(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記樹脂粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、前記第1非導電性無機粒子の数は、前記第2非導電性無機粒子の数の2倍以上である、請求項1に記載の導電粒子。
前記疎水化処理剤は、シラザン系疎水化処理剤、シロキサン系疎水化処理剤、シラン系疎水化処理剤、及びチタネート系疎水化処理剤からなる群より選ばれる、請求項5に記載の導電粒子。
前記カチオン性ポリマーは、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール及びポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる、請求項10に記載の導電粒子。
前記樹脂粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、前記第1非導電性無機粒子の数は、前記第2非導電性無機粒子の数の2倍以上になるように配置される、請求項25に記載の導電粒子の製造方法。
前記金属層によって前記複合粒子を覆う工程では、無電解めっきによりニッケルを含有する第1層によって前記複合粒子を覆う、請求項25〜29のいずれか一項に記載の導電粒子の製造方法。
前記金属層によって前記複合粒子を覆う工程では、貴金属及びコバルトからなる群より選ばれる金属を含有する第2層によって前記第1層に覆われた前記複合粒子を被覆する、請求項30に記載の導電粒子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0051】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る導電粒子について説明する。
【0052】
<導電粒子>
図1は、第1実施形態に係る導電粒子を示す模式断面図である。
図1に示す導電粒子100aは、導電粒子のコアを構成する樹脂粒子101、及び当該樹脂粒子101の表面に配置される非導電性無機粒子102を有する複合粒子103と、複合粒子103を覆う第1層104とを備える。樹脂粒子101に接着された非導電性無機粒子102の形状を反映し、第1層104の外表面には、突起109が形成される。樹脂粒子101は、後述するカチオン性ポリマーにより被覆されたものである。非導電性無機粒子102は、後述する疎水性処理剤により被覆されたものであり、第1非導電性無機粒子102aと、第2非導電性無機粒子102bとを有する。第1層104は、金属を少なくとも含む導電層である。第1層104は、金属層でもよいし、合金層でもよい。
【0053】
導電粒子100aの平均粒径は、例えば、1μm以上でもよく、2μm以上でもよい。導電粒子100aの平均粒径は、例えば、10μm以下でもよく、5μm以下でもよい。つまり、導電粒子100aの平均粒径は、例えば、1〜10μmである。導電粒子100aの平均粒径が上記範囲内であることにより、例えば、導電粒子100aを含む異方導電性接着剤を用いて接続構造体を作製した場合に、当該接続構造体の電極の形状(高さ)のばらつきによって、当該異方導電性接着剤の導電性等が変化しにくくなる。導電粒子100aの平均粒径は、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM」という)を用いた観察により任意の導電粒子300個の粒径の測定を行うことにより得られる平均値としてもよい。導電粒子100aは突起109を有するため、導電粒子100aの粒径は、SEMにて撮影した画像において導電粒子100aに外接する円の直径とする。精度を上げて導電粒子100aの平均粒径を測定するためには、コールターカウンター等の市販の装置を用いることができる。この場合、導電粒子50000個の粒径の測定を行えば、高い精度で平均粒径を測定することができる。例えば、COULER MULTISIZER II(ベックマン・コールター株式会社製、商品名)により50000個の導電粒子を測定することにより、導電粒子100aの平均粒径を測定してもよい。
【0054】
<樹脂粒子>
樹脂粒子101は、有機樹脂から構成される。有機樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリイソブチレン樹脂;ポリブタジエン樹脂などが挙げられる。樹脂粒子101としては、架橋(メタ)アクリル粒子、架橋ポリスチレン粒子等の有機樹脂を架橋して得られた粒子も使用できる。樹脂粒子は、上記有機樹脂の一種から構成されてもよいし、上記有機樹脂の二種以上を組み合わせて構成されてもよい。有機樹脂は、上記樹脂に限定されない。
【0055】
樹脂粒子101は、球状である。樹脂粒子101の平均粒径は、例えば、1μm以上10μm以下でもよい。樹脂粒子101の平均粒径は、例えば、1μm以上でもよく、2μm以上でもよい。樹脂粒子101の平均粒径が1μm以上であることにより、導電粒子100aの変形量が十分に確保される。樹脂粒子101の平均粒径は、例えば、10μm以下でもよく、5μm以下でもよい。樹脂粒子101の平均粒径が10μm以下であることにより、粒径のばらつきが抑制され、導電粒子100aにおける接続抵抗値のばらつきが抑制される。樹脂粒子101の平均粒径は、SEMを用いた観察によって任意の樹脂粒子300個の粒径の測定を行うことにより得られる平均値とする。
【0056】
<樹脂粒子の表面処理>
上述したように、樹脂粒子101には、表面処理としてカチオン性ポリマーが被覆される。このカチオン性ポリマーとしては、一般に、ポリアミン等のように正荷電を帯びることのできる官能基を有する高分子化合物が挙げられる。カチオン性ポリマーは、例えば、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール及びポリビニルピロリドンからなる群より選ばれてもよい。電荷密度が高く、負の電荷を持った表面及び材料との結合力が強い観点から、ポリイミンが好ましく、ポリエチレンイミンがより好ましい。カチオン性ポリマーは、水、又は、水と有機溶媒との混合溶液に可溶であることが好ましい。カチオン性ポリマーの分子量は、用いるカチオン性ポリマーの種類により変化するが、例えば、500〜200000程度である。
【0057】
カチオン性ポリマーの種類及び分子量を調整することにより、非導電性無機粒子102による樹脂粒子101の被覆率をコントロールすることができる。具体的には、ポリエチレンイミン等の電荷密度が高いカチオン性ポリマーによって樹脂粒子101が被覆された場合、非導電性無機粒子102の被覆率(非導電性無機粒子102が樹脂粒子101を被覆する割合)が高くなる傾向がある。一方、電荷密度の低いカチオン性ポリマーによって樹脂粒子101が被覆された場合、非導電性無機粒子102の被覆率が低くなる傾向がある。カチオン性ポリマーの分子量が大きい場合、非導電性無機粒子102の被覆率が高くなる傾向があり、カチオン性ポリマーの分子量が小さい場合、非導電性無機粒子102の被覆率が低くなる傾向がある。
【0058】
カチオン性ポリマーは、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)イオン、アルカリ土類金属(Ca、Sr、Ba、Ra)イオン、及びハロゲン化物イオン(フッ素イオン、クロライドイオン、臭素イオン、ヨウ素イオン)を実質的に含まなくてもよい。この場合、カチオン性ポリマーが被覆された樹脂粒子101のエレクトロマイグレーション及び腐食が抑制される。
【0059】
カチオン性ポリマーに被覆される前の樹脂粒子101は、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、グリシジル基及びアルコキシカルボニル基から選ばれる官能基を表面に有する。これにより、樹脂粒子101の表面にカチオン性ポリマーが吸着しやすくなる。
【0060】
カチオン性ポリマーが被覆された樹脂粒子101のゼータ電位は、水、有機溶媒、又は、水と有機溶媒とを含んだ混合溶液のいずれにおいても、プラス(正の値)になることが好ましい。一般に、pHが低い程、微粒子のゼータ電位はよりプラスになる。このため、第1層104を形成するためのめっき液、及び、めっきの前処理工程で使用される前処理液のpHを6以下にコントロールすることが好ましい。
【0061】
樹脂粒子101のゼータ電位は、例えば、ゼータ電位プローブ(Dispersion Technologies社製、商品名「DT300」)を用いて、コロイド振動電位を測定することにより、又は、Zetasizer ZS(Malvern Instruments社製、商品名)を用いたレーザドップラー速度計測により電気泳動移動度を測定することによって、測定することができる。
【0062】
<非導電性無機粒子>
非導電性無機粒子102は、後述するように、静電気力により樹脂粒子101に強固に接着されている。非導電性無機粒子102の形状は、特に制限されないが、楕円体、球体、半球体、略楕円体、略球体、略半球体等である。これらの中でも楕円体又は球体であることが好ましい。
【0063】
第1層104の形成前であって第1層104形成における前処理(詳細は後述する)の終了後の段階で、非導電性無機粒子102による樹脂粒子101の被覆率が20〜80%となればよい。導電粒子100aの絶縁性及び導電性の効果をより確実に得る観点から、上記被覆率は、25%以上であってもよく、30%以上であってもよく、70%以下であってもよく、60%以下であってもよい。本実施形態では、「被覆率」は、樹脂粒子101の正投影面において、当該樹脂粒子101の直径の1/2の直径を有する同心円内における非導電性無機粒子102の表面積の割合を意味する。具体的には、非導電性無機粒子102が形成された樹脂粒子101をSEMにより3万倍で観察して得られる画像を解析し、樹脂粒子101の表面において非導電性無機粒子102が占める割合を算出する。
【0064】
第1層104の外表面に充分な数の突起109を形成し、かつ、導電粒子100aが電極などに接続したときの導通抵抗を更に下げる観点から、非導電性無機粒子102は、導電粒子100aの径方向に垂直な方向(表面)に点在的に配置されてもよい。非導電性無機粒子102同士は互いに接触することなく、導電粒子100aの径方向に垂直な方向(表面)に点在的に配置されてもよい。互いに接触する非導電性無機粒子102の数は、例えば、一つの導電粒子100a中に20個以下でもよく、7個以下でもよく、0個でもよい。0個とは、一つの導電粒子100aの表面に配置される非導電性無機粒子102同士が接触せず、すべての非導電性無機粒子102が点在的に配置されていることを意味する。
【0065】
非導電性無機粒子102を形成する材料は、第1層104を形成する材料よりも硬くてもよい。これにより、導電粒子が電極等に突き刺さりやすくなり、導電性が向上する。つまり、導電粒子全体を硬くするのではなく、導電粒子の一部を硬くするという考え方である。例えば、非導電性無機粒子102を形成する材料のモース硬度は、第1層104を形成する金属のモース硬度よりも大きい。具体的には、非導電性無機粒子102を形成する材料のモース硬度は、5以上である。加えて、非導電性無機粒子102を形成する材料のモース硬度と第1層104を形成する金属のモース硬度との差は、1.0以上であってもよい。第1層104が複数の金属を含有する場合、非導電性無機粒子102のモース硬度が全ての金属のモース硬度よりも高くてもよい。具体例としては、非導電性無機粒子102を形成する材料は、シリカ(二酸化ケイ素(SiO
2)、モース硬度6〜7)、ジルコニア(モース硬度8〜9)、アルミナ(モース硬度9)及びダイヤモンド(モース硬度10)からなる群から選ばれてもよい。非導電性無機粒子102の表面には水酸基(−OH)が形成されており、上述したように疎水化処理剤が被覆されている。上記モース硬度の値は、「化学大辞典」(共立出版株式会社発行)を参照した。
【0066】
非導電性無機粒子102として、シリカ粒子を用いてもよい。シリカ粒子の粒径は、制御されていることが好ましい。シリカ粒子の種類としては、特に制限されず、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、ゾルゲル法シリカ等が挙げられる。シリカ粒子は、単独でもよいし、2種以上混合して用いてもよい。シリカ粒子として、市販品を用いてもよく、合成品を用いてもよい。
【0067】
コロイダルシリカの製造方法としては、公知の方法が挙げられる。具体的には、「ゾル−ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社発行)の第154〜156頁に記載のアルコキシシランの加水分解による方法;特開平11−60232号公報に記載の、ケイ酸メチルまたはケイ酸メチルとメタノールとの混合物を、水、メタノール、及び、アンモニアまたはアンモニアとアンモニウム塩からなる混合溶媒中に滴下して、ケイ酸メチルと水とを反応させる方法;特開2001−48520号公報に記載の、アルキルシリケー卜を酸触媒で加水分解した後、アルカリ触媒を加えて加熱してケイ酸の重合を進行させて粒子成長させる方法;特開2007−153732号公報に記載の、アルコキシシランの加水分解の際に特定の種類の加水分解触媒を特定の量で使用する方法等が挙げられる。もしくは、ケイ酸ソーダをイオン交換することにより製造する方法も挙げられる。水分散コロイダルシリカの市販品としては、スノーテックス、スノーテックスUP(いずれも日産化学工業株式会社製、商品名)、クオートロンPLシリーズ(扶桑化学工業株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0068】
フュームドシリカの製造方法としては、四塩化ケイ素を気化し、酸水素炎中で燃焼させる気相反応を用いる公知の方法が挙げられる。さらに、フュームドシリカは、公知の方法で水分散液とすることができる。水分散液とする方法としては、特開2004−43298号公報、特開2003−176123号公報、特開2002−309239号公報等に記載の方法が挙げられる。フュームドシリカの絶縁信頼性の観点から、水分散液中のアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの濃度が100ppm以下であることが好ましい。フュームドシリカのモース硬度は、5以上でもよく、6以上でもよい。
【0069】
<疎水化処理剤>
非導電性無機粒子102を被覆する疎水化処理剤としては、以下に記載の、(1)シラザン系疎水化処理剤、(2)シロキサン系疎水化処理剤、(3)シラン系疎水化処理剤、(4)チタネート系疎水化処理剤等が挙げられる。反応性の観点から、(1)シラザン系疎水化処理剤が好ましい。疎水化処理剤は、上記(1)〜(4)からなる群から選択される少なくとも一種を含んでよい。
【0070】
(1)シラザン系疎水化処理剤
シラザン系疎水化処理剤としては、例えば、有機シラザン系疎水化処理剤が挙げられる。有機シラザン系疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン等が挙げられる。有機シラザン系疎水化処理剤は、上記以外のものでもよい。
【0071】
(2)シロキサン系疎水化処理剤
シロキサン系疎水化処理剤としては、ポリジメチルシロキサン、メチルハイドロジェンジシロキサン、ジメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シロキサン等が挙げられる。シロキサン系疎水化処理剤は、上記以外のものでもよい。
【0072】
(3)シラン系疎水化処理剤
シラン系疎水化処理剤としては、N,N−ジメチルアミノトリメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、クロロプロピルジメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、γ−メタアクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタアクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、γ−メタアクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−(アミノプロピル)メチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−(アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−(アミノプロピル)トリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘプタデカトリフルオロプロピルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ヘキサエトキシジシロキサン等が挙げられる。
【0073】
(4)チタネート系疎水化処理剤
チタネート系疎水化処理剤としては、KRTTS、KR46B、KR55、KR41B、KR38S、KR138S、KR238S、338X、KR44、KR9SA(いずれも、味の素ファインテクノ株式会社製、商品名)等が挙げられる。
【0074】
上記疎水化処理剤の中で、ヘキサメチ
ルジシラザン、ポリジメチルシロキサン、及び、N,N−ジメチルアミノトリメチルシランが好ましい。したがって、疎水化処理剤は、ヘキサメチ
ルジシラザン、ポリジメチルシロキサン、及びN,N−ジメチルアミノトリメチルシランからなる群から選択される少なくとも一つを含んでもよい。非導電性無機粒子102の表面が疎水化されるほど、非導電性無機粒子102のゼータ電位がマイナス側に大きくなる。このため、非導電性無機粒子102とカチオン性ポリマーが被覆された樹脂粒子101との電位差が大きくなる。したがって、樹脂粒子101と非導電性無機粒子102とが、静電気力により強固に接着される。例えば、非導電性無機粒子102のゼータ電位と、樹脂粒子101とのゼータ電位との差が、pH1以上pH11以下において30mV以上でもよく、50mV以上でもよい。
【0075】
疎水化処理された非導電性無機粒子102のゼータ電位は、水、有機溶媒、水と有機溶媒とを含んだ混合溶液、のいずれにおいても、マイナス(負の値)になることが好ましい。一般に、pHが高い程、ゼータ電位はよりマイナスになる。したがって、樹脂粒子101と非導電性無機粒子102とのゼータ電位の差が大きくなるpHを選定することが好ましい。
【0076】
非導電性無機粒子102のゼータ電位は、例えば、ゼータ電位プローブ(Dispersion Technologies社製、商品名「DT300」)を用いて、コロイド振動電位を測定することにより、もしくは、Zetasizer ZS(Malvern Instruments社製、商品名)を用いたレーザドップラー速度計測により電気泳動移動度を測定することにより、測定することができる。
【0077】
以下では、カチオン性ポリマーが被覆された樹脂粒子101と、疎水化処理剤が被覆された非導電性無機粒子102とが、化学結合力ではなく、静電気力により強固に接着される理由の考察を記載する。例えば、下記化学式1のように水酸基が付与されたシリカ粒子に対してヘキサメチ
ルジシラザンにより疎水化処理を行う。この場合、下記化学式2のように、シリカ粒子はメチル基により被覆される。シリカ粒子がメチル基により被覆されることで、樹脂粒子101表面に被覆されたカチオン性ポリマーとシリカ粒子との間に化学結合する箇所が無いにもかかわらず、非導電性無機粒子102は樹脂粒子101に強固に接着される。各非導電性無機粒子の粒径を同一とした場合、ヘキサメチ
ルジシラザンにより疎水化処理剤が被覆された非導電性無機粒子102のゼータ電位は、上述した非導電性無機粒子の中で最もマイナスな電位を示した。このとき、非導電性無機粒子102とカチオン性ポリマーとの電位差が最大になることが分かった。このような理由から、樹脂粒子101と非導電性無機粒子102との接着を向上させるためには、ゼータ電位の差、すなわち樹脂粒子101と非導電性無機粒子102との電位差によって生じる静電気力が接着性を左右する重要な因子であると考えられる。
【0080】
疎水化処理剤としては、非導電性無機粒子102の疎水性を阻害せず、非導電性無機粒子102のゼータ電位をマイナス側に保持し、樹脂粒子101と非導電性無機粒子102との静電気的な接着を阻害しない範囲内で、アミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、及びニトリル基からなる群から選択される少なくとも一種を有していてもよい。また、上記疎水化処理剤以外に、アミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、及びニトリル基からなる群から選択される少なくとも一種を有すると共に疎水性の効果を阻害しない処理剤を別途追加してもよい。疎水化処理剤にアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、及びニトリル基からなる群から選択される少なくとも一種を有していること、また、アミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、及びニトリル基からなる群から選択される少なくとも一種を有すると共に疎水性の効果を阻害しない処理剤を別途追加することの利点を以下にて説明する。第1層104を形成するための前処理工程として、複合粒子103に対して後述するパラジウム触媒化処理を行うとき、上記処理剤を用いることにより、非導電性無機粒子102表面へのパラジウム触媒の吸着を促進できる。これにより、複合粒子103の表面のパラジウム吸着量が増加するので、パラジウム触媒を介した複合粒子103の表面に第1層104を均一に形成できる。
【0081】
非導電性無機粒子102は、互いに平均粒径が異なる第1非導電性無機粒子102a及び第2非導電性無機粒子102bを有する。第1非導電性無機粒子102a及び第2非導電性無機粒子102bの平均粒径は、例えば、樹脂粒子101の平均粒径の1/120〜1/10程度であり、本実施形態では25nm〜120nmである。第1非導電性無機粒子102aの平均粒径は、第2非導電性無機粒子102bの平均粒径よりも小さい。本実施形態では、第1非導電性無機粒子102aの平均粒径は、例えば、25nm以上であってもよく、35nm以上であってもよく、70nm未満であってもよく、65nm以下であってもよい。第2非導電性無機粒子102bの平均粒径は、例えば、90nm以上であってもよく、95nm以上であってもよく、150nm以下であってもよく、130nm以下であってもよく、125nm以下であってもよい。第1非導電性無機粒子102a及び第2非導電性無機粒子102bの粒径は、BET法による比表面積換算法又はX線小角散乱法により測定される。第1非導電性無機粒子102a及び第2非導電性無機粒子102bの平均粒径の変動係数は、いずれも20%未満である。これらの変動係数が20%未満である場合、第1非導電性無機粒子102a及び第2非導電性無機粒子102bのそれぞれに求められる性能を十分に発揮できる。これらの変動係数が20%未満である場合、突起109の形状ばらつきが小さくなるので、導電粒子100aは、より安定した導通信頼性と絶縁信頼性を両立しやすい。
【0082】
非導電性無機粒子102の平均粒径が25nm〜120nm(あるいは、樹脂粒子101の平均粒径の1/120〜1/10程度)であることにより、導電粒子100aは緻密な突起109を多数有することができると共に、非導電性無機粒子102が樹脂粒子101から脱落しにくくなる。非導電性無機粒子102の平均粒径が25nm以上である(もしくは、樹脂粒子101の平均粒径の1/120以上である)と、第1層104の突起109が適度な大きさになりやすく、低抵抗化する傾向がある。非導電性無機粒子102のゼータ電位は、粒径に応じて異なり、粒径が小さいほどゼータ電位がよりマイナス側にシフトすることが見出されている。このため、非導電性無機粒子102の平均粒径が120nm以下である(もしくは、樹脂粒子101の平均粒径の1/10以下である)と、非導電性無機粒子102と樹脂粒子101との電位差が充分となり、第1層104を形成するとき等において当該非導電性無機粒子102が脱落しにくくなる。これにより、突起109の数が充分となり、低抵抗化しやすくなる傾向がある。加えて、脱落した非導電性無機粒子102が凝集したものに第1層104の金属が被覆し、金属異物になることがある。この金属異物が樹脂粒子101に再付着し、異常析出部として過剰に長い突起(例えば、長さが500nmを超える突起)が形成されることがある。この場合、導電粒子100aの絶縁信頼性低下の要因となることがある。さらに、上記金属異物そのものが絶縁信頼性低下の要因となることがある。したがって、非導電性無機粒子102の樹脂粒子101からの脱落を抑制することが好ましい。
【0083】
「非導電性無機粒子102の直径」とは、非導電性無機粒子102の正投影面において、非導電性無機粒子102の面積と同一の面積を有する真円の直径を意味する。具体的には、非導電性無機粒子をSEMにより10万倍で観察して得られる画像を解析し、非導電性無機粒子の輪郭を画定する。そして、任意の非導電性無機粒子の面積を算出して、その面積から非導電性無機粒子102の直径を求める。
【0084】
「非導電性無機粒子102の平均粒径」とは、非導電性無機粒子102の正投影面において、非導電性無機粒子102の面積と同一の面積を有する真円の直径から算出した平均粒径を意味する。具体的には、非導電性無機粒子をSEMにより10万倍で観察して得られる画像を解析し、非導電性無機粒子の輪郭を画定する。そして、任意の非導電性無機粒子500個の面積をそれぞれ算出して、その面積を円に換算した場合の直径から算出した平均粒径を非導電性無機粒子102の平均粒径とする。
【0085】
非導電性無機粒子102において、第1非導電性無機粒子102aのみを用いた場合、導電粒子100aには、例えば、直径200nm以上の突起109が形成されない又はほぼ形成されない。この場合、突起109の大きさが小さくなる、又は、突起109の高さが低くなるため、導電粒子100aにおける突起109による導電性向上効果が乏しくなってしまう。一方、非導電性無機粒子102において、第2非導電性無機粒子102bのみを用いた場合、非導電性無機粒子102の平均粒径が大きくなる。この場合、非導電性無機粒子102と樹脂粒子101とのゼータ電位の差が小さくなり、非導電性無機粒子102が樹脂粒子101から脱落しやすくなる。これにより、樹脂粒子101において非導電性無機粒子102が接着されていない部分に第1層104が形成され、第1層104形成時に当該部分を介して導電粒子100a同士が凝集しやすくなり、絶縁性信頼性が悪化しやすい。また、脱落した非導電性無機粒子102が異物となり、絶縁性信頼性が悪化しやすくなる。
【0086】
<非導電性無機粒子の疎水化度>
メタノール滴定法による非導電性無機粒子102の疎水化度は、例えば、30%以上である。この場合、非導電性無機粒子102は、静電気力により樹脂粒子101に強固に接着することが可能となる。上記疎水化度は、50%以上でもよく、60%以上でもよい。疎水化度が高いほど、非導電性無機粒子102のゼータ電位がよりマイナス側にシフトし、非導電性無機粒子102は、静電気力により樹脂粒子101に強固に接着することが可能となる。
【0087】
メタノール滴定法とは、メタノールを使用して粉体の疎水化度を測定する方法である。例えば、まず50mlの水面上に、疎水化度を測定すべき粉体0.2gを浮遊させる。次に、水を静かに撹拌しながら水中にメタノールを少しずつ添加してゆく。メタノールは、例えば、ビュレットを用いて滴下する。次に、水面上の粉体が全て水中に没した時点でのメタノール使用量を測定する。そして、水とメタノールとの合計体積に対するメタノール体積の百分率を演算し、この値を粉体の疎水化度と算出する。
【0088】
<樹脂粒子への非導電性無機粒子の接着方法>
樹脂粒子101への非導電性無機粒子102の接着は、有機溶媒、又は、水と水溶性の有機溶媒との混合溶液を用いて行うことができる。使用できる水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。有機溶媒のみを用いた場合、樹脂粒子101のゼータ電位はよりプラス側に、非導電性無機粒子102のゼータ電位はよりマイナス側にシフトする傾向にある。有機溶媒のみを用いた場合、有機溶媒と水との混合溶液を用いた場合よりも、樹脂粒子101と非導電性無機粒子102との電位差が大きくなる傾向にある。したがって、有機溶媒のみを用いた場合、非導電性無機粒子102は強い静電気力により樹脂粒子101に強固に接着する傾向にある。結果として、第1層104の形成時等に非導電性無機粒子102が樹脂粒子101から脱落しづらくなる。
【0089】
樹脂粒子101に接着する第1非導電性無機粒子102aの数は、樹脂粒子101の正投影面における樹脂粒子101の直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、40個以上200個以下の範囲内であることが好ましい。第1非導電性無機粒子102aの数が40個以上である場合、樹脂粒子101にて非導電性無機粒子102が接着されていない部分が小さくなるので、導電粒子100aの表面において平滑になる部分が形成されにくくなる。この場合、第1層104の形成時に上記平滑部分を介して導電粒子100a同士が凝集しにくくなるため、導電粒子100aの単分散性が良好となり、絶縁信頼性が向上する傾向にある。第1非導電性無機粒子102aの数が200個以下である場合、樹脂粒子101の表面が非導電性無機粒子102によって適度に覆われ、第1層104の形成時に第1層104が樹脂粒子101の表面と良好に接触する。これにより、第1層104と樹脂粒子101との密着性の低下を抑制し、導電粒子100aが変形した際に第1層104が樹脂粒子101から剥離することを防ぎ、導通信頼性の低下を抑制できる。また、樹脂粒子101上で非導電性無機粒子102が複層化、凝集、又は会合した状態になりにくくなる。この場合、非導電性無機粒子102が樹脂粒子101から脱落して異物となる可能性を低減できる。
【0090】
樹脂粒子101に接着する第2非導電性無機粒子102bの数は、樹脂粒子101の正投影面における樹脂粒子101の直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、5個以上50個以下の範囲内であることが好ましい。第2非導電性無機粒子102bの数が5個以上である場合、例えば、相対向する電極間に導電粒子100aを介在させて電極同士を圧着接続したとき、高温高湿下で保存する際の導電粒子100aを介した当該電極の接続抵抗値の上昇を抑制する傾向にある。第2非導電性無機粒子102bの数が50個以内である場合、非導電性無機粒子102の平均粒径が適度なものになる。この場合、非導電性無機粒子102と樹脂粒子101との電位差を適度なものとし、非導電性無機粒子102の樹脂粒子101から脱落を抑制できる。これにより、導電粒子100aの単分散性が良好となり、当該導電粒子100aの絶縁信頼性が向上する。樹脂粒子101の正投影面における樹脂粒子101の直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、第1非導電性無機粒子102aの数は、第2非導電性無機粒子102bの数の2倍以上であることがより好ましい。
【0091】
<第1層>
第1層104は、ニッケルを主成分として含む導電層である。第1層104の厚さは、例えば、40nm〜200nmである。第1層104の厚さが上記範囲内であると、導電粒子100aが圧縮された場合であっても、第1層104の割れを抑制できる。また、複合粒子103の表面を第1層104により充分に被覆することができる。これにより、非導電性無機粒子102を樹脂粒子101に固着化させ、非導電性無機粒子102の脱落を抑制することが可能となる。この結果、得られる導電粒子100aの一つ一つに好適な大きさの突起109を高密度に形成することが可能となる。第1層104の厚さは、60nm以上でもよい。第1層104の厚さは、150nm以下でもよく、120nm以下でもよい。第1層104は、単層構造でもよいし、積層構造でもよい。本実施形態では、第1層104は2層構造を有する。
【0092】
第1層104の厚さは、透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」という)によって撮影された写真を用いて算出される。具体例として、まず、導電粒子100aの中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で当該導電粒子100aの断面を切り出す。次に、切り出した断面を、TEMを用いて25万倍の倍率で観察して画像を得る。次に、得られた画像から見積もられる第1層104(
図2)の断面積から、第1層104の厚さを算出できる。このとき、第1層104、樹脂粒子101及び非導電性無機粒子102が区別しづらい場合には、TEMに付属するエネルギー分散型X線検出器(以下、「EDX」という)による成分分析を行う。これにより、第1層104、樹脂粒子101及び非導電性無機粒子102を明確に区別し、第1層104のみの厚さを算出する。第1層104の厚さは、導電粒子10個における厚さの平均値とする。
【0093】
第1層104は、ニッケルを主成分とする金属に加えて、リン及びホウ素からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有してもよい。これにより、ニッケルを含有する第1層104の硬度を高めることが可能であり、導電粒子が圧縮されたときの導通抵抗を容易に低く保つことができる。第1層104は、リン又はホウ素と共に、共析する金属を含有していてもよい。第1層104に含有される金属は、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、マンガン、クロム、バナジウム、モリブデン、パラジウム、錫、タングステン及びレニウムである。第1層104は、ニッケル及び上記金属を含有することによって、第1層104の硬度を高めることができる。これにより、導電粒子100aが圧縮された場合であっても、非導電性無機粒子102の上部に形成された部分(突起109)が押しつぶされることを抑制できる。上記金属は、高い硬度を有するタングステンを含んでもよい。第1層104の構成材料としては、例えば、ニッケル(Ni)及びリン(P)の組み合わせ、ニッケル(Ni)及びホウ素(B)の組み合わせ、ニッケル(Ni)、タングステン(W)及びホウ素(B)の組み合わせ、並びに、ニッケル(Ni)及びパラジウム(Pd)の組み合わせが好ましい。
【0094】
第1層104を後述する無電解ニッケルめっきにより形成する場合、例えば、還元剤として次亜リン酸ナトリウム等のリン含有化合物を用いてもよい。この場合、リンを共析させることが可能であり、ニッケル−リン合金を含有する第1層104を形成することができる。還元剤として、例えば、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム等のホウ素含有化合物を用いてもよい。この場合、ホウ素を共析させることが可能であり、ニッケル−ホウ素合金を含有する第1層104を形成することができる。ニッケル−ホウ素合金の硬度はニッケル−リン合金よりも高い。そのため、還元剤としてホウ素含有化合物を用いた場合、導電粒子100aを圧縮した場合であっても非導電性無機粒子102の上部に形成された突起109が押しつぶされることを良好に抑制できる。
【0095】
第1層104は、複合粒子103の表面から遠ざかるにつれてニッケルの濃度(含有量)が高くなる濃度勾配を有してもよい。このような構成により、導電粒子100aが圧縮された場合であっても低い導通抵抗を保つことができる。この濃度勾配は、連続的であってもよく、非連続的であってもよい。ニッケルの濃度勾配が非連続的である場合、複合粒子103の表面に、第1層104としてニッケルの含有量が異なる複数の層を設けてもよい。この場合、複合粒子103から遠い側に設けられる層のニッケルの濃度が高くなる。
【0096】
第1層104におけるニッケルの含有量は、第1層104の厚さ方向において表面に近づくにつれて高くなる。第1層104の表面側の層におけるニッケルの含有量は、例えば、99質量%〜97質量%になっている。上記表面側の層の厚さは、例えば、5〜60nmである。当該層の厚さは、10〜50nmでもよく、15〜40nmでもよい。上記表面側の層の厚さが5nm以上である場合、第1層104の接続抵抗値が低くなる傾向にある。一方、表面側の層の厚さが60nm以下である場合、導電粒子100aの単分散率がより向上する傾向にある。したがって、第1層104の表面側の層におけるニッケルの含有量が99質量%〜97質量%になっており、且つ上記表面側の層の厚さが5〜60nmである場合、第1層104をより低抵抗化しやすくなる。加えて、導電粒子100a同士の凝集をより抑制して、高い絶縁信頼性を得やすくなる。
【0097】
第1層104の厚さ方向において複合粒子103側には、ニッケルの含有量が97質量%以下である層が形成されていてもよい。この複合粒子103側の層のニッケルの含有料は、95質量%以下でもよく、94質量%以下でもよい。複合粒子103側の層の厚さは、20nm以上でもよく、40nm以上でもよく、50nm以上でもよい。特に、第1層104の複合粒子103側に94質量%以下の層を20nm以上形成すると、導電粒子100a同士は磁性の影響を受けにくくなり、当該導電粒子100a同士の凝集が抑制される傾向にある。
【0098】
第1層104における元素の種類及び当該元素の含有量は、例えば、ウルトラミクロトーム法で導電粒子の断面を切り出した後、TEMに付属するEDXによって成分分析を行うことによって測定できる。
【0099】
<無電解ニッケルめっき>
本実施形態においては、第1層104は、無電解ニッケルめっきにより形成される。この場合、無電解ニッケルめっき液は、水溶性ニッケル化合物を含む。無電解ニッケルめっき液は、安定剤(例えば、硝酸ビスマス)、錯化剤、還元剤、pH調整剤及び界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種の化合物を更に含んでもよい。
【0100】
水溶性ニッケル化合物としては、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル等の水溶性ニッケル無機塩;酢酸ニッケル、リンゴ酸ニッケル等の水溶性ニッケル有機塩などが用いられる。水溶性ニッケル化合物は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0101】
無電解ニッケルめっき液における水溶性ニッケル化合物の濃度は、0.001〜1mol/Lが好ましく、0.01〜0.3mol/Lがより好ましい。水溶性ニッケル化合物の濃度が上記範囲内であることで、めっき被膜の析出速度を充分に得ることができると共に、めっき液の粘度が高くなりすぎることを抑制してニッケル析出の均一性を高めることができる。
【0102】
錯化剤としては、錯化剤として機能するものであればよく、具体的には、エチレンジアミンテトラ酢酸;エチレンジアミンテトラ酢酸のナトリウム塩(例えば、1−,2−,3−及び4−ナトリウム塩);エチレンジアミントリ酢酸;ニトロテトラ酢酸、そのアルカリ塩;グリコン酸、酒石酸、グルコネート、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、ピロリン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、これらのアルカリ塩(例えば、ナトリウム塩);トリエタノールアミングルコノ(γ)−ラクトン等が挙げられる。錯化剤は、上記以外の材料を用いてもよい。錯化剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0103】
無電解ニッケルめっき液における錯化剤の濃度は、通常、0.001〜2mol/Lが好ましく、0.002〜1mol/Lがより好ましい。錯化剤の濃度が上記範囲内であることで、めっき液中の水酸化ニッケルの沈殿及びめっき液の分解を抑制しつつめっき被膜の充分な析出速度を得ることができると共に、めっき液の粘度が高くなりすぎることを抑制してニッケル析出の均一性を高めることができる。錯化剤の濃度は、種類によって異なってもよい。
【0104】
還元剤としては、無電解ニッケルめっき液に用いられる公知の還元剤を用いることができる。還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等の次亜リン酸化合物;水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン等の水素化ホウ素化合物;ヒドラジン類などが挙げられる。
【0105】
無電解ニッケルめっき液における還元剤の濃度は、通常、0.001〜1mol/Lが好ましく、0.002〜0.5mol/Lがより好ましい。還元剤の濃度が上記範囲内であると、めっき液中でのニッケルイオンの還元速度を充分に得つつ、めっき液の分解を抑制することができる。還元剤の濃度については、還元剤の種類によっても異なってもよい。
【0106】
pH調整剤としては、例えば、酸性のpH調整剤及びアルカリ性のpH調整剤が挙げられる。酸性のpH調整剤としては、塩酸;硫酸;硝酸;リン酸;酢酸;ギ酸;塩化第2銅;硫酸第2鉄等の鉄化合物;アルカリ金属塩化物;過硫酸アンモニウム;これらを1種以上含む水溶液;クロム酸、クロム酸−硫酸、クロム酸−フッ酸、重クロム酸、重クロム酸−ホウフッ酸等の酸性の6価クロムを含む水溶液などが挙げられる。アルカリ性のpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物;アルカリ土類金属の水酸化物;エチレンジアミン、メチルアミン、2−アミノエタノール等のアミノ基を含有する化合物;これらを1種以上含む溶液などが挙げられる。
【0107】
界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、これらの混合物等を用いることができる。
【0108】
<無電解ニッケルめっきの前処理>
第1層104を上述した無電解ニッケルめっきにより形成する場合、複合粒子103に対して予め前処理としてパラジウム触媒化処理してもよい。パラジウム触媒化処理は、公知の方法で行うことができる。その方法は特に限定されないが、例えば、アルカリシーダ又は酸性シーダと呼ばれる触媒化処理液を用いた触媒化処理方法が挙げられる。
【0109】
アルカリシーダを用いた触媒化処理方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、2−アミノピリジンが配位したパラジウムイオンを含む溶液に樹脂粒子を浸漬させることで樹脂粒子表面にパラジウムイオンを吸着させる。水洗後、パラジウムイオンが吸着した樹脂粒子を、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン等の還元剤を含む溶液中に分散させて還元処理を行う。これにより、樹脂粒子表面に吸着したパラジウムイオンを金属のパラジウムに還元する。
【0110】
酸性シーダを用いた触媒化処理方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、樹脂粒子を塩化第一錫溶液に分散させ、錫イオンを樹脂粒子表面に吸着させる感受性化処理を行った後、水洗する。次に、塩化パラジウムを含む溶液に分散させ、パラジウムイオンを樹脂粒子表面に捕捉させる活性化処理を行う。水洗後、次亜リン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン等の還元剤を含む溶液中に分散させて還元処理を行う。これにより、樹脂粒子表面に吸着したパラジウムイオンを金属のパラジウムに還元する。
【0111】
アルカリシーダと酸性シーダとを比較すると、溶液のpHの観点から酸性シーダの方が好ましい。上述したように、樹脂粒子101そのもののゼータ電位は、pHが低い程プラスにシフトするので、酸性シーダの使用が好ましい。一方、非導電性無機粒子102のゼータ電位は、pHが高いほどマイナスにシフトするので、アルカリシーダの使用が好ましい。ここで、樹脂粒子101と非導電性無機粒子102とのゼータ電位の差を考慮すると、pHが低いほどゼータ電位の差が大きくなる傾向にある。酸性シーダを使用することにより、非導電性無機粒子102を静電気力により樹脂粒子101に強固に接着された状態を維持できる傾向にある。
【0112】
アルカリシーダを使用する場合、疎水化処理剤にアミノ基、カルボン酸基、水酸基、スルフォン酸基、グリシジル基、及びニトリル基からなる群から選ばれる少なくとも一種を有していることが好ましい。例えば、カルボン酸基及び水酸基のH
+は、pH7以上において解離し、非導電性無機粒子102のゼータ電位は、よりマイナス側にシフトする。ただし、樹脂粒子101のゼータ電位もpHにより変動するため、樹脂粒子101と非導電性無機粒子102とのゼータ電位の差が大きく保てるように、シーダの種類を選ぶことが好ましい。
【0113】
これらのパラジウム触媒化処理方法では、パラジウムイオンを表面に吸着させた後に水洗し、さらに、還元剤を含む溶液に分散させる。これにより、複合粒子103の表面に吸着したパラジウムイオンを還元することにより、原子レベルの大きさのパラジウム析出核を形成することができる。
【0114】
<突起>
導電粒子100aにおける突起109の面積は、導電粒子100aの正投影面において、導電粒子100aの直径の1/2の直径を有する同心円内の突起109の面積、もしくは、隣接する突起109同士の間の谷により区切られる各突起109の輪郭の面積を意味する。突起109の直径(外径)は、導電粒子100aの正投影面において、導電粒子100aの直径の1/2の直径を有する同心円内に存在する突起109について算出され、当該突起109の面積と同一の面積を有する真円の直径を意味する。具体的には、導電粒子100aをSEMにより3万倍で観察して得られる画像を解析し、突起109の輪郭を画定することにより、各突起の面積を求める。そしてこの面積から直径を算出する。
【0115】
突起109の面積の割合(被覆率)は、導電粒子100aの正投影面において、導電粒子100aの直径の1/2の直径を有する同心円の全面積を分母とし、導電粒子100aの直径の1/2の直径を有する同心円内の突起109の面積の総和を分子として割り出された100分率で示すことができる。突起109の面積の割合(被覆率)は、50%以上でもよく、65%以上でもよく、80%以上でもよい。突起109による被覆率が上記範囲内であると、導電粒子100aが高湿下におかれた場合であっても、その導通抵抗が増加しにくくなる。
【0116】
突起109の最適な直径(外径)の大きさと、突起109による被覆率の最適な割合とは、樹脂粒子101及び非導電性無機粒子102の直径の大きさによって異なる。いずれの非導電性無機粒子102(第1非導電性無機粒子102a及び第2非導電性無機粒子102b)を用いても、非導電性無機粒子102による樹脂粒子101の被覆率を20〜80%とすることで、突起109による被覆率を50%以上にすることが可能である。
【0117】
導電粒子100aの突起109を、例えば、直径が50nm以上100nm未満の第1突起と、直径が100nm以上200nm未満の第2突起と、200nm以上350nm以下の第3突起とに分類する。この場合、導電粒子100aの正投影面における導電粒子100aの直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、導電粒子100aは、第1突起及び第2突起をそれぞれ20個以上(合計40個以上)有している。導電粒子100aは、第1突起及び第2突起をそれぞれ40個以上(合計80個以上)有してもよい。導電粒子100aの正投影面における導電粒子100aの直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、導電粒子100aは、第3突起を5個以上20個以下有している。導電粒子100aの表面においては、直径が200nm以上350nm以下の第3突起が5個以上20個以下の範囲で形成されている箇所以外の部分が、全て又はほぼ全て、直径が200nm未満の第1突起又は第2突起により形成されていることが好ましい。
【0118】
導電粒子100aに含まれる直径200nm未満の第1突起及び第2突起の合計が40個以上であることにより、樹脂粒子101にて非導電性無機粒子102が接着されていない部分が好適に小さくなる。これにより、第1層104が形成されると、導電粒子100aに平滑な表面が形成されにくくなる。この場合、第1層104の形成時に上記部分を介して導電粒子100a同士が凝集しにくくなる。したがって、第1突起及び第2突起の合計が40個以上であることにより、導電粒子100aの単分散性の低下を抑制し、絶縁信頼性の低下を防ぐ傾向にある。直径が200nm以上350nm以下の第3突起が5個以上である場合、例えば、相対向する電極間に導電粒子100aを介在させて電極同士を圧着接続したとき、高温高湿下で保存すると導電粒子100aを介した当該電極の接続抵抗値が上昇しにくい傾向にある。
【0119】
導電粒子100aに、直径200nm以上350nm以下の第3突起を20個よりも多く形成するためには、直径が90nm以上150nm以下の非導電性無機粒子102を50個よりも多く樹脂粒子101に接着させる必要がある。この場合、上述したように非導電性無機粒子102が樹脂粒子101から脱落しやすくなるので、第1層104形成時に導電粒子100a同士が凝集しやすくなってしまう。
【0120】
ここで、非導電性無機粒子102として第1非導電性無機粒子102a又は第2非導電性無機粒子102bを単独で用いた場合、導電粒子100aには以下に示す問題が生じやすい。
【0121】
平均粒径25〜70nmの範囲であって変動係数20%未満の第1非導電性無機粒子102aを単独で用いた場合、突起109全体に対する第1突起及び第2突起の割合が95%以上を占め、第3突起は形成されない、又は第3突起の数は5個未満になる。この場合、突起109の高さが低いものが多くなるため、導通信頼性を確保しづらい。例えば、第1非導電性無機粒子102aの平均粒径を70nmとし、直径200nm以上350nm以下の第3突起が5個以上形成できたとしても、導電粒子100aを圧縮したときに第1非導電性無機粒子102a上部に形成された突起となる第1層104が変形してしまう。この場合、導電粒子100aを含む異方導電性接着剤を用いた接続構造体等は、初期状態においては低い接続抵抗値を示すものの、高温高湿下で保存すると上記接続抵抗値が上昇してしまう傾向にある。このような理由から、導電粒子100aにおいては平均粒径が90nm以上150nm以下の第2非導電性無機粒子102bを核とし、200nm以上の突起を5個以上20個未満形成させる。これにより、圧縮しても突起109の潰れを抑えることができ、上記接続構造体等を高温高湿下で保存した場合であっても上記接続抵抗値の上昇を抑えることができる。
【0122】
平均粒径90nm以上150nm以下の範囲であって変動係数20%未満の第2非導電性無機粒子102bを単独で用いた場合、非導電性無機粒子102全体の平均粒径が大きくなり、上述したように非導電性無機粒子102が樹脂粒子101から脱落しやすくなる。これにより、第1層104の形成時に平滑な第1層104の部分が形成され、導電粒子100a同士が凝集しやすくなるため、当該導電粒子100aの単分散性が低下し、且つ導電粒子100aの絶縁信頼性が低下する問題が生じる。さらに、第3突起を5個以上20個未満形成できたとしても、導電粒子100aの表面における突起109の直径のばらつきが生じやすくなる。この場合、導電粒子100aを含む異方導電性接着剤を用いた接続構造体等の電極間に捕捉される粒子の個数が低減されると、電極に接触する突起109の数が導電粒子100a間でばらつく。このため、第1非導電性無機粒子102aのみを用いたときと同様に、接続抵抗値が上昇する傾向にある。
【0123】
一方、第1非導電性無機粒子102a及び第2非導電性無機粒子102bを組み合わせて用いると、第1層104の形成時に複合粒子103に平滑部分がほとんどなくなるので、導電粒子100a同士の凝集が抑えられる。このため、導電粒子100aの単分散性が向上し、良好な絶縁信頼性を得られる。特に、樹脂粒子101の正投影面における樹脂粒子101の直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、第1非導電性無機粒子102aを樹脂粒子101に40個以上200個以下の範囲で接着させる。すると、当該第1非導電性無機粒子102aを核として、第1突起を20個以上、且つ第2突起を20個以上の範囲で、安定して形成可能になる。第2非導電性無機粒子102bを、樹脂粒子101の正投影面における樹脂粒子101の直径の1/2の直径を有する同心円内において、樹脂粒子101に5個以上50個以下の範囲で接着させる。すると、当該第2非導電性無機粒子102bを核として形成された第3突起を5個以上20個以下の範囲で、安定して形成可能になる。この場合、上述した問題が解決できると共に、例えば、相対向する電極間に導電粒子100aを介在させて電極同士を圧着接続したとき、充分低い導通抵抗を得ることができ、優れた導通信頼性及び絶縁信頼性を高度に両立することができる。
【0124】
<導電粒子の単分散率>
導電粒子100aの単分散率は、96.0%以上でもよく、98.0%以上でもよい。導電粒子100aの単分散率が上記範囲内であることにより、例えば、吸湿試験後において高い絶縁信頼性を得ることができる。導電粒子100aの単分散率は、例えば、50,000個の導電粒子を用いて、COULER MULTISIZER II(ベックマン・コールター株式会社製、商品名)により測定することができる。
【0125】
<導電粒子の製造方法>
次に、第1実施形態に係る導電粒子100aの製造方法を説明する。まず、第1工程として、樹脂粒子101をカチオン性ポリマーによって被覆する(第1被覆工程)。第1工程では、水酸基等を表面に有する樹脂粒子101をカチオン性ポリマー溶液中に分散することにより、当該樹脂粒子101をカチオン性ポリマーにて被覆する。
【0126】
次に、第2工程として、第1非導電性無機粒子102a及び第2非導電性無機粒子102b(以下では、単に非導電性無機粒子102とする)の表面を疎水化処理剤によって被覆する(第2被覆工程)。疎水化処理剤による非導電性無機粒子102の被覆は、水、有機溶媒、もしくは、水と水溶性の有機溶媒との混合溶液中、又は、気相中にて行われる。使用できる水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ジメチルホルムアミド及びアセトニトリルが挙げられる。疎水化処理剤があらかじめ被覆された非導電性無機粒子を購入し、非導電性無機粒子102として使用してもよい。
【0127】
次に、第3工程として、樹脂粒子101の表面に非導電性無機粒子102を配置・接着し、複合粒子103を形成する。樹脂粒子101への非導電性無機粒子102の接着は、例えば、有機溶媒、又は、水と水溶性の有機溶媒との混合溶液により処理を行う。有機溶媒のみを用いて非導電性無機粒子102を樹脂粒子101に接着させることが好ましい。樹脂粒子101と非導電性無機粒子102とのゼータ電位の差を考慮すると、水を含んだ有機溶媒を用いる場合よりも、有機溶媒のみを用いた場合のほうが、非導電性無機粒子102と樹脂粒子101とのゼータ電位の差は大きくなる。非導電性無機粒子102と樹脂粒子101との間により強い静電気力が働くと、非導電性無機粒子102が樹脂粒子101に強固に接着することが可能となる。結果として、無電解ニッケルめっきを行うための前処理工程、及び無電解ニッケルめっき工程において、非導電性無機粒子102が脱落しづらくなる。
【0128】
第3工程では、樹脂粒子101の正投影面における樹脂粒子101の直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、第1非導電性無機粒子102aを40個以上200個以内、第2非導電性無機粒子102bを5個以上50個以内の範囲で樹脂粒子101に接着させる。このとき、上記表面にて第1非導電性無機粒子102aの数は、第2非導電性無機粒子102bの数の2倍以上であってもよい。
【0129】
次に、第4工程として、無電解めっきにより複合粒子103を金属層によって被覆し、導電粒子100aを形成する。第4工程では、ニッケルを含有する第1層104を金属層とし、当該第1層104によって複合粒子103の表面全体(すなわち、樹脂粒子101及び非導電性無機粒子102の露出する面全体)を被覆する。このとき、樹脂粒子101の正投影面における樹脂粒子101の直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、当該導電粒子100aは、第1突起及び第2突起をそれぞれ20個以上有しており、第3突起を5個以上20個以下有している。
【0130】
第4工程では、第1層104を無電解ニッケルめっきにより形成するための前処理工程として、複合粒子103に対してパラジウム触媒化処理を行ってもよい。パラジウム触媒化処理は、公知の方法で行うことができ、例えば、上述したアルカリシーダ又は酸性シーダと呼ばれる触媒化処理液を用いた触媒化処理方法にて行われる。あらかじめ、樹脂粒子101の表面に非導電性無機粒子102を配置しても、周囲のpHの影響を受けて、樹脂粒子101と非導電性無機粒子102とのゼータ電位は変化する。
【0131】
酸性シーダを用いた場合、触媒化処理液のpHが1程度になる。この場合、樹脂粒子101のゼータ電位の測定値と、非導電性無機粒子102のゼータ電位の測定値との差の絶対値は50mV以上になる。このため、疎水化処理剤が被覆された非導電性無機粒子102が脱落しづらくなる。一方、一般的に使用されるアルカリシーダを用いた場合、触媒化処理液のpHが10〜11になる。この場合、樹脂粒子101のゼータ電位の測定値と、非導電性無機粒子102のゼータ電位の測定値との差の絶対値は30〜50mV程度になる。このため、上記前処理工程において、非導電性無機粒子102が樹脂粒子101から脱落しやすくなる。
【0132】
以上に説明した第1実施形態に係る導電粒子100aの作用効果について、上記特許文献1〜3と比較しながら説明する。上記特許文献1、2に記載の方法に従って導電粒子を形成した場合、当該導電粒子における突起の数、大きさ及び形状を制御することは困難となっており、これらの導電粒子を用いた接着剤等の抵抗値が高くなる傾向にあった。このため、上記特許文献1、2に記載の導電粒子の導電性を高めようとした場合、長さが500nmを超える異常な大きさの突起(異常突起)が当該導電粒子の表面に形成される傾向にあった。このような異常突起(異常析出部)を有する導電粒子を用いた接着剤においては、絶縁信頼性が低下する傾向にあった。特に、特許文献2に記載の方法に従って導電粒子を形成する場合、導電粒子の電気抵抗値を下げるためには、基材となる微粒子の表面に充分な量の芯物質を付着させる必要がある。しかしながら、この芯物質の付着量を増やすと、芯物質自体が微粒子の表面にて凝集し、異常突起が形成されやすい傾向にある。
【0133】
特許文献3に記載の方法では、樹脂粒子の表面に芯物質となる非導電性物質を化学結合により吸着させて複合粒子を形成する。この複合粒子に金属層を被覆するために、無電解ニッケルめっきを行うための前処理工程を、又は、無電解ニッケルめっき工程を行うと、非導電性物質が樹脂粒子から脱落してしまう。このため、複合粒子における突起の数、大きさ及び形状を制御することは困難となっており、これらの導電粒子を用いた接着剤などの抵抗値が高くなる傾向にあった。さらに、無電解ニッケルめっき工程時において、ニッケルが析出した非導電性物質が脱落すると、金属異物の発生源となる。この金属異物が複合粒子に再付着した場合、異常突起(異常析出部)が形成されることがある。さらには、上記金属異物そのものが接着剤に含有されることにより、絶縁信頼性低下の要因となることがあった。
【0134】
これらの特許文献1〜3に対して、第1実施形態に係る製造方法によって形成された導電粒子100aは、樹脂粒子101、及び当該樹脂粒子101の表面に配置された非導電性無機粒子102を有する複合粒子103と、複合粒子103を覆う第1層104と、を備えており、第1層104は、非導電性無機粒子102を核として、その外表面に突起109を有している。また、非導電性無機粒子102は、樹脂粒子101の正投影面における樹脂粒子101の直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、直径が70nm未満の第1非導電性無機粒子102aを40個以上200個以下有し、直径が90nm以上150nm以下の第2非導電性無機粒子102bを5個以上50個以下有している。換言すると、突起109は、導電粒子100aの直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、直径が50nm以上100nm未満の第1突起を20個以上有し、直径が100nm以上200nm未満の第2突起を20個以上有し、直径が200nm以上350nm以下の第3突起を5個以上20個以下有している。
【0135】
この導電粒子100aによれば、非導電性無機粒子102を核として形成される突起109の大きさ及び数を好適な範囲におさめることができる。このため、導電粒子100aの突起109は、接続対象となる電極面等に安定して接触できる程度の大きさ(高さ)を有する。また、導電粒子100aにおいて極端に大きな(高い)突起109の数を少なくでき、導電粒子100a同士の距離が一定に保たれる。加えて、突起109の核となる非導電性無機粒子102が樹脂粒子101同士の凝集を抑えることにより、導電粒子100aは、良好な分散性を有する。したがって、上記導電粒子100aを異方導電性接着剤に配合することによって、優れた導通信頼性及び絶縁信頼性を高度に両立することができる。
【0136】
樹脂粒子101の正投影面における樹脂粒子101の直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、第1非導電性無機粒子102aの数は、第2非導電性無機粒子102bの数の2倍以上であってもよい。この場合、第1非導電性無機粒子102aよりも大きな第2非導電性無機粒子102bが存在することによって、樹脂粒子101同士の凝集が抑制されやすくなる。これにより、単分散性に優れた導電粒子100aを得やすくなり、絶縁信頼性がより安定した導電粒子100aが得られる傾向にある。また、第2非導電性無機粒子102bにより形成されるより大きな突起109によって、より安定した接続信頼性も確保しやすくなる傾向にある。
【0137】
第1非導電性無機粒子102aは、平均粒径25〜70nmの範囲であって変動係数20%未満であってもよく、第2非導電性無機粒子102bは、平均粒径90〜130nmの範囲であって変動係数20%未満であってもよい。この場合、第1非導電性無機粒子102a及び第2非導電性無機粒子102bのそれぞれに求められる性能を十分に発揮できる。また、非導電性無機粒子102の平均粒径のばらつきが小さいため、導電粒子100aの表面の突起109の形状(高さ、面積等)が揃いやすい。これにより、例えば、対向電極間で導電粒子100aが変形した場合に、それぞれの突起109が電極に均一に接触しやすくなり、より安定した導通信頼性が得られる傾向にある。さらに、突起109の高さのばらつきが減少するため、隣接する電極間に存在する導電粒子100a間の距離のばらつきが減少し、より安定した絶縁信頼性が得られる傾向にある。本明細書において変動係数とは、CVとも呼称する。この変動係数は、平均粒径に対する粒径の標準偏差の比をパーセンテージで表したものを意味する。
【0138】
非導電性無機粒子102の表面が、疎水化処理剤により被覆され、樹脂粒子101がポリカチオン性ポリマーによって被覆されてもよい。この場合、非導電性無機粒子102の表面のゼータ電位は、疎水化によりマイナスにシフトするとともに、樹脂粒子101の表面のゼータ電位がプラスにシフトする。これにより、樹脂粒子101と非導電性無機粒子102との間に静電気力が働き、当該非導電性無機粒子102が樹脂粒子101から脱落しにくくなる。したがって、異常析出部の発生を抑え、導電粒子100aを作製する際に金属異物の発生を低減できる。
【0139】
疎水化処理剤は、シラザン系疎水化処理剤、シロキサン系疎水化処理剤、シラン系疎水化処理剤、及びチタネート系疎水化処理剤からなる群より選ばれる。
【0140】
疎水化処理剤は、ヘキサメチ
ルジシラザン、ポリジメチルシロキサン、及びN,N−ジメチルアミノトリメチルシランからなる群より選ばれてもよい。
【0141】
メタノール滴定法による非導電性無機粒子102の疎水化度は、例えば、30%以上である。この場合、非導電性無機粒子102と樹脂粒子101との間に十分な静電気力が働く。
【0142】
樹脂粒子101と非導電性無機粒子102とのゼータ電位の差は、例えば、pH1以上pH11以下において30mV以上である。この場合、樹脂粒子101と非導電性無機粒子102とが静電気力により強固に接着する。したがって、導電粒子100aにおける第1層104を形成するための前処理工程、第1層104の形成工程等の際に、樹脂粒子101から非導電性無機粒子102が脱落することを好適に抑制できる。
【0143】
カチオン性ポリマーは、ポリアミン、ポリイミン、ポリアミド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール及びポリビニルピロリドンからなる群より選ばれる。
【0144】
カチオン性ポリマーは、ポリエチレンイミンであってもよい。この場合、カチオン性ポリマーの電荷密度が高くなるので、非導電性無機粒子102の脱落を良好に抑制できる。
【0145】
樹脂粒子の平均粒径は、例えば、1μm以上10μm以下である。例えば、導電粒子100aを含む異方導電性接着剤を用いて接続構造体を作製した際に、当該接続構造体の電極の形状(高さ)のばらつきによって、当該異方導電性接着剤の導電性等が変化しにくくなる。
【0146】
非導電性無機粒子102は、シリカ、ジルコニア、アルミナ、及びダイヤモンドからなる群より選ばれる。
【0147】
金属層は、ニッケルを含有する第1層104を有する。加えて、当該第1層104は、無電解めっきにより複合粒子103を被覆する層である。この場合、導電粒子100aの硬度を高めることができる。これにより、当該導電粒子100aが圧縮された場合であっても、非導電性無機粒子102上に形成されて突起部分となった第1層104は、押し潰されにくくなる。したがって、導電粒子100aは、低い導通抵抗を得ることができる。
【0148】
金属層の第1層104は、複数の導電層を有してもよい。これらの導電層における厚さ、組成、形状の少なくとも一つが互いに異なってもよい。例えば、第1層104に置いて主成分となる金属の含有量は、第1層104の厚さ方向において表面に近づくにつれて高くなってもよい。このような複数の導電層を有する第1層104を形成するために、複数のめっき液を用いてもよい。例えば、析出する金属濃度が異なるめっき液を用いることによって、容易に複数の導電層を有する第1層104を形成できる。
【0149】
第1層104は、例えば、第1めっき液の投入の後に、又は、第1めっき液の投入の終了前に当該第1めっき液よりも析出する金属濃度が異なる(高い)第2めっき液を投入し始めることによって形成されてもよい。この場合、厚さ方向における金属濃度が表面に向かって徐々に変化する(高くなる)第1層104を形成できる。また、異なる組成の複数の導電層を個別に形成する工程が不要になるので、短時間で第1層104を形成できる。
【0150】
(第2実施形態)
以下では、第2実施形態に係る導電粒子について説明する。第2実施形態の説明において第1実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第2実施形態に第1実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0151】
図3は、第2実施形態に係る導電粒子を示す模式断面図である。
図3に示す導電粒子100bは、第1層104上に設けられる第2層105を有する点以外は、
図1に示される導電粒子100aと同様の構成を有している。第2層105は、金属層でもよいし、合金層でもよい。
【0152】
<第2層>
第2層105は、第1層104を被覆して設けられる導電層である。第2層105の厚さは、例えば、5nm〜100nmである。第2層105の厚さは、5nm以上でもよく、10nm以上でもよい。第2層105の厚さは、30nm以下でもよい。第2層105の厚さが上記範囲内である場合、第2層105を形成する場合に当該第2層105の厚さを均一にできる、これにより、第1層104に含有される元素(例えば、ニッケル)が、第2層105とは反対側の表面へ拡散することを良好に防止できる。
【0153】
第2層105の厚さは、TEMによって撮影された写真を用いて算出される。具体例として、まず、導電粒子100bの中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で導電粒子100bの断面を切り出す。次に、切り出した断面を、TEMを用いて25万倍の倍率で観察して画像を得る。次に、得られた画像から見積もられる第2層105(
図4)の断面積から、第2層105の厚さを算出できる。このとき、第2層105、第1層104、樹脂粒子101及び非導電性無機粒子102を区別しづらい場合には、TEMに付属するEDXによる成分分析による成分分析を行う。これにより、第2層105、第1層104、樹脂粒子101及び非導電性無機粒子102を明確に区別し、第2層105のみの厚さを算出する。第2層105の厚さは、導電粒子10個における厚さの平均値とする。
【0154】
第2層105は、貴金属及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する。貴金属は、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、白金、銀、及び金である。第2層105が金を含有する場合、導電粒子100bの表面における導通抵抗を下げ、導電粒子100bの導電特性を向上できる。この場合、第2層105は、ニッケルを含有する第1層104の酸化防止層として機能する。そのため、第2層105は、第1層104上に形成される。金を含有する場合の第2層105の厚さは、30nm以下でもよい。この場合、導電粒子100bの表面における導通抵抗の低減効果と製造コストとのバランスに優れる。しかしながら、金を含有する場合の第2層105の厚さは、30nmを超えていてもよい。
【0155】
第2層105は、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム及び白金からなる群より選ばれる少なくとも一種から構成されることが好ましい。この場合、導電粒子100bの表面の酸化を抑制し、且つ導電粒子100bの絶縁信頼性を向上できる。第2層105は、パラジウム、ロジウム、イリジウム及びルテニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種から構成されることがより好ましい。この場合、導電粒子100bを圧縮した場合であっても、非導電性無機粒子102上に形成される突起109になる第1層104が押しつぶされることが抑制され、圧縮された導電粒子100bの抵抗増加が抑制される。第2層105は、例えば、第1実施形態の第4工程にて第1層104を形成した後、無電解めっきにて、当該第1層104によって覆われた複合粒子103上に形成される。
【0156】
<パラジウム>
第2層105がパラジウムを含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解パラジウムめっきによって形成することできる。無電解パラジウムめっきは、還元剤を用いない置換型、及び、還元剤を用いる還元型のいずれを用いてもよい。このような無電解パラジウムめっき液としては、置換型ではMCA(株式会社ワールドメタル製、商品名)等が挙げられる。還元型ではAPP(石原ケミカル株式会社製、商品名)等が挙げられる。置換型と還元型とを比較した場合、生じるボイドが少なく、被覆面積を確保し易い観点から、還元型が好ましい。
【0157】
第2層105がパラジウムを含有する場合、第2層105におけるパラジウムの含有量の下限は、第2層105の全量を基準として、90質量%以上でもよく、93質量%以上でもよく、94質量%以上でもよい。第2層105におけるパラジウムの含有量の上限は、第2層105の全量を基準として、99質量%以下でもよく、98質量%以下でもよい。第2層105におけるパラジウムの含有量が上記範囲内である場合、第2層105の硬度が高くなる。このため、導電粒子100bを圧縮した場合であっても突起109が押しつぶされることが抑制される。
【0158】
第2層105におけるパラジウムの含有量を調整するため(例えば、93〜99質量%に調整するため)に、無電解パラジウムめっき液に用いられる還元剤としては、特に制限はないが、次亜リン酸、亜リン酸、これらのアルカリ塩等のリン含有化合物;ホウ素含有化合物などを用いることができる。その場合は、得られる第2層105がパラジウム−リン合金又はパラジウム−ホウ素合金を含む。このため、第2層105におけるパラジウム含有量が所望の範囲となるように、還元剤の濃度、pH、めっき液の温度等を調整することが好ましい。
【0159】
<ロジウム>
第2層105がロジウムを含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解ロジウムめっきによって形成することできる。無電解ロジウムめっき液に用いるロジウムの供給源としては、例えば、水酸化アンミンロジウム、硝酸アンミンロジウム、酢酸アンミンロジウム、硫酸アンミンロジウム、亜硫酸アンミンロジウム、アンミンロジウム臭化物、及び、アンミンロジウム化合物が挙げられる。
【0160】
無電解ロジウムめっき液に用いる還元剤としては、例えば、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、ホウ酸ジメチルアミン、ホウ酸ジエチルアミン及び水素化硼素ナトリウムが挙げられる。還元剤としては、ヒドラジンが好ましい。無電解ロジウムめっき液中に、安定剤又は錯化剤(水酸化アンモニウム、ヒドロキシルアミン塩、二塩化ヒドラジン等)を添加してもよい。
【0161】
無電解ロジウムめっき液の温度(浴温)は、充分なめっき速度を得る観点から、40℃以上でもよく、50℃以上でもよい。めっき液の温度は、無電解ロジウムめっき液を安定に保持する観点から、90℃以下でもよく、80℃以下でもよい。
【0162】
<イリジウム>
第2層105がイリジウムを含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解イリジウムめっきによって形成することできる。無電解イリジウムめっき液に用いるイリジウムの供給源としては、例えば、三塩化イリジウム、四塩化イリジウム、三臭化イリジウム、四臭化イリジウム、六塩化イリジウム三カリウム、六塩化イリジウム二カリウム、六塩化イリジウム三ナトリウム、六塩化イリジウム二ナトリウム、六臭化イリジウム三カリウム、六臭化イリジウム二カリウム、六ヨウ化イリジウム三カリウム、トリス硫酸二イリジウム、及び、ビス硫酸イリジウムが挙げられる。
【0163】
無電解イリジウムめっき液に用いる還元剤としては、例えば、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、ホウ酸ジメチルアミン、ホウ酸ジエチルアミン、及び、水素化硼素ナトリウムが挙げられる。還元剤としては、ヒドラジンが好ましい。無電解イリジウムめっき液中に、安定剤又は錯化剤を添加してもよい。
【0164】
安定剤又は錯化剤としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも一種を添加してもよい。モノカルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等が挙げられる。ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸等が挙げられる。上記塩としては、例えば、上記カルボン酸に対してナトリウム、カリウム、リチウム等が対イオンとして結合している化合物が挙げられる。安定剤又は錯化剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0165】
無電解イリジウムめっき液のpHは、めっき対象物の腐食を抑制すると共に、充分なめっき速度を得る観点から、1以上でもよく、2以上でもよい。無電解イリジウムめっき液のpHは、めっき反応の阻害が抑制され易い観点から、6以下でもよく、5以下でもよい。
【0166】
無電解イリジウムめっき液の温度(浴温)は、充分なめっき速度を得る観点から、40℃以上でもよく、50℃以上でもよい。無電解イリジウムめっき液の温度(浴温)は、無電解イリジウムめっき液を安定に保持する観点から、90℃以下でもよく、80℃以下でもよい。
【0167】
<ルテニウム>
第2層105がルテニウムを含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解ルテニウムめっきによって形成することできる。無電解ルテニウムめっき液としては、例えば、市販のめっき液を用いることが可能であり、無電解ルテニウムRu(奥野製薬工業株式会社製、商品名)を用いることができる。
【0168】
<白金>
第2層105が白金を含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解白金めっきによって形成することできる。無電解白金めっき液に用いる白金の供給源としては、例えば、Pt(NH
3)
4(NO
3)
2、Pt(NH
3)
4(OH)
2、PtCl
2(NH
3)
2、Pt(NH
3)
2(OH)
2、(NH
4)
2PtCl
6、(NH
4)
2PtCl
4、Pt(NH
3)
2Cl
4、H
2PtCl
6、及び、PtCl
2が挙げられる。
【0169】
無電解白金めっき液に用いる還元剤としては、例えば、ヒドラジン、次亜リン酸ナトリウム、ホウ酸ジメチルアミン、ホウ酸ジエチルアミン、及び、水素化硼素ナトリウムが挙げられる。還元剤としては、ヒドラジンが好ましい。無電解白金めっき液中に、安定剤又は錯化剤(塩化ヒドロキシルアミン、二塩化ヒドラジン、水酸化アンモニウム、EDTA等)を添加してもよい。
【0170】
無電解白金めっき液の温度(浴温)は、充分なめっき速度を得る観点から、40℃以上でもよく、50℃以上でもよい。無電解白金めっき液の温度(浴温)は、無電解白金めっき液を安定に保持する観点から、90℃以下でもよく、80℃以下でもよい。
【0171】
無電解白金めっき液を用いて白金めっきを行う際、無電解白金めっき液のpHは、8〜12であればよい。pHが8以上であると、充分に白金が析出し易い。pHが12以下であると、良好な作業環境を容易に確保できる。
【0172】
<銀>
第2層105が銀を含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解銀めっきによって形成することできる。無電解銀めっき液に用いる銀の供給源としては、めっき液に可溶であるものであれば特に限定されない。例えば、硝酸銀、酸化銀、硫酸銀、塩化銀、亜硫酸銀、炭酸銀、酢酸銀、乳酸銀、スルホコハク酸銀、スルホン酸銀、スルファミン酸銀、及びシュウ酸銀が用いられる。水溶性銀化合物は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0173】
無電解銀めっき液に用いる還元剤としては、無電解銀めっき液中の水溶性銀化合物を金属銀に還元する能力を有するものであって水溶性の化合物であれば特に限定されない。例えば、ヒドラジン誘導体、ホルムアルデヒド化合物、ヒドロキシルアミン類、糖類、ロッセル塩、水素化ホウ素化合物、次亜リン酸塩、DMAB、及び、アスコルビン酸を用いることができる。還元剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0174】
無電解銀めっき液中に、安定剤又は錯化剤を添加してもよい。安定剤又は錯化剤としては、例えば、亜硫酸塩、コハク酸イミド、ヒダントイン誘導体、エチレンジアミン、及びエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いることができる。安定剤又は錯化剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0175】
無電解銀めっき液には、上述の成分以外に、公知の界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、平滑剤、応力緩和剤等の添加剤を添加してもよい。
【0176】
無電解銀めっき液は、液温として0〜80℃の範囲であればよい。無電解銀めっき液の温度が0℃以上であると、銀の析出速度が充分に速く、所定の銀析出量を得るための時間を短縮することができる。無電解銀めっき液の温度が80℃以下であると、自己分解反応による還元剤の損失、及び、無電解銀めっき液の安定性の低下を抑制できる。10〜60℃程度にすると、無電解銀めっき液の安定性をより一層良好にすることができる。
【0177】
無電解銀めっき液(例えば、還元型無電解銀めっき液)のpHは、例えば、1〜14である。めっき液のpHが6〜13程度であることによって、めっき液の安定性をより一層良好にすることができる。めっき液のpH調整として、通常、pHを下げる場合には、水溶性銀塩のアニオン部分と同種のアニオン部分を有する酸(例えば、水溶性銀塩として硫酸銀を用いる場合には硫酸、水溶性銀塩として硝酸銀を用いる場合には硝酸)が用いられる。無電解銀めっき液のpHを上げる場合には、アルカリ金属水酸化物、アンモニア等が用いられる。
【0178】
<金>
第2層105が金を含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解金めっきによって形成することできる。無電解金めっき液としては、置換型金めっき液(例えば、日立化成株式会社製、商品名「HGS−100」)、還元型金めっき液(例えば、日立化成株式会社製、商品名「HGS−2000」)等を用いることができる。置換型と還元型とを比較した場合、ボイドが少なく、被覆面積を確保し易い観点から、還元型を用いることが好ましい。
【0179】
<コバルト>
第2層105がコバルトを含有する場合、当該第2層105は、例えば、無電解コバルトめっきによって形成することできる。無電解コバルトめっき液に用いるコバルトの供給源としては、例えば、硫酸コバルト、塩化コバルト、硝酸コバルト、酢酸コバルト、及び、炭酸コバルトが挙げられる。
【0180】
無電解コバルトめっき液に用いる還元剤としては、例えば、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸ニッケル等の次亜リン酸塩、及び、次亜リン酸が用いられる。無電解コバルトめっき液中に、安定剤又は錯化剤(脂肪族カルボン酸等)を添加してもよい。安定剤又は錯化剤は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0181】
無電解コバルトめっき液の温度(浴温)は、充分なめっき速度を得る観点から、40℃以上でもよく、50℃以上でもよい。無電解コバルトめっき液の温度(浴温)は、無電解コバルトめっき液を安定に保持する観点から、90℃以下でもよく、80℃以下でもよい。
【0182】
以上に説明した第2実施形態に係る導電粒子100bにおいても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。第1実施形態においては、第1層104が導電粒子100aの最外層となる。この導電粒子100aが、例えば、異方導電性接着剤内に分散した際、第1層104内に含有されるニッケルが接着剤中に溶出してマイグレーションすることがある。このマイグレーションしたニッケルによって、異方導電性接着剤の絶縁信頼性が低下することがある。これに対して、第2実施形態の金属層は、第1層104上に設けられる第2層105を有し、第2層105は、貴金属及びコバルトからなる群より選ばれる金属を含有する。この場合、導電粒子100bの最外層は第2層105になる。この第2層105は、第1層104からニッケルの溶出を防ぐ機能を有するので、当該ニッケルのマイグレーションの発生を抑制できる。加えて、当該第2層105は比較的酸化しにくいので、導電粒子100bの導電性能が劣化しにくい。導電粒子100bが第2層105を有することにより、突起109の数、大きさ及び形状を高度に制御することが可能になる。
【0183】
(第3実施形態)
以下では、第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子について説明する。第3実施形態の説明において第1実施形態及び第2実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態及び第2実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第3実施形態に第1実施形態及び第2実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0184】
<絶縁被覆導電粒子>
図5は、本実施形態に係る絶縁被覆導電粒子を示す模式断面図である。
図5に示される絶縁被覆導電粒子200は、第1実施形態に係る導電粒子100aと、第1層104の表面の少なくとも一部を被覆する絶縁性粒子(絶縁性被覆部)210と、を備える。
【0185】
絶縁性粒子210の平均粒径は、絶縁性粒子210の正投影面において、絶縁性粒子210の面積と同一の面積を有する真円の直径から算出した平均粒径を意味する。絶縁性粒子210の平均粒径は、例えば、20〜500nmである。絶縁性粒子210の平均粒径が上記範囲内である場合、例えば、導電粒子100aに吸着された絶縁性粒子210が絶縁膜として有効に作用し易い。また、接続の加圧方向の導電性が良好になり易い。絶縁性粒子210の平均粒径は、例えば、BET法による比表面積換算法、又は、X線小角散乱法で測定してもよい。
【0186】
電気抵抗を下げ易く、且つ、電気抵抗の経時的な上昇を抑制し易い観点から、絶縁性粒子210の平均粒径は、導電粒子100aの平均粒径に対して、1/10以下でもよく、1/15以下でもよい。絶縁性粒子210の平均粒径は、更に良好な絶縁信頼性を得る観点から、導電粒子100aの平均粒径に対して、1/20以上であってもよい。
【0187】
導電粒子100aに対する絶縁性粒子210の被覆率が、例えば、20〜70%となるように、絶縁性粒子210は導電粒子100aの表面を被覆する。絶縁性と導電性の効果を一層確実に得る観点から、被覆率は、20〜60%でもよく、25〜60%でもよく、28〜55%でもよい。「被覆率」は、絶縁被覆導電粒子200の正投影面において、絶縁被覆導電粒子200の直径の1/2の直径を有する同心円内における絶縁性粒子210の表面積の割合を意味する。具体的には、絶縁性粒子210が形成された絶縁被覆導電粒子200をSEMにより3万倍で観察して得られる画像を解析し、絶縁被覆導電粒子200の表面において絶縁性粒子210が占める割合を算出する。
【0188】
導電粒子100aを被覆する絶縁性粒子210としては、有機高分子化合物微粒子、無機酸化物微粒子等が挙げられる。絶縁性粒子210として、無機酸化物微粒子を用いる場合には、絶縁信頼性を向上させやすく、有機高分子化合物微粒子を用いる場合には、導通抵抗を容易に下げることができる。
【0189】
有機高分子化合物としては、熱軟化性を有する化合物であればよく、具体的には、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系ゴム、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、フェノキシ樹脂、固形エポキシ樹脂等が用いられる。有機高分子化合物は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0190】
無機酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウム及びマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む酸化物が挙げられる。無機酸化物は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。無機酸化物の中でも、シリカが好ましい。シリカの中でも、水分散コロイダルシリカ(SiO
2)は、表面に水酸基を有するために導電粒子との結合性に優れ、粒径を揃え易く、安価であるため特に好適である。このような無機酸化物の微粒子の市販品としては、例えば、スノーテックス、スノーテックスUP(日産化学工業株式会社製、商品名)、及び、クオートロンPLシリーズ(扶桑化学工業株式会社製、商品名)が挙げられる。
【0191】
無機酸化物微粒子が表面に水酸基を有する場合には、水酸基をシランカップリング剤等でアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基等に変性することができる。但し、無機酸化物微粒子の平均粒径が500nm以下である場合、変性しにくい場合がある。その場合には、変性を行わずに導電粒子100aを被覆してもよい。
【0192】
一般的に、無機酸化物微粒子の表面が水酸基を有することにより、シランカップリング剤等の表面処理剤の水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基等と結合することができる。結合形態としては、例えば、脱水縮合による共有結合、水素結合、及び配位結合が挙げられる。
【0193】
導電粒子100aの外表面が金又はパラジウムからなる場合、これらに対して配位結合を形成するメルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基等を分子内に有する化合物を用いて無機酸化物微粒子の表面に水酸基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基等の官能基を形成するとよい。上記化合物としては、例えば、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、メルカプト酢酸メチル、メルカプトコハク酸、チオグリセリン、及び、システインが挙げられる。
【0194】
金、パラジウム等の貴金属、銅などはチオールと反応し易い。ニッケル等の卑金属はチオールと反応し難い。したがって、導電粒子100aの最外層が貴金属、銅等からなる場合は、導電粒子100aの最外層が卑金属からなる場合と比べてチオールと反応し易い。
【0195】
例えば、金表面に上記化合物を処理する方法としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール等の有機溶媒中にメルカプト酢酸等の上記化合物を10〜100mmol/L程度分散し、その中に、最外層が金である導電粒子100aを分散させることができる。
【0196】
次に、第1実施形態に係る導電粒子100aから第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子200を製造する方法の一例を説明する。導電粒子100aの表面を絶縁性粒子210で被覆する方法としては、例えば、高分子電解質と絶縁性粒子とを交互に積層する方法が挙げられる。
【0197】
まず、(1)導電粒子100aを高分子電解質溶液に分散し、当該導電粒子100aの表面に高分子電解質を吸着させた後、リンスする工程を行う。次に、(2)導電粒子100aを絶縁性粒子の分散溶液に分散し、当該導電粒子100aの表面に絶縁性粒子を吸着させた後、リンスする工程を行う。これらの工程を経て、高分子電解質と絶縁性粒子とが積層された絶縁性粒子210によって表面が被覆された絶縁被覆導電粒子200を製造できる。(1)の工程及び(2)の工程は、(1)、(2)の順でも、(2)、(1)の順でもよい。(1)、(2)の工程は、交互に繰り返し行われてもよい。
【0198】
高分子電解質としては、例えば、水溶液中で電離し、荷電を有する官能基を主鎖又は側鎖に有する高分子を用いることができる。例えば、ポリアミン類等のように正荷電を帯びることのできる官能基を有する高分子化合物を用いることができ、樹脂粒子101の表面処理に用いられる前述のカチオン性ポリマーと同じものを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン塩酸塩(PAH)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA)、ポリビニルピリジン(PVP)、ポリリジン、ポリアクリルアミド、これらの重合体を与える1種以上の単量体を重合して得られる共重合体等を用いることができる。電荷密度が高く、負の電荷を持った表面及び材料との結合力が強い観点から、ポリエチレンイミンを用いることが好ましい。
【0199】
上記(1)、(2)の工程を繰り返す方法は、交互積層法(Layer−by−Layer assembly)と呼ばれる。交互積層法は、G.Decherらによって1992年に発表された有機薄膜を形成する方法である(Thin Solid Films,210/211,p831(1992))。G.Decherらによって発表された方法によれば、正電荷を有するポリマー電解質(ポリカチオン)、及び、負電荷を有するポリマー電解質(ポリアニオン)の水溶液に基材(基板等)を交互に浸漬し、静電的引力によって基材上に吸着したポリカチオンとポリアニオンとの組が積層することで、複合膜(交互積層膜)が得られる。
【0200】
交互積層法では、静電的な引力によって、基材上に形成された材料の電荷と、溶液中の反対電荷を有する材料とが引き合うことにより膜成長する。このため、吸着が進行して電荷の中和が起こるとそれ以上の吸着が起こらなくなる。したがって、ある飽和点までに至れば、それ以上膜厚が増加することはない。Lvovらは交互積層法を微粒子に応用し、シリカ、チタニア、セリア等の各微粒子分散液を用いて、微粒子の表面電荷と反対電荷を有する高分子電解質を交互積層法で積層する方法を報告している(Langmuir,Vol.13,(1997)p6195−6203)。Lvovによって報告された方法を用いると、負の表面電荷を有するシリカの微粒子と、その反対電荷を有するポリカチオンであるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA)、ポリエチレンイミン(PEI)等と、を交互に積層することで、シリカ微粒子と高分子電解質とが交互に積層された微粒子積層薄膜を形成することができる。
【0201】
以上に説明した第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子200においても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、第1層104の外表面に設けられた絶縁性粒子210により、導電粒子100aの第1層104同士が接触しにくくなる。さらには、脱落した非導電性無機粒子102が金属によってコーティングされて形成される金属異物は、接着剤中に存在しにくい。したがって、絶縁被覆導電粒子200同士が良好に導通しにくくなり、当該絶縁被覆導電粒子200を用いた接続構造体等の絶縁信頼性も好適に向上する。
【0202】
特に近年、COG実装用の異方導電性接着剤等には、約10μmの狭ピッチでの絶縁信頼性が求められている。第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子200を用いることによって、このような絶縁信頼性を実現することができる。
【0203】
第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子200における導電粒子としては、導電粒子100aに代えて、例えば、第2実施形態に係る導電粒子100b等を用いることができる。この場合、絶縁被覆導電粒子200は、上記作用効果に加えて、第2実施形態に係る導電粒子100bによる作用効果を奏することができる。
【0204】
(第4実施形態)
以下では、第4実施形態に係る異方導電性接着剤について説明する。第4実施形態の説明において第1実施形態〜第3実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態〜第3実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第4実施形態に第1実施形態〜第3実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0205】
<異方導電性接着剤>
第4実施形態に係る異方導電性接着剤は、第1実施形態に係る導電粒子100aと、当該導電粒子100aが分散された接着剤とを含有する。
【0206】
接着剤としては、例えば、熱反応性樹脂と硬化剤との混合物が用いられる。接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂と潜在性硬化剤との混合物、及び、ラジカル重合性化合物と有機過酸化物との混合物が挙げられる。
【0207】
接着剤としては、ペースト状又はフィルム状の接着剤が用いられる。異方導電性接着剤をフィルム状に成形するために、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステルウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂が接着剤に配合されてもよい。
【0208】
以上に説明した第4実施形態に係る異方導電性接着剤においても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0209】
第4実施形態に係る異方導電性接着剤における導電粒子としては、導電粒子100aに代えて、例えば、第2実施形態に係る導電粒子100b等を用いることができる。この場合、異方導電性接着剤は、第2実施形態に係る導電粒子100bによる作用効果を奏することができる。導電粒子100aに代えて、絶縁被覆導電粒子200を用いてもよい。この場合、異方導電性接着剤は、第3実施形態に係る導電粒子100bによる作用効果を奏することができる。
【0210】
(第5実施形態)
以下では、第5実施形態に係る接続構造体について説明する。第5実施形態の説明において第1実施形態〜第4実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態〜第4実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第5実施形態に第1実施形態〜第4実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0211】
<接続構造体>
第5実施形態に係る接続構造体について説明する。本実施形態に係る接続構造体は、第1回路電極を有する第1回路部材と、第2回路電極を有する第2回路部材と、第1回路部材と第2回路部材との間に配置され、上記導電粒子及び上記絶縁被覆導電粒子の少なくとも一方を含有する接続部と、を備えている。接続部は、第1回路電極と第2回路電極とが対向するように配置された状態で第1回路部材及び第2回路部材を互いに接続している。第1回路電極及び第2回路電極は、変形した状態の導電粒子又は絶縁被覆導電粒子を介して互いに電気的に接続されている。
【0212】
次に、
図6を参照しながら、第5実施形態に係る接続構造体を更に説明する。
図6は、第5実施形態に係る接続構造体を示す模式断面図である。
図6に示す接続構造体300は、互いに対向する第1回路部材310及び第2回路部材320と、第1回路部材310と第2回路部材320との間に配置される接続部330とを備えている。接続構造体300としては、液晶ディスプレイ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の携帯製品が挙げられる。
【0213】
第1回路部材310は、回路基板(第1回路基板)311と、回路基板311の主面311a上に配置された回路電極(第1回路電極)312とを備える。第2回路部材320は、回路基板(第の回路基板)321と、回路基板321の主面321a上に配置された回路電極(第2回路電極)322とを備える。
【0214】
回路部材310,320のうちの一方の具体例としては、ICチップ(半導体チップ)、抵抗体チップ、コンデンサチップ、ドライバーIC等のチップ部品;リジット型のパッケージ基板などが挙げられる。これらの回路部材は、回路電極を備えており、多数の回路電極を備えているものが一般的である。回路部材310,320のうちの他方(前記一方の回路部材が接続される回路部材)の具体例としては、金属配線を有するフレキシブルテープ基板、フレキシブルプリント配線板、インジウム錫酸化物(ITO)が蒸着されたガラス基板等の配線基板などが挙げられる。例えば、フィルム状の異方導電性接着剤を用いることによって、これらの回路部材同士を効率的且つ高い接続信頼性をもって接続できる。例えば、第4実施形態に係る異方導電性接着剤は、微細な回路電極を多数備えるチップ部品の配線基板上へのCOG実装又はCOF実装に好適である。
【0215】
接続部330は、接着剤の硬化物332と、当該硬化物332に分散している絶縁被覆導電粒子200とを備えている。接続部330としては、例えば、上記第4実施形態に記載されるフィルム状の異方導電性接着剤が用いられる。接続構造体300においては、相対向する回路電極312と回路電極322とが、絶縁被覆導電粒子200を介して電気的に接続されている。より具体的には、
図6に示すとおり、絶縁被覆導電粒子200における導電粒子100aが圧縮により変形し、回路電極312,322の双方に電気的に接続している。一方、導電粒子100aは、圧縮する方向に交差する方向において導電粒子100a間に絶縁性粒子210が介在することにより、絶縁被覆導電粒子200同士の絶縁性が維持される。したがって、狭ピッチ(例えば、10μmレベルのピッチ)での絶縁信頼性を更に向上させることができる。用途によっては絶縁被覆導電粒子200の代わりに、絶縁被覆されていない導電粒子100a、100bを用いてもよい。
【0216】
接続構造体300は、回路電極312を有する第1回路部材310と、回路電極322を有する第2回路部材320と、を回路電極312と回路電極322とが相対向するように配置し、第1回路部材310と第2回路部材320との間に異方導電性接着剤を介在させ、これらを加熱及び加圧して回路電極312と回路電極322とを電気的に接続させることにより得られる。第1回路部材310及び第2回路部材320は、接着剤の硬化物332によって接着される。
【0217】
<接続構造体の製造方法>
第5実施形態に係る接続構造体の製造方法について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、
図6に示す接続構造体の製造方法の一例を説明するための模式断面図である。第5実施形態では、異方導電性接着剤を熱硬化させて接続構造体を製造する。
【0218】
まず、第1回路部材310と、異方導電性接着剤330aとを用意する。本実施形態では、異方導電性接着剤330aとして、フィルム状に成形してなる接着剤フィルム(異方導電性接着剤フィルム)を用いる。異方導電性接着剤330aは、絶縁被覆導電粒子200と、絶縁性の接着剤332aとを含有している。
【0219】
次に、異方導電性接着剤330aを第1回路部材310の主面311a(回路電極312が形成されている面)上に載せる。そして、
図7(a)に示すように、異方導電性接着剤330aを方向A及び方向Bに沿って加圧する。これにより、
図7(b)に示すように、異方導電性接着剤330aを第1回路部材310に積層する。
【0220】
次いで、
図7(c)に示すように、回路電極312と回路電極322とが相対向するように、第2回路部材320を異方導電性接着剤330a上に載せる。そして、異方導電性接着剤330aを加熱しながら、
図7(c)に示される方向A及び方向Bに沿って全体(第1回路部材310及び第2回路部材320)を加圧する。
【0221】
加熱により異方導電性接着剤330aが硬化して接続部330が形成され、
図6に示すような接続構造体300が得られる。異方導電性接着剤はペースト状であってもよい。
【0222】
以上に説明した第5実施形態に係る接続構造体300においては、接続部330内に第3実施形態に係る絶縁被覆導電粒子200が含まれている。上記接続構造体300によれば、絶縁被覆導電粒子200を介して回路電極312と回路電極322とが良好に電気的に接続される。このため、回路電極312及び回路電極322の面積が小さく、且つ、回路電極312、322の間に捕捉される絶縁被覆導電粒子200の個数が少ない場合であっても、長期間にわたって優れた導通信頼性が発揮される。加えて、絶縁被覆導電粒子200が絶縁性粒子210を有することにより、接続部330内における絶縁被覆導電粒子200の第1層104同士が接触しにくくなる。このため、例えば、回路電極312内(回路電極322内)に設けられる電極同士のピッチが例えば、10μm以下である場合であっても、接続部330内の絶縁被覆導電粒子200同士が導通しにくくなり、接続構造体300の絶縁信頼性も好適に向上する。
【0223】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では第1非導電性無機粒子102a及び第2非導電性無機粒子102bの変動係数は20%未満であるが、本発明はこれに限られない。同様に、樹脂粒子101の正投影面における樹脂粒子101の直径の1/2の直径を有する同心円内の表面において、第1非導電性無機粒子102aの数は、必ずしも第2非導電性無機粒子102bの数の2倍以上でなくてもよい。導電粒子において、必ずしも第1突起の数は20個以上でなくてもよく、第2突起の数は20個以上でなくてもよく、第3突起が5個以上20個以下でなくてもよい。非導電性無機粒子102は疎水化処理されなくてもよく、樹脂粒子101はカチオン系ポリマーによって被覆されなくてもよい。
【実施例】
【0224】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0225】
<実施例1>
[導電粒子の作製]
(工程a)樹脂粒子表面のカチオン性ポリマーによる被覆
平均粒径3.0μmの架橋ポリスチレン粒子(株式会社日本触媒製、商品名「ソリオスター」)2gを、平均分子量7万(M.W.7万)の30質量%ポリエチレンイミン水溶液(和光純薬工業株式会社製)3gを純水100mlに溶解した水溶液に加え、室温で15分間攪拌した。次いで、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により、樹脂粒子を取り出した。メンブレンフィルタ上の樹脂粒子を200gの超純水で2回洗浄し、吸着していないポリエチレンイミンを除去して、ポリエチレンイミンが吸着した樹脂粒子を得た。
【0226】
(工程b−1)第1非導電性無機粒子表面の疎水化処理剤による被覆
第1非導電性無機粒子として、平均粒径60nmの気相法親水性球状シリカ粉末を用いた。この球状シリカ粉末100gを振動流動層装置(中央化工機株式会社製、商品名「振動流動層装置VUA−15型」)に収容した。次に、吸引ブロワーにより循環させた空気で球状シリカを流動化させながら水1.5gを噴霧して5分間流動混合させた。次に、HMDS(ヘキサメチ
ルジシラザン)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名「TSL−8802」)2.5gを噴霧し、30分間流動混合した。得られた疎水性球状シリカ微粉体の疎水化度を、メタノール滴定法によって測定した。疎水化度は以下の方法で測定し、第1非導電性無機粒子の疎水化度は70%であった。
【0227】
(工程b−2)第2非導電性無機粒子表面の疎水化処理剤による被覆
第2非導電性無機粒子として、平均粒径120nmの気相法親水性球状シリカ粉末を用い、球状シリカ粉末100gを振動流動層装置(中央化工機社株式会製、商品名「振動流動層装置VUA−15型」)に収容し、吸引ブロワーにより循環させた空気で流動化させながら水1.5gを噴霧して5分間流動混合させた。次に、HMDS(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名「TSL−8802」)2.5gを噴霧し、30分間流動混合した。得られた疎水性球状シリカ微粉体の疎水化度を、メタノール滴定法によって測定した。疎水化度は以下の方法で測定し、第2非導電性無機粒子の疎水化度は70%であった。
【0228】
(工程c)樹脂粒子表面への第1非導電性無機粒子及び第2非導電性無機粒子の静電気的接着工程
ポリエチレンイミンが吸着した樹脂粒子2gをメタノールに加え、共振周波数28kHz、出力100Wの超音波を照射しながら室温で5分間攪拌した。その後、HMDSにより疎水化された第1非導電性無機粒子を0.025gと、HMDSにより疎水化された第2非導電性無機粒子を0.025gとを上記メタノールに加え、共振周波数28kHz、出力100Wの超音波を照射しながらさらに室温で5分間攪拌した。これにより、第1非導電性無機粒子及び第2非導電性無機粒子が静電気により吸着された樹脂粒子(粒子A)を得た。第1非導電性無機粒子及び第2非導電性無機粒子が静電気により吸着された粒子Aは2.05gであった。
【0229】
(工程d)パラジウム触媒付与工程
粒子A2.05gを、pH1.0に調整され、パラジウム触媒(日立化成株式会社製、商品名「HS201」)を20質量%含有するパラジウム触媒化液100mLに添加した。その後、共振周波数28kHz、出力100Wの超音波を照射しながら30℃で30分間攪拌した。次に、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)で濾過した後、水洗を行うことでパラジウム触媒を粒子Aの表面に吸着させた。その後、pH6.0に調整された0.5質量%ジメチルアミンボラン液に粒子Aを添加し、共振周波数28kHz、出力100Wの超音波を照射しながら60℃で5分間攪拌し、パラジウム触媒が固着化された粒子B2.05gを得た。そして、20mLの蒸留水に、パラジウム触媒が固着化された粒子B2.05gを浸漬した後、粒子Bを超音波分散することで、樹脂粒子分散液を得た。
【0230】
(工程e)第1層のa層の形成
工程dで得た粒子B分散液を、80℃に加温した水1000mLで希釈した後、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を1mL添加した。次に、粒子B分散液に、下記組成(下記成分を含む水溶液であり、1g/Lの硝酸ビスマス水溶液をめっき液1Lあたり1mL添加している。以下同様)のa層形成用の無電解ニッケルめっき液80mLを5mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過した。濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表1−1に示す80nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜からなるa層を有する粒子Cを形成した。a層を形成することにより得た粒子Cは、4.05gであった。第1層のa層形成用の無電解ニッケルめっき液の組成は以下の通りである。
硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・400g/L
次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・150g/L
クエン酸ナトリウム・・・・・・・・・120g/L
硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・1mL/L
【0231】
(工程f)第1層のb層の形成
工程eで得た粒子C4.05gを、水洗及び濾過した後、70℃に加温した水1000mLに分散させた。この分散液に、めっき安定剤として1g/Lの硝酸ビスマス水溶液を1mL添加した。次いで、下記組成のb層形成用の無電解ニッケルめっき液20mLを5mL/分の滴下速度で滴下した。滴下終了後、10分間経過した後に、めっき液を加えた分散液を濾過した。濾過物を水で洗浄した後、80℃の真空乾燥機で乾燥した。このようにして、表1−1に示す20nmの膜厚のニッケル−リン合金被膜からなるb層を有する粒子D(導電粒子)を形成した。b層を形成することにより得た粒子Dは、4.55gであった。第1層のb層形成用の無電解ニッケルめっき液の組成は以下の通りである。
硫酸ニッケル・・・・・・・・・・・・400g/L
次亜リン酸ナトリウム・・・・・・・・150g/L
酒石酸ナトリウム・2水和物・・・・・60g/L
硝酸ビスマス水溶液(1g/L)・・・1mL/L
【0232】
[導電粒子の評価]
下記の項目に基づき導電粒子、もしくは導電粒子に含まれる樹脂粒子及び非導電性無機粒子(第1非導電性無機粒子及び第2非導電性無機粒子)を評価した。結果を表1−1及び表1−2に示す。
【0233】
(疎水化度(%))
導電粒子の疎水化度を以下の方法により測定した。まず、イオン交換水50ml、試料(導電粒子)0.2gをビーカーに入れ、マグネティックスターラーで攪拌しながらビュレットからメタノールを滴下する。ビーカー内のメタノール濃度が増加するにつれ粉体は徐々に沈降していき、その全量が沈んだ終点におけるメタノール−水混合溶液中のメタノールの質量分率を、導電粒子の疎水化度(%)とした。
【0234】
(非導電性無機粒子の平均粒径)
非導電性無機粒子の粒径は、まず、SEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名「S−4800」)により10万倍で観察して得られる画像を解析し、粒子500個のそれぞれの面積を測定する。次に、粒子を円に換算した場合の直径を、非導電性無機粒子の平均粒径として算出した。第1非導電性無機粒子及び第2非導電性無機粒子のそれぞれについて平均粒径を求めた。また、得られた平均粒径に対する、粒径の標準偏差の比をパーセンテージで算出し、変動係数(CV)とした。
【0235】
(ゼータ電位の測定)
測定対象となる各種粒子のゼータ電位は、以下の方法により測定した。ゼータ電位の測定には、Zetasizer ZS(Malvern Instruments社製、商品名)を用いた。まず、測定対象となる各種粒子が約0.02質量%になるように分散体を希釈した。そして、メタノールのみ、pH1、ph7およびpH10.5のメタノールとイオン交換水の混合溶媒の合計4条件におけるゼータ電位を測定した。メタノールとイオン交換水の混合溶媒において、メタノールの割合を10質量%とし、pHは、硫酸あるいは水酸化カリウムにより調整した。上記ゼータ電位の測定は、測定対象となる粒子毎に行った。
【0236】
(膜厚及び成分の評価)
得られた導電粒子の中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で断面を切り出した。この断面を、TEM(日本電子株式会社製、商品名「JEM−2100F」)を用いて25万倍の倍率で観察した。得られた画像から、第1層のa層、b層及び第2層の断面積を見積り、その断面積から第1層のa層、b層及び第2層の膜厚を算出した(実施例1においては、第2層が形成されていないことから、第1層のa層、b層の膜厚のみを測定の対象とした)。断面積に基づく各層の膜厚の算出では、幅500nmの断面における各層の断面積を画像解析により読み取り、幅500nmの長方形に換算した場合の高さを各層の膜厚として算出した。表1−1には、10個の導電粒子について算出した膜厚の平均値を示した。このとき、第1層のa層、b層を区別しづらい場合には、TEMに付属するEDX(日本電子株式会社製、商品名「JED−2300」)による成分分析により、第1層のa層、b層を明確に区別することで、それぞれの断面積を見積もり、膜厚を計測した。また、EDXマッピングデータから、第1層のa層、b層における元素の含有量(純度)を算出した。薄膜切片状のサンプル(導電粒子の断面試料)の作製方法の詳細、EDXによるマッピングの方法の詳細、及び、各層における元素の含有量の算出方法の詳細については後述する。
【0237】
(樹脂粒子表面に吸着した非導電性無機粒子の評価)
{非導電性無機粒子の被覆率}
工程cと工程dとの後に得た、粒子Aおよび粒子Bの正投影面において、粒子Aおよび粒子Bの直径の1/2の直径を有する同心円内に存在する非導電性無機粒子による被覆率をそれぞれ算出した。具体的には、粒子AおよびBの正投影面における粒子A、Bの直径の1/2の直径を有する同心円内において、非導電性無機粒子と樹脂粒子とを画像解析により区別した。そして、同心円内に存在する非導電性無機粒子の面積の割合を算出し、当該割合を非導電性無機粒子の被覆率とした。粒子Aと粒子Bとにおけるシリカ粒子の被覆率をそれぞれ算出することで、工程d(パラジウム触媒付与工程)が、非導電性無機粒子の樹脂粒子表面への吸着性に与える影響を評価した。非導電性無機粒子の被覆率は、第1非導電性無機粒子及び第2非導電性無機粒子の被覆率の合計である。
【0238】
具体的には、非導電性無機粒子の被覆率は、粒子Aおよび粒子BをそれぞれSEMにより3万倍で観察して得られる画像をもとに評価した。
図8に、実施例1における工程dの後の粒子Bを観察したSEM画像を示す。
【0239】
{非導電性無機粒子の直径と数}
工程cと工程dとの後に得た、粒子Aおよび粒子Bの正投影面において、粒子Aおよび粒子Bの直径の1/2の直径を有する同心円内に存在する非導電性無機粒子の直径と数とをそれぞれ算出した。粒子Aと粒子Bにおける非導電性無機粒子の数をそれぞれ算出することで、工程d(パラジウム触媒付与工程)が、非導電性無機粒子の樹脂粒子表面への吸着性に与える影響を評価した。
【0240】
具体的には、シリカ粒子の数は、粒子Aおよび粒子BをSEMにより10万倍で観察して得られる画像をもとに評価した。各非導電性無機粒子の面積を測定し、その面積と同一の面積を有する真円の直径を非導電性無機粒子の直径として算出した。表1−2に示した直径の範囲に基づいて非導電性無機粒子を分類し、それぞれの範囲における非導電性無機粒子の個数を求めた。
図9に、実施例1における工程dの後の粒子Bを観察したSEM画像を示す。
図9は、粒子Bの直径の1/2の直径を有する同心円内の一部分である。
【0241】
(導電粒子の表面に形成された突起の評価)
{突起の被覆率}
導電粒子をSEMにより3万倍で観察して得られるSEM画像をもとに、導電粒子表面における突起による被覆率(面積の割合)を算出した。具体的には、導電粒子の正投影面における導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内において突起形成部と平坦部とを画像解析により区別した。そして、同心円内に存在する突起形成部の面積の割合を算出し、当該割合を突起の被覆率とした。
図10に、実施例1における粒子DをSEMにより観察した結果を示す。
【0242】
{突起の直径と数}
導電粒子の正投影面において、導電粒子の直径の1/2の直径を有する同心円内に存在する突起の直径と数とを算出した。
【0243】
具体的には、導電粒子をSEMにより10万倍で観察して得られる画像を解析し、突起の輪郭を画定した。次に、突起の面積(突起間の谷により区切られる突起の輪郭の面積)を測定し、その面積と同一の面積を有する真円の直径を突起の直径(外径)として算出した。
図11に、実施例1における粒子DをSEMにより観察した結果を示す。
【0244】
表1−2に示した直径の範囲に基づいて突起を分類し、それぞれの範囲における突起の数を求めた。
図11は、粒子Dの直径の1/2の直径を有する同じ円内の一部分である。
【0245】
(導電粒子の断面試料の作製方法)
導電粒子の断面試料の作製方法の詳細について説明する。導電粒子の断面からTEM分析及びSTEM/EDX分析するための60nm±20nmの厚さを有する断面試料(以下、「TEM測定用の薄膜切片」という)を、ウルトラミクロトーム法を用いて下記のとおり作製した。
【0246】
安定して薄膜化加工するため、導電粒子を注型樹脂に分散させた。具体的には、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と、ブチルグリシジルエーテルと、その他エポキシ樹脂との混合物(リファインテック株式会社製、商品名「エポマウント主剤27−771」)10gにジエチレントリアミン(リファインテック株式会社製、商品名「エポマウント硬化剤27−772」)1.0gを混合した。スパチュラを用いて攪拌し、均一に混合されたことを目視にて確認した。この混合物3gに乾燥済みの導電粒子0.5gを加えた後、スパチュラを用いて均一になるまで攪拌した。導電粒子を含む混合物を樹脂注型用の型(D.S.K 堂阪イーエム株式会社製、商品名「シリコーン包埋板II型」)に流し込み、常温(室温)下で24時間静置した。注型樹脂が固まったことを確認し、導電粒子の樹脂注型物を得た。
【0247】
ウルトラミクロトーム(ライカマイクロシステムズ株式会社製、商品名「EM−UC6」)を用いて、導電粒子が含まれる樹脂注型物から、TEM測定用の薄膜切片を作製した。TEM測定用の薄膜切片を作製する際には、まず、ウルトラミクロトームの装置本体に固定したガラス製のナイフを用いて、
図12(a)に示すように、TEM測定用の薄膜切片を切り出せる形状になるまで樹脂注型物の先端をトリミング加工した。
【0248】
より詳細には、
図12(b)に示すように、樹脂注型物の先端の断面形状が、縦200〜400μm及び横100〜200μmの長さを有する略直方体状となるようにトリミング加工した。断面の横の長さを100〜200μmとするのは、樹脂注型物からTEM測定用の薄膜切片を切り出す際に、ダイヤモンドナイフと試料との間で発生する摩擦を低減するためである。これにより、TEM測定用の薄膜切片の皺及び折れ曲がりを防ぎ易くなり、TEM測定用の薄膜切片の作製が容易となる。
【0249】
続いて、ウルトラミクロトーム装置本体の所定の箇所に、ボート付きのダイヤモンドナイフ(DIATONE社製、商品名「Cryo Wet」、刃幅2.0mm、刃角度35°)を固定した。次に、ボートをイオン交換水で満たし、ナイフの設置角度を調整して刃先をイオン交換水で濡らした。
【0250】
ここで、ナイフの設置角度の調整について
図13を用いて説明する。ナイフの設置角度の調整においては、上下方向の角度、左右方向の角度及びクリアランス角を調整することができる。「上下方向の角度の調整」とは、
図13に示すように、試料表面とナイフの進む方向とが平行になるように試料ホルダーの上下方向の角度を調整することを意味する。「左右方向の角度の調整」とは、
図13に示すように、ナイフの刃先と試料表面とが平行になるようにナイフの左右方向の角度を調整することを意味する。「クリアランス角の調整」とは、
図13に示すように、ナイフの刃先の試料側の面とナイフの進む方向とがなす最小の角度を調整することを意味する。クリアランス角は、5〜10°が好ましい。クリアランス角が前記範囲であると、ナイフの刃先と試料表面との摩擦を低減できると共に、試料から薄膜切片を切り出した後にナイフが試料表面を擦ることを防げる。
【0251】
ウルトラミクロトーム装置本体に付している光学顕微鏡を確認しながら、試料とダイヤモンドナイフとの距離を近づけて、刃速度0.3mm/秒、薄膜の切り出し厚さが60nm±20nmとなるようにミクロトーム装置の設定値を設定し、樹脂注型物から薄膜切片を切り出した。次に、イオン交換水の水面にTEM測定用の薄膜切片を浮かべた。水面に浮かべたTEM測定用の薄膜切片の上面から、TEM測定用の銅メッシュ(マイクログリッド付き銅メッシュ)を押し付け、TEM測定用の薄膜切片を銅メッシュに吸着させ、TEM試料とした。ミクロトームで得られるTEM測定用の薄膜切片は、ミクロトームの切り出し厚さの設定値と正確には一致しないため、所望の厚さが得られる設定値を予め求めておく。
【0252】
(EDXによるマッピングの方法)
EDXによるマッピングの方法の詳細について説明する。TEM測定用の薄膜切片を銅メッシュごと試料ホルダー(日本電子株式会社製、商品名「ベリリウム試料2軸傾斜ホルダー、EM−31640」)に固定し、TEM内部へ挿入した。加速電圧200kVにて、試料への電子線照射を開始した後、電子線の照射系をSTEMモードに切り替えた。
【0253】
走査像観察装置をSTEM観察時の位置に挿入し、STEM観察用のソフトウェア「JEOL Simple Image Viewer(Version 1.3.5)」(日本電子株式会社製)を起動してから、TEM測定用の薄膜切片を観察した。その中に観察された導電粒子の断面のうち、EDX測定に適した箇所を探し、撮影した。ここでいう「測定に適した箇所」とは、導電粒子の中心付近で切断され、金属層の断面が観察できる箇所を意味する。断面が傾斜している箇所、及び、導電粒子の中心付近からずれた位置で切断されている箇所は、測定対象から外した。撮影時には、観察倍率25万倍、STEM観察像の画素数を縦512点、横512点とした。この条件で観察すると、視野角600nmの観察像が得られるが、装置が変わると同じ倍率でも視野角が変わることがあるため注意が必要である。
【0254】
STEM/EDX分析の際には、TEM測定用の薄膜切片に電子線を当てると、導電粒子の樹脂粒子及び注型樹脂には収縮及び熱膨張が起こり、測定中に試料が変形又は移動してしまう。このようなEDX測定中の試料変形及び試料移動を抑制するため、事前に30分間〜1時間程度、測定箇所に電子線を照射し、変形及び移動が収まったことを確認してから分析した。
【0255】
STEM/EDX分析を行うため、EDXを測定位置まで移動させ、EDX測定用のソフトウェア「Analysis Station」(日本電子株式会社製)を起動させた。EDXによるマッピングの際には、マッピング時に充分な分解能を得る必要があるため、電子線を目的箇所に集束させるための集束絞り装置を用いた。
【0256】
STEM/EDX分析の際には、検出される特性X線のカウント数(CPS:Counts Per Second)が10,000CPS以上になるように、電子線のスポット径を0.5〜1.0nmの範囲で調整した。測定後に、マッピング測定と同時に得られるEDXスペクトルにおいて、ニッケルのKα線に由来するピークの高さが少なくとも5,000Counts以上となることを確認した。データ取得時には、前記STEM観察時と同じ視野角で、画素数を縦256点、横256点とした。一点ごとの積算時間を20ミリ秒間とし、積算回数1回で測定を行った。
【0257】
得られたEDXマッピングデータから、必要に応じて、第1層、無電解ニッケルめっき析出核、第2層におけるEDXスペクトルを抽出し、各部分における元素存在比を算出した。但し、定量値を算出する際には、貴金属、ニッケル及びリンの割合の合計を100質量%として、それぞれの元素の質量%濃度を算出した。
【0258】
前記以外の元素については、下記の理由で割合が変動し易いため、定量値を算出する際には除外した。炭素の割合は、TEM測定用のメッシュに使用されるカーボン支持膜、又は、電子線照射時に試料表面に吸着する不純物の影響によって増減する。酸素の割合は、TEM試料を作製してから測定までの間に空気酸化することで増加する可能性がある。銅は、TEM測定用に用いた銅メッシュから検出されてしまう。
【0259】
{外径1μm以上の金属異物}
外径1μm以上の金属異物の個数の測定は、SEMにより5千倍で1000個の導電粒子を観察し、1000個の導電粒子を観察中に発見された外径1μm以上の金属異物の個数をカウントした。
【0260】
{異常析出部の有無}
長さ500nmを超える突起(異常析出部)の有無は、
図14に模式的に示す方法により判別した。具体的には、SEMにより3万倍で1000個の導電粒子400を観察し、異常析出部401の基端における直径方向の両端を結んだ直線(異常析出部401の両側の谷と谷とを結んだ直線)から垂直方向における異常析出部401の頂点までの距離を計測することにより、異常析出部401の長さ402を得た。そして、長さ500nmを超える異常析出部を有する導電粒子数をカウントした。
【0261】
(単分散率の測定)
導電粒子0.05gを電解水に分散させ、界面活性剤を添加し、超音波分散(アズワン株式会社製、商品名「US−4R」、高周波出力:160W、発振周波数:40kHz単周波)を5分間行った。導電粒子の分散液をCOULER MULTISIZER II(ベックマン・コールター株式会社製、商品名)の試料カップに注入し、導電粒子50000個についての単分散率を測定した。単分散率は下記式により算出し、その値に基づいて下記基準により水溶媒中での粒子の凝集性を判定した。
単分散率(%)={first peak粒子数(個)/全粒子数(個)}×100
【0262】
[絶縁性粒子の作製]
500mlフラスコに入った純水400g中に、下に示す絶縁性粒子の配合モル比に従ってモノマーを加えた。全モノマーの総量が、純水に対して10質量%になるように配合した。窒素置換後、70℃で撹拌しながら6時間加熱を行った。攪拌速度は300min
−1(300rpm)であった。KBM−503(信越化学株式会社製、商品名)は、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
【0263】
(絶縁性粒子の配合モル比)
成分 モル比
スチレン 600
ペルオキソ二硫酸カリウム 6
メタクリル酸ナトリウム 5.4
スチレンスルホン酸ナトリウム 0.32
ジビニルベンゼン 16.8
KBM−503 4.2
【0264】
合成した絶縁性粒子の平均粒径をSEMにより撮影した画像を解析して測定した。絶縁性粒子の平均粒径は315nmであった。
【0265】
合成した絶縁性粒子のTg(ガラス転移点)を、DSC(パーキンエルマー社製、商品名「DSC−7」)を用いて、サンプル量:10mg、昇温速度:5℃/分、測定雰囲気:空気の条件で測定した。
【0266】
(シリコーンオリゴマーの調製)
攪拌装置、コンデンサー及び温度計を備えたガラスフラスコに、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン118gとメタノール5.9gとを配合した溶液を加えた。さらに、活性白土5g及び蒸留水4.8gを添加し、75℃で一定時間攪拌した後、重量平均分子量1300のシリコーンオリゴマーを得た。得られたシリコーンオリゴマーは、水酸基と反応する末端官能基としてメトキシ基又はシラノール基を有するものである。得られたシリコーンオリゴマー溶液にメタノールを加えて、固形分20質量%の処理液を調製した。
【0267】
シリコーンオリゴマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより算出した。シリコーンオリゴマーの重量平均分子量の測定においては、ポンプ(株式会社日立製作所製、商品名「L−6000」))と、カラム(Gelpack GL−R420、Gelpack GL−R430、Gelpack GL−R440(以上、日立化成株式会社製、商品名))と、検出器(株式会社日立製作所製、商品名「L−3300型RI」)とを用いた。溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、測定温度を40℃とし、流量を2.05mL/分として測定した。
【0268】
[絶縁被覆導電粒子の作製]
メルカプト酢酸8mmolをメタノール200mlに溶解させて反応液を調製した。次に導電粒子(実施例1においては、粒子D)を2g上記反応液に加え、スリーワンモーターと直径45mmの攪拌羽で、室温で2時間攪拌した。メタノールで洗浄後、孔径3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いてろ過することで、表面にカルボキシル基を有する導電粒子を2g得た。
【0269】
次に重量平均分子量70,000の30%ポリエチレンイミン水溶液(和光純薬工業株式会社製)を超純水で希釈し、0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液を得た。上記表面にカルボキシル基を有する導電粒子2gを0.3質量%ポリエチレンイミン水溶液に加え、室温で15分攪拌した。その後、孔径3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いて導電粒子をろ過し、ろ過された導電粒子を超純水200gに入れて室温で5分攪拌した。更に孔径3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いて導電粒子をろ過し、上記メンブレンフィルタ上にて200gの超純水で2回洗浄を行った。これらの作業を行うことにより、吸着していないポリエチレンイミンが除去され、表面がアミノ基含有ポリマーで被覆された導電粒子が得られた。
【0270】
次に、絶縁性粒子をシリコーンオリゴマーで処理し、表面にグリシジル基含有オリゴマーを有する絶縁性粒子のメタノール分散媒(絶縁性粒子のメタノール分散媒)を調製した。
【0271】
上記表面がアミノ基含有ポリマーで被覆された導電粒子をメタノールに浸漬し、当該メタノールに絶縁性粒子のメタノール分散媒を滴下することで、絶縁被覆導電粒子を作製した。得られた絶縁被覆導電粒子を縮合剤とオクタデシルアミンで処理し、洗浄して表面の疎水化を行った。その後80℃、1時間の条件で加熱乾燥させて絶縁被覆導電粒子を作製した。SEMによって撮影した画像を解析することで、絶縁性粒子による導電粒子の平均被覆率を測定したところ、約30%であった。
【0272】
[異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製]
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名「PKHC」)100gと、アクリルゴム(ブチルアクリレート40質量部、エチルアクリレート30質量部、アクリロニトリル30質量部、グリシジルメタクリレート3質量部の共重合体、分子量:85万)75gとを、酢酸エチル400gに溶解して溶液を得た。この溶液に、マイクロカプセル型潜在性硬化剤を含有する液状エポキシ樹脂(旭化成エポキシ株式会社製、商品名「ノバキュアHX−3941」、エポキシ当量185)300gを加え、撹拌して接着剤溶液を得た。
【0273】
この接着剤溶液に、上記絶縁被覆導電粒子を、接着剤溶液の全量を基準として9体積%となるように分散させ、分散液を得た。得られた分散液を、セパレータ(シリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ40μm)にロールコータを用いて塗布し、90℃で10分間加熱することにより乾燥して、厚さ25μmの異方導電性接着フィルムをセパレータ上に作製した。
【0274】
次に、作製した異方導電性接着フィルムを用いて、金バンプ(1)(面積:約20μm×約40μm、高さ:15μm)、金バンプ(2)(面積:約30μm×約40μm、高さ:15μm)、及び金バンプ(3)(面積:約40μm×約40μm、高さ:15μm)がそれぞれ362個設けられたチップ(1.7mm×20mm、厚さ:0.5μm)と、IZO回路付きガラス基板(厚さ:0.7mm)との接続を、以下に示すi)〜iii)の手順に従って行い、接続構造体を得た。金バンプ(1)のスペースを6μmとし、金バンプ(2)のスペースを8μmとし、金バンプ(3)のスペースを10μmとした。スペースとは、金バンプ同士の距離に相当する。
i)異方導電性接着フィルム(2mm×24mm)をIZO回路付きガラス基板に80℃、0.98MPa(10kgf/cm
2)で貼り付けた。
ii)セパレータを剥離し、チップのバンプとIZO回路付きガラス基板の位置合わせを行った。
iii)190℃、40gf/バンプ、10秒の条件でチップ上方から加熱及び加圧を行い、チップとガラス基板との接着を行うと共に、チップのバンプとIZO回路との電気的接続を行った。
【0275】
[接続構造体の評価]
得られた接続構造体の導通抵抗試験及び絶縁抵抗試験を以下のように行った。
【0276】
(導通抵抗試験)
チップ電極(バンプ)とIZO回路との接続において、導通抵抗の初期値と、吸湿耐熱試験(温度85℃、湿度85%の条件で100、300、500、1000、2000時間放置)後の導通抵抗の値とを測定した。チップ電極(バンプ)とIZO回路との接続領域は、約20μm×約40μm、約30μm×約40μm、及び約40μm×約40μmとした。約20μm×約40μmの接続領域においては、チップ電極とIZO回路とは3個の導電粒子(捕捉導電粒子)で接続されるように設定した。約30μm×約40μmの接続領域においては、チップ電極とIZO回路とは6個の導電粒子で接続されるように設定した。約40μm×約40μmの接続領域においては、チップ電極とIZO回路とは10個の導電粒子で接続されるように設定した。なお、20サンプルについて測定し、それらの平均値を算出した。得られた平均値から下記基準に従って導通抵抗を評価した結果を表3−1に示す。バンプ数6個において、吸湿耐熱試験500時間後に下記Aの基準を満たす場合、導通抵抗が良好であると評価した。
A:導通抵抗の平均値が2Ω未満
B:導通抵抗の平均値が2Ω以上5Ω未満
C:導通抵抗の平均値が5Ω以上10Ω未満
D:導通抵抗の平均値が10Ω以上20Ω未満
E:導通抵抗の平均値が20Ω以上
【0277】
(絶縁抵抗試験)
チップ電極(バンプ)間の絶縁抵抗として、絶縁抵抗の初期値と、マイグレーション試験(温度60℃、湿度90%、20V印加の条件で100、300、1000、2000時間放置)後の絶縁抵抗の値とを測定した。20サンプルについて測定し、全20サンプル中、絶縁抵抗値が10
9Ω以上となるサンプルの割合を算出した。測定は、金バンプ(1)〜(3)のそれぞれについて行った。すなわち、金バンプのスペースが6μm、8μm、10μmのそれぞれについて、絶縁抵抗試験を行った。得られた割合から下記基準に従って絶縁抵抗を評価した。結果を表3−1に示す。スペースが8μmにおいて、吸湿耐熱試験1000時間後に下記Aの基準を満たす場合、絶縁抵抗が良好であると評価した。
A:絶縁抵抗値10
9Ω以上の割合が100%
B:絶縁抵抗値10
9Ω以上の割合が90%以上100%未満
C:絶縁抵抗値10
9Ω以上の割合が80%以上90%未満
D:絶縁抵抗値10
9Ω以上の割合が50%以上80%未満
E:絶縁抵抗値10
9Ω以上の割合が50%未満
【0278】
<実施例2>
実施例1の(工程b−2)において、第2非導電性無機粒子を平均粒径100nmの気相法親水性球状シリカ粉末に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1−1、表1−2及び表3−1に示す。
【0279】
<実施例3>
実施例1の(工程b−1)において、第1非導電性無機粒子を平均粒径40nmの気相法親水性球状シリカ粉末に変更し、且つ、(工程b−2)において、第2非導電性無機粒子を平均粒径100nmの気相法親水性球状シリカ粉末に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1−1、表1−2及び表3−1に示す。
【0280】
<実施例4>
実施例1の(工程c)において、第2非導電性無機粒子の投入量を、0.02gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1−3、表1−4及び表3−2に示す。
【0281】
<実施例5>
実施例1の(工程c)において、第2非導電性無機粒子の投入量を、0.015gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1−3、表1−4及び表3−2に示す。
【0282】
<実施例6>
実施例1の(工程c)において、第1非導電性無機粒子の投入量を、0.02gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1−3、表1−4及び表3−2に示す。
【0283】
<実施例7>
実施例1の(工程c)において、第1非導電性無機粒子の投入量を、0.015gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1−5、表1−6及び表3−3に示す。
【0284】
<実施例8>
実施例1の(工程a)〜(工程f)を経て作製した粒子D4.55gを、下記組成の無電解パラジウムめっき液1L(pH:6)に浸漬し、第2層を形成した。反応時間は10分間、温度は50℃にて処理を行った。第2層の平均厚さは10nm、第2層におけるパラジウム含有量は100質量%であった。この導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1−5、表1−6及び表3−3に示す。無電解パラジウムめっき液の組成は以下の通りである。
塩化パラジウム・・・・・・・0.07g/L
EDTA・2ナトリウム・・・1g/L
クエン酸・2ナトリウム・・・1g/L
ギ酸ナトリウム・・・・・・・0.2g/L
pH・・・・・・・・・・・・6
【0285】
<実施例9>
実施例1の(工程a〜工程f)を経て作製した粒子D4.55gを、置換金めっき液(日立化成株式会社製、商品名「HGS−100」)100mL/Lの溶液1Lに、85℃で2分間浸漬し、更に2分間水洗して、第2層を形成した。反応時間は10分間、温度は60℃にて処理を行った。第2層の平均厚さは10nm、第2層における金含有量はほぼ100質量%であった。この導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表1−5、表1−6及び表3−3に示す。
【0286】
<比較例1>
まず、実施例1の(工程a)を行った。続いて、実施例1の(工程b−1)において、第1非導電性無機粒子を平均粒径25nmの気相法親水性球状シリカ粉末に変更し、HMDSにより疎水化された球状シリカ粉末を得た。続いて、実施例1の(工程c)において、第1非導電性無機粒子0.025gと、第2非導電性無機粒子0.025gとの代わりに、HMDSにより疎水化された平均粒径25nmの球状シリカ粉末0.05gのみを用いた。これ以降は実施例1の(工程d)以降と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表2−1、表2−2及び表4−1に示す。
【0287】
<比較例2>
まず、実施例1の(工程a)を行った。続いて、実施例1の(工程b−1)において、第1非導電性無機粒子を、平均粒径40nmの気相法親水性球状シリカ粉末に変更し、HMDSにより疎水化された球状シリカ粉末を得た。続いて、実施例1の(工程c)において、第1非導電性無機粒子0.025gと、第2非導電性無機粒子0.025gとの代わりに、HMDSにより疎水化された平均粒径40nmの球状シリカ粉末0.05gのみを用いた。これ以降は実施例1の(工程d)以降と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表2−1、表2−2及び表4−1に示す。
【0288】
<比較例3>
実施例1の(工程c)において、第1非導電性無機粒子0.025gと、第2非導電性無機粒子0.025gとの代わりに、HMDSにより疎水化された平均粒径60nmの球状シリカ粉末0.05gのみに変更した以外は、実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表2−1、表2−2及び表4−1に示す。
【0289】
<比較例4>
まず、実施例1の(工程a)を行った。続いて、実施例1の(工程b−1)において、第1非導電性無機粒子を、平均粒径100nmの気相法親水性球状シリカ粉末に変更し、HMDSにより疎水化された球状シリカ粉末を得た。続いて、実施例1の(工程c)において、第1非導電性無機粒子0.025gと、第2非導電性無機粒子0.025gとの代わりに、HMDSにより疎水化された平均粒径100nmの球状シリカ粉末0.05gのみを用いた。これ以降は実施例1の(工程d)以降と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表2−3、表2−4及び表4−2に示す。
【0290】
<比較例5>
実施例1の(工程c)において、第1非導電性無機粒子0.025gと、第2非導電性無機粒子0.025gとの代わりに、HMDSにより疎水化された平均粒径120nmの球状シリカ粉末0.05gのみに変更した以外は、実施例1と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表2−3、表2−4及び表4−2に示す。
【0291】
<比較例6>
まず、実施例1の(工程a)を行った。次に、平均粒子径100nmのコロイダルシリカ分散液を超純水で希釈して、0.33質量%シリカ粒子分散液(シリカ総量0.05g)を得た。当該分散液に、(工程a)で作製したポリエチレンイミンが吸着した樹脂粒子を加え、室温で15分攪拌した。その後φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により樹脂粒子を取り出した。濾液からシリカは抽出されなかったことから、実質的に全てのシリカ粒子が樹脂粒子に吸着したことが確認された。シリカ粒子が吸着した樹脂粒子を超純水200gに入れて室温で5分攪拌した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により樹脂粒子を取り出し、メンブレンフィルタ上の樹脂粒子を200gの超純水で2回洗浄した。洗浄後の樹脂粒子を80℃で30分、120℃で1時間の順に加熱することにより乾燥して、表面にシリカ粒子が吸着した樹脂粒子2.05gを得た。
【0292】
上記樹脂粒子2.05gを、共振周波数28kHz、出力100Wの超音波を15分間照射した後、パラジウム触媒(アトテックジャパン株式会社製、商品名「アトテックネオガント834」)を8質量%含有するパラジウム触媒化液100mLに添加して、超音波を照射しながら30℃で30分攪拌した。その後、φ3μmのメンブレンフィルタ(メルクミリポア社製)を用いた濾過により樹脂粒子を取出し、取り出された樹脂粒子を水洗した。水洗後の樹脂粒子を、pH6.0に調整された0.5質量%ジメチルアミンボラン液に添加し、パラジウム触媒が固着化された樹脂粒子2.01gを得た。そして、20mLの蒸留水に、パラジウム触媒が固着化された樹脂粒子2.01gを浸漬した後、超音波分散することで、樹脂粒子分散液を得た。超音波分散した後の粒子をSEMにより観察した結果を
図15に示す。
【0293】
これ以降は、実施例1の(工程e)以降と同様にして、導電粒子、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、導電粒子及び接続構造体の評価を行った。結果を表2−3、表2−4及び表4−2に示す。比較例6における(工程f)の後の導電粒子をSEMにより観察した結果を
図16に示す。
【0294】
<比較例7>
平均粒径3.0μmの架橋ポリスチレン粒子(株式会社日本触媒製、商品名「ソリオスター」)を樹脂粒子として用いた。400mLのクリーナーコンディショナー231水溶液(ローム・アンド・ハース電子材料株式会社製、濃度40mL/L)を攪拌しながら、そこに樹脂粒子30gを投入した。続いて、水溶液を60℃に加温し、超音波を与えながら30分間攪拌して、樹脂粒子の表面改質及び分散処理を行った。
【0295】
上記水溶液を濾過し、得られた粒子を1回水洗した後に、粒子30gを水に分散させて200mLのスラリーを得た。このスラリーに塩化第一錫水溶液200mL(濃度1.5g/L)を加え、常温で5分間攪拌し、錫イオンを粒子の表面に吸着させる感受性化処理を行った。続いて、水溶液を濾過し、得られた粒子を1回水洗した。次いで、粒子30gを水に分散させて400mLのスラリーを調製した後、60℃まで加温した。超音波を併用してスラリーを攪拌しながら、10g/Lの塩化パラジウム水溶液2mLを添加した。そのまま5分間攪拌することで、粒子の表面にパラジウムイオンを捕捉させる活性化処理を行った。続いて、水溶液を濾過し、得られた粒子を1回水洗した。
【0296】
次いで、20g/Lの酒石酸ナトリウム、10g/Lの硫酸ニッケル及び0.5g/Lの次亜リン酸ナトリウムを溶解した水溶液からなる無電解めっき液3リットルを60℃に昇温した。この無電解めっき液に、上記粒子10gを投入した。これを5分間攪拌し、水素の発泡が停止することを確認した。
【0297】
その後、200g/Lの硫酸ニッケル水溶液400mLと、200g/Lの次亜リン酸ナトリウム及び90g/Lの水酸化ナトリウム混合水溶液400mLとを、それぞれ同時に定量ポンプによって連続的に、粒子を含むめっき液に添加した。添加速度はいずれも3mL/分とした。次いで、この溶液を60℃に保持しながら5分間攪拌した後、溶液を濾過した。濾過物を3回洗浄した後、100℃の真空乾燥機で乾燥して、ニッケル−リン合金被膜を有する導電粒子を得た。得られた導電粒子について、粒子の中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で断面を切り出し、TEMを用いて25万倍の倍率で観察した。得られた断面の画像に基づき、断面積の平均値より膜厚を算出した結果、ニッケル−リン合金被膜の平均膜厚は105nmであった。
【0298】
この導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、接続構造体の評価を行った。導電粒子の評価については、一部の評価を実施例1と同様に行った。結果を表2−5、表2−6及び表4−3に示す。
【0299】
<比較例8>
平均粒径3.0μmの架橋ポリスチレン粒子(株式会社日本触媒製、商品名「ソリオスター」)を樹脂粒子として用いた。400mLのクリーナーコンディショナー231水溶液(ローム・アンド・ハース電子材料株式会社製、濃度40mL/L)を攪拌しながら、そこに樹脂粒子7gを投入した。続いて、水溶液を60℃に加温し、超音波を与えながら30分間攪拌して、樹脂粒子の表面改質及び分散処理を行った。
【0300】
上記水溶液を濾過し、得られた粒子を1回水洗した後に、粒子7gを純水に分散させて200mLのスラリーを得た。このスラリーに塩化第一錫水溶液200mL(濃度1.5g/L)を加え、常温で5分間攪拌し、錫イオンを粒子の表面に吸着させる感受性化処理を行った。続いて、水溶液を濾過し、得られた粒子を1回水洗した。次いで、粒子7gを水に分散させて400mLのスラリーを調製した後、60℃まで加温した。超音波を併用してスラリーを攪拌しながら、10g/Lの塩化パラジウム水溶液2mLを添加した。そのまま5分間攪拌することで、粒子の表面にパラジウムイオンを捕捉させる活性化処理を行った。続いて、水溶液を濾過し、得られた粒子を1回水洗した。
【0301】
得られた粒子7gを純水300mLに加え、3分間攪拌して分散させた。次に、その分散液に芯物質としてニッケル粒子(三井金属鉱業株式会社製、商品名「2007SUS」、平均粒径50nm)2.25gを添加し、芯物質を付着させた粒子を得た。
【0302】
前記分散液を更に水1200mLで希釈し、めっき安定剤として硝酸ビスマス水溶液(濃度1g/L)4mLを添加した。次に、この分散液に、硫酸ニッケル450g/L、次亜リン酸ナトリウム150g/L、クエン酸ナトリウム116g/L及びめっき安定剤(硝酸ビスマス水溶液(濃度1g/L))6mLの混合溶液120mLを81mL/分の添加速度で定量ポンプを通して添加した。その後、pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止することを確認した。
【0303】
次いで、硫酸ニッケル450g/L、次亜リン酸ナトリウム150g/L、クエン酸ナトリウム116g/L、めっき安定剤(硝酸ビスマス水溶液(濃度1g/L))35mLの混合溶液650mLを27mL/分の添加速度で定量ポンプを通して添加した。その後、pHが安定するまで攪拌し、水素の発泡が停止することを確認した。
【0304】
次いで、めっき液を濾過し、濾過物を水で洗浄した。その後、80℃の真空乾燥機で乾燥してニッケル−リン合金被膜を有する導電粒子を得た。得られた導電粒子について、粒子の中心付近を通るようにウルトラミクロトーム法で断面を切り出し、TEMを用いて25万倍の倍率で観察した。得られた断面の画像に基づき、断面積の平均値より膜厚を算出した結果、ニッケル−リン合金被膜の平均膜厚は101nmであった。
【0305】
上記導電粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、絶縁被覆導電粒子、異方導電性接着フィルム及び接続構造体の作製、並びに、接続構造体の評価を行った。導電粒子の評価については、一部の評価を実施例1と同様に行った。結果を表2−5、表2−6及び表4−3に示す。
【0306】
比較例6の導電粒子は上記特許文献3の導電粒子に対応する。比較例7の導電粒子は上記特許文献1の導電粒子に対応する。比較例8の導電粒子は上記特許文献2の導電粒子に対応する。
【0307】
【表1-1】
【0308】
【表1-2】
【0309】
【表1-3】
【0310】
【表1-4】
【0311】
【表1-5】
【0312】
【表1-6】
【0313】
【表2-1】
【0314】
【表2-2】
【0315】
【表2-3】
【0316】
【表2-4】
【0317】
【表2-5】
【0318】
【表2-6】
【0319】
【表3-1】
【0320】
【表3-2】
【0321】
【表3-3】
【0322】
【表4-1】
【0323】
【表4-2】
【0324】
【表4-3】