(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発光点が存在する平面と、前記光軸との交点を原点とし、複数の前記発光点の座標を前記原点からのベクトルで表し、2つの前記ベクトルの組み合わせのうち、2つの前記ベクトルのなす角度が最大かつ180度未満となる2つのベクトルで挟まれた領域を定義すると、任意の前記ベクトルが前記領域に収まる
ことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
前記発光点が存在する平面と、前記光軸との交点を原点とし、複数の前記発光点のうちの任意の2つの発光点の座標を前記原点からの2つのベクトルで表すと、2つの前記ベクトルのなす角度が略0度または略180度である
ことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
前記結像画像が存在する平面において、前記光軸との交点を原点とし、前記正規の結像画像の座標をベクトルで表し、2つの前記ベクトルの組み合わせのうち、2つの前記ベクトルのなす角度が最大かつ180度未満となる2つのベクトルで挟まれた領域を定義するとき、任意のベクトルが前記領域に収まる
ことを特徴とする請求項11に記載の分析装置。
前記結像画像が存在する平面において、前記光軸との交点を原点とし、任意の2つの正規の結像点の座標を2つのベクトルで表すと、当該2つのベクトルのなす角度が略0度または略180度である
ことを特徴とする請求項11に記載の分析装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
[キャピラリ電気泳動装置W]
図1は、本実施形態に係るキャピラリ電気泳動装置(分析装置)Wの装置構成図である。
本装置は、装置下部にあるオートサンプラユニット150と、装置上部にある照射検出/恒温槽ユニット160の、2つのユニットに大きく分けることができる。
【0019】
オートサンプラユニット150には、サンプラベース80の上にY軸駆動体85が備えられている。Y軸駆動体85は、サンプルトレイ100をY軸方向に駆動する。また、Y軸駆動体85にはZ軸駆動体90が備えられている。Z軸駆動体90は、サンプルトレイ100をZ軸方向に駆動する。Z軸駆動体90の上にはサンプルトレイ100が搭載され、サンプルトレイ100の上に、泳動媒体容器20、陽極側緩衝液容器30、陰極側緩衝液容器40、サンプル容器50をユーザがセットする。サンプル容器50は、サンプルトレイ100の下に設置されたX軸駆動体95の上にセットされる。Z軸駆動体90は送液機構60も備えている。この送液機構60は泳動媒体容器20の下方に配置される。
【0020】
照射検出/恒温槽ユニット160には、恒温槽ユニット110、恒温槽ドア120が備えられている。恒温槽ドア120が閉じられることによって、恒温槽ユニット110内を一定の温度に保つことができる。恒温槽ユニット110の後方には照射検出ユニット130が搭載され、電気泳動時の検出を行うことができる。恒温槽ユニット110の中に、キャピラリアレイ10をユーザがセットし、恒温槽ユニット110でキャピラリアレイ10を恒温に保ちながら電気泳動を行う。その後、照射検出ユニット130によって検出が行われる。また、恒温槽ユニット110には、電気泳動のための高電圧印加時にGNDに落とすための電極115も備えられている。キャピラリアレイ10は、複数(
図1の例では4本)のキャピラリCaで構成される。
【0021】
このように、キャピラリアレイ10は恒温槽ユニット110の槽内に固定される。泳動媒体容器20、陽極側緩衝液容器30、陰極側緩衝液容器40、サンプル容器50は、オートサンプラユニット150でYZ軸方向に駆動される。サンプル容器50のみが、X軸方向に駆動される。固定されたキャピラリアレイ10に、泳動媒体容器20、陽極側緩衝液容器30、陰極側緩衝液容器40、サンプル容器50が、オートサンプラユニット150の動きで任意の位置に自動で接続することができる。
検出ユニット(計測部)111、及び、検出ユニット111に含まれる撮像素子(計測部)IM、光学系Pについては後記する。
【0022】
図2は、
図1におけるA−A断面図である。
図2において、
図1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略することができる。
泳動媒体容器20はサンプルトレイ100に埋め込まれたガイド101の中に挿入してセットされる。また、送液機構60は、送液機構60に備えられたプランジャ61が、泳動媒体容器20の下方になるように配置される。
【0023】
電気泳動の際、陰極側のキャピラリアレイ10に高電圧がかかり、陰極側緩衝液容器40、陽極側緩衝液容器30(
図1参照)を介し、電極115にてGND(Ground)に流すことで電気泳動を行う。
そして、検出ユニット111がレーザビームをキャピラリアレイ10に対して照射する。その結果、キャピラリCaに生じる発光点での発光を検出ユニット111が検出する。検出された発光は図示しない解析ユニットにおいて解析される。なお、検出ユニット111には、撮像素子IMと、発光点で発した光を撮像素子IMに結像させるためのレンズ等である光学系Pが含まれている。撮像素子IM及び光学系Pについては、
図10A、
図10B等で後記する。
【0024】
[クロストーク]
ここで、再度クロストークについて詳細に説明する。
図3は、クロストークの原因を調べるための実験設備を説明する図である。クロストークは様々原因によって発生する。例えば、光学系Pのボケによって、特定のチャンネル(例えば、チャンネル2)で発生した信号が近接するチャンネル(例えばチャンネル1及びチャンネル3)に漏れ込み、近接するチャンネルでクロストークが発生することがよく知られている。しかしながら、
図27に示されるクロストークは、これとは異なる特徴を示している。つまり、特定のチャンネル(例えば、チャンネル2)で発生した信号が近接しないチャンネル(例えば、チャンネル4)に漏れ込み、近接しないチャンネルでクロストークが発生している。そこで本実施形態では、
図27に示す特徴を有するクロストークの原因を探る。
図3では、キャピラリCaの軸方向から実験設備をみた図を示している。
【0025】
まず、クロストークの原因を探るため、発明者らは、キャピラリCaの代わりに、特定のキャピラリCa、
図3の例ではチャンネル1(CH1)の発光点の位置に、遮蔽部材に設けられたピンホールを配置した。そして、このピンホールに、光学系Pと反対側から(
図3の紙面下側から)単色光を照射する(
図3太矢印)ことで、ピンホールを単色光の発光点とした。他のチャンネルについては発光点を配置しなかった(ピンホールを配置しなかった)。ピンホールから出射する発光は、チャンネル1で電気泳動されたサンプルから出射される発光を模擬したものとなる。
【0026】
ピンホール、すなわちチャンネル1の位置で生じた発光は、光学系Pによって、
図3の細実線の経路を通り、撮像素子IMに結像(正規の結像画像)される。しかし、発光の一部は、光学系P内を細破線のような経路を通って、正規の結像画像とは異なる位置で撮像素子IMに結像される。これにより、いわゆるゴーストが生じる。このようなゴーストがクロストークの原因となっていると考えられる。
【0027】
図3に示す方法を用いて、撮像素子IMで撮影した結果を、
図4A及び
図4Bに示す。なお、以降の説明では
図1及び
図2を適宜参照する。
図4A及び
図4Bは、発光点の正規の結像画像(メイン波長分散像ML)とゴーストの結像(ゴースト波長分散像GL)の実際を示す図である。なお、
図4A及び
図4Bは、ピンホールの発光の波長分散画像を示しており、紙面縦方向が波長を示している。
図4Aにおいて、画像201〜204は、それぞれ、ピンホールの位置をキャピラリCaの軸方向に動かした際の発光の波長分散画像である。
図4Aにおいて、メイン波長分散像ML11〜ML14は、ピンホールから出射する発光の正規の波長分散像(メイン波長分散像ML)である。そして、ゴースト波長分散像GL11〜GL14は、ピンホールから出射する発光の擬似的な波長分散像であり、メイン波長分散像ML11〜ML14に対するゴースト波長分散像GLである。このようなゴースト波長分散像GLが生じることにより、キャピラリCa間のクロストークが生じることが分かった。
【0028】
図4Aに示すように、メイン波長分散像ML11〜ML14の位置が紙面下方に移動すると、それとは反対にゴースト波長分散像GL11〜GL14が紙面上方へ移動することが分かる。
【0029】
図4Bは、
図3において、チャンネル4(CH4)の発光点の位置に、ピンホールを配置した場合の結果である。
図4Bにおいて、画像205〜209は、それぞれ、ピンホールの位置をキャピラリCaの軸方向に動かした際の発光の波長分散画像である。
図4Bにおいて、メイン波長分散像ML15〜ML19は、ピンホールから出射する発光の正規の波長分散像(メイン波長分散像ML)である。そして、ゴースト波長分散像GL15〜GL19は、ピンホールから出射する発光の擬似的な波長分散像であり、メイン波長分散像ML15〜ML19に対するゴースト波長分散像GLである。
【0030】
図4Bでも、
図4Aと同様に、メイン波長分散像ML15〜ML19の位置が紙面上方に移動すると、それとは反対にゴースト波長分散像GL15〜GL19が紙面下方へ移動することが分かる。
【0031】
図5は、メインの像と、ゴーストの像との位置関係を示す図である。メインの像及びゴーストの像とは、
図4A及び
図4Bで示すような波長分散像や、波長分散させない単なる結像点を含む。
図5は撮像画像の領域を示している。
図5において、縦軸はY縦方向画素番号を示し、横軸はX横方向画素番号を示している。つまり、
図5の縦軸は
図4A及び
図4Bの画像201〜209の縦方向の画素に相当し、
図5の横軸は
図4A及び
図4Bの画像201〜209の横方向の画素に相当する。
図5は、
図4A、
図4Bを含めた多数の条件における実験を行い、それらの結果を重ね合わせたものである。
【0032】
そして、
図5の大きな黒丸はメインの像の位置を示し、小さな黒丸はゴーストの像の位置を示す。メインの像の位置は、メインの像が広がりを有しているため、メインの像の位置は、その重心位置としている。重心は、光の強度(画素値)×座標の総和とする。
そして、×はメインの像の位置と、当該メインの像に対応するゴーストの像の位置とを結んだ線の中点を示す。
図5に示すように、それぞれの中点の位置はおよそ一致する。これは、メインの像の位置とゴーストの像の位置が点対称の関係にあることを意味している。さらに、発明者らは、中点(×)は光学系P(
図3参照)の光軸、より具体的には、光軸と撮像面の交点に対応していることを明らかにした。
すなわち、光学系P内における多重反射等によってメインの像に対するゴーストの像が光学系Pの中心に対して点対称の位置に生じていることが考えられる。
そして、発明者らは、このように考えると、クロストークの現象をすべて説明できることを見出した。
【0033】
すなわち、
図25に示すようなキャピラリCaの配置の場合、チャンネル3(CH3)が光学系P(
図3参照)の中心上にあると、チャンネル2(CH2)とチャンネル4(CH4)との間でクロストークが発生する。また、チャンネル2(CH2)が光学系Pの中心上にあると、チャンネル1(CH1)とチャンネル3(CH3)との間でクロストークが発生する。さらに、チャンネル2(CH2)とチャンネル3(CH3)とのちょうど中間点に光学系Pの中心が位置する場合、チャンネル(CH1)とチャンネル4(CH4)との間でクロストークが発生し、チャンネル2(CH2)とチャンネル3(CH3)との間でもクロストークが発生する。
【0034】
また、複数のキャピラリCaにおける、それぞれの発光点を結んだ直線が光学系Pの中心から外れていると、それぞれのメインの像が配列する方向に対して、ゴーストの像が斜め方向に生じる。そのため、波長分散像におけるメインの像の波長とゴーストの像の波長が変化して見えるカラーシフトが発生する。
そして、このような現象は、光学系Pの小型化、低コスト化にともなって発生したゴーストの像の増強が原因であることが分かった。
【0035】
これらの結果をふまえて、発明者らはキャピラリアレイ10の位置を光学系Pの中心からずらすことを着想した。
【0036】
図6及び
図7は、4本のキャピラリCaそれぞれの発光点、すなわち各キャピラリCaのレーザビーム照射位置のすべてを光学系Pの中心から、例えば
図11A及び
図11Bのようにずらした例を示している。なお、
図6〜
図9は、各キャピラリCaに内包される溶液のレーザビーム照射によるラマン散乱光の波長分散画像を示しており、紙面縦方向が波長を示している。
図6において、画像231はキャピラリアレイ10の位置をずらす前を示し(キャピラリアレイ10の中央と光学系Pの中心が略一致)、画像232はキャピラリアレイ10の画像が光学系Pの中心(一点鎖線は、光学系Pの中心を通る紙面縦方向の直線を示す)から紙面左方向へずれるよう配置したものである。
【0037】
また、
図7において、画像231は
図6の画像231と同様の画像であり、キャピラリアレイ10の位置をずらす前を示している。そして、画像233はキャピラリアレイ10の画像が光学系Pの中心(一点鎖線は、光学系Pの中心を通る紙面横方向の直線を示す)から紙面上方向へずれるよう配置したものである。
図6及び
図7に示すように、キャピラリアレイ10の画像が光学系Pの中心に対し、左右方向及び/または上下方向にずれるようキャピラリアレイ10を配置させることを発明者らは提案した。
【0038】
次に、実際に、キャピラリアレイ10の画像が光学系Pの中心に対してずれるよう、光学系P及びキャピラリアレイ10を配置させた結果を
図8及び
図9に示す。
図8は、
図6及び
図7と同様に各キャピラリCaに内包される溶液のレーザビーム照射によるラマン散乱光の波長分散像を撮像したものである。画像241は、4本のキャピラリCaのメイン波長分散像ML21〜ML24が良好に観察されるように露光時間を調整して撮像したものである。メイン波長分散像ML21〜ML24は、この順でチャンネル1〜4(CH1〜CH4)に対応する。一方、画像242は、画像241と露光時間を除いて同じ条件で、4本のキャピラリCaのゴースト波長分散像GL21〜GL24が良好に観察されるように露光時間を延長して撮像したものである。ゴースト波長分散像GL21〜GL24は、この順でチャンネル1〜4(CH1〜CH4)に対応する。このとき画像242において、メイン波長分散像ML21〜ML24の位置は画像241と同じであるが、それぞれの信号強度が飽和した状態で撮像されている。
画像242で明らかなように、ゴースト波長分散像GL21〜GL24は、メイン波長分散像ML21〜ML24に重複していないため、クロストークは回避されている。つまり、ゴースト発生は解析に影響を与えない。
【0039】
図9は、特定のキャピラリCaにサンプルを流した場合の結果を示す画像である。
図9では、チャンネル1(CH1)の画像が光学系Pの中心を略通り、チャンネル2〜4(CH2〜CH4)の画像が光学系Pの中心(画像243及び画像244の中心)から紙面右方向にずれるように配置したものである。
図9の画像243は、4本のキャピラリCaに何も流していない場合における画像であり、
図8の画像241と同様に、各キャピラリCaに内包される溶液のレーザビーム照射によるラマン散乱光の波長分散像が示されている。
【0040】
そして、
図9の画像244は、紙面最も右側に写っているチャンネル4(CH4)にのみサンプルを流し、各キャピラリCaの波長分散像を撮像したものである。
画像244では、画像243の上に、チャンネル4に流したサンプルのメイン波長分散像ML31(ML)とともに、ゴースト波長分散像GL31(GL)が重畳されて撮像されている。
チャンネル4のゴースト波長分散像GL31が撮像されているものの、このゴースト波長分散像GL31は、サンプルを流したチャンネル4のメイン波長分散像MLだけでなく、すべてのチャンネルにおいて、メイン波長分散像のいずれとも重複しないため、クロストークは発生しない。ゆえに、解析には影響しない。
【0041】
図28は、以下の条件における各キャピラリCaの信号強度(SI:Signal Intensity)の時間変化を示す図である。すなわち、まず、
図9と同様の条件でキャピラリアレイ10をずらした。そして、
図26と同様に、チャンネル4だけに濃いサンプルを注入し、他のチャンネルにはサンプルを注入せずに泳動した。ここで、チャンネル1〜3については、縦軸のスケールを拡大して表示している。その結果、
図26の場合と異なり、チャンネル1〜3にはベースラインとノイズのみが検出されている。そして、チャンネル4にのみ注入したサンプルに由来するピークが検出された。
このように、キャピラリアレイ10を光学系Pの中心からずらすことにより、期待通りにクロストークを回避することができることが確認された。
なお、ここでは、波長分散像について説明したが、波長分散しない結像点でも同様の結果を得ることができる。
【0042】
クロストークに対する対策としては、光学系Pの各要素(カメラレンズ、フィルタ等)の反射率を低減させることが本質となる。しかしながら、このような対策は、時間とコストを要する。
本実施形態によれば、光学系Pの中心をシフトさせるだけであるため、速やかに、かつ、コストをかけることなく、クロストークを防止することができる。
【0043】
[キャピラリアレイ10の配置(結像画像)]
次に、
図10A、
図10B、
図11A及び
図11Bを参照して、光学系Pと、キャピラリアレイ10の配置について説明する。
図10A、
図10B、
図11A及び
図11Bでは、波長分散しない結像画像について説明する。
図10B及び
図11Bは、キャピラリアレイ10及び発光点Eを正面から見た図である。
図10A及び
図11Aにおいて、下段はキャピラリアレイ10及びキャピラリアレイ10における発光点Eを
図10B及び
図11Bの上方向、つまり、キャピラリCaの長軸方向から見た図を示している。中段は、光学系Pを
図10B及び
図11Bの上方向、つまり、キャピラリCaの長軸方向から見た図を示している。そして、上段は、撮像素子IM、メイン像M、及びゴースト像Gを
図10B及び
図11Bの上方向、つまり、キャピラリCaの長軸方向から見た図を示している。
【0044】
図10A及び
図11Aの下段、
図10B、
図11Bにおいて、キャピラリCaの実線は外径を示し、破線は内径を示している。そして、黒丸は発光点Eを示している。つまり、黒丸は各キャピラリCaにおいてレーザビームが照射された内径部分の位置を示している。キャピラリCaはチャンネル1〜4(CH1〜CH4)の4本が設置されている。
図10A及び
図11Aにおいて、紙面縦方向の一点鎖線は光学系Pの中心線CLを示す。この中心線CLは、必ずしも単一の直線であるとは限らない。例えば、光学系Pに含まれる光学素子によって、光路が折れ曲がる場合は、その折れ曲がりに沿って中心線CLは延長される。また、光の波長によって光路が変化する場合は、主として用いる波長帯の中央の単一波長について光路を定義する。ここで、
図10A及び
図11Aの下段において、キャピラリアレイ10及び発光点Eが配列される平面と、中心線CLの交点を光学系Pの中心CAとする。また、
図10A及び
図11Aの上段において、メイン像Mが配列する平面と中心線CLの交点を光学系Pの中心CDとする。
【0045】
また、
図10A及び
図11Aの上段において、白丸はメイン像(正規像)Mを示し、破線白丸はゴースト像Gを示す。メイン像Mとは、ゴースト像Gではない正規の像である。
さらに、
図10B及び
図11Bにおいて、第1の軸C1は、複数の発光点Eの少なくとも一部が一直線上に並ぶ任意の直線と平行であり、かつ、原点(光学系Pの中心CA)を通る直線である。また、第2の軸C2は、第1の軸C1と垂直(キャピラリCaの長軸と平行)、かつ、原点(光学系Pの中心CA)を通る直線である。また、
図10A及び
図11Aの下段における第1の軸C1は、
図10B及び
図11Bにおける第1の軸C1と同じものである。
【0046】
図10A及び
図10Bは、光学系P及びキャピラリアレイ10の配置のNG例(クロストークが発生する例)を示す図である。
図10Aの下段、及び
図10Bに示すように、キャピラリアレイ10の中央、すなわちチャンネル2とチャンネル3それぞれにおける発光点Eの間のおよそ中点に光学系Pの中心CAがくるようキャピラリアレイ10が設置されている。
このようにキャピラリアレイ10が設置されると、チャンネル1の発光点Eの正規の結像点であるメイン像M1に、チャンネル4のゴーストの結像点であるゴースト像G4が重複してしまう。ゴースト像Gはメイン像Mに対して光学系Pの中心CDについて点対称の位置に発生するためである。同様に、チャンネル2のメイン像M2にチャンネル3のゴースト像G3が、チャンネル3のメイン像M3にチャンネル2のゴースト像G2が、チャンネル4のメイン像M4にチャンネル1のゴースト像G1がそれぞれ重複してしまう。なお、
図10Aの上段では、図を見やすくするため重複しているメイン像M及びゴースト像Gを若干ずらして表示している。以降の図でも同様である。
【0047】
図11A及び
図11Bは、光学系P及びキャピラリアレイ10の配置のOK例(クロストークが発生しない例)を示す図である。
図11A及び
図11Bにおいて、
図10A及び
図10Bと同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図11Aの下段、
図11Bに示すように、キャピラリCaのチャンネル1〜4の発光点Eのすべてが光学系Pの中心CAから一方向にずれるように設置されている。すなわち、キャピラリアレイ10の外側に光学系Pの中心CAが設置されている。
【0048】
このようにキャピラリアレイ10が設置されることにより、
図11Aの上段に示すようにメイン像M1〜M4と、ゴースト像G1〜G4とが重複しないようにすることができる。ここでも、ゴースト像Gはメイン像Mに対して光学系Pの中心CDについて点対称の位置に発生するためである。さらに、
図11Aの上段に示すように、各メイン像Mが結像する位置の中央が撮像素子IMの中央にくるように撮像素子IMが配置されている。別な表現をすると、撮像素子IMの重心位置を、光学系Pの中心CDの位置から、メイン像Mの共通重心の位置に近づける。あるいは、撮像素子IMの重心位置と各メイン像Mの共通重心の位置の距離を、光学系Pの中心CDの位置と各メイン像Mの共通重心位置の距離よりも小とする。各メイン像Mの共通重心とは、各メイン像Mに対する共通の重心である。各メイン像Mの共通重心は、以下の式(1)で表わされる。
【0050】
式(1)において、各メイン像Mの共通重心であり、iはメイン像Mの番号(
図11Aの例ではi=1〜4、Nはメイン像Mの数(
図11Aの例ではN=4)、jは、所定のメイン像Mに属する座標を示す。なお、
図11Aの例では、各メイン像Mの共通重心と、撮像素子IMの中心とは略一致している。
【0051】
より具体的には、メイン像Mが存在する平面と、光学系Pの中心線CLとの交点(すなわち、中心CD)が撮像素子IMの外にある。このようにすることで、メイン像Mのみを効率的に撮像することができる。また同時に、ゴースト像Gが撮像されるのを防ぐこともできる。
【0052】
このように、
図11A及び
図11Bに示す配置では、発光点Eのうち、任意の2つの発光点Eの中点が、光学系Pの中心CA(及び中心線CL)からずれるよう、キャピラリアレイ10が配置される。言い換えれば、任意の2つのメイン像Mの中点が光学系Pの中心CD(及び中心線CL)からはずれている。
このようにすることで、光学系Pの各要素の反射率を低減させなくても、クロストークを防止することができる。すなわち、速やかに、かつ、コストをかけることなくクロストークを防止することができる。
【0053】
さらに、
図11A及び
図11Bに示す配置では、複数の発光点Eの集合体である発光点群の外側に光学系Pの中心CAが存在する。言い換えれば、メイン像Mの集合体であるメイン像群の外側に光学系Pの中心CDが存在する。このようにすることで、メイン像Mの集合体と、ゴースト像Gの集合体とを完全に分離させることができる。
【0054】
[キャピラリアレイ10の配置(結像画像及び波長分散画像)]
次に、波長分散を考慮した光学系P及びキャピラリアレイ10の配置について
図12〜
図17を参照して説明する。
図12〜
図17において、下段の図(下段図)はキャピラリアレイ10を正面から見た図を示している。
図12〜
図17の下段図は
図10B及び
図11Bと同様であるので、同一の符号を付して説明を省略する。なお、
図12〜
図17の下段図において、黒丸は発光点Eを示している。つまり、
図12〜
図17の下段図において、黒丸は各キャピラリCaにおいてレーザビームが照射された内径部分の位置を示している。また、
図12〜
図17の下段図において、2本の直交する一点鎖線(一方は各キャピラリCaの長軸と垂直、他方は各キャピラリCaの長軸と平行)の交点は光学系Pの中心CAを示す。なお、
図12〜
図17の上段図及び下段図における中心CD,CEは
図10A及び
図11Aにおける中心CDと同様の定義によるものである。
【0055】
そして、
図12〜
図17の上段の図(上段図)は、撮像素子IMが存在する平面における発光点Eの結像の状態を示し、四角で囲まれた撮像素子IMの撮像領域は撮像素子IMによって撮像される結像画像を示す。
図12〜
図17の上段図において、白丸M1〜M4はそれぞれチャンネル1〜4(CH1〜CH4)の発光点Eの正規の結像点であるメイン像Mを示す。さらに、破線白丸G1〜G4はそれぞれチャンネル1〜4の発光点Eにおけるゴーストの結像点であるゴースト像Gを示す。
【0056】
また、
図12〜
図17の中段の図(中段図)は、撮像素子IMが存在する平面における発光点Eの波長分散画像の状態を示している。ここで、
図12〜
図17の中段図において、四角で囲まれた領域は撮像素子IMによって撮像される領域を示し、その中に波長分散画像が示されている。波長分散画像は、光学系Pの内部に、回折格子またはプリズムを配置することによって得られる。中段図では、紙面上下方向が波長の短長に相当する。例えば、中段図において、紙面上方向へいくにつれて波長が短くなり、紙面下方向へいくにつれて波長が長くなる。また、中段図において、太実線ML1〜ML4は正規の結像点であるメイン波長分散像MLを示し、太破線GL1〜GL4はゴーストの結像点であるゴースト波長分散像GLを示す。
【0057】
さらに、
図12〜
図17の下段図において、第1の軸C1は、複数の発光点Eの少なくとも一部が一直線上に並ぶ任意の直線と平行であり、かつ、原点(光学系Pの中心CA)を通る直線である。また、第2の軸C2は、第1の軸C1と垂直(キャピラリCaの長軸と平行)、かつ、原点(光学系Pの中心CA)を通る直線である。
【0058】
図12は、結像画像及び波長分散画像ともにNGであるキャピラリアレイ10と、光学系Pの配置例を示す図である。
図12の下段図に示すように、
図12では
図10A及び
図10Bと同様にキャピラリアレイ10と、光学系Pを配置した例を示す。
図12の上段図は、
図10Aの上段と同様のため、ここでの説明を省略するが、メイン像M1〜M4と、ゴースト像G1〜G4と重複してしまっている。
さらに、
図12の中段図を参照すると、チャンネル1の発光点Eに由来するメイン波長分散像ML1に、チャンネル4の発光点Eに由来するゴースト波長分散像GL4が重複している。同様に、チャンネル2の発光点Eに由来するメイン波長分散像ML2にチャンネル3の発光点Eに由来するゴースト波長分散像GL3が、チャンネル3の発光点Eに由来するメイン波長分散像ML3にチャンネル2の発光点Eに由来するゴースト波長分散像GL2が、チャンネル4の発光点Eに由来するメイン波長分散像ML4にチャンネル1の発光点Eに由来するゴースト波長分散像GL1がそれぞれ重複している。
【0059】
このように、
図12の下段図に示すようなキャピラリアレイ10と、光学系Pの配置では、結像画像、波長分散画像ともにクロストークが発生し、NGであることが分かる。
【0060】
図13は、結像画像及び波長分散画像ともにOKであるキャピラリアレイ10と、光学系Pの配置例を示す図である。
図13の下段図に示すように、
図13は
図11A及び
図11Bと同様にキャピラリアレイ10と、光学系Pをずらして配置した例を示す。
なお、
図13〜
図17の中段図において、
図12と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
図13の上段図は、
図12の上段図と同様であるので、ここでの説明を省略するが、メイン像M1〜M4と、ゴースト像G1〜G4とが分離して結像している。さらに、撮像素子IMをメイン像M1〜M4のみが結像する位置に配置することで、ゴースト像G1〜G4が撮像されるのを回避することができている。
【0062】
図13の中段図を参照すると、上段図と同様に、メイン波長分散像ML1〜ML4と、ゴースト波長分散像GL1〜GL4とが分離して撮像されている。また、
図13の中段図では、撮像素子IMがメイン波長分散像ML1〜ML4のみが結像する位置に配置されている。つまり、メイン波長分散像MLの集合体であるメイン波長分散像群の外側に光学系Pの中心CEが存在する。このようにすることで、ゴースト波長分散像GL1〜GL4が撮像されるのを回避することができる。
【0063】
図13に示す配置では、発光点Eのうち、任意の2つの発光点Eにおける中点が、光学系Pの中心CA(あるいは光軸CL(
図10A及び
図11A参照))からずれるよう、キャピラリアレイ10が配置される。言い換えれば、任意の2つのメイン像M及びメイン波長分散像MLでの中点が光学系Pの中心CD,CEからはずれている。
【0064】
ここで、
図13の中段図に示すように、ゴースト波長分散像GLはメイン波長分散像MLに対して光学系Pの中心CEについて点対称の位置に発生する。さらに、
図13の中段図に示すように、各メイン波長分散像MLが結像する位置の中央が撮像素子IMの中央にくるように撮像素子IMが配置されている。別な表現をすると、撮像素子IMの重心位置を、光学系Pの中心CEの位置から、メイン波長分散像MLの共通重心の位置に近づける。あるいは、撮像素子IMの重心位置と各メイン波長分散像MLの共通重心位置の距離を、光学系Pの中心CEの位置と各メイン波長分散像MLの共通重心位置の距離よりも小とする。
なお、各メイン波長分散像MLの共通重心位置は、前記した式(1)において、座標をメイン波長分散像MLに属する座標とすればよい。
【0065】
このようにすることで、光学系Pの各要素の反射率を低減させなくても、クロストークを防止することができる。すなわち、速やかに、かつ、コストをかけることなくクロストークを防止することができる。
【0066】
さらに、
図13に示す配置では、下段図に示すように、キャピラリアレイ10が光学系Pの中心CAを跨いでいない。すなわち、複数の発光点Eの集合体である発光点群の外側に光学系Pの中心CAが存在する。言い換えれば、メイン像Mの集合体であるメイン像群、及び、メイン波長分散像MLの集合体であるメイン波長分散像群の外側に光学系Pの中心CD及び中心CEが存在する。
このようにすることで、メイン像Mと、ゴースト像Gとを完全に分離させることができ、メイン波長分散像MLと、ゴースト波長分散像GLとを完全に分離させることができる。
【0067】
このように、
図13の下段図に示すようなキャピラリアレイ10と、光学系Pの配置では、結像画像、波長分散画像ともにクロストークを回避することができ、OKとすることができる。
【0068】
図14は、結像画像はOKだが、波長分散画像はNGとなるキャピラリアレイ10と、光学系Pの配置例を示す図である。
図14では、下段図に示すように、
図12と同様に、キャピラリアレイ10が光学系Pの中心CAを跨いでいる。ただし、
図12と異なり、各キャピラリCaの発光点Eを結ぶ直線が光学系Pの中心CAを通らない。つまり、
図12の下段図の場合とは以下の点で異なる。すなわち、光学系Pの中心CAを通り、各キャピラリCaの長軸と垂直な一点鎖線で示す第1の軸C1と、複数の発光点Eが並ぶ直線が一致しない。ただし、チャンネル2の発光点Eとチャンネル3の発光点Eとの間に、第2の軸C2がくるように配置されている。
【0069】
このような配置は、次のように表現することができる。発光点Eが存在する平面と、光軸との交点(光学系Pの中心CA)を原点とする。そして、各発光点Eの座標を原点からのベクトル(発光点Eと原点とを結ぶベクトル)で表す。そして、なす角度が最大かつ180度未満となる2つのベクトルと原点で囲まれた領域を定義すると、任意のベクトルが、この領域に収まる。なす角度が最大とは、任意の2つのベクトルのなす角度のうち、最大の角度を有する2つのベクトルがなす角度である。
図14の下段図の例では、チャンネル1(CH1)についてのベクトルと、チャンネル4(CH4)についてのベクトルとのなす角度が、最大の角度となる。ここで、発光点Eが広がりを有する場合、発光点Eの座標は、発光点Eの重心とすればよい。この重心は、発光点Eにおける(光の強度(画素値)×座標)の総和とする。
【0070】
このようなキャピラリアレイ10、光学系Pの配置とすると、
図14の上段図に示すようにメイン像M1〜M4と、ゴースト像G1〜G4とが紙面上下方向に分離して撮像素子IMに結像する。これは、ゴースト像Gがメイン像Mに対して光学系Pの中心CDについて点対称の位置に生じることに基づく。従って、メイン像M1〜M4に関して、クロストークは発生せず、
図14の下段図にあるようなキャピラリアレイ10と、光学系Pの配置はOKとなる。
なお、
図14の上段図では、1つの撮像素子IMにメイン像M1〜M4と、ゴースト像G1〜G4とが結像している。しかしながら、それぞれのメイン像M1〜M4と、ゴースト像G1〜G4とは分離しているため、解析には影響しない。
【0071】
これに対して、波長分散画像では、
図14の中段図に示すようにメイン波長分散像ML1〜ML4の一部と、ゴースト波長分散像GL1〜GL4の一部とが重複し、クロストークが発生している。ちなみに、
図14の中段図に示すような波長分散画像ではカラーシフトが生じている。例えば、チャンネル2のメイン波長分散像ML2とゴースト波長分散像GL2は波長分散方向にずれて結像される。そのため、チャンネル2の発光点Eから出射した単一波長の光が、メイン波長分散像ML2とゴースト波長分散像GL2で異なる波長として検出される。従って、波長分散画像に関して、
図14の下段図にあるようなキャピラリアレイ10と、光学系Pの配置はNGとなる。
【0072】
ただし、
図14の下段図において、発光点E(レーザビーム照射位置)が、
図14の下段図より、もっと紙面上方となるようにキャピラリアレイ10を配置することで、
図14の中段図におけるメイン波長分散像MLと、ゴースト波長分散像GLとを上下方向に完全に分離することができる。このようにすることで、クロストークを回避することができる。
図7はそのような配置の例である。
【0073】
図15は、結像画像、波長分散画像ともにOKとなるキャピラリアレイ10と、光学系Pの配置例を示す図である。
図15では、下段図に示すように、キャピラリアレイ10が光学系Pの中心CAを跨いでいない。さらに、
図14と同様に、各キャピラリCaの発光点Eを結ぶ直線が光学系Pの中心CAを通らない。
【0074】
このような配置とすることで、結像画像では、
図15の上段図に示すようにメイン像M1〜M4と、ゴースト像G1〜G4とを分離して結像させることができ、クロストークを回避することができる。さらに、
図15の上段図では、撮像素子IMがメイン像M1〜M4のみが結像する位置に配置されている。つまり、メイン像Mの集合体であるメイン像群の外側に光学系Pの中心CDが存在する。このようにすることで、ゴースト像G1〜G4が撮像されるのを回避することができる。
【0075】
図15の上段図は、以下のように表現することができる。メイン像Mが存在する平面において、光学系Pの中心軸との交点である中心CDを原点とする。そして、任意のメイン像Mの座標がベクトル(原点からのベクトル)で表される。このとき、なす角度が最大となる2つのベクトルと原点で囲まれた領域が定義されると、任意のベクトルが、この領域に収まる。ただし、前記した最大のなす角度は180度未満である。なす角度が最大とは、任意の2つのベクトルのなす角度のうち、最大の角度を有する2つのベクトルがなす角度である。
図14の下段図の例では、チャンネル1(CH1)についてのベクトルと、チャンネル4(CH4)についてのベクトルとのなす角度が、最大の角度となる。メイン像Mが広がりを有する場合、メイン像Mの座標は、メイン像Mの重心とすればよい。この重心は、メイン像Mにおける(光の強度(画素値)×座標)の総和とする。
【0076】
また、
図15の中段図に示すように、
図15の下段図のような配置とすることで、メイン波長分散像ML1〜ML4と、ゴースト波長分散像GL1〜GL4とを分離して撮像させることができ、クロストークを回避することができる。さらに、
図15の中段図では、撮像素子IMがメイン波長分散像ML1〜ML4のみが結像する位置に配置されている。つまり、メイン波長分散像MLの集合体であるメイン波長分散像群の外側に光学系Pの中心CEが存在する。すなわち、波長分散像が存在する平面において、光学系Pの中心CEが撮像素子IMの外にある。このようにすることで、ゴースト波長分散像GL1〜GL4が撮像されるのを回避することができる。
【0077】
さらに、
図15の中段図は、以下のように表現することができる。メイン波長分散像MLが存在する平面において、光学系Pの中心CEを原点とする。そして、任意のメイン波長分散像MLの座標がベクトル(原点からのベクトル)で表される。このとき、なす角度が最大となる2つのベクトルと原点で囲まれた領域を定義すると、任意のベクトルが上記領域に収まる。ただし、上記の最大のなす角度は180度未満である。なす角度の定義は、
図15の上段図で説明したものにおいて、メイン像Mの重心をメイン波長分散像MLの重心としたものである。メイン波長分散像MLの座標は、メイン波長分散像MLの重心とすればよい。この重心は、光の強度(画素値)×座標の総和とする。
【0078】
このように、
図15の下段図に示すようなキャピラリアレイ10と、光学系Pの配置とすることで、結像画像、波長分散画像ともにOKとすることができる。
【0079】
なお、
図11A、
図11B、
図13、
図15に示す実施形態では、一組のキャピラリアレイ10が、光学系Pの中心CAを跨がないように、光学系Pの中心CAからずれるように配置している。この場合、異なるもう一組のキャピラリアレイ10が、光学系Pの中心CAについてキャピラリアレイ10と点対称の位置に配置されないように注意しなければならない。そのためには、光学系Pの中心CAを挟んだ両側に2組(または複数組)のキャピラリアレイ10を設置することができない装置構成にすることが有効である。
【0080】
図16は、結像画像、波長分散画像ともにNGとなるキャピラリアレイ10と、光学系Pの配置例を示す図である。
図16では、下段図に示すように、キャピラリアレイ10が光学系Pの中心CAを跨いでいる。さらに、チャンネル2のレーザビーム照射位置である発光点Eと光学系Pの中心CAが同じ位置にくるよう、キャピラリアレイ10と、光学系Pとが配置されている。
【0081】
このような配置とすると、
図16の上段図に示すように、チャンネル4の発光点Eの正規の結像点であるメイン像M4は、いずれの発光点Eのゴーストの結像点であるゴースト像Gとも重複していない。また、チャンネル2のメイン像M2は、同じチャンネル2のゴースト像G2と重複しているため、クロストークとはならない。しかしながら、チャンネル1のメイン像M1はチャンネル3のゴースト像G3と、チャンネル3のメイン像M3はチャンネル1のゴースト像G1と重複しており、チャンネル1とチャンネル3の間でクロストークが発生している。
【0082】
このように、
図16の下段図に示すようなキャピラリアレイ10と、光学系Pの配置では、一部のキャピラリCaにおいて結像画像がNGとなる。ただし、
図16の例では、チャンネル2,4は、メイン像Mに自分自身のゴースト像Gが重複する、あるいはメイン像Mにゴースト像Gが重複しないため、使用可である。
【0083】
また同様に、
図16の中段図に示すように、チャンネル4のメイン波長分散像ML4は、いずれのゴースト波長分散像GLとも重複していない。また、チャンネル2のメイン波長分散像ML2は、同じチャンネル2のゴースト波長分散像GL2と重複しているため、クロストークとはならない。しかしながら、チャンネル1のメイン波長分散像ML1はチャンネル3のゴースト波長分散像GL3と、チャンネル3のメイン波長分散像ML3はチャンネル1のゴースト波長分散像GL1と重複しており、チャンネル1とチャンネル3の間でクロストークが発生している。
【0084】
このように、
図16の下段図に示すようなキャピラリアレイ10と、光学系Pの配置では、一部のキャピラリCaにおいて波長分散画像がNGとなる。ただし、
図16の例では、チャンネル2は、メイン波長分散像MLに自分自身のゴースト波長分散像GLが重複しているため使用可である。また、チャンネル4は、メイン波長分散像MLにゴースト波長分散像GLが重複しないため、使用可である。
【0085】
図16の場合と同様に、チャンネル3の発光点Eと光学系Pの中心CAが同じ位置にくるよう、キャピラリアレイ10と、光学系Pとを配置した場合は、チャンネル2とチャンネル4の間でクロストークが発生するため、NGとなる。しかしながら、チャンネル1の発光点Eまたはチャンネル4の発光点Eと光学系Pの中心CAが同じ位置にくるよう、キャピラリアレイ10と、光学系Pとを配置した場合は、チャンネル1またはチャンネル4が自分自身のゴーストと重なるだけとなる。従って、クロストークを回避することができ、OKとなる。
【0086】
図17は、結像画像、波長分散画像ともにOKとなるキャピラリアレイ10と、光学系Pの他の配置例を示す図である。
図17では、下段図に示すように、キャピラリアレイ10が光学系Pの中心CAを跨いでおり、チャンネル2の発光点Eと、チャンネル3の発光点Eとの中間点より、チャンネル2の発光点Eよりに光学系Pの中心CAがくるよう、キャピラリアレイ10と、光学系Pとを配置している。
このような、キャピラリアレイ10の配置は以下のように表現することができる。つまり、発光点Eが存在する平面において、光学系Pの中心CAを原点とする。そして、複数の発光点Eのうち、任意の2つの発光点Eの座標が原点からの2つのベクトルで表される。このとき、2つの原点からのベクトルのなす角度が略0度または略180度である。
【0087】
このような配置とすると、
図17の上段図に示すように各メイン像M1〜M4は、いずれのゴースト像G1〜G4とも重複していない。
従って、
図17の下段図に示すような配置とすることで、
図17の上段図に示すようにメイン像M1〜M4と、ゴースト像G1〜G4とを分離して結像させることができ、クロストークを回避することができる。なお、
図17の上段図では、1つの撮像素子IMにメイン像M1〜M4と、ゴースト像G1〜G4とが結像している。しかしながら、それぞれのメイン像M1〜M4と、ゴースト像G1〜G4とは分離しているため、解析には影響しない。
【0088】
ここで、隣り合うキャピラリCa間(キャピラリCaの中心間)の距離が略一定のx1、光学系Pの中心CAと、光学系Pの中心CAに最も近いキャピラリCa(
図17の例ではチャンネル2)との距離がX1とするとき、X1=x1/4となるようにするとよい。このとき、隣り合うメイン像Mとゴースト像Gとの分離距離が最大となり、クロストークの影響を最小化できるためである。
【0089】
また、
図17の下段図に示すように、キャピラリアレイ10を光学系Pの中心CAを跨いで配置しながら、クロストークを回避する手段は一般化して以下のように表現することも可能である。まず、複数の発光点Eが、同一平面上で、略同一直線上で、かつ略等間隔で配列しているか、または、格子状に配列しているとする。このとき、複数の発光点Eの少なくとも一部が一直線上に並ぶ任意の直線と平行であり、かつ、原点(光学系Pの中心CA)を通る第1の軸C1が設定される。そして、第1の軸C1と垂直、かつ、原点(光学系Pの中心CA)を通る第2の軸C2が設定される。そして、第1の軸C1方向に対する発光点Eの間隔をx1、第2の軸C2方向に対する発光点Eの間隔をx2とする(
図17の下段図の例ではx2=0であるため不図示)。
【0090】
さらに、原点(光学系Pの中心CA)に最も近接する発光点E(
図17の下段図ではチャンネル2の発光点E)と、第2の軸C2との距離をX1、第1の軸C1との距離をX2(
図17の例ではX2=0であるため不図示)とする。なお、
図17の下段図では、X1=x1/4、X2=0である。
一般には、X1及びX2は以下の条件を満たすようにするとよい。
(A1)0≦X1<1/2*x1、(A2)0≦X2<1/2*x2、の条件があるとき、(A1)及び(A2)の少なくとも一方が満たされ、かつ、(A3)X1とX2が同時にゼロにならない。ちなみに、
図17の下段図では、X1≠0、X2=0である。
【0091】
この条件は、さらに以下のように絞ることができる。
(B1)1/8*x1≦X1≦3/8*x1、(B2)1/8*x2≦X2≦3/8*x2、の少なくとも一方が満たされる。
図17の下段図では、(B1)の条件が満たされている。
この条件は、さらに、以下のように絞ることができる。
(D1)X1≒1/4*x1、(D2)X2≒1/4*x2、の少なくとも一方が満たされる。
図17の下段図では、(D1)の条件が満たされている。
【0092】
また、
図17の下段図に示すような配置とすることで、
図17の中段図に示すように、メイン波長分散像ML1〜ML4と、ゴースト波長分散像GL1〜GL4とを分離して結像させることができ、クロストークを回避することができる。なお、
図17の上段図では、1つの撮像素子IMにメイン波長分散像ML1〜ML4と、ゴースト波長分散像GL1〜GL4とが結像している。しかしながら、それぞれのメイン波長分散像ML1〜ML4と、ゴースト波長分散像GL1〜GL4とは分離しているため、解析には影響しない。
【0093】
このように、
図17に示す配置によれば、メイン像Mとゴースト像G、または、メイン波長分散像MLとゴースト波長分散像GLが同じ撮像素子IM上に重複しないで結像する。このようにすることで、キャピラリCaの数、あるいは発光点Eの数が多く、メイン像Mまたはメイン波長分散像MLのみが結像する位置に撮像素子IMを配置することが困難な場合であっても、クロストークを回避あるいはクロストークの影響を低減することが可能となる。
【0094】
なお、
図17の上段図は以下のように表現することができる。結像点が存在する平面において、光軸との交点(光学系Pの中心CD)を原点とする。そして、任意の2つのメイン像Mの座標が2つのベクトル(原点からのベクトル)で表される。このとき、当該2つの原点からのベクトルのなす角度が略0度または略180度である。
【0095】
なお、
図17の中段図は以下のように表現することができる。波長分散像が存在する平面において、光軸との交点(光学系Pの中心CE)を原点とする。そして、任意の2つのメイン波長分散像MLの座標が2つのベクトル(原点からのベクトル)で表される。このとき、当該2つの原点からのベクトルのなす角度が略0度または略180度である。
【0096】
[マイクロアレイへの適用]
ここまでは、主として、キャピラリ電気泳動装置W(
図1、
図2参照)を適用例として、複数の発光点Eが直線上、つまり1次元状に配列している場合について説明した。しかし、キャピラリアレイ電気泳動に限らず、他の分析方法であっても、複数の発光点Eが1次元状に配列している場合は以上を適用できることは言うまでもない。以降では、マイクロアレイを適用例として、複数の発光点Eが2次元状に配列している場合について説明する。同様に、マイクロアレイに限らず、複数の発光点Eが2次元状に配列している場合にも本実施形態を適用できることは言うまでもない。マイクロアレイは、基板上に様々な種類のプローブを離散的に固定化し、これらとサンプルに含まれる様々な種類の成分のターゲットを反応させる。そして、マイクロアレイは、化学発光や蛍光発光を用いて、基板全体を観察することで反応が進んだプローブの種類と量とが検知され、サンプル中に含まれるターゲットの種類と量が分析される手法である。つまり、基板上に配列する様々なプローブの位置を2次元状に配列する複数の発光点Eとして、どの発光点Eがどれだけ発光するかを計測するのである。一般に、発光点Eの位置とプローブの種類の対応付けを容易にするため、2次元平面における複数の発光点Eの配列、すなわち基板上での種々のプローブの配列を、格子状とする場合が多い。DNA(Deoxyribonucleic Acid)やRNA(Ribonucleic Acid)等の核酸、あるいはタンパク質等が、マイクロアレイのプローブ及びターゲットとして取り扱うことができる。また、プローブとターゲットの反応としてハイブリダイゼーションあるいは抗原抗体反応を用いることができる。
【0097】
図18〜
図23を参照して、本実施形態をマイクロアレイ等に適用する例を説明する。
図18〜
図21の各図において、下段図はマイクロアレイにおける複数の発光点Eが配列する平面において、これらの発光点Eと、この平面と光学系Pの中心線CL(
図10A及び
図11A参照)との交点である光学系Pの中心CAとの関係を示し、上段図は撮像素子IMの存在する平面における発光点Eの結像点を示す。
図18〜
図21の下段図において、黒丸はマイクロアレイにおける発光点Eを示し、一点鎖線は直交する第1の軸C1、及び第2の軸C2を示す。そして、これらの軸の交点は、光学系Pの中心CAを示す。また、発光点Eは4×4の正方格子状に存在しており、格子は、直交して配列する2方向のそれぞれが第1の軸C1及び第2の軸C2と平行になる。
また、
図18〜
図21の上段図において、白丸は発光点Eに由来するメイン像MEを示し、三角はゴースト像GEを示す。さらに、
図18〜
図21の上段図において、符号IMで示す四角の領域は、撮像素子IM及び撮像素子IMの撮像領域を示す。
さらに、
図18〜
図21の上段図において、メイン像Mが配列する平面と中心線CLの交点を光学系Pの中心CFとする。
【0098】
図18は、マイクアレイにおける複数の発光点EのNG(クロストークが発生)の配置例を示す図である。
まず、
図18では、下段図に示すように、光学系Pの中心CAが発光点群の重心と略一致するよう光学系Pが配置される。また、
図18の下段図に示すように、第1の軸C1方向に対する発光点Eの間隔がx1、第2の軸C2方向に対する発光点Eの間隔がx2であり(
図18の下段図ではx1=x2)、光学系Pの中心CAに最も近い発光点E(
図18の下段図では、例えば、発光点E6)と第2の軸C2との間隔をX1、第1の軸C1との間隔をX2とするとき、X1=x1/2、X2=x2/2となっている。
【0099】
このような配置とすると、
図18の上段図に示すように、例えば、下段図の発光点E16の正規の結像点であるメイン像ME16には、下段図における発光点E1のゴーストの結像点であるゴースト像GE1が重複する。また、下段図の発光点E15のメイン像ME15には、下段図の発光点E2に由来するゴースト像GE2が重複する。その他のメイン像MEにもゴースト像GEが重複している。これらは、メイン像MEに対してゴースト像GEが光学系Pの中心CFについて点対称の位置に発生することに基づいている。
【0100】
このように、
図18の下段図に示すような配置では、メイン像MEと、ゴースト像GEとが重複してしまい、クロストークが発生するため、好ましくない。
【0101】
図19は、マイクロアレイにおける複数の発光点EのOK(クロストークが発生しない)配置例を示す図である。
図19では、下段図に示すように、光学系Pの中心CAが発光点群から外れるよう光学系Pが配置される。
このような配置とすると、
図19の上段図に示すように、発光点Eに由来するメイン像MEに対して、ゴースト像GEが重複せず、クロストークを回避することができる。これは、メイン像MEに対応するゴースト像GEが、光学系Pの中心CFについて点対称の位置に発生するためである。
そして、
図19の上段図に示すように撮像素子IMがメイン像MEのみが結像する位置に配置されることで、ゴースト像GEが撮像されることを回避することができる。
【0102】
なお、
図19の下段図に示すように、直交する2本の軸(第1の軸C1及び第2の軸C2)のそれぞれをx軸、y軸とみなしたとき、発光点群が第4象限に位置するよう配置されている。しかし、これに限らず、第1象限、第2象限、第3象限のいずれかに配置されるようにしてもよい。また、第1象限と、第2象限とにまたがるように発光点群が配置されてもよい。同様に、第2象限と第3象限、第3象限と第4象限、及び第4象限と第1象限とにまたがるように発光点群が配置されてもよい。
【0103】
図19の下段図における発光点Eの配置は、以下のように表現することができる。
まず、複数の発光点Eの集合体である発光点群の外側に光学系Pの中心CAが存在している。
【0104】
図19の上段図における配置は以下のように表現することができる。
メイン像MEの集合体であるメイン像群の外側に光学系Pの中心CFが存在する。また、結像点が存在する平面において、光学系Pの中心CFとの交点を原点として、任意のメイン像MEの座標をベクトルで表すとき、なす角度が最大となる2つのベクトルと原点で囲まれた領域を定義すると、任意のベクトルが、この領域に収まる。ただし、前記した最大のなす角度は180度未満である。ここで、なす角度が最大となる2つのベクトルは、
図19の上段図のメイン画像ME4、メイン画像ME13のそれぞれと光学系Pの中心CFとを結んだベクトルである。メイン画像ME4は
図19の下段図の発光点E4に相当し、メイン画像ME13は
図19の下段図の発光点E13に対応するメイン画像MEである。さらに、光学系Pの中心CFが撮像素子IMの撮像領域の外にある。なお、
図19の上段図においてメイン画像ME1,ME16が参考に示され、下段図において発光点E1,E6が参考に示されている。
【0105】
図20は、マイクロアレイにおける複数の発光点Eの他のOK(クロストークが発生しない)配置例を示す図である。
図20の下段図では、
図19の下段図の場合と異なり、光学系Pの中心CAが発光点群内に存在する。
【0106】
図20の下段図に示す通り、複数の発光点Eの格子状配列に含まれる任意の直線上の並びと平行、かつ、原点(光学系Pの中心CA)を通る第1の軸C1、及び第1の軸C1と垂直かつ原点(光学系Pの中心CA)を通る第2の軸C2を定義する。そして、第1の軸C1方向における発光点Eの間隔をx1、第2の軸C2方向における発光点Eの間隔をx2とする。
【0107】
また、原点(光学系Pの中心CA)に最も近接する発光点E(
図20の下段図では、紙面上から2行目、左から2列目の発光点E6)と、第2の軸C2との距離をX1、第1の軸C1との距離をX2(不図示)と定義する。
このとき、
図20の下段図では、X1=x1/4、X2=0となるように発光点Eが配置されている。
【0108】
図20の下段図のように光学系Pが配置されている場合、発光点Eのメイン像MEと、ゴースト像GEは
図20の上段図に示すようになる。
図20の上段図に示すように、メイン像MEと、ゴースト像GEは分離された状態で撮像素子IMに結像する。すなわち、隣り合うメイン像MEの中間にゴースト像GEが結像している。従って、
図20の配置によって、クロストークを回避することができる。このとき、上段図に示すように同一の撮像素子IMにメイン像MEと、ゴースト像GEとが結像しているが、メイン像MEと、ゴースト像GEとは分離して結像しているため、解析に影響を与えない。
一般に、クロストークを回避するためには、X1及びX2が以下の条件を満たすようにするとよい。
(A1)0≦X1<1/2*x1、(A2)0≦X2<1/2*x2の条件があるとき、(A1)及び(A2)の少なくとも一方が満たされ、かつ、(A3)X1とX2が同時にゼロにならない。
【0109】
この条件は、さらに以下のように絞ることができる。
(B1)1/8*x1≦X1≦3/8*x1、(B2)1/8*x2≦X2≦3/8*x2、の少なくとも一方が満たされる。
この条件は、さらに、以下のように絞ることができる。
(D1)X1≒1/4*x1、(D2)X2≒1/4*x2、の少なくとも一方が満たされる。
【0110】
例えば、X1=0、X2=x2/4となるよう配置されるのが好ましい。
【0111】
このようにすることで、発光点Eの数が多く、メイン像MEのみが結像する位置に撮像素子IMを配置することが困難な場合でも、クロストークの回避が可能となる。
【0112】
図21は、マイクロアレイにおける複数の発光点Eの他のOK(クロストークが発生しない)配置例を示す図である。
【0113】
図21の下段図に示すように、X1=x1/4、及びX2=x2/4となるよう光学系P及び発光点Eが配置される。x1、X1、x2、X2は
図22で定義した通りである。
【0114】
図21の下段図に示すような配置とすることで、
図21の上段図に示すように発光点Eのメイン像MEと、ゴースト像GEとが分離して撮像素子IMに結像され、クロストークを回避することができる。また、
図21の下段図に示すような配置とすることで、
図21の上段図に示すように、メイン像MEと、ゴースト像GEとが最も分離して結像されるため、最も効率よくクロストークを回避することができる。同一の撮像素子IMにメイン像MEと、ゴースト像GEとが結像しているが、メイン像MEと、ゴースト像GEとは分離して結像しているため、解析に影響を与えない。
【0115】
このようにすることで、発光点Eの数が多く、メイン像MEのみが結像する位置に撮像素子IMを配置することが困難な場合でも、クロストークの回避が可能となる。
【0117】
(斜方格子)
図22は、発光点Eが同一平面上で斜方格子状に配置されている例を示す図である。
図22では、
図20、
図21の下段図と同様に、複数の発光点Eの格子状配列に含まれる任意の直線上の並びと平行、かつ、原点(光学系Pの中心CA)を通る第1の軸C1、及び第1の軸C1と垂直かつ原点(光学系Pの中心CA)を通る第2の軸C2とする。そして、第1の軸C1方向における発光点Eの間隔をx1、第2の軸C2方向における発光点Eの間隔をx2とする。また、原点(光学系Pの中心CA)に最も近接する発光点E(
図22の例では発光点E39)と、第2の軸C2との距離をX1、第1の軸C1との距離をX2(不図示)と定義する。
図22では、X1=x1/4、X2=0となるように発光点Eが配置されている。このようにすると、
図20、
図21の上段図と同様に、結像面において、メイン像MEと、ゴースト像GEとを分離させることができ、クロストークを回避することができる。
【0118】
この条件以外でも、前記した(A1)〜(A3)、(B1)〜(B2),(D1)〜(D2)で記された条件のいずれかが満たされればよい。例えば、X1=0、X2=x2/4としてもよい。
【0119】
(六角格子)
図23は、発光点Eが同一平面上で六角格子状に配置されている例を示す図である。
図22と同様に、第1の軸C1、第2の軸C2、x1、x2、X1、X2(不図示)が定義される。
図23では、X1=x1/4、X2=0となるように発光点Eが配置されている。このようにすると、
図20、
図21の上段図と同様に、結像面において、メイン像MEと、ゴースト像GEとを分離させることができ、クロストークを回避することができる。
【0120】
この条件以外でも、前記した(A1)〜(A3)、(B1)〜(B2)、(D1)〜(D2)で記された条件のいずれかが満たされればよい。例えば、X1=0、X2=x2/4としてもよい。
【0121】
あるいは、X1=x1/8、X2=x2/8となるように発光点Eが配置されても、結像面において、メイン像MEと、ゴースト像GEとを分離させることができる。つまり、クロストークを回避することができる。
【0122】
(平行体格子)
図24は、発光点Eが同一平面上で平行体格子状に配置されている例を示す図である。
図22と同様に、第1の軸C1、第2の軸C2、x1、x2、X1、X2が定義される。
図24では、X1=x1/4、X2=0となるように発光点Eが配置されている。このようにすると、
図20、
図21の上段図と同様に、結像面において、メイン像MEと、ゴースト像GEとを分離させることができ、クロストークを回避することができる。
この条件以外でも、前記した(A1)〜(A3)、(B1)〜(B2)、(D1)〜(D2)で記された条件のいずれかが満たされればよい。例えば、X1=0、X2=x2/4としてもよい。
【0123】
なお、異なる結像点や波長分散像の間の距離、結像点や波長分散像と、光学系Pの中心CD,CE,CFとの距離、異なる発光点Eの間の距離、結像点と第1の軸C1や第2の軸C2との距離を測る場合、発光点E、結像点、及び波長分散像のそれぞれの位置、座標として、それぞれの重心が用いられてもよい。ここで、重心は、発光点E、結像点、及び波長分散像における光の強度(画素値)と、座標との積の総和で定義される。このようにすることで、発光点、結像点、及び波長分散像が広がりを有する場合にも、前記した座標や距離を定義することができる。
【0124】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0125】
そして、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。