(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記有機アミノシラン前駆体が、ジ−イソ−プロピルアミノシラン、ジ−sec−ブチルアミノシラン、フェニルメチルアミノシラン、2,6−ジメチルピペリジノシラン、N−メチルシクロヘキシルアミノシラン、N−エチルシクロヘキシルアミノシラン、N−イソプロピルシクロヘキシルアミノシラン、2−メチルピペリジノシラン、N−シリルデカヒドロキノリン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノシラン、2−(N−シリルメチルアミノ)ピリジン、N−t−ブチルジシラザン、N−t−ペンチルジシラザン、N−(3−メチル−2−ピリジル)ジシラザン、N−(2−メチルフェニル)ジシラザン、N−(2−エチルフェニル)ジシラザン、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)ジシラザン、N−(2,6−ジ−イソ−プロピルフェニル)ジシラザン、ジ−イソ−プロピルアミノジシラン、ジ−イソ−ブチルアミノジシラン、ジ−sec−ブチルアミノジシラン、2,6−ジメチルピペリジノジシラン、N−メチルシクロヘキシルアミノジシラン、N−エチルシクロヘキシルアミノジシラン、フェニルメチルアミノジシラン、2−(N−ジシリルメチルアミノ)ピリジン、N−フェニルエチルジシラン、N−イソプロピルシクロヘキシルアミノジシラン、1,1−(N,N’−ジ−tert−ブチルエチレンジアミノ)ジシラン、ビス(イソ−プロピルアミノ)メチルシラン、ビス(イソ−ブチルアミノ)メチルシラン、ビス(sec−ブチルアミノ)メチルシラン、ビス(tert−ブチルアミノ)メチルシラン、ビス(tert−ペンチルアミノ)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルアミノ)メチルシラン、ビス(イソ−プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソ−ブチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(sec−ブチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(tert−ブチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(tert−ペンチルアミノ)ジメチルシラン、及びビス(シクロヘキシルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(ジエチルアミノ)シラン、ビス(エチルメチルアミノ)シラン、ビス(tert−ブチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリス(イソ−プロピルアミノ)シラン、及びトリシリルシランからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
前記窒素源が、アンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、tert−ブチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、及びそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で説明されるのは、化学量論的又は非化学量論的な4、5、6、13族金属又はメタロイドドープ窒化ケイ素膜、例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ホウ素、又はそれらの組み合わせがドープした窒化ケイ素膜を、基材の少なくとも一部上に形成するための方法である。より具体的には、本明細書で説明されるのは、アルミニウムドープ窒化ケイ素膜又はアルミニウムドープ炭窒化ケイ素膜を堆積するための原子層堆積(ALD)又は周期的CVD法である。
【0010】
1つの態様において、アルミニウムドープ窒化ケイ素膜を堆積するための方法であって、
a.反応器中に基材を提供する工程と、
b.AlCl
3、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム、トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム(TDMAA)、トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム(TDMAA)、及びトリス(ジエチルアミノ)アルミニウム(TDEAA)からなる群より選択されるアルミニウム前駆体を、アルミニウム前駆体と反応して化学吸着層を提供するのに十分なプロセス条件下で反応器中に導入する工程と、
c.未反応のアルミニウム前駆体をパージして除去する工程と、
d.反応器中に窒素源を導入して、化学吸着層の少なくとも一部と反応させる工程と、
e.パージガスで反応器をパージする工程と、
f.以下の式I〜IV:
【化1】
で表される有機アミノシラン前駆体であって、式中、R
1が、直鎖状C
1〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、直鎖状又は分枝状C
3〜C
10アルケニル基、直鎖状又は分枝状C
3〜C
10アルキニル基、C
1〜C
6ジアルキルアミノ基、電子求引基、C
6〜C
10アリール基、C
1〜C
10アルキルシリル基、及びシリル基から選択され、R
2が、水素、直鎖状C
2〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、直鎖状又は分枝状C
3〜C
6アルケニル基、直鎖状又は分枝状C
3〜C
6アルキニル基、C
1〜C
6ジアルキルアミノ基、C
6〜C
10アリール基、電子求引基、及びC
4〜C
10アリール基から選択され、n=1又は2、x=0、1、2、y=2、3であり、任意選択で、式I、III及びIV中のR
1及びR
2が共に結合して、置換若しくは非置換芳香族環又は置換若しくは非置換脂肪族環から選択される環を形成している有機アミノシラン前駆体を反応器中に導入する工程であって、有機アミノシラン前駆体が基材の表面の少なくとも一部上で反応し、化学吸着層を提供する工程と、
g.パージガスで反応器をパージする工程と、
h.反応器中に窒素源を導入して、化学吸着層の少なくとも一部と反応させる工程と、
i.任意選択で、不活性ガスで反応器をパージする工程とを含み、工程b〜iが所望の膜厚が得られるまで繰り返される方法が提供される。式I、III及びIVの幾つかの実施形態において、R
1及びR
2は同一である。式I、III及びIVの他の実施形態において、R
1及びR
2は異なる。式I及びIVの前述又は他の実施形態において、R
1及びR
2は共に結合して環を形成することができる。これらの実施形態において、環は、置換又は非置換の芳香族環又は脂肪族環であることができる。また更なる実施形態において、R
1及びR
2は共に結合して環を形成しない。
【0011】
1つの実施形態において、本明細書で説明されるのは、窒素含有源を含む熱プロセスにおいて、本明細書で説明される式I〜IVを有する有機アミノシラン前駆体と、4、5、6、13族金属又はメタロイド前駆体とを使用して、低温で、又は約25〜500℃の範囲の1つ又は複数の堆積温度で、4、5、6、13族金属又はメタロイド窒化ケイ素又は炭窒化ケイ素膜を堆積するための原子層堆積(ALD)又はALD型方法である。
【0012】
高品質膜とみなされる1つ又は複数の基準を満たす低温、例えば、500℃以下、約200〜約400℃、幾つかの場合では約250〜約450℃の温度での、コンフォーマルな、化学量論的又は非化学量論的な4、5、6、13族金属又はメタロイドドープ窒化ケイ素膜又は炭窒化ケイ素誘電体膜、例えば、限定されないが、アルミニウム又はホウ素又はガリウムドープ窒化ケイ素膜の堆積は、長期にわたる産業的課題であった。アルミニウムドープ窒化ケイ素膜は、以下の特性:X線反射率計(XRR)で測定した場合に2.2グラム/立法センチメートル(g/cc)以上(例えば、約2.2〜約3.0g/cc、約2.4〜約2.9g/cc、幾つかの場合は約2.4〜約2.8g/cc)の密度、低いウェットエッチ速度(希釈したフッ酸(DI水中の0.5wt%HF)中で測定した場合)、二次イオン質量分析(SIMS)で測定した場合に20原子(at)%以下(例えば、約1〜約20原子%、約5〜約20原子%、幾つかの場合では約1〜約10原子%)の水素含有量、1.80以上(例えば、約1.8〜約2.8、約2.0〜約2.6、幾つかの場合では約2.2〜2.4)の反射率、水銀プローブにより測定した場合に1E−7A/cm
2以下(例えば、約1E−8〜約9E−7A/cm
2、約1E−8〜約1E−9A/cm
2、幾つかの場合では約1E−7〜約1E−9A/cm
2)の低いリーク電流、水銀プローブで測定した場合に6MV/cm以上(例えば、約6〜約10MV/cm、約6〜約8MV/cm、幾つかの場合では約7〜9MV/cm)の高いブレークダウン電圧、及びそれらの組み合わせのうち1つ又は複数を有する場合、それは「高品質」とみなされる。
【0013】
本明細書で説明されるのは、化学量論的な又は非化学量論的な4、5、6、13族ドープ窒化ケイ素膜、例えば、アルミニウムドープ窒化ケイ素、ホウ素ドープ窒化ケイ素、ガリウムドープ窒化ケイ素、インジウムドープ窒化ケイ素、タリウムドープ窒化ケイ素、及びそれらの組み合わせを基材の少なくとも一部上に形成するための方法である。
【0014】
また、本明細書で説明されるのは、ケイ素及び窒素を含む化学量論的な又は非化学量論的なアルミニウム窒化ケイ素膜を基材の少なくとも一部上に形成するための方法である。幾つかの実施形態において、アルミニウムドープ窒化ケイ素膜は、炭窒化ケイ素又はアルミニウム窒化ケイ素膜のように炭素又はアルミニウムをさらに含む。幾つかの実施形態において、アルミニウムドープ窒化ケイ素膜は、酸窒化ケイ素膜のように酸素をさらに含む。この又は他の実施形態において、アルミニウムドープ窒化ケイ素膜は、炭酸窒化ケイ素膜のように酸素及び炭素を含む。説明を通じて、本明細書で使用される場合、「アルミニウムドープ窒化ケイ素」という用語は、化学量論的又は非化学量論的なアルミニウム窒化ケイ素、アルミニウム炭窒化ケイ素、アルミニウム炭酸窒化ケイ素、及びそれらの混合物からなる群より選択される、アルミニウム、ケイ素及び窒素を含む膜を言い表す。
【0015】
前述したように、膜は、アルミニウム前駆体のような4、5、6、13族金属又はメタロイド前駆体と、以下の式I〜IV:
【化2】
で表される少なくとも1つである有機アミノシランであって、式中、R
1が、直鎖状C
1〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、直鎖状又は分枝状C
3〜C
10アルケニル基、直鎖状又は分枝状C
3〜C
10アルキニル基、C
1〜C
6ジアルキルアミノ基、電子求引基、C
6〜C
10アリール基、C
1〜C
10アルキルシリル基、及びシリル基から選択され、R
2が、水素、直鎖状C
2〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、直鎖状又は分枝状C
3〜C
6アルケニル基、直鎖状又は分枝状C
3〜C
6アルキニル基、C
1〜C
6ジアルキルアミノ基、C
6〜C
10アリール基、電子求引基、及びC
4〜C
10アリール基から選択され、n=1又は2、x=0、1、2、y=2、3であり、任意選択で、式I、III及びIV中のR
1及びR
2が共に結合して、置換若しくは非置換芳香族環又は置換若しくは非置換脂肪族環から選択される環を形成している有機アミノシランとを使用して堆積される。式IVにおいて、x及びyは、合計のx+yが4以下(0を含む)であるが、負の整数であることができないような数である。式I、II、III及びIVを有する例示の有機アミノシランは、限定されないが、ジ−イソ−プロピルアミノシラン、ジ−sec−ブチルアミノシラン、フェニルメチルアミノシラン、2,6−ジメチルピペリジノシラン、N−メチルシクロヘキシルアミノシラン、N−エチルシクロヘキシルアミノシラン、N−イソプロピルシクロヘキシルアミノシラン、2−メチルピペリジノシラン、N−シリルデカヒドロキノリン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノシラン、2−(N−シリルメチルアミノ)ピリジン、N−t−ブチルジシラザン、N−t−ペンチルジシラザン、N−(3−メチル−2−ピリジル)ジシラザン、N−(2−メチルフェニル)ジシラザン、N−(2−エチルフェニル)ジシラザン、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)ジシラザン、N−(2,6−ジ−イソ−プロピルフェニル)ジシラザン、ジ−イソ−プロピルアミノジシラン、ジ−イソ−ブチルアミノジシラン、ジ−sec−ブチルアミノジシラン、2,6−ジメチルピペリジノジシラン、N−メチルシクロヘキシルアミノジシラン、N−エチルシクロヘキシルアミノジシラン、フェニルメチルアミノジシラン、2−(N−ジシリルメチルアミノ)ピリジン、N−フェニルエチルジシラン、N−イソプロピルシクロヘキシルアミノジシラン、1,1−(N,N’−ジ−tert−ブチルエチレンジアミノ)ジシラン、ビス(イソ−プロピルアミノ)メチルシラン、ビス(イソ−ブチルアミノ)メチルシラン、ビス(sec−ブチルアミノ)メチルシラン、ビス(tert−ブチルアミノ)メチルシラン、ビス(tert−ペンチルアミノ)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルアミノ)メチルシラン、ビス(イソ−プロピルアミノ)ジメチルシラン、ビス(イソ−ブチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(sec−ブチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(tert−ブチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(tert−ペンチルアミノ)ジメチルシラン、及びビス(シクロヘキシルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)シラン、ビス(ジエチルアミノ)シラン、ビス(エチルメチルアミノ)シラン、ビス(tert−ブチルアミノ)シラン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリス(イソ−プロピルアミノ)シラン、トリシリルシラン(TSA)、及びTSA誘導体が挙げられる。
【0016】
本明細書で説明される式I、II、III及びIVを有する有機アミノシラン前駆体は反応性及び安定性のバランスを示し、それにより、その前駆体を半導体デバイス製造プロセスのためのPEALD又はPECCVD前駆体として理想的に適したものにする。反応性に関しては、幾つかの前駆体は、気化されて、反応器に運ばれ、基材上に膜として堆積されるのには高すぎる沸点を有する場合がある。比較的高い沸点を有する前駆体は、所与の真空下で輸送容器及びラインを前駆体の沸点以上に加熱して、容器、ライン又は両方で濃縮物及び粒子が形成されるのを防ぐことを要求される。重要なことに、式I、II、III又はIVを有する有機アミノシラン前駆体は、従来技術で開示されたものより多くのSi−H基を有し、潜在的に、Si−Hと、吸着されたアルミニウム前駆体により触媒化されたSi−NHとが反応してSi−N−Si結合を形成することにより、高品質なアルミニウムドープ窒化ケイ素の堆積が可能となる。幾つかの実施形態において、Si−NH基を有する式IVの有機アミノシラン前駆体、例えば、ビス(tert−ブチルアミノ)シラン(BTBAS)又はビス(sec−ブチルアミノ)メチルシラン又はビス(イソプロピルアミノ)メチルシランは、吸着したAl−Me基と反応して、Al−N−Si結合を形成することができ、次いで、より多くのケイ素断片を構造化された基材上に固定することが可能となり、高コンフォーマルなアルミニウムドープ窒化ケイ素又は炭窒化ケイ素の形成を促進する。幾つかの実施形態において、本明細書で説明される式I〜IVを有する有機アミノシラン前駆体は、2wt%以下、又は1wt%以下、又は0.5wt%以下の副産物を含む(常温保存可能である指標である6か月以上又は1年以上の期間保存された後)。前述した利点に加えて、例えば、PEALD又はPECCVD堆積方法を使用してアルミニウムドープ窒化ケイ素膜を堆積するための幾つかの実施形態において、本明細書で説明される有機アミノシラン前駆体は、1つ又は複数の温度、例えば、400℃以下、350℃以下、300℃以下、又は250℃以下、200℃以下、150℃以下、100℃以下、又は50℃以下で、高密度な材料を堆積することができる場合がある。
【0017】
本明細書における式中及び説明を通じて、「アルキル」という用語は、1つの水素原子の除去によりアルカンから誘導され、1〜10個又は3〜6個又は3〜4個の炭素原子を有する基を示す。例示の直鎖状アルキル基としては、限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、及びn−ペンチルが挙げられる。例示の分枝状アルキル基としては、限定されないが、イソプロピル、tert−ブチル、及びsec−ブチルが挙げられる。
【0018】
本明細書における式中及び説明を通じて、「シクロアルキル」という用語は、3〜10個又は4〜10個又は5〜10個の炭素原子を有する環状官能基を示す。例示の環状アルキル基としては、限定されないが、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロオクチル基が挙げられる。
【0019】
本明細書における式中及び説明を通じて、「アリール」という用語は、5〜12個又は6〜10個の炭素原子を有する芳香族環状官能基を示す。例示のアリール基としては、限定されないが、フェニル、ベンジル、シクロベンジル、トリル、及びo−キシリルが挙げられる。
【0020】
本明細書における式中及び説明を通じて、「アルケニル基」という用語は、1つ又は複数の炭素−炭素二重結合を有し、3〜10個又は3〜6個又は3〜4個の炭素原子を有する基を示す。
【0021】
本明細書における式中及び説明を通じて、「アルキニル基」という用語は、1つ又は複数の炭素−炭素三重結合を有し、3〜10個又は3〜6個又は3〜4個の炭素原子を有する基を示す。
【0022】
本明細書における式中及び説明を通じて、「ジアルキルアミノ基」という用語は、窒素原子に付着した2つのアルキル基を有し、1〜10個又は2〜6個又は2〜4個の炭素原子を有する基を示す。例示のジアルキルアミノ基としては、限定されないが、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、及びエチルメチルアミノが挙げられる。
【0023】
本明細書における式中及び説明を通じて、「アルキルシリル基」という用語は、少なくとも1つのケイ素原子並びに1〜10個又は2〜6個又は2〜4個の炭素原子を有する基を示す。例示のアルキルシリル基としては、限定されないが、メチルシリル(MeSiH
2−)、ジメチルシリル(Me
2SiH−)、トリメチルシリル(Me
3Si−)が挙げられる。シリル基は、H
3Si−又は(H
3Si)
2NSiH
2−を言い表す。
【0024】
本明細書における式中及び説明を通じて、「電子求引基」という用語は、M−N結合から電子を引き離すように作用する原子又は基を示す。適切な電子求引基又は官能基の例としては、限定されないが、ニトリル(CN)が挙げられる。幾つかの実施形態において、電子求引官能基は、式I〜IIIのいずれか1つにおけるNに隣接するか又は隣にあることができる。電子求引基の更なる非限定的な例としては、F、Cl、Br、I、CN、NO
2、RSO、及び/又はRSO
2が挙げられ、式中、Rは、C
1〜C
10アルキル基、例えば、限定されないが、メチル基又は他の基であることができる。
【0025】
幾つかの実施形態において、式I〜IV中のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アリール基、及び/又は電子求引基は、置換されていることがあるか、又は、例えば水素原子の位置で置換された原子の1つ又は複数の原子又は基を有することがある。例示の置換基としては、限定されないが、酸素、硫黄、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、I又はBr)、窒素、及びリンが挙げられる。例えば、「フッ素化アルキル基」という用語は、アルキル基が、フッ素原子で置換された水素原子のような原子を1つ又は複数有する基を示す。
【0026】
説明を通じて、本明細書で使用される場合、「有機アミン」という用語は、少なくとも1つの窒素原子を有する有機化合物を説明する。有機アミンの例としては、限定されないが、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、tert−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−アミルアミン、エチレンジアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、ピロール、2,6−ジメチルピペリジン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルメチルアミン、N−メチルアニリン、ピリジン、及びトリエチルアミンが挙げられる。同様に、説明を通じて、本明細書で使用される場合、「有機アミノ基」という用語は、上で説明したような2級又は1級有機アミンから誘導された、少なくとも1つの窒素原子を含む有機基を言い表す。「有機アミノ基」は、−NH
2基を含まない。
【0027】
説明を通じて、本明細書で使用される場合、「段差被覆性」という用語は、ビア又はトレンチ又は両方を有する構造化した又は特徴化した基材における、堆積したアルミニウムドープ窒化ケイ素膜の2つの厚さの割合として規定され、底部段差被覆性は、特徴部の底部の厚さを特徴部の頂部の厚さで割った比(%)であり、中央分段差被覆性は、特徴部の側壁上の厚さを特徴部の頂部の厚さで割った比(%)である。本明細書で説明する方法を使用して堆積した膜は、その膜がコンフォーマルであることを示す約60%以上、約70%以上、約80%以上、又は約90%以上の段差被覆性を示す。
【0028】
方法はまた、4、5、6、13族金属又はメタロイド前駆体を含む。例示の4、5、6、13族金属又はメタロイド前駆体としては、限定されないが、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム、トリス(エチルメチルアミノ)アルミニウム、塩化アルキルアルミニウム(例えば、塩化メチルアルミニウム、DMACl)、トリメチルボラン、トリエチルボラン、トリス(ジメチルアミノ)ボラン、トリス(エチルメチルアミノ)ボラン、及びトリス(ジエチルアミノ)ボランが挙げられる。更なる例示の13族メタロイド前駆体としては、「ボラン有機アミン錯体」が挙げられる。「ボラン有機アミン錯体」とは、ボラン又はジボランと有機アミンとの反応により形成される安定した揮発性のボラン錯体を示す。例示の有機アミンボラン錯体としては、限定されないが、ボラントリメチルアミン錯体、ボラントリエチルアミン錯体、ジメチルアミンボラン、ボランピリジン錯体、ボランモルホリン錯体、ボランtert−ブチルアミン錯体、ボラン4−メチルモルホリン錯体、ボランN,N−ジイソプロピルエチルアミン錯体、ボランエチレンジアミン錯体、2−メチルピリジンボラン錯体が挙げられる。
【0029】
幾つかの実施形態において、13族金属はアルミニウムを含む。これらの実施形態において、前駆体は、AlCl
3、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム、塩化メチルアルミニウム、トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム(TDMAA)、トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム(TDMAA)、及びトリス(ジエチルアミノ)アルミニウムからなる群より選択されるアルミニウム前駆体である。
【0030】
4、5、6、13族金属又はメタロイド窒化物膜、例えば、限定されないが、窒化アルミニウム又は窒化ホウ素の膜又はコーティングを形成するために使用される方法は、堆積プロセスである。本明細書で開示される方法に適した堆積プロセスの例としては、限定されないが、プラズマALD(PEALD)又はプラズマ周期的CVD(PECCVD)プロセスが挙げられる。本明細書で使用される場合、「化学気相堆積プロセス」という用語は、基材が1つ又は複数の揮発性前駆体にさらされ、それが基材表面上で反応及び/又は分解して、所望の堆積をもたらす任意のプロセスを言い表す。本明細書で使用される場合、「原子層堆積プロセス」という用語は、様々な組成の基材上に材料の膜を堆積する、自己限定的(例えば、各反応サイクルで堆積される膜材料の量が一定)な一連の表面化学を言い表す。本明細書で使用される前駆体、反応剤及び源は時々「ガス状」と説明されることがあるが、前駆体は、直接気化、バブリング、又は昇華を通じて反応器中に不活性ガスを用いるか又は用いずに輸送される固体又は液体のいずれかであることができると理解される。幾つかの場合において、気化した前駆体は、プラズマ生成器を通過することができる。1つの実施形態において、窒化アルミニウム膜はALDプロセスを使用して堆積される。別の実施形態において、窒化アルミニウム膜はCCVDプロセスを使用して堆積される。更なる実施形態において、窒化アルミニウム膜は熱CVDプロセスを使用して堆積される。本明細書で使用される場合、「反応器」という用語は、限定されないが、反応チャンバー又は堆積チャンバーを含む。ALD型プロセスは、本明細書で使用される場合、以下:エリプソメータで測定した場合に約5%以下の非均一性率、0.1Å/サイクル以上の堆積速度、又はそれらの組み合わせのうち少なくとも1つを有することで示されるような、基材上に高コンフォーマルな窒化アルミニウム膜を提供する周期的CVDプロセスとして規定される。
【0031】
幾つかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、反応器に導入する前に及び/又は導入する際に、前駆体を分離するPEALD又はPECCVD法を使用することで前駆体の事前反応(pre−reaction)を防止する。この関係で、PEALD又はPECCVDプロセスのような堆積技術は、13族金属又はメタロイド窒化物膜を堆積するために使用される。1つの実施形態において、膜は、基材表面を交互に1つ又は複数の窒化アルミニウム前駆体、窒素含有源、又は他の前駆体若しくは反応剤にさらすことで、PEALDプロセスにより堆積される。膜の成長は、それぞれの前駆体又は反応剤のパルス長、堆積温度、及び表面反応の自己制限的制御により進行する。しかしながら、基材の膜が飽和すると、膜成長は停止する。
【0032】
堆積方法に応じて、幾つかの実施形態において、少なくとも1つの4、5、6、13族金属又はメタロイド前駆体は、所定のモル容積、又は約0.1〜約1000マイクロモルで反応器中に導入することができる。この又は他の実施形態において、少なくとも1つのアルミニウム前駆体は、所定の時間で反応器中に導入することができる。幾つかの実施形態において、その時間は、約0.001〜約500秒間の範囲である。
【0033】
幾つかの実施形態において、4、5、6、13族金属又はメタロイド窒化物膜は、アルミニウム及び窒素、又はホウ素及び窒素を含む。これらの実施形態において、本明細書で説明される方法を使用して堆積された窒化アルミニウム膜又は窒化ホウ素膜は、窒素含有源の存在下で形成される。窒素含有源は、少なくとも1つの窒素含有源の形態で反応器中に導入されることがあり、及び/又は堆積プロセスで使用される他の前駆体の中に偶然に存在することがある。適切な窒素含有源ガスとしては、例えば、アンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、tert−ブチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、及びそれらの混合物を挙げることができる。幾つかの実施形態において、窒素源は、アンモニアであるか又はヒドラジンを含む組成物である。幾つかの好ましい実施形態において、窒素含有源はヒドラジンを含む。窒素含有源ガスは、約1〜約2000標準立法センチメートル毎分(sccm)又は約1〜約1000sccmの範囲の流量で反応器中に導入することができる。窒素含有源ガスは、約0.1〜約100秒間の範囲の時間で導入することができる。膜がALD又は周期的CVDプロセスで堆積される実施形態において、前駆体パルスは、0.01秒間超であるパルス幅を有することができ、窒素含有源ガスは、0.01秒間未満であるパルス幅を有することができ、水パルス幅は、0.01秒間未満であるパルス幅を有することができる。また別の実施形態において、パルス間のパージ幅は、0秒間程度低いことができるか又は間にパージなしで連続的にパルス化される。
【0034】
本明細書で説明される方法において、窒素含有源ガスは、ヒドラジン含有ガス、例えば、限定されないが、ヒドラジン、ヒドラジン/水素、ヒドラジン/アルゴン、ヒドラジン/窒素、及び溶媒中のヒドラジンと、任意選択で希ガス又は溶媒とを含む。ヒドラジン源ガスは、約1〜約2000標準立法センチメートル毎分(sccm)又は約1〜約1000sccm以上の範囲の流量で反応器中に導入される。ヒドラジン含有源ガスは、約0.01〜約100秒間以上の範囲の時間で導入することができる。実施形態において、前駆体パルスは、0.01秒間超であるパルス幅を有することができ、ヒドラジン蒸気は、0.01秒間未満であるパルス幅を有することができる。ヒドラジン蒸気は、希ガスと混合したか又は溶媒と混合した、純粋なヒドラジンを使用して輸送することができる。ヒドラジンと希ガス又は溶媒との両方を含有する組成物中の希ガスの重量パーセントは、1〜99wt%で変えることができ、一方で、ヒドラジンと希ガス又は溶媒との両方を含有する組成物中の希ガスの重量パーセントは、1〜99wt%で変えることができる。ヒドラジンを含む組成物のための希ガスは、窒素、ヘリウム、アルゴン、及びそれらの混合物からなる群より選択することができる。ヒドラジンを含む組成物のための溶媒は、エーテル、3級アミン、アルキル炭化水素、芳香族炭化水素、3級アミノエーテル、及びそれらの組み合わせから選択することができる。
【0035】
理論によって束縛されないが、ヒドラジンを含む組成物は、低い水素含有量を有する窒化アルミニウム膜のような4、5、6、13族金属又はメタロイド膜の形成を補助することができ、並びに、化学吸着表面の少なくとも一部上、特に、構造化した基材の側壁に、Al−Me又はAl−NMe
2基のような反応部位を提供することができ、一連の堆積サイクルにおいて反応部位上にケイ素含有断片を固定することを可能とし、したがって、ビア又はトレンチの側壁又は底部上への窒化ケイ素の堆積を促進し、60%以上の段差被覆性を可能とすると考えられており、そのような段差被覆性を達成するのは極めて難しい。
【0036】
本明細書で説明される堆積方法は、1つ又は複数のパージガスを伴うことができる。未消費の反応剤及び/又は反応副産物をパージするために使用されるパージガスは、前駆体と反応しない不活性ガスである。例示のパージガスとしては、限定されないが、アルゴン(Ar)、窒素(N
2)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、水素(H
2)、及びそれらの混合物が挙げられる。幾つかの実施形態において、パージガスとして使用される不活性ガスは、希ガスを含む。本明細書で使用される場合、「希ガス」という用語は、周期表の18族にあるガスを意味し、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、及びそれらの混合物が挙げられる。1つの特定の実施形態において、パージガスとして使用される希ガスはアルゴンを含む。この又は他の実施形態において、Arを含むパージガスは、約10〜約2000sccmの範囲の流量で、約0.1〜1000秒間反応器中に供給され、それにより、反応器中に残っていることがある未反応の前駆体材料及び任意の副産物をパージする。
【0037】
前駆体、窒素含有源、及び/又は他の前駆体、源ガス、及び/又は反応剤を供給するそれぞれの工程は、それらを供給する時間を変更して、得られる膜の化学量論的組成を変えることで行うことができる。
【0038】
4、5、6、13族金属又はメタロイド前駆体、式I〜IVを有する有機アミノシラン、又は両方は、様々な方法、例えば、バブリング、ベーパードロー(vapor draw)、又は直接液体注入(DLI)で、シングルウエハ又はバッチ式のいずれかのPEALD又はPECCVDのような反応チャンバーに輸送することができる。1つの実施形態において、液体輸送システムを利用することができる。代替的な実施形態において、複合液体輸送及びフラッシュ気化プロセスユニット、例えば、Shoreview,MNのMSP Corporationにより製造されるターボ気化装置を用いることができ、低揮発性材料を容量的に輸送することを可能とし、それにより、前駆体の熱分解なく再現可能な輸送及び堆積をもたらすことができる。液体輸送配合物において、本明細書で説明される前駆体は原液形態で輸送することができ、又は代替的に、それを含む溶媒配合物又は組成物中で用いることができる。したがって、幾つかの実施形態において、前駆体配合物が、基材上に膜を形成するための所与の最終使用用途において望ましく有利であることができるように、適切な性質の1つ又は複数の溶媒成分を含むことができる。
【0039】
幾つかの実施形態において、前駆体キャニスターから反応チャンバーまでを接続するガスラインは、プロセス要求に応じて1つ又は複数の温度に加熱され、本明細書で説明される式I〜IVを有するアルミニウム前駆体の容器は、バブリングのために1つ又は複数の温度に保たれる。他の実施形態において、本明細書で説明される式を有する少なくとも1つの窒化アルミニウム前駆体を含む溶液は、直接液体注入のために1つ又は複数の温度に保たれた気化装置に注入される。
【0040】
アルゴン及び/又は他の不活性ガスの流れは、前駆体パルスの間に少なくとも1つのアルミニウム前駆体の蒸気を反応チャンバーに輸送するのを助けるためのキャリアガスとして用いることができる。幾つかの実施形態において、反応チャンバーのプロセス圧力は約2Torr以下である。他の実施形態において、反応チャンバーのプロセス圧力は約10Torr以下である。
【0041】
1つの態様において、アルミニウムドープ窒化ケイ素膜を堆積するための方法が提供される。
【0042】
また、別の態様において、500℃未満の温度で熱原子層堆積により、コンフォーマルな金属ドープ窒化ケイ素誘電体膜を堆積するための方法であって、
a.反応器中に基材を提供する工程と、
b.金属前駆体を、金属前駆体と反応して化学吸着層を提供するのに十分なプロセス条件下で反応器中に導入する工程と、
c.未反応の金属前駆体をパージして除去する工程と、
d.反応器中に窒素源を導入して、化学吸着層の少なくとも一部と反応させて少なくとも1つの反応部位を提供する工程と、
e.パージガスで反応器をパージする工程と、
f.以下の式I〜IV:
【化3】
で表される有機アミノシラン前駆体であって、式中、R
1が、直鎖状C
1〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、直鎖状又は分枝状C
3〜C
10アルケニル基、直鎖状又は分枝状C
3〜C
10アルキニル基、C
1〜C
6ジアルキルアミノ基、電子求引基、C
6〜C
10アリール基、C
1〜C
10アルキルシリル基、及びシリル基から選択され、R
2が、水素、直鎖状C
2〜C
10アルキル基、分枝状C
3〜C
10アルキル基、直鎖状又は分枝状C
3〜C
6アルケニル基、直鎖状又は分枝状C
3〜C
6アルキニル基、C
1〜C
6ジアルキルアミノ基、C
6〜C
10アリール基、電子求引基、及びC
4〜C
10アリール基から選択され、n=1又は2、x=0、1、2、y=2、3であり、任意選択で、式I、III及びIV中のR
1及びR
2が共に結合して、置換若しくは非置換芳香族環又は置換若しくは非置換脂肪族環から選択される環を形成している有機アミノシラン前駆体を反応器中に導入する工程であって、有機アミノシラン前駆体が基材の表面の少なくとも一部上で反応し、化学吸着層を提供する工程と、
g.パージガスで反応器をパージする工程と、
h.反応器中に窒素源を導入して、化学吸着層の少なくとも一部と反応させて少なくとも1つの反応部位を提供する工程と、
i.任意選択で、不活性ガスで反応器をパージする工程とを含み、工程b〜iが所望の膜厚が得られるまで繰り返される方法が提供される。適切な金属前駆体は、AlCl
3、トリメチルアルミニウム(TMA)、塩化メチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム(TDMAA)、トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム(TDMAA)、トリス(ジエチルアミノ)アルミニウム(TDEAA)、ZrCl
4、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(TDMAZ)、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム(TDEAZ)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(TEMAZ)、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMAH)、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム(TDEAH)、及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH)、塩化チタン(TiCl
4)、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン(TDEAT)、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン(TEMAT)、塩化タンタル(TaCl
5)、tert−ブチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET)、tert−ブチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TBTDMT)、tert−ブチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(TBTEMT)、エチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(EITDET)、エチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(EITDMT)、エチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(EITEMT)、tert−アミルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TAIMAT)、tert−アミルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、tert−アミルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル、六塩化タングステン、五塩化タングステン、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン(BTBMW)、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン、ビス(tert−ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステン、及びそれらの組み合わせからなる群より選択することができる。適切な窒素源ガスとしては、例えば、アンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、例えば、1−メチルヒドラジン、1−tert−ブチルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、例えば、1,1−ジメチルヒドラジン、有機アミン、例えば、tert−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、エチレンジアミン、及びそれらの混合物を挙げることができる。他の実施形態において、プラズマを工程iの後に挿入して、金属ドープ窒化ケイ素を高密度化を補助することができ、プラズマは、水素プラズマ、ヘリウムプラズマ、ネオンプラズマ、アルゴンプラズマ、キセノンプラズマ、水素/ヘリウムプラズマ、水素/アルゴンプラズマ、及びそれらの混合物からなる群より選択される。本明細書で説明される方法の幾つかの実施形態において、工程b〜iは、約0.1〜約500Å、約0.1〜約5Å、約0.1〜約10Å、約0.1〜約50Å、又は約0.1〜約100Åの範囲の厚さを持つ膜を提供するために繰り返される。幾つかの実施形態において、工程b〜eを工程fの前に複数回繰り返して、より低い金属含有量(すなわち、金属含有量がXPS測定に基づいて10%以下)で交互に金属窒化物と窒化ケイ素とを含むナノラミネート誘電体構造を作り出すことができる。幾つかの実施形態において、水素プラズマ、水素/ヘリウム、水素/アルゴンプラズマ、水素/ネオンプラズマ、及びそれらの混合物からなる群より選択される水素を含むプラズマを工程d又はhの前に挿入して、金属前駆体と表面との間の反応から生成された炭化水素を除去するのを助けることができる。代替的な実施形態において、プラズマは、非水素プラズマを含む。
【0043】
上記の工程は、本明細書で説明される方法についての1サイクルを規定し、そのサイクルは所望の膜厚が得られるまで繰り返すことができる。この又は他の実施形態において、本明細書で説明される方法の工程は、様々な順序で行うことができ、連続的に又は同時に(例えば、別の工程の少なくとも一部の間に)行うことができ、及びそれらの組み合わせであることができる。利用可能な4、5、6、13族金属又はメタロイドに対して化学量論的量未満の窒素を常に使用するにもかかわらず、前駆体及び窒素含有源を供給するそれぞれの工程は、それらを供給するための時間を変えて、得られる窒化物膜の化学量論的組成を変えることで行うことができる。
【0044】
幾つかの実施形態において、得られる4、5、6、13族金属又はメタロイドドープ窒化ケイ素膜又はコーティングを、後堆積処理、例えば、限定されないが、プラズマ処理、化学処理、紫外線照射、電子ビーム照射、及び/又は膜の1つ又は複数の特性に影響を与える他の処理にさらすことができる。
【0045】
上述したように、本明細書で説明される方法は、基材の少なくとも一部に、4、5、6、13族金属又はメタロイドドープ窒化ケイ素膜を堆積するために使用することができる。適切な基材の例としては、限定されないが、シリコン、ゲルマニウム、シリコン/ゲルマニウム、SiO
2、Si
3N
4、OSG、FSG、炭化ケイ素、水素化炭化ケイ素、窒化ケイ素、水素化窒化ケイ素、炭窒化ケイ素、水素化炭窒化ケイ素、窒化ホウ素、反射防止コーティング、フォトレジスト、フレキシブル基材、例えばIGZO、有機ポリマー、多孔質有機及び無機材料、金属、例えば、銅及びアルミニウム、及び拡散バリア層、例えば、限定されないが、TiN、Ti(C)N、TaN、Ta(C)N、Ta、W、又はWNが挙げられる。膜は、様々な一連の処理工程、例えば、化学機械平坦化(CMP)及び異方性エッチングプロセスに適合する。
【0046】
堆積された膜は、限定されないが、コンピュータチップ、光学デバイス、磁気情報ストレージ、支持材料又は基材上のコーティング、微小電気機械システム(MEMS)、ナノ電気機械システム、薄膜トランジスタ(TFT)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、IGZO、及び液晶ディスプレイ(LCD)を含む用途を有する。
【0047】
以下の例は、本明細書で説明される13族金属又はメタロイドドープ窒化ケイ素膜を堆積するための方法を例示しており、以下の例は、如何なる方法によってそれを制限することを意図しない。
【0048】
以下の例において、別段の記載がない限り、特性を、中抵抗(14〜17Ω・cm)の単結晶シリコンウエハ基材上に堆積した試料膜から得た。全ての膜の堆積は、シャワーヘッド設計を有するCN−1反応器を使用して行った。典型的なプロセス条件において、別段の記載がない限り、チャンバー圧力を、約1〜約5torrの範囲の圧力で固定した。チャンバー圧力を維持するために、アルゴン又は窒素のような追加の不活性ガスを使用した。ベーパードローを使用してアルミニウム前駆体及び有機アミノシラン前駆体を輸送した。
【0049】
比較例1a.ビス(tert−ブチルアミノシラン)(BTBAS)及びアンモニアを使用した熱ALD窒化ケイ素膜
シャワーヘッド設計を備えたCN−1反応器中にシリコンウエハを設置し、2torrのチャンバー圧力で350℃に加熱した。有機アミノシラン前駆体はビス(tert−ブチルアミノシラン)(BTBAS)、窒素源はアンモニアであった。ALDサイクルを以下のプロセスパラメータを使用して行った。
a.反応器を準備しウエハを設置する
チャンバー圧力:2torr
b.反応器に有機アミノシラン前駆体を導入する
アルゴン流の総流量:1000sccm
有機アミノシラン前駆体パルス:2秒間
c.パージする
アルゴンの総流量:1000sccm
パージ時間:20秒間
d.窒素源を導入する
アルゴンの総流量:1000sccm
アンモニアの流量:500sccm(10秒間)
e.パージする
アルゴンの総流量:1000sccm
パージ時間:20秒間
工程b〜eを1000サイクル繰り返したところ、検出可能な窒化ケイ素膜は観測されなかった。
【0050】
例1.トリス(ジメチルアミノ)アルミニウム、ビス(tert−ブチルアミノシラン)(BTBAS)及びアンモニアを使用した熱ALDアルミニウムドープ窒化ケイ素膜
シャワーヘッド設計を備えたCN−1反応器中にシリコンウエハを設置し、2torrのチャンバー圧力で350℃に加熱した。アルミニウム前駆体はトリメチルアルミニウム(TMA)、有機アミノシラン前駆体はビス(tert−ブチルアミノシラン)(BTBAS)、窒素源はアンモニアであった。ALDサイクルを以下のプロセスパラメータを使用して行った。
a.反応器を準備しウエハを設置する
チャンバー圧力:2torr
b.反応器にアルミニウム前駆体を導入する
アルゴン流の総流量:1000sccm
アルミニウム前駆体パルス:2秒間
c.パージする
アルゴンの総流量:1000sccm
パージ時間:20秒間
d.窒素源を導入する
アルゴンの総流量:1000sccm
アンモニアの流量:500sccm(5秒間)
e.パージする
アルゴンの総流量:1000sccm
パージ時間:20秒間
f.反応器に有機アミノシラン前駆体を導入する
アルゴン流の総流量:1000sccm
有機アミノシラン前駆体パルス:1秒間
g.パージする
アルゴンの総流量:1000sccm
パージ時間:10秒間
h.プラズマを導入する
アルゴンの総流量:1000sccm
アンモニアの流量:500sccm(10秒間)
i.パージする
アルゴンの総流量:1000sccm
パージ時間:10秒間
【0051】
この実験において、1スーパーサイクルは、1回繰り返される工程b〜eを有する窒化アルミニウムと、その後の20回の工程f〜iとからなる(すなわち、スーパーサイクル=窒化アルミニウム:(TMA/パージ/NH
3/パージ=2秒間/20秒間/5秒間/20秒間)×1サイクル+窒化ケイ素:(BTBAS/パージ/NH
3/パージ=1.0秒間/10秒間/10秒間/10秒間)×20サイクル)。そのスーパーサイクルを50回繰り返した(すなわち、(窒化アルミニウム:(TMA/パージ/NH
3/パージ=2秒間/20秒間/5秒間/20秒間)×1サイクル+窒化ケイ素:(BTBAS/パージ/NH
3/パージ=1.0秒間/10秒間/10秒間/10秒間)×20サイクル)×50サイクル)。TEM測定は、以下の厚さ:250Åを示し、これは、60Åの窒化アルミニウムを仮定した場合に約0.19Å/サイクルの窒化ケイ素成長速度に相当し、そして、これは、堆積した窒化アルミニウムが窒化ケイ素の堆積を大きく促進したことを示した。
【0052】
例2.トリメチルアルミニウム(TMA)、ジ−sec−ブチルアミノシラン(DSBAS)及びヒドラジン(Hz)を使用した熱ALDアルミニウムドープ窒化ケイ素膜
両面研磨し、浮遊帯成長したSi(111)基材(低濃度nドープ、ρ=約10Ωcm)を、まず、自作のALDツールで使用するのに適するサイズにカットした。その基材を、まず、ジクロロメタン、アセトン及びメタノール中で5分間脱脂した。脱脂した後、基材を、ピラニア溶液(1:3のH
2O
2/H
2SO
4混合物)中で30分間処理する前に、水で全体を洗浄して、OH−終端された酸化物表面を作った。その試料を脱イオン水で再度洗浄して、ALD反応器中に設置する直前に、10
-4Torrのベース圧力で窒素(N
2)ガスを使用して送風乾燥した。ALDプロセスは、様々な数の以下の「スーパーサイクル」:x(yTMA+z[DSBAS+N
2H
4])からなり、xはスーパーサイクルの合計数であり、yはSiN
x成長の前に発生したスーパーサイクル中のTMA曝露の数であり、zはDSBAS及びN
2H
4の全体ALDサイクルの数である。前駆体曝露の時間は、TMAについては1秒間(p=390mTorr)、DSBASについては3秒間(p=440mTorr)、及びN
2H
4については5秒間(p=1.5Torr)であった。DSBAS及びN
2H
4の曝露はまた、それぞれ、10秒間及び60秒間の格納工程からなり、これは、ポンプへの弁を閉じて、前駆体が前述した時間の間にALDチャンバー中に残す工程である。この工程は、反応器の容積が極めて大きい場合に、最大の前駆体−基材相互作用を確実にするために行われ、また、前駆体を保存するために行われる。各前駆体の曝露後、N
2パージ(1000sccm、P=1.2Torr)を2.5分間行い、任意の潜在的なガス相反応及び/又はFT−IR測定における干渉を防いだ。試料の温度は、典型的に、ALDプロセスの間、250〜300℃に保たれた。
【0053】
FT−IR分析を、液体窒素で冷却した広帯域テルル化水銀カドミウム(MCT−B)検出器を備えたThermo Nicolet6700赤外分光計を用いて行った。ブルースター角(約74°〜垂線)でのシングル光路透過を使用して、低周波数領域(<1000cm
-1)での基材フォノン吸収を最小化し、表面種の全ての成分(表面に対して平行及び垂直)の感度を向上させた。ALDサイクルの間、液圧制御シールドを、前駆体ガスから臭化カリウム(KBr)ウィンドウを保護するように配置した。試料を、全てのIR測定のために100℃で維持した。抵抗加熱中の試料温度を監視するために、K型熱電対を、Si基材の長辺(long edge)の中心に固着したタンタルクリップ上にスポット溶接した。X線光電子分光法(XPS)を使用して、SiN
x膜の組成及び厚さを調査した。XPS測定を、10
-10Torrのチャンバーベース圧力でAl Kα(1486.6eV)X線源を使用して行い、半球型分析器を持つ16チャンネル検出器を使用してスペクトルを記録した。基材の法線に対して45°の角度に位置したArスパッタガンにより供給される、1kVのAr
+イオンを使用してスパッタリングを行った。TMA触媒相で膜成長の特性を調べる前に、DSBASとN
2H
4との間でのみ発生する場合がある表面反応をまずプローブする必要がある。この場合において、上記の手順を使用して、クリーンなOH終端された表面を作り出した。あらゆる前駆体暴露が起こる前に、基材をまず400℃にアニールした。これは、次のFT−IRスペクトルにおいて、熱的に誘導された基材変化からのあらゆる寄与を取り除くために行われる。この工程はまた、はっきりしたピーク約3740cm
-1をもたらす表面−OH基を分離し、それにより、初期前駆体吸収に対するIR解釈を容易にした。事前アニール工程の後に、基材を、TMA曝露がないことを除き前述した「スーパーサイクル」と同様の方法で、DSBASとN
2H
4とに連続で曝露した。
図1は、前駆体曝露中の様々な点での差分FT−IRスペクトルを示す。「1
stDSBAS」と表されたスペクトルは、参照として事前アニールした基材を使用し、全ての他のスペクトルは、参照として前のプロセス工程からのスペクトルを使用した。これらの差分スペクトルにより、各前駆体パルスの後に表面上で起こった変化を確認することが可能となり、それにより、最終的に反応メカニズム及び表面飽和を理解することができるようになる。これらのスペクトルにおいて、正のピークは、表面種の増加を示し、負のピークは減少を示す。初期のDSBAS曝露は、表面の−OH基の全てと反応し(3740cm
-1での減少、挿入図)、Si−H
3終端を残した(2190cm
-1での増加)。付着して残ったままのジ−sec−ブチルアミノ配位子の形跡がなく、したがって、完全にパージされて、一度全ての−OH基が消費されると、表面に対して非反応的になると考えられることに留意することが重要である。初期のN
2H
4曝露(「1
stHz」)の後、おそらく前駆体物理吸着のため、Si−H
3周波数でわずかな摂動があった。更なるDSBAS及びN
2H
4曝露の後に得られたFT−IRスペクトルに基づくと、表面のSi−H
3基と反応が起こらず、250℃で実際の膜成長がなかったことが明らかである。この成長の欠如を確かめるために、XPS測定をこの試料上で行った。
図2において理解することができるように、TMA(黒色スペクトル)は、−OH終端された表面上ですぐに化学吸着した。これは、980cm
-1での減少(Si−OHのベンディングモード)、並びに、LO(1240cm
-1)及びTO(1063cm
-1)フォノンモードの減少として理解される表面SiO
2の摂動により確かめられる。1206cm
-1(Al−CH
3)、1275cm
-1(Si−CH
3)、及び2800〜3000cm
-1(CH
3ストレッチモード)での正のバンドはまた、TMAが表面に付着したことを裏付けている。Si−CH
3バンドはTMAから下地のSi原子までメチルが移動した結果であり、膜のバルク内の炭素汚染物質を引き起こす場合があることに留意することが重要である。DSBAS曝露の際(緑色スペクトル)、CH
3ストレッチモード及びAl−CH
3モードにおける減少があり、その後、2形態のSiH
xと一致している2162cm
-1及び2223cm
-1での増加があった。N
2H
4(青色スペクトル)は、2162cm
-1のSiH
x成分と反応して、NH
2端末(それぞれ、シザー及びストレッチモードについて1602cm
-1及び3300cm
-1)を残した。約40サイクルの間、DSBASとN
2H
4との間で配位子交換は継続して起こっていた。
図3は、SiN
x成長と一致する特徴を示す、40サイクルのDSBAS+N
2H
4(40
thHz)の後のIRスペクトルを示す。中でも注目すべきは、SiN
xのLO及びTOフォノンモードは、1025cm
-1及び865cm
-1でそれぞれ確認できる。SiH
x(2152cm
-1)及びNH
x(1610cm
-1、3300cm
-1)の形態で膜中に組み込まれた多くの量の水素が存在していることに留意することがまた重要である。TMA曝露(2
ndTMA)の際、Si−CH
3及びAl−CH
3と関連するモードでの増加と共に、表面のSiH
x及びNH
xバンドでの減少が存在し、これは、窒化物表面上でのTMA化学吸着を裏付けた。41
stDSBAS及び41
stHzで表されたスペクトルは、DSBAS及びN
2H
4が再度反応することができることを示し、これは、SiN
x膜成長が再開始したことを裏付けた。