(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、洗浄部材の交換時期を判定するために、チェック用ワークを用いる必要があるので、その分だけ手間や費用がかかり、その結果、スループットの低下やコストの上昇につながるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、従来より高スループットかつ低コストで、洗浄部材の交換時期を適切に判定することのできる基板洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板洗浄装置は、基板に当接して基板をスクラブ洗浄する洗浄部材と、洗浄部材を保持する保持手段と、保持手段に設けられ、洗浄部材を基板に押し付ける力を発生させる押し付け手段と、保持手段に設けられ、保持手段の位置を測定する位置測定手段と、保持手段の位置に基づいて洗浄部材の交換時期を判定する交換時期判定手段と、を備え、保持手段の位置には、洗浄部材が基板に当接している洗浄位置と、洗浄部材が基板から離れている非洗浄位置とが含まれ、交換時期判定手段は、複数の基板を連続してスクラブ洗浄するときの洗浄位置の変化から洗浄部材の交換時期を判定する。
【0008】
本発明では、基板をスクラブ洗浄する際に、洗浄部材の基板への押し付け量(洗浄部材のつぶれ量)として、保持手段の洗浄位置(洗浄部材が基板に当接しているときの保持手段の位置)を測定する。洗浄部材は、使い続けているうちに変形または摩耗して、押し付け量(つぶれ量)が大きくなる。そのため、複数の基板を連続して洗浄すると、保持手段の洗浄位置(洗浄部材の押し付け量)が変化する。したがって、複数の基板を連続してスクラブ洗浄をするときの洗浄位置の変化から、洗浄部材の交換時期を適切に判定すること
ができる。
【0009】
また、本発明の基板洗浄装置では、交換時期判定手段は、洗浄位置の変化量が所定の基準値より大きくなった場合に、洗浄部材の交換時期であると判定してもよい。
【0010】
この場合、複数の基板を連続してスクラブ洗浄しているときに、洗浄位置の変化量が所定の基準値より大きくなると、その洗浄部材の交換時期であると判定する。このように、洗浄位置の変化量を所定の基準値と比較することにより、洗浄部材の交換時期を適切に判定することができる。
【0011】
本発明の基板洗浄装置は、基板に当接して基板をスクラブ洗浄する洗浄部材と、洗浄部材を保持する保持手段と、保持手段に設けられ、洗浄部材を基板に押し付ける力を発生させる押し付け手段と、保持手段に設けられ、保持手段の位置を測定する位置測定手段と、保持手段の位置に基づいて洗浄部材の異常の有無を検知する異常検知手段と、を備え、保持手段の位置には、洗浄部材が基板に当接している洗浄位置と、洗浄部材が基板から離されている非洗浄位置とが含まれ、異常検知手段は、一枚の基板をスクラブ洗浄するときの洗浄位置の変化から洗浄部材の異常の有無を検知する。
【0012】
本発明では、基板をスクラブ洗浄する際に、洗浄部材の基板への押し付け量(洗浄部材のつぶれ量)として、洗浄部材の保持手段の位置を測定する。例えば、洗浄部材は、使い続けているうちに表面に部分的な欠損が生じることがあるが、その場合、基板を洗浄しているときにその欠損に起因する振動が発生し、欠損の発生は、保持手段の洗浄位置(洗浄部材が基板に当接しているときの保持手段の位置)の変化として検知される。したがって、一枚の基板を洗浄するときの洗浄位置の変化から、洗浄部材の異常(部分的な欠損の発生等)の有無を適切に検知することができる。
【0013】
また、本発明の基板洗浄装置では、異常検知手段は、洗浄位置の変化量が所定の基準振幅より大きくなった場合に、洗浄部材に異常が有ると検知してもよい。
【0014】
この場合、一枚の基板をスクラブ洗浄しているときに、洗浄位置の変化量が所定の基準振幅より大きくなると、その洗浄部材に異常が有ると判定する。このように、洗浄位置の変化量を所定の基準振幅と比較することにより、洗浄部材の異常の有無を適切に判定することができる。
【0015】
また、本発明の基板洗浄装置では、位置測定手段は、位置測定用レーザーを利用した変位センサであり、保持手段には、位置測定用レーザーが照射される位置測定用ブラケットが設けられてもよい。
【0016】
この場合、保持手段に設けられた位置測定用ブラケットに位置測定用レーザーが照射されると、位置測定用ブラケットからの反射光(位置測定用レーザー)が変位センサで検出され、その検出結果から保持手段の位置が測定される。これにより、保持手段の位置(洗浄位置)を、非接触で測定することができる。
【0017】
また、本発明の基板洗浄装置では、二つの洗浄部材が基板を挟むように基板の上下に配置され、基板を二つの洗浄部材で挟んでスクラブ洗浄するときに、二つの洗浄部材の洗浄位置の変化を差分処理することにより、洗浄位置を測定するときのノイズを除去するノイズ除去手段を備えてもよい。
【0018】
本発明では、基板の上下に配置された二つの洗浄部材で基板を挟んで洗浄するときに、それぞれの洗浄部材の保持手段の位置(洗浄位置)が測定される。洗浄部材で基板を洗浄
する場合には、振動ノイズが発生することがあり得る。この振動ノイズは、洗浄部材に部分的な欠損があるときの振動に比べると極めて小さな振動である。振動ノイズは、基板の上下に配置された二つの洗浄部材で同じように発生すると考えられるため、二つの洗浄部材の保持手段の洗浄位置の変化を差分処理することにより、振動ノイズを除去(キャンセル)することができる。これにより、保持手段の位置(洗浄位置)の変化を、高精度で測定することが可能になる。
【0019】
また、本発明の基板洗浄装置は、洗浄部材を基板に押し付ける力を測定する荷重測定手段と、荷重測定手段の測定結果をフィードバックすることによって、洗浄部材を基板に押し付ける力をコントロールする荷重制御手段と、を備えてもよい。
【0020】
この場合、洗浄部材を基板に押し付ける力を荷重測定手段によって測定し、その測定結果(実際の押し付け力)をフィードバックしながら、洗浄部材を基板に押し付ける力をコントロールすることができる。そのため、実際の押し付け力と洗浄部材の変形量を比較することができ、より精度の高い管理が可能になる。
【0021】
本発明の方法は、基板をスクラブ洗浄する基板洗浄装置の洗浄部材の交換時期判定方法であって、交換時期判定方法は、洗浄部材を保持する保持手段の位置を測定する測定ステップと、保持手段の位置に基づいて洗浄部材の交換時期を判定する判定ステップと、を含み、洗浄部材を保持する保持手段の位置には、洗浄部材が基板に当接している洗浄位置と、洗浄部材が基板から離れている非洗浄位置とが含まれ、判定ステップでは、複数の基板を連続してスクラブ洗浄をするときの洗浄位置の変化から洗浄部材の交換時期を判定する。
【0022】
この方法によっても、複数の基板を連続してスクラブ洗浄をするときの保持手段の洗浄位置の変化から、洗浄部材の交換時期を適切に判定することができる。
【0023】
また、本発明の交換時期判定方法は、洗浄部材を基板に押し付ける力を測定する荷重測定ステップと、荷重測定ステップの測定結果をフィードバックすることによって、洗浄部材を基板に押し付ける力をコントロールする荷重制御ステップと、を含んでもよい。
【0024】
この場合、洗浄部材を基板に押し付ける力を測定し、その測定結果(実際の押し付け力)をフィードバックしながら、洗浄部材を基板に押し付ける力をコントロールすることができる。そのため、実際の押し付け力と洗浄部材の変形量を比較することができ、より精度の高い交換時期の判定が可能になる。
【0025】
また、本発明の方法は、基板をスクラブ洗浄する基板洗浄装置の洗浄部材の異常検知方法であって、異常検知方法は、洗浄部材を保持する保持手段の位置を測定する測定ステップと、保持手段の位置に基づいて洗浄部材の異常の有無を検知する検知ステップと、を含み、洗浄部材を保持する保持手段の位置には、洗浄部材が基板に当接している洗浄位置と、洗浄部材が基板から離れている非洗浄位置とが含まれ、検知ステップでは、一枚の基板をスクラブ洗浄するときの洗浄位置の変化から洗浄部材の異常の有無を検知する。
【0026】
この方法によっても、一枚の基板を洗浄するときの保持手段の洗浄位置の変化から、洗浄部材の異常(部分的な欠損の発生等)の有無を適切に検知することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数の基板を連続してスクラブ洗浄するときに、保持手段の位置(洗浄位置)の変化から、洗浄部材の交換時期を適切に判定することができる。この場合、従来のようにチェック用ワークを用いる必要がないので、その分だけ高スループットかつ低
コストを実現することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態の基板洗浄装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、、半導体基板やガラス基板、液晶パネル等、高度の清浄度が要求される基板のスクラブ洗浄等に用いられる基板洗浄装置の場合を例示する。
【0030】
本発明の実施の形態の基板洗浄装置の構成を、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態の基板洗浄装置の構成を示す図である。
図1に示すように、基板洗浄装置1は、半導体基板等の基板Wを把持し回転させ、洗浄部材2で基板Wの両面の洗浄を行うものである。基板洗浄装置1は、基板Wの周縁部を支持し回転させる複数のスピンドル5、シャフト3(3a,3b)の周囲全周を覆って取り付けられた略円柱形状に形成された発砲ポリウレタン、PVA等で構成されたロールスポンジからなる洗浄部材2(2a,2b)、基板Wの上面に超純水等の洗浄液を供給する洗浄液供給ノズル4を備えている。洗浄部材2は、矢印Hに示すように上下動し、かつ矢印F1、F2に示すようにシャフト3の周囲をシャフト3の軸心周りに回転するように構成されている。
【0031】
また、スピンドル5にはモータ等の駆動装置が接続され、スピンドル5の総てが同一の回転数で回転し、基板Wを所定の回転数で回転させる。なお、スピンドル5の少なくとも1つが自転し他は従動回転するように構成してもよい。
【0032】
洗浄部材2はその材質がスポンジ状のものに限定されず、例えば表面に研磨布を取り付けたもの等でもよい。洗浄部材2としては、洗浄面が円筒形状であるロールスポンジが用いられる。洗浄部材2の円筒部分の表面には、該円筒と同軸方向に延伸する同質の小径円柱状の突起部が複数設けられている。洗浄に際してこの突起部を基板Wに押しつけることにより基板Wの洗浄効果を高めることが可能となる。
【0033】
この基板洗浄装置1において、洗浄部材2が駆動装置6により基板Wの上下方向に退避している状態で、スピンドル5に基板Wをチャックして保持して基板Wを
図1の矢印X方向に回転させる。そして、洗浄部材2を所定の回転数で回転させながら下降又は上昇させて基板Wの上下面に所定の押圧力又は押しつけ量で当接させることにより、これを基板W
の両面に擦り付けて該両面を洗浄する。
【0034】
また、洗浄の際には洗浄液供給ノズル4から基板Wの上面に洗浄液(超純水及びイオン水、希フッ酸、過酸化水素水などの薬液)を噴射すると共に、基板Wの下方に設置した図示しない洗浄液供給ノズルから基板Wの下面にも洗浄液を噴射する。
【0035】
図2は、本実施の形態の基板洗浄装置の説明図である。
図2に示すように、洗浄部材2は、保持部材6によって保持されている。
図2の例では、上側の保持部材6からアーム7が延設されている。そして、アーム7には、洗浄部材2を基板Wに押し付ける力を発生させるエアシリンダ8が設けられている。また、アーム7には、変位センサ9から位置測定用レーザーが照射される位置測定用ブラケット10が設けられている。変位センサ9は、位置測定用ブラケット10からの反射光(位置測定用レーザー)を検出することにより、アーム7(と上側の保持部材6)の位置を測定する機能を備えている。エアシリンダ8と変位センサ9は、制御装置11によって動作が制御されている。
【0036】
一方、下側の保持部材6にはアームは設けられていない。この場合、保持部材6に、洗浄部材2を基板Wに押し付ける力を発生させるエアシリンダ8が設けられている。また、保持部材6には、変位センサ9から位置測定用レーザーが照射される位置測定用ブラケット10が設けられている。変位センサ9は、位置測定用ブラケット10からの反射光(位置測定用レーザー)を検出することにより、下側の保持部材6の位置を測定する機能を備えている。このエアシリンダ8と変位センサ9も、制御装置11によって動作が制御されている。
【0037】
制御装置11は、アーム7(と上側の保持部材6)の位置に基づいて、上側の洗浄部材2の交換時期を判定する機能、および、下側の保持部材6の位置に基づいて、下側の洗浄部材2の交換時期を判定する機能を備えている。また、制御装置11は、アーム7(と上側の保持部材6)の位置に基づいて、上側の洗浄部材2の異常の有無を検知する機能、および、下側の保持部材6の位置に基づいて、下側の洗浄部材2の異常の有無を検知する機能を備えている。交換時期判定方法や異常検知方法については、後で図面を参照しながら詳しく説明する。
【0038】
ここでは、上側の保持部材6とアーム7、下側の保持部材6が、それぞれ本発明の保持手段に相当する。また、エアシリンダ8が、本発明の押し付け手段に相当し、変位センサ9が、本発明の位置測定手段に相当する。さらに、制御装置11が、本発明の交換時期判定手段および異常検知手段に相当する。
【0039】
図3は、洗浄部材2と保持部材6の位置の説明図である。
図3(a)では、洗浄部材2が基板Wに当接している。この位置は、洗浄部材2が一定の圧力で基板Wに押し付けられ、基板Wの洗浄が行われる位置である。この洗浄部材2の位置を洗浄位置という。洗浄部材2が基板に当接しているとき(洗浄部材2が洗浄位置にあるとき)の、保持部材6の位置を「洗浄位置」という。
【0040】
図3(b)では、洗浄部材2が基板Wから上方に離されている。この位置は、洗浄部材2の回転が開始される位置である。この洗浄部材2の位置を上位置という。また、
図3(c)では、洗浄部材2がさらに右側に離されている。この位置は、洗浄部材2が待機するための位置である。この洗浄部材2の位置を待機位置という。洗浄部材2が基板から離れているとき(洗浄部材2が上位置および待機位置にあるとき)の、保持部材6の位置を「非洗浄位置」という。
【0041】
制御装置11は、複数の基板Wを連続してスクラブ洗浄するときの洗浄位置の変化から
洗浄部材2の交換時期を判定する。具体的には、洗浄位置の変化量が所定の基準値より大きくなった場合に、洗浄部材2の交換時期であると判定する。
図4は、複数の基板を連続して洗浄するときの洗浄位置の変化(変位)を示す図である。
図4(a)に示すように、複数の基板Wを洗浄するごとに、変位センサ9で洗浄位置の変化(変位)を測定する。すなわち、洗浄位置の初期値(洗浄部材2の交換直後の位置)との差分(変位)を測定し、その差分(変位)が所定の基準値(閾値)より大きくなった場合に、その洗浄部材2の交換時期であると判定する。洗浄部材2を長時間使用すると、スポンジが次第に柔らかくなり、洗浄位置が落ちると考えられるためである。
【0042】
なお、複数の基板Wを連続してスクラブ洗浄するときの洗浄位置の変化から、
図4(b)に示すように、薬剤などの影響により洗浄部材2のスポンジが硬くなる異常を検知することもできる。また、
図4(c)に示すように、洗浄部材2が脱落した異常を検知することも可能である。
【0043】
また、制御装置11は、一枚の基板Wをスクラブ洗浄しているときの洗浄位置の変化から洗浄部材2の異常の有無を検知する。具体的には、洗浄位置の変化量が所定の基準振幅より大きくなった場合に、洗浄部材2に異常が有ると検知する。
図5は、一枚の基板Wを洗浄しているときの洗浄位置の変化(変位)を示す図である。
図5(a)に示すように、洗浄部材2に異常がない場合には、一枚の基板Wを洗浄しているときの洗浄位置の変化量(振動幅Δh)が所定の基準振幅以内に収まる。
【0044】
一方、
図5(b)に示すように、洗浄部材2を使い続けているうちに表面に部分的な欠損(突起欠損など)が生じることがある。その場合には、一枚の基板Wを洗浄しているときにその欠損に起因する振動が発生し、一枚の基板Wを洗浄しているときの洗浄位置の変化量(振動幅Δh)が所定の基準振幅を超える。このようにして、突起欠損などの発生が、洗浄位置の変化として検知される。
【0045】
さらに、制御装置11は、基板Wを二つの洗浄部材2で挟んでスクラブ洗浄するときに、二つの洗浄部材2の洗浄位置の変化を差分処理することにより、洗浄位置を測定するときのノイズ(振動ノイズ)を除去する機能を備えている。
図6は、振動ノイズを除去(キャンセル)した洗浄位置の変化(一枚の基板Wを洗浄しているときの洗浄位置の変化)を示す図である。
図6(a)に示すように、洗浄部材2に異常がない場合には、振動ノイズがキャンセルされ、洗浄位置の変化量(振動幅Δh)が極めて小さく抑えられる。この場合、
図6(b)に示すように、洗浄部材2に異常(部分的な欠損など)がある場合には、その欠損に起因する振動を高精度で(高いS/Nで)検出することができる。
【0046】
このような本実施の形態の基板洗浄装置1によれば、複数の基板Wを連続してスクラブ洗浄するときに、洗浄位置の変化から、洗浄部材2の交換時期を適切に判定することができる。この場合、従来のようにチェック用ワークを用いる必要がないので、その分だけ高スループットかつ低コストを実現することが可能である。
【0047】
すなわち、本実施の形態では、基板Wをスクラブ洗浄する際に、洗浄部材2の基板Wへの押し付け量(洗浄部材のつぶれ量)として、洗浄位置(洗浄部材2が基板に当接しているときの保持部材6またはアーム7の位置)を測定する。洗浄部材2は、使い続けているうちに変形または摩耗して、押し付け量(つぶれ量)が大きくなる。そのため、複数の基板Wを連続して洗浄すると、洗浄位置(洗浄部材2の押し付け量)が変化する。そこで、複数の基板Wを連続してスクラブ洗浄をするときの洗浄位置の変化から、洗浄部材2の交換時期を適切に判定することができる。
【0048】
具体的には、
図4(a)に示すように、複数の基板Wを連続してスクラブ洗浄している
ときに、洗浄位置の変化量が所定の基準値(閾値)より大きくなると、その洗浄部材2の交換時期であると判定する。このように、洗浄位置の変化量を所定の基準値と比較することにより、洗浄部材2の交換時期を適切に判定することができる。
【0049】
また、洗浄部材2は、使い続けているうちに表面に部分的な欠損が生じることがある。その場合、基板Wを洗浄しているときにその欠損に起因する振動が発生し、欠損の発生が、洗浄位置(洗浄部材2が基板に当接しているときの保持部材6またはアーム7の位置)の変化として検知される。そこで、一枚の基板Wを洗浄するときの洗浄位置の変化から、洗浄部材2の異常(部分的な欠損の発生等)の有無を適切に検知することができる。
【0050】
具体的には、
図5(b)に示すように、一枚の基板Wをスクラブ洗浄しているときに、洗浄位置の変化量(振動幅Δh)が所定の基準振幅より大きくなると、その洗浄部材2に異常(突起欠損)が有ると判定する。このように、洗浄位置の変化量(振動幅Δh)を所定の基準振幅と比較することにより、洗浄部材2の異常の有無を適切に判定することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、保持部材6やアーム7の位置測定手段として、変位センサ9を用いている。保持部材6やアーム7に設けられた位置測定用ブラケット10に位置測定用レーザーが照射されると、その位置測定用ブラケット10からの反射光(位置測定用レーザー)を変位センサ9で検出し、その検出結果から保持部材6やアーム7の位置を測定する。このようにして、保持部材6やアーム7の位置(洗浄位置)を、非接触で測定することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、基板Wの上下に配置された二つの洗浄部材2で基板を挟んで洗浄するときに、それぞれの洗浄部材2の洗浄位置を測定する。洗浄部材2で基板を洗浄する場合には、振動ノイズが発生することがあり得るが、この振動ノイズ(洗浄部材2に部分的な欠損があるときの振動に比べると極めて小さな振動)は、基板Wの上下に配置された二つの洗浄部材2で同じように発生すると考えられるため、二つの洗浄部材2の保持部材6またはアーム7の洗浄位置の変化を差分処理することにより、振動ノイズを除去(キャンセル)することができる。これにより、保持部材6またはアーム7の位置(洗浄位置)の変化を、高精度で測定することが可能になる。
【0053】
また、本実施の形態では、洗浄部材2の変形量を直接モニターすることができる。これに対し、洗浄部材2の変形量を間接的にモニターする場合、例えば、基板Wを回転させるモーターのモータートルクをモニターする場合には、洗浄部材2以外の影響を受けると考えられる。例えば、基板Wの回転動作にかかわる他の部品(Oリングなどのシール部材や、回転駆動を伝達するタイミングベルトなど)の状態によって、モータートルクが変化する。また、基板Wの表面状態(基板の種類や、リンスの流量など)によっても、基板Wの表面の摩擦抵抗が変化するので、モータートルクが変化する。このように、モータートルクによる検知では、洗浄部材2以外の他の要因が複数含まれるので、洗浄部材2自体の変化として検知するのが困難である。本実施の形態によれば、洗浄部材2の変形量を直接モニターするので、洗浄部材2以外の他の要因による影響を受けないため、洗浄部材2自体の変化を検知しやすい。
【0054】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0055】
例えば、
図7は、本発明の他の実施形態にかかる基板洗浄装置の構成例を示す図である。
図7に示す基板洗浄装置1−3は、
図1に示す基板洗浄装置1で洗浄部材2として用い
たロールスポンジに代えて、洗浄部材2にペンシル型スポンジを用いたものである。この洗浄部材(以下、「ペンシル型スポンジ」という)2は、発砲ポリウレタン、PVA等で円柱形状や台形状等に形成され、その下面に設けた洗浄面2cが、該洗浄面2aと直交する軸(回転軸42)周りに水平面内で回転しながら基板Wに当接するものである。基板洗浄装置1−3のその他の部分の構成は、基板洗浄装置1と共通するものとし、ここではその説明は省略する。
【0056】
ペンシル型スポンジ2は、洗浄部材保持機構40によって保持されている。洗浄部材保持機構40は、水平方向に張り出した揺動アーム41を有し、揺動アーム41の先端に鉛直下向きに回転軸42が設けられ、回転軸42の先端に保持具43によって保持されたペンシル型スポンジ2が装着されている。回転軸42は図示しない回転機構により矢印D方向に回転し、ペンシル型スポンジ2を同方向に回転させるようになっている。また、揺動アーム41の後端部には揺動軸44及び駆動装置45が設けられ、これらによって揺動アーム41を矢印E方向に揺動させると共に矢印J方向に昇降させるようになっている。
【0057】
上記構成の基板洗浄装置1−3において、スピンドル5で支持され
図7の矢印X方向に回転している基板Wの上面に、洗浄液供給ノズル4から純水等の洗浄液を供給すると共に、ペンシル型スポンジ2を所定の一定回転数で回転させながら下降させて、その洗浄面2cを基板Wの上面の位置A(洗浄開始位置)に所定の押圧力又は押しつけ量で当接させる。その状態から揺動アーム41をペンシル型スポンジ2が基板Wの回転中心位置である位置Oを通過するように矢印E方向に揺動させることで、基板Wの上面にペンシル型スポンジ2を擦り付けてスクラブ洗浄を行う。該スクラブ洗浄が終了すると、揺動アーム41を上昇させて旋回させ、ペンシル型スポンジ2を洗浄外周位置である位置Bを経由させて退避位置である位置Cまで移動させる。
【0058】
なお、洗浄部材2は、基板Wの両面に設けられていても良く、基板Wの片面だけに設けられていても良い。また、洗浄部材2を基板Wの両面に設ける場合、ロールスポンジのみを用いてもよく、ペンシル型スポンジのみを用いてもよく、ロールスポンジとペンシル型スポンジとを組み合せて用いてもよい。
【0059】
また、
図8は、更に他の実施の形態における基板洗浄装置の構成を示す斜視図である。
図2に示す基板洗浄装置1では、洗浄部材2を基板Wに押し付ける力を発生させる手段としてエアシリンダ8を用い、アーム7(や保持部材6)の位置を測定する手段として変位センサ9を用いたが、
図8に示すように、サーボモータ12を用いてもよい。
【0060】
この場合、アーム7の取り付け部分に、押し付け力(荷重)を測定できるようにロードセル13を設けておき、ロードセル13が一定荷重となるまで、サーボーモータ12を回転させる。サーボモータ12の回転数や位相は、サーボモータ12自身で検知することができるため、一定荷重になるときのアーム7の位置(洗浄位置)を記録することにより、基板Wごとの洗浄位置の変化を測定し、洗浄位置の変化から洗浄部材2の交換時期を判定することができる。
【0061】
また、
図9は、また更に他の実施の形態における基板洗浄装置の構成を示す斜視図である。
図2に示す基板洗浄装置1では、洗浄部材2を基板Wに押し付ける力を発生させる手段としてエアシリンダ8を用い、アーム7(や保持部材6)の位置を測定する手段として変位センサ9を用いたが、
図9に示すように、接触センサ14を用いてもよい。
【0062】
例えば、洗浄部材2の交換時期に相当するつぶれ量(交換時期相当つぶれ量)を事前に測定し把握しておき、アーム7(や保持部材6)がその位置(交換時期相当つぶれ量だけつぶれた位置)に到達したことを接触センサ14検出し、洗浄部材2の交換時期を判定す
ることができる。
【0063】
また、上記の例では、洗浄位置の変化量を測定する場合について説明したが、変化量を測定する場所は、洗浄位置に限られない。例えば、
図10に示すように、変化量を測定する場所は、洗浄部材のセルフ洗浄位置であってもよい。また、変化量を測定する専用の場所(専用測定位置)をモジュール内に設けてもよい。セルフ洗浄位置や専用測定位置では、洗浄部材2を基板Wに押し付ける力の影響や、基板Wの自重による反りの影響を受けずに、洗浄部材2の変化量だけを測定することが可能である。セルフ洗浄位置や専用測定位置での変化量の測定は、処理する基板Wによって厚みや変化量が異なる場合に、特に好適である。
【0064】
また、
図11に示すように、制御装置11は、荷重CLC(Closed Loop Control)機
能を備えてもよい。荷重CLCにより、洗浄位置の変化量が所定の基準値になった場合に、制御装置11によりエアシリンダ8をコントロールし、洗浄位置が交換直後位置となるようにする。そして、これを繰り返し、所定回数を経たところで、洗浄部材の交換時期とする。
【0065】
荷重CLCの場合、ロードセル13をアーム7に設けて、押付荷重を同時測定し、実際の押付荷重をフィードバックしながら押付力をコントロールできるので、実際の押付荷重と洗浄部材2のスポンジの変形量を比較できるため、より精度の高い管理が可能である。エアシリンダ8など昇降機構の構成部品が摩耗などで摺動抵抗が変化する場合、CLCを行わないと、実際に加わる荷重もずれてしまい、洗浄部材2の変化とその他構成部品の変化を見分けるのが困難である。例えば、使用初期に、洗浄部材2の押付力が4Nで変位が1mmとする。使用中、エアシリンダ8が摩耗し、摺動抵抗が1N上昇したと仮定すると、実際に洗浄部材2を押し付ける力は摩擦で使われてしまい3N相当になる。そのため、洗浄部材2が正常であっても洗浄部材2の変形量は3Nの押付力分しかつぶれず、実際の洗浄部材2変化を正確にモニタできない。これに対して、荷重CLC機能を持たせた場合には、押付荷重を一定に保つことができるので、洗浄部材2のみの変形量をモニタすることができる。
【0066】
また、
図12に示すように、制御装置11は、位置CLC(Closed Loop Control)機
能を備えてもよい。この場合、制御装置11は、変位センサの測定値を用いて、位置CLC(Closed Loop Control)を行う。位置CLCを行うことにより、確実に一定量を押し
付けて、洗浄部材2の接触面積を一定にすることができる。