(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態は、本明細書において、ステージと、ステージを移動させる流体アクチュエータアセンブリを制御する制御システムとを含むステージアセンブリに関して説明される。当業者であれば、本発明の以下の詳細な説明が例示的なものに過ぎず、決して限定するものではないことを理解するであろう。本発明の他の実施形態は、本開示の恩恵を受ける当業者には容易に示唆されるであろう。次に、添付の図面に示されているような、本発明の実施態様を詳細に参照する。同じ又は類似の部分を示すために、図面及び以下の詳細な説明の全体にわたって、同じ又は同様の参照符号が使用される。
【0033】
明瞭化のために、本明細書で説明されている実施態様の当たり前の特徴のすべてを示し説明してはいない。言うまでもなく、そのような実際の実施態様の開発では、用途関連及びビジネス関連の制約の遵守などの開発者の特定の目標を達成するために実施態様に固有の数々の決定を行わなければならないこと、並びにこれらの特定の目標が実施態様ごと、開発者ごとに異なることが理解されよう。さらに、このような開発の努力が、複雑で時間のかかるものであるにもかかわらず、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては工学上の当たり前の仕事であることが理解されよう。
【0034】
図1は、ベース12と、ステージ14と、ステージムーバアセンブリ16と、測定システム18と、制御システム20(四角い枠として示されている)とを含むステージアセンブリ10の簡略図である。これらの構成要素の各々の設計は、ステージアセンブリ10の設計要求に適合するように変更することができる。ステージアセンブリ10は、製造プロセス及び/又は検査プロセス中にワーク22(場合によってはデバイスとも呼ばれる)を精密に位置決めするのに特に有用である。
【0035】
概要として、特定の実施形態において、ステージムーバアセンブリ16は、製造に費用が比較的かからない流体アクチュエータアセンブリ24を含む。さらに、本明細書に記載されている独自の較正及び特定プロセスの後に、制御システム20は、ワーク22を正確に位置決めするために流体アクチュエータアセンブリ24を制御することができる。その結果、ステージアセンブリ10の製造にかかる費用が安くなり、ワーク22は、依然として所望のレベルの精度で位置決めされる。
【0036】
ステージアセンブリ10によって位置決めされ移動されるワーク22のタイプは変更することができる。例えば、ワーク22は、LCDフラットパネルディスプレイ、半導体ウエハ、又はマスクとすることができ、ステージアセンブリ10は、露光装置の一部として使用することができる。代替的に、例えば、ステージアセンブリ10は、製造及び/又は検査中に他のタイプのデバイスを移動させるために、電子顕微鏡(図示せず)の下にデバイスを移動させるために、又は精密測定動作(図示せず)中にデバイスを移動させるために使用することができる。
【0037】
本明細書に記載されている図の一部は、X軸、Y軸、及びZ軸を指定する座標系を含む。座標系は参照用のものに過ぎず、変更することができることを理解されたい。例えば、X軸とY軸を入れ替えることができ、及び/又はステージアセンブリ10を回転させることができる。さらに、これらの軸は、代替的に第1の軸、第2の軸、又は第3の軸と呼ぶことができる。
【0038】
ベース12は、ステージ14を支持する。
図1に示す非排他的な実施形態において、ベース12は、硬質であり、略矩形の板状のものである。さらに、ベース12は、ベースマウント26にしっかりと固定することができる。代替的に、ベース12は、別の構造に固定することもできる。
【0039】
ステージ14は、ワーク22を保持する。一実施形態において、ステージ14及びワーク22を精密に位置決めするために、ステージは、ステージムーバアセンブリ16によってベース12に対して精密に移動される。
図1において、ステージ14は、略矩形状のものであり、ワーク22を保持するためのデバイスホルダ(図示せず)を含む。デバイスホルダは、真空チャック、静電チャック、又はワーク22をステージ14に直接結合する何らかの他のタイプのクランプとすることができる。本明細書に示す実施形態において、ステージアセンブリ10は、ワーク22を保持する単一のステージ14を含む。あるいは、例えば、ステージアセンブリ10は、個別に移動され位置決めされる複数のステージを含むように設計することができる。一例として、ステージアセンブリ10は、ステージムーバアセンブリ16によって移動される粗動ステージ(図示せず)と、微動ステージムーバアセンブリ(図示せず)を用いて粗動ステージに対して移動される、ワーク22を保持する微動ステージ(図示せず)とを含むことができる。
【0040】
さらに、
図1において、ベース12に対するステージ14の移動を可能にするベアリングアセンブリ28を用いて、ステージ14を、ベース12に対して支持することができる。例えば、ベアリングアセンブリ28は、ローラベアリング、流体ベアリング、リニアベアリング、又は別のタイプのベアリングとすることができる。
【0041】
測定システム18は、光学アセンブリ(
図1には図示せず)又はベース12などの基準に対するステージ14の移動及び/又は位置を監視し、測定情報を制御システム20に供給する。ステージ14を精密に位置決めするために、この情報を用いて、ステージムーバアセンブリ16を、制御システム20によって制御することができる。測定システム18の設計は、ステージ14の移動要求に応じて変更することができる。一実施形態において、測定システム18は、Y軸に沿ったステージ14の移動を監視するリニアエンコーダを含むことができる。代替的に、測定システム18は、干渉計又は別のタイプの移動センサもしくは位置センサを含むことができる。
【0042】
ステージムーバアセンブリ16は、ベース12に対してステージ14を移動させるために制御システム20によって制御される。
図1において、ステージムーバアセンブリ16は、ステージ14を単一の移動軸30(例えば、Y軸)に沿って移動させる流体アクチュエータアセンブリ24を含む。
【0043】
流体アクチュエータアセンブリ24の設計は、本明細書に記載されている教示に従って変更することができる。非排他的な一実施形態において、流体アクチュエータアセンブリ24は、(i)ピストンチャンバ34を画定するピストンハウジング32及びピストンチャンバ34内に配置されるピストン36を含むピストンアセンブリ31と、(ii)ピストンチャンバ34への/からのピストン流体40(小さい円として示されている)の流れを制御するバルブアセンブリ38とを含む。例えば、ピストン流体40は、空気又は別のタイプの流体とすることができる。これらの構成要素の設計は、本明細書に記載されている教示に従って変更することができる。
【0044】
一実施形態において、ピストンハウジング32は、硬質であり、略直円柱状のピストンチャンバ34を画定する。この実施形態において、ピストンハウジング32は、管状の側壁32Aと、円盤状の第1の端壁32Bと、第1の端壁32Bから離間した円盤状の第2の端壁32Cとを含む。端壁32B、32Cの一方又は両方は、ピストン36の一部を受け入れるための壁開口32Dを含むことができる。
【0045】
ピストンハウジング32は、ピストンマウント42にしっかりと固定することができる。代替的に、ピストンハウジング32は、ベース12などの別の構造に固定することができる。さらに代替的に、ピストンハウジング32は、ステージムーバアセンブリ16によって発生する反力を受けるため、ピストンハウジング32は、他の構造の位置でステージムーバアセンブリ16からの反力の影響を相殺、低減、及び最小化する反作用アセンブリに結合することができる。例えば、ピストンハウジング32は、移動軸30に沿ったピストンハウジング32の運動を可能にする反作用ベアリング(図示せず)を用いてカウンターマス支持体(図示せず)上に維持される大きいカウンターマス(図示せず)に結合することができる。
【0046】
ピストン36は、ピストンチャンバ34内に配置され、ピストン軸36Aに沿ってピストンチャンバ34に対して移動する。特定の実施形態において、ピストン軸36Aは、移動軸30と同軸である。
図1に示されている非排他的な実施形態において、ピストン36は、(i)硬質の円盤状のピストン本体36Bと、(ii)ピストン本体36Bとピストンハウジング32との間の領域をシールするピストンシール36Cと、(iii)ピストン本体36Bに取り付けられ、ピストン本体36Bから片持ち梁のように突き出た硬質の第1のビーム36Dであって、第1の端壁32Bの壁開口32Dを通って延びる第1のビーム36Dと、(iv)ピストン本体36Bに取り付けられ、ピストン本体36Bから片持ち梁のように突き出た硬質の第2のビーム36Eであって、第2の端壁32Cの壁開口32Dを通って延びる第2のビーム36Eと、(iv)第1のビーム36Dと第1の端壁32Bとの間の領域をシールする第1のビームシール(図示せず)と、(v)第2のビーム36Eと第2の端壁32Cとの間の領域をシールする第2のビームシール(図示せず)とを含む。
【0047】
この実施形態において、第2のビーム36Eは、ステージ14にもしっかりと固定されている。別の言い方をすると、第2のビーム36Eは、ピストン本体36Bとステージ14との間に延在し、これにより、ピストン本体36Bが移動すると、ステージ14も移動するようになっている。さらに、この実施形態において、第1のビーム36Dは、ピストン本体36Bの両側面の有効面積が計算を簡単にするために同じになるように備えられている。代替的に、例えば、流体アクチュエータアセンブリ24は、第1のビーム36Dなしで設計することができる。このような代替的な設計において、ピストン本体36Bの左側面の有効面積は、ピストン本体36Bの右側面の有効面積よりも大きい。
【0048】
ピストン本体36Bは、ピストン本体36Bの両側にある第1のチャンバ34A(「チャンバ1」とも呼ばれる)と第2のチャンバ34B(「チャンバ2」とも呼ばれる)とにピストンチャンバ34を分割している。
図1において、第1のチャンバ34Aは、ピストン本体36Bの左側にあり、第2のチャンバ34Bは、ピストン本体36Bの右側にある。さらに、第1のチャンバ34Aは、チャンバ1の有効ピストン面積(A
1)を有し、第1の圧力(P
1)にあるピストン流体40で満たされ、第1の温度(T
1)にあり、第1の容積(V
1)を有する。同様に、第2のチャンバ34Bは、チャンバ2の有効ピストン面積(A
2)を有し、第2の圧力(P
2)にあるピストン流体40で満たされ、第2の温度(T
2)にあり、第2の容積(V
2)を有する。
図1に示すこの非排他的な例において、流体アクチュエータアセンブリ24は、チャンバ1の有効ピストン面積(A
1)がチャンバ2の有効ピストン面積(A
2)とほぼ等しくなるように設計されている。
【0049】
第1のチャンバ34A内のピストン流体40の第1の圧力(P
1)は、ピストン本体36Bに対する第1の力(F
1)を発生させ、第2のチャンバ34B内のピストン流体40の第2の圧力(P
2)は、ピストン本体36Bに対する第2の力(F
2)を発生させる。流体アクチュエータアセンブリ24によって発生する合力(F)44(矢印で示す)は、第1の力(F
1)から第2の力(F
2)を差し引いたものと等しい(F=F
1−F
2)。
【0050】
図1に示す非排他的な設計において、第1の圧力(P
1)が第2の圧力(P
2)よりも大きい場合、第1の力(F
1)は第2の力(F
2)よりも大きく、合力(F)は、正であり、ピストン本体36B及びステージ14を左から右に付勢する。反対に、第1の圧力(P
1)が第2の圧力(P
2)よりも小さい場合、第1の力(F
1)は第2の力(F
2)よりも小さく、合力(F)は、負であり、ピストン本体36B及びステージ14を右から左に付勢する。
【0051】
一実施形態において、バルブアセンブリ38は、チャンバ34A、34Bの各々の内の圧力を正確かつ個々に制御するために制御システム20によって制御される。非排他的な一実施形態として、バルブアセンブリ38は、(i)第1の圧力(P
1)を正確に制御するために、第1のチャンバ34Aへの/からのピストン流体40の流れを制御するように制御される第1のバルブサブアセンブリ38Aと、(ii)第2の圧力(P
2)を正確に制御するために、第2のチャンバ34Bへの/からのピストン流体40の流れを制御するように制御される第2のバルブサブアセンブリ38Bとを含む。この実施形態において、第1のバルブサブアセンブリ38Aは、第1のチャンバ34Aへのピストン流体40の流れを制御するように制御される第1の入口バルブ38Cと、第1のチャンバ34Aからのピストン流体40の流れを制御するように制御される第1の出口バルブ38Dとを含む。同様に、第2のバルブサブアセンブリ38Bは、第2のチャンバ34Bへのピストン流体40の流れを制御するように制御される第2の入口バルブ38Eと、第2のチャンバ34Bからのピストン流体40の流れを制御するように制御される第2の出口バルブ38Fとを含む。
【0052】
この実施形態において、流体アクチュエータアセンブリ24は、加圧ピストン流体40を入口バルブ38C、38Eに供給する1つ以上の流体圧力源46(2つが示されている)を含むことができる。さらに、流体圧力源46の各々は、流体タンク46Aと、タンク46A内に加圧ピストン流体40を発生させる圧縮機46Bと、入口バルブ38C、38Eに供給されるピストン流体40の圧力を制御する圧力調整器46Cとを含むことができる。さらに、出口バルブ38D、38Fは、大気、又は真空チャンバなどの低圧領域への排出を可能にする。
【0053】
特定の実施形態において、バルブ38C、38D、38E、38Fの各々は、これらのバルブ38C、38D、38E、38Fの制御に影響を及ぼす1つ以上のバルブ特性を含む。例えば、(i)第1の入口バルブ38Cは、1つ以上の第1の入口バルブ特性を有し、(ii)第1の出口バルブ38Dは、1つ以上の第1の出口バルブ特性を有し、(iii)第2の入口バルブ38Eは、1つ以上の第2の入口バルブ特性を有し、及び/又は(iv)第2の出口バルブ38Fは、1つ以上の第2の出口バルブ特性を有する。一実施形態において、それぞれのバルブ38C、38D、38E、38Fの個々のバルブ特性を測定するために、バルブ38C、38D、38E、38Fの各々が個々に試験される。この設計において、それぞれのバルブ38C、38D、38E、38Fの個々のバルブ特性は、バルブ38C、38D、38E、38Fの各々を制御するために使用される。代替的に、バルブ38C、38D、38E、38Fの各々が、同様であり、同様のバルブ特性を有する場合、バルブ38C、38D、38E、38Fのうちの1つを試験することができ、バルブ38C、38D、38E、38Fのすべてを制御するために、そのバルブのバルブ特性を使用することができる。
【0054】
使用されるバルブ38C、38D、38E、38Fのタイプは変更することができる。非排他的な例として、バルブ38C、38D、38E、38Fの各々は、ポペット(「マッシュルーム」)タイプのバルブ又はスプールタイプのバルブなどの比例バルブとすることができる。
【0055】
バルブ特性のタイプは、使用されるバルブ38C、38D、38E、38Fのタイプに応じて変化する。バルブ38C、38D、38E、38Fの非排他的なタイプ及びバルブ特性の非排他的な例についてはいくつか以下で詳細に説明する。バルブ38C、38D、38E、38Fは、本明細書に記載されている例と異なってもよく、バルブ特性は、本明細書に記載されている例と異なってもよいことに留意されたい。
【0056】
本明細書に記載されているように、バルブ38C、38D、38E、38Fの各々に関して、これらの対応するバルブ特性は、実験的試験、シミュレーション、又はこれら両方の組み合わせによって測定することができる。
【0057】
制御システム20は、チャンバ34A、34Bの各々への/からのピストン流体40の流れを制御するためにバルブアセンブリ38を制御する。チャンバ34A、34Bの各々への/からのピストン流体40の流量を選択的に制御することによって、バルブアセンブリ38を、ピストン本体36B及びステージ14を正確に移動させる、ピストン本体36Bに対する制御可能な力44(「F」)を発生させるように制御することができる。
【0058】
制御システム20は、バルブアセンブリ38に電気的に接続され、ステージ14及びワーク22を精密に位置決めするためにバルブアセンブリ38に流される電流を制御する。一実施形態において、制御システム20は、(i)ステージ14の位置(「x」)を絶えず測定するために、及び(ii)ステージ14を位置決めする目的でバルブアセンブリ38に電流を流すために測定システム18からの情報を使用する。制御システム20は、1つ以上のプロセッサ20A及び電子データ記憶装置20Bを含むことができる。制御システム20は、本明細書に記載されているステップを実行するために1つ以上のアルゴリズムを使用する。
【0059】
特定の実施形態において、制御システム20は、所望の第1の力(F
1)を発生させる目的で第1のチャンバ34A内の第1の圧力(P
1)を制御するために第1のバルブ38C、38Dの各々を個々に制御する。同様に、制御システム20は、所望の第2の力(F
2)を発生させる目的で第2のチャンバ34B内の第2の圧力(P
2)を制御するために第2のバルブ38E、38Fの各々を個々に制御する。したがって、バルブ38C、38D、38E、38Fを制御することによって、制御システム20は、ステージ14に対する所望の合力(F)44を発生させるように流体アクチュエータアセンブリ24を制御することができる。
【0060】
特定の実施形態において、制御システム20がピストン流体40を第1のチャンバ34Aに追加する必要があると判断したとき、制御システム20は、第1の出口バルブ38Dを制御して閉鎖し、ピストン流体40を追加するために第1の入口バルブ38Cを制御して適切な量だけ開放する。さらに、制御システム20が第1のチャンバ34Aからピストン流体40を除去する必要があると判断したとき、制御システム20は、第1の入口バルブ38Cを制御して閉鎖し、ピストン流体40を放出するために第1の出口バルブ
38Dを制御して適切な量だけ開放する。この例において、常に第1のバルブ38C、38Dの一方が閉鎖されるように制御される。代替的に、制御システム20は、第1のチャンバ34Aへの/からのピストン流体40の追加及び/又は除去中に第1のバルブ38C、38Dの両方を制御して開放することができる。
【0061】
同様に、制御システム20がピストン流体40を第2のチャンバ34Bに追加する必要があると判断したとき、制御システム20は、第2の出口バルブ38Fを制御して閉鎖し、ピストン流体40を追加するために第2の入口バルブ38Eを制御して適切な量だけ開放する。さらに、制御システム20が第2のチャンバ34Bからピストン流体40を除去する必要があると判断したとき、制御システム20は、第2の入口バルブ38Eを制御して閉鎖し、ピストン流体40を放出するために第2の出口バルブ38Fを制御して適切な量だけ開放する。この例において、常に第2のバルブ38E、38Fの一方が閉鎖されるように制御される。代替的に、制御システム20は、第2のチャンバ34Bへの/からのピストン流体40の追加及び/又は除去中に第2のバルブ38E、38Fの両方を制御して開放することができる。
【0062】
2つのチャンバ34A、34Bの正確な流体圧力制御を行い、所望の力44を発生させ、ステージ14を駆動する。流体アクチュエータアセンブリ24を正確に制御するには、(i)チャンバ容積に応じた流体圧力の変動、(ii)比例バルブ38C、38D、38E、38Fのバックラッシュ及び差圧の依存関係、並びに(iii)上流及び下流の圧力に関連する流量の非線形性など、システムに固有の非線形性を測定することが重要である。実験的試験及び/又はモデリングを通じて、これらの非線形性を、特定し、制御システム20によって補償することができる。
【0063】
例えば、制御システム20は、(i)第1の入口バルブ38Cを制御するために第1の入口バルブ特性の逆関数を、(ii)第1の出口バルブ38Dを制御するために第1の出口バルブ特性の逆関数を、(iii)第2の入口バルブ38Eを制御するために第2の入口バルブ特性の逆関数を、及び(iv)第2の出口バルブ38Fを制御するために第2の出口バルブ特性の逆関数を、利用することができる。制御システム20は各バルブ特性の逆関数を利用するため、バルブ38C、38D、38E、38Fの各々を、向上した精度で制御することができる。
【0064】
図2Aは、ステージ14を正確に位置決めするために流体アクチュエータアセンブリ24を制御するための方法の非排他的な一例を示す制御ブロックダイアグラム220である。より具体的には、制御ブロックダイアグラム220は、ステージ14を精密に位置決めする目的でピストンアセンブリ31を制御するためにバルブアセンブリ38に電流を流すための非排他的な一方法を示す。制御ブロックダイアグラム220において、ステージ14は、測定システム18(
図1に示されている)によって測定されるような、測定される瞬時のステージ位置(「x」)(例えば、測定軸30(
図1に示されている)に沿った)を有する。
【0065】
この実施形態において、制御ブロックダイアグラム220は、(i)ステージ14のステージ所望基準位置又は軌道(「x
d」)(例えば、移動軸30(
図1に示されている)に沿った)、所望の速度(「
【数1】
」)、所望の加速度(「
【数2】
」)、及びステージジャーク基準(「
【数3】
」)を与えるステージ基準ブロック260と、(ii)ステージフィードバック(「FB」)コントローラ262と、(iii)ステージフィードフォワード(「FF」)コントローラ264と、(iv)フィードバック力コマンドをフィードバック圧力コマンドに変換するフィードバックコンバータ266と、(v)フィードフォワード力コマンドをフィードフォワード圧力コマンドに変換するフィードフォワードコンバータ268と、(vi)第1のチャンバコントローラ270と、(vii)第2のチャンバコントローラ272と、(viii)ステージ14の測定された位置(「x」)に基づいて第1のチャンバの現在の第1のチャンバ容積(「V
1」)及び第1の容積変化率(「
【数4】
」)を推定し、ステージ14の測定された位置に基づいて第2のチャンバの現在の第2のチャンバ容積(「V
2」)及び第2の容積変化率(「
【数5】
」)を推定するチャンバ容積推定器278とを含む。
【0066】
図2Aの制御ブロックダイアグラム220のブロックの一部は任意選択であり、及び/又は制御ブロックダイアグラム220は追加の制御ブロックを含むことができることに留意されたい。例えば、制御ブロックダイアグラム220は、ステージフィードフォワードコントローラ264のループなしで設計することができる。追加的に又は代替的に、制御ブロックダイアグラム220は、反復学習ループ(図示せず)を含むように設計することができる。
【0067】
左から右に進行する制御ブロックダイアグラム220において、ステージ所望基準260の位置又は軌道(「x
d」)は、ステージ14の所望の位置と測定された位置との間の誤差を表すステージ追従誤差(「e」)を生成するために、ステージ測定位置(「x」)と比較される。次に、ステージ追従誤差(「e」)は、ステージ14を測定された位置から基準位置に移動させるために必要な力コマンドを表すステージフィードバック力コマンド(「F
fb」)を生成するステージフィードバックコントローラ262に供給される。同時に、所望の基準位置(「x
d」)、ステージ速度基準(「
【数6】
」)、ステージ加速度基準(「
【数7】
」)、及びステージジャーク基準(
【数8】
)が、システム時間遅延及び軌道などを補償するために必要な力コマンドを表すステージフィードフォワード力コマンド(「F
ff」)を生成するステージフィードフォワードコントローラ264に供給される。
【0068】
次に、この実施形態において、ステージフィードバック力コマンド(「F
fb」)及びフィードフォワード力コマンド(「F
ff」)は、フィードバックコンバータ266に供給される組み合わされた力コマンド(「F
cmd」)を生成するために組み合わされ、フィードバックコンバータ266は、組み合わされた力コマンドを、第1のチャンバのための第1のフィードバック圧力コマンド(「P1
fb」又は「P
1,cmd」)及び第2のチャンバのための第2のフィードバック圧力コマンド(「P2
fb」又は「P
2,cmd」)に変換する。同様に、ステージフィードフォワード力コマンド(「F
ff」)は、フィードフォワードコンバータ268に供給され、フィードフォワードコンバータ268は、フィードフォワード力コマンドを、第1のチャンバのための第1のフィードフォワード圧力変化率コマンド(「
【数9】
」)及び第2のチャンバのための第2のフィードフォワード圧力変化率コマンド(「
【数10】
」)に変換する。
【0069】
その後、第1のチャンバコントローラ270は、第1のバルブサブアセンブリに送られる第1のバルブサブアセンブリ電流コマンド(「u
1」)を決定するために、第1のフィードバック圧力コマンド(「P
1,cmd」)、第1のフィードフォワード圧力コマンド(「
【数11】
」)、第1の測定された圧力(「P
1」)、第1のチャンバ容積(「V
1」)、及び第1の容積変化率(「
【数12】
」)を使用する。同様に、第2のチャンバコントローラ272は、第2のバルブサブアセンブリに送られる第2のバルブサブアセンブリ電流コマンド(「u
2」)を決定するために、第2のフィードバック圧力コマンド(「P
2,cmd」)、第2のフィードフォワード圧力コマンド(「
【数13】
」)、第2の測定された圧力(「P
2」)、第2のチャンバ容積(「V
2」)、及び第2の容積変化率(「
【数14】
」)を使用する。バルブアセンブリ38への電流により、ピストンアセンブリ31へのピストン流体が制御され、ステージ14に対する力(「F」)が生成される。
【0070】
本明細書に記載されているように、チャンバコントローラ270、272は、2つのチャンバ内の圧力を正確に制御するために必要なそれぞれの電流コマンドを正確に決定するためにバルブ特性の逆関数を利用する。このプロセスは、
図2Bを参照して以下でより詳細に説明される。
【0071】
各バルブサブアセンブリのバルブのうちの一方が常に閉鎖される実施形態において、各バルブサブアセンブリに必要とされるのは単一の電流コマンドのみであることに留意されたい。代替的に、各バルブサブアセンブリの両方を常に開放することができる場合、チャンバコントローラ270、272は、各バルブに別々の電流コマンドを供給するように設計される必要がある。
【0072】
ステージムーバアセンブリ16によって発生する力を理解し、制御システム20によるステージムーバアセンブリ16の制御を理解するためには、多くの式が有用である。上記のように、ステージムーバアセンブリ16によって発生する合力は、以下のように規定される。
【数15】
上記のように、Fは、合力であり、F
1は、第1のチャンバによって発生する力であり、F
2は、第2のチャンバによって発生する力である。
【0073】
式1は、以下のように書き直すことができる。
【数16】
上記のように、P
1は、第1のチャンバ内の第1のチャンバ圧力であり、A
1は、第1のチャンバの有効ピストン面積であり、P
2は、第2のチャンバ34B内の第2のチャンバ圧力であり、A
2は、第2のチャンバ34Bの有効ピストン面積である。
【0074】
さらに、ステージに対する力は、以下のように表すことができる。
【数17】
式3及び他の箇所において、Mは、ステージ(ワークを含む)の質量であり、Cは、減衰係数であり、
【数18】
は、ステージの質量の加速度であり、
【数19】
は、ステージの速度である。
【0075】
気体の状態式は、以下のように表すことができる。
【数20】
式4及び他の箇所において、iは、それぞれのチャンバ(第1のチャンバ(「1」)又は第2のチャンバ(「2」)のいずれか)であり、P
iは、それぞれのチャンバ内の圧力であり、V
iは、それぞれのチャンバの容積であり、Rは、気体定数であり、m
iは、それぞれのチャンバ内の気体質量であり、T
iは、それぞれのチャンバ内の温度である。
【0076】
式4は、以下のように書き直すことができる。
【数21】
式5及び他の箇所において、
【数22】
は、それぞれのチャンバの圧力変化率であり、
【数23】
は、それぞれのチャンバの容積変化率であり、
【数24】
は、それぞれのチャンバの質量流量である。
【0077】
式5は、以下のようにチャンバ圧力モデリングとして書き直すことができる。
【数25】
【0078】
さらに、式5は、以下のようにチャンバ質量流量制御として書き直すことができる。
【数26】
【0079】
第1のチャンバ34Aの第1の容積V
1は、以下のようにステージ位置の関数として書くことができる。
【数27】
同様に、第2のチャンバ34Bの第2の容積V
2は、以下のようにステージ位置の関数として書くことができる。
【数28】
式8及び9並びに他の箇所において、A
1は、第1のチャンバの有効ピストン面積であり、A
2は、第2のチャンバの有効ピストン面積であり、xは、ステージの現在の位置であり、x
1,oは、第1のチャンバの無効長(dead length)であり、x
2,oは、第2のチャンバの無効長である。
【0080】
式8は、以下のように書き直すことができる。
【数29】
同様に、式9は、以下のように書き直すことができる。
【数30】
これらの式及び他の箇所において、
【数31】
は、第1のチャンバの容積変化率であり、
【数32】
は、第2のチャンバの容積変化率である。
【0081】
チャンバ34A、34Bの各々のチャンバ圧力制御は、以下のように表すことができる。
【数33】
【数34】
式12及び13並びに他の箇所において、F
cmdは、力コマンドであり、F
feedforwardは、フィードフォワード力コマンドであり、F
feedbackは、フィードバック力コマンドであり、
【数35】
は、ステージ加速度基準であり、
【数36】
は、ステージ速度基準であり、
【数37】
は、ステージジャーク基準であり、x
dは、基準位置であり、Cは、ステージとアクチュエータシステムの減衰比であり、C
fb(s)は、ステージフィードバック制御フィルタであり、xは、ステージの現在の測定された位置であり、P
1,cmdは、第1のチャンバへの圧力コマンドであり、P
2,cmdは、第2のチャンバへの圧力コマンドである。
【0082】
式12及び13は、以下のように書き直すことができる。
【数38】
【数39】
式14及び15並びに他の箇所において、F
oは、オフセット力コマンドであり、rは、第1のチャンバと第2のチャンバの配分比である。特定の実施形態において、rの値は、0よりも大きく、1よりも小さい(0<r<1)が、公称値はr=0.5である。
【0083】
式14及び15は、以下のように書き直すことができる。
【数40】
【数41】
【0084】
チャンバ圧力制御は、以下のように表すことができる。
【数42】
さらに、式18は、以下のように表すことができる。
【数43】
【数44】
【0085】
式7と同様に、チャンバの質量流量制御は、以下のように表すことができる。
【数45】
式21及び他の箇所において、
【数46】
は、第1のチャンバ及び第2のチャンバの一方に対する質量流量コマンドである。
【0086】
図2Bは、チャンバコントローラ270、272(
図2Aに示されている)の一方を設定することができる方法を示す制御ブロックダイアグラムである。この実施形態において、チャンバコントローラは、(i)圧力フィードバックコントローラ290と、(ii)圧力−質量流量コンバータ292と、(iii)入口質量流量−オリフィス面積コンバータ294と、(iv)出口質量流量−オリフィス面積コンバータ296と、(v)入口オリフィス面積−電流コンバータ297と、(vi)出口オリフィス面積−電流コンバータ298とを含む。この実施形態において、圧力フィードバックコントローラ290は、それぞれのチャンバの圧力誤差P
i,errを受け取り、圧力変化率フィードバック(「
【数47】
」)を生成する。圧力−質量流量コンバータ292は、圧力変化率コマンド(「
【数48】
」)、チャンバ圧力(「P
i」)、現在のチャンバ容積(「V
i」)、及び容積変化率(「
【数49】
」)を受け取り、入口バルブのための質量流量コマンド(「
【数50】
」)及び出口バルブのための質量流量コマンド(「
【数51】
」)を生成する。圧力−質量流量コンバータ292は、本明細書に記載されている式21及び22を使用することができる。
【0087】
入口質量流量−オリフィス面積コンバータ294は、質量流量コマンド(「
【数52】
」)及びチャンバ圧力(「P
i」)を受け取り、入口バルブのための入口オリフィス面積コマンド(「a
i,cmd+」)を生成する。入口質量流量−オリフィス面積コンバータ294は、本明細書に記載されている式24を使用することができる。ある程度同様に、出口質量流量−オリフィス面積コンバータ296は、質量流量コマンド(「
【数53】
」)及びチャンバ圧力(「P
i」)を受け取り、出口バルブのための出口オリフィス面積コマンド(「a
i,cmd−」)を生成する。出口質量流量−オリフィス面積コンバータ296は、本明細書に記載されている式25を使用することができる。
【0088】
次に、入口オリフィス面積−電流コンバータ297は、入口バルブのための入口電流コマンド(「u
i,cmd+」)を生成するために入口オリフィス面積コマンド(「a
i,cmd+」)を使用する。入口オリフィス面積−電流コンバータ297は、本明細書に記載されている式27を使用することができる。同様に、出口オリフィス面積−電流コンバータ298は、出口バルブのための出口電流コマンド(「u
i,cmd−」)を生成するために出口オリフィス面積コマンド(「a
i,cmd−」)を使用する。出口オリフィス面積−電流コンバータ298は、本明細書に記載されている式28を使用することができる。
【0089】
図3は、ピストンチャンバ334iの1つ及びバルブサブアセンブリ338iの1つの簡略図である。
図3に示すように、この実施形態において、チャンバ334iへの/からのチャンバ質量流量は、入口バルブ338ii及び出口バルブ338ioによって制御される。この実施形態において、圧力源346は、P
sourceと呼ばれる圧力で加圧ピストン流体340を入口バルブ338iiの入口に供給する。さらに、出口バルブ338ioの出口の圧力はP
drainである。式21のチャンバ質量流量制御は、以下のように書き直すことができる。
【数54】
式22及び他の箇所において、
【数55】
は、選択されたチャンバ334iに対する入口バルブ338iiのための質量流量コマンドであり、
【数56】
は、選択されたチャンバ334iに対する出口バルブ338ioのための質量流量コマンドである。本明細書に記載されているように、特定の実施形態において、チャンバ334iへの質量流量を増加させる(
【数57】
)ことが望ましい場合、出口バルブ338ioは閉鎖され(
【数58】
)、入口バルブ338iiの質量流量コマンドと等しくなるように設定される質量流量コマンドが、質量流量コマンドに設定される(
【数59】
)。同様に、特定の実施形態において、チャンバ334iからの質量流量を増加させる(
【数60】
)ことが望ましい場合、入口バルブ338iiは閉鎖され(
【数61】
)、出口バルブ338ioの質量流量コマンドと等しくなるように設定される質量流量コマンドが、質量流量コマンドに設定される(
【数62】
)。
【0090】
バルブ流量式は、以下のように書くことができる。
【数63】
式23及び他の箇所において、aは、開放されているバルブオリフィスの面積であり、数学的関数であり、P
upstreamは、バルブオリフィスの上流の圧力であり、P
downstreamは、バルブオリフィスの下流の圧力である。したがって、質量流量は、開放されているバルブオリフィスの面積に、上流圧力及び下流圧力の関数を掛けたものと等しい。
【0091】
図4は、開放されているときのバルブのバルブオリフィスに類似するオリフィス402を含むパイプ400の簡略図である。この例では、上流圧力及び下流圧力にラベルが付けられており、オリフィス402はオリフィス面積を有する。
図3及び
図4を参照すると、式23は、以下のバルブオリフィス面積コマンドとして書き直すことができる。
【数64】
【数65】
これらの式及び他の箇所において、a
i,cmd+は、選択されたチャンバ334iの入口バルブ338iiのためのバルブオリフィスコマンドであり、a
i,cmd−は、選択されたチャンバ334iに対する出口バルブ338ioのための
バルブオリフィスコマンドである。
【0092】
バルブ面積式は、以下のように書くことができる。
【数66】
式26において、aは、バルブオリフィス面積であり、Aは、バルブ面積式であり、uは、バルブ電流である。バルブ面積式については、以下でより詳細に説明する。
【0093】
式26は、以下のようにバルブ電流コマンドとして書き直すことができる。
【数67】
【数68】
式27及び28並びに他の箇所において、u
i,cmd+は、入口バルブへのバルブ電流コマンドであり、
【数69】
は、入口バルブのバルブ面積式の逆数であり、a
i,cmd+は、入口バルブのバルブオリフィス面積であり、u
i,cmd−は
、出口バルブへのバルブ電流コマンドであり、
【数70】
は、出口バルブのバルブ面積式の逆数であり、a
i,cmd−は、出口バルブのバルブオリフィス面積である。
【0094】
式24及び25は、より一般的に以下のように書くことができる。
【数71】
亜音速流の場合、下流圧力で割った上流圧力は、シータ(「θ」)以下であり(
【数72】
)、したがって、
【数73】
(式30)である。
超音速流の場合、下流圧力で割った上流圧力は、シータ(「θ」)よりも大きく(
【数74】
)、したがって、以下である。
【数75】
これらの式において、
【数76】
、
【数77】
、及び
【数78】
であるが、ただし、cは、排出係数であり、M
mは、気体の分子質量であり、Zは、気体圧縮率因子であり、kは、比熱比であり、Rは、普遍的な気体法則定数であり、Tは、温度である。
【0095】
図5Aは、
図1のバルブ38C、38D、38E、38Fの1つとして使用することができるバルブ538の非排他的な一例の簡略断面図である。この実施形態において、バルブ538は、バルブハウジング539Aと、可動バルブ本体539Bと、入口導管539Cと、出口導管539Dと、バルブ本体539Bを入口導管539Cに付勢する弾性部材539E(例えば、ばね)と、ソレノイド539Fとを含むポペットタイプのバルブである。
【0096】
この簡略な例では、バルブハウジング538Aはある程度円筒状であり、バルブ本体539Bは円盤状であり、導管539C、539Dは管状である。さらに、
図5Aでは、制御システム(
図5Aには図示せず)がソレノイド539Fに電流を流していないときに閉位置にあるバルブ538が示されている。その結果、弾性部材539Eは、バルブ538を閉鎖するようにバルブ本体539Bを入口導管539Cの頂部に付勢する。
【0097】
ソレノイド539Fに電流が流されていないとき、ばね予荷重力が上流圧力と下流圧力との圧力差によって発生する力よりも大きい限り、バルブは閉鎖されたままであることに留意されたい。
【0098】
図5Bは、バルブ538が開位置にある状態の
図5Aのバルブ538の簡略断面図である。このとき、制御システム(
図5Bには図示せず)は、ソレノイド539Fに電流を流している。ソレノイドに電流が流されると、これにより、バルブ本体539Bを入口導管539Cの頂部から上方に付勢する(引き寄せる)ソレノイド力F
solenoidが発生する。一般的に、ソレノイド力の大きさは電流に比例する。十分な電流がソレノイド539Fに流されると、弾性部材539Fのばね予荷重力に打ち勝ち、バルブ本体539Bは、入口導管539Cの頂部から離され、バルブ538は開放される。さらに、電流の量は、バルブ538がどの程度開放されるかを決定する。一般に、バルブ開度の大きさは、電流が増加するにつれて増大する。
【0099】
図5Bに示すように、バルブ本体539Bが閉位置から開位置に移動した量を「y」と呼ぶ。
【0100】
図5Cは、入口導管539Cが取り除かれ、ソレノイド539Fが作動されておらず、導管
539D内に圧力がない状態の
図5Aのバルブ538の簡略断面図である。このとき、弾性部材539Eは、バルブ本体539Bを予荷重距離y
oだけ下方に付勢する。閉位置にあるバルブ本体539Bが、参照のために破線で示されている。入口導管
539Cが(
図5Aに示すように)定位置にあるとき、弾性部材539Eは、弾性部材539Eのばね定数k
sに予荷重距離y
oを乗じたものと等しいばね予荷重力を加える。
【0101】
バルブ538の制御は、以下のように表すことができる。
【数79】
式32及び他の箇所において、M
vは、バルブ本体539Bの質量であり、
【数80】
は、バルブ本体539Bの加速度であり、C
vは、ばね摩擦によって発生する減衰であり、
【数81】
は、バルブ本体539Bの速度であり、k
sは、弾性部材539Eのばね定数であり、y
oは、予荷重距離であり、k
fは、ソレノイド力定数であり、uは、ソレノイドに送られる電流コマンドであり、rは、入口導管539Cの頂部の半径であり、デルタ圧力は、上流圧力と下流圧力の差である(ΔP=P
u−P
d)。
【0102】
図5A〜
図5Cに示されているバルブ538の有効オリフィス面積「a」は、以下のように表すことができる。
【数82】
【数83】
式33及び34並びに他の箇所において、Aは、バルブ面積式であり、A
−1は、バルブ面積式の逆数である。
【0103】
ばね予荷重力に打ち勝つために必要な不感帯電流(dead−zone current)u
oは、以下のように表すことができる。
【数84】
【0104】
図5A〜
図5Cに示されているバルブ538では、漏れのない最大許容圧力差ΔP
maxは、以下のように表すことができる。
【数85】
【0105】
図5A〜
図5Cに示されているバルブ538では、静的制御電流は、以下のように表すことができる。
【数86】
【0106】
上記のように、流体アクチュエータアセンブリ24を正確に制御するためには、バルブ38C、38D、38E、38Fの各々に固有の非線形性を測定することが重要である。特定の実施形態において、バルブ38C、38D、38E、38Fの各々のバルブ特性を特定するために、バルブ38C、38D、38E、38Fの各々は分解されない。その代わりに、バルブアセンブリ24の物理的なバルブ38C、38D、38E、38Fの各々は、それぞれのバルブ特性を測定するために試験される。例えば、バルブ38C、38D、38E、38Fの各々に関して、流量が、様々な入口/出口圧力差と共に様々なバルブ電流コマンドを用いて測定される。その後、バルブ38C、38D、38E、38Fの各々に関して、流量式(式24〜31を参照)を使用して流量情報から有効オリフィス面積を計算することができる。
【0107】
図6Aは、様々なデルタ圧力(「ΔP」)に関してバルブ有効オリフィス面積対電流コマンドを示すグラフである。このグラフは、様々なデルタ圧力でポペットバルブを実験的に試験することによって作成した。例えば、350kPaのデルタ圧力を維持しながら、流量を、ソレノイドへの複数の異なる電流コマンドで測定した。その後、測定された各流量に関して有効オリフィス面積を計算して小さな四角い枠として
図6Aにプロットした。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線600Aを生成した。線600Aは、350kPaのデルタ圧力に関する、バルブオリフィス面積対電流コマンドの関係を表す。
【0108】
次に、300kPaのデルタ圧力を維持しながら、流量を、ソレノイドへの複数の異なる電流コマンドで測定した。その後、測定された各流量に関して有効オリフィス面積を計算して小さい円として
図6Aにプロットした。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線602Aを生成した。線602Aは、300kPaのデルタ圧力に関する、バルブオリフィス面積対電流コマンドの関係を表す。
【0109】
同様に、250kPaのデルタ圧力を維持しながら、流量を、ソレノイドへの複数の異なる電流コマンドで測定した。その後、測定された各流量に関して有効オリフィス面積を計算して小さい「x」として
図6Aにプロットした。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線604Aを生成した。線604Aは、250kPaのデルタ圧力に関する、バルブオリフィス面積対電流コマンドの関係を表す。
【0110】
さらに、200kPaのデルタ圧力を維持しながら、流量を、ソレノイドへの複数の異なる電流コマンドで測定した。その後、測定された各流量に関して有効オリフィス面積を計算して小さい「z」として
図6Aにプロットした。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線606Aを生成した。線606Aは、200kPaのデルタ圧力に関する、バルブオリフィス面積対電流コマンドの関係を表す。
【0111】
さらに、150kPaのデルタ圧力を維持しながら、流量を、ソレノイドへの複数の異なる電流コマンドで測定した。その後、測定された各流量に関して有効オリフィス面積を計算して小さい三角形として
図6Aにプロットした。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線608Aを生成した。線608Aは、150kPaのデルタ圧力に関する、バルブオリフィス面積対電流コマンドの関係を表す。
【0112】
追加的に、100kPaのデルタ圧力を維持しながら、流量を、ソレノイドへの複数の異なる電流コマンドで測定した。その後、測定された各流量に関して有効オリフィス面積を計算して小さい「+」として
図6Aにプロットした。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線610Aを生成した。線610Aは、100kPaのデルタ圧力に関する、バルブオリフィス面積対電流コマンドの関係を表す。
【0113】
最後に、50kPaのデルタ圧力を維持しながら、流量を、ソレノイドへの複数の異なる電流コマンドで測定した。その後、測定された各流量に関して有効オリフィス面積を計算して「D」として
図6Aにプロットした。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線612
Aを生成した。線612
Aは、50kPaのデルタ圧力に関する、バルブオリフィス面積対電流コマンドの関係を表す。
【0114】
この例では、このバルブのバルブ特性614は、多くの異なるデルタ圧力に関する、有効バルブオリフィス面積対電流コマンドの関係を表す。代替的に、例えば、バルブ特性614は、(i)多くの異なるデルタ圧力に関する、有効バルブオリフィス面積対電圧の関係、(ii)多くの異なるデルタ圧力に関する、流量対電流コマンドの関係、及び/又は(iii)多くの異なるデルタ圧力に関する、流量対電圧の関係であってもよい。
【0115】
上記のように、特定の実施形態において、バルブ特性614は、反転バルブ特性616を生成するために反転され、反転バルブ特性616は、その後、そのバルブの制御に使用される。例えば、
図6Bに示す反転バルブ特性616を生成するために、
図6Aのデータを反転することができる(グラフのX軸とY軸を入れ替えることができる)。
【0116】
より具体的には、
図6Bは、
図6Aのグラフの反転である、バルブ電流コマンド対有効オリフィス面積を示すグラフである。この例では、
図6Aのデータが、
図6Bのデータを生成するために反転される。その後、
図6Bの曲線を生成するために曲線適合が使用される。
【0117】
例えば、350kPaのデルタ圧力では、データを小さな四角い枠として表す。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線600Bを生成した。線600Bは、350kPaのデルタ圧力に関する、バルブ電流コマンドとバルブオリフィス面積との関係を表す。
【0118】
次に、300kPaのデルタ圧力では、データを小さい円として表す。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線602Bを生成した。線602Bは、300kPaのデルタ圧力に関する、バルブ電流コマンドとバルブオリフィス面積との関係を表す。
【0119】
同様に、250kPaのデルタ圧力では、データを小さい「x」として表す。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線604Bを生成した。線604Bは、250kPaのデルタ圧力に関する、バルブ電流コマンドとバルブオリフィス面積との関係を表す。
【0120】
さらに、200kPaのデルタ圧力では、データを小さい「z」として表す。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線606Bを生成した。線606Bは、200kPaのデルタ圧力に関する、バルブ電流コマンドとバルブオリフィス面積との関係を表す。
【0121】
さらに、150kPaのデルタ圧力では、データを小さい三角形として表す。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線608Bを生成した。線608Bは、150kPaのデルタ圧力に関する、バルブ電流コマンドとバルブオリフィス面積との関係を表す。
【0122】
追加的に、100kPaのデルタ圧力では、データを小さい「+」として表す。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線610Bを生成した。線610Bは、100kPaのデルタ圧力に関する、バルブ電流コマンドとバルブオリフィス面積との関係を表す。
【0123】
最後に、50kPaのデルタ圧力では、データを小さい「D」として表す。その後、これらのデータ点の曲線適合によって線612Bを生成した。線612Bは、50kPaのデルタ圧力に関する、バルブ電流コマンドとバルブオリフィス面積との関係を表す。
【0124】
図6Bのグラフの反転バルブ特性616のデータは、バルブを正確に制御するために制御システムによって使用され得ることに留意されたい。制御システムは、他のデルタ圧力でバルブを正確に制御するために、補間を利用して、他のデルタ圧力に関してデータを生成することができることにも留意されたい。
【0125】
図7A〜
図7Dは、
図1のバルブ38C、38D、38E、38Fのうちの1つとして使用することができる、様々なバルブ位置にある別のタイプのバルブ738の簡略断面図である。より具体的には、
図7Aは、全閉位置にあるスプールタイプのバルブ738の簡略側面図であり、
図7Bは、基準閉(開放準備)位置にあるスプールタイプのバルブ738の簡略側面図であり、
図7Cは、部分開位置にあるスプールタイプのバルブ738の簡略側面図であり、
図7Dは、全開位置にあるスプールタイプのバルブ738の簡略側面図である。
【0126】
この実施形態において、バルブ738は、バルブハウジング739Aと、可動バルブ本体739B(場合によっては「スプール」と呼ばれる)と、入口開口(図示せず)と、出口開口739Dと、バルブ本体739Bを右から左に付勢する弾性部材739E(例えば、ばね)と、バルブ本体739Bを左から右に移動させるソレノイド739Fとを含むスプールタイプのバルブである。
【0127】
この簡略な例では、バルブハウジング
739Aは、ある程度中空の円筒状であり、バルブ本体739Bは、円盤状であり、開口739Dは、円形状であり、バルブハウジング
739Aの対向する両側面に配置され、バルブ本体739Bは、それらの間に配置されている。
【0128】
上流圧力及び下流圧力はバルブ本体739Bと直交するため、デルタ圧力はバルブ738の開閉に影響を及ぼさないことに留意されたい。
【0129】
さらに、
図7Aでは、制御システム(
図7Aには図示せず)がソレノイド739Fに電流を流していないときに全閉位置にあるバルブ738が示されている。このとき、バルブ本体739Bは、入口及び出口739Dの両方を覆ってバルブ738を閉鎖している。
【0130】
図7Bは、開放される直前のバルブ738が基準位置にある状態の
図7Aのバルブ738の簡略断面図である。このとき、制御システム(
図7Bには図示せず)は、ソレノイド739Fに電流を流している。ソレノイドに電流が流されると、これにより、バルブ本体739Bを、バルブ738を開放する準備が整う基準位置までy
bだけ付勢するソレノイド力F
solenoidが発生する。
【0131】
図7Cは、バルブ738が部分開位置にある状態の
図7Aのバルブ738の簡略断面図である。このとき、制御システム(
図7Cには図示せず)は、ソレノイド739Fに電流を流している。ソレノイドに電流が流されると、これにより、バルブ本体739Bを、バルブ738が部分的に開放される位置までyだけ付勢するソレノイド力F
solenoidが発生する。
【0132】
一般的に、ソレノイド力の大きさは電流に比例する。十分な電流がソレノイド739Fに流されると、弾性部材739Fのばね予荷重力に打ち勝ち、バルブ本体739Bは移動される。さらに、電流の量は、バルブ738がどの程度開放されるかを決定する。一般に、バルブ開度の大きさは、電流が増加するにつれて増大する。
【0133】
図7Dは、バルブ738が全開位置にある状態の
図7Aのバルブ738の簡略断面図である。
【0134】
この実施形態において、
図7A〜
図7Dに示されているバルブ738のバルブ機械力学は、以下のように表すことができる。
【数87】
式38及び他の箇所において、M
vは、バルブ本体739Bの質量であり、
【数88】
は、バルブ本体739Bの加速度であり、C
vは、ばね摩擦によって発生する減衰であり、
【数89】
は、バルブ本体739Bの速度であり、k
sは、弾性部材739Eのばね定数であり、y
oは、予荷重距離であり、k
fは、ソレノイド力定数であり、uは、ソレノイドに送られる電流コマンドであり、f
preloadは、弾性部材739Eの予荷重力である。
【0135】
図7Eは、有効オリフィス面積の説明を助ける、出口739D及び部分開位置にあるバルブ本体739Bの簡略図である。この例では、x=y
o+yである。さらに、このタイプのバルブ738の有効オリフィス面積A
effは、以下のように計算することができる。
【数90】
【数91】
【0136】
図8Aは、
図7A〜
図7Dに示されているバルブに関して上記の式を使用して計算された、正規化された有効オリフィス面積対正規化されたスプール位置を示すグラフである。この例では、このバルブのバルブ特性814は、正規化された有効オリフィス面積対正規化されたスプール位置の関係を表す。
【0137】
上記のように、特定の実施形態において、バルブ特性814は、
図8Bに示す反転バルブ特性816を生成するために反転され、反転バルブ特性816は、その後、そのバルブの制御に使用される。例えば、スプール位置対正規化された有効オリフィス面積をプロットした
図8Bに示されている反転バルブ特性816を生成するために、
図8Aのデータを反転することができる(グラフのX軸とY軸を入れ替えることができる)。
【0138】
特定のバルブ(例えば、スプールバルブ)は、バックラッシュのようなヒステリシスを有する。これらのバルブでは、同じ電流コマンドの場合でも以前のコマンド履歴に応じてスプール位置が異なり得る。
【0139】
図9Aは、スプールバルブの試験結果を示すグラフである。
図9Aにおいて、グラフは、スプール位置対電圧を示す。さらに、
図9Bは、スプールバルブのシミュレーション結果を示すグラフである。
図9Bにおいて、グラフは、スプール位置対電流を示す。これらの図は、同じ電流コマンド(又は電圧コマンド)の場合でも以前のコマンド履歴に応じてスプール位置が異なり得ることを示す。例えば、
図9Aを参照すると、同じコマンド(例えば、5ボルト)の場合でも以前のコマンドに応じてスプール位置は異なる。同様に、
図9Bを参照すると、同じコマンド(例えば、0.5アンペア)の場合でも以前のコマンドに応じてスプール位置は異なる。
【0140】
本明細書に記載されているように、
図9Aを参照すると、このバルブの別のバルブ特性914が、スプール位置対電圧の関係によって表されている。このバルブのさらに別のバルブ特性915は、
図9Bを参照すると、スプール位置対電流の関係によって表されている。したがって、本明細書に記載されているように、スプールバルブ非線形性(バックラッシュ及び有効オリフィス形状)を較正しモデリングすることができる。その後、スプールバルブを線形化するために、それらの逆関数を制御ソフトウェアに適用することができる。
【0141】
バルブのバックラッシュを計算するために利用される方法は変更することができる。一実施形態において、較正は、バルブ本体の位置を監視しながら、電流(又は電圧)コマンドをゼロから最大まで徐々に増加させ、次にそれをゼロまで徐々に減少させることによって行うことができる。電流(又は電圧)コマンド対スプール位置のデータは、その後、補償マップとして使用される。
【0142】
特定の実施形態において、バルブの基準位置y
oは、バックラッシュを較正しながら決定することができる。基準位置は、オリフィスが開放され始める時点を測定するために電流コマンドをわずかに増加させながらバルブの出口流量をチェックすることによって決定することができる。
【0143】
図10Aは、スプールバルブの2つのバルブ特性を示す。より具体的には、
図10Aは、(i)第1のバルブ特性1014、例えば、正規化された有効オリフィス面積対正規化されたスプール位置を示すグラフと、(ii)第2のバルブ特性1015、例えば、スプール位置対電流を示すグラフとを含む。グラフ1014、1015のデータは、実験的に取得することもできるし、計算することもできる。
【0144】
上記のように、特定の実施形態において、バルブ特性1014、1015は、
図10Bに示す反転バルブ特性1016、1017を生成するために反転され、反転バルブ特性1016、1017は、その後、そのバルブの制御に使用される。例えば、正規化されたスプール位置対正規化された有効オリフィス面積をプロットしたグラフ1016を生成するために、グラフ1014のデータは反転される(グラフのX軸とY軸が入れ替えられる)。さらに、電流対スプール位置をプロットしたグラフ1017を生成するために、グラフ1015のデータは反転される(グラフのX軸とY軸が入れ替えられる)。本明細書に記載されているように、反転バルブ特性1016、1017は、バルブの非線形性にもかかわらず、バルブの有効オリフィス面積を正確に制御するのを助ける。
【0145】
反転バルブ特性1016、1017は、ルックアップテーブル、マップ、グラフ、チャート、又は分析もしくは適合モデルの形態であってもよいことに留意されたい。
【0146】
図11は、本発明に有用な露光装置1170を示す概略図である。露光装置1170は、装置フレーム1172と、照明システム1182(照射装置)と、マスクステージアセンブリ1184と、光学アセンブリ1186(レンズアセンブリ)と、プレートステージアセンブリ1110と、マスクステージアセンブリ1184及びプレートステージアセンブリ1110を制御する制御システム1120とを含む。
【0147】
露光装置1170は、液晶表示デバイスのパターン(図示せず)をマスク1188からワーク1122に転写するリソグラフィデバイスとして特に有用である。
【0148】
装置フレーム1172は、硬質であり、露光装置1170の構成要素を支持する。装置フレーム1172の設計は、露光装置1170の残りの設計要求に適合するように変更することができる。
【0149】
照明システム1182は、照明源1192及び照明光学アセンブリ1194を含む。照明源1192は、光エネルギーのビーム(照射)を放射する。照明光学アセンブリ1194は、照明源1192からの光エネルギーのビームをマスク1188に案内する。ビームは、選択的にマスク1188の異なる部分を照明し、ワーク1122を露光する。
【0150】
光学アセンブリ1186は、マスク1188を通過した光をワーク1122に投射及び/又は集光する。露光装置1170の設計に応じて、光学アセンブリ1186は、マスク1188の照明された像を拡大又は縮小することができる。
【0151】
マスクステージアセンブリ1184は、光学アセンブリ1186及びワーク1122に対してマスク1188を保持し位置決めする。同様に、プレートステージアセンブリ1110は、マスク1188の照明部分の投射像に対してワーク1122を保持し位置決めする。
【0152】
リソグラフィデバイスには多くの異なるタイプがある。例えば、露光装置1170は、マスク1188及びワーク1122を同期して移動させながらパターンをマスク1188からガラスのワーク1122に露光する走査型フォトリソグラフィシステムとして使用することができる。代替的に、露光装置1170は、マスク1188及びワーク1122を固定したままマスク1188を露光するステップアンドリピート型のフォトリソグラフィシステとすることができる。
【0153】
しかしながら、本明細書に記載されている露光装置1170及びステージアセンブリの使用は、液晶表示デバイスの製造用のフォトリソグラフィシステムに限定されない。露光装置1170は、例えば、集積回路パターンをウエハ上に露光する半導体フォトリソグラフィシステム又は薄膜磁気ヘッドを製造するためのフォトリソグラフィシステムとして使用することができる。さらに、本発明は、レンズアセンブリを使用せずにマスクと基板とを近接配置することによってマスクパターンを露光する近接フォトリソグラフィシステムにも適用することができる。追加的に、本明細書に記載されている本発明は、他のフラットパネルディスプレイ処理機器、エレベータ、工作機械、金属切断機械、検査機械、及びディスクドライブを含む他のデバイスで使用することができる。
【0154】
所定の機械的精度、電気的精度、及び光学的精度が維持されるように、添付の特許請求の範囲に記載されている各要素を含む様々なサブシステムを組み立てることによって、上述の実施形態によるフォトリソグラフィシステムを構築することができる。様々な精度を維持するために、組み立ての前後に、すべての光学系は、その光学的精度を達成するように調整される。同様に、すべての機械システム及びすべての電気システムは、それぞれの機械的精度及び電気的精度を達成するように調整される。各サブシステムをフォトリソグラフィシステムに組み立てるプロセスは、各サブシステム間の機械的連結、電気回路配線の接続、及び空気圧配管の接続を含む。もちろん、様々なサブシステムからフォトリソグラフィシステムを組み立てる前に各サブシステムを組み立てるプロセスも存在する。様々なサブシステムを使用してフォトリソグラフィシステムが組み立てられたら、完全なフォトリソグラフィシステムにおいて精度を確実に維持するために全体的な調整が行われる。追加的に、温度及び清浄度が制御されたクリーンルーム内で露光システムを製造することが望ましい。
【0155】
さらに、デバイスを、
図12に概略的に示すプロセスによって、上述のシステムを使用して製造することができる。ステップ1201では、デバイスの機能及び性能特性が設計される。次に、ステップ1202では、前の設計ステップに従って、パターンを有するマスク(レチクル)が設計され、平行ステップ1203では、ガラスプレートが作製される。ステップ1204では、ステップ1202で設計されたマスクパターンが、本発明に従って上述のフォトリソグラフィシステムによってステップ1203のガラスプレート上に露光される。ステップ1205では、フラットパネルディスプレイデバイスが組み立てられ(ダイシングプロセス、ボンディングプロセス、及びパッケージングプロセスを含む)、次いで最後に、ステップ1206でデバイスは検査される。
【0156】
ステージアセンブリ10の多くの異なる実施形態が本明細書に示され説明されているが、任意の1つの実施形態の1つ以上の特徴は、本発明の意図を満たすならば、1つ以上の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができる。
【0157】
ステージアセンブリ10の多くの例示的な態様及び実施形態が本明細書で上に示され開示されているが、当業者ならば、これらの特定の修正、置換、追加、及び部分的な組み合わせを認めるであろう。したがって、以下の添付の特許請求の範囲及び以下に提出する請求項は、これらの真の精神及び範囲内にあるすべての修正、置換、追加、及び部分的な組み合わせを含むと解釈されることが意図されており、本明細書に示した構造又は設計の詳細を限定することは意図されていない。