(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、特許文献3に記載されるような半導体発光素子に電圧を印加すると、発光層から光が放射され、この光は全方位に等方的に向かうこととなる。このような光のうち、光取り出し面側の電極部に向かった光は電極部に遮光されるため、光取り出し効率の低下の一因となる。受光面に電極部が設けられる形態の半導体受光素子および太陽電池でも、電極部が入射光を遮光するために光取り込み効率を低下させる一因となる。
【0010】
本発明者は、半導体光デバイスの光取り出し効率および光取り込み効率を改善するために、半導体層の表面に設けられる電極のうち、配線電極部の線幅に着目した。これは、配線電極部の線幅を従来用いられる線幅よりも小さくすれば、電極部により遮光される面積が小さくなるため、すなわち、発光型の半導体光デバイスである半導体発光素子であれば発光面での発光面積が増大するため、光取り出し効率を改善できると考えられたためである。特に、特許文献3のように、金属層と発光部の間に中間電極を形成し、発光面の上にパッド電極と配線電極部を設けた半導体発光素子では、発光面の電極周縁部に電流が集中するために電極周縁部での発光出力が大きく、線幅を小さくすることによる光取り出し効率の改善効果は格段に大きいのではないかと本発明者は考えた。また、受光型の半導体光デバイスである半導体受光素子および太陽電池においても、配線電極部の線幅を細くすることで、光取り込み効率を改善できるのではないかと本発明者は考えた。
【0011】
ところが、本発明者が配線電極部の線幅を従来の線幅よりも小さくした半導体発光素子を試験的に作製したところ、当初予測したとおりに発光出力を向上できるものの、配線電極部が剥離しやすくなることが新たな課題として判明した。
【0012】
そこで、本発明は、従来よりも優れた光取り出し効率または光取り込み効率を有しつつ、配線電極部の剥離率が低減した半導体光デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記課題を解決する方途について鋭意検討し、配線電極部の剥離率を低減するために、金属層を含む配線電極部の構造に着目し、剥離防止効果のある保護層を設けることを想起した。そして、本発明者が鋭意検討したところ、金属層上に導電性硬質膜を設けることで、配線電極部の剥離率を顕著に低減できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)発光面または受光面となる半導体層の表面に配線電極部が設けられた半導体光デバイスであって、
前記配線電極部の線幅が2μm以上5μm以下であり、
前記配線電極部は、前記半導体層上の金属層と、該金属層上の導電性硬質膜とを有し、
前記導電性硬質膜は前記金属層よりも硬度が高いことを特徴とする半導体光デバイス。
【0015】
(2)前記配線電極部の周縁部の下方と、前記半導体層との間に空隙が存在する、前記(1)に記載の半導体光デバイス。
【0016】
(3)前記半導体層の表面が平坦面領域と、粗面領域とを含み、
前記半導体層の表面と前記配線電極部との接合中心部での前記表面は前記平坦面領域であるとともに、前記空隙が前記粗面領域により構成される、前記(2)に記載の半導体光デバイス。
【0017】
(4)前記接合中心部における前記平坦面領域の線幅が1.0μm以上である、前記(3)に記載の半導体光デバイス。
【0018】
(5)前記接合中心部において、前記平坦面領域の線幅が前記配線電極部の線幅よりも1.0μm以上小さい、前記(3)または(4)に記載の半導体光デバイス。
【0019】
(6)前記導電性硬質膜の厚みが0.4μm以上1.7μm以下である、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の半導体光デバイス。
【0020】
(7)前記導電性硬質膜が、Ti,Ta,Cr,W,Mo,Vからなる群より選択される1種または2種以上の金属元素の窒化物である、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の半導体光デバイス。
【0021】
(8)前記半導体層がn型半導体層と、発光層と、p型半導体層とを含み、前記表面は前記n型半導体層または前記p型半導体層のいずれかの表面である、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の半導体光デバイス。
【0022】
(9)発光面または受光面となる半導体層の表面に配線電極部を形成する配線電極部形成工程を含む半導体光デバイスの製造方法であって、
前記配線電極部の線幅が2μm以上5μm以下であり、
前記配線電極部形成工程は、前記半導体層の表面上に金属層を形成する第1工程と、該金属層上に導電性硬質膜を形成する第2工程とを含むことを特徴とする半導体光デバイスの製造方法。
【0023】
(10)前記配線電極部形成工程の後、前記配線電極部の周縁部の下方と、前記半導体層との間に空隙を形成する空隙形成工程を含む、前記(9)に記載の製造方法。
【0024】
(11)前記空隙形成工程において、前記半導体層の表面をウェットエッチングして、前記配線電極部の周縁部の下方に位置する前記半導体層の表面を粗面化するとともに、前記空隙を形成する、前記(10)に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、配線電極部の金属層上に導電性硬質膜を設けたので、従来よりも優れた光取り出し効率または光取り込み効率を有しつつ、配線電極部の剥離率が低減した半導体光デバイスおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明に従う実施形態をより詳細に説明する。なお、本明細書において、本発明に従う半導体光デバイスと半導体発光素子とで共通する構成要素には、原則として同一の参照番号を付し、説明は省略する。また、模式断面図においては、説明の便宜上、各層の厚さが実状とは異なる比率で誇張して示す。
【0028】
(第1実施形態:半導体光デバイス)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に従う半導体光デバイス100は、発光面または受光面となる半導体層110の表面に配線電極部120が設けられている。ここで、配線電極部120の線幅W
1が2μm以上5μm以下であり、この配線電極部120は、半導体層110上の金属層121と、金属層121上の導電性硬質膜122とを有する。そして、導電性硬質膜122は金属層121よりも硬度が高い。このような構成を採用することにより、線幅W
1を2μm以上5μm以下と、従来用いられている線幅よりも小さくした場合でも、半導体層110の表面からの配線電極部120の剥離を抑制することができる。
【0029】
配線電極部120の配線パターンは何ら限定されない。
図4を参照して後述する半導体発光素子300における配線電極部120の配線パターンのように、配線パターンを折れ線パターンとすることができる。他にも、配線電極部120の配線パターンを櫛歯状パターンとしてもよいし、曲線パターンとしてもよく、配線パターンを適宜選択することができる。上述の2μm以上5μm以下の範囲内であれば、線幅は一定であっても、変動してもよい。
【0030】
ここで、本明細書における配線電極部120の線幅W
1とは、配線電極部120を上面視して金属顕微鏡や電子顕微鏡により観察したときの配線電極部120の線幅とする。なお、線幅W
1の測定に際して、金属層121および導電性硬質膜122の区別はせず、幅方向の長さの最大値を用いることとする。なお、線幅W1の幅方向に関しては、
図2に示すように、半導体層110の表面を上面視した場合の、配線電極部120の延在方向に対する垂直方向が配線電極部120の幅方向であり、その長さが線幅W
1となる。なお、配線電極部120の配線の長さ方向において線幅が一定でない場合は、平均値を用いて線幅W
1を定める。また、配線電極部120の配線パターンの一部または全部が曲線形状を含む場合には、任意の点における接線方向を延在方向とし、さらに、その任意の点における法線方向の長さにより定まる配線電極部120の幅を線幅W
1とする。ただし、折れ線パターンの場合の折れ曲がり部分(例えば、複数直線の交点または端点)については、線幅W
1は定義されないこととし、本明細書における線幅からは除外して取り扱う。
【0031】
半導体層110上に設けられる金属層121は、半導体層110との良好なオーミック接触を形成するための層であり、半導体層110の半導体材料およびドーパント等に応じて金属材料は適宜選択される。複数の金属材料を積層した積層構造とし、合金が含まれていてもよい。金属層121の厚みは一般的に0.1μm〜1μmの範囲内であり、例えば0.6〜0.9μmとすることができる。金属層121は、例えばフォトリソグラフィー法と、蒸着法またはスパッタリング法とを順次行うことで所望の配線パターンを形成することができる。
【0032】
金属層121上には、導電性硬質膜122が設けられる。導電性硬質膜122も、例えばフォトリソグラフィー法と、蒸着法またはスパッタリング法とを順次行うことで金属層121上に所望の配線パターンで形成することができる。ここで、導電性硬質膜122の硬度は、金属層121の硬度よりも高いものとする。なお、本明細書における硬度は、「JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法 日本工業標準調査会、2009年」により定められるビッカース硬さに準拠した測定方法によるものであり、例えば市販の超微小硬度計(MHA−400,NEC社製)を用いて計測することができる。
【0033】
このような導電性硬質膜122として、金属窒化物を用いることができ、特に、Ti,Ta,Cr,W,Mo,Vからなる群より選択される1種または2種以上の金属元素の窒化物とすることができる。このような金属窒化物として、TiN、TaN、WNなどを例示することができる。ビッカース硬さが1500HVを超えるTiNを導電性硬質膜122として用いることが特に好ましい。TiNは硬く、導電性を有するのみならず、ウェットエッチング特性に優れているため、扱いやすい材料である。また、導電性硬質膜122の材料として金属材料ではなく金属窒化物を用いる理由は、金属窒化物の場合、硬いだけでなく変形せずに破損することで、局所的な応力に対する影響を導電性硬質膜122の破損に留めて金属層121への影響を減らすことができるためである。
【0034】
ここで、線幅W
1が2μm以上5μm以下である場合、配線電極部120と、半導体層110の表面との接合幅(あるいは接合面積)が小さくなるため、接合幅が大きいときに比べれば、接合面における接合強度が低下するものと考えられる。本実施形態では、導電性硬質膜122を金属層121上に設けることにより、半導体層110表面からの配線電極部120の剥離を抑制することができる。このような剥離の抑制が可能となる原因を、本発明者は以下のように考えている。
【0035】
半導体層110の表面からの配線電極部120の剥離が生じるのは、配線電極部に対して横方向(横断方向)の外力が加わったときであると考えられる。ここで、このような横方向の外力は、半導体光デバイス100の製造時、検査時、出荷時の各段階において生じる。例えば、半導体光デバイス100を洗浄するための水流や乾燥時のブロー(気流)、転写用粘着シートへの接着、等が挙げられる。ここで、本実施形態における導電性硬質膜122は、金属層121よりも硬度が高いため、外力による金属層121の変形を抑制することができる。そのため、加わった外力のうち、配線電極部120が剥離するのに必要な方向の力成分を低減するため、最終的に剥離に至る配線電極部120の割合(すなわち、剥離率)が減少すると考えられる。
【0036】
そして、
図3(A)に示すように、半導体光デバイス200において、配線電極部120の周縁部の下方と、半導体層110との間に空隙が存在する場合、本発明効果はより顕著なものになる。
図3(A)において、配線電極部120の周縁部では、半導体層110と密着しておらず、配線電極部120の周縁部は建物の軒(のき)のように半導体層110の表面に対して突出している。配線電極部が半導体層110と密着しておらず、空隙を有する場合には、上述の外力があった場合、剥離に必要な方向の力成分を増加させる方向に配線電極部が変形しやすいが、導電性硬質膜122は配線電極部120の変形を阻害する。このように、導電性硬質膜122による本発明効果(すなわち、剥離抑制)は、半導体光デバイス200においてより顕著に表れる。なお、本明細書における配線電極部120の周縁部の下方と半導体層との間の「空隙」とは、配線電極部120から離れる方向に向けて外部に開放(換言すれば連結)されている空隙(空洞)を指しており、空間が閉じている空隙は除外される。
【0037】
本実施形態において、導電性硬質膜122の厚みは制限されないものの、上記効果を確実に得るためには、導電性硬質膜122の厚みを0.4μm以上1.7μm以下とすることが好ましく、0.7μm以上1.5μm以下とすることがより好ましく、0.9μm以上1.2μm以下とすることが最も好ましい。0.4μm以上であれば、上述の外力に対する配線電極部120の変形を阻害するのに十分な強度を確実に得ることができるためである。また、1.7μm以下であれば、配線電極部120自体の厚さの増加に伴う横方向の外力を受ける面の面積を抑制することができる。なお、導電性硬質膜122は、金属層121の側面を被覆してもよいが、この場合の厚みは金属層121の上面から導電性硬質膜122の上端までの高さにより定義することとする。
【0038】
なお、
図3(B)に示すように、本実施形態の一態様に従う半導体光デバイス200′では、半導体層110の表面が平坦面領域Fと、粗面領域Rとを含んでもよい。そして、半導体層110の表面と配線電極部120との接合中心部での半導体層110表面は平坦面領域Fであるとともに、前述の空隙を粗面領域Rにより構成することができる。この場合、半導体層110の表面と配線電極部120との接合範囲である平坦面領域Fの線幅W
2が配線電極部120の線幅W
1よりも小さい。そして、[W
1−W
2]に相当する部分は、配線電極部120が前述の建物の軒(のき)のように突出する部分である。半導体光デバイス200′においては、配線電極部120の周縁部の下方に位置する半導体層110の表面が粗面領域Rとなっている。すなわち、配線電極部120の周縁部の軒下(のきした)の空隙において、半導体層110の表面が粗面領域Rとなる。半導体光デバイス200′では、線幅W
1が2μm以上5μm以下であれば、剥離が生じやすくなるものの、導電性硬質膜122を設けることで、半導体光デバイス200′における配線電極部120の剥離を顕著に抑制することができる。
【0039】
ここで、配線電極部120が金属層121と、金属層121の側面を覆う導電性硬質膜122とを含む場合であっても、金属層121の周縁の下方まで空隙が及ぶ(すなわち、金属層121の周縁部の下方と、半導体層110との間に空隙が存在する)ことが好ましい。そして、金属層121の周縁の下方に半導体層110の粗面領域Rが及んでいることが、例えば半導体光デバイス100が発光素子である場合の発光出力の向上のために好ましい。なお、空隙や粗面領域Rの範囲は、配線電極部120の断面を金属顕微鏡または電子顕微鏡を用いて観察することで確認することができる。
【0040】
なお、半導体光デバイス200′における半導体層110の表面形状は、例えば以下のようにして形成することができる。すなわち、まず半導体層110をMOCVD法等によりエピタキシャル成長させて形成し、次いで金属層121および導電性硬質膜122を、フォトリソグラフィー法ならびに蒸着法またはスパッタリング法等で順次成膜し、配線電極部120を形成する。その後、半導体層110の表面を硝酸等で浸漬してウェットエッチングすれば、半導体層110の表面のうち、露出面に加えて、配線電極部120の周縁部の下方まで浸潤して、粗面領域Rが形成されることとなる。なお、このようにして設けられた粗面領域Rにより構成される空隙の形成方法は一例に過ぎず、別の方法によって空隙が形成されてもよいことは勿論である。
【0041】
この場合、配線電極部120と、半導体層110との接合中心部における平坦面領域Fの線幅W
2が1.0μm以上であることが好ましい。配線電極部120と、半導体層110との接合面積を確保するためであり、この観点では線幅W
2が2.0μm以上であることがより好ましい。
【0042】
また、この接合中心部において、平坦面領域Fの線幅W
2が配線電極部120の線幅W
1よりも0.5μm以上小さいことが好ましい。すなわち、W
1−W
2≧0.5(μm)であることが好ましい。半導体光デバイス200における発光面または受光面における粗面領域Rを増大するためであり、この観点では、W
1−W
2≧1.0(μm)であることがより好ましい。
【0043】
なお、半導体光デバイス100,200は、種々の用途に適用することができる。例えば、半導体層110が発光層を含めば半導体光デバイス100,200を半導体発光素子とすることができる。より具体的には、半導体層110がn型半導体層と、発光層と、p型半導体層とを含み、半導体層の表面がn型半導体層またはp型半導体層のいずれかの表面であれば、半導体光デバイス100,200は半導体発光素子として機能する。また、半導体層110が受光層を含めば半導体光デバイス100,200を半導体受光素子または太陽電池とすることができる。そして、半導体層110の積層構造、半導体層110の各層の材料、および半導体層110の各層へのドーパント種、ドーパント濃度等については公知技術を適用することができる。また、
図1,3では図示しないが、半導体光デバイス100は半導体層110の下方に、用途に応じて金属層、絶縁層および反射層ならびに支持基板等を有していてもよい。
【0044】
本発明の第1実施形態に従う半導体光デバイス100の製造方法は、発光面または受光面となる半導体層110の表面に配線電極部120を形成する配線電極部形成工程を含み、配線電極部120の線幅W
1が2μm以上5μm以下であり、配線電極部形成工程は、半導体層110の表面上に金属層121を形成する第1工程と、金属層121上に導電性硬質膜122を形成する第2工程とを含む。前記配線電極部形成工程の後、配線電極部120の周縁部の下方と、半導体層110との間に空隙を形成する空隙形成工程を含むことが好ましい。さらに、前記空隙形成工程において、半導体層110の表面をウェットエッチングして、配線電極部120の周縁部の下方に位置する半導体層110の表面を粗面化するとともに、前記空隙を形成することが好ましい。前述の粗面領域Rを形成することができる。各工程については、後述の第3実施形態により、より詳細に説明される。
【0045】
(第2実施形態:半導体発光素子)
次に、半導体光デバイス100の一具体的な態様として、
図4を参照して、本発明の第2実施形態に従う半導体発光素子300を具体的に説明する。なお、
図4(a)は、
図4(b)のI−I断面図である。また、半導体光デバイス200に既述のとおり、半導体層110の表面を粗面化することが発光効率向上の点で好ましいが、図面の簡略化のため
図4では粗面領域Rの図示を省略する。
【0046】
本発明の第2実施形態である半導体発光素子300は、
図4(a),(b)に示すとおり、支持基板180と、支持基板180上の金属接合層170と、金属接合層170上の反射層160と、反射層160上のオーミック電極140および絶縁膜150の混在層と、p型半導体層113、発光層112およびn型半導体層111をこの順に含む半導体層110と、n型半導体層111の表面に設けられた金属層121および導電性硬質膜122を含む配線電極部120と、を有する。配線電極部120は、上面視で
図4(b)に示す形状に形成されている。また、n型半導体層111側の半導体発光素子300の中央部には円形のパッド電極130が設けられている。支持基板180の裏面には、下部電極190が設けられてもよい。半導体発光素子300の光取り出し方向は、配線電極部120側(
図4(a)の上方向)である。
【0047】
支持基板180を構成する好適な材料としては、例えばSi、GaAs、Ge等の半導体材料のほか、AlやCuなどの金属またはその合金材料等が挙げられ、好適には100〜300μmの厚さを有する。
【0048】
金属接合層170を構成する好適な材料としては、例えばAuなどが挙げられ、好適には0.5〜3.0μmの厚さを有する。
【0049】
反射層160は、発光層112から発光された光のうち、支持基板180側へと向かう光を反射して、光取り出し効率を高める。発光層112から放射される光の主波長に対して高い反射率を有することが望ましく、波長が300〜1100nmの範囲の光について、60%以上の反射率を有することが好ましい。反射層160を構成する好適な材料としては、金(Au)、アルミ(Al)、銀(Ag)の単体もしくはそれを構成元素とした合金またはそれらの積層体等が挙げられ、好適には100〜1000nmの厚さを有する。一般的に金(Au)や銀(Ag)は、絶縁体との密着性が低く、そのままでは容易に剥離する。そのため、Cr、Ti、Mo等の密着層を介在させることで密着性を改善できることが知られている。ただし、これらの密着層は反射率が低いため、光が透過するよう、例えば10nm程度の薄い層とする。
【0050】
オーミック電極140は、p型半導体層113と良好なオーミック接触を形成するための電極である。オーミック電極140を構成する好適な材料としては、例えばAuZn,AuBeなどが挙げられ、好適には100〜500nmの厚さを有する。
【0051】
絶縁膜150は、発光層112から発光された光を透過して反射層160へと導くことが可能な絶縁材料であれば特に限定されない。活性層から放射される光の主波長に対して高い透過率を有することが望ましく、波長が300〜1100nmの範囲の光について、80%以上の透過率を有することが好ましい。好適な材料としては、例えばSiN,SiO
2,AlNなどが挙げられ、好適には100〜500nmの厚さを有する。
【0052】
半導体層110の各層を構成する好適な材料としては、化合物半導体が挙げられ、例えばIII−V族化合物半導体とすることができる。III−V族化合物半導体としては、例えばn型半導体層111およびp型半導体層113をそれぞれAlGaAs系材料、AlGaInP系材料、AlGaN系材料などとすることができる。p型不純物としては、Mg,Zn,C、n型不純物としては、Si,Te,Seが例示できる。発光層112はAlGaAs系材料、AlGaAsInP系材料、AlGaN系材料などからなる単層、あるいは多重量子井戸のような積層構造などとすることができる。これらはいずれも、MOCVD法など既知の手法を用いてエピタキシャル成長させることにより形成することができる。発光波長は300〜1100nmの範囲とすることができる。各層の厚みは、例えばn型半導体層111は1〜10μm、発光層112は10〜500nm、p型半導体層113は1〜10μmとすることができる。なお、これまで本実施形態では光取出し面側をn型半導体層とする半導体層110を説明したが、本発明はこれに限定されず、p型およびn型の順序を入れ替えても良いことは勿論である。
【0053】
配線電極部120の金属層121および導電性硬質膜122については、第1実施形態において既述のとおりである。金属層121は、n型半導体層111との良好なオーミック接触を形成するための電極であり、このような金属層121を構成する好適な材料としては、例えばAuGe,NiおよびAuを順次形成したAuGe/Ni/Au電極が挙げられ、好適には100〜1000nmの厚さを有する。
【0054】
本実施形態における半導体発光素子300においては、
図4(b)に示すように、導電性硬質膜122の直上の一部にパッド電極130を設けることが好ましい。パッド電極130はワイヤーボンディングが行われる部位となる。なお、
図4(b)では中央部にパッド電極130を設けているが、パッド電極130の位置は、配線電極部120の配線パターンに応じて適宜設計することができる。後述するが、パッド電極下部の導電性硬質膜122と、配線電極部120の導電性硬質膜122とは同時に形成することができ、この場合、図示しないが、パッド電極下部の導電性硬質膜122の高さと、配線電極部の導電性硬質膜122の高さとが揃うこととなる。
【0055】
パッド電極130を構成する好適な材料としては、最上面はAuワイヤー融着用のAl,Au材料などが挙げられ、好ましくは密着層としてのTi上にAuを順次形成したTi/Au電極である。Ti層は密着層としての機能を果たす厚さであればよく50〜200nmの厚さを有する。Au層は、好適には1〜3μmの厚さを有する。
【0056】
下部電極190は、支持基板180とオーミック接合を形成する材料から選択され、例えば支持基板としてn型GaAsを選択した場合には、AuGe/Ni/Auの積層などを選択できる。支持基板180として金属基板を使用した場合には、下部電極のない構造を選択することも可能である。
【0057】
なお、図示しないが、半導体発光素子300では、パッド電極130の下方において、半導体層110と導電性硬質膜122との間に、半導体層110上の透光性絶縁層および該透光性絶縁層上に位置する反射層を設けることも好ましい。透光性絶縁層は電流遮断層として機能する。この場合、パッド電極130の下方において、金属層121には開口部が設けられると共に、金属層121が透光性絶縁層および反射層を取囲むように配置することができる。
【0058】
この場合、透光性絶縁層は、波長が300〜1100nmの範囲の光について、80%以上の透過率を有する材料とすることが好ましく、好適な材料としては、例えばSiN,SiO
2,AlNなどが挙げられ、好適には100〜500nmの厚さを有する。
【0059】
また、反射層は、発光層112から発光された光のうち、パッド電極130へと向かう光を反射して、光取り出し効率を高めることができるため好適である。波長が300〜1100nmの範囲の光について、60%以上の反射率を有することが好ましい。反射層を構成する好適な材料としては、例えば金(Au)または金合金材料、白金(Pt)、アルミ(Al)、銀(Ag)の単体もしくはそれを構成元素とした合金またはそれらの積層体等が挙げられ、近赤外の波長領域での好適な例としては、同領域で90%以上の反射率を示すAuを、Crの薄い密着層を介して配置したCr/Au電極とすることができ、好適には密着材であるCr層は5〜20nmの厚さを有し、反射材であるAu層は100〜1000nmの厚さを有する。透光性絶縁層および反射層はフォトリソグラフィー法ならびにスパッタ法、またはプラズマCVD法電子ビーム蒸着法、抵抗加熱による蒸着法などによ形成することができる。
【0060】
なお、本明細書における膜厚の測定方法は、触針式段差計によるものであり、ウェーハ面内の5点(本実施例の3インチ基板の場合、ウェーハ中央を通る対角線上で、ウェーハ外周から1cm内側の2点を両端として均等な距離の5点)の測定の平均値で求められる。
【0061】
(第3実施形態:半導体発光素子の製造方法)
次に、第3実施形態による半導体発光素子400の製造方法の一例を、
図5を用いて説明する。まず、
図5(a)に示すように、GaAs基板などの成長用基板G上に半導体層110を形成する。半導体層110は、既述のような材料からなるn型半導体層111、発光層112およびp型半導体層113をこの順に、例えばMOCVD法などによりエピタキシャル成長させて形成する。
【0062】
次に、
図5(b)に示すように、半導体層110上に所定パターンのオーミック電極140を形成する。例えば既述のような材料を抵抗加熱による蒸着法や電子ビーム蒸着などにより成膜し、フォトリソグラフィーによりレジストパターン形成後、エッチングして、所定パターンを形成し、その後コンタクトアニール(RTA:Rapid Thermal Annealing)する。その後、オーミック電極が形成されない半導体層110上に、絶縁膜150を形成する。これは、例えば既述のような材料をプラズマCVD法またはスパッタ法などにより形成することで得られる。その後、フォトリソグラフィーによりオーミック電極のみ開口したレジストパターンを形成し、所定のエッチング液で絶縁膜をウェットエッチングすることで絶縁膜に通電用の開口部を形成する。その後、反射層160を例えばスパッタ法などにより形成する。反射層160上に、第1金属接合層170a(半導体層側接合層)として、例えばAuなどを蒸着などの方法により形成する。
【0063】
次に、
図5(c)に示すように、裏面に下部電極190を形成し、表面に第1金属接合層170b(支持基板側接合層)を形成した支持基板180と、
図5(b)に示した基板とを接合する。具体的には、第1金属接合層170aと第2金属接合層170bとを接合し加熱することにより、金属接合層170にて両基板が接合される。なお、支持基板180上への第2金属接合層170bの形成は、第1金属接合層170aと同様の方法で行うことができる。支持基板180上への下部電極190の形成は、既述の材料を例えばスパッタ法や電子ビーム蒸着法などにより成膜することにより行う。下部電極190の形成は、後述のパッド電極130を形成した後に行ってもよい。
【0064】
その後、成長用基板Gを研削し、さらにエッチングすることで成長用基板Gを除去する。
【0065】
次に、
図5(d)に示すように、半導体層110上に所定の配線パターンの金属層121を形成する。例えば既述のような材料を例えば抵抗加熱による蒸着法などにより成膜し、フォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成後、エッチングして、所定パターンを形成し、その後コンタクトアニール(RTA:Rapid Thermal Annealing)する。なお、本明細書において「抵抗加熱による蒸着」とは、真空中で金属を加熱し、蒸発させることで蒸着する方法であり、蒸着金属を加熱するために、蒸着金属を載せる高融点材料の台(例えばタングステンの線やボート)に通電して金属抵抗で発生する熱で高温にする方法である。
【0066】
次に、
図5(e)に示すように、金属層121上に導電性硬質膜122を形成する。具体的には、フォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成し、導電性硬質膜122をスパッタ法などにより成膜する。
【0067】
また、図示しないが、導電性硬質膜122上の所定の位置にパッド電極130を例えばスパッタ法、電子ビーム蒸着法、または抵抗加熱による蒸着法などにより成膜してもよい。この場合、成膜後に、リフトオフにより、レジストを残した箇所の導電性硬質膜とパッド電極を除去すればよい。
【0068】
次に、
図5(f)に示すように、メサパターンを形成後、ダイシングを行う。そして、
図5(g)に示すように硝酸等の浸漬によるウェットエッチングを行うことで、半導体層110の表面が粗面化される。
図3を用いて既述の線幅W
2は、エッチング液の種類、エッチング時間等により調整することができる。以上のようにして、半導体発光素子400を用いたLED素子を作製することができる。
【0069】
これまで本発明の一実施形態として、ウェーハ貼り合わせ型のLED素子である半導体発光素子300,400とその製造方法を説明してきたが、本発明はウェーハ貼り合わせ型のLED素子に限られることはない。また、上述したところはいずれも代表的な実施形態の例を示したものであって、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。既述のとおり、半導体発光素子300,400は、半導体光デバイス100,200の具体例に過ぎず、半導体光デバイス100,200を半導体受光素子および太陽電池にも適用可能であることは、当業者には当然に理解される。
【実施例】
【0070】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0071】
(発明例1)
図5に示す方法で本発明に従う半導体光デバイスとしての半導体発光素子を作製した。まず、GaAs材料からなる成長用基板上に、MOCVD法により、n型半導体層(厚さ:7.5μm、AlGaAs材料)、発光層(総厚:50nm、AlGaInAs材料)およびp型半導体層(厚さ:2μm、AlGaAs材料)からなる半導体層を形成した。次に、p型半導体層上にAuZn(厚さ:200nm)を抵抗加熱による蒸着法により成膜し、フォトリソグラフィーによりパターニングし、420℃でコンタクトアニールを行い、オーミック電極を形成した。その後、プラズマCVD法によりオーミック電極が形成されないp型半導体層上にSiO
2からなる透明絶縁膜を形成した。その後、反射層(厚さ:750nm、Au材料)を電子ビーム蒸着法により形成した。さらに、半導体層側接合層として、Ti/Au(厚さ:100nm/1μm)を蒸着により形成した。
【0072】
上記とは別途、GaAs材料からなる支持基板の片面にオーミック電極(厚さ:200nm、AuGe/Ni/Au材料)を抵抗加熱による蒸着法により形成し、さらに支持基板側接合層として、Ti/Au(厚さ:100nm/1μm)を電子ビーム蒸着法により形成した。そして、半導体層側接合層と支持基板側接合層とを接着させ、350℃で30分加熱することにより、両者を接合した。その後、成長用基板を研削して薄くした後に、アンモニア、過酸化水素水、水からなるエッチング液にてエッチングすることで成長用基板を完全に除去した。
【0073】
次に、成長用基板の除去により露出したn型半導体層上に、フォトリソグラフィーにより
図4(b)の配線パターン以外の位置にレジストを形成し、AuGe/Ni/Au(総厚さ:0.8μm)を抵抗加熱による蒸着法により成膜し、レジストを除去するリフトオフによって
図4(b)の配線パターンを有する金属層121を形成した。この際、金属層121の線幅(すなわち、配線電極部の線幅W
1)を4.0μmとした。その後、フォトリソグラフィーにより
図4(b)の配線パターン以外の位置に再度レジストを形成し、スパッタ装置(SPS−703;キヤノントッキ社製、DCマグネトロン;出力4kW)を使用し、純Tiターゲット(純度3N、ケミストン製)を室温で窒素ガス含有Arガス雰囲気(N
2:35.1sccm、Ar:94.9sccm)中でスパッタし、レジストを除去するリフトオフによって、
図4(b)の配線パターンを有する導電性硬質膜122(厚さ:0.90μm、TiN材料)を金属層121上に成膜した。成膜したTiNは金色を有し、TiとNの比が1:1のTiN膜であることを、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)により確認した。その後、フォトリソグラフィーにより
図4(b)の中央部以外の位置にレジストパターンを形成し、さらにパッド電極(厚さ:100nm/1.5μm、Ti/Au材料)を電子ビーム蒸着法により成膜した。そして、レジストを除去するリフトオフ法を用いてパッド電極を形成した。次いで、フォトリソグラフィーによるパターニングの後、リン酸と過酸化水素水の混合液にてエッチングすることでメサパターンを形成した。さらに、支持基板の裏面側に裏面電極としてTi/Au(厚さ:10nm/200nm)を電子ビーム蒸着法により形成し、次いでn型半導体層上と裏面の両方の電極のコンタクトアニールを同時に行った。最後にダイシングを行い、硝酸を浸漬してウェットエッチングを行い、半導体層を粗面化した。こうして、発明例1に係る半導体発光素子(LED素子)を作製した。
【0074】
なお、発明例1に係る半導体発光素子の配線電極部の断面を、光学顕微鏡により粗面領域Rを観察したところ、電極配線部の周縁部と半導体層との間には空隙が形成されており、10個の半導体発光素子について観察したところ、平坦面領域Fの線幅W
2(未粗面化幅と言うこともできる)は、1.0〜3.0μmの範囲内であり、それらの平均値は2.0μmであった。なお、後述の発明例2,3、比較例1,2および従来例1,2も同様に線幅W
2を測定している。また、W
1−W
2は、1.0〜3.0μmの範囲内であった。また、このLED素子の発光波長は950nmであった。さらになお、ダイシング後の支持基板のサイズは320μm四方であり、半導体層のサイズは300μm四方であった。
【0075】
(発明例2)
発明例1における導電性硬質膜の厚みを、0.9μmから0.5μmに変えた以外は、発明例1と同様にして発明例2に係る半導体発光素子を作製した。
【0076】
(発明例3)
発明例1における導電性硬質膜の厚みを、0.9μmから1.5μmに変えた以外は、発明例1と同様にして発明例3に係る半導体発光素子を作製した。
【0077】
(比較例1)
発明例1における導電性硬質膜の厚みを、0.9μmから1.9μmに変えた以外は、発明例1と同様にして比較例1に係る半導体発光素子を作製した。
【0078】
(比較例2)
発明例1において形成した導電性硬質膜を形成しなかった以外は、発明例1と同様にして比較例3に係る半導体発光素子を作製した。
【0079】
(従来例1)
比較例1における配線電極部の線幅W
1を4.0μmから8.0μmに変え、さらに、平坦面領域の線幅W
2を1.0〜3.0μmから10.0〜14.0μmに変えた以外は、比較例1と同様にして従来例1に係る半導体発光素子を作製した。なお、従来例1では、配線電極部の線幅W
1よりも、平坦面領域の線幅W
2の方が大きい。
【0080】
(従来例2)
従来例1における平坦面領域の線幅W
2を10.0〜14.0μmから5.0〜7.0μmに変えた以外は、従来例1と同様にして従来例2に係る半導体発光素子を作製した。
【0081】
以上の発明例1〜3、比較例1,2および従来例1,2の作製条件を表1に示す。なお、表1には後述する評価結果も併せて示す。
【0082】
【表1】
【0083】
<評価1:発光出力および順方向電圧>
実施例1〜3、比較例1,2および従来例1,2から得られた半導体発光素子に定電流電圧電源を用いて20mAの電流を流したときの順方向電圧Vfおよび積分球による発光出力Poを測定し、それぞれ10個の試料の測定結果の中間値の結果を表1に示した。
【0084】
<評価2:配線電極部の剥離率>
実施例1〜3、比較例1,2および従来例1,2について、配線電極部の剥がれやすさの指標を測定するために、以下の条件で負荷試験を行った。まず、実施例1〜3、比較例1,2および従来例1,2の半導体発光素子に粘着テープ(V−8S:粘着力0.6N/20mm,180°剥がし方向)を用いて配線電極部に負荷を与えた。次いで、光学顕微鏡(400倍)により外観検査を実施し、配線電極部に剥離がわずかでも観察されれば「剥離有り」と判定し、これを1枚のウェーハから得られた半導体発光素子に対して全数検査を行い、母数に対して、「剥離有り」と判定された個数の割合を「配線電極部の剥離率」として求めた。代表例として、実施例1の半導体発光素子のうち、剥離なしと判定されたものの顕微鏡写真を
図6に示す。
【0085】
(評価結果)
表1から以下のことが確認できる。配線電極部の線幅W
1を、従来例1,2の半分である4.0μm以下とした実施例1〜3および比較例1,2では、いずれも発光出力の大幅な改善が認められる。発光出力改善の観点だけであれば、比較例1が最も好ましい。従来例1と従来例2を対比すると、平坦面領域Fの線幅W
2を小さくした従来例2の方が発光出力の改善が僅かに認められるが、この改善効果に比べて、配線電極部の線幅W
1を小さく効果が極めて優れていることが確認できる。これは、半導体層表面における発光面積の単純な増大は勿論のこと、最も電流が集中すると想定される配線電極周辺での発光面積が増大するためであると考えられる。
【0086】
しかしながら、従来例1,2と比較例2とを対比すると、比較例2では発光出力は改善できるものの、配線電極部に剥離率が高く、製品化には耐えないことが判明した。比較例2に対し、導電性硬質膜を設けた発明例1〜3では、剥離率を低減できることが確認された。なお、導電性硬質膜の厚みを1.9μmとした比較例1では、比較例2と同様に剥離率が高くなってしまった。これは、配線電極部の厚みが0.8μmであるところ、導電性硬質膜の厚みを倍以上の極端な厚みとしたためではないかと推測される。