特許第6730385号(P6730385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6730385金属化学機械平坦化(CMP)組成物およびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6730385
(24)【登録日】2020年7月6日
(45)【発行日】2020年7月29日
(54)【発明の名称】金属化学機械平坦化(CMP)組成物およびその方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20200716BHJP
   B82B 1/00 20060101ALI20200716BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20200716BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20200716BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20200716BHJP
【FI】
   C09K3/14 550D
   B82B1/00ZNM
   C09K3/14 550Z
   C09G1/02
   B24B37/00 H
   H01L21/304 622D
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2018-157629(P2018-157629)
(22)【出願日】2018年8月24日
(65)【公開番号】特開2019-39004(P2019-39004A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2018年11月16日
(31)【優先権主張番号】62/549,608
(32)【優先日】2017年8月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】16/110,422
(32)【優先日】2018年8月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】シアオボー シー
(72)【発明者】
【氏名】マーク レオナルド オニール
【審査官】 柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−029083(JP,A)
【文献】 特開2009−231298(JP,A)
【文献】 特開2010−062434(JP,A)
【文献】 特開2017−038070(JP,A)
【文献】 特表2006−506809(JP,A)
【文献】 特開2008−047816(JP,A)
【文献】 特開2005−082791(JP,A)
【文献】 特開2016−208005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
B24B 37/00
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属膜バルク化学機械研磨(CMP)またはシリカ貫通ビア(TSV)組成物であって、
a)0.0025質量%〜2.5質量%の範囲であり、そしてコロイド状シリカまたは高純度コロイド状シリカ、コロイド状シリカの格子内に他の金属酸化物がドープされたコロイド状シリカ粒子、コロイド状酸化アルミニウム、コロイド状かつ光活性二酸化チタン、酸化セリウム、コロイド状酸化セリウム、ナノサイズの無機金属酸化物粒子、ナノサイズのダイヤモンド粒子、ナノサイズの窒化ケイ素粒子、一峰性コロイド状研磨剤粒子、二峰性コロイド状研磨剤粒子、多峰性コロイド状研磨剤粒子、有機ポリマー系軟質研磨剤、表面被覆されたまたは表面変性された研磨剤、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される研磨剤、
b)0.5質量%〜2.5質量%の範囲であり、そしてアミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のキレート剤、該少なくとも1種キレート剤の少なくとも1つは、アミノ酸またはアミノ酸誘導体である、
c)0.01質量%〜0.1質量%の範囲であり、そして1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾールおよびベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾールおよびテトラゾール誘導体、イミダゾールおよびイミダゾール誘導体、ベンズイミダゾールおよびベンズイミダゾール誘導体、ピラゾールおよびピラゾール誘導体、テトラゾールおよびテトラゾール誘導体、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される腐食防止剤、
d)化学添加剤、
e)0.25質量%〜3質量%の範囲であり、そして過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウムおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、酸化剤、
f)0.0001質量%〜0.025質量%の範囲であり、そして5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの活性成分を有する殺生物剤、ならびに、
g)脱イオン(DI)水、蒸留水、および水系アルコール性有機溶媒からなる群から選択される水系溶媒、随意選択的に、
h)有機第四級アンモニウム塩、ならびに、
i)pH調整剤、
を含んでなり、
該組成物のpHは、5.5〜8.0であり、
該金属膜は、Cu膜、Co膜、W膜。Ni膜、Al膜、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして、
該化学添加剤は、0.0025質量%〜0.25質量%の範囲であり、そして以下の化学式分子構造を有するモルホリノ化合物またはオリゴマーである、
【化1】
式中、Rはモルホリノ6員環中の窒素原子に、共有結合を介して結合しており、正味の電荷を有していない、有機官能基であり、そしてRは、同じ分子中に1つの第1級アミン基、または2つもしくは3つ以上の第1級アミン基を有するアルキル第1級アミン、同じ分子中に1つの第2級アミン基、または2つもしくは3つ以上の第2級アミン基を有するアルキル第1級アミン、同じ分子中に1つのアミド基または2つもしくは3つ以上のアミド基を有するアルキルアミド、同じ分子中に1つの第1級アミン基、または2つもしくは3つ以上の第1級アミン基を有するアルケン第1級アミン、同じ分子中に1つの第2級アミン基、または2つもしくは3つ以上の第2級アミン基を有するアルケン第1級アミン、同じ分子中に1つのアミド基、または2つもしくは3つ以上のアミド基を有するアルケンアミド、同じ分子中に1つの第1級アミン基、または2つもしくは3つ以上の第1級アミン基を有するアルキン第1級アミン、同じ分子中に1つの第2級アミン基、または2つもしくは3つ以上の第2級アミン基を有するアルキン第1級アミン、同じ分子中に1つのアミド基、または2つもしくは3つ以上のアミド基を有するアルキンアミド、同じ分子中に1つの水酸基または2つもしくは3つ以上の水酸基を有するアルキルアルコール、同じ分子中に1つの水酸基または2つもしくは3つ以上の水酸基を有するアルケンアルコール、ならびに同じ分子内に1つの水酸基または2つもしくは3つ以上の水酸基を有するアルキンアルコールからなる群から選択される、
組成物
【請求項2】
前記アミノ酸および前記アミノ酸誘導体が、グリシン、D−アラニン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン(isolueciene)、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン(asparanine)、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リシン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして、前記有機アミンが以下の化学式およびそれらの組み合わせからなる群から選択される一般的な分子構造を有する、
【化2】
式中、nは2〜12であり、
【化3】
式中、RnはC〜C12を有する有機アルキル基を表し、nは1〜12であり、mは2〜12である。
【化4】
式中、RnおよびRmは、C〜C12を有する同じかまたは異なったアルキル基であることができ、nおよびmは、1〜12の数であり、pは2〜12である。
【化5】
式中、RnおよびRmは、C〜C12を有する同じかまたは異なったアルキル基であることができ、nおよびmは、1〜12の数であり、qは2〜12である。
【化6】
式中、nは1〜12であり、
【化7】
【化8】
式中、nおよびmはそれぞれ1〜12である、
請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記アミノ酸が、グリシン、D−アラニン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして前記アミンが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタレンジアミン(pentalene diamine)、へキシレンジアミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記化学添加剤が、3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(MOPDIO)、2−メチル−2−モルホリノプロパナール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、4−(3−ヒドロキシプロピル)モルホリン、(2−モルホリノフェニル)メタノール、2−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(4−モルホリニル)−2−オキソエタノール、4−(2−アミノエチル)モルホリン、2−(アミノメチル)モルホリン、モルホリン−2−イル(ピリジン−4−イル)メタノール、1−モルホリン−4−イルメチル−シクロヘキシルアミン、1−モルホリノヘキサン−1,3−ジオン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
前記有機第四級アンモニウム塩が、0.001質量%〜0.05質量%の範囲であり、そして以下に示される一般的な分子構造、
【化9】
式中、アニオンYは、炭酸水素塩、水酸化物、p−トルエンスルホン酸塩、重酒石酸塩および他の好適なアニオン性対イオンであることができる、
を有する、コリンおよび他のアニオン性対イオンの間で形成されたコリン塩であり、そして、
前記pH調整剤は、0.01質量%〜0.5質量%の範囲であり、そして(1)酸性のpH条件のためには、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機もしくは有機酸、およびそれらの混合物、あるいは(2)アルカリ性のpH条件のためには、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキル水酸化アンモニウム、有機第四級水酸化アンモニウム化合物、有機アミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項1記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、
コロイド状シリカ、
グリシン、D−アラニン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸、
3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(MOPDIO)、2−メチル−2−モルホリノプロパナール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、4−(3−ヒドロキシプロピル)モルホリン、(2−モルホリノフェニル)メタノール、2−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(4−モルホリニル)−2−オキソエタノール、4−(2−アミノエチル)モルホリン、2−(アミノメチル)モルホリン、モルホリン−2−イル(ピリジン−4−イル)メタノール、1−モルホリン−4−イルメチル−シクロヘキシルアミン、1−モルホリノヘキサン−1,3−ジオン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種、
過酸化水素、
水、随意選択的に、
エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタレンジアミン(pentalene diamine)、へキシレンジアミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のアミン、ならびに、
重炭酸コリン(CBC)、
を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、6.0〜7.5のpHを有する、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
化学機械研磨組成物またはシリカ貫通ビア(TSV)組成物を用いて、半導体基材の、少なくとも1つの金属もしくは金属含有表面を化学機械研磨する方法であって、以下の工程、
1)半導体基材を準備する工程、
2)研磨パッドを準備する工程、
3)請求項1記載の化学機械研磨またはシリカ貫通ビア(TSV)組成物を準備する工程、
4)前記半導体基材の少なくとも1つの金属もしくは金属含有表面を研磨する工程、
前記金属もしくは金属含有の少なくとも一部は、前記研磨パッドおよび前記化学機械研磨組成物の両方と接触しており、そして、
前記金属膜は、Cu膜、Co膜、W膜、Ni膜、Al膜、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、
を含んでなる方法。
【請求項9】
前記アミノ酸およびアミノ酸誘導体が、グリシン、D−アラニン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン(isolueciene)、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン(asparanine)、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リシン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして、
前記有機アミンが、以下の化学式およびそれらの組み合わせからなる群から選択される一般的な分子構造を有する、
【化10】
式中、nは2〜12であり、
【化11】
式中、Rnは、C〜C12を有する有機アルキル基を表し、nは1〜12であり、mは2〜12であり、
【化12】
式中、RnおよびRmは、C〜C12を有する同じかまたは異なるアルキル基であることができ、nおよびmは1〜12の数であり、pは2〜12であり、
【化13】
式中、RnおよびRmは、C〜C12を有する同じかまたは異なるアルキル基であることができ、nおよびmはそれぞれ1〜12の数であり、qは2〜12であり、
【化14】
式中、nは1〜12であり、
【化15】
【化16】
式中、nおよびmはそれぞれ1〜12である、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記アミノ酸が、グリシン、D−アラニン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして前記アミンが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタレンジアミン(pentalene diamine)、へキシレンジアミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記化学添加剤が、3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(MOPDIO)、2−メチル−2−モルホリノプロパナール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、4−(3−ヒドロキシプロピル)モルホリン、(2−モルホリノフェニル)メタノール、2−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(4−モルホリニル)−2−オキソエタノール、4−(2−アミノエチル)モルホリン、2−(アミノメチル)モルホリン、モルホリン−2−イル(ピリジン−4−イル)メタノール、1−モルホリン−4−イルメチル−シクロヘキシルアミン、1−モルホリノヘキサン−1,3−ジオン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記有機第四級アンモニウム塩が、0.001質量%〜0.05質量%の範囲であり、そして以下に示される一般的な分子構造、
【化17】
式中、アニオンYは、炭酸水素塩、水酸化物、p−トルエンスルホン酸塩、重酒石酸塩および他の好適なアニオン性対イオンであることができる、
を有する、コリンおよび他のアニオン性対イオンの間で形成されたコリン塩である、そして、
前記pH調整剤は、0.01質量%〜0.5質量%の範囲であり、そして(1)酸性のpH条件のためには、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機もしくは有機酸、およびそれらの混合物、あるいは(2)アルカリ性のpH条件のためには、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキル水酸化アンモニウム、有機第四級水酸化アンモニウム化合物、有機アミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、
コロイド状シリカ、
グリシン、D−アラニン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸、
3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(MOPDIO)、2−メチル−2−モルホリノプロパナール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、4−(3−ヒドロキシプロピル)モルホリン、(2−モルホリノフェニル)メタノール、2−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(4−モルホリニル)−2−オキソエタノール、4−(2−アミノエチル)モルホリン、2−(アミノメチル)モルホリン、モルホリン−2−イル(ピリジン−4−イル)メタノール、1−モルホリン−4−イルメチル−シクロヘキシルアミン、1−モルホリノヘキサン−1,3−ジオン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種、
過酸化水素、
水、随意選択的に、
エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタレンジアミン(pentalene diamine)、へキシレンジアミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のアミン、ならびに、
重炭酸コリン(CBC)、
を含む、請求項8記載の方法。
【請求項14】
前記化学機械研磨またはシリカ貫通ビア(TSV)組成物が、6.0〜7.5のpHを有する、請求項8記載の方法。
【請求項15】
半導体基材の少なくとも1つの金属もしくは金属含有表面を化学機械研磨する装置であって、
1)半導体基材、
2)研磨パッド、
3)請求項1記載の化学機械研磨またはシリカ貫通ビア(TSV)組成物、
を含んでなり、
前記少なくとも1つの金属もしくは金属含有表面の少なくとも一部は、前記研磨パッドおよび前記化学機械研磨またはシリカ貫通ビア(TSV)組成物の両方と接触しており、そして、
前記金属は、Cu、Co、W、Ni、Al、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、
装置。
【請求項16】
前記アミノ酸およびアミノ酸誘導体が、グリシン、D−アラニン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン(isolueciene)、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン(asparanine)、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リシン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして、
前記有機アミンが、以下の化学式およびそれらの組み合わせからなる群から選択される一般的な分子構造を有する、
【化18】
式中、nは1〜12であり、
【化19】
式中、Rnは、C〜C12を有する有機アルキル基を表し、nは1〜12であり、mは2〜12であり、
【化20】
式中、RnおよびRmは、C〜C12を有する同じかまたは異なるアルキル基であることができ、nおよびmは1〜12の数であり、pは2〜12であり、
【化21】
式中、RnおよびRmは、C〜C12を有する同じかまたは異なるアルキル基であることができ、nおよびmはそれぞれ1〜12の数であり、qは2〜12であり、
【化22】
式中、nは1〜12であり、
【化23】
【化24】
式中、nおよびmはそれぞれ1〜12である、
請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記アミノ酸が、グリシン、D−アラニン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして前記アミンが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタレンジアミン(pentalene diamine)、へキシレンジアミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15記載の装置。
【請求項18】
前記化学添加剤が、3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(MOPDIO)、2−メチル−2−モルホリノプロパナール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、4−(3−ヒドロキシプロピル)モルホリン、(2−モルホリノフェニル)メタノール、2−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(4−モルホリニル)−2−オキソエタノール、4−(2−アミノエチル)モルホリン、2−(アミノメチル)モルホリン、モルホリン−2−イル(ピリジン−4−イル)メタノール、1−モルホリン−4−イルメチル−シクロヘキシルアミン、1−モルホリノヘキサン−1,3−ジオン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15記載の装置。
【請求項19】
前記有機第四級アンモニウム塩が、0.001質量%〜0.05質量%の範囲であり、そして以下に示される一般的な分子構造、
【化25】
式中、アニオンYは、炭酸水素塩、水酸化物、p−トルエンスルホン酸塩、重酒石酸塩および他の好適なアニオン性対イオンであることができる、
を有する、コリンおよび他のアニオン性対イオンの間で形成されたコリン塩である、そして、
前記pH調整剤は、0.01質量%〜0.5質量%の範囲であり、そして(1)酸性のpH条件のためには、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機もしくは有機酸、およびそれらの混合物、あるいは(2)アルカリ性のpH条件のためには、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキル水酸化アンモニウム、有機第四級水酸化アンモニウム化合物、有機アミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項15記載の装置。
【請求項20】
前記組成物が、
コロイド状シリカ、
グリシン、D−アラニン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸、
3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(MOPDIO)、2−メチル−2−モルホリノプロパナール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、4−(3−ヒドロキシプロピル)モルホリン、(2−モルホリノフェニル)メタノール、2−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(4−モルホリニル)−2−オキソエタノール、4−(2−アミノエチル)モルホリン、2−(アミノメチル)モルホリン、モルホリン−2−イル(ピリジン−4−イル)メタノール、1−モルホリン−4−イルメチル−シクロヘキシルアミン、1−モルホリノヘキサン−1,3−ジオン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種、
過酸化水素、
水、随意選択的に、
エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタレンジアミン(pentalene diamine)、へキシレンジアミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のアミン、ならびに、
重炭酸コリン(CBC)、
を含む、請求項15記載の装置。
【請求項21】
前記化学機械研磨またシリカ貫通ビア(TSV)組成物が、6.0〜7.5のpHを有する、請求項15記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年8月24日出願の米国仮出願第62/549,608号に対して優先権を主張し、その全ての内容をここに参照することによって、全ての許容される趣旨において、本明細書の内容とする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、包括的には、半導体ウエハの化学機械平坦化または化学機械研磨(CMP)に関する。より具体的には、本発明は、幅広い、もしくは進歩したノードの銅または他の金属膜研磨のCMP用途における、高い、そして調節可能な金属膜、例えばCu、Co、W、Ni、Alなどの除去速度ならびに低ディッシング配合物に関する。CMP研磨配合物、CMP研磨組成物またはCMP研磨スラリーは、本発明においては同義である。
【0003】
銅は、その低い抵抗、高い信頼性および拡張性のために、集積電子装置の製造に用いられる相互接続用金属として目下の選択された材料である。銅の化学機械平坦化プロセスは、低い金属損失で全体的な平坦化を達成しながら、埋め込まれたトレンチ構造から銅の過装入を除去するのに必要である。
【0004】
技術ノードの進歩により、金属ディッシングおよび金属損失を低減させる必要性がますます重要になっている。また、いずれかの新規な研磨配合物は、高い除去速度、バリア材料に対する高い選択性および低い欠陥を維持しなければならない。
【0005】
銅CMPは、従来技術の中で、例えば、米国特許第9,3065,806号明細書、米国特許出願公開第2016/0314989号明細書、米国特許出願公開第2013/0092651号明細書、米国特許出願公開第2013/0078811号明細書、米国特許第8,679,980号明細書、米国特許第8,791,019号明細書、米国特許第8,435,421号明細書、米国特許第7,955,520号明細書、米国特許出願公開第2013/0280910号明細書、米国特許出願公開第2010/0221918号明細書、米国特許第8,236,695号明細書、台湾特許第I385226号明細書、米国特許出願公開第2012/0094490号明細書、米国特許第7,955,520号明細書、米国特許出願公開第2004/0175942号明細書、米国特許第6773476号明細書、および米国特許第8236695号明細書の中で行われてきている。
【0006】
しかしながら、従来技術で報告され、そして開示されている配合物は、進歩したテクノロジーノードにおいてより以上に挑戦的となってきている高い除去速度および低いディッシングの性能要求に合致することはできてはいなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、進歩したテクノロジーノードにおける低いディッシングおよび高い除去速度の挑戦的な要求に合致するように開発されたバルク銅のCMP研磨配合物を開示している。開示された銅CMP研磨配合物は、他の金属膜のCMP用途にもまた用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書には、銅または他の金属膜、例えば、Co、W、Ni、Alなどの研磨CMP用途のための、CMP研磨組成物、方法および装置が記載されている。
【0009】
1つの態様では、本発明は、下記のa)〜i)を含む、金属または金属膜バルク化学機械研磨(CMP)あるいはシリカ貫通ビア(TSV)組成物を提供する。
a)研磨剤、
b)少なくとも1種のキレート剤、例えば単一、二重または三重キレート剤、
c)腐食防止剤、
d)Cuディッシング低下剤としての化学添加剤、
e)酸化剤、
f)殺生物剤、および、
g)水、随意選択的に、
h)有機第四級アンモニウム塩、および、
i)pH調整剤、
ここで、キレート剤は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、三重キレート剤については、少なくとも1種のキレート剤は、アミノ酸またはアミノ酸誘導体であり、
金属は、Cu、Co、W、Ni、Alおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして、
この組成物のpHは、3.0〜12.0、好ましくは5.5〜8.0、そしてより好ましくは6.0〜7.5である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、単一のキレート剤を用いた配合物(参照試料として)に対して、Cuディッシング低下剤としての化学添加剤と単一のキレート剤を用いた配合物のCu研磨結果を示している。
【0011】
図2図2は、単一のキレート剤(参照試料として)、二重キレート剤、およびCuディッシング低下剤としての化学添加剤と二重キレート剤を用いた配合物のCuディッシング結果を示している。
【0012】
図3図3は、単一のキレート剤(参照試料として)、二重キレート剤、およびCuディッシング低下剤としての化学添加剤と二重キレート剤を用いた配合物のCu研磨結果を示している。
【0013】
図4図4は、単一のキレート剤(参照試料として)、二重キレート剤、およびCuディッシング低下剤としての化学添加剤と二重キレート剤を用いた配合物のCuディッシング結果を示している。
【0014】
図5図5は、三重キレート剤を用いた配合物に対して、Cuディッシング低下剤としての化学添加剤と三重キレート剤を用いた配合物のCu研磨結果を示している。
【0015】
図6図6は、三重キレート剤を用いた配合物に対して、Cuディッシング低下剤としての化学添加剤と三重キレート剤を用いた配合物のCuディッシング結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
他の態様では、本発明は、以下の工程を含む、化学機械研磨組成物を用いた、半導体基材の少なくとも1種の金属または金属含有表面あるいは金属膜を化学機械研磨する方法を提供する。
1.半導体基材を準備する工程、
2.研磨パッドを準備する工程、
3.以下のa)〜i)を含む化学機械研磨またはシリカ貫通ビア(TSV)組成物を準備する工程、
a)研磨剤、
b)少なくとも1種のキレート剤、例えば単一、二重または三重キレート剤、
c)腐食防止剤、
d)Cuディッシング低下剤としての化学添加剤、
e)酸化剤、
f)殺生物剤、および、
g)水、随意選択的に、
h)有機第四級アンモニウム塩、および、
i)pH調整剤、
ここで、キレート剤は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、三重キレート剤については、少なくとも1種のキレート剤は、アミノ酸またはアミノ酸誘導体であり、
金属は、Cu、Co、W、Ni、Alおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして、
この組成物のpHは、3.0〜12.0、好ましくは5.5〜8.0、そしてより好ましくは6.0〜7.5である。
4.少なくとも1つの銅または銅含有表面あるいは他の金属膜表面を、研磨パッドおよび化学的機械的研磨組成物と接触させる工程、ならびに、
5.少なくとも1つの銅または銅含有表面あるいは他の金属膜表面を、研磨する工程、
ここで、この表面の少なくとも1部は、研磨パッドと化学機械研磨組成物の両方と接触している。
【0017】
更に他の態様では、本発明は、以下の工程を含む、選択的化学機械研磨方法を提供する。
a)第1の材料および少なくとも1種の第2の材料を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材を準備する工程、
b)研磨パッドを準備する工程、
c)以下の1)〜9)を含む化学機械研磨またはシリカ貫通ビア(TSV)組成物を準備する工程、
1)研磨剤、
2)少なくとも1種のキレート剤、例えば単一、二重または三重キレート剤、
3)腐食防止剤、
4)Cuディッシング低下剤としての化学添加剤、
5)酸化剤、
6)殺生物剤、および、
7)水、随意選択的に、
8)有機第四級アンモニウム塩、および、
9)pH調整剤、
ここで、キレート剤は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、三重キレート剤については、少なくとも1種のキレート剤は、アミノ酸またはアミノ酸誘導体であり、そして、
この組成物のpHは、3.0〜12.0、好ましくは5.5〜8.0、そしてより好ましくは6.0〜7.5であり、
d)前記少なくとも1つの表面を、研磨パッドおよび化学機械研磨組成物と接触させる工程、ならびに、
e)前記少なくとも1つの表面を、前記第1の材料を選択的に除去するように研磨する工程、
ここで、第2の材料の除去速度に対する第1の材料の除去速度は、500:1、好ましくは1000:1、そしてより好ましくは3000:1以上であり、
第1の材料は、Cu、Co、W、Ni、Alおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして第2の材料は、バリア層、例えばTa、TaN、TiおよびTiN膜、誘電体層、例えばTEOS、low-kおよび超low-k膜からなる群から選択される。
【0018】
更に他の態様では、本発明は、以下の工程を含む、半導体基材の少なくとも1つの金属または金属含有表面あるいは他の金属膜表面の化学機械研磨装置を提供する。
1.半導体基材、
2.研磨パッド、
3.下記のa)〜i)を含む化学機械研磨またはシリカ貫通ビア(TSV)組成物、
a)研磨剤、
b)少なくとも1種のキレート剤、例えば単一、二重または三重キレート剤、
c)腐食防止剤、
d)Cuディッシング低下剤として用いられる化学添加剤、
e)殺生物剤、および、
f)脱イオン(DI)水、蒸留水、および水系アルコール性有機溶媒からなる群から選択される水系溶媒、
g)、随意選択的に、
h)有機第四級アンモニウム塩、および、
i)pH調整剤、
ここで、キレート剤は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、三重キレート剤については、少なくとも1種のキレート剤は、アミノ酸またはアミノ酸誘導体であり、
金属は、Cu、Co、W、Ni、Alおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、そして、
この組成物のpHは、3.0〜12.0、好ましくは5.5〜8.0、そしてより好ましくは6.0〜7.5であり、
少なくとも1つの金属または金属含有表面あるいは他の金属膜表面の少なくとも1部は、研磨パッドならびに化学機械研磨またはシリカ貫通ビア(TSV)組成物の両方と接触している。
【0019】
ここに開示されるCuバルクCMP研磨組成物に用いられる研磨剤粒子としては以下のものが挙げられるが、それらには限定されない:コロイド状シリカまたは高純度コロイド状シリカ、他の金属酸化物がコロイド状シリカの格子内にドープされたコロイド状シリカ粒子、例えばアルミナドープシリカ粒子、アルファ−、ベータ−およびガンマ−型の酸化アルミニウムを含むコロイド状酸化アルミニウム、コロイド状かつ光活性の二酸化チタン、酸化セリウム、コロイド状酸化セリウム、ナノサイズの無機金属酸化物粒子、例えばアルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアなど、ナノサイズのダイヤモンド粒子、ナノサイズの窒化ケイ素粒子、単峰性、二峰性、多峰性のコロイド状研磨剤粒子、有機ポリマー系の軟質研磨剤、表面被覆されたまたは表面変性された研磨剤、あるいは他の複合材粒子、ならびにそれらの混合物。
【0020】
有機第4級アンモニウム塩としては、コリン塩、例えば、重炭酸コリン塩、またはコリンと他のアニオン性対イオンとの間で形成される全ての他の塩が挙げられるが、それらには限定されない。
【0021】
腐食防止剤としては、ヘテロ芳香族化合物の族であって、それらの芳香族環中に窒素原子を含むもの、例えば1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾールおよびベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾールおよびテトラゾール誘導体、イミダゾールおよびイミダゾール誘導体、ベンズイミダゾールおよびベンズイミダゾール誘導体、ピラゾールおよびピラゾール誘導体、ならびにテトラゾールおよびテトラゾール誘導体が挙げられるが、それらには限定されない。
【0022】
Cuディッシング低下剤として用いられる化学添加剤としては、以下に示す一般的な分子構造を有するモルフォリノ化合物またはオリゴマーの族が挙げられるが、それらには限定されない。
【化1】
式中、Rは、モルホリノ6員環中の窒素原子に、共有結合を介して結合しており、正味の電荷を有していない、種々の有機官能基を表す。
【0023】
Rとしては、同じ分子中に1つの第1級アミン基、または2つもしくは3つ以上の第1級アミン基を有するアルキル第1級アミン、同じ分子中に1つの第2級アミン基、または2つもしくは3つ以上の第2級アミン基を有するアルキル第1級アミン、同じ分子中に1つのアミド基または2つもしくは3つ以上のアミド基を有するアルキルアミド、同じ分子中に1つの第1級アミン基、または2つもしくは3つ以上の第1級アミン基を有するアルケン第1級アミン、同じ分子中に1つの第2級アミン基、または2つもしくは3つ以上の第2級アミン基を有するアルケン第1級アミン、同じ分子中に1つのアミド基、または2つもしくは3つ以上のアミド基を有するアルケンアミド、同じ分子中に1つの第1級アミン基、または2つもしくは3つ以上の第1級アミン基を有するアルキン第1級アミン、同じ分子中に1つの第2級アミン基、または2つもしくは3つ以上の第2級アミン基を有するアルキン第1級アミン、ならびに同じ分子中に1つのアミド基、または2つもしくは3つ以上のアミド基を有するアルキンアミド、が挙げられるが、それらには限定されない。
【0024】
Rとしては、同じ分子中に1つの水酸基または2つもしくは3つ以上の水酸基を有するアルキルアルコール、同じ分子中に1つの水酸基または2つもしくは3つ以上の水酸基を有するアルケンアルコール、ならびに同じ分子内に1つの水酸基または2つもしくは3つ以上の水酸基を有するアルキンアルコールが挙げられるが、それらには限定されない。
【0025】
Cuディッシング低下剤として用いられる化学添加剤としては、以下に示されるような一般的な分子構造を有するモルホリノ化合物またはオリゴマーの族が挙げられるが、それらには限定されない。
【化2】
式中、Rは、モルホリノ6員環中の窒素原子に、共有結合を介して結合された、負の電荷を有する、種々の有機官能基を表す。
【0026】
有機官能基としては、同じ分子中に1つのスルホン酸塩基または2つもしくは3つ以上のスルホン酸塩基を有するアルキルスルホン酸塩、同じ分子中に1つの炭酸塩基または2つもしくは3つ以上の炭酸塩基を有するアルキル炭酸塩、同じ分子中に1つのリン酸塩基または2つもしくは3つ以上のリン酸塩基を有するアルキルリン酸塩、同じ分子中に1つのスルホン酸塩基または2つもしくは3つ以上のスルホン酸塩基を有するアルケンスルホン酸塩、同じ分子中に1つの炭酸塩基または2つもしくは3つ以上の炭酸塩基を有するアルケン炭酸塩、同じ分子中に1つのリン酸塩基または2つもしくは3つ以上のリン酸塩基を有するアルケンリン酸塩、同じ分子中に1つのスルホン酸塩基または2つもしくは3つ以上のスルホン酸塩基を有するアルキンスルホン酸塩、同じ分子中に1つの炭酸塩基または2つもしくは3つ以上の炭酸塩基を有するアルキン炭酸塩、同じ分子中に1つのリン酸塩基または2つもしくは3つ以上のリン酸塩基を有するアルキンリン酸塩が挙げられるが、それらには限定されない。それらの負のR基の対イオンMとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、およびセシウムイオンが挙げられるが、それらには限定されない。
【0027】
Cuディッシング低下剤として用いられる化学添加剤としては、以下に示されるような一般的な分子構造を有するモルホリノ化合物またはオリゴマーの族が挙げられるが、それらには限定されない。
【化3】
式中、Rは、モルホリノ6員環中の窒素原子に、共有結合を介して結合された、正の電荷を有する、種々の有機官能基を表す。
【0028】
有機官能基としては、同じ分子中に1つの第四級アンモニウム基または2つもしくは3つ以上の第四級アンモニウム基を有するアルキル第四級アンモニウム、同じ分子中に1つの第四級アンモニウム基または2つもしくは3つ以上の第四級アンモニウム基を有するアルケン第四級アンモニウム、同じ分子中に1つの第四級アンモニウム基または2つもしくは3つ以上の第四級アンモニウム基を有するアルキン第四級アンモニウムが挙げられるが、それらには限定されない。それらの正のR基の対イオンNとしては、炭酸塩アニオン、硫酸塩アニオン、またはリン酸塩アニオンが挙げられるが、それらには限定されない。
【0029】
殺生物剤としては、Dow Chemical Co.のKathon(商標)、Kathon(商標)CG/ICP IIが挙げられるが、それらには限定されない。それらは、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの活性成分を有する。
【0030】
酸化剤としては、過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウムおよびそれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。
【0031】
アミノ酸およびアミノ酸誘導体としては、グリシン、D−アラニン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン(isolueciene)、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン(asparanine)、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リシン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらには限定されない。
【0032】
有機アミンキレート剤は、下記に示されるような一般的な分子構造を有している。
【化4】
【0033】
この有機アミン分子は、分子の両方の末端に、末端基として2つの第1級アミン官能基を有している。nは、2〜12の数であり、例えばエチレンジアミンではn=2、プロピレンジアミンではn=3、ブチレンジアミンではn=4などである。
【0034】
2つの第1級アミン部分を有する有機ジアミン化合物は、二元キレート剤と表すことができる。
【0035】
また、2つの末端の第1級アミン官能基に結合されたアルキル基としては、分岐アルキル基を挙げることができ、それらの分岐アルキル基の一般的な分子構造は、以下に示される。
【化5】
式中、Rnは、C〜C12を有する有機アルキル基を表し、ここでnは1〜12の数であることができ、mは2〜12の範囲の数であることができる。
【0036】
また、有機ジアミン分子は、2つの末端の第1級アミン官能基の間の結合基として、分岐アルキル基を有することができる。
【0037】
この有機アミン分子の他の構造が、下記に示されている。RnおよびRmは、C〜C12を有する同じアルキル基であることができ、nおよびmは1〜12の数である。また、RnおよびRmは、同じ有機ジアミン分子中に、異なるnおよびmの数を有していて、異なっていることができる。pは2〜12である。
【化6】
【0038】
分岐アルキル基結合子の他の種類は、下記の一般的な分子構造を有している。
【化7】
式中、RnおよびRm基は、同じ炭素原子に結合されている。RnおよびRmは、C〜C12を有する同じアルキル基であることができ、nおよびmは1〜12の数である。また、RnおよびRmは、同じ有機ジアミン分子中で異なるnおよびmを有していて、異なっていることができる。qは2〜12である。
【0039】
また、他の分子構造を有する有機ジアミン分子、例えば、以下の一般式の分子構造を有するそのような有機ジアミン分子を、本発明のCu CMPスラリー中でキレート剤として用いることができる。
【化8】
【0040】
そのような有機ジアミン分子は、1〜12の数であるnを有することができ、そして1つの末端第1級アミン官能基および分子の他の末端のベータ炭素原子に結合した別の第1級有機アミンを有する有機ジアミンとして表すことができる。また、第2の第1級アミン官能基はまた、他の位置の他の炭素原子、例えばベータ、ガンマなどに結合されていることができ、そして第1の第1級アミン官能基は、なお同じ分子中で末端の第1級アミン官能基として維持される。
【0041】
2つの第1級有機アミン基を有するいずれかの他の非芳香族有機ジアミン分子を、本発明のCuCMPスラリー中の3つのキレート剤の1つとして、用いることができる。
【0042】
随意選択的に、2つの第1級アミン官能基を有するいずれかの芳香族有機分子を、本発明のCu CMPスラリー中の3つのキレート剤の1つとして、用いることができる。例えば、芳香族有機アミンは、下記に示したような一般的な分子構造、
【化9】
または、下記のような一般的な分子構造を有することができる。
【化10】
【0043】
オルト位またはメタ位に2つの第1級アミン官能基を有する、上記の一般的な芳香族有機ジアミン構造において、nは1〜12であることができ、そしてmもまた1〜12でああることができ、そして同じ分子内で、nはmと同じであることができる。また、他の場合には、nはmと異なっていることができる。
【0044】
発明の詳細な説明
業界標準が、より小さなデバイスフィーチャに向かう傾向にあるので、広範囲な、そして進歩的なノードの用途のための、Cuもしくは他の金属膜、例えばCo、W、Al、Niなどの高く、そして調節可能な除去速度ならびに低いCuもしくは金属線ディッシングを可能とする、新規なCuバルク金属研磨スラリーへの、継続した、そして進展する要求が存在する。
【0045】
ここに記載された銅バルクCMPもしくは他の金属膜、例えばCo、W、Al、Niなどの研磨組成物は、高く、そして調節可能なCu膜除去速度、銅と誘電体膜との間の高い選択性、銅とバリア膜との間の高い選択性、種々の広範囲なCu線フィーチャに亘る低い、そしてより均一なCu線ディッシング、ならびに好適な腐食防止剤を用いることによるより良好なCu膜腐食防止、に対する要求を満足している。
【0046】
Cu CMP研磨組成物は、三重キレート剤、二重キレート剤または単一キレート剤、すなわち、種々の数のキレート剤、更なるCuディッシングおよび欠陥低減剤としての有機第四級アンモニウム塩、効果的なCu腐食防止のためのCu腐食防止剤、研磨剤、例えばナノサイズの高純度のコロイド状シリカ、酸化剤、例えば過酸化水素、ならびに溶媒としての水、を含んでいる。
【0047】
このCu CMP研磨組成物は、高く、そして調節可能なCu除去速度ならびに低いバリア膜および誘電体膜除去速度を与え、このことから非常に高く、そして望ましいCu膜の他のバリア膜、例えばTa、TaN、Ti、およびTiNならびに誘電体膜、例えばTEOS、low-kおよび超low-k膜に対する選択性と、広範囲なCu線フィーチャに亘って低いCuディッシングおよびより均一なCuディッシングとをもたらす。
【0048】
また、本発明のCu化学機械研磨組成物は、パッドの汚染なしのCu CMP性能をもたらし、このことで、長時間の研磨パッド寿命が可能となり、そしてまた、より安定した終点検知が可能となる。
【0049】
ここに開示されたCuもしくは他の金属膜バルクCMP研磨組成物に用いられる研磨剤粒子としては、以下のもの、コロイド状シリカまたは高純度のコロイド状シリカ、コロイド状シリカの格子内に他の金属酸化物がドープされたコロイド状シリカ粒子、例えばアルミナドープシリカ粒子、アルファ−、ベータ−およびカンマ−型の酸化アルミニウムを含むコロイド状酸化アルミニウム、コロイド状および光活性二酸化チタン、酸化セリウム、コロイド状酸化セリウム、ナノサイズの無機の金属酸化物粒子、例えば、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリアなど、ナノサイズのダイヤモンド粒子、ナノサイズの窒化ケイ素粒子、一峰性、二峰性、多峰性のコロイド状研磨剤粒子、有機ポリマー系軟質研磨剤、表面被覆された、または表面変性された研磨剤、あるいは他の複合材粒子、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。
【0050】
コロイド状シリカは、ケイ酸塩から作ることができ、高純度コロイド状シリカは、TEOSもしくはTMOSから作ることができる。コロイド状シリカまたは高純度コロイド状シリカは、一峰性もしくは多峰性の狭いまたは広い粒子径分布、種々の粒子径、ならびに種々の形状、例えば球状、繭状、集合体形状または他の形状、を有することができる。
【0051】
また、ナノサイズの粒子は、異なる形状、例えば球状、繭状、集合体形状、および他の形状を有することができる。
【0052】
本発明のCuバルクCMP研磨組成物は、好ましくは0.0025質量%〜25質量%の研磨剤を含むことができ、研磨剤の好ましい濃度は、0.0025質量%〜2.5質量%の範囲である。研磨剤の最も好ましい濃度は、0.005質量%〜0.15質量%の範囲である。
【0053】
有機第四級アンモニウム塩としては、コリン塩、例えば重炭酸コリン塩、またはコリンと他のアニオン性対イオンとの間で形成される全ての他の塩が挙げられるが、それらには限定されない。
【0054】
コリン塩は、下記の一般的な分子構造を有することができる。
【化11】
式中、Yは、炭酸水素塩、水酸化物、p−トルエンスルホン酸塩、重酒石酸塩および他の好適なアニオン性対イオンであることができる。
【0055】
このCMPスラリーは、0.005質量%〜0.25質量%の第四級アンモニウム塩を含み、好ましい濃度は、0.001質量%〜0.05質量%の範囲であり、そして最も好ましい濃度は、0.002質量%〜0.01質量%の範囲である。
【0056】
種々のペルオキシ無機もしくは有機酸化剤または他の種類の酸化剤を、金属銅膜を、酸化銅の混合物へと酸化して、キレート剤および腐食防止剤とのそれらの迅速な反応を可能とするのに用いることができる。酸化剤としては、過ヨウ素酸、過酸化水素、ヨウ素酸カリウム、過マンガン酸カリウム、過硫酸アンモニウム、モリブデン酸アンモニウム、硝酸第二鉄、硝酸、硝酸カリウムおよびそれらの混合物が挙げられるが、それらには限定されない。好ましい酸化剤は、過酸化水素である。
【0057】
このCMPスラリーは、0.1質量%〜10質量%の酸化剤を含み、好ましい濃度は0.25質量%〜3質量%の範囲であり、そして最も好ましい濃度は0.5質量%〜2.0質量%の範囲である。
【0058】
開示された銅バルクCMPスラリーに用いられる腐食防止剤は、従来技術で報告されている腐食防止剤であることができる。腐食防止剤としては、ヘテロ芳香族化合物の族であってそれらの芳香環の中に窒素原子を含む化合物、例えば1,2,4−トリアゾール、ベンゾトリアゾールおよびベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾールおよびテトラゾール誘導体、イミダゾールおよびイミダゾール誘導体、ベンズイミダゾールおよびベンズイミダゾール誘導体、ピラゾールおよびピラゾール誘導体、ならびにテトラゾールおよびテトラゾール誘導体が挙げられるが、それらには限定されない。
【0059】
このCMPスラリーは、0.005質量%〜0.5質量%の腐食防止剤を含み、好ましい濃度は、0.01質量%〜0.1質量%の範囲であり、そして最も好ましい濃度は0.025質量%〜0.05質量%の範囲である。
【0060】
ここに開示された研磨組成物では、モルホリノ化合物の族から選択された化学添加剤が、非常に効果的なCuディッシング低下剤として用いられる。
【0061】
Cuディッシング低下剤として用いられる化学添加剤としては、下記の一般的な分子構造を有するモルホリノ化合物またはオリゴマーの族が挙げられるが、それらには限定されない。
【化12】
式中、Rは、モルホリノ6員環中の窒素原子に、共有結合によって結合された、正味の電荷のない、種々の有機官能基を表している。
【0062】
Rとしては、同じ分子中に単一の第1級アミン基または2つもしくは3つ以上の第1級アミン基を有するアルキル第1級アミン、同じ分子中に単一の第2級アミン基または2つもしくは3つ以上の第2級アミン基を有するアルキル第1級アミン、同じ分子中に単一のアミド基または2つもしくは3つ以上のアミド基を有するアルキルアミド、同じ分子中に単一の第1級アミン基または2つもしくは3つ以上の第1級アミン基を有するアルケン第1級アミン、同じ分子中に単一の第2級アミン基または2つもしくは3つ以上の第2級アミン基を有するアルケン第1級アミン、同じ分子中に単一のアミド基または2つもしくは3つ以上のアミド基を有するアルケンアミド、同じ分子中に単一の第1級アミン基または2つもしくは3つ以上の第1級アミン基を有するアルキン第1級アミン、同じ分子中に単一の第2級アミン基または2つもしくは3つ以上の第2級アミン基を有するアルキン第1級アミン、および同じ分子中に単一のアミド基または2つもしくは3つ以上のアミド基を有するアルキンアミドが挙げられるが、それらには限定されない。
【0063】
試験
【0064】
また、Rとしては、同じ分子中に単一のヒドロキシル基または2つもしくは3つ以上のヒドロキシル基を有するアルキルアルコール、同じ分子中に単一のヒドロキシル基または2つもしくは3つ以上のヒドロキシル基を有するアルケンアルコール、ならびに同じ分子中に単一のヒドロキシル基または2つもしくは3つ以上のヒドロキシル基を有するアルキンアルコールが挙げられるが、それらには限定されない。
【0065】
上記の一般的な分子構造に含まれる化学添加剤としては、3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(MOPDIO)、Rが水素原子の場合にはモルホリン、3,5−ジメチルモルホリン、2−(4−モルホリノ)フェノール、3−(4−モルホリノ)フェノール、4−(4−モルホリノ)フェノール、5−(4−モルホリニル)−2−フルアルデヒド、1−モルホリノシクロヘキセン、2−メチル−2−モルホリノプロパナール、4−(モルホリン−4−イルカルボニル)ベンゾニトリル、5−(4−モルホリニルメチル)−2−チオフェン−2−カルボアルデヒド、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、4−(3−ヒドロキシプロピル)モルホリン、2−(2−メトキシエチル)モルホリン、1−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、(2−モルホリノフェニル)メタノール、(4−モルホリン−4−イル−フェニル)メタノール、1−モルホリン−4−イルアセトン、2−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(4−モルホリニルメチル)フェノール、4−(2−オキシラニルメチル)モルホリン、オクタヒドロシクロペンタ[b]モルホリン、2−(4−モルホリニル)−2−オキソエタノール、3−モルホリンカルボン酸メチルエステル、5−エチル−3−モルホリノン、4−(4−モルホリニル)ベンズアルデヒド、2−モルホリノベンズアルデヒド、2−モルホリノニコチンアルデヒド、3−フェニル−モルホリン、6−モルホリノニコチンアルデヒド、6−モルホリノピリジン−2−カルボアルデヒド、4−(2−アミノエチル)モルホリン、4−モルホリンカルボニトリル、3−(4−モルホリニルカルボニル)フェノール、4−(4−モルホリニルカルボニル)フェノール、メチル−モルホリン−2−イルメチル−アミン、エチルモルホリン−2−カルボキシレート、エチルモルホリン−4−カルボキシレート、ボラン−モルホリン錯体、1−モルホリノシクロペンテン、2−(4−モルホリノ)ベンゾニトリル、2−(アミノメチル)モルホリン、モルホリン−2−イル(ピリジン−4−イル)メタノール、1−モルホリン−4−イルメチル−シクロヘキシルアミン、2−N−モルホリノエチルメタクリレート、4−モルホリノアニリン、4−モルホリノピペリジン、4−モルホリノピリジン、4’−モルホリノアセトフェノン、(2−モルホリン−4−イル−1−フェニルエチル)メチルアミン、(2−モルホリン−4−イル−1−フェニルエチル)メチルアミン、1−モルホリノヘキサン−1,3−ジオンなどが挙げられるが、それらには限定されない。
【0066】
好ましい化学添加剤は、3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(MOPDIO)、Rが水素原子である場合のモルホリン、2−メチル−2−モルホリノプロパナール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、4−(3−ヒドロキシプロピル)モルホリン、(2−モルホリノフェニル)メタノール、2−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(4−モルホリニル)−2−オキソエタノール、4−(2−アミノエチル)モルホリン、00202−(アミノメチル)モルホリン、モルホリン−2−イル(ピリジン−4−イル)メタノール、1−モルホリン−4−イルメチル−シクロヘキシルアミン、1−モルホリノヘキサン−1,3−ジオンなどからなる群から選択される。
【0067】
Cuディッシング低下剤として用いられる化学添加剤としては、下記の一般的な分子構造を有するモルホリノ化合物またはオリゴマーの族が挙げられるが、それらには限定されない。
【化13】
式中、Rは、モルホリノ6員環中の窒素原子に、共有結合によって結合された、負の電荷を有する種々の有機官能基を表している。
【0068】
有機官能基としては、同じ分子中に単一のスルホン酸塩基または2つもしくは3つ以上のスルホン酸塩基を有するアルキルスルホン酸塩、同じ分子中に単一のカルボン酸塩基または2つもしくは3つ以上のカルボン酸塩基を有するアルキルカルボン酸塩、同じ分子中に単一のリン酸塩基または2つもしくは3つ以上のリン酸塩基を有するアルキルリン酸塩、同じ分子中に単一のスルホン酸塩基または2つもしくは3つ以上のスルホン酸塩基を有するアルケンスルホン酸塩、同じ分子中に単一のカルボン酸塩基または2つもしくは3つ以上のカルボン酸塩基を有するアルケンカルボン酸塩、同じ分子中に単一のリン酸塩基または2つもしくは3つ以上のリン酸塩基を有するアルケンリン酸塩、同じ分子中に単一のスルホン酸塩基または2つもしくは3つ以上のスルホン酸塩基を有するアルキンスルホン酸塩、同じ分子中に単一のカルボン酸塩基または2つもしくは3つ以上のカルボン酸塩基を有するアルキンカルボン酸塩、同じ分子中に単一のリン酸塩基または2つもしくは3つ以上のリン酸塩基を有するアルキンリン酸塩が挙げられるが、それらには限定されない。それらの負のR基に対する対イオンMとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、およびセシウムイオンが挙げられるが、それらには限定されない。
【0069】
Cuディッシング低下剤として用いられる化学添加剤としては、下記の一般的な分子構造を有するモルホリノ化合物またはオリゴマーの族が挙げられるが、それらには限定されない。
【化14】
式中、Rは、モルホリノ6員環中の窒素原子に、共有結合によって結合されている、正の電荷を有する種々の有機官能基を表している。
【0070】
有機官能基としては、同じ分子中に単一の第四級アンモニウム基または2つもしくは3つ以上の第四級アンモニウム基を有するアルキル第四級アンモニウム、同じ分子中に単一の第四級アンモニウム基または2つもしくは3つ以上の第四級アンモニウム基を有するアルケン第四級アンモニウム、同じ分子中に単一の第四級アンモニウム基または2つもしくは3つ以上の第四級アンモニウム基を有するアルキン第四級アンモニウムが挙げられるが、それらには限定されない。それらの正のR基の対イオンNとしては、カルボン酸塩アニオン、硫酸塩アニオンまたはリン酸塩アニオンが挙げられるが、それらには限定されない。
【0071】
好ましいディッシング低下添加剤は、3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(MOPDIO)である。
【0072】
このCMPスラリーは、0.001質量%〜0.5質量%のCuディッシング低下添加剤を含んでおり、それは、モルホリノ化合物の族から選択され、好ましい濃度は0.0025質量%〜0.25質量%の範囲であり、そして最も好ましい濃度は、0.01質量%〜0.1質量%の範囲である。
【0073】
本発明のCu化学機械研磨組成物のより安定な保管寿命を与えるための活性成分を含有する殺生物剤を用いることができる。
【0074】
殺生物剤としては、Dow Chemical Co.のKathon(商標)、Kathon(商標)CG/ICP IIが挙げられるが、それらには限定されない。それらは、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンの活性成分を有している。
【0075】
このCMPスラリーは、0.0001質量%〜0.05質量%の殺生物剤を含んでおり、好ましい濃度は、0.0001質量%〜0.025質量%の範囲であり、そして最も好ましい濃度は、0.002質量%〜0.01質量%の範囲である。
【0076】
随意選択的に、酸性化合物または塩基性化合物あるいはpH調整剤を、CuバルクCMP研磨組成物のpHが、最適化されたpH値に調整されることを可能にするように、用いることができる。
【0077】
pH調整剤としては、以下のもの、酸性のpH条件のためには、硝酸、塩酸、硫酸、リン酸、他の無機もしくは有機酸、およびそれらの混合物、あるいは水素化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、テトラアルキル水酸化アンモニウム、有機アミンおよびよりアルカリ性の方向に向けてpHを調整するのに用いることができる他の化学薬品が挙げられるが、それらには限定されない。
【0078】
このCMPスラリーは、0質量%〜1質量%のpH調整剤を含んでおり、好ましい濃度は0.01質量%〜0.5質量%の範囲であり、そして最も好ましい濃度は、0.1質量%〜0.25質量%の範囲である。
【0079】
このCu研磨組成物のpHは、約3.0〜約12.0であり、好ましいpHは、5.5〜7.5の範囲であり、そして最も好ましいpHは、7.0〜7.35の範囲である。
【0080】
単一または二重または三重キレート剤は、アミノ酸、アミノ酸誘導体、有機アミンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、ここで、少なくとも1種のキレート剤はアミノ酸またはアミノ酸誘導体である。例えば、3つの、または三重キレート剤は、いずれかの3種のアミノ酸、3種のアミノ酸誘導体、または2種のアミノ酸と1種の有機アミン、または1種のアミノ酸と1種のアミノ酸誘導体と1種の有機アミン、または2種の有機アミンと1種のアミノ酸、および/または2種の有機アミンと1種のアミノ酸誘導体の組み合わせであることができる。具体的な例として、三重キレート剤は、グリシン、アラニンおよびエチレンジアミンであることができる。
【0081】
少なくとも1種のキレート剤、例えば二重もしくは三重キレート剤は、酸化されたCu膜表面とのそれらの反応を最大化させて、Cu CMPプロセスの間に迅速に除去されるべき、より軟質のCu−キレート剤層を形成させ、それによって、広範囲の、あるいは進歩したノードの銅またはTSV(シリカ貫通ビア)CMP用途において、高く、そして調節可能なCu除去速度および低いディッシングを達成するために、錯化剤として用いられた。
【0082】
アミノ酸およびアミノ酸誘導体としては、グリシン、D−アラニン、L−アラニン、DL−アラニン、ベータ−アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン(isolueciene)、フェニルアミン、プロリン、セリン、スレオニン、チロシン、グルタミン、アスパラギン(asparanine)、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニン、リシン、メチオニン、システイン、イミノ二酢酸などが挙げられるが、それらには限定されない。
【0083】
有機アミンキレート剤は、下記の一般的な分子構造を有している。
【化15】
【0084】
有機アミン分子は、分子の両方の末端に、末端基として2つの第1級アミン官能基を有している。nは、2〜12の数であり、例えばエチレンジアミンではn=2であり、プロピレンジアミンではn=3であり、ブチレンジアミンではn=4、などである。
【0085】
2つの第1級アミン部分を有する有機ジアミンは、二元キレート剤(binary chelating agents)と表すことができる。
【0086】
また、2つの末端の第1級アミン官能基に結合されたアルキル基としては、分岐アルキル基を挙げることができ、それらの分岐アルキル基の一般的な分子構造は、下記のように記載される。
【化16】
式中、Rnは、有機アルキル基を表し、nは、1〜12の数であることができ、mは2〜12の範囲の数であることができる。
【0087】
また、有機ジアミン分子は、2つの末端の第1級アミン官能基の間の結合基として、分岐アルキル基を有することができる。
【0088】
有機アミン分子の他の構造が以下に示されている。RnおよびRmは、同じアルキル基であることができ、nとmは1〜12の数である。また、RnおよびRmは、同じ有機ジアミン分子においてnとmの数が異なっていて、異なっていることができる。
【化17】
【0089】
他の種類の分岐アルキル基結合子は、下記の一般的な分子構造を有している。
【化18】
式中、RnおよびRmは、同じ炭素原子に結合されている。RnおよびRmは、同じアルキル基であることができ、nとmは1〜12の数である。また、RnおよびRmは、同じ有機ジアミン分子中において異なるnおよびmを有していて、異なっていることができる。
【0090】
また、他の分子構造を有する有機ジアミン分子、例えば、下記の一般的な分子構造を有する有機ジアミン分子を、本発明のCu CMPスラリーにキレート剤として用いることができる。
【化19】
【0091】
そのような有機ジアミン分子は、1〜12の数のnを有することができ、そして1つの末端第1級アミン官能基および、分子の他の末端のベータ炭素原子に結合された他の第1級有機アミンを有する有機ジアミンと表すことができる。また、第2の第1級アミン官能基が他の位置、例えばベータ、ガンマなどの他の炭素原子に結合されていてもよく、そして第1の第1級アミン官能基は、なお同じ分子中で、末端第1級アミン官能基として維持される。
【0092】
2つの第1級有機アミン基を有するいずれかの他の非芳香族の有機ジアミン分子を、お本発明のCu CMPスラリーの3種のキレート剤の1つとして用いることができる。
【0093】
随意選択的に、2つの第1級アミン官能基を有するいずれかの芳香族有機分子を、本発明のCu CMPスラリーの3種のキレート剤の1つとして用いることができる。例えば、芳香族有機アミンは、下記のいずれかの一般的な分子構造を有している。
【化20】
【化21】
【0094】
また、オルソまたはメタの位置に2つの第1級アミン官能基を有し、nが1〜12であり、そしてmもまた1〜12であることができる上記の一般的な芳香族有機ジアミン構造においては、同じ分子中で、nはmと同じであることができる。また、他の場合には、nはmと異なっていることができる。
【0095】
用いられる典型的なアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタレンジアミン(pentalene diamine)、へキシレンが挙げられるが、それらには限定されない。
【0096】
キレート剤濃度は、0.25質量%〜5.0質量%の範囲であり、好ましい濃度は0.5質量%〜2.5質量%の範囲であり、より好ましい濃度は1.0質量%〜2.0質量%の範囲である。
【0097】
ここに記載された関連した方法は、銅からなる基材の化学機械平坦化のための上記の組成物の使用を伴っている。この方法では、基材(例えば、Cu表面またはCuプラグを有するウエハ)は、研磨パッド上に面を下にして置かれ、研磨パッドは、CMP研磨機の回転プラテンに固定して取り付けられている。このようにして、研磨され、そして平坦化されるべき基材は、研磨パッドと直接に接触して配置される。ウエハ担持システムまたは研磨ヘッドが、基材を適切な位置に保持し、そしてCMP処理の間に基材の裏側に対して下向きの力を加えるように用いられ、一方で、プラテンおよび基材は回転される。研磨組成物(スラリー)が、CMP処理の間にパッド上に適用されて(通常は連続的に)、材料の除去をもたらし、基材を平坦化する。
【0098】
ここに記載された研磨組成物および関連する方法は、大抵の基材を含む、広範囲の基材のCMPに効果的であり、特に銅基材の研磨に有用である。
【実施例】
【0099】
実験の項
研磨パッド: Dow Chemicals Companyによって供給された、研磨パッド、IC1010パッドまたは他の研磨パッドが、Cu CMPの間に用いられた。
パラメータ
Å:オングストローム、長さの単位
BP:背面圧力、psi単位による
CMP:化学機械平坦化=化学機械研磨
CS:担体速度
DF:CMPの間に加えられる下向き力、単位psi
min:分間
mL:ミリリットル
mV:ミリボルト
psi:毎平方インチ当たりポンド
PS:研磨装置のプラテン回転速度、rpm(回/分)
SF:研磨組成物の流量、mL/分
除去速度
Cu RR 1.5 psi:CMP装置の1.5psiの下向き力で測定された銅の除去速度
Cu RR 2.5 psi:CMP装置の2.5psiの下向き力で測定された銅の除去速度
【0100】
包括的な実験手順
全てのパーセントは、特に断りのない限り、質量パーセントである。以下の例において、CMP実験は、以下に与えられる手順および実験条件を用いて実施された。例において用いられたCMP装置は、Applied Materials(3050 Boweres Avenue、Santa Clara、カリフォルニア州、95054)によって製造された300mm LK(商標)研磨装置またはMirra(商標)研磨装置である。Dow Chemicals Companyによって供給されたIC1010パッドまたは他の種類の研磨パッドが、ブランケットウエハ研磨検討のために、プラテン上で用いられた。パッドは、25枚のダミー酸化物(TEOS前駆体からのプラズマ促進CVDによって堆積された、PETEOS)ウエハを研磨することによってならし運転された。装置の設定およびパッドのならし運転が適格であることを見極めるために、2つのPETEOSモニターが、Air Products Chemicals Inc.のPlanarization Platformによって供給されたSyton(商標)OX-Kコロイド状シリカで、基本的な条件で、研磨された。研磨実験は、厚さが10.8KオングストロームであるブランケットCuウエハ、TaおよびTEOSブランケットウエハを用いて行われた。それらのブランケットウエハは、Silicon Valley Microelectronics(1150 Campbell Ave、カリフォルニア州、95126)から購入された。
【0101】
実施例
以下の実施例において、参照試料として用いられた、単一のキレート剤を含むCuスラリー組成物は、0.713質量%のグリシン、0.0323質量%の1,2,4−トリアゾール、0.00644質量%の高純度コロイド状シリカ、および0.00018質量%の殺生物剤から構成されていた。本発明の新規なCuスラリー#1および#2は、0.713質量%のグリシン、0.0323質量%の1,2,4−トリアゾール、0.00644質量%の高純度コロイド状シリカ、0.00018質量%の殺生物剤、およびCuディッシング低下添加剤、0.025質量%または0.50質量%の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(MOPDIO)から構成されていた。これらのスラリーのpHは,6.0〜7.5であった。
【0102】
それらの3種の列挙された全ての配合物では、それぞれ使用の時点で、酸化剤として1.0質量%のHが用いられた。
【0103】
例1
CuバルクCMP研磨組成物、参照試料対新規なCuスラリー#1および#2、を用いた研磨結果が、表1に示されており、そして図1に示されている。
【表1】
【0104】
単一キレート剤を用いた3種のCMP研磨組成物が表1に列挙されている。参照スラリーは、グリシンをキレート剤として用いているが、しかしながらいずれのCuディッシング添加剤も用いてはいない。
【0105】
新規なCuスラリー#1およびCuスラリー#2は、組成物中に、グリシンをキレート剤として、そして異なる濃度の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(=MOPDIO)を化学添加剤そしてCuディッシング低下剤として用いた配合物であった。
【0106】
Cuディッシング低下添加剤として0.025%または0.50%の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールを有するCu CMP研磨組成物は、両方ともに、単一のキレート剤グリシンを基にしたCu CMP研磨組成物と比較して、高く、そして適合するCu膜除去速度をもたらした。Cuディッシング低下添加剤としての0.025%の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールで、Cu除去速度は、いずれのCuディッシング低下添加剤の使用もない参照試料を用いて得られたCu除去速度よりも高かった。
【0107】
本発明の、Cuディッシング低下添加剤として0.025%または0.50%の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールを有するCu CMP研磨組成物の、そのようなCuディッシング低下添加剤を用いることのない参照のCu CMP研磨組成物に対する、種々のフィーチャのCu線へのディッシング効果が、表2に示されており、そして図2に示されている。
【表2】
【0108】
50×50μmおよび10×10μmのCu線フィーチャ上のCuディッシング低下のパーセントが、表3に列挙されている。
【表3】
【0109】
表3中に示されているように、0.025質量%の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールがこの組成物中で用いられた場合には、Cuディッシングは、50×50μmのCu線フィーチャ上で、−54%だけ、そして10×10μmのCu線フィーチャ上では−42%だけ低下した。3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールが0.05質量%で用いられた場合には、Cuディッシングは、50×50μmのCu線フィーチャ上で、−68%だけ、そして10×10μmのCu線フィーチャ上では−69%だけ低下した。
【0110】
9×1μmおよび1×9μmのCu線フィーチャ上のCuディッシング低下のパーセントが、表4に示されている。
【表4】
【0111】
表4に示されているように、Cuディッシングは、0.05質量%の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールが用いられた場合には、9×1μmのCu線フィーチャ上で−33%だけ、そして1×9μmのCu線フィーチャ上で−40%だけ低下した。
【0112】
例2
CuバルクCMP研磨組成物、参照サンプル対新規なCuスラリー#3および新規なCuスラリー#4、を用いた研磨結果が、表5に示されており、そして図3に示されている。これらのスラリーのpHは、6.0〜7.5であった。
【0113】
二重キレート剤配合物のスラリー#3およびスラリー#4は、両方ともに、グリシンとエチレンジアミン(EDA)を二重キレート剤として、3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(=MOPDIO)をCuディッシング低下剤として、用いていた。更に、重炭酸コリン(CBC)が、Cuスラリー#4には用いられていた。
【表5】
【0114】
Cuディッシング低下添加剤として0.050質量%の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールを有するCu CMP研磨組成物は、単一のキレート剤グリシンを基にしたCu CMP研磨組成物と比較して、高い、そして適合するCu膜除去速度をもたらした。Cuディッシング低下添加剤として0.05質量%の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール、および第2のキレート剤としてEDAを有すると、1.5psiのDFでのCu除去速度を増加させ、Cuスラリー#4でのCBCの追加は、1.5psiのDFでのCu除去速度を更に増加させた。
【0115】
参照試料(単一のキレート剤で、Cuディッシング添加剤を含まない)、Cuスラリー#3および#4からのCu CMP研磨組成物のディッシング効果が、表6に示されており、そして図4に示されている。
【表6】
【0116】
50×50μmおよび10×10μmのCu線フィーチャ上ででのCuディッシング低下のパーセントが、表7に示されている。
【表7】
【0117】
表7に示されているように、グリシンおよびEDAを基にした二重キレート剤Cuスラリー#3中での0.05質量%の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールの使用で、Cuディッシングは、50×50μmのCu線フィーチャ上で−64%だけ、そして10×10μmのCu線フィーチャ上で−61%だけ、低減された。グリシンおよびEDAを基にした二重キレート剤ならびに重炭酸コリン(CBC)Cuスラリー#4中で、付加的な添加剤として、0.05質量%で用いた場合には、Cuディッシングは、50×50μmのCu線フィーチャ上で−75%だけ、そして10×10μmのCu線フィーチャ上で−76%だけ、低減された。
【0118】
9×1μmおよび1×9μmのCu線フィーチャ上でのCuディッシング低下のパーセントが、表8に示されている。
【表8】
【0119】
表8に示されているように、グリシンおよびEDAを基にした二重キレート剤に加えて3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールが用いられた場合には、Cuスラリー#3を用いて、Cuディッシングは、9×1μmのCu線フィーチャ上で−25%だけ、そして1×9μmのCu線フィーチャ上で−26%だけそれぞれ低減された。
【0120】
グリシンおよびEDAを基にした二重キレート剤に加えて3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールならびにCBCが用いられた場合には、Cuスラリー#4を用いて、Cuディッシングは、9×1μmのCu線フィーチャ上で−45%だけ、そして1×9μmのCu線フィーチャ上で−33%だけそれぞれ低減された。
【0121】
例3
三重キレート剤を基にしたCu CMP研磨組成物の、Cuディッシングを低下させるための付加的な添加剤として3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールを用いることのあり、またはなしでの、研磨効果が、表9に示されており、そして図5に示されている。これらの組成物のpHは、6.0〜7.5であった。
【表9】
【0122】
三重キレート剤に基づく組成物Cuスラリー#5におけるCuディッシング低下添加剤としての0.05質量%の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールの使用では、三重のキレート剤を有するが、しかしながらそのような添加剤を用いない参照試料と比較して、若干低下したCu除去速度が観察された。しかしながら、Cuスラリー#5は、高い、または低い下向き力で、なお高い平均のCu除去速度をもたらした。
【0123】
三重のキレート剤、グリシンおよびアラニンおよびEDAに基づいたCuスラリー#5中にCuディッシング低下添加剤として0.050質量%の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオール(=MOPDIO)を含むCu CMP研磨組成物の、そのようなCuディッシング低下添加剤を用いることのない参照の三重のキレート剤を基にしたCu CMP研磨組成物に対する、種々のフィーチャのCu線ディッシングへのディッシング効果が、表10に示されており、そして図6に示されている。
【表10】
【0124】
Cuスラリー#5を用いた、50×50μmおよび10×10μmのCu線フィーチャ上でのCuディッシング低下のパーセントが、参照の三重のキレート剤に基づいたCu CMP研磨組成物と比較され、そして結果が表11に示されている。
【表11】
【0125】
表11に示されているように、配合物Cuスラリー#5において0.05質量%の3−モルホリノ−1,2−プロパンジオールが用いられた場合には、Cuディッシングは、50×50μmのCu線フィーチャ上で約−42%だけ、そして10×10μmのCu線フィーチャ上で約−46%だけ低減された。
【0126】
Cuスラリー#5を用いたのに対して三重のキレート剤を有する参照試料を用いた、9×1μmおよび1×9μmのCu線フィーチャ上のCuディッシング低下のパーセントが、表12に示されている。
【表12】
【0127】
表12に示されているように、Cuスラリー#5でのCuディッシングは、参照試料でのディッシングと比較して、9×1μmのCu線フィーチャ上で約−32%だけ、そして1×9μmのCu線フィーチャ上で約−32%だけ低減された。
【0128】
本発明が、その特定の態様と関連して説明されてきたが、多くの代替、変更および変形が、上記の説明に照らして、当業者には明らかであろう。従って、包括的な本発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、そのような詳細から外れることが可能である。
【0129】
本発明の原理が、好ましい態様と関連して上記で説明されてきたが、この説明は、例示のためだけに行われたのであって、そして本発明の範囲を限定するものではないことが、明確に理解されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6