(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デバイス(120)が、処理デバイス、堆積源アセンブリ、及びキャリアアセンブリからなる群から選択される少なくとも1つのデバイスである、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(100)。
前記1つ以上のアクティブ磁気ユニット(150)は、電磁デバイス、ソレノイド、コイル、超電導磁石、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
前記デバイス、及び/または前記デバイスの支持体に、前記1つ以上のアクティブ磁気ユニット(150)が設けられている、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
前記1つ以上のアクティブ磁気ユニット(150)が、前記デバイスの第1の面に配設された第1のアクティブ磁気ユニット(741)及び、前記支持体の前記第1の面とは反対側の、前記デバイスの第2の面に配設された第2のアクティブ磁気ユニット(742)を備え、前記第1のアクティブ磁気ユニット及び前記第2のアクティブ磁気ユニットは、前記デバイスの第1の回転軸(734)を中心にして前記デバイスを回転するように構成されている、請求項8に記載の装置(100)。
前記1つ以上のアクティブ磁気ユニット(150)が、前記支持体(160)の前記第1の面に配設された第3のアクティブ磁気ユニット(747)、及び前記支持体(160)の前記第2の面に配設された第4のアクティブ磁気ユニット(748)をさらに備え、前記第1のアクティブ磁気ユニット(741)、前記第2のアクティブ磁気ユニット(742)、前記第3のアクティブ磁気ユニット(747)、及び前記第4のアクティブ磁気ユニット(748)が、前記第1の回転軸(734)を中心にして、及び前記第1の回転軸(734)に垂直である第2の回転軸(767)を中心にして、前記デバイスを回転するように構成されている、請求項9に記載の装置(100)。
さらなるセンサを用いて、デバイスに接続された前記供給設備の動きをモニタリングすることをさらに含み、前記調整可能な磁場を制御することが、検出されるデバイスのクリティカルな動作が低減される、及び/または減衰されるように調整可能な磁場を調節することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本開示の様々な実施形態を詳細に参照する。その1つ以上の例を、図面で示す。図面に関する以下の説明の中で、同じ参照番号は同じ構成要素を指している。記載されているのは、個別の実施形態に関する相違のみである。各実施例は本開示の説明用に提示されているのであって、本開示を限定することが意図されているものではない。さらに、一実施形態の一部として図示または説明されている特徴は、他の実施形態で用いることが可能であり、または他の実施形態と併用してさらに別の実施形態を生み出すことも可能である。本明細書は、このような修正形態及び変形形態を含むことが意図されている。
【0016】
本開示の様々な実施形態をさらに詳細に説明する前に、本書で使用されているいくつかの用語及び表現に関するいくつかの解釈について説明する。
【0017】
本開示では、「デバイスの非接触搬送用の装置」とは、真空処理システムにおいて使用される移動可能なデバイスの非接触搬送用に構成された装置であるとして理解すべきである。例えば、デバイスは、処理デバイス(例えば堆積源)、基板を運ぶためのキャリア、マスクを運ぶためのキャリア、または真空処理システムにおいて使用される任意の他の移動可能なデバイスであることができる。本書を通じて使用される場合、「非接触」という用語は、デバイスの重量が機械的接触または機械力によって支えられるのではなく、磁力によって支えられるという意味として、理解することができる。具体的には、デバイスは、機械力の代わりに磁力を用いて、浮上状態または浮揚状態に保持される。例として、本書に記載の装置は、搬送中にデバイスの重量を支持する機械式レールといった、機械式の要素を一切有していなくてよい。ある実施形態では、デバイスの移動中、デバイスと装置の残りの部分との間に、機械的接触が一切存在していないということがあり得る。
【0018】
本書に記載の実施形態によるデバイスの非接触搬送は、デバイスの搬送中に、デバイスと機械式レールといった装置の残りの部分との間の機械的接触によって粒子が生成されることが全くない、という点で有益である。したがって、非接触搬送を用いるときには粒子の生成を最小限に抑制することができ、それによって、より高品質の処理結果を達成することができる。
【0019】
本開示において、「磁気式搬送設備」とは、磁力を用いてデバイスを搬送するように構成された設備として理解すべきである。具体的には、磁気式搬送設備は、磁気浮上力を生成するように構成された、1つ以上のアクティブ磁気ユニットを含んでいてよい。「アクティブ磁気ユニット」は、浮上及び/または搬送されるデバイスに作用する個別の磁気浮上力を提供するために、磁場、具体的には調整可能な磁場を生成するのに適合している、磁気ユニットとして理解するべきである。例えば、調整可能な磁場は、装置が非接触搬送のために動作している間、動的に調整可能であってよい。磁気式搬送設備は、調整可能な磁場とさらなる磁気要素の磁気特性との間で相互作用が提供され得るように構成及び配設された、さらなる磁気要素を含んでいてよい。その結果、例えば調整可能な磁場とさらなる磁気要素の磁気特性との間の相互作用によって、デバイスの非接触浮上及び/または非接触搬送が提供されてよい。
【0020】
本開示では、「動作をモニタリングするためのセンサ」は、移動可能なデバイスの動作をモニタリングするように構成されたセンサとして、理解されるべきである。具体的には、動作をモニタリングするためのセンサは、このセンサが、移動可能なデバイスの並進運動及び/または回転に関する自由度のうちの一部または全部における、移動可能なデバイスの動作を検出するように構成されているというように理解することができる。本開示では、「動作をモニタリングするためのセンサ」はまた、「モーションセンサ」とも呼ばれ得る。例えば、モーションセンサは、本体、例えば本書に記載のデバイスの、速度の変化率を検出するように構成された、加速度センサであることができる。したがって、加速度センサは加速度計であり得る。
【0021】
本開示では、「1つ以上のアクティブ磁気ユニットを制御するように構成されたコントローラ」は、1つ以上のアクティブ磁気ユニットの調整可能な磁場が制御可能である、即ち調整可能であるように構成された、コントローラであるとして理解されるべきである。具体的には、コントローラは、モーションセンサの信号を受信するため、(例えば有線接続または無線接続によって)モーションセンサと通信可能であることができる。さらに、コントローラは、(例えば有線接続または無線接続によって)1つ以上のアクティブ磁気ユニットと通信可能であることができる。さらに、コントローラは、デバイスのクリティカルな動作が検出されたときにコントローラがこのクリティカルな動作を低減させる適切な対策を算出するように構成された、アルゴリズム(例えばコンピュータプログラム)を含んでいることができる。こうして、デバイスのクリティカルな動作が検出されたときに、コントローラは、1つ以上のアクティブ磁気ユニットに対して適切な対策(即ち、調整可能な磁場の適切な調整)を含むコマンドを送信する。
【0022】
例として
図1を参照すると、真空処理システムにおける、デバイス120の非接触搬送用の装置100が記載されている。本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、装置は、デバイス120を浮上させるための磁気浮上力F
Lを提供する、磁気式搬送設備125を含む。典型的には、磁気浮上力F
Lは、
図1に例示的に示すとおり、デバイス120の重量Gと少なくとも部分的に反作用していてよい。磁気式搬送設備125は、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150を含む。さらに、磁気式搬送設備125は、例えば本書に記載のガイド構造物770といった、さらなる磁性構造物170を含んでいてよい。その結果、例えば調整可能な磁場と、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150及びさらなる磁性構造物170の磁気特性との間の相互作用によって、デバイスの非接触浮上及び/または非接触搬送がもたらされてよい。
【0023】
さらに、装置は、デバイス120の動作をモニタリングするためのセンサ140を含む。具体的には、デバイス120の動作をモニタリングするためのセンサ140は、デバイス120の振動を検出するように構成されていることができる。例えば、センサ140は、加速度センサであることができる。例えば、センサ140は、デバイス120に装着されているか、または取り付けられていることができる。さらにまたは代わりに、
図1に例示的に示すように、センサはデバイス120の支持体160に装着されているかまたは取り付けられていることができる。加えて、この装置は、センサ140が提供する信号S1に基づいて1つ以上のアクティブ磁気ユニット150を制御するように構成された、コントローラ580を含む。
図1に点線矢印で例示的に示すように、センサ140は、典型的にはコントローラに対して信号S1を提供する。信号S1は、デバイス120の動作に関する情報を含む。コントローラ580は、信号S1を分析して、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150に対して適切な制御信号C1(
図1の点線矢印を参照)を送信する。
【0024】
その結果、本書に記載の装置の実施形態によって、有益なことに、真空処理システムにおける移動可能なデバイスのクリティカルな動作、例えば振動または震えを低減する機能が提供される。本書に記載の装置の実施形態は、具体的には、供給設備、例えば媒質供給構造物、及び/または電力供給構造物が接続されている、移動可能なデバイスにとって有益であり得る。なぜならば、供給構造物の励起
(励振)が、低減される、具体的には減衰もしくは抑制されるか、または回避さえされることが可能だからである。供給設備の励起を低減、減衰、または回避することは、特に有益であり得る。なぜならば、供給設備が励起されることによって、供給設備が接続されているデバイスの動作の平滑さに乱れが生じ得るからである。このように、本開示の実施形態は、処理システムで使用される移動可能なデバイスの動作の平滑さが向上し得るという利点を有している。例えば、移動可能なデバイスが堆積源アセンブリである場合、堆積源アセンブリのクリティカルな動きの低減、あるいはさらには根絶によって、より均一で均質的なコーティング結果を得ることができるという利点を有している。その結果、例えばOLEDといったディスプレイ装置の、処理結果の改善、即ち製品品質の向上を達成することができる。さらに、供給構造物の励起を低減、減衰、抑制するか、または回避さえすることによって、供給設備を形成している要素間のリンク及び接続にかかる応力が少なくなり、それによって供給構造物、具体的にはシーリング及びベアリングの寿命を伸ばすことができる。
【0025】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、センサ140は、x方向の並進運動加速度、y方向の並進運動加速度、z方向の並進運動加速度、x方向の回転加速度、y方向の回転加速度、z方向の回転加速度、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択された、少なくとも1つの加速度を検出するように構成されている。
【0026】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、本書に記載のセンサ140に従って構成された2つ以上のモーションセンサ(明示的には図示せず)を設けることができる。2つ以上のモーションセンサを設けることは、デバイスのクリティカルな動作を高精度で検出するために、特に有益であり得る。例えば、2つ以上のモーションセンサは、デバイスに、及び/またはデバイスの支持体に、装着されていてよい。本書に記載の実施形態に従ったセンサ140に関して例示的に記載されているとおり、この2つ以上のモーションセンサは、(例えば有線または無線の接続によって)コントローラ580と通信可能であることができる。
【0027】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、コントローラ580は、デバイス120のクリティカルな動作が低減される、具体的には減衰されるか抑制されるようにして1つ以上のアクティブ磁気ユニット150を制御するように、構成されている。その結果、有益なことに、デバイス120のクリティカルな動作、例えば例えば共鳴周波数における、クリティカルな振動や震えのピークを減衰させることができる。
図3A、
図3B、及び
図4を参照してより詳細に記載されているとおり、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150は、第1のアクティブ磁気ユニット741、第2のアクティブ磁気ユニット742、第3のアクティブ磁気ユニット747、第4のアクティブ磁気ユニット748、第5のアクティブ磁気ユニット749、第6のアクティブ磁気ユニット750、及びさらなるアクティブ磁気ユニット743のうちの、少なくとも1つを含んでいてよい。
【0028】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150は、電磁デバイス、ソレノイド、コイル、超電導磁石、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの要素を含む。
【0029】
例示的に
図2を参照すると、本書に記載の他の任意の実施形態と組み合わされ得る実施形態によれば、装置は、デバイス120に接続された供給設備180をさらに含む。例えば、供給設備180は、真空チャンバの環境から、例えば真空チャンバの壁を通ってデバイス120まで媒質供給ラインを誘導するための、フィードスルーとして構成されていてよい。このように、供給設備180は、デバイス120向けの媒質供給ライン用の供給通路を含んでいることができる。例えば、媒質供給ラインは、電気供給用の供給ライン、冷却流体用の供給ライン、通信ライン(即ち信号送信用)、及び移動可能なデバイスに必要な媒質またはエネルギーを供給するための他の供給ラインからなる群から選択された、1つ以上であってよい。
【0030】
図2に例示的に示すように、供給設備180は、供給設備の動作をモニタリングするためのさらなるセンサ145を含んでいてよい。具体的には、さらなるセンサ145は、(例えば有線または無線の接続によって)コントローラ580と通信可能であることができる。さらなるセンサ145が本書に記載のモーションセンサであり得ることは、理解されるべきである。具体的には、供給設備は、供給設備の動作をモニタリングするための、2つ以上のさらなるセンサ(明示的には図示せず)を含んでいてよい。供給設備に2つ以上のさらなるセンサを設けることは、供給設備のクリティカルな動作を高精度で検出するために、特に有益であり得る。
【0031】
こうして、コントローラ580は、さらなるセンサ145及び/または2つ以上のさらなるセンサによって提供された信号に基づいて、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150を制御するように構成されていることができる。さらに、コントローラ580は、
図2に点線矢印で例示的に示すように、センサ140が提供する信号S1に基づいて、及び/またはさらなるセンサ145が提供する信号S2に基づいて、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150を制御するように構成されていることができる。さらなるセンサ145によって提供される信号S2は、供給設備180の動作に関する情報を含む。典型的には、コントローラ580は、さらなるセンサ145が提供する信号S2を分析して、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150に対して適切な制御信号C1を送信する。制御信号C1は、移動可能なデバイス及び/または供給設備のクリティカルな動作が低減されるか、具体的には減衰もしくは抑制されるか、または回避さえされるように1つ以上のアクティブ磁気ユニット150の磁場を調整する、制御コマンドを含む。こうして、有益なことに、供給構造物の励起が、低減、減衰、または回避され得る。このことが特に有益であるのは、供給構造物が励起されることによって、供給構造物が接続されているデバイスの動きの平滑さに乱れが生じ得るからである。
【0032】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、デバイス120は、処理デバイス、堆積源アセンブリ、及びキャリアアセンブリ(例えば、基板キャリアまたはマスクキャリアを含む)からなる群から選択された少なくとも1つのデバイスである。例示的に
図3A及び
図3Bを参照すると、デバイス120の非接触搬送用の装置100の実施形態が記載されている。ここでは、デバイスは堆積源アセンブリ730である。例示的に
図5A及び
図5Bを参照すると、デバイス120の非接触搬送用の装置100の実施形態が記載されている。ここでは、デバイスはキャリアアセンブリ880、例えば基板キャリア及び/またはマスクキャリアを含むキャリアアセンブリである。
【0033】
例示的に
図3A及び
図3Bを参照すると、デバイス120の非接触搬送用の装置100の実施形態が記載されている。ここではデバイスは、堆積源520を含む堆積源アセンブリ730である。具体的には、本書に記載されているとおり、この装置によってデバイス120の非接触動作制御が可能になっている。例えば、非接触動作制御は、以下に記載されるとおり、デバイスの位置または配向を角度的に制御するために、デバイス、例えば堆積源アセンブリの、1つ、2つ、または3つの回転軸に対する回転を制御することを含んでいてよい。具体的には、装置は、第1の回転軸、第2の回転軸、及び/または第3の回転軸を中心にして、デバイス、例えば堆積源アセンブリを非接触回転するように構成されていてよい。第1の回転軸は、横方向、例えばx方向または堆積源の搬送方向に延びていてよい。第2の回転軸は、横方向、例えばz方向に延びていてよい。第3の回転軸は、垂直方向、例えばy方向に延びていてよい。任意の回転軸に対する堆積源アセンブリの回転は、2°以下の角度、例えば0.1°から2°、または0.5°から2°の範囲内で与えられてよい。
【0034】
本書に記載のある実施形態は、「垂直方向」という概念を伴う。垂直方向とは、重力が伸びる方向とほぼ平行な方向であると考えられている。垂直方向は、(重力によって規定される)厳密な垂直状態から、15°までの角度の偏差を有していてよい。本質的に垂直な基板は、垂直方向から±15°以下の偏差を有していてよい。例えば、本書に記載されるy方向(図面で「Y」で示される)は、垂直方向である。具体的には、図面に示すy方向は、重力の方向を規定している。
【0035】
本書に記載の実施形態は、「横方向」という概念をさらに伴っていてよい。横方向は、縦方向と区別して理解されるべきである。横方向は、重力によって規定される厳密な垂直方向に対して、垂直であるか、またはほぼ垂直であってよい。例えば、本書に示すx方向及びz方向(図面で「X」及び「Z」で示される)は、横方向である。具体的には、図面に示されているx方向及びz方向は、y方向に対して(及び互いに対して)垂直である。さらなる実施例では、本書に記載の横方向の力または対向する力は、横方向に沿って延びていると考えられている。
【0036】
図3Aに例示的に示すとおり、デバイス120は、堆積源520を含む堆積源アセンブリ730であってよい。さらに、デバイス、具体的には堆積源520を支持する支持体160が、設けられていてよい。具体的には、支持体160は、堆積源カートであってよい。デバイス、例えば堆積源520は、支持体160に装着されていてよい。
図3Aに矢印で示されているように、堆積源520は、基板101上に材料を堆積するため、材料を放出するのに適合していることができる。さらに、
図3Aに例示的に示すとおり、基板101と堆積源520との間に、マスク333が配設されていてよい。マスク333は、基板101の1つ以上の領域上において、堆積源520によって放出された材料の堆積を防止するために、設けられていることができる。例えば、マスク333は、基板101の1つ以上のエッジ領域をマスクし、それによって、基板101のコーティング中にこの1つ以上のエッジ領域に材料を一切堆積させないように構成された、エッジ除外シールドであってよい。別の例として、マスクは、堆積源アセンブリからの材料で基板上に堆積した複数の特徴を、マスクするためのシャドウマスクであってよい。
【0037】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150は、デバイス120の第1の面、具体的にはデバイスの支持体160の第1の面に配設された、第1のアクティブ磁気ユニット741と、デバイスの第2の面、具体的にはデバイスの第1の面と反対、具体的には支持体の第1の面と反対の、支持体160の第2の面に配設された、第2のアクティブ磁気ユニット742とを含む。具体的には、以下に記載するとおり、第1のアクティブ磁気ユニット及び第2のアクティブ磁気ユニットは、デバイスの第1の回転軸734を中心にしてデバイスを回転するように構成されている。
【0038】
さらに、例示的に
図3Aを参照すると、デバイス、具体的には堆積源アセンブリ730は、第1のアクティブ磁気ユニット741及び第2のアクティブ磁気ユニット742を含んでいてよい。磁気式搬送設備125は、デバイスの搬送方向、例えば堆積源の搬送方向に延びるガイド構造物770を含んでいてよい。ガイド構造物770は、デバイスの搬送方向に沿って延びる直線形状を有していてよい。搬送方向に沿ったガイド構造物770の長さは、1mから6mであってよい。第1のアクティブ磁気ユニット741、第2のアクティブ磁気ユニット742、及びガイド構造物770は、
図3Aに例示的に示すように、デバイス120、例えば堆積源アセンブリ730を浮上させるための、第1の磁気浮上力F1及び第2の磁気浮上力F2を提供するように構成されている。
【0039】
具体的には、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150、例えば第1のアクティブ磁気ユニット741及び/または第2のアクティブ磁気ユニット742の磁場は、装置の動作中、例えば本書に記載のコントローラ580によって、動的に調整可能であってよい。例えば、磁場は、基板101上に材料を堆積するための堆積源520からの材料の放出中に調整可能であってよく、及び/または、層形成処理の堆積サイクルと堆積サイクルの間に調整可能であってよい。代わりにまたはさらに、磁場は、デバイス120、例えば堆積源アセンブリ730の、ガイド構造物に対する位置に基づいて、調整可能であってよい。
【0040】
本書に記載の他の実施形態と組み合わせ得る実施形態によると、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150は、垂直方向に延びる磁気浮上力を提供するための磁場を生成するように構成されていることができる。さらにまたは代わりに、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150は、横方向に沿って延びる磁力、例えば以下で記載される対向する磁力を提供するように構成されていてよい。例えば、1つ以上のアクティブ磁気ユニットは、電磁デバイス、ソレノイド、コイル、超電導磁石、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つの要素であるか、またはそれを含んでいてよい。
【0041】
図3Aに例示的に示すように、装置100の動作中、ガイド構造物770の少なくとも一部分は、第1のアクティブ磁気ユニット741に面していてよい。ガイド構造物770及び/または第1のアクティブ磁気ユニット741は、少なくとも部分的に、デバイス120、具体的には堆積源520の下方に配設されていてよい。実施の際、デバイス120、例えば堆積源アセンブリ730は、x方向に沿って、ガイド構造物に対して移動可能である。さらに、例えばコントローラ580によって、y方向に沿った、z方向に沿った、及び/または任意の空間方向に沿った、位置調整及び/または動作制御が与えられてよい。ガイド構造物は、デバイス、例えば堆積源アセンブリの動作を非接触誘導するように構成されている。ガイド構造物770は、真空処理チャンバ内に静的に配設され得る、静的ガイド構造物であってよい。具体的には、ガイド構造物770は、磁気特性を有していてよい。例えば、ガイド構造物770は、磁性材料、例えば強磁性体、具体的には強磁性鋼から作られていてよい。その結果、ガイド構造物は、パッシブ磁気ユニットであるか、またはパッシブ磁気ユニットを含んでいてよい。
【0042】
本書では、「パッシブ磁気ユニット」という用語は、「アクティブ」な磁気ユニットまたは磁気要素とは区別して用いられている。パッシブ磁気ユニットまたはパッシブ磁気要素とは、アクティブな制御または調整の影響を受けない磁気特性を有する、ユニットまたは要素を指していてよい。例えば、パッシブ磁気ユニットまたはパッシブ磁気要素は、磁場、例えば静磁場を生成するのに適合していてよい。パッシブ磁気ユニットまたはパッシブ磁気要素は、調整可能な磁場を生成するように構成されていなくてよい。典型的には、パッシブ磁気ユニットまたはパッシブ磁気要素は、永久磁石であってよいか、永久磁気特性を有していてよい。
【0043】
本書に記載の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、装置100は、ガイド構造物770に沿ってデバイス120、例えば堆積源アセンブリ730を駆動するように構成された、駆動システムを含んでいてよい。駆動システムは、搬送方向にガイド構造物770に沿って接触なしで、デバイス、具体的には堆積源アセンブリ730を搬送するように構成された、磁気式駆動システムであってよい。駆動システムは、リニアモータであってよい。駆動システムは、ガイド構造物に沿ったデバイス120の動作を、開始及び/または停止するように構成されていてよい。本書に記載の他の実施形態と組み合わされ得る実施携帯によると、非接触駆動システムは、パッシブ磁気ユニット、具体的にはガイド構造物に設けられたパッシブ磁気ユニットと、アクティブ磁気ユニット、具体的にはデバイス、例えば堆積源アセンブリのところにまたはその中に設けられた、アクティブ磁気ユニットとの組み合わせであることができる。
【0044】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、デバイス、例えば堆積源アセンブリの動作制御は、コントローラ580の制御下で、リアルタイムで行うことができる。具体的には、動作制御は、例えば移動可能なデバイスの振動または震えが低減、具体的には減衰または抑制され、または回避さえされるようにして行うことができる。
【0045】
本書に記載の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、デバイスの動作制御は、機械的接触なしに行われてよい。例えば、動作制御は、デバイスの搬送方向に沿った移動中の、垂直動作制御、及び/または角度動作制御、及び/または横方向動作制御を含むことができる。
【0046】
例示的に
図3Aを参照すると、デバイス120、具体的には堆積源アセンブリ730は、デバイス120の第1の回転軸734を含む第1の平面733を含んでいてよい。デバイス、例えば堆積源アセンブリ730は、第1の平面733の第1の面733Aに配設された第1のアクティブ磁気ユニット741と、第1の平面733の第2の面733Bに配設された第2のアクティブ磁気ユニット742とを含んでいてよい。第1のアクティブ磁気ユニット741及び第2のアクティブ磁気ユニット742は、デバイス、例えば堆積源アセンブリ730を、磁気的に浮上させるように構成されている。具体的には、第1のアクティブ磁気ユニット741及び第2のアクティブ磁気ユニット742は、デバイス120に作用するそれぞれの磁気浮上力を提供するため、それぞれ磁場、例えば調整可能な磁場を生成するのに適合している。その結果、第1のアクティブ磁気ユニット741及び第2のアクティブ磁気ユニット742は、デバイス120の回転動作を制御するため、第1の回転軸734に沿って、デバイス、具体的には堆積源アセンブリ730を回転するように構成されている。
【0047】
図3Aに例示的に示すように、第1の平面733は、デバイス120を通って、具体的には堆積源アセンブリ730の本体部分を通って、延びていてよい。第1の平面733は、デバイス120の第1の回転軸734を含んでいてよい。典型的な実施形態によると、第1の回転軸734は、デバイス、例えば堆積源アセンブリ730の重心を通って延びていてよい。実施の際、第1の平面733は、垂直方向に延びていてよい。第1の平面733は、基板受容エリアまたは基板に対して、ほぼ平行またはほぼ垂直であってよい。実施の際、第1の回転軸734は、横方向に沿って延びていてよい。
【0048】
本開示では、「ほぼ平行」な方向という用語は、互いに10°まで、または15°まででさえある小さい角度をなす方向を含み得る。さらに、「ほぼ垂直」な方向という用語は、互いに対して90°未満、例えば少なくとも80°または少なくとも75°である角度をなす方向を含み得る。同様の考察は、ほぼ平行または垂直な軸、平面、エリアなどの概念にも当てはまる。
【0049】
図3Aに例示的に示すように、第1のアクティブ磁気ユニット741によって生成された磁場は、ガイド構造物770の磁気特性と相互作用し、デバイス120、具体的には堆積源アセンブリ730に作用する第1の磁気浮上力F1を提供する。具体的には、第1の磁気浮上力F1は、第1の平面733の第1の面733A上のデバイス120の一部分に対して作用する。
図3Aでは、第1の磁気浮上力F1は、第1の平面733の左側の面上に設けられたベクトルによって表わされている。本書に記載の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、第1の磁気浮上力F1は、堆積源アセンブリ730の重量Gと少なくとも部分的に反作用し得る。
【0050】
本書に記載されている、磁気浮上力が「部分的に」重量Gと反作用するという概念は、磁気浮上力がデバイス、例えば堆積源アセンブリに浮上作用、即ち上向きの力を与えるが、その磁気浮上力だけではデバイスを浮上させるのに十分ではないかもしれないということを伴う。したがって、重量と部分的に反作用する磁気浮上力の大きさは、重量Gの大きさよりも小さいものである。
【0051】
例示的に
図3Aを参照すると、第2のアクティブ磁気ユニット742によって生成された磁場は、ガイド構造物770の磁気特性と相互作用して、デバイス120、例えば堆積源アセンブリ730に作用する第2の磁気浮上力F2を提供することができる。具体的には、第2の磁気浮上力F2は、第1の平面733の第2の面733B上のデバイス120の一部分に対して作用し得る。
図3Aでは、第2の磁気浮上力F2は、第1の平面733の右側の面上に設けられたベクトルによって表されている。第2の磁気浮上力F2は、堆積源アセンブリの重力G対して、少なくとも部分的に反作用していてよい。
【0052】
第1の磁気浮上力F1と第2の磁気浮上力F2とが重畳することによって、デバイス、例えば堆積源アセンブリ730に作用する重畳磁気浮上力が提供される。重畳磁気浮上力は、デバイスの重力G対して、完全に反作用していてよい。重畳磁気浮上力は、
図3Aに示すように、デバイス、例えば堆積源アセンブリ730の非接触浮上を提供するのに十分であってよい。しかし、さらなる非接触力が提供され、それによって、第1の磁気浮上力F1及び第2の磁気浮上力F2が、重量Gと部分的に反作用し得る重畳浮上力を提供し、第1の磁気浮上力F1、第2の磁気浮上力F2、及びさらなる非接触力が、重量Gと完全に反作用し得る重畳磁気浮上力を提供してもよい。
【0053】
本書に記載の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、第1のアクティブ磁気ユニットは、第1の磁気浮上力F1を提供するための、第1の調整可能な磁場を生成するように構成されていてよい。第2のアクティブ磁気ユニットは、第2の磁気浮上力F2を提供するための、第2の調整可能な磁場を生成するように構成されていてよい。
図3Aに例示的に示すように、装置は、デバイス、例えば本書に記載の堆積源アセンブリの動作制御を提供するため、第1の調整可能な磁場及び/または第2の調整可能な磁場を制御すべく、第1のアクティブ磁気ユニット741及び/または第2のアクティブ磁気ユニット742を個別に制御するように構成されたコントローラ580を含んでいてよい。具体的には、コントローラ580は、垂直方向へのデバイスの並進運動を制御するため、第1のアクティブ磁気ユニットと第2のアクティブ磁気ユニットを制御するように構成されていてよい。本書に記載のコントローラで第1のアクティブ磁気ユニット及び第2のアクティブ磁気ユニットを制御することによって、デバイスの動作は、デバイスの位置が目標とする垂直位置で維持され得るように制御されてよい。
【0054】
第1のアクティブ磁気ユニット及び/または第2のアクティブ磁気ユニットを個別に制御することによって、デバイス、具体的には堆積源の動作制御に関して、さらなる便益が提示され得る。個別の制御によって、角度動作制御を提供するために、デバイス、例えば堆積源アセンブリ730を第1の回転軸734を中心にして回転することが可能になる。例えば、
図3Aを参照すると、第1の磁気浮上力F1が第2の磁気浮上力F2よりも大きくなるようにして、第1のアクティブ磁気ユニット741及び/または第2のアクティブ磁気ユニット742を個別に制御する結果、第1の回転軸734を中心にして、デバイス120、例えば堆積源アセンブリ730が時計回りに回転し得るためのトルクが生じる。同様に、第1の磁気浮上力F1よりも大きい第2の磁気浮上力F2であれば、デバイス120が第1の回転軸734を中心にして反時計回りに回転する結果となってよい。
【0055】
第1のアクティブ磁気ユニット741と第2のアクティブ磁気ユニット742が個別に制御可能であることによって与えられる回転自由度が、第1の回転軸734に対するデバイス120の角度配向の制御を可能にする。コントローラ580の制御下で、目標とする角度配向及び/または角度動作の制御が与えられ得る。例えば、デバイス、具体的には堆積源アセンブリの、目標とする角度配向は、垂直の配向、例えば
図3Aに示すように、第1の平面733がy方向と平行になるような配向であってよい。代わりに、目標とする配向が、第1の平面733がy方向に対して目標の角度で傾いているような、傾斜またはわずかに傾斜した配向であってもよい。
【0056】
例示的に
図3Aを参照すると、本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によれば、装置100は、第1のパッシブ磁気ユニット745、例えば永久磁石、及びさらなるアクティブ磁気ユニット743を含んでいてよい。第1のパッシブ磁気ユニット745は、第1の平面733の第2の面733Bに配設されていてよい。実施の際、第1のパッシブ磁気ユニット745は、ガイド構造物770の第2の部分772に面していてよく、及び/または、第1の平面733と第2の部分772との間に設けられていてよい。
【0057】
さらなるアクティブ磁気ユニット743は、第1の平面733の第1の面733Aに配設されていてよい。実施の際、さらなるアクティブ磁気ユニット743は、ガイド構造物770の第1の部分771に面していてよく、及び/または、少なくとも部分的に、第1の平面733と第1の部分771との間に設けられていてよい。典型的には、さらなるアクティブ磁気ユニット743は、第1のアクティブ磁気ユニット741、第2のアクティブ磁気ユニット742と同じタイプのものであってよい。例えば、さらなるアクティブ磁気ユニット743、第1のアクティブ磁気ユニット741、及び/または第2のアクティブ磁気ユニット742は、同一のタイプの電磁石であってよい。第1のアクティブ磁気ユニット741及び第2のアクティブ磁気ユニットと比べて、さらなるアクティブ磁気ユニット743は、異なる空間的配向を有していてよい。具体的には、さらなるアクティブ磁気ユニット743は、例えば第1のアクティブ磁気ユニット741に対して、例えば約90°で、
図3Aの描画面に対して垂直な横方向軸を中心にして回転されていてよい。
【0058】
さらなるアクティブ磁気ユニット743は、磁場、具体的には調整可能な磁場を生成するように構成されていてよい。
図3Aに例示的に示すように、さらなるアクティブ磁気ユニット743によって生成された磁場は、ガイド構造物770の磁気特性と相互作用し、デバイス、具体的には堆積源アセンブリ730に作用する第1の対向する横方向の力O1を提供する。第1の対向する横方向の力O1は、磁力である。こうして、さらなるアクティブ磁気ユニット743及びガイド構造物770は、第1の対向する横方向の力O1を提供するように構成されている。第1の対向する横方向の力は、第1の横方向の力と反作用する、調整可能な力である。さらに、例示的に
図3Aを参照すると、コントローラ580は、さらなるアクティブ磁気ユニット743を制御して、横方向の動作制御、即ち横方向における動作の制御を提供するように構成されていてよい。
【0059】
例示的に
図3Aを参照すると、本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によれば、第1のパッシブ磁気ユニット745及びガイド構造物770は、第1の横方向の力T1を提供するように構成されている。具体的には、第1のパッシブ磁気ユニット745は、磁場を生成するように構成されていてよい。第1のパッシブ磁気ユニット745によって生成された磁場は、ガイド構造物770の磁気特性と相互作用し、デバイス、例えば堆積源アセンブリ730に作用する第1の横方向の力T1を提供し得る。第1の横方向の力T1は、磁力である。第1の横方向の力T1は、本書に記載のとおり、横方向に沿って延びている。第1の横方向の力T1は、デバイスの搬送方向に対してほぼ垂直な方向に沿って延びていてよい。例えば、第1の横方向の力T1は、
図3Aに示すとおり、z方向にほぼ平行であってよい。
【0060】
例示的に
図3Aを参照すると、第1の対向する横方向の力O1が、横方向に沿って延びていることが理解されるべきである。この横方向は、第1の横方向の力T1が沿って延びる横方向と、同一であるか、またはほぼ平行であってよい。例えば、
図3Aに示す力T1及びO1は、どちらもz方向に沿って延びる。具体的には、第1の対向する横方向の力O1と、第1の横方向の力T1は、対向し合う力、即ち反作用し合う力である。これは、力T1と力O1とが、z方向に沿って反対方向を指す同じ長さのベクトルで表されている態様によって、
図3Aに示されている。第1の対向する横方向の力O1と、第1の横方向の力T1は、同じ大きさを有していてよい。第1の対向する横方向の力O1と、第1の横方向の力T1は、横方向に沿って、反対の方向に延びていてよい。第1の横方向の力T1と第1の対向する横方向の力O1は、例えば、基板受容エリアもしくは基板、またはデバイスの搬送方向、具体的には堆積源の搬送方向に対して、ほぼ垂直であってよい。
【0061】
例えば、
図3Aに示すように、第1の横方向の力T1は、第1のパッシブ磁気ユニット745とガイド構造物770との間の磁気吸引力に起因し得る。磁気吸引力によって、第1のパッシブ磁気ユニット745が、ガイド構造物770に向かって、具体的にはガイド構造物770の第2の部分772に向かって、駆り立てられる。第1の対向する横方向の力O1は、さらなるアクティブ磁気ユニット743とガイド構造物770との間の磁気吸引力に起因し得る。磁気吸引力によって、さらなるアクティブ磁気ユニット743が、ガイド構造物770に向かって、具体的にはガイド構造物770の第1の部分771に向かって、駆り立てられる。
【0062】
代わりに、第1の横方向の力T1は、第1のパッシブ磁気ユニット745とガイド構造物770との間の磁気反発力に起因していてもよい。第1の対向する横方向の力O1は、さらなるアクティブ磁気ユニット743とガイド構造物770との間の磁気反発力に起因し得る。この場合にもまた、力T1とO1とは、反作用する力同士である。その結果、第1の対向する横方向の力O1は、第1の横方向の力T1と完全に反作用していてよい。第1の対向する力O1は、第1の横方向の力T1と反作用していてよく、それによって、横方向、例えばz方向に沿ってデバイス、例えば堆積源アセンブリ730に作用する合力が、ゼロになっていてよい。その結果、横方向に沿ったデバイスの動作は、コントローラの機械的接触によって制御されてよい。
【0063】
図3Aに示すように、コントローラ580は、さらなるアクティブ磁気ユニット743を制御するように構成されていてよい。さらなるアクティブ磁気ユニット743の制御は、第1の対向する横方向の力O1を制御するためにさらなるアクティブ磁気ユニット743によって生成された、調整可能な磁場の制御を含んでいてよい。さらなるアクティブ磁気ユニット743を制御することによって、横方向、例えばz方向における、デバイス、例えば堆積源520の動作制御が可能になってよい。
【0064】
例示的に
図3Aを参照すると、本書に記載の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によれば、ガイド構造物770の第1の部分771及び第2の部分772は、別々の、ガイド構造物770の部分であってよい。実施の際、ガイド構造物770の第1の部分771は、第1の平面733の第1の面733Aに配設されていてよい。ガイド構造物770第2の部分772は、第1の平面733の第2の面733Bに配設されていてよい。
【0065】
本書に記載の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150は、デバイスに、具体的にはデバイス120の支持体160に設けられている。例えば、磁気ユニットのうちの1つ以上、または全てが、デバイス、具体的にはデバイス120の支持体160に装着されている。例えば、
図3A及び
図3Bに示すように、本書に記載の第1のアクティブ磁気ユニット741、第2のアクティブ磁気ユニット742、第1のパッシブ磁気ユニット745、及び/またはさらなるアクティブ磁気ユニット743が、支持体160に装着されていてよい。
【0066】
例示的に
図3Aを参照すると、本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によれば、コントローラ580は、デバイス120の動作制御を提供するために、第1のアクティブ磁気ユニット741、及び/または第2のアクティブ磁気ユニット742、及び/またはさらなるアクティブ磁気ユニット743を制御するように構成されていることができる。第1のアクティブ磁気ユニット741及び/または第2のアクティブ磁気ユニット742、及び/またはさらなるアクティブ磁気ユニット743に伝達されるコントローラ580の制御信号は、制御矢印C1、C2、及びC3によって例示的に示されている。このように、コントローラ580は、センサ140が提供する信号S1を分析し、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150、例えば第1のアクティブ磁気ユニット741、及び/または第2のアクティブ磁気ユニット742、及び/またはさらなるアクティブ磁気ユニット743に対して、適切な制御信号を送信するように構成されていることができる。
【0067】
ガイド構造物770の第1の部分771及び第2の部分772は、それぞれパッシブ磁気ユニットであるか、及び/または1つ以上のパッシブ磁気アセンブリを含んでいてよい。例えば、第1の部分771及び第2の部分772は、それぞれ強磁性材料、例えば強磁性鋼から作られていてよい。第1の部分771は、第1の凹部773及び第2の凹部774を含んでいてよい。実施の際、磁気ユニット、例えば
図3Bに示す第1のアクティブ磁気ユニット741は、少なくとも部分的に、第1の凹部773内に配設されていてよい。実施の際、別の磁気ユニット、例えばさらなるアクティブ磁気ユニット743は、少なくとも部分的に、第2の凹部774内に配設されていてよい。ガイド構造物770の第1の部分771は、堆積源の搬送方向、例えばx方向に垂直な断面において、E字形の輪郭を有していてよい。ほぼ第1の部分771の長さに沿ったE字形の輪郭によって、第1の凹部773及び第2の凹部774が規定されてよい。同様に、第2の部位772は、第3の凹部775及び第4の凹部776を含んでいてよい。実施の際、磁気ユニット、例えば
図3Bに示す第2のアクティブ磁気ユニット742は、少なくとも部分的に第3の凹部775内に配設されていてよく、第1のパッシブ磁気ユニット745は、少なくとも部分的に第4の凹部776内に設けられていてよい。第1のパッシブ磁気ユニット745は、ガイド構造物770に設けられたさらなるパッシブ磁気ユニット746と相互作用してよい。第2の部分772は、堆積源の搬送方向に垂直な断面において、E字形の輪郭を有していてよい。ほぼ第2の部分772の長さに沿ったE字形の輪郭によって、第3の凹部775及び第4の凹部776が規定されてよい。
【0068】
堆積源アセンブリ730の磁気ユニットを少なくとも部分的にガイド構造物770の各凹部内に配設することによって、本書で記載されている力F1、F2、T1、及び/またはO1を提供するための、各凹部内におけるガイド構造物と磁気ユニットとの間の磁気的相互作用の向上を得ることができる。その結果、デバイスの動作制御の改良がもたらされ得る。
【0069】
例示的に
図3Bを参照すると、搬送装置の実施形態によれば、ガイド構造物に、パッシブ磁気駆動ユニット780が設けられていてよい。例えば、パッシブ磁気駆動ユニット780は、複数の永久磁石、具体的には様々な極性配向のパッシブ磁気アセンブリを形成している複数の永久磁石を含んでいることができる。複数の磁石は、パッシブ磁気アセンブリを形成するために、交互の極性配向を有していることができる。支持体160に、または支持体160の内部に、アクティブ磁気駆動ユニット781が設けられ得る。パッシブ磁気駆動ユニット780及びアクティブ磁気駆動ユニット781は、堆積源アセンブリが浮上中にガイド構造物に沿って動くように、駆動、例えば非接触駆動を提供することができる。
【0070】
図4は、デバイス、例えば堆積源用の堆積源カートのための支持体160の例示的な実施形態を示す。本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施によると、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150は、支持体160の第1の面に第3のアクティブ磁気ユニット747を、及び支持体160の第2の面に第4のアクティブ磁気ユニット748を、さらに含む。第1のアクティブ磁気ユニット741、第2のアクティブ磁気ユニット742、第3のアクティブ磁気ユニット747、及び第4のアクティブ磁気ユニット748は、第1の回転軸734、及び第1の回転軸734に垂直な第2の回転軸767を中心にして、デバイス120を回転するように構成されていることができる。本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得るさらなる実施例によると、支持体160には、以下のユニットが装着され得る。第1のアクティブ磁気ユニット741、第2のアクティブ磁気ユニット742、第3のアクティブ磁気ユニット747、第4のアクティブ磁気ユニット748、第5のアクティブ磁気ユニット749、第6のアクティブ磁気ユニット750、第1のパッシブ磁気ユニット751、第2のパッシブ磁気ユニット752、及びこれらの任意の組み合わせ。第5のアクティブ磁気ユニット749は、
図3Aに関連して記載されたさらなるアクティブ磁気ユニット743であってよい。
【0071】
図4は、デバイスの支持体160を通って延びる、本書に記載の第1の平面733を示す。第1の平面733は、本書に記載の第1の回転軸734を含む。
図4に示すように、実施の際、第1の回転軸734はx方向に対してほぼ平行であってよい。実施の際、第1の回転軸は、横方向に沿って、例えばx方向にほぼ平行に、延びていてよい。第1のアクティブ磁気ユニット741、第3のアクティブ磁気ユニット747、第5のアクティブ磁気ユニット749、及び/または第6のアクティブ磁気ユニット750は、第1の平面733の第1の面上に配設されていてよい。第2のアクティブ磁気ユニット742、第4のアクティブ磁気ユニット748、第1のパッシブ磁気ユニット751、及び第2のパッシブ磁気ユニット752は、第1の平面733の第2の面上に配設されていてよい。
【0072】
さらに、
図4は、支持体160を通って延びる第2の平面766を示す。第2の平面766は、第1の平面に対してほぼ垂直であってよい。装置100の実施の際、第2の平面は垂直方向に延びていてよい。実施の際、第1の平面733は、基板受容エリアまたは基板に対してほぼ平行であってよい。第2の平面766は、基板受容エリアに対してほぼ垂直であってよい。第2の平面766は、デバイス、例えば堆積源アセンブリの、第2の回転軸767を含む。第2の回転軸767は、第1の回転軸に対してほぼ垂直であってよい。実施の際、第2の回転軸767は、横方向に沿って、例えば
図4に示すz方向にほぼ平行に、延びていてよい。
【0073】
図4に例示的に示すように、第1のアクティブ磁気ユニット741、第2のアクティブ磁気ユニット742、第5のアクティブ磁気ユニット749、及び/または第1のパッシブ磁気ユニット751は、第2の平面766の第1の面上に配設されていてよい。第3のアクティブ磁気ユニット747、第4のアクティブ磁気ユニット748、第6のアクティブ磁気ユニット750、及び第2のパッシブ磁気ユニット752は、第2の平面766の第2の面上に配設されていてよい。
【0074】
実施の際、8個の磁石が装着された
図4の支持体160は、
図3に示す凹部を規定するE字形の輪郭を有する第1の部分及び第2の部分を含む、ガイド構造体に対して配設されていてよい。第1のアクティブ磁気ユニット741及び第3のアクティブ磁気ユニット747は、少なくとも部分的に、第1の凹部773内に配設されていてよい。第5のアクティブ磁気ユニット749及び第6のアクティブ磁気ユニット750は、少なくとも部分的に、第2の凹部774内に配設されていてよい。第2のアクティブ磁気ユニット742及び第4のアクティブ磁気ユニット748は、少なくとも部分的に、第3の凹部775内に配設されていてよい。第1のパッシブ磁気ユニット751及び第2のパッシブ磁気ユニット752は、少なくとも部分的に、第4の凹部776内に配設されていてよい。
【0075】
第1のアクティブ磁気ユニット、第2のアクティブ磁気ユニット、第3のアクティブ磁気ユニット、及び第4のアクティブ磁気ユニットのそれぞれは、堆積源アセンブリに作用する磁気浮上力を提供するように構成されていてよい。これら4つの磁気浮上力のそれぞれは、堆積源アセンブリの重量と部分的に反作用していてよい。これら4つの磁気浮上力の重畳によって、搬送されるデバイスの重量と完全に反作用する重畳磁気浮上力が提供され、それによって非接触浮上が提供されてよい。
【0076】
第1のアクティブ磁気ユニット、第2のアクティブ磁気ユニット、第3のアクティブ磁気ユニット、及び第4のアクティブ磁気ユニットを本書に記載のコントローラ580で制御することによって、デバイスの動作が、垂直方向、例えばy方向において制御されてよい。
【0077】
第1のアクティブ磁気ユニット、第2のアクティブ磁気ユニット、第3のアクティブ磁気ユニット、及び第4のアクティブ磁気ユニットを本書に記載のコントローラ580で制御すること、具体的には個別に制御することによって、デバイスが第1の回転軸を中心にして回転されてよく、第1の回転軸を中心とした回転動作制御が提供され得る。同様に、第1のアクティブ磁気ユニット、第2のアクティブ磁気ユニット、第3のアクティブ磁気ユニット、及び第4のアクティブ磁気ユニットを本書に記載のコントローラ580で適切に制御することによって、デバイスが第2の回転軸を中心にして回転されてよく、第2の回転軸を中心とした回転動作制御が提供され得る。こうして、アクティブ磁気ユニットの制御によって、デバイスの動作を制御するための、堆積源アセンブリの第1の回転軸に対する角度配向と第2の回転軸に対する角度配向を制御することが可能になる。その結果、デバイスの角度動作制御に関する回転自由度2を得ることができる。
【0078】
例示的に
図4を参照すると、第1のパッシブ磁気ユニット751と第2のパッシブ磁気ユニット752は、それぞれ、第1の横方向の力T1と第2の横方向の力T2を提供するように構成されていることができる。第5のパッシブ磁気ユニット749と第6のパッシブ磁気ユニット750は、それぞれ、第1の対向する横方向の力O1と第2の対向する横方向の力O2を提供するように構成されていることができる。
図3Aに関連して提示された検討と同様に、第1の対向する力O1及び第2の対向する力O2は、第1の横方向の力T1及び第2の横方向の力T2と反作用する。
【0079】
第5のアクティブ磁気ユニット749と第6のアクティブ磁気ユニット750を、例えば本書に記載のコントローラ580で制御することによって、力T1及びT2を制御することができ、横方向、例えばz方向に沿ったデバイスの動作が制御され得る。第5のアクティブ磁気ユニット749及び第6のアクティブ磁気ユニット750を個別に制御することによって、
図4に示すとおり、デバイスは第3の回転軸768を中心にして回転されてよい。第3の回転軸768は第1の回転軸734に対して垂直であってよく、及び/または、第2の回転軸767に対して垂直であってよい。実施の際、第3の回転軸768は、垂直方向に沿って延びていてよい。第5のアクティブ磁気ユニット749と第6のアクティブ磁気ユニット750を個別に制御することによって、デバイスの角度動作制御を提供するために、デバイスの、第3の回転軸768に対する角度配向を制御することが可能になる。
【0080】
上記の観点から、本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、真空処理システムにおける、処理デバイス、例えば堆積源520の非接触搬送用の装置が提供される。装置は、処理デバイス用の支持体160を含む。支持体は、本書に記載の1つ以上のアクティブ磁気ユニット150を含む。さらに、装置は、処理デバイスの搬送方向に延びる、ガイド構造物770を含む。1つ以上のアクティブ磁気ユニット150及びガイド構造物770は、処理デバイスを磁気浮上させるための磁気浮上力F
Lを提供するように構成されている。加えて、装置は、処理デバイスの動作をモニタリングするためのセンサ140を含む。さらに、装置は、センサに接続されたコントローラ580を含む。コントローラは、センサによって検出されるデバイスのクリティカルな動作が低減されるようにして、センサ140が提供する信号に基づいて1つ以上のアクティブ磁気ユニット150を制御するように、構成されている。
【0081】
例示的に
図5A及び
図5Bを参照すると、デバイス120の非接触搬送用の装置100の実施形態が記載されている。ここでは、デバイスはキャリアアセンブリ880である。本開示では、「キャリアアセンブリ」は、基板を支持しているキャリア、基板なしのキャリア、基板、または支持体によって支持されている基板からなる群の、1つ以上の要素を含んでいてよい。さらに、「キャリアアセンブリ」は、マスクを支持しているマスクキャリア、マスクなしのキャリア、マスク、または支持体によって支持されているマスクからなる群の、1つ以上の要素を含んでいてよい。具体的には、キャリアアセンブリは、機械力の代わりに磁力を用いて、浮上状態または浮揚状態に保持されるように構成されることができる。例として、キャリアアセンブリ880の非接触搬送用の装置100は、キャリアアセンブリの重量を支持する機械式レールといった、機械式の要素を一切有していなくてよい。ある実施形態では、システム内におけるキャリアアセンブリの浮上中、例えば移動中、キャリアアセンブリと装置の残りの部分との間に、機械的接触が一切存在していないということがあり得る。
【0082】
本開示の実施形態によると、浮上しているまたは浮上とは、物体が機械的接触または機械的支持なしに浮揚している、物体の状態を表す。さらに、物体を移動することは、駆動力、例えば浮上力とは異なる方向に力を提供することを指す。このとき、物体は1つの位置から別の位置、異なる位置、例えば異なる水平方向位置へと移動する。例えば、キャリアアセンブリといった物体が、例えば重力と反作用する力によって浮上され得、浮上されている間に、重力と平行な方向とは異なる方向へと移動され得る。
【0083】
本書に記載の実施形態によるキャリアアセンブリの非接触浮上、非接触搬送、及び/または非接触動作制御は、キャリアアセンブリと装置の部品との間の機械的接触による粒子の生成が全くないという点で、有益である。こうして、キャリアアセンブリ880の非接触搬送用の装置100は、基板上に堆積した層の純度と均一性の向上を提供する。これは具体的には、キャリアアセンブリの非接触浮上、非接触搬送、及び/または非接触動作制御を使用することによって、粒子の生成が最小限に抑制されるからである。
【0084】
具体的には、例示的に
図5A及び
図5Bを参照すると、非接触搬送用の装置100は、垂直方向、例えばy方向に沿って、及び/または1つ以上の横方向、例えばx方向に沿って、キャリアアセンブリを非接触搬送するように構成されていることができる。さらに、装置は、キャリアアセンブリの角度動作制御を提供するため、少なくとも1つの回転軸に対してキャリアアセンブリを非接触回転するように構成されていてよい。キャリアアセンブリの回転軸に対する回転は、0.003°から3°までの角度範囲内で提供され得る。
【0085】
図5Aは、デバイス、具体的にはキャリアアセンブリ880の非接触搬送用の装置100の例示的な実施形態の前面図を示す。例示的に
図5A及び
図5Bに示すとおり、装置100は、搬送すべき基板101を例えば基板キャリア内に含み得る、キャリアアセンブリ880を含んでいてよい。代わりに、(図示していないが)キャリアアセンブリ880は、搬送するマスクを例えばマスクキャリア内に含んでいることができる。キャリアアセンブリ880は、典型的に、第1のパッシブ磁気要素851を含む。
図5Aに例示的に示すように、装置100は、キャリアアセンブリの搬送方向、例えばx方向に延びる、さらなるガイド構造物870を含んでいてよい。例示的に
図5A及び
図5Bを参照すると、装置100は、例示的に
図5A及び
図5Bに示されているような磁気式搬送設備のさらなる磁性構造物170、例えばさらなるガイド構造物870に設けられた、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150を含んでいてよい。さらなるガイド構造物870は、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150を含んでいてよい。
【0086】
図5Aに水平の矢印888で例示的に示されているとおり、キャリアアセンブリ880は、さらなるガイド構造物870に沿って移動可能であるように構成されていることができる。さらなるガイド構造物870の第1のパッシブ磁気要素851及び1つ以上のアクティブ磁気ユニット150は、キャリアアセンブリ880を浮上させるための第1の磁気浮上力を提供するように構成されている。さらに、
図5Aに例示的に示すように、装置100は駆動構造物890を含んでいてよい。駆動構造物は、複数のさらなるアクティブ磁気要素895を含み得る。キャリアアセンブリは、駆動構造物890のさらなるアクティブ磁気要素895と相互作用するための、第2のパッシブ磁気要素852、例えば強磁性材料のバーを含んでいることができる。典型的には、複数の1つ以上のアクティブ磁気ユニット150のうちの1つのアクティブ磁気ユニットによって、キャリアアセンブリ880の第1のパッシブ磁気要素851と相互作用する磁力が提供される。例えば、第1のパッシブ磁気要素851はキャリアアセンブリ880の一部であり得る強磁性材料のバーまたはロッドであることができる。代替形態では、第1のパッシブ磁気要素はキャリアと一体的に形成されていてもよい。さらに、例示的に
図5A及び
図5Bに示すように、典型的には、キャリアアセンブリ880は第2のパッシブ磁気要素852、例えば強磁性材料のさらなるバーまたはさらなるロッドを含む。さらなるバーまたはさらなるロッドは、キャリアアセンブリ880に接続されていることができるか、または基板支持体と一体的に形成されていることができる。
【0087】
本書に記載の実施形態によると、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150は、第1のパッシブ磁気要素851に対して磁力を提供し、したがってキャリアアセンブリ880に対して磁力を提供する。その結果、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150が、キャリアアセンブリ880を浮上させる。典型的には、さらなるアクティブ磁気要素895は、キャリア搬送方向、例えば
図5A及び
図5Bに示すX方向に沿って、キャリアを駆動するように構成されている。このように、複数のさらなるアクティブ磁気要素895が、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150による浮上中にキャリアアセンブリ880を動かすための、駆動構造物を形成している。さらなるアクティブ磁気要素895は、第2のパッシブ磁気要素852と相互作用して、キャリア搬送方向に沿った力を提供する。例えば、第2のパッシブ磁気要素852は、極性を交互にして配設された複数の永久磁石を含んでいることができる。その結果生じる第2の磁気要素852の磁場は、複数のさらなるアクティブ磁気要素895と相互作用して、キャリアアセンブリ880を浮上中に移動することができる。
【0088】
キャリアアセンブリ880を1つ以上のアクティブ磁気ユニット150で浮上させるため、及び/または、キャリアアセンブリ880を複数のさらなるアクティブ磁気要素895で移動するために、アクティブ磁気要素は、調整可能な磁場を提供するように制御され得る。調整可能な磁場は、静磁場または動磁場であってよい。本書に記載の他の実施形態と組み合わせ得る実施形態によると、アクティブ磁気ユニットまたはアクティブ磁気要素は、垂直方向に延びる磁気浮上力を提供するための磁場を生成するように構成されていることができる。本書に記載のさらなる実施形態と組み合わされ得る他の実施形態によると、アクティブ磁気ユニットまたはアクティブ磁気要素は、横方向に沿って延びる磁力を提供するように構成されていてよい。本書に記載のアクティブ磁気要素は、電磁デバイス、ソレノイド、コイル、超電導磁石、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの要素であるか、またはそれを含んでいてよい。
【0089】
さらに、
図5A及び
図5Bに例示的に示すように、非接触搬送用の装置100は、キャリアアセンブリ880の動作をモニタリングするためのセンサ140を含む。具体的には、センサ140は本書に記載のモーションセンサであってよい。本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、キャリアアセンブリ880の動きをモニタリングするための2つ以上のモーションセンサ(明示的には図示せず)を設けることができる。2つ以上のモーションセンサは、本書に記載のセンサ140に従って構成されていることができる。さらに、装置は、センサ140及び/または2つ以上のモーションセンサが提供する信号に基づいて、1つ以上のアクティブ磁気ユニット150を制御するように構成された、コントローラ580を含む。
図5A及び
図5Bでは、コントローラから1つ以上のアクティブ磁気ユニット150に対して提供された制御信号が、例示的にC1で表されている。
【0090】
このように、コントローラ580は、キャリアアセンブリのクリティカルな動作、例えば震えまたは振動が、低減、具体的には減衰または抑制されるか、または回避さえされるようにキャリアアセンブリの動きを制御するように構成されていることができる。
図1から
図4を参照して記載されている実施形態に関して本書に記載されている動作制御にかかる技術的原理が、
図5A及び
図5Bを参照して記載されている実施形態に準用可能であることは、理解されるべきである。
【0091】
図5A及び
図5Bは、デバイス120、具体的にはキャリアアセンブリ880であるデバイスの、非接触搬送用の装置100の動作状態の側面図を示す。示されるように、さらなるガイド構造物870は、キャリアアセンブリの搬送方向、即ち
図5A及び
図5BのX方向に沿って延びていてよい。キャリアアセンブリの搬送方向は、本書に記載のとおり横方向であることができる。さらなるガイド構造物870は、搬送方向に沿って延びる直線形状を有していてよい。堆積源の搬送方向に沿ったさらなるガイド構造物870の長さは、1mから30mであってよい。例えば基板またはマスクを運んでいるキャリアは、描画面にほぼ平行に、例えば+15°の偏差で、配設されていてよい。例えば例示の層堆積処理中といった基板の処理中、基板は、例えば基板受容エリア内に備えられてよい。基板受容エリアは、例えば長さ及び幅といった寸法を有していてよく、それらは基板の対応する寸法と等しいか、またはわずかに(例えば5〜20%)大きくてよい。
【0092】
非接触搬送用の装置100の動作中、キャリアアセンブリ880は、搬送方向、例えばx方向に、さらなるガイド構造物870に沿って並進運動可能であってよい。
図5A及び
図5Bは、さらなるガイド構造物870に対して、x方向に沿った異なる位置にある、キャリアアセンブリ880を示す。水平方向の矢印888は、駆動構造物890の駆動力を表す。その結果、さらなるガイド構造物870に沿って、左から右へのキャリアアセンブリの並進運動が与えられる。垂直方向の矢印は、キャリアアセンブリに対して作用する浮上力を表す。
【0093】
第1のパッシブ磁気要素851は、搬送方向に第1のパッシブ磁気要素851の長さにほぼ沿った、磁気特性を有していてよい。アクティブ磁気ユニット150’によって生成された磁場が、第1のパッシブ磁気要素851の磁気特性と相互作用して、第1の磁気浮上力F1及び第2の磁気浮上力F2を提供する。その結果、具体的にはコントローラ580からアクティブ磁気ユニットに対して適切な制御コマンドを送信することによって、キャリアアセンブリ880の非接触による浮上、搬送、位置合わせ、及び動作制御がもたらされる。
【0094】
図5Aに示すように、キャリアアセンブリ880は第1の位置に設けられている。本書に記載の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、2つ以上のアクティブ磁気ユニット150’例えば2つまたは3つのアクティブ磁気ユニット150’は、コントローラ580によって起動されて、キャリアアセンブリ880を浮上させるため、及び/またはキャリアアセンブリの動作を制御するための、磁場を生成する。
図5A及び
図5Bに例示的に示すとおり、典型的には、キャリアアセンブリは、さらなるガイド構造物870の下方に、機械的な接触なしに懸架されている。
【0095】
図5Aでは、2つのアクティブ磁気ユニット150’が、垂直の矢印で表されている磁力(F1及びF2)を提供している。この磁力は、重力と反作用してキャリアアセンブリを浮上させる。コントローラ580は、キャリアアセンブリを浮上状態に維持するため、並びに、例えば垂直方向(y方向)への、及び/またはz方向に平行な回転軸を中心にした、キャリアアセンブリの動作を制御するために、2つのアクティブ磁気ユニット150’を個別に制御してよい。さらに、1つ以上のさらなるアクティブ磁気要素895’が、キャリアアセンブリを浮上状態に維持するため、及び/または例えば垂直方向(y方向)及び/またはz方向に平行な回転軸を中心にしたキャリアアセンブリの動きを制御するために、コントローラ580によって個別に制御されてよい。
図5A及び
図5Bでは、コントローラ580から1つ以上のさらなるアクティブ磁気要素895’に対して提供された制御信号が、例示的にC2で表されている。さらなるアクティブ磁気要素895’は、第2のパッシブ磁気要素852、例えば一式の交互に配置された複数の永久磁石(alternating permanent magnets)と相互作用して、水平方向の矢印888で表されている駆動力を生成する。駆動力は、キャリアアセンブリを搬送方向に動かす。
図5Aに示すように、搬送方向はX方向であることができる。本書に記載の他の実施形態と組み合わされ得る本開示のある実施形態によると、駆動力を提供するために同時に制御されるさらなるアクティブ磁気要素895’の数は、1から3である。
【0096】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、キャリアアセンブリ880には、本書に記載のセンサ140に従って構成された2つ以上のモーションセンサ(明示的には図示せず)が設けられていてよい。2つ以上のモーションセンサを設けることは、キャリアアセンブリ880のクリティカルな動作を高精度で検出するために、特に有益であり得る。
【0097】
図5A及び
図5Bから、第1の位置ではキャリアアセンブリが第1の群のアクティブ磁気ユニットよりも下方に位置しており、さらなる別の位置ではキャリアアセンブリがさらなる別の群のアクティブ磁気ユニットよりも下方に位置していることが、理解される。コントローラは、どのアクティブ磁気要素が各位置に対する浮上力を提供するのかを制御し、各アクティブ磁気要素を制御してキャリアアセンブリを浮上させ、及び/またはキャリアアセンブリの動きを制御するように、制御する。
【0098】
図5Bは、第2の位置にあるキャリアアセンブリを示す。第2の位置では、2つのアクティブ磁気ユニット150’が、左の垂直矢印で表される第1の磁力F1と、右の垂直矢印で表される第2の磁力F2を提供する。コントローラ580は、2つのアクティブ磁気ユニット150’を制御して、並進運動方向、具体的には垂直方向、例えば
図5BのY方向における位置合わせ及び/または動作制御を提供する。さらに、加えてまたは代えて、コントローラ580は、2つのアクティブ磁気ユニット150’を制御して、キャリアアセンブリがX−Y平面内で、例えばz方向に平行な回転軸を中心にして回転されるように、位置合わせまたは動作制御を提供してよい。どちらの動きも、即ち回転運動も並進運動も、点線のキャリアアセンブリの位置と実線で描かれたキャリアアセンブリ880の位置を比較することによって、例示的に
図5Bで見ることができる。
【0099】
このように、コントローラ580は、例えば垂直方向におけるキャリアアセンブリの並進運動の制御を提供するために、アクティブ磁気ユニット150’を制御するように構成されていてよい。さらに、コントローラは、例えばz方向に平行に延びる回転軸を中心にした角度動作制御を提供するために、アクティブ磁気ユニット150’を制御するように構成されていてよい。
【0100】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、非接触搬送用の装置100は、並進方向、例えば垂直方向(y方向)におけるキャリアアセンブリの動作制御、具体的には非接触式の動作制御を、50μm以下、例えば1μmから10μm、例えば5μmといった精度で提供するように構成されていることができる。本開示の実施形態によると、回転方向の位置合わせの精度、具体的には非接触式位置合わせの精度は、3°以下、具体的には1°以下であることができる。さらに、装置100は、搬送方向、例えば水平方向(x方向)へのキャリアアセンブリの動作制御、具体的には非接触式の動作制御を、50μm以下、例えば1μmから10μm、例えば5μmといった精度で提供するように構成されていることができる。
【0101】
このように、本開示の実施形態は、処理システムで使用される移動可能なデバイスの動きの平滑さが向上し得るという利点を有している。例えば、移動可能なデバイスがキャリアアセンブリである場合、キャリアアセンブリのクリティカルな動作の低減、あるいはさらには根絶によって、より均一で均質的なコーティング結果を得ることができるという利点を有している。その結果、例えばOLEDといったディスプレイ装置の、処理結果の向上、即ち製品品質の向上を達成することができる。
【0102】
例示的に
図6を参照すると、基板を処理するための真空処理システム200が記載されている。本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、真空処理システムは、内部で基板を処理するのに適合している処理チャンバ201を含む。さらに、真空処理システムは、本書に記載の任意の実施形態による非接触搬送用の装置100を含む。その結果、本書に記載の任意の実施形態による非接触搬送用の装置100を伴う真空処理システム200を提供することによって、例えば、OLEDといったディスプレイ装置の生産における処理結果の向上をもたらし得る、改良された真空処理システムが提供される。
【0103】
図6に示す例示的な実施形態によると、真空処理システム200は、3つの、本書に記載の非接触搬送用の装置を含む。具体的には、堆積源アセンブリ730の非接触搬送用の、第1の装置100Aが設けられている。さらに、キャリアアセンブリの非接触搬送用の、第2の装置100B及び第3の装置100Cを設けることができる。
【0104】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、真空処理システム200は、本書に記載の基板を運ぶ、基板キャリア220をさらに含む。ある実施形態では、基板キャリア220の搬送用に構成された、第1の軌道設備210が設けられている。さらに、マスクキャリア240の搬送用い構成された第2の軌道設備230が設けられ得る。
【0105】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得るある実施形態では、処理チャンバ201は、真空チャンバ(例えば、真空処理チャンバ、具体的には真空堆積チャンバ)である。本書で使用する「真空」という用語は、例えば10mbar未満の真空圧を有する工業的真空の意味として捉えることができる。本書に記載される処理チャンバの圧力は、典型的には、約10
−5mbarと約10
−8mbarとの間、より典型的には、約10
−5mbarと約10
−7mbarとの間、さらにより典型的には、約10
−6mbarと約10
−7mbarとの間であってよい。ある実施形態によれば、真空チャンバ内の圧力は、真空チャンバ内で蒸発させた材料の分圧、または全圧のいずれかと見なすことができる(真空チャンバで堆積する構成要素として蒸発させた材料のみが存在する場合、分圧及び全圧は概ね同じであってよい)。ある実施形態では、真空チャンバの全圧は、特に蒸発させた材料以外の第2の構成要素(例えばガスなど)が真空チャンバ内に存在する場合、約10
−4mbarから約10
−7mbarまでの範囲であってよい。
【0106】
さらに、
図6に例示的に示すように、装置は、搬送設備を有する少なくとも1つのさらなるチャンバ202を含み得る。少なくとも1つのさらなるチャンバ202は、回転モジュール、輸送モジュール、またはこれらの組み合わせであり得る。
図6に例示的に示されているように、処理チャンバ201内に、堆積源アセンブリ730が設けられていることができる。堆積源アセンブリ730は、軌道または直線ガイド部222上に設けられていることができる。直線ガイド部222は、堆積源アセンブリ730の並進運動用に構成されていてよい。さらに、堆積源アセンブリ730の並進運動を提供するための駆動部を設けることができる。具体的には、堆積源アセンブリ730の非接触搬送用の装置が設けられていてよい。
【0107】
例示的に
図6を参照すると、本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施によれば、堆積源アセンブリ730は、蒸発るつぼ221及び、分配アセンブリを有する堆積源520を支持する、支持体160、例えば堆積源カートを含んでいてよい。支持体160は、線形ガイド部222に沿った堆積源アセンブリ730の並進運動用に構成されていることができる。堆積源カートが、蒸発るつぼ221及び、蒸発るつぼ221上に設けられた分配アセンブリを支持していることができる。その結果、蒸発るつぼ221内に生成された蒸気は、上に向かって動き、分配アセンブリの1つ以上の排出口から外に動くことができる。このように、分配アセンブリは、蒸発させた有機材料、具体的には蒸発させた堆積源材料のプルームを分配アセンブリから基板へ供給するように構成されている。
【0108】
図6に例示的に示されているように、処理チャンバ201はゲートバルブ215を有していてよく、真空処理チャンバは、このゲートバルブ215を介して、例えばルーティングモジュールといった隣接するさらなるチャンバ202、または隣接するサービスモジュールに接続されることができる。具体的には、ゲートバルブ215によって、例えば隣接するさらなるチャンバに対する真空シールが可能になり、このゲートバルブ215は、真空処理チャンバとの間で基板及び/またはマスクを出し入れするために開け閉めすることが可能である。
【0109】
図6を例示的に参照すると、本書に記載の他のいずれの実施形態とも組み合わされ得る実施形態によれば、2つの基板、例えば第1の基板10A及び第2の基板10Bを、本書に記載の各第1の軌道の設備210といった、各搬送軌道上で支持することができる。さらに、キャリアを設けるため、2つの軌道、例えば本書に記載の2つの第2の軌道の設備220が設けられ得る。具体的には、基板キャリア及び/またはマスクキャリアの搬送用の軌道は、
図5A及び
図5Bを例示的に参照して本書に記載されている非接触搬送用に、構成されていてよい。
【0110】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、基板のコーティングは、各マスク、例えばエッジ除外マスクまたはシャドウマスクによって、基板をマスクすることを含んでいてよい。ある実施形態によれば、マスク、例えば第1の基板10Aに対応する第1のマスク20A、及び第2の基板10Bに対応する第2のマスク20Bが、各マスク設備内に設けられ、例えば例示的に
図6に示すように、マスク、例えば第1のマスク20A及び第2のマスク20Bを所定の位置で保持する。
【0111】
本書に記載の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によれば、基板は、本書に記載の位置合わせシステム(
図6には図示せず)に接続されていることができる、基板キャリア220によって支持される。位置合わせシステムは、基板の位置をマスクに対して調整するように構成されていることができる。有機材料の堆積中に、基板とマスクとの間で正確な位置合わせを行うために、基板をマスクに対して移動できることは、理解されるべきである。本書に記載の他の実施形態と組み合わされ得るさらなる実施形態によると、代わりにまたはさらに、マスクフレームを保持するマスクキャリアを、位置合わせシステムに接続することができる。本書に記載の他の実施形態と組み合わされ得るさらなる実施形態によると、代わりにまたはさらに、マスクを保持しているマスクフレームを、位置合わせシステムに接続することができる。結果として、マスクを基板に対して位置決めすることができるか、あるいはマスクと基板の双方を互いに対して位置決めすることができる。本書に記載の位置合わせシステムによって、堆積処理中のマスキングの正確な位置合わせが可能になってよい。このことは、高品質のOLEDディスプレイ製造にとって有益である。
【0112】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、真空処理システムは、大面積基板を処理するように構成されている。例えば、本書に記載の「大面積基板」は、少なくとも0.01m
2、具体的には少なくとも0.1m
2、さらに具体的には少なくとも0.5m
2のサイズを有していることができる。例えば、大面積基板またはキャリアは、約0.67m
2の基板(0.73×0.92m)に相当するGEN4.5、約1.4m
2の基板(1.1m×1.3m)に相当するGEN5、約4.29m
2の基板(1.95m×2.2m)に相当するGEN7.5、約5.7m
2の基板(2.2m×2.5m)に相当するGEN8.5であってよく、またはさらに約8.7m
2の基板(2.85m×3.05m)に相当するGEN10でさえあってよい。GEN11及びGEN12のようなさらに次の世代、並びにそれに相当する基板面積を、同様に実装することができる。その結果、基板は、GEN1、GEN2、GEN3、GEN3.5、GEN4、GEN4.5、GEN5、GEN6、GEN7、GEN7.5、GEN8、GEN8.5、GEN10、GEN11、及びGEN12からなる群から選択することができる。具体的には、基板は、GEN4.5、GEN5、GEN7.5、GEN8.5、GEN10、GEN11、及びGEN12、またはさらに次の世代の基板からなる群から選択することができる。さらに、基板の厚さは、0.1から1.8mm、具体的には約0.9mm以下、例えば0.7mmまたは0.5mmであることができる。
【0113】
本開示では、「基板」または「大面積基板」という用語は、ガラスプレートまたは金属プレートといった、非フレキシブル基板を具体的に含むものとする。しかし、本開示はこれらに限定されず、「基板」という用語は、ウェブやホイルといったフレキシブル基板もまた包含し得る。ある実施形態によれば、基板は、材料の堆積に適した任意の材料から作られていることができる。例えば、基板は、ガラス(例えばソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラスなど)、金属、ポリマー、セラミック、複合材料、炭素繊維材料、マイカ、または、堆積処理によってコーティングできる任意の他の材料もしくは材料の組合せからなる群から選択された、材料から作られたものであることができる。
【0114】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、真空処理システムは、垂直基板を処理するように構成されている。「垂直基板処理」という表現は、基板をほぼ垂直な配向(ほぼ垂直=垂直±15°)で処理するように、装置が構成されているものとして理解され得る。本開示全体を通じて使用される場合、「垂直方向(vertical direction)」または「垂直配向(vertical orientation)」という用語は、「水平方向(horizontal direction)」または「水平配向(horizontal orientation”)」と区別するためのものと理解される。
【0115】
例示的に
図7を参照すると、真空処理システムにおいてデバイスを非接触搬送するための方法300が記載されている。本方法は、デバイスを浮上させるために調整可能な磁場を生成すること(ブロック310)と、センサを用いてデバイスの動きをモニタリングすること(ブロック320)と、センサが提供する信号に基づいて、調整可能な磁場を制御すること(ブロック330)を含む。具体的には、デバイスを非接触搬送するための方法300は、本書に記載の実施形態による非接触搬送用の装置100を用いることを含む。
【0116】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、方法300は、さらなるセンサを使って、デバイスに接続された供給設備の動きをモニタリングすること(ブロック340)をさらに含む。
【0117】
本書に記載の任意の他の実施形態と組み合わされ得る実施形態によると、調整可能な磁場を制御すること(ブロック330)は、検出されたデバイスのクリティカルな動作が低減される、具体的には減衰されるか抑制されるように、調整可能な磁場を調節することを含む。
【0118】
図1から
図5Bまでを参照して例示的に記載された非接触搬送用の装置100の実施形態に関連して記載されている特徴が、本書に記載のデバイスを非接触搬送する方法300にもまた適用可能であることは、理解されるべきである。本書に記載の方法の実施形態は、本書に記載の装置の実施形態のうちのいずれを用いても、実施することができる。反対に、本書に記載の装置の実施形態は、本書に記載の方法の実施形態のうちのいずれを実施するのにも、適合している。
【0119】
上記の観点から、本書に記載の実施形態によって、有益に、基板処理用の処理システム内で使用されるデバイスの搬送の制御の向上を提供し得る装置、処理システム、及び方法の改良がもたらされるということは、理解されるべきである。
【0120】
具体的には、本書に記載の実施形態によって、有益に、真空処理システムにおける移動可能なデバイスのクリティカルな動き、例えば振動または震えを低減する機能が提供される。例えば、本書に記載の実施形態は、具体的には、供給設備、例えば媒質供給構造物、及び/または電力供給構造物が接続されている移動可能なデバイスにとって、有益であり得る。なぜならば、供給構造物の励起が低減され得る、具体的には減衰または抑制され得るか、回避さえされ得るからである。供給構造物の励起の低減、減衰、または回避は、特に有益であり得る。なぜならば、供給設備が励起されることによって、供給設備が接続されているデバイスの動作の平滑さに乱れが生じ得るからである。したがって、本開示の実施形態は、処理システムで使用される移動可能なデバイスの動作の平滑さが向上し得るという利点を有している。例えば、移動可能なデバイスが堆積源アセンブリである場合、堆積源アセンブリのクリティカルな動作の低減、あるいはさらには根絶によって、より均一で均質的なコーティング結果を得ることができるという利点を有している。その結果、例えばOLEDといったディスプレイ装置の、処理結果の向上、即ち製品品質の向上を達成することができる。さらに、供給構造物の励起を低減、減衰するか、または回避さえすることによって、供給構造物を形成している要素間のリンク及び接続部にかかる応力が少なくなり、それによって供給構造物、具体的にはシーリング及びベアリングの寿命を伸ばすことができる。
【0121】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他のさらなる実施形態を考案することができ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められる。
【0122】
具体的には、本明細書では実施例を用いて、ベストモードを含めて本開示を開示しており、また任意のデバイスまたはシステムを作製及び使用すること、並びに組み込まれている任意の方法を実施することを含めて、当業者が記載の主題を実施することを可能にしている。ここまで様々な具体的な実施形態を開示してきたが、上記の実施形態の相互に非排他的な諸特徴は、互いに組み合わせられてよい。特許性を有する範囲は特許請求の範囲によって規定されているが、その他の実施例は、それが特許請求の範囲の文字どおりの文言と相違しない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文字どおりの文言とは実質的に相違しない等価の構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。