(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
即席麺の製造において、麺線群をリテーナ内に収納し、当該リテーナに蓋を嵌合させて搬送することによって、フライオイル槽においてフライ処理する際に利用されるコンベア搬送による物品搬送装置のコンベア停止方法であって、
前記物品搬送装置が、麺線群を収容可能な複数のリテーナが無端状の搬送チェーンに等間隔に配設されたリテーナコンベアと、
前記リテーナコンベアの上側搬送経路の下流側に設けられ、前記搬送チェーンを駆動するための第一スプロケットと、
前記第一スプロケットを駆動する駆動手段と、
上側搬送経路の上流側に設けられ、前記第一スプロケットに従動する第二スプロケットと、
当該第二スプロケットに繋がれた錘であって、当該錘は支点を介して垂下することにより前記第二スプロケットを中空に位置するように支持するリテーナ用の錘と、
当該リテーナ用の錘の位置の変化を検知する第一検知手段と、
当該検知手段の検知結果により物品搬送装置の稼働を制御する第一制御手段と
前記リテーナ上の所定区間において当該リテーナ上に嵌合可能な複数の前記蓋が無端状の搬送チェーンに対して、前記リテーナの搬送チェーンにおける間隔より大であって等間隔に配設された蓋コンベアと、
当該蓋コンベアの下側搬送経路の上流又は下流側に設けられ所定の位置に固定された第一蓋スプロケットと、
前記蓋コンベアの下側搬送経路の下流又は上流側に設けられ、前記固定された第一蓋スプロケットと一対で蓋コンベアに噛合する第二蓋スプロケットと、
当該第二蓋スプロケットに繋がれた蓋用の錘であって、当該錘は支点を介して垂下することにより第二蓋スプロケットを中空に位置するように支持する蓋用の錘と、
当該蓋用の錘の位置の変化を検知する第二検知手段と、
当該検知手段の検知結果により物品搬送装置の稼働を制御する第二制御手段と、
前記リテーナコンベアの駆動力を蓋コンベアに伝達する、前記蓋コンベアの下側搬送経路における上流側の第1動力伝達手段と、
前記リテーナコンベアの駆動力を蓋コンベアに伝達する、前記蓋コンベアの下側搬送経路における下流側の第2動力伝達手段と、
を備え、
前記リテーナ用の錘又は蓋用の錘の位置が変化することを、前記第一検知手段又は第二検知手段が検知することによって前記リテーナコンベアの運転を停止する、物品搬送装置のコンベア停止方法。
【背景技術】
【0002】
工業的に食品等を製造する場合において、食品の加工処理や搬送のために無端状の搬送コンベアを用いて物品を搬送する場合は多い。すなわち、コンベアチェーンにリテーナと称される物品を収納する容器を装着して、物品を収納後にこれをコンベア搬送する。
このような物品搬送装置は、例えば、即席麺の製造においてα化後の麺線群をフライ処理する際のフライオイル槽へ浸漬してフライする際に用いられる。
【0003】
リテーナを装着した搬送コンベアを使用する場合においては、コンベアチェーンへの噛み込みや長年の使用によりコンベアチェーンの伸び等の問題が発生する場合がある。このような異常が生じた場合には迅速にコンベアを停止等させて修復する必要がある。
従来までこのようなリテーナを装着した搬送コンベアの異常がある場合においては、駆動部のスプロケットに取り付けられたトルクリミッタや電流値を監視するショックリレーを用いることにより、異常を検知し、搬送コンベアを停止させるインターロック方式が採用されていた。
【0004】
しかし、上述のような方法では、異常を検知することはできるが、検知まで時間がかかるという問題を有していた。このため、異常の検知からコンベアの停止までの時間がかかることになる。異常があれば可能が限り迅速にコンベアを停止等させることが好ましい。
このようなリテーナを装着したコンベアラインにおける異常を迅速に検出しし、搬送コンベアを停止させる等を目的とした先行技術は存在しない。一方、このようなリテーナを用いた物品の搬送装置については例えば、以下の先行技術が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者らは上記のようなリテーナを装着した搬送装置において、異常が生じた場合により迅速に検出し、当該搬送装置を迅速に停止等できる方法を開発することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らの鋭意研究の結果、複数のリテーナが無端状の搬送チェーンに配設された搬送コンベアにおいて、駆動スプロケットに従動する従動スプロケットをウエイト(錘)式のオートテンション機構とし、当該ウエイト(錘)の位置の変化を検知することで搬送装置を停止等させてその稼動を制御する方法が有効であることを見出した。
すなわち、本願第一の発明は、
「物品をリテーナ内に収容し該リテーナを搬送する搬送装置であって、
前記物品を収容可能な複数のリテーナが無端状の搬送チェーンに等間隔に配設されたリテーナコンベアと、
前記リテーナコンベアの上側搬送経路の下流側に設けられ、前記搬送チェーンを駆動するための第一スプロケットと、
前記第一スプロケットを駆動する駆動手段と、
上側搬送経路の上流側に設けられ、前記第一スプロケットに従動する第二スプロケットと、
当該第二スプロケットに繋がれた錘であって、当該錘は支点を介して垂下することにより
前記第二スプロケットを中空に位置するように支持する錘と、
当該錘の位置の変化を検知する検知手段と、
当該検知手段の検知結果により搬送装置の稼働を制御する手段と
を備えた搬送装置。」、である。
【0008】
さらに、本発明においては、請求項1に記載の搬送装置において、リテーナの開口部を所定区間に渡って、蓋を被せることを目的として前述のリテーナ搬送装置を同様の構成を有する蓋に対する搬送装置を設ける場合、当該蓋用の搬送装置においても当該ウエイト(錘)の位置が変化すると、当該錘の位置の変化を検知することで搬送装置を停止等させてその稼動を制御する方法が有効であることを見出した。
【0009】
すなわち、本願第二の発明は、
「請求項1に記載の搬送装置において、当該搬送装置がさらに、
前記リテーナ上の所定区間において当該リテーナ上に載置可能な複数の前記蓋が無端状の搬送チェーンに等間隔に配設された蓋コンベアと、
前記蓋コンベアの下側搬送経路の上流又は下流側に設けられ所定の位置に固定された第一蓋スプロケットと、
上側搬送経路の上流側に設けられ、前記第一スプロケットに従動する第二スプロケットと、当該第二スプロケットに繋がれた錘であって、当該錘は支点を介して垂下することにより第二スプロケットを中空に位置するように支持する錘と、
前記蓋コンベアの下側搬送経路の下流又は上流側に設けられ、前記固定された第一蓋スプロケットと一対で蓋コンベアに噛合する第二蓋スプロケットと、
当該第二蓋スプロケットに繋がれた蓋用の錘であって、当該錘は支点を介して垂下することにより第二蓋スプロケットを中空に位置するように支持する蓋用錘と、
当該蓋用の錘の位置の変化を検知する第二検知手段と、
当該検知手段の検知結果により搬送装置の稼働を制御する第二制御手段を備えた蓋用の搬送装置を、備えた請求項1に記載の搬送装置。」、である。
【0010】
さらに、本願における錘の位置の変化を検知する検知手段としては、前記検知手段がリミットセンサによるものであることが好ましい。
すなわち、本願第三の発明は、
「前記検知手段がリミットセンサによるものである請求項1又は2に記載の搬送装置。」、である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施態様について、以下に図面を参照しながら、本願発明の第一の実施態様について説明する。本発明はこの第一の実施態様に限定されるものではない。
図1は本発明の第一の実施態様の全体構成を示す断面模式図であり、本願第一の実施態様の搬送装置についてその主要な構成について開示している。
本発明の供給装置の第一の実施態様は、食品製造におけるフライ食品の製造のためのフライヤー装置に用いられる搬送装置について記載している。尚、
図1においては、当該搬送装置をフライオイル槽に利用する場合の具体例を示しており、当該フライオイル槽の部分についても開示している。
─搬送装置の全体─
【0014】
本第一の実施形態の搬送装置は、主として
図1に示すように、複数のリテーナが装着されたリテーナコンベア1を有する。尚、本発明においては、当該リテーナコンベア1の上部搬送経路及び下部搬送経路とそれぞれの上流側、下流側を用いて各構成について説明する。
より詳細には、物品を収容可能な複数のリテーナ3がコンベアチェーン5に連結されたリテーナコンベア1と、リテーナコンベア1の搬送チェーン5を案内する上部搬送経路における下流側リテーナコンベア1の第一スプロケット7と、上部搬送経路における上流側の第二スプロケット9を有している。
尚、上述の搬送チェーン5はリテーナ3が複数直列に連なったリテーナ複合体の幅方向に隔てて一対をなして設けられており、各リテーナ複合体は、搬送チェーン5の間に架け渡しされている。ここで、第一スプロケット7は駆動手段11と連結されており、搬送チェーン5に走行力を与えている。
また、第二スプロケット9は、第一スプロケット7に従動するスプロケットである。また、当該第二スプロケット9は、紐状体13によって支点としての第一プーリ15及び第二プーリ17を介して垂下した錘によって支持され中空に(上方に)位置し、オートテンション機構が採用されている。
さらに、当該錘19の部分には錘19の上方部への移動を検知する上限リミットセンサ21が設けられている。さらに、同様に錘の下方部への移動を検知する下限リミットセンサ23が設けられている。以下さらに、具体的に説明する。
─スプロケット─
【0015】
第一スプロケット7は、駆動スプロケットであり駆動手段11に連結されており、本実施形態のリテーナコンベア1に駆動力を与えている。スプロケットの種類は特に限定されず、種々のタイプを利用することができる。次に、第二スプロケット9は、従動スプロケットでありオートテンション機構により載置されている。すなわち、第二スプロケットは、第一プーリ15及び第二プーリ17を介して錘19の重力によって斜め上方向に張力を有し、当該テンションによって、その中空の位置が保持されている。
─ガイドレール─
【0016】
図1に示すように、本第一の実施態様においては、複数の位置においてガイドレール25が設けられている。当該ガイドレール25において、リテーナコンベア1の進行方向が規制されている。尚、当該ガイドレールは、一対のコンベアチェーン5の両端部に対象に設けられている。
図1に示すようにガイドレール25の装着部分で搬送方向を変更させることができる。
─蓋部材又は簡易的な蓋コンベア─
【0017】
本第一の実施態様においては、フライオイル槽に当該搬送装置を用いて麺線群をフライする態様を示しているが、当該フライオイル中への浸漬を担保するために、
図1に示すように当該フライオイル中において、リテーナ3の開口部を閉じる目的で固定された通液性を有する蓋部材27を装着する態様や、簡易的な蓋部を循環させるコンベアを設ける態様でもよい。
─オートテンション装置及びリミットセンサ─
【0018】
本発明の第一の実施態様においては、第二スプロケット9の支持機構について、前述のように、第二スプロケット9は紐状体13を介して錘19に繋がれており、支点としての第一プーリ15及び第二プーリ17を介して垂下した錘19によって支持され中空に(上方に)位置している。このように本発明においえはウエイト式のオートテンション機構を有している。
但し、本発明は上記の実施態様に限定されるものではなく、実質的に錘の重力によってテンションを規定するウエイト式テンションの機構であれば本発明に含まれる。
例えば、錘の重量により第二スプロケットが支持される態様であれば、当該錘が斜面上に載置されている場合においても本発明にいう“垂下した錘”に含まれるものとする。
次に、錘19の上部には、錘の上方部への移動を検知する上限リミットセンサ21が設けられている。さらに、同様に錘の下方部への移動を検知する下限リミットセンサ23が設けられている。
【0019】
ここで、例えばリテーナ3に物品が噛み込んで、コンベアチェーン5が張られた状態になると、第二スプロケット9が下方に牽引されるため、垂下させた錘19が上昇し、錘19の上側のリミットセンサ21に接触し、当該異常を検知する。
一方、コンベアチェーン5の弛み等が生じると、第二スプロケット9が上方に移動するため、垂下させた錘19が下降し、錘19の下側のリミットセンサ23に接触し、当該異常を検知することができる。
リミットセンサ(21及び23)は、制御装置28と連動されており、当該装置を経由して、リテーナコンベア1の動きを停止させる機構が設けられている。このように迅速にリテーナコンベア1における異常を検知し、コンベア1の停止等の制御をすることができる。
【0020】
ここで、リミットセンサとは、当該錘19の変位につき、これを検出するためのセンサーであり、本発明の第一の実施態様の場合、微小なスイッチを封入し、動作検出をアクチュエータの動作を介して作動させる電気スイッチであるリミットスイッチとしている。
本発明では、これによって搬送の停止や搬送速度の低下や位置検出に利用することができる。リミットセンサの種類として、検出部にはプランジャ式(直動式)、ヒンジレバー式、ローラレバー式、ロッドレバー式(ロッド式、スプリングロッド式)、フォークレバー式、重錘式などがあり、これらのいずれも使用できることは勿論である。尚、本第二の実施態様においては、ローラレバー式のリミットセンサを用いている。
尚、本発明の第一の実施態様においては錘19の位置の変化をリミットセンサにより検知する手段を開示しているが、リミットセンサ以外の他のセンサ(赤外線センサ等)を用いてもよいことは勿論である。錘の位置の変化を迅速に検出する検知手段であればよいことは勿論である。
─フライ装置の説明─
【0021】
図1に示すようにリテーナ3には、麺線群が投入され、当該リテーナ3がフライオイル内に進入して所定時間のフライを行い、フライ槽から脱出し、フライ後の麺塊を含んだリテーナ3が180°回転されてフライ後の麺塊が取り出される。また、本実施態様においては即席麺の製造工程で用いられるフライ装置の例を示しているが、本発明の搬送装置はフライ装置に限定されないことは勿論である。
また、本発明の第一の実施態様は、これに限定されるものではなく、例えば、特開2013−215146に開示される、リテーナ3をフライ槽から脱出後に直ちに回転させるようなタイプの搬送装置であってもよい。
次に、第二の実施態様について説明する。
図2は本願発明の第二実施態様について示したしたものである。
【0022】
図2の本願の第二の実施態様は、本発明の第一の実施態様の搬送装置における所定の区間の複数リテーナに対して、その上部に載置される蓋部の搬送装置を追加したタイプの搬送装置に関するものである。そして、リテーナ搬送装置、蓋搬送装置のそれぞれの搬送装置において、一方のスプロケットが錘によって中空に支持されておりオートテンション機構が採用されている。また、当該蓋用又はリテーナ用の錘に対してその位置の変化を検知する検知手段がそれぞれ設けられている。
以下に当該構成を詳しく説明する。
【0023】
図2の搬送装置は物品をリテーナ3に収容し該リテーナ3上に蓋31を嵌合した状態で該物品を所定区間、搬送する搬送装置である。特に所定区間のリテーナ3の開口部に対してそれぞれ蓋31を被せて搬送するタイプである。
まず、下方部のリテーナコンベア1は、第一の実施態様と同様に物品を収容可能な複数のリテーナ3が無端状の搬送チェーン5に等間隔に配設されている。また、当該搬送チェーンを駆動するための第1リテーナスプロケット7が当該リテーナのリテーナコンベア1の上側搬送経路の下流側に設けられている。次に、第1リテーナスプロケットを駆動する駆動手段11が別途設けられている。
【0024】
次に、上側搬送経路の上流側には、第2リテーナスプロケット9が設けられている。当該第二リテーナスプロケット9は前記第1リテーナスプロケット7に従動し、当該第二リテーナスプロケット9は所定重量のリテーナ用の錘19を、支点を介して垂下させることにより中空に支持されている。
また、前記リテーナ用の錘19の位置の変化を検知するために前述のように上限リミットセンサ21及び下限リミットセンサ23を有する検知手段(第一検知手段)が設けられており、当該検知手段による検知結果により搬送装置の稼働を制御する第一制御装置34が設けられている。
【0025】
次に、上方側の蓋コンベア20については、前記のリテーナ3上に載置可能である複数の蓋31が無端状の搬送チェーン35に等間隔に配設されている。
所定の区間においてリテーナ3上に蓋31が載置されるが、当該区間において蓋31が被さる状態を下方より支えるため、リテーナコンベア1の下部に上記区間に渡るガイドレール37が設けられている。
当該蓋コンベア20の下側搬送経路の下流側には、第1蓋コンベアスプロケット39が設けられており、所定の位置に固定さている。
蓋コンベア20の下側搬送経路の上流側に設けられ、前記固定された第一蓋スプロケット39と一対で蓋コンベアチェーン33に噛合する第二蓋スプロケット41が設けられている。
【0026】
当該第二蓋スプロケット41は所定重量の蓋用の錘38を、支点を介して垂下させることにより中空に支持されている。当該錘38の位置の変化を検知する上限リミットセンサ43及び下限リミットセンサ45を有する第二検知手段が設けられている。さらに、当該検知手段の検知結果により搬送装置の稼働を制御する第二制御装置46が設けられている。
次に、本発明の第二の実施態様においては、蓋コンベア20には動力部としての駆動手段には接続されておらず、蓋コンベア20の稼働については、リテーナ3と蓋31が嵌合する際に当該リテーナコンベア1の駆動力を蓋コンベア20に伝達する、蓋コンベア20の下方搬送経路における上流側の第1動力伝達手段49と下流側の第2動力伝達手段51が設けられている。
【0027】
上流側の第1動力伝達手段については、具体的には、
図3及び
図4に示すように、蓋コンベア20の下部搬送経路の上流側に設けられており、一本の回転軸57に装着された2種類のスプロケット(53及び55)から構成されている。尚、当該スプロケット群は、回転軸57の両方の端部において一対になるように装着されている。
図3に示す上流側の第1伝達駆動手段49は、上流側のリテーナコンベアスプロケット53と上流側の蓋コンベアスプロケット55を同心同位相で固定する共通回転軸57から構成されている。
【0028】
これによってリテーナコンベア1の搬送チェーン5に噛合して従動回転する上流側リテーナコンベアスプロケット53の回転力が、上流側蓋コンベアスプロケット55を介して蓋コンベア20が駆動される。つまり、リテーナコンベア1の搬送チェーン5の駆動力が上流側リテーナコンベアスプロケット53、共通回転軸57、上流側蓋コンベアスプロケット55、蓋コンベア20の搬送チェーン35の順に伝達されることになる。
【0029】
また、蓋コンベア20の下方搬送経路の下流側の動力伝達手段51においても上記と同様にリテーナコンベア1の搬送チェーンの駆動力が蓋コンベア20に伝達される。
上記の動力伝達の方法については、一例であって本発明が上記実施態様に限定されるものではない。種々の変形が可能であることは言うまでもない。例えば、コンベアチェーンを誘導するガイドレーンを適宜設け、リテーナに蓋部を順次、嵌合させる態様とすることによって、当該リテーナのコンベア1の搬送チェーン5の駆動力を蓋コンベア20に伝達するような態様であってもよい。
【0030】
本発明の第二の実施態様においては、蓋コンベア20の下方搬送経路における第一動力伝達手段49から第二動力伝達手段51までの区間において、リテーナ3に蓋31が被せられた状態となっている。
さらに、本発明の第二の実施態様においては、
図4に示すように蓋コンベア20の複数の蓋31同士の配設区間がリテーナコンベア1の複数のリテーナ3同士の配設区間よりもわずかであるが、1.002の比率で大きくされている。尚、
図4ではこの点を誇張して表現している。
【0031】
但し、わずかな配設区間の差であるため、上述のリテーナコンベアスプロケット53及び蓋コンベアスプロケット55の噛合の際、リテーナコンベア1の搬送チェーン5の単位時間当たりの走行長よりも、上流側の蓋コンベアスプロケット55による搬送チェーンの単位時間当たりの走行長を上述と同じ1.002の比率で大きくすることができる。
また、蓋コンベア20の下方搬送経路の下流側の動力伝達駆動手段51においても同様にリテーナコンベア1の搬送チェーン5の単位時間当たりの走行長よりも、上流側の蓋コンベアスプロケット55による搬送チェーン33の単位時間当たりの走行長を上述と同じ1.002の比率で大きくすることができる。尚、この比率は、1.002に限定されるものではなく、1より大きく、1.01以下であれば好適である。
このように、本発明の第二の実施態様においては、上流側の第1動力伝達手段49及び下流側の第二動力伝達手段51を設けているので、第一リテーナスプロケット7に対する駆動力によってリテーナコンベア1のみならず蓋コンベア20も駆動することができる。
これによって、第1リテーナスプロケットに対する駆動力の経時変化によって両コンベアの同期が損なわれることもない。安定して両コンベアの稼働を継続することができる。
また、リテーナ3と蓋31が嵌合する区間において、蓋コンベア20の搬送チェーン33をリテーナコンベア1の搬送チェーン5よりも僅かに弛ませた状態で各リテーナ3に蓋31を被せて各リテーナ内の物品を搬送する。これによって、リテーナ3と蓋31の嵌合を容易にしている。
【0032】
当該第二の実施態様の構成を採用する場合において、リテーナ3の上部にリテーナごとに蓋31を被せる形態を採用する場合においては、蓋31とリテーナ3の間の嵌合がずれたり、搬送する物品がリテーナ3と蓋31との間に噛み込んだりする異常発生の場合が想定することができる。このように、前記の第一の実施態様の場合に比べてコンベア搬送の稼働時にトラブルが起きる蓋然性も多少大きくなる。
本発明の第二の実施態様に示した搬送装置であると、リテーナ3の搬送のためのリテーナコンベア1及び蓋の搬送のための蓋コンベア20のいずれに対しても、それぞれ、一方のスプロケットを支持する垂下させた錘(19又は38)に対してその位置の変化を検知する手段と、当該検知結果により搬送装置の稼働を制御する手段を設けている。
すなわち、異常が発生した場合、リテーナコンベア1又は蓋コンベア20のスプロケット支持のために垂下している錘の位置のいずれかが変動するため、当該錘の位置変動を迅速に検知して、各コンベアの稼働を迅速に停止等させることができ、被害を最小限にすることができる。
【0033】
このように、リテーナコンベア1、蓋コンベア20のいずれの対しても、錘(19、38)の位置の変化を検知する第一検知手段及び第二検知手段を設け、当該検知手段による検知結果により搬送装置の稼働を制御する第一及び第二制御手段(34、46)を設けることで異常に対して迅速に対応することができる。
─その他の本第二実施形態の変形例─
【0034】
本第二の実施態様に示したリテーナ部と蓋部の搬送コンベアを含むタイプにおいては、特に上述の具体的な構成に限定されることはない。
例えば、リテーナ3と蓋部31の嵌合の状態についても種々の態様を選択できる。すなわち、蓋31の被せる領域についても種々選択することが可能である。また、本発明の第二の実施態様においては、蓋31同士の配設区間をリテーナ3同士の配設区間よりも僅かに大きくする場合について示しているが、当該リテーナ3間と蓋31間の配設区間は同じであってもよいことは勿論である。
次に、蓋コンベア20について、本発明の第二の実施態様では、第一蓋スプロケット39について固定しているが、当該スプロケット39についても第二蓋スプロケット41と同様に錘を垂下させる態様とし、当該錘の変動を検知できるように第三の検知装置を設けてもよい。
【0035】
さらに、本第二の実施態様においては、リテーナコンベア1の搬送力を蓋コンベア20に対して伝達するために、上流側の第一動力伝導手段49及び下流側の第二動力伝導手段51を用いる方法を示しているが、このような動力伝達手段を用いずに、例えば、蓋コンベア20を所定のガイドレールを用いてリテーナコンベア1に近接させて載置・嵌合させて、当該嵌合した状態でリテーナ3を搬送することで、リテーナコンベア1の搬送の駆動力を蓋コンベア20に伝達することで蓋コンベア20に駆動力を与えるような構成であってもよい。
【0036】
また、本第二の実施態様においては、蓋コンベア20には固有の動力部を有していないが、第一蓋コンベアスプロケット39に対して、これを駆動する駆動手段を連結させる方法も可能である。また、第二蓋スプロケット41を駆動させて39を中空に保持させてその位置の変化をリミットセンサ等で検知する方法であってもよい。