固定部30の長手方向に延在する側面32あるいは厚さ方向に延在する側面33に固定される。試料固定部30に固定された微小試料は、TEM、SEMまたはX線分散分析計等の分析装置により分析される。
【0014】
このように、微小試料台1には、複数のアライメント用マーク部40が形成されている。アライメント用マーク部40は、試料固定部30と同一材料で形成されている。しかし、アライメント用マーク部40は、試料固定部30の上面から突出する突起として形成されている。このため、不図示のカメラ等により試料固定部30の上方からアライメント用マーク部40を撮像し、エッジ抽出処理によりアライメント用マーク部40の輪郭を認識することができる。アライメント用マーク部40の輪郭が認識されれば、微小試料の取付位置を演算により算出することができる。そして、図示はしないが、プローブ等の保持具により微小試料を移送して、試料固定部30の所定の位置に取付けることができる。これにより、微小試料の微小試料台1への取付けの自動化が可能となる。微小試料の微小試料台1への取付けを自動化することにより、微小試料の分析作業を自動化することが可能となり、作業の効率化を図ることができる。
【0015】
[微小試料台の製造方法]
図2〜
図20を参照して、
図1に図示された微小試料台1の製造方法を説明する。
先ず、長さ、厚さおよび高さのそれぞれが、微小試料台1よりも大きいシリコン素材50を準備する。
そして、
図2(a)、(b)に示されるように、フォトリソグラフィ技術を用いて、フォトレジストパターン61を形成する。
図2(a)はシリコン素材50の断面図であり、
図2(b)は、
図2(a)の下面図である。なお、フォトリソグラフィ技術は、従来より知られているように、フォトレジストを膜付けし、マスクを用いて露光し、現像することにより、マスク形状に対応したフォトレジストのパターンを形成する技術である。
フォトレジストパターン61は、外周部61aの中央にシリコン素材50の下面を露出する矩形の開口部61bが形成され、開口部61bの中央に、矩形の中央部61cが外周部61aから分離して形成されたパターンを有する。中央部61cの平面形状およびサイズは、微小試料台1のベース部10の平面形状およびサイズと同一にする。
【0016】
図3(a)は
図2の次の工程におけるシリコン素材50の断面図であり、
図3(b)は
図3(a)の下面図である。
ドライエッチングにより、フォトレジストパターン61の開口部61bから露出するシリコン素材50をエッチングして、シリコン素材50に枠状の溝部51を形成する。
【0017】
図4(a)は
図3の次の工程におけるシリコン素材50の断面図であり、
図4(b)は
図4(a)の下面図である。
洗浄により、シリコン素材50の下面に形成されているフォトレジストパターン61を除去する。
【0018】
図5(a)は
図4の次の工程におけるシリコン素材50の断面図であり、
図5(b)は
図5(a)の上面図である。
シリコン素材50を酸化して、シリコン素材50の全表面に被覆用絶縁膜62を形成する。つまり、被覆用絶縁膜62は、酸化シリコンにより形成されている。
図6(a)は
図5の次の工程におけるシリコン素材50の断面図であり、
図6(b)は
図6(a)の上面図である。
シリコン素材50の全表面に形成された被覆用絶縁膜62のうち、シリコン素材50の上面52に形成された上部62a(
図5(a)参照)を除去し、シリコン素材50の上面52を露出する。被覆用絶縁膜62の上部62aの除去は、例えば、ドライエッチングにより行う。被覆用絶縁膜62の上部62aの除去は、ウエットエッチングにより行うようにしてもよい。
【0019】
図7(a)は
図6の次の工程におけるシリコン素材50の断面図であり、
図7(b)は
図7(a)の上面図である。
露出されたシリコン素材50の上面52に、フォトリソグラフィ技術を用いて、フォトレジストパターン63を形成する。フォトレジストパターン63は、矩形パターン63aと、矩形パターン63aのほぼ中央に、直線状に配列された3つの矩形開口63bと、各矩形開口63b内に形成された1つの円形パターン63cとを有する。矩形開口63bの平面形状およびサイズは、試料固定部30の平面形状およびサイズと同一にする。円形パターン63cの平面形状およびサイズは、アライメント用マーク部40の平面形状およびサイズと同一にする。
【0020】
図8(a)は
図7の次の工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図8(b)は
図8(a)の上面図である。
フォトレジストパターン63をマスクとして、シリコン素材50の上面52を、ドライエッチング等により除去する。除去する深さは、アライメント用マーク部40の高さと同一にする。以下の工程で示すように、円形パターン63cの下部に形成されるシリコン素材50の突起部53は、微小試料台1のアライメント用マーク部40として形成されることになる。
【0021】
図9(a)は
図8の次の工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図9(b)は
図9(a)の上面図である。
フォトレジストパターン63が形成されたシリコン素材50の上面52全体に、マーク形成用絶縁膜64を形成する。マーク形成用絶縁膜64は、シリコン酸化膜により形成されており、例えば、スパッタにより形成される。マーク形成用絶縁膜64は、シリコン素材50の上面52上における、矩形パターン63a上の部分64a、3つの円形パターン63c上の部分64c、3つの矩形開口63b内の矩形形状の部分64b、および矩形パターン63aの外周の部分64dを有する。上述した通り、フォトレジストパターン63の矩形開口63bの平面形状およびサイズは、試料固定部30の平面形状およびサイズと同一である。従って、マーク形成用絶縁膜64の各矩形形状の部分64bの平面形状およびサイズは、試料固定部30の平面形状およびサイズと同一となる。
【0022】
図10(a)は
図9の次の工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図10(b)は
図10(a)の上面図である。
リフトオフにより、フォトレジストパターン63と共にマーク形成用絶縁膜64の部分64a、64cを、シリコン素材50の上面52から除去する。これにより、シリコン素材50の上面52のうち、矩形パターン63aの下方に位置している一部52a、および円形パターン63cの下方に位置している一部53aが露出する。しかし、マーク形成用絶縁膜64の部分64b、64dは、シリコン素材50の上面52上に残っている。
【0023】
図11(a)は
図10の次の工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図11(b)は
図11(a)の上面図である。
シリコン素材50の上面52全面に、スパッタ等により、アルミニウ等の金属膜65を形成する。これにより、シリコン素材50の上面52上に形成されているマーク形成用絶縁膜64の部分64b、64dおよびマーク形成用絶縁膜64から露出しているシリコン素材50の上面52の一部52a、53aが金属膜65により覆われる。
【0024】
図12(a)は
図11の次の工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図12(b)は、
図12(a)の上面図である。
金属膜65上に、フォトリソグラフィ技術を用いて、3つのフォトレジストパターン66を形成する。各フォトレジストパターン66は、シリコン素材50の上面52の一部53aおよびその周囲を覆う位置および大きさに形成する。
【0025】
図13(a)は
図12の次の工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図13(b)は
図13(a)の上面図である。
3つのフォトレジストパターン66をマスクとして、金属膜65をエッチングする。これにより、金属膜65は、フォトレジストパターン66下部の一部65aのみが残り、シリコン素材50の上面52の一部52aが露出される。しかし、3つの金属膜65に対応するシリコン素材50の上面52の一部53aおよびその周囲は、金属膜65およびフォトレジストパターン66により覆われている。
【0026】
図14(a)は
図13の次の工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図14(b)は
図14(a)の上面図である。
3つのフォトレジストパターン66を除去する。
【0027】
図15(a)は
図14の次の工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図15(b)は
図15(a)の上面図である。
金属膜65の一部65aが形成されたシリコン素材50の上面52上に、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン67を形成する。
フォトレジストパターン67は、矩形の外周パターン67aと、外周パターン67aのほぼ中央に形成された開口部67bと、開口部67b内に形成された3つの内側パターン67cとを有する。各内側パターン67cは、金属膜65の一部65a、マーク形成用絶縁膜64の矩形形状の部分64b、およびその周囲を覆って形成される。各内側パターン67cの平面形状およびサイズは、微小試料台1の中間台部20の平面形状およびサイズと同一にする。
【0028】
図16(a)は
図15の次の工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図16(b)は
図16(a)の上面図である。
フォトレジストパターン67をマスクとして、シリコン素材50の上面52の一部52aをドライエッチング等により除去して、シリコン素材50に枠状の溝54を形成する。溝54の深さは、試料固定部30の高さより高くする。但し、溝54の深さは、溝部51には達しないように、溝54と溝部51との間に溝間部分56が形成されるようにする。
【0029】
図17(a)は
図16の次の工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図17(b)は
図17(a)の上面図である。
フォトレジストパターン67を除去し、マーク形成用絶縁膜64の外周の部分64dおよび金属膜65の一部65aを露出する。
【0030】
図18(a)は
図17の次の工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図18(b)は
図18(a)の上面図である。
マーク形成用絶縁膜64の外周の部分64d、金属膜65の一部65aおよびマーク形成用絶縁膜64の矩形形状の部分64bの部分をマスクとして、シリコン素材50の上面52の一部52aをドライエッチングにより除去し、溝54の内方に、内側溝55を形成する。マーク形成用絶縁膜64の各矩形形状の部分64bの平面形状およびサイズは、試料固定部30の平面形状およびサイズと同一である。このため、シリコン素材50の内側溝55の内側に、3つの試料固定部30が形成される。また、ドライエッチングにより、シリコン素材50の溝54と溝部51との間の溝間部分56も厚さ方向に除去され、溝54と溝部51との間には、被覆用絶縁膜62のみが残る。内側溝55の深さは、試料固定部30の高さと同一にする。なお、この状態において、シリコン素材50の突起部53の上面は、金属膜65の一部65aにより覆われており、シリコン素材50の突起部53は、シリコン素材50の上面52の一部52aをドライエッチングにより除去する際、エッチングされることはない。
【0031】
図19(a)は
図18の次の工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図19(b)は
図19(a)の上面図である。
エッチングにより、シリコン素材50の上面52の一部52a上に形成されている金属膜65の一部65aをエッチングする。これにより、シリコン素材50の上面52の一部53aは、外部に露出される。
【0032】
図20(a)は
図19の次工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図20(b)は
図20(a)の下面図である。
ウエットエッチングにより、シリコン素材50の表面に形成されているマーク形成用絶縁膜64および被覆用絶縁膜62を除去する。マーク形成用絶縁膜64および被覆用絶縁膜62はシリコン酸化膜により形成されているため、シリコン酸化膜のウエットエッチング処理により、マーク形成用絶縁膜64の部分64c、64dおよび被覆用絶縁膜62のすべてが除去される。マーク形成用絶縁膜64の部分64c、64dが除去されることにより、試料固定部30の上面31に突起部53がアライメント用マーク部40として突出して形成される。また、被覆用絶縁膜62が除去されることにより、シリコン素材50の中央領域が周囲部分から分離されて、
図1に図示される微小試料台1が形成される。
【0033】
上記本発明の実施形態1によれば、下記の効果を奏する。
(1)微小試料台1は、ベース部10と、微小試料が固定される試料固定部30と、複数のアライメント用マーク部40とを備える。このため、カメラ等の撮像装置によりアライメント用マーク部40を読み取り、演算により試料固定部30の位置を検出し、微小試料を試料固定部30の所定位置に位置決めすることが可能となる。これにより、微小試料の微小試料台1への取付けの自動化が可能となり、作業の効率化を図ることができる。
【0034】
(2)微小試料台1は、ベース部10と、試料固定部30と、複数のアライメント用マーク部40とが、同一材料により一体に形成された構造を有する。このため、複数のアライメント用マーク部40をエッチング等により迅速に形成ることが可能となり、微小試料台1の作製が効率的となる。
【0035】
(3)上記(2)において、材料をシリコンとすると、精度よく形成することができる。
【0036】
(4)ベース部10上に複数の試料固定部30を設け、アライメント用マーク部40を、複数の試料固定部30に1つずつ設ける構成となっている。このため、各微小試料を、アライメント用マーク部40の近傍に取付けることができ、位置合わせが容易となる。また、これに伴い、位置合わせの精度を向上することができる。
【0037】
(5)アライメント用マーク部40は、試料固定部30の上面31に設けられているため、カメラ等による撮影が容易となる。なお、アライメント用マーク部40を試料固定部30の上面31における、中央部から外れた側面部側寄りに配置しているので、微小試料を試料固定部30の上面31に固定する場合でも、アライメント用マーク部40が微小試料を固定する際の障害物となることはない。
【0038】
(6)アライメント用マーク部40を、試料固定部30の上面31から突出する突起部63として形成した。このため、微小試料台1全体が同一の材料により形成されていても、アライメント用マーク部40を撮像し、エッジ抽出処理によりアライメント用マーク部40の輪郭を認識することができる。
【0039】
−実施形態2−
[微小試料台の構造]
本発明の微小試料台の実施形態2を、図面を参照して説明する。
図21は、本発明の微小試料台1Aの実施形態2の外観斜視図である。
実施形態2の微小試料台1Aは、アライメント用マーク部40Aが、凹部57(
図35参照)として形成されている点で、実施形態1と相違する。実施形態2の微小試料台1Aは、上記以外は、すべて、実施形態1と同様であり、対応する部材に同一の符号を付して説明を省略する。
【0040】
実施形態2のアライメント用マーク部40Aは、各試料固定部30の上面31に、1つずつ形成されている。アライメント用マーク部40Aは、円形状の凹部57(
図34(a)参照)である。アライメント用マーク部40Aの平面形状および位置は、実施形態1のアライメント用マーク部40と同一であっても、異なるものであってもよい。アライメント用マーク部40Aとしての凹部57の深さは、アライメント用マーク部40を撮像し、エッジ抽出処理が可能であればよく、特に、条件となる事項はない。
【0041】
[微小試料台の製造方法]
図22〜
図36を参照して、
図21に図示された微小試料台1の製造方法を説明する。
微小試料台1Aの製造方法は、
図22〜
図30に示す工程は、実施形態1の微小試料台1の製造方法の
図2〜
図10に示す工程と同一である。
従って、
図22〜
図30に示される工程に関する説明は省略する。
【0042】
図30に示す状態では、シリコン素材50の下方側には、枠状の溝部51が形成されており、シリコン素材50の上面52にマーク形成用絶縁膜64が形成されている。マーク形成用絶縁膜64は、外周の部分64dと、矩形形状の部分64bとを有しており、外周の部分64dと矩形形状の部分64cとの間からは、シリコン素材50の上面52の一部52a、53aが露出している。
【0043】
図31(a)は
図30の次工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図31(b)は
図31(a)の下面図である。
マーク形成用絶縁膜64からシリコン素材50の上面52の一部52aが露出された状態で、シリコン素材50の上面52上に、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジストパターン71を形成する。
フォトレジストパターン71は、矩形の外周パターン71aと、外周パターン71aのほぼ中央に形成された開口部71bと、開口部71b内に形成された3つの内側パターン71cとを有する。内側パターン71cは、
図30に示すマーク形成用絶縁膜64の3つの部分64b、およびその周囲を覆って形成される。各内側パターン71cの平面形状およびサイズは、微小試料台1の中間台部20の平面形状およびサイズと同一にする。
【0044】
図32(a)は
図31の次工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図32(b)は
図32(a)の下面図である。
フォトレジストパターン71をマスクとして、シリコン素材50の上面52の一部52aをドライエッチング等により除去して、シリコン素材50に枠状の溝54を形成する。溝54の深さは、試料固定部30の高さより高くする。但し、溝54の深さは、溝部51には達しないように、溝54と溝部51との間に溝間部分56が形成されるようにする。
【0045】
図33(a)は
図32の次工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図33(b)は
図33(a)の下面図である。
シリコン素材50の上面52上に形成されたフォトレジストパターン71を除去する。フォトレジストパターン71を除去することにより、シリコン素材50の上面52の一部53aが露出する。
【0046】
図34(a)は
図33の次工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図34(b)は
図34(a)の下面図である。
マーク形成用絶縁膜64の外周の部分64dおよび矩形形状の部分64bをマスクとして、シリコン素材50の上面52の一部52a、53aをドライエッチングにより除去する。シリコン素材50の上面52の一部52aをドライエッチングすることにより、溝54の内方に内側溝55が形成される。マーク形成用絶縁膜64の各矩形形状の部分64bの平面形状およびサイズは、試料固定部30の平面形状およびサイズと同一である。このため、シリコン素材50の内側溝55の内側に、3つの試料固定部30が形成される。また、シリコン素材50の上面52の一部53aをドライエッチングすることにより、シリコン素材50に凹部57が形成される。凹部57は、アライメント用マーク部40Aとなる。また、ドライエッチングにより、シリコン素材50の溝54と溝部51との間の溝間部分56も厚さ方向に除去され、溝54と溝部51との間には、被覆用絶縁膜62のみが残る。内側溝55の深さは、試料固定部30の高さと同一にする。
【0047】
図35(a)は
図34の次工程におけるシリコン素材の断面図であり、
図35(b)は
図35(a)の下面図である。
ウエットエッチングにより、シリコン素材50の表面に形成されているマーク形成用絶縁膜64および被覆用絶縁膜62を除去する。マーク形成用絶縁膜64および被覆用絶縁膜62はシリコン酸化膜により形成されているため、シリコン酸化膜のウエットエッチング処理により、マーク形成用絶縁膜64の部分64b、64dおよび被覆用絶縁膜62のすべてが除去される。マーク形成用絶縁膜64の部分64b、64dが除去されることにより、試料固定部30の上面に凹部57がアライメント用マーク部40Aとして形成される。また、被覆用絶縁膜62が除去されることにより、シリコン素材50の中央領域が周囲部分から分離されて、
図21に図示される微小試料台1Aが形成される。
【0048】
実施形態2の微小試料台1Aにおいても、シリコンにより形成されたベース部10と試料固定部30と共に、複数のアライメント用マーク部40Aとが形成されている。アライメント用マーク部40Aは、複数の試料固定部30の上面31に1つずつ設けられている。各アライメント用マーク部40Aは、試料固定部30の上面31における、中央部から外れた側面部側寄りに配置されている。従って、実施形態2の微小試料台1Aは、実施形態1の微小試料台1の効果(1)、(3)〜(6)と同様な効果を奏する。
【0049】
−実施形態3−
図36は、本発明の微小試料台1Bの実施形態3を示す外観斜視図である。
実施形態3の微小試料台1Bでは、アライメント用マーク部40Bは、各中間台部20に形成されている点、およびアライメント用マーク部40Bは、中間台部20のコーナー部の面取りとして形成されている点で、実施形態1、2とは相違する。実施形態3の微小試料台1Bは、上記以外は、すべて、実施形態1と同様であり、対応する部材に同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
すなわち、アライメント用マーク部40Bは、各中間台部20の上面21と、中間台部20の配列方向に直交する一側面22とのコーナー部に面取りとして形成されている。このような面取りとして形成されたアライメント用マーク部40Bも、カメラにより撮像して、その位置を検出することができる。従って、実施形態3の微小試料台1Bは、実施形態2の微小試料台1Aと同様な効果を奏する。
【0051】
なお、実施形態3の微小試料台1Bにおいて、中間台部20に形成するアライメント用マーク部40Bを、実施形態1として示す突起部53としたり、実施形態2として示す凹部57としたりしてもよい。
逆に、実施形態1のアライメント用マーク部40としての突起部53や実施形態2のアライメント用マーク部40Aとしての凹部57を、実施形態3に示す面取り構造のアライメント用マーク部40Bとしてもよい。
【0052】
アライメント用マーク部40、40A、40Bを、切欠きとしてもよい。本明細書では、凹部、切欠きを含めて溝と定義する。
【0053】
アライメント用マーク部40、40A、40Bは、ベース部10に設けてもよい。
【0054】
上記実施形態の微小試料固定台1、1A、1Bは、アライメント用マーク部40、40A、40Bを、3つ設けた構造として例示した。しかし、アライメント用マーク部40、40A、40Bは、微小試料固定台1、1A、1Bに1つ形成すればよい。
図37(a)、(b)は、それぞれ、アライメント用マーク部40、40A、40Bの変形例を示す上方からの平面図である。
図37(a)は、L字形状のアライメント用マーク部40Cを示す。また、
図37(b)は、+字形状のアライメント用マーク部40Dを示す。アライメント用マーク部40C、40Dは、相互に直交する二つの側辺を有しているため、この二つの側辺を検出して、微小試料台40、40Aの方向を算出することができる。ライメント用マーク部40C、40Dは、実施形態1に示す円形の突起部53あるいは実施形態2に示す円形の凹部57に替えて採用することができる。
【0055】
複数のアライメント用マーク部40、40A、40Bは、突起と溝等、異なる形態で形成してもよい。
【0056】
上記実施形態の微小試料固定台1、1A、1Bは、ベース部10と試料固定部30との間に中間台部20を設けた構造として例示した。しかし、中間台部20を設けず、ベース部10上に、直接、試料固定部30を形成する構造としてもよい。また、中間台部20を、複数段、設ける構造としてもよい。
【0057】
上記実施形態の微小試料固定台1、1A、1Bは、ベース部10上に3つの試料固定部30を設けた構造として例示した。しかし、試料固定部30は、1つとしてもよい。
【0058】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。