(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6735314
(24)【登録日】2020年7月15日
(45)【発行日】2020年8月5日
(54)【発明の名称】高周波(RF)スパッタ堆積源、堆積装置及びその組立て方法
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20200728BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20200728BHJP
【FI】
C23C14/34 C
H05H1/46 M
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-98602(P2018-98602)
(22)【出願日】2018年5月23日
(62)【分割の表示】特願2016-550946(P2016-550946)の分割
【原出願日】2013年11月5日
(65)【公開番号】特開2018-162521(P2018-162521A)
(43)【公開日】2018年10月18日
【審査請求日】2018年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ケラー, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュースラー, ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ハース, ディーター
(72)【発明者】
【氏名】バンゲルト, シュテファン
【審査官】
▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/057105(WO,A1)
【文献】
国際公開第2002/010471(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ内のスパッタ堆積用のスパッタ堆積源(100)であって、
前記真空チャンバの壁部(102)と、
前記スパッタ堆積中に堆積されるべき材料を供給するターゲット(20)と、
RF電力を前記ターゲットに供給するためのRF電源と、
前記ターゲットを前記RF電源に接続するための電力コネクタ(222)と、
前記真空チャンバの内部から壁部を経て外部へと伸びる導体ロッド(110;310、312)とを備え、
前記導体ロッド(110;310、312)は、前記真空チャンバの内側では一つ以上の部品(140)に接続され、前記真空チャンバの外側では前記RF電源に接続されて、内部にRF電流のリターンパスを確定し、
前記一つ以上の部品は遮蔽箱(342、344、346)を備え、
前記遮蔽箱(342、344、346)と前記導体ロッド(110;310、312)との接続に関して、前記遮蔽箱(342、344、346)と前記真空チャンバの壁部(102)との間に所定のスペースを有する間隙(334)が形成されている、スパッタ堆積源。
【請求項2】
前記導体ロッドは、リターンパスRF集電金属シートに接続される、請求項1に記載のスパッタ堆積源。
【請求項3】
前記リターンパスRF集電金属シートは、電源金属シートに接続またはねじ留めされる、請求項2に記載のスパッタ堆積源。
【請求項4】
前記導体ロッドは、前記壁部を通って突き出るように構成された追加的な部分の幅より広い幅のヘッド部を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のスパッタ堆積源。
【請求項5】
前記導体ロッドは、前記壁部への接続のために真空密閉が提供されるようなOリング用に構成された少なくとも一つの溝を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のスパッタ堆積源。
【請求項6】
前記導体ロッドのヘッド部には少なくとも一つの溝が設けられている、請求項5に記載のスパッタ堆積源。
【請求項7】
前記RF電源は、前記電力コネクタ及び前記導体ロッドに整合器を経由して接続される、請求項1から6のいずれか一項に記載のスパッタ堆積源。
【請求項8】
前記電力コネクタは、接合ブリッジ及び前記接合ブリッジに接続またはねじ留めされたホットパス金属シートを更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のスパッタ堆積源。
【請求項9】
前記導体ロッドは、前記壁部の内側表面を越えて、少なくとも0.8mmだけ突き出て、前記壁部の前記内側表面と前記一つ以上の部品の間に間隙が形成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のスパッタ堆積源。
【請求項10】
前記一つ以上の部品は、少なくとも一つの遮蔽箱を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のスパッタ堆積源。
【請求項11】
前記導体ロッドは、前記真空チャンバの外側及び/又は前記真空チャンバの内側に少なくとも一つのねじ山を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のスパッタ堆積源。
【請求項12】
真空チャンバ内のスパッタ堆積用の装置であって、
請求項1から11のいずれか一項に記載の、前記真空チャンバ内のスパッタ堆積用のスパッタ堆積源と、
前記真空チャンバと
を含む、装置。
【請求項13】
前記壁部は、前記真空チャンバに接続された前記スパッタ堆積源のドアである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
真空チャンバ内のスパッタ堆積用の装置を組立てる方法であって、
前記真空チャンバの壁部(102)を通って導体ロッド(110;310、312)を挿入することと、
前記真空チャンバの内側の一つ以上の部品(140)を前記導体ロッド(110;310、312)に接続することと、
前記導体ロッド(110;310、312)をRF電源に接続して、前記導体ロッドを通る確定されたRFリターンパスを生成することと
を含み、
前記一つ以上の部品(140)は遮蔽箱(342、344、346)を備え、
前記遮蔽箱(342、344、346)と前記導体ロッド(110;310、312)との接続に関して、前記遮蔽箱(342、344、346)と前記真空チャンバの壁部(102)との間に所定のスペースを有する間隙(334)が形成されている、方法。
【請求項15】
ターゲットに接続されている接合ブリッジにホットパス金属シートをねじ留めすることを更に含み、
前記導体ロッド(110;310、312)を前記RF電源に接続することは、
電源金属シートをリターンパスRF集電金属シートにねじ留めすることを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明の実施形態は、スパッタカソード並びにその作動及び製造方法に関する。実施形態は、真空チャンバ内の堆積用の装置に関する。本発明の実施形態は、具体的には、真空チャンバ内のスパッタ堆積用のスパッタ堆積源、真空チャンバ内のスパッタ堆積用の装置、及び真空チャンバ内のスパッタ堆積用の装置を組立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] PVDプロセスが、例えば、ディスプレイ製造といった幾つかの技術分野で、注目が増大している。幾つかのPVDプロセスについて、良好な堆積速度が、十分な層特性とともに得られ得る。例えば、スパッタリングは、ディスプレイ製造又は他の用途のための一つの重要な堆積プロセスである。スパッタリング、例えばマグネトロンスパッタリング、は、基板、例えばガラス基板又はプラスチック基板をコーティングする技術である。スパッタリングは、プラズマを使用してターゲットをスパッタすることによって、コーティング材料の流れを生成する。この間、材料がプラズマからの高エネルギー粒子との衝突によってターゲットの表面から放出されるプロセスである。スパッタリングは、圧力、電力、ガス、及び磁場などのプラズマパラメータによって制御可能である。真空中で、スパッタされた材料が、ターゲットから一つ以上の基板又は仕掛品の方に向かって進み、その表面に付着する。金属、半導体及び誘電体材料を含む多様な材料が、所望の仕様でスパッタされることができる。このように、マグネトロンスパッタリングは、半導体処理、光学的コーティング、食品包装、磁気記録、及び摩耗保護コーティングを含む様々な用途で受入れられてきた。
【0003】
[0003] マグネトロンスパッタリングデバイスは、ガスの中にエネルギーを入れて、プラズマを発生させ維持するための電源、イオンの運動を制御するための磁気要素、及びプラズマによるスパッタリングを通じてコーティング材料を発生させるためのターゲットを含む。スパッタリングは、異なる電気的、磁気的、及び機械的構成を有する多様なデバイスで成し遂げられる。構成は、プラズマを生成するための、DC若しくはAC電磁場又は高周波エネルギーの源を含む。詳細には、非導電性材料は、RFスパッタリング方法を用いてスパッタされ得る。
【0004】
[0004] RF−PVDが、複数の用途、例えば、非導電性材料のスパッタリングのために望ましい。しかしながら、RFスパッタリングプロセスは、アーク及び寄生プラズマをしばしば発生させる。RFスパッタリング用の装置及びシステムの組立て及び試運転の間の莫大な個々の努力とともに、これらの問題を解決しようとする試みがなされてきた。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 上記を踏まえて、独立請求項1による、真空チャンバ内のスパッタ堆積用のスパッタ堆積源、請求項12による、真空チャンバ内のスパッタ堆積用の装置、及び独立請求項14による、真空チャンバ内のスパッタ堆積用の装置を組立てる方法が、提供される。本発明の更なる態様、利点及び特徴が、従属請求項、明細書、及び添付の図面から明らかとなる。
【0006】
[0006] 一つの実施形態では、真空チャンバ内のスパッタ堆積用のスパッタ堆積源が提供される。源は、真空チャンバの壁部、スパッタ堆積中に堆積されるべき材料を供給するターゲット、ターゲットにRF電力を供給するためのRF電源、ターゲットをRF電源に接続するための電力コネクタ、及び真空チャンバの内側から真空チャンバの外側に壁部を通って延びる導体ロッドを含み、導体ロッドは、真空チャンバの内側の一つ以上の部品に接続され、かつ導体ロッドは、真空チャンバの外側のRF電源に接続され、導体ロッドを通る定められたRFリターンパスを生成する。
【0007】
[0007] 他の実施形態では、真空チャンバ内のスパッタ堆積用の装置が提供される。本装置は、真空チャンバ内のスパッタ堆積用のスパッタ堆積源、及び真空チャンバを含む。源は、真空チャンバの壁部、スパッタ堆積中に堆積されるべき材料を供給するターゲット、ターゲットにRF電力を供給するためのRF電源、ターゲットをRF電源に接続するための電力コネクタ、及び真空チャンバの内側から真空チャンバの外側に壁部を通って延びる導体ロッドを含み、導体ロッドは、真空チャンバの内側の一つ以上の部品に接続され、かつ導体ロッドは、真空チャンバの外側のRF電源に接続され、導体ロッドを通る定められたRFリターンパスを生成する。
【0008】
[0008] 別の実施形態では、真空チャンバ内のスパッタ堆積用の装置を組立てる方法が、提供される。本方法は、装置の壁部を通って導体ロッドを挿入すること、真空チャンバの内側の少なくとも一つの部品を導体ロッドに接続すること、及び導体ロッドをRF電源のリターンパスに接続することを含む。
【0009】
[0009] 本発明の上述の特徴が詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した本発明のより詳細な説明が、実施形態を参照することによって得られ得る。添付の図面は、本発明の実施形態に関し、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本書に記載された実施形態による、定められたRFリターンパスを有するスパッタ堆積源の概略図を示す。
【
図2】本書に記載された実施形態による、定められたRFリターンパスを含むスパッタ堆積源と整合器の、後ろ側からの概略透視図を示す。
【
図3B】
図3Aと類似の拡大図を示し、定められたリターンパスの更なる修正が、本書に記載された実施形態により、提供される。
【
図4】本書に記載された実施形態による、定められたRFリターンパスを含むスパッタ堆積源を有するスパッタ堆積装置を示す。
【
図5】本書に記載された実施形態による、定められたRFリターンパスを含む、更に別のスパッタ堆積源を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0017] 次に、本発明の様々な実施形態への言及が詳細になされ、それの一つ以上の例が、図に示される。図面についての以下の記述の中で、同じ参照番号は、同じ構成要素を指す。一般に、個々の実施形態に関する相違のみが、記載される。各々の例は、本発明の説明のために提供され、本発明の限定を意図しない。更に、一つの実施形態の一部として図示又は記載された特徴は、他の実施形態において又は他の実施形態と共に用いて、更に別の実施形態を生み出すことができる。本記述はそのような修正及び変形を含むことが意図される。
【0012】
[0018] 本書で、RF電力、RF電源、及びRF電流に言及するとき、時折、それぞれ「ホットパス(hot path)」及び「リターンパス(return path)」が参照される。それにより、リターンパスは、ACネットワーク中の中性線に匹敵する。ホットパスは、ACネットワーク中で電力を駆動する導体に匹敵する。
【0013】
[0019]
図1は、真空チャンバ内のスパッタ堆積用のスパッタ堆積源100を示す。スパッタ堆積源は、堆積装置の真空チャンバの壁部102を含む。幾つかの実施形態によれば、壁部102は、真空チャンバ全体の一部であり得る。他の実施形態によれば、真空チャンバの壁部は、真空チャンバに設けられているスパッタ堆積源100のドアであってもよく、ドアは、真空チャンバの一部を形成する。従って、ドアは、真空チャンバの壁部でもあり得る。
【0014】
[0020] スパッタ堆積源100は、ターゲット20を含む。
図1に例示的に示されるように、スパッタ堆積源は、通常、マグネトロンを含むこともできる。マグネトロンは、スパッタ堆積中にプラズマを閉じ込めるために、通常、永久磁石によって提供される、磁石アセンブリである。本書に記載された他の実施形態と結合できる代表的な実施形態によれば、マグネトロン30は、ターゲット20の表面の上を少なくとも一方向に移動させることができる。それによって、ターゲット上のレーストラックが、有利に影響され、例えば、ターゲット20の交換が必要になる前に使用できるターゲット材料の量を増加させることができる。
【0015】
[0021] 例えば、非導電性材料のスパッタリング又は高抵抗(例えば、10
6Ohm cm)の材料のスパッタリングなどの、多くの応用が、RFスパッタリングで実施されることができる。それにより、RFスパッタリングは、速いスパッタ速度を提供する。しかしながら、RFスパッタリングにとって、ターゲットに電力を供給することは、困難である。一般に、RF電源は、整合器に接続される。整合器は、電源の内部抵抗をプラズマの負荷インピーダンスに適合させる。
【0016】
[0022] RF電源の「ホット」導体が、ターゲットに接続される。通常のRFスパッタ堆積源では、RF電力のリターンパスが、真空チャンバの構成要素又は源の構成要素、例えばホルダ、によって提供される。すなわち、整合器へのリターンパスは、不確定になっている。導体中のRF電流の侵入深さは浅いので(表皮効果)、電流は表面に沿って流れ、例えば、ノッチ、2つの部品間の電気的接続部、及び真空堆積源及び/又は真空チャンバの他の機械的部分によって妨げられる。これは、チャンバ及びスパッタ堆積用の装置の中に実装された部品の内部での制御されない局所放電をもたらし得る。そのような部品は、例えば、キャリア、ターゲット、基板等であり得る。局所放電は、例えばハードアーク又はマイクロアークなどのアークの発生、及び寄生プラズマをもたらし得る。
【0017】
[0023] 本書に記載された実施形態によれば、RF電流のリターンパスが確定される。RF電流のリターンパスを確定させることにより、上記問題の一つ以上が低減し、又は解決さえする。従って、堆積条件の安定性の改善、より良い層品質、ターゲット損傷の減少又は無いことさえも、及び/又はアーク発生の減少又は無いことさえもが、本書に記載された実施形態によって提供され得る。本書に記載された他の実施形態と結合できる幾つかの実施形態によれば、RF周波数は、5MHzから30MHzの間の範囲であり得、代表的には13.56MHzであり得る。
【0018】
[0024]
図1に示されるように、通常は整合器を経由して電源からRF電力を供給するための「ホット」RFパスは、接合ブリッジ122及び幾つかのコネクタ124によって提供される。通常、コネクタは、ターゲット20にRF電力を供給するための、ターゲットのバッキング板に(例えば対称的に)接続される。整合器電力コネクタが、ホットパス金属シート222によって提供される。例えば、ホットパス金属シートは、堆積源及び/又はスパッタ堆積用装置の組立て中に、接合ブリッジ122にねじ留めされる。
【0019】
[0025] 本書に記載された実施形態によれば、リターンパスは、一つ以上の導体ロッド110によって提供される。更に別の実施態様によれば、導体ロッドは、リターンパスRF集電金属シート112に接続することができる。本書に記載された他の実施形態と結合できる、更に別の実施態様によれば、リターンパスRF集電金属シート112が、電源金属シート213及び212に提供され、整合器及び/又は電源へのRF電流のリターンパスを提供することができる。
【0020】
[0026] 本書に記載された実施形態によれば、それぞれ、RF電力をターゲット20に導くための、並びにターゲット20から整合器及び電源に導くための、例えば、ホットパス金属シート、リターンパスRF集電金属シート、電源金属シート、並びに他の金属シートといった、一つ以上の金属シートが設けられる。通常、それらの金属シートは、銀、銅、アルミニウム、金及びそれらの組合せからなる群から選択された材料で作られることができる。本書に記載された他の実施形態と結合できる、更に別の実施形態によれば、金属シートは、少なくとも0.1mm、一般的には1mmから5mmの厚さを有することができ、及び/又は10mm以上、一般的には20mmから70mmの幅を有することができる。それにより、表皮効果のために導体中で少ない侵入深さを有するRF電流は、それぞれ電源又は整合器から、それぞれ整合器又は電源に、有利に導かれることができる。
【0021】
[0027] 本書に記載された他の実施形態と結合できる、更に別の実施形態によれば、本書に記載された金属シートは、例えば、銅又は銀又は金でコーティングされることができる。電流は導体に深く侵入しないので、表面での良導電性が望まれる。例えば、金属シートは、ステンレス鋼を含むこともでき、銀層又は銅層でコーティングされる。それにより、費用及び材料強度のような面も、考慮することができる。
【0022】
[0028] 更に別の実施形態によれば、金属シートの幅及び/又は厚さに加えて又はそれらの代わりに、表面積の広さを考慮することができる。例えば、単位長さ当たりの表面の広さは、22mm
2/mm以上、すなわち金属シートの1ミリメートル長当たり22mm
2以上とすることができる。
【0023】
[0029]
図2は、真空チャンバ内のスパッタ堆積用のスパッタ堆積源の概略透視図を示し、
図3A/Bは、スパッタ堆積源の拡大断面図を示す。
図2に示すように、整合器230が設けられる。整合器230が、整合器ドア232に接続されることができる。整合器ドア232は、
図2において開位置に示されており、例えば
図2の矢印で示されるように、閉じることができる。整合器230は、ホットパス金属シート222及びRF電流のための定められたリターンパスを提供するための電源金属シート212に接続される。
図2に、ターゲット20の裏側が示されている。更に、ターゲット20へのホットパスを提供するための接合ブリッジ122及びコネクタ124が示される。導体ロッド110が設けられ、リターンパスRF集電金属シート112が、導体ロッド110に接続される。
【0024】
[0030] 本書に記載された他の実施形態と結合できる、幾つかの実施形態によれば、RF電流に適当な導電パスを提供するために、一つ以上の金属シート112が、隣接する部品にねじ留めされることができる。
図3Aと
図3Bに例示的に示されるように、リターンパスRF集電金属シート112は、ねじ352で導体ロッド110に接続される。導体ロッド110は、真空チャンバの壁部102を通って真空チャンバの内側(
図3A及び
図3Bでは下側)から真空チャンバの外側(
図3A及び
図3Bでは上側)に延びる。それに応じて、本書に記載された実施形態の代表的な修正は、一つ以上のねじ山311が設けられている導体ロッド110を含む。それにより、金属シート又は他の部品が、RF電流に適当なリターンパスを提供するために、導体ロッドにねじ留めされることができる。
【0025】
[0031] 本書に記載された他の実施形態と結合できる、代表的な実施形態によれば、導体ロッド110は、第一の部分310、
図3Aと
図3Bでは上側部分、及び第二の部分312、
図3Aと
図3Bでは下側部分、を有する。第一の部分310は、第二の部分312と比べて広い。従って、導体ロッド110は、壁部102の開口に挿入されるように構成される。導体ロッド110は、それにより、真空チャンバの内側から真空チャンバの外側に延びる。代表的な例によれば、第一の部分310は、溝314を含むことができ、その中にOリングを挿入して、工業技術的真空のための真空密閉を提供することができる。
【0026】
[0032] 代表的な実施形態によれば、絶縁体360を、導体ロッド110と壁部102の間に設けることができる。
図3Aの例に示されるように、絶縁体360もまた、Oリングを受けるための溝を含むことができる。あるいは、
図3Bに示されるように、導体ロッドは、チャンバ壁の中に直接に設けられることができる。それにより、更なる電気的接続、すなわち、真空チャンバの、すなわち、真空チャンバの壁の、リターンパスが、提供される。従って、リターンパスへのチャンバ壁の分離した接続は、妥当性が低下するかもしれない。
【0027】
[0033] 溝314の代替として、導体ロッド110の第一の部分310は、真空密閉を提供するように構成された粗さのある表面を有することができる。その表面が、溝314の代わりに設けられることができる。そのような代替において、絶縁体360(
図2A参照)又は壁部102(
図3B参照)の上端に、それぞれの溝を設けることができ、導体ロッド110はシール面を提供する。
【0028】
[0034] 本書に記載された他の実施形態と結合できる、幾つかの実施形態によれば、導体ロッド110の第二の部分312もまた、ねじ354を受けるための一つのねじ山313又は2つ以上のねじ山313を含むことができる。それにより、真空チャンバの中に設けられた部品140が、導体ロッド110に接続され、定められたRFリターンパスを提供することができる。例えば、部品140は、要素344、342及び346を有する遮蔽箱であってもよい。遮蔽箱は、更に、プラズマを閉じ込めることができる。遮蔽箱及び/又は他の部品などの部品140が、導体ロッド110に接続され、RFリターンパスを提供する。一般的には、遮蔽箱、シールド、チャンバ壁部、プロセスガス用導管、真空チャンバハウジングそれ自体、及び基板用の搬送又は支持システムからなる群から選択される要素のうちの一つ以上が、導体ロッドに接続されることができる。
【0029】
[0035]
図3A及び
図3Bに示されるように、本書に記載された他の実施形態と結合できる実施形態によれば、導体ロッド110は、壁部102を越えて延びる。それにより、間隙334が、設けられる。更に、部品140は、暗室領域332が設けられるように、導体ロッド110に取り付けられる。間隙334及び/又は暗室領域332は、壁部102又は隣接する部品までの間隔が、0.5mm以上であるように、設けられる。例えば、間隙334は、0.8mmから1.5mmであり得、暗室領域332は、1.5mmから3mm、例えば約2mmであり得る。間隙334及び暗室領域332の寸法は、RFリターンパスの表面電流を考慮する。更に、それらの間隙は、これらの領域の中でアーク発生又は寄生プラズマを減少させるような寸法に作られる。
【0030】
[0036]
図2及び
図3は、導体ロッド110の実施形態を示す。導体ロッドは、「RFソード」とも表示され得る。
図2で、導体ロッド110は、ターゲット20の表面に沿って延びるリターンパスRF集電金属シート112の下にある。
図3Aと
図3Bに示される断面図に見られるように、第二の部分312が、壁部102を通って突き出る。
【0031】
[0037] 一つの実施形態によれば、導体ロッド110も、ターゲットの表面、長さ又は寸法に沿って延びることができる。追加的又は代替的に、2つ以上の短い導体ロッドが、設けられることができる。細長い導体ロッドに対して、一つの代替によれば、第二の部分312は、本質的に導体ロッド110の全長に沿って延びることができる。本書に記載された他の実施形態と結合できる、他の実施形態によれば、第二の部分312は、導体ロッド110の長さに沿って配分される2つ以上の棒又は柱であってもよい。
【0032】
[0038] 本書に記載された他の実施形態とも結合できる、更に別の実施態様によれば、2つ以上の導体ロッドを設けることができる。それにより、例えば、一つの導体ロッドの長さを減らすことができる。例えば、導体ロッドの各々が、正方形又は円形であってもよいであろうし、複数の導体ロッド110が設けられる。更に、
図2に示されるような、リターンパスRF集電金属シート112の長さに沿って延びる導体ロッド110に加えて、短い導体ロッド110、すなわち、一つの寸法においてターゲットの長さの少なくとも50%に沿って延びる導体ロッド、が設けられてもよい。
【0033】
[0039]
図3Aと
図3Bの拡大概略図は、ターゲット20の支持体320を更に示す。一般に、支持体320は、絶縁体362を介して壁部102に取り付けられる。例えば、絶縁体362は、Oリングが挿入できるように、溝324を有することができる。それにより、真空密閉が提供されるので、スパッタ堆積装置の真空チャンバを工業技術的真空にすることができる。
【0034】
[0040]
図4は、真空チャンバ501の中でのスパッタ堆積用の装置500を示す。真空チャンバ501は、フランジ504を通って真空にすることができる。一般的には、更なるフランジ504を真空チャンバの他の場所に設けることができる。ターゲット20からの材料でコーティングされるべき基板502が、基板支持体510によって支持される。
図2に示される実施形態は、2つのスパッタ堆積源を含む。
図4に示されるように、スパッタ堆積源は、最上部から下方にターゲット20の材料をスパッタするために、基板502の上方に設けることができる。代替的に、スパッタ堆積の構成は、ボトムアップにすることができる。本書に記載された他の実施形態と結合できる、更に別の実施形態によれば、基板502は、スパッタ堆積用装置の中に垂直に配置されることもできる。それによって、基板502は、ローラで又はキャリアで支持されることができ、キャリアは、ローラ又は他の搬送及び/又は支持システムによって支持される。それによって、基板は、本質的に垂直に、すなわち、垂直配置から+−10°のずれで配向される。それに応じて、そのような垂直配置において、スパッタ堆積源100は、装置500の側壁に又は側壁に隣接して配置される。
【0035】
[0041]
図4に概略的に示されるように、スパッタ堆積源100の各々が、電源530、すなわちRF電源、を含む。電源530は、整合器230に接続される。整合器230は、様々な金属シート、例えば、ホットパス金属シート222を経由して、それぞれ接合ブリッジ、コネクタ及びターゲット20へRF電力を供給する。定められたRFリターンパスが、リターンパスRF集電金属シート112に接続されている導体ロッド110によって提供される。更なる任意選択の金属シートが、整合器230及び従って電源530へのリターンパスを提供する。
【0036】
[0042]
図4に示される各々のスパッタ堆積源100は、真空チャンバ内のスパッタ堆積用である。スパッタ堆積源100は、ターゲット20を含む。
図4に例示的に示されるように、スパッタ堆積源は、通常、マグネトロンを含むこともできる。本書に記載された他の実施形態と結合できる代表的な実施形態によれば、マグネトロン30は、ターゲット20の表面の上を少なくとも一方向に移動させることができる。
【0037】
[0043] RF電源の「ホット」導体が、ターゲットに接続される。通常のRFスパッタ堆積源では、RF電力のリターンパスが、真空チャンバの構成要素又は源の構成要素、例えばホルダ、によって提供される。すなわち、整合器へのリターンパスは、定められていない。本書に記載された実施形態によれば、RF電流のための定められたリターンパスが提供される。
図4にも示されるように、通常は整合器を経由して電源からRF電力を供給するための「ホット」RFパスが、接合ブリッジ及び幾つかのコネクタ124によって提供される。通常、コネクタは、ターゲット20にRF電力を供給するための、ターゲットのバッキング板又はターゲット用支持体に接続される。整合器電力コネクタが、ホットパス金属シート222によって提供される。本書に記載された実施形態によれば、定められたリターンパスが、一つ以上の導体ロッド110によって提供される。更に別の実施態様によれば、導体ロッドは、リターンパスRF集電金属シート112に接続されることができる。本書に記載された他の実施形態と結合できる、更に別の実施態様によれば、リターンパスRF集電金属シート112が、電源金属シートに提供され、整合器及び/又は電源へのRF電流のリターンパスを提供することができる。
【0038】
[0044]
図5は、スパッタ堆積源の更に別の例を示す。
図5に示されたスパッタ堆積源は、回転可能なターゲット620を含む。回転可能なターゲット620は、支持体602によって支持される。一般に、支持体602は、回転可能なターゲット620を回転させるための手段を含むこともできる。例えば、回転させるための手段は、アクチュエータ、駆動ベルト、ドライブトレーン、又はターゲットを回転させるように構成されたモータを含むことができる。支持体602は、通常、整合器230からターゲット620に電力を供給するためのコネクタも含む。
図5に示された実施形態において、導体ロッド110、集電シート112並びに金属シート612及び212が、支持体602の外側に示されている。それにもかかわらず、壁部102を通って延びる導体ロッドによってとりわけ提供されるRF電流のリターンパスは、支持体602のハウジングの中に統合することもできる。
【0039】
[0045]
図6は、真空チャンバ内のスパッタ堆積用の装置を組立てる方法を示す。それによると、ステップ702において、導体ロッドが、装置の壁部及び/又はスパッタ堆積源を通って挿入される。ステップ704において、少なくとも一つの部品が、真空チャンバの内側で導体ロッドに接続され、導体ロッドは、真空チャンバの外側で整合器及び/又は電源に接続される。
【0040】
[0046] 上記を踏まえて、RFスパッタリング又はRFスパッタリングと他のスパッタリング方法、例えば、DCスパッタリング、パルススパッタリング、若しくは中波スパッタリング、との組合せを利用する用途が、本書に記載された実施形態を利用することができる。それにより、ターゲットがスパッタされるRF電力のための、定められたリターンパスを提供することによって、アーク発生及び寄生プラズマを低減又は回避することさえできる。
【0041】
[0047] 一つの実施形態では、真空チャンバ内のスパッタ堆積用のスパッタ堆積源が提供される。源は、真空チャンバの壁部、スパッタ堆積中に堆積されるべき材料を供給するターゲット、ターゲットにRF電力を供給するためのRF電源、ターゲットをRF電源に接続するための電力コネクタ、及び真空チャンバの内側から真空チャンバの外側に壁部を通って延びる導体ロッドを含み、導体ロッドは、真空チャンバの内側の一つ以上の部品に接続され、かつ導体ロッドは、真空チャンバの外側のRF電源に接続され、導体ロッドを通る定められたRFリターンパスを生成する。導体ロッドは、例えば一つ以上の金属シートと組合わせて、リターンパスの一部を提供する。互いに対して追加的に又は代替的に提供され得る代表的な修正によれば、導体ロッドは、真空チャンバの外側及び/又は真空チャンバの内側に少なくとも一つのねじ山を有することができ、及び/又は導体ロッドは、リターンパスRF集電金属シートに接続されることができ、導体ロッドは、壁部を通って突き出るように構成された追加的な部分の幅より広い幅のヘッド部を有することができ、詳細には、導体ロッドの最小幅は、5mm以上、一般的には、10mm以上である。本書に記載された他の実施形態と結合できる、更に別の実施形態によれば、導体ロッドは、Oリング用に構成された少なくとも一つの溝、例えば、ヘッド部に設けられた少なくとも一つの溝、を含むことができ、これにより、壁部への接続のための真空密閉が提供され、RF電源が、電力コネクタ及び導体ロッドに整合器を経由して接続され、及び/又は電力コネクタは、接合ブリッジ及び接合ブリッジに接続された、詳細には、接合ブリッジにねじ留めされたホットパス金属シートを更に含む。例えば、リターンパスRF集電金属シートが、電源金属シートに接続され、詳細には、電源金属シートにねじ留めされる。更に別の任意選択の修正によれば、導体ロッドは、壁部の内側表面を越えて、少なくとも0.8mmだけ、一般的には、1mmから3mmだけ突き出て、壁部の内側表面と一つ以上の部品の間に間隙を形成することができる。
【0042】
[0048] 他の実施形態では、真空チャンバ内のスパッタ堆積用の装置が提供される。本装置は、本書に記載された任意の実施形態による、真空チャンバ内のスパッタ堆積用のスパッタ堆積源、及び真空チャンバを含む。例えば、壁部は、真空チャンバに接続された源のドアであってもよい。
【0043】
[0049] 更に別の実施形態では、真空チャンバ内のスパッタ堆積用の装置を組立てる方法が、提供される。本方法は、装置の壁部を通って導体ロッドを挿入すること、真空チャンバの内側の少なくとも一つの部品を導体ロッドに接続すること、及び導体ロッドをRF電源のリターンパスに接続することを含む。例えば、本方法は、ターゲットに接続されている接合ブリッジにホットパス金属シートをねじ留めすることを更に含み、導体ロッドをRF電源のリターンパスに接続することは、電源金属シートをリターンパスRF集電金属シートにねじ留めすることを含む。
【0044】
[0050] 上記は本発明の実施形態を対象とするが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他の更なる実施形態を考え出すこともでき、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。