(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
組み込み可能な触媒として使用された化合物が、前記イソシアネートに対して反応性の基に加えて、1つ以上の第3級脂肪族アミノ基を有する請求項1または2記載の方法。
1つ以上の第3級脂肪族アミノ基が、互いに独立して、メチル及びエチル部分から選択される2つの部分を持ち、また、もう1つの有機部分も持つ請求項6に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは、多用途であり、例えば、家具工業においてシートクッション及びパーティークルボードのバインダーとして、建設業において絶縁材として、例えばパイプ、温水タンク及び冷蔵庫用の絶縁材として、並びに、例えば自動車製造業において被覆部品として使用される。特に、ポリウレタンは、自動車製造業で、例えば自動車の外装材料においてスポイラー、ルーフ要素及びスプリンギング要素として、並びに、自動車の内装材料においてルーフ被覆材、カーペット裏地フォーム、ドア被覆材、ステアリングリング、操作ノブ及びシートクッションとしてよく使用される。
【0003】
これに関して、ポリウレタンが、不快な匂い、又は高濃度の場合に健康関連問題をもたらす有機物を排出する傾向があることは公知である。ここで、例えば建物の内部又は自動車などの車両の内部の密閉空間は、特に影響を及ばれる。これらの排出の例としては、アルデヒド排出である。これらのアルデヒド排出を還元するために、様々な試みは行われた。
【0004】
例えば、EP 1428847は、アルデヒド排出が第1及び/又は第2アミノ基を有する高分子物質をその後に添加することにより還元されることを開示する。排出が還元された原因は、ポリマー中のアミン基である。それらは、イソシアネート反応性であり、かつ、イソシアネートとの反応により大きく不活性化されるので、高分子の活性成分は、既に製造されたフォームに提供されるべきである。ここで、欠点は、フォームの後処理のさらなる工程を有する複雑なプロセスである。圧縮系又は独立気泡フォームに使用される可能性がない。
【0005】
US 2006/0141236は、ヒドラジン化合物をアルデヒド捕捉剤としてポリウレタンに使用する方法を開示する。この場合、活性物質は、ポリオール成分に直接に入れられる。しかしながら、ヒドラジン及びヒドラジン誘導体は、触媒活性を有し、ポリウレタン反応に影響を与える可能性がある。さらに、アルデヒド排出における還元の低レベル(約60%)だけが得られる。
【0006】
US 20130203880は、ポリヒドラゾジカーボンアミドをアルデヒド排出の還元用物質としてポリウレタンフォームに使用する方法を開示する。しかしながら、添加されるポリヒドラゾジカーボンアミドの量がポリオール成分の2質量%〜5.5質量%である程度大きい時のみ、顕著な還元は実現される。同様に、ポリヒドラゾジカーボンアミドが触媒特性を有するので、反応プロフィールは、この重要な順番でこの物質の添加により変更される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明により、ポリウレタンという用語は、全ての既知のポリイソシアネート重付加(polyaddition)生成物を含む。これらは、イソシアネート及びアルコールの付加物を含み、また、イソシアヌレート構造、アロファネート構造、尿素構造、カルボジイミド構造、ウレトンイミン構造、ビウレット構造及び他のイソシアネート付加物を含み得る変性ポリウレタンも含む。特に、これらの本発明のポリウレタンは、圧縮ポリイソシアネート重付加生成物、例えば熱硬化性樹脂、ポリイソシアネート重付加生成物をベースとするフォーム、例えば可撓性フォーム、半硬質フォーム、硬質フォーム及び一体フォーム、並びに、ポリウレタンのコーティング及びバインダーを含む。さらに、本発明により、ポリウレタンという用語は、ポリウレタン及び他のポリマーを含むポリマーブレンド、並びに、前記ポリマーブレンドからなるフォームを含む。好ましくは、本発明のポリウレタンは、下記のポリウレタンユニット(a)〜(g)以外のポリマーを含まないポリウレタンフォーム又は圧縮ポリウレタンである。
【0011】
本発明のために、ポリウレタンフォームという用語はDIN 7726によるフォームを使用する。ここで、DIN 53 421/DIN EN ISO 604に従って本発明の可撓性ポリウレタンフォームを10%圧縮する圧縮応力値又は圧縮強度は、15kPa以下、好ましくは1kPa〜14kPa、特に4kPa〜14kPaである。DIN 53 421/DIN EN ISO 604に従って本発明の半硬質ポリウレタンフォームを10%圧縮する圧縮応力値は、15kPaを超えるから80kPa未満までである。DIN ISO 4590に従って、本発明の半硬質ポリウレタンフォーム及び可撓性ポリウレタンフォームの連続気泡因子(open-cell factor)は、好ましくは85%を超え、特に好ましくは90%を超える。本発明の可撓性ポリウレタンフォーム及び半硬質ポリウレタンフォームに関する他の詳細は、「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック],第7巻,Polyurethane[ポリウレタン]」,Carl Hanser Verlag,1993年第3版,第5章に見出される。
【0012】
本発明の硬質ポリウレタンフォームを10%圧縮する圧縮応力値は、80kPa以上、好ましくは120kPa以上、特に好ましくは150以上である。さらに、DIN ISO 4590に従って、本発明の硬質ポリウレタンフォームの独立気泡因子(closed-cell factor)は、80%を超え、好ましくは90%を超える。本発明の硬質ポリウレタンフォームに関する他の詳細は、「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック],第7巻,Polyurethane[ポリウレタン]」,Carl Hanser Verlag,1993年第3版,第6章に見出される。
【0013】
本発明のために、DIN 7726に従って、エラストマーポリウレタンフォームという用語は、DIN 53 577に従って厚さを50%まで短時間変形する後の10分後にそれらの最初の厚さの2%を超える残留変形を示さないポリウレタンフォームを指す。これは、硬質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム又は可撓性ポリウレタンフォームにも適用し得る。
【0014】
一体ポリウレタンフォームは、DIN 7726に従って、成形加工の結果としてコアより高い密度を有する辺縁ゾーン(marginal zone)を有するポリウレタンフォームである。ここで、好ましくは、コアゾーン及び辺縁ゾーンを渡って全体の平均見掛け密度(apparent density)は100g/Lを超える。また、本発明のための一体ポリウレタンフォームは、硬質ポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム又は可撓性ポリウレタンフォームであり得る。本発明の一体ポリウレタンフォームに関する他の詳細は、「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック],第7巻,Polyurethane[ポリウレタン]」,Carl Hanser Verlag,1993年第3版,第7章に見出される。
【0015】
ここで、本発明のポリウレタンは、(a)ポリイソシアネートが、(b)イソシアネートに対して反応性の基を有する高分子化合物、任意に(c)触媒、(d)CH−酸性化合物、並びに、任意に(e)発泡剤、(f)鎖延長剤及び/又は架橋剤、及び(g)補助剤及び/又は添加剤と混合されて反応混合物を提供し、反応を完結させることにより得られる。
【0016】
好ましい実施態様において、ここで、本発明のポリウレタンは、20g/L〜850g/Lの平均密度を有するポリウレタンフォーム、好ましくは半硬質ポリウレタンフォーム、可撓性ポリウレタンフォーム又は硬質ポリウレタンフォーム、特に好ましくはエラストマーポリウレタンフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム又はエラストマーの一体ポリウレタンフォームである。好ましくは、コアゾーン及び辺縁ゾーンを渡ってエラストマーの一体ポリウレタンフォーム全体の平均見掛け密度は150g/L〜500g/Lである。好ましくは、可撓性ポリウレタンフォームの平均密度は10g/L〜100g/Lである。好ましくは、半硬質ポリウレタンフォームの平均密度は70g/L〜150g/Lである。
【0017】
他の好ましい実施態様において、ポリウレタンは、850g/L以上、好ましくは900g/L〜1400g/L、特に好ましくは1000g/L〜1300g/Lの密度を有する圧縮ポリウレタンである。ここで、圧縮ポリウレタンは、発泡剤を添加しないで得られる。ここで、製造工程の生成物としてポリオールに含まれた少量の発泡剤(例えば水)は発泡剤と見なされない。好ましくは、圧縮ポリウレタンの製造用の反応混合物は、0.2質量%未満、好ましくは0.1質量%未満、特に0.05質量%未満の水を含有する。
【0018】
ここで、好ましくは、本発明のポリウレタンは、輸送手段、例えば船、航空機、トラック、車又はバス、好ましくは車又はバス、特に車の内部に使用される。以下、自動車内部という用語は、車又はバスの内部に使用される。ここで、可撓性ポリウレタンフォームをシートクッションとして、半硬質ポリウレタンフォームを側ドア要素又はインストルメントパネルのフォーム裏地(foam backing)として、一体ポリウレタンフォームをハンドル(steering wheel)、操作ノブ(control knob)又はヘッドレストとして、圧縮ポリウレタンを例えばケーブルシース(cable-sheathing)として使用することは可能である。
【0019】
本発明のポリウレタンの製造に使用されるポリイソシアネート成分(a)は、ポリウレタンの製造に公知である任意のポリイソシアネートを含む。これらは、先行技術から知られた脂肪族、脂環式及び芳香族の二価又は多価イソシアネート、並びに、それらの任意の混合物を含む。例としては、ジフェニルメタン2,2’−、2,4’−及び4,4’−ジイソシアネート、単量体ジフェニルメタンジイソシアネートと大量の環状構造を有するジフェニルメタンジイソシアネート同族体(ポリマーMDI)との混合物、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びそのオリゴマー、トリレン2,4−及び2,6−ジイソシアネート(TDI)及びそれらの混合物、テトラメチレンジイソシアネート及びそのオリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びそのオリゴマー、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、並びに、それらの混合物が挙げられる。
【0020】
好ましくは、トリレン2,4−及び/又は2,6−ジイソシアネート(TDI)又はそれらの混合物、単量体ジフェニルメタンジイソシアネート、及び/又は大量の環状構造を有するジフェニルメタンジイソシアネート同族体(ポリマーMDI)、並びに、それらの混合物の使用である。他の可能なイソシアネートは、例えば、「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック],第7巻,Polyurethane[ポリウレタン]」,Carl Hanser Verlag,1993年第3版,第3.2章及び第3.3.2章に記載れる。
【0021】
ポリイソシアネート成分(a)はポリイソシアネートプレポリマーの形態で使用される。これらのポリイソシアネートプレポリマーは、過量の上記ポリイソシアネート(成分(a−1))を、例えば30〜100℃、好ましくは80℃の温度で、イソシアネートに対して反応性の基を有する高分子化合物(成分(a−2))と、及び/又は鎖延長剤(成分(a−3))と反応させてイソシアネートプレポリマーを提供することにより得られる。
【0022】
イソシアネートに対して反応性の基を有する高分子化合物(a−2)及び鎖延長剤(a−3)は、当業者に公知であり、例えば「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック],第7巻,Polyurethane[ポリウレタン]」,Carl Hanser Verlag,1993年第3版,第3.1章に記載されている:例えば、イソシアネートに対して反応性の基を有する下記の高分子化合物(b)をイソシアネートに対して反応性の基を有する高分子化合物(a−2)として使用することも可能である。
【0023】
少なくとも2つのイソシアネートに対して反応性の水素原子を有し、例えば2〜8の官能価及び400g/mol〜15000g/molの数平均モル質量を有する任意の既知の化合物を、イソシアネートに対して反応性の基を有する高分子化合物(b)として使用することは可能である:例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びそれらの混合物からなる群から選択された化合物を使用することは可能である。
【0024】
ポリエーテルオールは、例えば、触媒を用いて、エポキシド、例えばプロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシドから、又は水素活性を示す出発化合物、例えば脂肪族アルコール、フェニル、アミン、カルボン酸、水、又はスクロース、ソルビトール若しくはマンニトールのような天然物質をベースとする化合物を有するテトラヒドロフランから製造される。ここで、前記触媒は、例えばPCT/EP2005/010124、EP 90444又はWO 05/090440に記載されるように、塩基性触媒及び複金属シアン化物触媒からなってもよい。
【0025】
ポリエステルオールは、例えば、好ましくはエステル化触媒の存在下で、脂肪族又は芳香族ジカルボン酸、並びに、多価アルコール、ポリチオエーテルポリオール、ポリエステルアミド、水酸化ポリアセタール、及び/又は水酸化脂肪族ポリカーボネートから製造される。他の可能なポリオールは、例えば「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック],第7巻,Polyurethane[ポリウレタン]」,Carl Hanser Verlag,1993年第3版,第3.1章に記載されている。
【0026】
上記のポリエーテルオール及びポリエステルオールに加えて、使用される他の材料は、ポリマーポリエーテルオール又はポリマーポリエステルオールとも称され、充填剤を含有するポリエーテルオール又はポリエステルオールである。好ましくは、これらの化合物は、例えば、アクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、及び/又はアクリルアミド等のオレフィン系モノマーからなる熱可塑性物質製の分散粒子を含む。これらの充填剤を含むポリオールは、公知であり、且つ、市販されている。これらの製造方法は、例えば、DE 111 394、US 3 304 273、US 3 383 351、US 3 523 093、DE 1 152 536、DE 1 152 537 WO 2008/055952及びWO 2009/128279に記載されている。
【0027】
本発明の特に好ましい実施態様において、成分(b)は、ポリエーテルオールを含み、より好ましくはポリエステルオールを含まない。
【0028】
触媒(c)は、ポリオール(b)と、任意に鎖延長剤及び架橋剤(f)と、有機物を有する化学発泡剤(e)と、任意に変性ポリイソシアネート(a)との反応を大幅に加速する。ここで、触媒(c)は組み込み可能な(incorporable)アミン触媒を含む。これらは、少なくとも1個、好ましく1個〜8個、特に好ましくは1個〜2個のイソシアネートに対して反応性の基、例えば第1級アミン基、第2級アミン基、ヒドロキシ基、アミド又は尿素基、好ましくは第1級アミン基、第2級アミン基又はヒドロキシ基を有する。主に、組み込み可能なアミン触媒は、特に自動車内部セクターで使用される低排出ポリウレタンの製造に使用される。これらの触媒は、公知であり、例えばEP1888664に記載される。これらは、好ましくは、イソシアネートに対して反応性の基に加えて、1つ以上の第3級アミノ基を含む化合物を含む。好ましくは、組み込み可能な触媒の第3級アミノ基の少なくとも1つは、少なくとも2つの脂肪族の炭化水素部分(好ましくは1部分当たり1個〜10個の炭素原子を有し、特に好ましくは1部分当たり1個〜6個の炭素原子を有する)を有する。特に好ましくは、第3級アミノ基は、メチル及びエチル部分から選択される互いに独立する2つの部分を有し、他の有機部分も有する。使用される組み込み可能な触媒の例は、ビスジメチルアミノプロピル尿素、ビス(N,N−ジメチルアミノエトキシエチル)カルバメート、ジメチルアミノプロピル尿素、N,N,N−トリメチル−N−ヒドロキシエチルビス(アミノプロピルエーテル)、N,N,N−トリメチル−N−ヒドロキシエチルビス(アミノエチルエーテル)、ジエチルエタノールアミン、ビス(N,N−ジメチル−3−アミノプロピル)アミン、ジメチルアミノプロピルアミン、3−ジメチルアミノプロピル−N,N−ジメチルプロパン−1,3−ジアミン、ジメチル−2−(2−アミノエトキシエタノール)、1,3−ビス(ジメチルアミノ)プロパン−2−オル、N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン、ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−ヒドロキシエチルアミン、N,N,N−トリメチル−N−(3−アミノプロピル)ビス(アミノエチルエーテル)、3−ジメチルアミノイソプロピルジイソプロパノールアミン、及びそれらの混合物である。
【0029】
また、組み込み可能なアミン触媒に加えて、従来の触媒を使用してポリウレタンを製造することは可能である。前記従来の触媒は、アミジン、例えば2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、第3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N−メチル−、N−エチル−及びN−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)尿素、ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−アザビシクロ[3.3.0]オクタン、好ましくは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタ
ンである。また、有機金属化合物、好ましくは有機スズ化合物、例えば、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば酢酸スズ(II)、オクトエートスズ(II)、エチルヘキサンスズ(II)及びラウリン酸スズ(II)、有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えば二酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ及び二酢酸ジオクチルスズ、並びに、カルボン酸ビスマス、例えばネオデカン酸ビスマス(III)、2−エチルヘキサンビスマス及びオクタン酸ビスマス、又はそれらの混合物の使用は可能である。有機金属化合物は、単独で、又は好ましくは強塩基性アミンと組み合わせて使用される。成分(b)がエステルを含む場合、好ましくはアミン触媒のみを使用することである。特に好ましい実施態様において、使用される触媒(c)は組み込み可能な触媒のみを含む。
【0030】
触媒(c)が使用される場合、それらは、例えば、成分(b)の質量に基づいて、0.001質量%〜5質量%、特に0.05質量%〜2質量%の濃度で、触媒として、又は、それぞれに、触媒の組み合わせとして使用される。
【0031】
用いられた成分(d)は、1つ以上の一般式R
1−CH
2−R
2のCH−酸性化合物である。ここで、CH
2基の酸性度は、2つの電子求引性部分R
1及びR
2により生成される。部分R
1及びR
2が、それぞれに独立して、一般式−C(O)−R
3又は−CN(式中、部分R
3は、−NH
2、−NH−R
4、−NR
5R
6、OR
7又はR
8から選択される)の部分である場合、一般式R
1−CH
2−R
2の化合物はCH−酸性化合物である。ここで、部分R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、独立して、置換してもよい脂肪族、芳香脂肪族又は芳香族の炭化水素からなる群から選択される。ここで、R
1及び/又はR
2は、好ましくは−CN又は−C(O)−R
3(式中、R
3が−NH−R
4、−NR
5R
6、OR
7又はR
8である)、より好ましくは−CN又は−C(O)−R
3(式中、R
3が−NR
5R
6、OR
7又はR
8である)、最も好ましくは−CN、OR
7又はR
8である。好ましくは、部分R
1及びR
2が−CN基である。水中で25℃で本発明の成分(d)のpKaは、好ましくは0.5〜16、より好ましくは8〜14.0、最も好ましくは8〜13.5である。
【0032】
好ましくは、いずれの場合にも、互いに独立する部分R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、1個〜15個、好ましくは2個〜10個の炭素原子(置換を有してもよい)を有する脂肪族炭化水素からなる群から選択される。好ましくは、その場合には、置換基は、イソシアネート反応性水素原子を有利に含有するイソシアネート反応性基の1つ以上である。イソシアネート反応性であるこの種類の基は、例えば、好ましくはイソシアネート反応性基であると見なされないカルボン酸基又はカルボン酸アミド基を有する−OH、−NH−又は−NH
2基であってもよい。イソシアネート反応性基として特に好ましくは、1つ以上のOH基、特に好ましくは1つのOH基である。R
3が−NH
2又は−NHR
4である場合、−NH
2又は−NHR
4基は、部分R
4がOH、−NH−又は−NH
2基を有する部分である場合を除き、イソシアネート反応性基であると見なされない。
【0033】
他の好ましい実施態様において、R
3は、−NH
2、−NH−CH
3、−OCH
3、−N(CH
3)
2、−NH−(C
2H
4)−OH又は−CH
2−C(O)O−CH
3、好ましくは−NH−CH
3、−OCH
3、−N(CH
3)
2、−NH−(C
2H
4)−OH又は−CH
2−C(O)O−CH
3、より好ましくは−OCH
3、−N(CH
3)
2又は−CH
2−C(O)O−CH
3である。成分(d)として特に好ましくは、1,3−アセトンジカルボン酸ジメチル、N−メチルアセトアセタミド、N,N−ジメチルアセトアセタミド、2−シアノアセトアセタミド、シアノ酢酸メチル、2−シアノ−N−(2−ヒドロキシエチル)アセタミド及びメチル−2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)エタノール、より特に2−シアノ−N−(2−ヒドロキシエチル)アセタミド及びメチル−2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)エタノールである。
【0034】
CH−酸性化合物(d)の分子量は、好ましくは250g/molを超え、より好ましくは300g/molを超え、より特に350g/molを超える。これは、特にCH−酸性化合物(d)がイソシアネート反応性基を含有しない場合である。これらの化合物は、好ましくは1個を超え、より好ましくは2個〜5個、より特に3個又は4個のCH−酸性基を有する。このような化合物の例は、より特に2:3の分子比でのマロン酸とジオールとの反応生成物、例えばジエチレングリコール、又はトリアセト酢酸トリメチロールプロパン、より特にトリアセト酢酸トリメチロールプロパンが挙げられる。
【0035】
本発明のために使用された成分(d)の量は、成分(a)〜(f)の総質量に基づいて、好ましくは0.01質量%〜5質量%、特に好ましくは0.05質量%〜2質量%、特に0.1質量%〜1質量%である。
【0036】
目的は本発明のポリウレタンがポリウレタンフォームの形態を選ぶことである場合、本発明の反応混合物は発泡剤(e)も含む。ここで、ポリウレタンの製造に公知である任意の発泡剤を使用しることは可能である。これらの発泡剤は化学的及び/又は物理的発泡剤を含み得る。これらの発泡剤は、例えば、Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック],第7巻,Polyurethane[ポリウレタン]」,Carl Hanser Verlag,1993年第3版,第3.4.5章に記載されている。ここで、化学的発泡剤という用語は、イソシアネートとの反応により気体生成物を生成する化合物を意味する。これらの発泡剤の例は水及びカルボン酸である。物理的発泡剤という用語は、ポリウレタン製造反応用の出発物質に溶解又は乳化され、ポリウレタンを生成する条件下で蒸発する化合物を意味する。これらの発泡剤の例は、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、並びに、他の化合物、例えばペルフルオロヘキサン及びクロロフルオロカーボン等のペルフルオロ化アルカン、エーテル、エステル、ケトン、アセタール及び/又は液体の二酸化炭素である。発泡剤は、好ましくは、生成のポリウレタンフォームの密度が10g/L〜850g/L、好ましくは20g/L〜800g/L、特に25g/L〜500g/Lであるような量で使用される。特に好ましくは、水を含有する発泡剤の使用である。
【0037】
ここで、使用される鎖延長剤及び架橋剤(f)は、少なくとも2つのイソシアネートに対して反応性の基を有する400g/mol未満の分子量の化合物であり得る。ここで、鎖延長剤という用語は、イソシアネートに対して反応性の水素原子の2つを有する分子に使用される。ここで、架橋剤という用語は、2つを超えるイソシアネートに対して反応性の水素原子を有する分子に使用される。しかしながら、ここで、鎖延長剤又は架橋剤を除くことも可能である。ただし、鎖延長剤、架橋剤、又は任意にそれらの混合物の添加は、機械的特性(例えば、硬度)の変更に有利であることを証明し得る。
【0038】
鎖延長剤及び/又は架橋剤(f)が使用される場合、使用方法はポリウレタン製造に公知である鎖延長剤及び/又は架橋剤からなってもよい。好ましくは、これらは、イソシアネートに対して反応性の官能基を有する低分子量化合物、例えばグリセロール、トリメチロールプロパン、グリコール及びジアミンである。他の可能な低分子量鎖延長剤及び/又は架橋剤は、例えば、Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック],第7巻,Polyurethane[ポリウレタン]」,Carl Hanser Verlag,1993年第3版,第3.2章及び第3.3.2章に記載される。
【0039】
さらに、補助剤及び/又は添加剤(g)の使用は可能である。ここで、ポリウレタンの製造に公知である任意の補助剤及び添加剤の使用は可能である。上記は、例えば、表面活性物質、泡安定剤、セル調節剤、離型剤、充填剤、染料、顔料、難燃剤、加水分解安定剤、静真菌性物質及び静菌性物質からなってもよい。これらの物質は、公知であり、例えばKunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック],第7巻,Polyurethane[ポリウレタン]」,Carl Hanser Verlag,1993年第3版,第3.4.4章及び第3.4.6章〜第3.4.11章に記載される。
【0040】
一般的には、本発明のポリウレタンの製造に使用されるポリイソシアネート(a)、ポリオール(b)、CH−酸性化合物(d)、並びに、使用される場合、発泡剤(e)及び鎖延長剤及び/又は架橋剤(f)は、ポリイソシアネート(a)のNCO基と、成分(b)、(c)、(d)、並びに、任意に(e)及び(f)の反応性水素原子の総数との当量比が0.75〜1.5:1、好ましくは0.80〜1.25:1であるような量で使用される。通常、発泡プラスチックが少なくとも複数のイソシアヌレート基を含む場合、ポリイソシアネート(a)のNCO基と、成分(b)、(c)、(d)、並びに、任意に(e)及び(f)の反応性水素原子の総数との当量比は、1.5〜20:1、好ましくは1.5〜8:1である。ここで、1:1の比は、100のイソシアネート指数に相当する。
【0041】
熱可塑性ポリウレタン、可撓性フォーム、半硬質フォーム、硬質フォーム又は一体フォームの形態の本発明のポリウレタンの製造に用いられる個々出発物質(a)〜(g)の間の質量及び質的差異は小さい:例えば、圧縮ポリウレタンの製造が発泡剤を使用しなく、好ましくは熱可塑性ポリウレタンが二官能性出発物質を厳格に使用する。さらに、例えば、少なくとも2つの反応性水素原子を有する比較的高い分子量化合物の官能価及び鎖長により、本発明のポリウレタンの弾性及び硬度を変えることは可能である。これらの変更(modifications)は当業者に公知である。
【0042】
圧縮ポリウレタンの製造用の出発物質は、例えばEP 0989146又はEP 1460094に記載され、可撓性フォームの製造用の出発物質は、例えばPCT/EP2005/010124及びEP 1529792に記載され、半硬質フォームの製造用の出発物質は、例えば「Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック],第7巻,Polyurethane[ポリウレタン]」,Carl Hanser Verlag,1993年第3版,第5.4章に記載され、硬質フォームの製造用の出発物質はPCT/EP2005/010955に記載され、一体フォームの製造用の出発物質はEP 364854、US 5506275又はEP 897402に記載される。したがって、いずれの場合にも、CH−酸性化合物(d)は前記文献に記載の出発物質に添加される。
【0043】
本発明は、本発明の方法だけでなく、本発明の方法により得られるポリウレタンも提供する。好ましくは、本発明のポリウレタンは、密閉空間に、例えば、パイプ及び冷蔵庫用の断熱体のような断熱材として住宅に、例えば装飾体又はシートクッションとして家具製造に、並びに、例えばハンドル、ダッシュボード、ドア被覆材(door cladding)、カーペット裏地フォーム、吸音フォーム、例えば天井張り(roof linings)及びヘッドレスト、又は調節ボタン(control buttons)として自動車の内装に使用される。ここで、特に好ましくは、1つ以上のイソシアネートに対して反応性の基を有するCH−酸性化合物である。これらは、CH−酸性化合物(d)とポリウレタンスケルトンとを結合すること、まず、所要の条件、例えば高温又は日照下で、イソシアネートに対して反応性の基を存在しない場合と比較して、より長い期間の有効性、特により長い期間のアルデヒド還元性を提供することを可能にする。次に、組み込み可能な基を有するCH−酸性化合物(d)は、アルデヒドの低排出だけでなく、大まかに言えば揮発性有機化合物の低排出も示すポリウレタンを提供する。
【0044】
以下、実施例を参照して本発明を説明する。
【実施例】
【0045】
出発物質:
ポリオールA:84質量%のプロピレンオキシド含有量及び14質量%のエチレンオキシド含有量を有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドをベースとし、28 mg KOH/gのOH価及び2.7の官能価を有するポリエーテルオール
ポリオールB:ポリオールA(35%)、プロピレンオキシド(45%)及びジメチルアミノプロピルアミン(20%)をベースとし、250 mg KOH/gのOH価及び2.0の官能価を有するポリエーテルオール
TEOA:トリエタノールアミン
Isopur SU−12021:ISL−Chemieからの黒色ペースト
Jeffcat ZF10:Huntsmanからの触媒
Jeffcat DPA:Huntsmanからの触媒
【0046】
添加剤:
A1:1,3−アセトンジカルボン酸ジメチル
A2:N−メチルアセトアセタミド
A3:N,N−ジメチルアセトアセタミド
A4:2−シアノアセトアセタミド
A5:シアノ酢酸メチル
A6:2−シアノ−N−(2−ヒドロキシエチル)アセタミド
A7:メチル−2−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)エタノエート
A8:マロン酸とジエチレングリコールとの反応生成物(2:3−Mw 458)
A9:トリアセト酢酸トリメチロールプロパン(Mw 386)Z
【0047】
A6及びA7を、10質量%濃度の水溶液の形態で、混合物Aに添加した。
【0048】
イソシアネートA:カルボジイミド変性4,4’−MDI85質量部と、27.1のNCO含有量を有するポリマージフェニルメタンジイソシアネートPMDIの15質量部との混合物
【0049】
混合物Aを、下記の成分:
92.0質量部のポリオールAと、
3.0質量部のポリオールBと、
1.5質量部のTEOAと、
0.5質量部のIsopur SA−21050と、
1.9質量部の水と、
0.4質量部のJeffcat DPAと、
0.2質量部のJeffcat ZF10と、
0.5質量部の表1の化合物A1〜A7と、
を混合することにより製造した。
【0050】
混合物A、イソシアネート成分A及び表1の添加物を、100のイソシアネート指数で互いに混合し、密閉鋳型に入れ、160g/Lの平均密度を有する成形品を得た。
【0051】
ASTM D5116−06に基づく手順によってホルムアルデヒドを測定した。チャンバーのサイズは4.7リットルであった。使用したポリウレタン試料は110mm x 100mm x 25mm寸法の部分であった。成形したフォームを試験した場合、フォームの内部からなる部分を使用した。試験中の試験チャンバーの温度は65℃であり、相対湿度は50%であった。空気交換率は1時間当たり3.0リットルであった。ポリウレタンからの揮発性アルデヒドを有する排気流を、120分の期間中、2,4−ジニトロフェニルヒドラジンを被覆したシリカを有するカートリッジに導き通過させた。その後、DNPHカートリッジを、アセトニトリルと水との混合物で溶出した。HPLCにより、溶出液のホルムアルデヒドの濃度を測定した。この設定のホルムアルデヒド排出量の検出限界は、≦11μg/m
3である。
【0052】
表1:チャンバー中で測定された、添加剤を添加しない半硬質フォーム(参照)、及び、添加剤A1〜A9の混合物Aの総質量に対して明記した濃度(質量部)で添加した半硬質フォームについてのホルムアルデヒド値。
【0053】
【表1】
【0054】
表2:添加剤A4、A5、A6、A7及びA9を個別に添加したとき生成した半硬質フォームのVDA 278によるVOC値(ppm)
【0055】
【表2】