(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に基づいて構成された計測装置の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1には、本発明の計測装置を備えた研削装置1の全体斜視図、及び本発明の計測装置により厚み、又は高さが計測される板状物としてのウエーハ10が示されている。
【0012】
図1に示す研削装置1は、全体を番号2で示す装置ハウジングを備えている。この装置ハウジング2は、略直方体形状の主部21と、該主部21の後端部(
図1において右上端)に設けられ上方に延びる直立壁22とを有している。直立壁22の前面には、研削手段としての研削ユニット3が上下方向に移動可能に装着されている。
【0013】
研削ユニット3は、移動基台31と該移動基台31に装着されたスピンドルユニット4を備えている。移動基台31は、直立壁22に配設された一対の案内レールと摺動可能に係合するように構成されている。このように直立壁22に設けられた一対の該案内レールに摺動可能に装着された移動基台31の前面には、前方に突出した支持部を介して研削手段としてのスピンドルユニット4が取り付けられる。
【0014】
該スピンドルユニット4は、スピンドルハウジング41と、該スピンドルハウジング41に回転自在に配設された回転スピンドル42と、該回転スピンドル42を回転駆動するための駆動源としてのサーボモータ43とを備えている。スピンドルハウジング41に回転可能に支持された回転スピンドル42は、一端部(
図1において下端部)がスピンドルハウジング41の下端から突出して配設されており、下端部にはホイールマウント44が設けられている。そして、このホイールマウント44の下面に研削ホイール5が取り付けられる。この研削ホイール5の下面には複数のセグメントから構成された研削砥石51が配設されている。
【0015】
図示の研削装置1は、研削ユニット3を該一対の案内レールに沿って上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向)に移動させる研削ユニット送り機構6を備えている。この研削ユニット送り機構6は、直立壁22の前側に配設され実質上鉛直に延びる雄ねじロッド61、該雄ねじロッド61を回転駆動するための駆動源としてのパルスモータ62を備え、該移動基台31の背面に備えられた図示しない雄ねじロッド61の軸受部材等から構成される。このパルスモータ62が正転すると移動基台31即ち研磨ユニット3が下降即ち前進させられ、パルスモータ62が逆転すると移動基台31即ち研削ユニット3が上昇即ち後退させられる。
【0016】
上記ハウジング2の主部21に被加工物としての板状物(ウエーハ10)を保持する保持手段としてのチャックテーブル機構7が配設されている。チャックテーブル機構7は、チャックテーブル71と、該チャックテーブル71の周囲を覆うカバー部材72と、該カバー部材72の前後に配設された蛇腹手段73および74を備えている。チャックテーブル71は、その上面(保持面)にウエーハ10を図示しない吸引手段を作動することにより吸引保持するように構成されている。さらに、チャックテーブル71は、図示しない回転駆動手段によって回転可能に構成されると共に、図示しないチャックテーブル移動手段によって
図1に示す被加工物載置域70aと研削ホイール5と対向する研削域70bとの間(矢印Xで示すX軸方向)で移動させられる。
【0017】
なお、上述したサーボモータ43、パルスモータ62、図示しないチャックテーブル移動手段等は、後述する制御手段20により制御される。また、ウエーハ10は、図示の実施形態においては外周部に結晶方位を表すノッチが形成されており、その表面に保護部材としての保護テープ12が貼着され、この保護テープ12側がチャックテーブル71の上面(保持面)に保持される。
【0018】
図示の研削装置1は、チャックテーブル71に保持されるウエーハ10の厚み、高さを計測する計測装置8を備えている。この計測装置8は、計測ハウジング80に内蔵されており、計測ハウジング80は、図に示すように装置ハウジング2を構成する直方体形状の主部21の上面において、チャックテーブル71が被加工物載置領域70aから研削域70b間を移動させられる経路途中の側方に配設され、チャックテーブル71が被加工物載置領域70aと研削域70b間を移動する際に、チャックテーブル71上に保持されるウエーハ10の全体を上方から計測可能に配置されている。該計測装置8について、
図2を参照してさらに説明する。
【0019】
図示の実施形態における計測装置8は、被加工物としてのウエーハ10に対して透過性を有する所定の波長領域(例えば、波長1000nm〜1100nm)を含む光を発するブロードバンド光源としての発光源81と、該発光源81からの光8aを反射しつつ所定の波長領域に分光する分光器82を備えている。該発光源81は、LED、SLD(Superluminescent diode)、ASE(Amplified Spontaneous Emission)、SC(Supercontinuum)、ハロゲン光源等を選択することができる。該分光器82は、回析格子により構成され、該回析格子の作用により、1000nm〜1100nm波長から構成される光8aが分光され所定の広がりを持った光8bを形成する。該光8bは、図中下方側に短い波長(1000nm)、上方側に長い波長(1100nm)の光によって構成されるように分光される。
【0020】
分光器82により分光され反射された光8bは、各波長の光を時間経過でその分配方向を変更する機能を有する分配手段により反射される。該分配手段は、各辺が反射面(ミラー)からなる例えば正8面体からなるポリゴンミラー83により構成され、該ポリゴンミラー83は、図中右回りに、所定の回転速度で回転するように構成されている。ポリゴンミラー83の反射面に入射した光8bは、所定の広がりをもって反射され光8cとなってポリゴンミラー83の反射面と対向して配置された集光レンズ84に入射する。集光レンズ84により各波長の光が集光された光8cは、所定間隔で順に配列されて端部が保持部材85で保持された光伝達手段を構成する例えば18本の光ファイバー(1)〜(18)に入射する。なお、ウエーハの直径に対する光ファイバーの直径を小さくして光ファイバーの本数を増やす(例えば100本)ことにより後述する計測の分解能を高めることもできる。本実施形態では、ポリゴンミラー83が
図2に示すような所定の角度位置にあるとき、ポリゴンミラー83の一の反射面で反射された光が、全て集光レンズ84に入射される。該保持部材85に保持された光ファイバー(1)〜(18)に対して分光された波長毎に入射されるように分光器82、ポリゴンミラー83、集光レンズ84、及び保持部材85の設置位置、角度等が設定される。なお、ポリゴンミラー83の作用については、追って詳述する。
【0021】
該計測装置8は、光ファイバー(1)〜(18)に入射された光を、光ファイバー(1)〜(18)により形成された光の第1の経路8dを通りチャックテーブル71に保持されたウエーハ10に向かう第2の経路8e側に導くと共に、ウエーハ10で反射し該第2の経路8eを逆行する反射光を分岐して第3の経路8fに導くための光分岐手段86を備えている。なお、該第1〜第3の経路8d〜8fは、光ファイバー(1)〜(18)で構成されており、光分岐手段86は、例えば、偏波保持ファイバーカプラ、偏波保持ファイバーサーキュレータ、シングルモードファイバーカプラ等のいずれかから適宜選択される。
【0022】
光分岐手段86を介して第2の経路8eに導かれた光は、チャックテーブル71上に保持されたウエーハ10に臨む測定端子87に導かれる。該測定端子87は、Y軸方向に細長い形状をなし、計測対象であるウエーハ10の直径をカバーする寸法で形成されている。また、該測定端子87は、該光伝達手段を構成する複数の光ファイバー(1)〜(18)の他方の端部を2つの経路に分岐する分岐部87aと、集光部87bとで構成されている。該集光部87bには、該分岐部87aで分岐された一方の経路の端部毎に該光ファイバー(1)〜(18)を逆行する第1の戻り光を生成する複数のミラー89と、該分岐部87aで分岐された他方の経路の端部毎に導かれた光をチャックテーブル71に保持されたウエーハ10上に導く複数の対物レンズ88とが設けられており、該対物レンズ88、及びミラー89は、チャックテーブル71が移動する方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に列をなすように配設されている。なお、
図2では、説明の都合上該分岐部87aからミラー89までの距離が短く記載されているが、実際は、該分岐部87aからチャックテーブル71の上面までの距離を基準にしてミラー89の位置が設定される。
【0023】
該第3の経路8fは、第2の経路8eを逆行してくる光が、光分岐手段86において分岐され伝達される光ファイバー(1)〜(18)により形成され、その端部には、光の強度を検出する手段としてのラインイメージセンサー90が配設されている。ラインイメージセンサー90は、第3の経路8fを構成する光ファイバー(1)〜(18)の各端部に対応する位置において各光ファイバー(1)〜(18)から照射される光の光強度を検出可能に構成されており、計測された光強度は該計測装置8を構成する制御装置20に送られ、検出された時間(t)と共に該制御装置20の記憶部に記憶される。
【0024】
該制御手段20は、コンピュータにより構成され、制御プログラムに従って演算処理する中央演算処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納するリードオンリメモリ(ROM)と、検出した検出値、演算結果等を一時的に格納するための読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)と、入力インターフェース、及び出力インターフェースとを備えている(詳細についての図示は省略)。本実施形態における制御手段20は、研削装置1の各駆動部分を制御すると共に、該計測装置8を構成するものであり、上述したように、ラインイメージセンサー90の検出値を記憶し、ポリゴンミラー83、発光手段81を駆動することで、ウエーハ10の厚さ、高さを算出する機能を有するように構成されている。本実施形態の研削装置1、計測装置8は概略以上のように構成されており、その作用について以下に説明する。
【0025】
本発明の計測装置8によるウエーハ10の厚さ、高さの計測は、例えば、チャックテーブル71に載置されたウエーハ10を研削装置1によって研削した後、研削域70bから被加工物載置域70aに移動させることにより測定端子87の直下を通過させて行う。その際、制御手段20は、ラインイメージセンサー90による光の強度を示す検出信号から
図5に示すような分光干渉波形を求め、該分光干渉波形に基づいて波形解析を実行し、測定端子87に備えられたミラー89で反射して逆行する第1の戻り光が辿る光路長と、チャックテーブル71上に載置されたウエーハ10の上面、及び下面で反射され逆行する第2の戻り光が辿る光路長との差からウエーハ10の上面の高さ、下面の高さ、及びウエーハ10の厚み(T)を算出すことが可能である。具体的な算出方法については、後述する。
【0026】
本実施形態におけるウエーハ10の厚さ、及び高さを算出する手順について
図2〜4を参照しながら説明する。ポリゴンミラー83は上述したように、正8角形を成す各辺が反射面(ミラー)により構成されており、図示しないパルスモータ等の駆動手段によりその回転位置が時間(t)と関連付けられて制御手段20のランダムアクセスメモリ(RAM)に記憶されつつ、図中右回り方向に回転駆動される。
【0027】
発光源81から光が照射され、ポリゴンミラー83が図中矢印の方向に回転されると、分光器82により分光され広がりを有する光8bの一部がポリゴンミラー83の反射面83aで反射して反射光8cをなし、集光レンズ84に入射し始める。そして、ポリゴンミラー83の反射面83aが
図3(a)に示す状態になったとき、集光レンズ84にて集光された光8cの一部を構成する1000nm波長の領域が保持部材85に一端部が保持された光ファイバー(1)に入射する(時間t1)。光ファイバー(1)に入射した1000nm波長の光は、上述した光伝達手段を構成する第1、第2の経路8d、8eを進行し、測定端子87に到達する。該測定端子87に到達した1000nm波長の光は、分岐部87aで分岐され、一方の光はミラー89で反射して第1の戻り光となり、第2の経路8eを逆行して到達した光分岐手段86において、第3の経路8fを構成する光ファイバー(1)に分岐される。そして、該分岐された光はラインイメージセンサー90における光ファイバー(1)に割り当てられた位置に到達する。また、同時に分岐部87aにおいて対物レンズ88側に分岐された他方の光は、該測定端子87の直下をX軸方向に移動させられるウエーハ10の上面及び下面で反射し、第2の経路8eを逆行する第2の戻り光を形成し、光分岐手段86で分岐されラインイメージセンサー90における光ファイバー(1)に割り当てられた位置に到達する。その結果、光ファイバー(1)に対し光が入射した時間t1における第1、第2の戻り光により構成される反射光の光強度が検出される。この光強度は、時間t1と、照射されたウエーハ10のX軸方向のX座標、Y軸方向のY座標の位置と関連付けられて制御手段20のランダムアクセスメモリ(RAM)の任意の記憶領域に記憶される。
【0028】
なお、
図4は、横軸に時間(t)、縦軸に光ファイバー(1)〜(18)の端部の配設位置を示し、時間(t)の経過に伴い、ポリゴンミラー83で反射された1000nm〜1100nm波長の光のいずれの波長領域が、いずれの光ファイバー(1)〜(18)に入射されるかを示すものであり、例えば、時間t1で、光ファイバー(1)に1000nm波長の光が入射し始めることが理解される。この
図4に示す時間(t)と、いずれの波長領域が、いずれの光ファイバー(1)〜(18)に入射されるかを示す関係とが制御手段20に記憶されていることで、ラインイメージセンサー90で検出される光強度が、いずれの波長領域がいずれの光ファイバー(1)〜(18)に入射されているときに検出されたものであるのかを関連付けることができる。
【0029】
図3に戻り説明を続けると、時間t1で分光器82により分光された光が光ファイバー(1)に入射した以降、ポリゴンミラー83が引き続き回転することにより、光8bに対するポリゴンミラー83の反射面83aの向きが変化し、分光された光8bの1000nm〜1100nm波長の領域が図中下方に移動しながら、順次光ファイバー(1)〜(18)を保持する保持手段85に照射される。そして、時間t2においては、
図3(b)に示すように、光ファイバー(1)〜(18)に対して、分光器82により分光された光の領域の全てが入射された状態となる(
図4も併せて参照。)。この状態では、光ファイバー(1)に1100nm波長の光が入射し、光ファイバー(18)に1000nm波長の光が入射される。つまり、時間t1からt2にかけて光ファイバー(1)に対して、分光器82によって分光された1000nm〜1100nm波長領域の全てが入射されたことになる。
【0030】
図3(b)に示す状態から、さらにポリゴンミラー83が回転して時間t3に達すると、
図3(c)に示すように分光器82により分光された光の波長領域のうち、1100nm波長の領域が光ファイバー(18)に入射する状態となり、時間t1〜t3にかけて分光器82により分光された1000nm〜1100nm波長の光が光ファイバー(1)〜(18)の全てに照射される。なお、
図3、4から理解されるように、さらに時間が経過してt4になると、ポリゴンミラー83の反射面83aに隣接する反射面83bに対して分光された光8bが照射されて1000nm波長の光の領域が再び光ファイバー(1)に照射され始め、
図3(a)と同じ状態となり、以降同様の作動が繰り返される。
【0031】
上述したように、制御手段20には、時間(t)に関連付けられてラインイメージセンサー90によって検出される光強度と、
図4に示すような該時間(t)における各光ファイバー(1)〜(18)に対してポリゴンミラー83により分配される波長が記憶されており、両者を参照することで、各光ファイバー(1)〜(18)毎に
図5に示すような分光干渉波形を生成することができる。
図5は、例えば光ファイバー(1)について検出される分光干渉波形(F(1))を示しており、横軸は光ファイバーに入射される反射光波長(λ)、縦軸はラインセンサ90により検出される光強度を示している。
以下、制御手段20が上述した分光干渉波形に基づいて実行する波形解析に基づき、ウエーハ10の厚み、及び高さを算出する例について説明する。
【0032】
第2の経路8eにおける測定端子87の分岐部87aからミラー89までの光路長を(L1)とし、該測定端子87の分岐部87aからからチャックテーブル71に保持されたウエーハ10の上面までの光路長を(L2)とし、該測定端子87の分岐部87aからからチャックテーブル71に保持されたウエーハ10の下面までの光路長を(L3)とし、光路長(L1)と光路長(L2)との差を第1の光路長差(d1=L1−L2)、光路長(L1)と光路長(L3)との差を第2の光路長差(d2=L1−L3)、光路長(L3)と光路長(L2)との差を第3の光路長差(d3=L3−L2)とする。なお、上述したように、該光路長(L1)自体は変化しないものであり、測定端子87の分岐部87aからチャックテーブル71の上面までの距離を想定して設定されている。
【0033】
次に、制御手段20は、上述した
図5に示すような光ファイバー(1)〜(18)毎に対して生成された分光干渉波形に基づいて波形解析を実行する。この波形解析は、例えばフーリエ変換理論やウエーブレット変換理論に基づいて実行することができるが、以下に述べる実施形態においては下記数式1、数式2、数式3に示すフーリエ変換式を用いた例について説明する。
【0037】
上記数式において、λは波長、dは上記第1の光路長差(d1=L1−L2)、第2の光路長差(d2=L1−L3)、及び第3の光路長差(d3=L3−L2)、W(λn)は窓関数である。上記数式1は、cosの理論波形と上記分光干渉波形(I(λn))との比較で最も波の周期が近い(相関性が高い)、即ち分光干渉波形と理論上の波形関数との相関係数が高い光路長差(d)を求める。また、上記数式2は、sinの理論波形と上記分光干渉波形(I(λn))との比較で最も波の周期が近い(相関性が高い)、即ち分光干渉波形と理論上の波形関数との相関係数が第1の光路長差(d1=L1−L2)、第2の光路長差(d2=L1−L3)、及び第3の光路長差(d3=L3−L2)を求める。そして、上記数式3は、数式1の結果と数式2の結果の平均値を求める。
【0038】
制御手段20は、上記数式1、数式2、数式3に基づく演算を実行することにより、反射光に含まれる戻り光の各光路長差に起因する分光の干渉に基づき、
図6に示す信号強度の波形を得ることができる。
図6において横軸は光路長差(d)を示し、縦軸は信号強度を示している。
図6に示す例においては、光路長差(d)が450μmの位置、300μmの位置、150μmの位置で信号強度が高く表されている。即ち、光路長差(d)が450μmの位置の信号強度(a)は第1の光路長差(d1=L1−L2)の位置でありウエーハ11の上面の高さ(h)を表している。また、光路長差(d)が300μmの位置の信号強度(b)は第2の光路長差(d2=L1−L3)の位置でありウエーハ11の下面の高さ(h)を表している。さらに、光路長差(d)が150μmの位置の信号強度(c)は第3の光路長差(d3=L3−L2)の位置でありウエーハ10の厚み(T)を表している。そして、該測定端子87と該チャックテーブル71との相対的なX軸方向の位置と、Y軸方向に位置付けられた対物レンズ88の位置とで特定される計測位置の座標(X座標、Y座標)におけるウエーハ10の高さ(h)、厚み(T)を記憶する。このような計測を、ウエーハ10をX軸方向に移動させながら全面に対して実行する。
【0039】
以上のように、図示の実施形態における計測装置8によれば、ウエーハ10の厚み、及び高さを求めることができ、反射する反射光の光路長差に起因して得られる分光干渉波形に基づきウエーハ10の加工時におけるウエーハ10の上面、下面の高さ(h)、厚み(T)を検出するので、ウエーハ10の表面に貼着された保護テープ12の厚みの変化に影響されることなくウエーハ11の厚み(T)、高さを正確に計測することができる。
【0040】
計測装置8は以上のように構成されており、以下、該計測装置8を備えた研削装置1を用いてウエーハ10を所定の厚みに研削する手順について説明する。
【0041】
表面に保護テープ12が貼着されたウエーハ10は、
図1に示す研削装置1における被加工物載置域70aに位置付けられているチャックテーブル71上に保護テープ12側が載置され、図示しない吸引手段を作動することによってチャックテーブル71上に吸引保持される。従って、チャックテーブル71上に吸引保持されたウエーハ11は、裏面10bが上側となる。
【0042】
次に、制御手段20は、ウエーハ10を保持したチャックテーブル71の図示しない移動手段を作動し、チャックテーブル71を移動して研削域70bに位置付け、研削ホイール5の複数の研削砥石51の外周縁がチャックテーブル71の回転中心を通過するように位置付ける。
【0043】
このように研削ホイール5とチャックテーブル71に保持されたウエーハ10が所定の位置関係にセットされ、制御手段20は図示しない回転駆動手段を駆動してチャックテーブル71を例えば300rpmの回転速度で回転するとともに、上記したサーボモータ43を駆動して研削ホイール5を例えば6000rpmの回転速度で回転する。そして、ウエーハ10に対して研削水を供給しつつ、研削ユニット送り機構6のパルスモータ62を正転駆動し研削ホイール5を下降(研削送り)して複数の研削砥石51をウエーハ10の上面(裏面10b)である被研削面に所定の圧力で押圧する。この結果、ウエーハ10のである被研削面が研削される(研削工程)。
【0044】
研削工程を終えたならば、研削されたウエーハ10を保持したチャックテーブル71をX軸方向の前方に位置する被加工物載置域70a側に移動させることにより、ウエーハ10を計測装置8の測定端子87の直下に位置付けると共に、上述したように計測装置8を作動させてウエーハ10全面の各部位に対応する分光干渉波形を得ると共に波形解析して、ウエーハ10の厚み、及び高さを計測する。
図7に示す表は、測定端子87がウエーハ10の中心を通りY軸方向に沿った所定の位置において、ウエーハ10の厚み(T)、及び上面の高さ(h)を計測した例を示す。このような計測をウエーハ10のX軸方向における所定間隔毎に実行し、ウエーハ10の表面の高さ、厚みを記憶し、研削後のウエーハ10全面の厚み、及び高さを確認することで、研削工程の良否を判定すると共に、必要に応じて再研削を実施することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、分光器によって分光された各波長の光を時間経過で分配方向を変更する分配手段としてポリゴンミラー83を採用したが、本発明はこれに限定されず、時間経過と共に反射面の方向を制御することが可能な、例えば、ガルバノスキャナーを採用することができる。さらに、本実施形態では、反射光の光の強度を検出するための受光素子として、ラインイメージセンサー90を用いたが、これに限定されず、光ファイバー(1)〜(18)毎に対応させて配設するホトデテクタであってもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、該計測装置8による計測を、研削工程を終えたウエーハの全面に対して行うように説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、該計測装置8の計測ハウジング80の設置位置を
図1に示す研削域70bの近傍に設定すると共に、その計測ハウジング80の設置位置を移動可能に設置することもできる。そのように構成することで、研削装置のチャックテーブルに保持されたウエーハが研削ホイールの作用を受けて研削されている際に、露出したウエーハに対面して測定端子87を研削時に供給される研削水に水没させて位置付け、研削中のウエーハの厚みを計測することも可能であり、研削中のウエーハ10の厚みを制御手段20にフィードバックすることで所望の厚みに研削することが可能である。また、本発明に基づき構成される計測装置8は、本実施形態のように研削装置1に配設される必要はなく、研削装置1とは独立した一つの装置として構成したり、あるいは研削装置とは異なる他の加工装置に併設したりしてもよい。