(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バリア層(B)が、ポリ塩化ビニリデンフィルム、シクロオレフィンコポリマーフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の多層フィルム。
輸送手段、包装、機器、構成部品または電気若しくは電子機器の金属表面またはプラスチック表面に付着される、請求項1から10までのいずれか1項に記載の多層フィルム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属表面またはプラスチック表面に施与するための多層フィルムに関し、ここで、前記多層フィルムは、
最初の層としての保護層(A)であって、少なくとも1種のヒンダードアミン光安定剤と、以下に定める少なくとも2種の異なるo−ヒドロキシトリス−アリールトリアジンUV吸収剤とを含むポリ(アルキルメタクリレート)フィルムである前記保護層(A)、
バリア層(B)、
ベース層(C)、
最後の層としての接着層(D)
を含み、かつ
バリア層(B)および/またはベース層(C)は少なくとも1種の顔料を含む。さらに本発明は、自動車の表面に施与するための以下に定める多層フィルムの使用に関する。
【0002】
こうした表面の視覚的外観を向上させるべく、装飾フィルムの使用が普及している。塗装仕上げを施す伝統的な方法は、吹付け塗装である。しかし、自動車部品の吹付け塗装は高コストであり、自動車産業において普及している表面プラスチック部品にはあまり適さない。さらに、自動車産業においては少品種大量生産から脱却して多品種少量生産(特殊品の極めて短期間の生産を含む)が行われる傾向にある。多品種間での様式の差別化が行われることも望ましい。
【0003】
特に従来のラッカー(通常は吹付け塗装により施与される)の代替品として装飾フィルムを使用することによって、単色、多色の印刷および多用途の表面テクスチャを得ることができ、また、例えば多品種や特殊品やさらには個々の品種に起因して生じうる様々な要求への適合を容易に行うことができる。
【0004】
こうしたフィルムの望ましい特性としては、高い耐候性、高い耐熱性、高い光安定性、高い耐薬品性、高い耐溶剤性、高い耐水性および高い耐摩耗性が挙げられる。装飾フィルムに関しては、現行の塗膜が示す特性の大部分を示すことが望ましい。しかし、市場で入手可能な現行の装飾フィルムはこうした特性のすべてを網羅しているわけではなく、これは特に耐候性に関して言えることである。こうした特性に加えて、装飾フィルムは自動車の複合表面を覆うのに十分な伸びを示すことが望ましく、またこうした自動車の寿命よりも長く密着性を示すことが望ましい。さらに、こうしたフィルムは良好な可とう性をも示すことが望ましく、またこうしたフィルムを他の所望の特性を損なうことなく顔料着色することが可能であることが望ましい。全体として、フィルムの耐久性が可能な限り高いことが望ましい。
【0005】
一方で、CO
2や揮発性有機化合物(VOC)の排出量を削減することが望ましく、これは従来のラッカーの置き換えにより達成可能である。
【0006】
したがって、こうしたフィルム、特に特性の向上を示すフィルムが、依然として求められている。
【0007】
本発明は、金属表面またはプラスチック表面に施与するための多層フィルムに関し、ここで、前記多層フィルムは、
最初の層としての保護層(A)であって、少なくとも1種のヒンダードアミン光安定剤と、式(7)および(8):
【化1】
[式中、
G
1は、水素;C
1〜C
18アルキル;−OH、C
2〜C
18アルケニルオキシ、−C(O)OL
1および−OC(O)L
2(ここで、L
1およびL
2は独立して、C
1〜C
18アルキルである)からなる群から選択される1、2もしくは3つの基により置換されたC
1〜C
18アルキル;酸素により中断されたC
3〜C
50アルキル;または酸素により中断されたC
3〜C
50ヒドロキシアルキルであり、
G
2、G
3、G
4およびG
5は、独立して、水素;C
1〜C
18アルキル;フェニル;または1、2もしくは3つのC
1〜C
4アルキルにより置換されたフェニルである]、
【化2】
[式中、
Q
1、Q
2、Q
3およびQ
4は、独立して、水素;C
1〜C
18アルキル;−OH、C
2〜C
18アルケニルオキシ、−C(O)OY
1および−OC(O)Y
2(ここで、Y
1およびY
2は独立して、C
1〜C
18アルキルである)からなる群から選択される1、2もしくは3つの基により置換されたC
1〜C
18アルキル;酸素により中断されたC
3〜C
50アルキル;または酸素により中断されたC
3〜C
50ヒドロキシアルキルであり、
R
14、R
15およびR
16は、互いに独立して、水素またはC
1〜C
18アルキルである]
の化合物から選択される少なくとも2種の異なるo−ヒドロキシトリス−アリールトリアジンUV吸収剤とを含むポリ(アルキルメタクリレート)フィルムである、前記保護層(A)、
バリア層(B)、
ベース層(C)、
最後の層としての接着層(D)
を含み、かつ
バリア層(B)および/またはベース層(C)は少なくとも1種の顔料を含む。
【0008】
好ましいヒンダードアミン光安定剤は、分子量が200g/molより大きく、好ましくは500g/molより大きく、特に1,000g/molより大きく、より好ましくは1,000g/molより大きく100,000g/molまでであり、例えば50,000g/molまでのものである。1,500g/mol〜15,000g/molの分子量が特に好ましい。
【0009】
好ましいのは以下のようなヒンダードアミン光安定剤であり、すなわち、式(1):
【化3】
[式中、
A
1は、水素またはC
1〜C
4アルキルであり、
A
2は、直接結合であるかまたはC
1〜C
10アルキレンであり、かつ
n
1は、2〜50の数である]
の化合物であるか、または式(2):
【化4】
[式中、
E
1は、水素;C
1〜C
8アルキル;O
.;−OH;−CH
2CN;C
1〜C
18アルコキシ;ヒドロキシ置換されたC
1〜C
18アルコキシ;C
5〜C
12シクロアルコキシ;C
3〜C
6アルケニル;非置換のC
7〜C
9フェニルアルキル;フェニル上で1、2もしくは3つのC
1〜C
4アルキルにより置換されたC
7〜C
9フェニルアルキル;またはC
1〜C
8アシルであり、
m
1は、1、2または4であり、
m
1が1である場合には、E
2は、C
1〜C
25アルキル、式−C(CH
3)=CH
2の基、または式(2a):
【化5】
(式中、E
3は、E
1に関して定義した通りである)
の基であり、
m
1が2である場合には、E
2は、C
1〜C
14アルキレン、または式(2b):
【化6】
(式中、
E
4は、C
1〜C
10アルキルまたはC
2〜C
10アルケニルであり、
E
5は、C
1〜C
10アルキレンであり、かつ
E
6およびE
7は、互いに独立して、C
1〜C
4アルキル、シクロヘキシルまたはメチルシクロヘキシルである)
の基であり、かつ、
m
1が4である場合には、E
2は、C
4〜C
10アルカンテトライルである]
の化合物であるか、または式(3):
【化7】
[式中、
R
1、R
3、R
4およびR
5は、互いに独立して、水素;C
1〜C
12アルキル;C
5〜C
12シクロアルキル;C
1〜C
4アルキルで置換されたC
5〜C
12シクロアルキル;フェニル;−OHおよび/またはC
1〜C
10アルキルにより置換されたフェニル;C
7〜C
9フェニルアルキル;フェニル基上で−OHおよび/またはC
1〜C
10アルキルにより置換されたC
7〜C
9フェニルアルキル;または式(3a):
【化8】
の基であり、
R
2は、C
2〜C
18アルキレン、C
5〜C
7シクロアルキレンまたはC
1〜C
4アルキレンジ(C
5〜C
7シクロアルキレン)であるか、または、
基R
1、R
2およびR
3と該基に結合している窒素原子とが一緒になって、5員〜10員の複素環を形成するか、または、
R
4およびR
5と該基に結合している窒素原子とが一緒になって、5員〜10員の複素環を形成し、
R
6は、水素;C
1〜C
8アルキル;O
.;−OH;−CH
2CN;C
1〜C
18アルコキシ;C
5〜C
12シクロアルコキシ;C
3〜C
6アルケニル;非置換のC
7〜C
9フェニルアルキル;フェニル上で1、2もしくは3つのC
1〜C
4アルキルにより置換されたC
7〜C
9フェニルアルキル;またはC
1〜C
8アシルであり、
b
1は、2〜50の数であるが、
但し、基R
1、R
3、R
4およびR
5のうちの少なくとも1つは式(3a)の基であるものとする]
の化合物であるか、または式(4)、(5)もしくは(6):
【化9】
[式中、
R
7およびR
11は、互いに独立して、水素またはC
1〜C
12アルキルであり、
R
8、R
9およびR
10は、互いに独立して、C
2〜C
10アルキレンであり、かつ、
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7およびX
8は、互いに独立して、式(4a):
【化10】
(式中、
R
12は、水素;C
1〜C
12アルキル;C
5〜C
12シクロアルキル;C
1〜C
4アルキルで置換されたC
5〜C
12シクロアルキル;フェニル;−OHおよび/またはC
1〜C
10アルキルで置換されたフェニル;C
7〜C
9フェニルアルキル;フェニル基上で−OHおよび/またはC
1〜C
10アルキルにより置換されたC
7〜C
9フェニルアルキル;または上記で定義した式(3a)の基であり、かつ、
R
13は、水素;C
1〜C
8アルキル;O
.;−OH;−CH
2CN;C
1〜C
18アルコキシ;C
5〜C
12シクロアルコキシ;C
3〜C
6アルケニル;非置換のC
7〜C
9フェニルアルキル;フェニル上で1、2もしくは3つのC
1〜C
4アルキルにより置換されたC
7〜C
9フェニルアルキル;またはC
1〜C
8アシルである)
の基である]
の化合物であるヒンダードアミン光安定剤である。
【0010】
炭素数25までのアルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシルおよびエイコシルである。E
1、R
6およびR
13の好ましい定義の一つはC
1〜C
4アルキルであり、特にメチルである。
【0011】
炭素数18までのアルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ヘキサデシルオキシおよびオクタデシルオキシである。E
1の好ましい意味の一つはオクトキシであり、R
6の好ましい意味の一つはプロポキシである。
【0012】
C
5〜C
12シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルおよびシクロドデシルである。C
5〜C
8シクロアルキル、特にシクロヘキシルが好ましい。
【0013】
C
1〜C
4アルキルで置換されたC
5〜C
12シクロアルキルは、例えば、メチルシクロヘキシルまたはジメチルシクロヘキシルである。
【0014】
C
5〜C
12シクロアルコキシの例は、シクロペントキシ、シクロヘキソキシ、シクロヘプトキシ、シクロオクトキシ、シクロデシルオキシおよびシクロドデシルオキシである。C
5〜C
8シクロアルコキシ、特にシクロペントキシおよびシクロヘキソキシが好ましい。
【0015】
−OHおよび/またはC
1〜C
10アルキルで置換されたフェニルは、例えば、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、t−ブチルフェニルまたは3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルである。
【0016】
C
7〜C
9フェニルアルキルの例は、ベンジルおよびフェニルエチルである。
【0017】
フェニル基上で−OHおよび/または炭素数10までのアルキルにより置換されたC
7〜C
9フェニルアルキルは、例えば、メチルベンジル、ジメチルベンジル、トリメチルベンジル、t−ブチルベンジル、または3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルである。
【0018】
炭素数10までのアルケニルの例は、アリル、2−メタリル、ブテニル、ペンテニルおよびヘキセニルである。好ましいのはアリルである。1位の炭素原子は、好ましくは飽和である。
【0019】
炭素数8までのアシルの例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイルおよびベンゾイルである。C
1〜C
8アルカノイル、C
3〜C
8アルケニルおよびベンゾイルが好ましい。アセチルおよびアクリロイルが特に好ましい。
【0020】
炭素数18までのアルキレンの例は、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、ヘキサメチレン、トリメチルヘキサメチレン、オクタメチレンおよびデカメチレンである。
【0021】
C
4〜C
10アルカンテトライルの一例は、1,2,3,4−ブタンテトライルである。
【0022】
C
5〜C
7シクロアルキレンの一例は、シクロヘキシレンである。
【0023】
C
1〜C
4アルキレンジ(C
5〜C
7シクロアルキレン)の一例は、メチレンジシクロヘキシレンである。
【0024】
基R
1、R
2およびR
3と該基に結合している窒素原子とが一緒になって、5員〜10員の複素環を形成する場合には、この環は、例えば
【化11】
である。
【0025】
好ましいのは、6員の複素環である。
【0026】
基R
4およびR
5と該基に結合している窒素原子とが一緒になって、5員〜10員の複素環を形成する場合には、この環は、例えば、1−ピロリジル、ピペリジノ、モルホリノ、1−ピペラジニル、4−メチル−1−ピペラジニル、1−ヘキサヒドロアゼピニル、5,5,7−トリメチル−1−ホモピペラジニルまたは4,5,5,7−テトラメチル−1−ホモピペラジニルである。モルホリノが特に好ましい。
【0027】
n
1は、好ましくは2〜25の数であり、特に2〜20の数である。
【0028】
b
1は、好ましくは2〜25の数であり、特に2〜20の数である。
【0029】
式(1)の化合物として好ましいのは、式
【化12】
[式中、n
1は、2〜20の数である]
の化合物である。
【0030】
式(2)の化合物として好ましいのは、式
【化13】
[式中、E
1およびE
3は、互いに独立して、水素;C
1〜C
8アルキル;O
.;−OH;−CH
2CN;C
1〜C
18アルコキシ;C
5〜C
12シクロアルコキシ;C
3〜C
6アルケニル;非置換のC
7〜C
9フェニルアルキル;フェニル上で1、2もしくは3つのC
1〜C
4アルキルにより置換されたC
7〜C
9フェニルアルキル;またはC
1〜C
8アシルである]
の化合物である。
【0031】
式(2)のさらなる好ましい化合物は、以下のものである:
− m
1が1であり、E
1が、C
1〜C
18アルコキシであるかまたはヒドロキシ置換されたC
1〜C
18アルコキシであり、かつE
2がC
1〜C
25アルキルである;
− m
1が1であり、E
1が、水素またはメチルであり、かつE
2が、式−C(CH
3)=CH
2の基である。
【0032】
式(3)の化合物として好ましいのは、式
【化14】
[式中、
b
1は、2〜20の数であり、かつ、
R
6は、水素;C
1〜C
8アルキル;O
.;−OH;−CH
2CN;C
1〜C
18アルコキシ;C
5〜C
12シクロアルコキシ;C
3〜C
6アルケニル;非置換のC
7〜C
9フェニルアルキル;フェニル上で1、2もしくは3つのC
1〜C
4アルキルにより置換されたC
7〜C
9フェニルアルキル;またはC
1〜C
8アシルである]
の化合物である。
【0033】
式(4)の化合物として好ましいのは、式
【化15】
[式中、R
17は、R
6の意味のうちの1つを有する]
の化合物である。
【0034】
式(5)および(6)の化合物として好ましいのは、
R
7およびR
11が水素であり、
R
8、R
9およびR
10が互いに独立して、C
2〜C
3アルキレンであり、かつ
X
1、X
2、X
3、X
4、X
5、X
6、X
7およびX
8が互いに独立して、式(4a)の基であり、ここで、R
12はブチルであり、かつR
13はC
1〜C
18アルコキシまたはC
5〜C
12シクロアルコキシである化合物である。
【0035】
式(1)の化合物(式(1−A)の化合物を含む)、および式(3)の化合物(式(3−A)、(3−B)、(3−C)および(3−D)の化合物を含む)における遊離原子価を飽和させる末端基の意味は、その製造に用いられる方法に依存する。これらの末端基は、その製造後に修飾されてもよい。
【0036】
式(1)の化合物が製造される場合、これは例えば、式
【化16】
[式中、A
1は、水素またはメチルである]
の化合物と、式Y−OOC−A
2−COO−Y
[式中、
Yは、例えば、メチル、エチルまたはプロピルであり、かつ
A
2は、上記で定義した通りである]
のジカルボン酸ジエステルとの反応により行われ、
2,2,6,6−テトラメチル−4−オキシピペリジン−1−イル基に結合している末端基は、水素、または−CO−A
2−COO−Yであり、かつ
ジアシル基に結合している末端基は、−O−Yであるか、または
【化17】
である。
【0037】
式(1)の化合物(式(1−A)の化合物を含む)の好ましい末端基は、水素およびメトキシ、エトキシおよびプロポキシであり、特に水素およびメトキシである。
【0038】
式(3)の化合物が、式
【化18】
[式中、
Xは、例えば、ハロゲン、特に塩素であり、かつ
R
4およびR
5は、上記で定義した通りである]
の化合物と、式
【化19】
[式中、R
1、R
2およびR
3は、上記で定義した通りである]
の化合物との反応により製造される場合、
ジアミノ基に結合している末端基は、水素であるかまたは
【化20】
であり、かつ、トリアジン基に結合している末端基は、X、
【化21】
である。
【0039】
Xがハロゲンである場合、反応の完了時にこのハロゲンを例えば−OHまたはアミノ基により置換することが有利である。挙げられるアミノ基の例は、ピロリジン−1−イル、モルホリノ、−NH
2、−N(C
1〜C
8)アルキル)
2および−NR(C
1〜C
8アルキル)であり、ここで、Rは、水素であるかまたは式(3a)の基である。
【0040】
このことは、式(3−A)、(3−B)、(3−C)および(3−D)の化合物にも同様に該当する。
【0041】
式(3)の化合物には、式
【化22】
[式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびb
1は、上記で定義した通りであり、かつ
R
4*は、R
4の意味のうちの1つを有し、かつ
R
5*は、R
5の意味のうちの1つを有する]
の化合物も含まれる。
【0042】
式(1)のヒンダードアミン光安定剤は、より好ましくは、TINUVIN(登録商標)622である。
【0043】
式(2)のヒンダードアミン光安定剤は、より好ましくは、TINUVIN(登録商標)123、TINUVIN(登録商標)144、TINUVIN(登録商標)765、TINUVIN(登録商標)770、ADK STAB(登録商標)LA−81、82または87である。
【0044】
式(3)のヒンダードアミン光安定剤は、より好ましくは、TINUVIN(登録商標)NOR 371、CHIMASSORB(登録商標)944またはCHIMASSORB(登録商標)2020、特にTINUVIN(登録商標)NOR 371である。
【0045】
式(4)のヒンダードアミン光安定剤は、より好ましくは、CHIMASSORB(登録商標)119である。
【0046】
式(5)および(6)のヒンダードアミン光安定剤は、より好ましくは、FLAMESTAB(登録商標)NOR 116である。
【0047】
ヒンダードアミン光安定剤として特に好ましいのは、式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)および(6)のものであり、より好ましいのは式(2)、(3)および(4)のものであり、特に式(3)のものである。これらの式のそれぞれに関して、上記の定義および選好物が該当する。
【0048】
このようなヒンダードアミン光安定剤、特にNORタイプのヒンダードアミン光安定剤の活性は、例えば酸性雨等の外部環境の影響も、例えばポリ塩化ビニリデンからの塩化物の脱着等の内部環境の影響も受けない。さらに、こうしたヒンダードアミン光安定剤は、自動車の寿命の間、フィルムに熱安定性を提供することができる。
【0049】
式(7)および(8)中のC
1〜C
18アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシルおよびオクタデシルである。C
1〜C
8アルキル、例えば、メチル、n−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、またはオクチルの異性体混合物は、特に好ましい。
【0050】
式(7)および(8)中の、−OH、C
2〜C
18アルケニルオキシ、−C(O)OL
1(または−C(O)OY
1)および−OC(O)L
2(または−OC(O)Y
2)からなる群から選択される1、2もしくは3つの基により置換されたC
1〜C
18アルキル、好ましくはC
2〜C
18アルキルの好ましい例は、2−ヒドロキシエチル、
【化23】
である。
【0051】
1つまたは複数の酸素原子により中断されたC
3〜C
50アルキルの一例は、−(CH
2CH
2−O−)
3−CH
3である。
【0052】
式(7)および(8)中の酸素により中断されたC
3〜C
50ヒドロキシアルキルの好ましい例は、
【化24】
である。
【0053】
式(7)中の1、2もしくは3つのC
1〜C
4アルキルにより置換されたフェニルの好ましい一例は、2,4−ジメチルフェニルである。
【0054】
式(7)の化合物は、好ましくは、式
【化25】
【0055】
【化26】
の化合物である。
【0056】
より好ましくは、式(7)の化合物は、式(7−A)〜(7−D)の化合物であり、特に式(7−C)の化合物である。
【0057】
式(7)の重要な市販の化合物は、TINUVIN(登録商標)479、TINUVIN(登録商標)1600、TINUVIN(登録商標)1577およびADK STAB(登録商標)LA−46である。
【0058】
式(8)の化合物は、好ましくは、式
【化27】
の化合物であり、特に式(8−B)の化合物である。
【0059】
式(8)の重要な市販の化合物は、TINUVIN(登録商標)460である。
【0060】
さらなる重要な市販のUV吸収剤は、ADK STAB(登録商標)LA−1000である。
【0061】
保護層(A)が、式(7)の少なくとも1種のo−ヒドロキシトリス−アリールトリアジンUV吸収剤と、式(8)の少なくとも1種のo−ヒドロキシトリス−アリールトリアジンUV吸収剤とを含むことが好ましく、その際、上記の定義および選好物が該当する。
【0062】
式(8)のo−ヒドロキシトリス−アリールトリアジンUV吸収剤は比較的長波長の紫外線を吸収するのに対して、本フィルムの他の成分、例えばポリ塩化ビニリデン、ポリウレタンおよび若干の顔料は、こうした波長をあまり吸収しない。
【0063】
上記の式(1)〜(8)の化合物は実質的に知られており、かつ市販されており、知られている方法に従って製造することができる。
【0064】
顔料としては、例えば“Gaechter/Mueller:Plastics Additives Handbook、3rd Edition, Hanser Publishers, Munich Vienna N.Y.”、p.647−659、第11.2.1.1節〜第11.2.4.2節に記載されているような従来の無機顔料または有機顔料を使用することができる。
【0065】
無機顔料の例は、二酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、酸化クロム、酸化鉄、酸化鉛、バナジウム酸ビスマス、および混合金属酸化物、例えば、Ni/Sb/Ti酸化物、Cr/Sb/Ti酸化物、Mn/Sb/Ti酸化物、Sn/Zn/Ti酸化物、Zn/Fe酸化物、Fe/Cr酸化物、Co/Al酸化物、Co/Al/Cr酸化物、Co/Ti/Ni/Zn酸化物、Co/Cr/Fe/Mn酸化物、パール顔料、メタリック顔料等である。
【0066】
有機顔料の例は、アゾ顔料、特にジスアゾ顔料、アントラキノン、フタロシアニン、テトラクロロイソインドリノン、キナクリドン、イソインドリン、キノフタロン、プテリジン、ペリレン、ピロロピロール、液晶顔料等である。
【0067】
バリア層(B)および/またはベース層(C)は少なくとも1種の顔料を含み、好ましくは、バリア層(B)およびベース層(C)の各々が少なくとも1種の顔料を含む。
【0068】
保護層(A)のポリ(アルキルメタクリレート)は、好ましくはホモポリマー、コポリマーまたはターポリマーであり、特にホモポリマーまたはコポリマーであり、かつ、好ましくは、モノマー単位として、メタクリル酸またはアクリル酸のC
1〜C
10−アルキルエステルまたはその混合物を含む。メタクリル酸のC
1〜C
4−アルキルエステルが好ましい。メチルメタクリレートが特に好ましく、上記モノマー混合物の50〜100質量%、特に80〜100質量%の量で使用するのが好ましい。コモノマーおよび/またはターモノマーが存在する場合には、これらは、好ましくはアクリル酸のアルキルエステルから選択され;アクリル酸のC
1〜C
8−アルキルエステルが好ましく、これは、上記モノマー混合物の好ましくは0〜50質量%の量で使用され、特に上記モノマー混合物の0〜20質量%の量で使用される。こうしたアクリル酸のC
1〜C
8−アルキルエステルの例は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートである。特に好ましいのはポリ(メチルメタクリレート)であり、特に、80〜100質量%、好ましくは90〜100質量%のメチルメタクリレートモノマー含分と、場合により0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%のアクリル酸のC
1〜C
8−アルキルエステルとを有するポリ(メチルメタクリレート)が好ましい。ポリ(アルキルメタクリレート)に加えて、保護層(A)は、ジエン系ポリマーを含有することができる。こうしたジエン系ポリマーは、好ましくは、20〜100質量%の1,3−ブタジエンモノマー単位と、0〜80質量%の他のモノマー単位とを含むものであり、特に、30〜100質量%の1,3−ブタジエンモノマー単位と0〜70質量%の他のモノマー単位とを含むものであり、最も好ましくは、50〜100質量%の1,3−ブタジエンモノマー単位と0〜50質量%の他のモノマー単位とを含むものである。こうした他のモノマー単位の例は、スチレンおよびその誘導体、例えば、スチレン、α−メチルスチレンおよびp−メチルスチレン;芳香族ビニル化合物、例えばビニルトルエン;アクリル酸のC
1〜C
8−アルキルエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレート;メタクリル酸のC
1〜C
8−アルキルエステル、例えばメチルメタクリレートおよびエチルメタクリレートである。
【0069】
保護層(A)は、該保護層(A)の質量に対して、好ましくは0〜50質量%、特に1〜50質量%、より好ましくは5〜50質量%のジエン系ポリマーを含む。
【0070】
保護層(A)は、好ましくは透明であり、特に太陽光の有害な影響等の環境条件から他の層を保護するために使用される。保護層(A)は、好ましくはフィルムの形態で存在し、特に厚さ10〜200μm、好ましくは20〜200μm、より好ましくは20〜100μmのフィルムの形態で存在する。
【0071】
保護層(A)は、1種以上のヒンダードアミン光安定剤を、該保護層(A)の質量に対して好ましくは0.005〜5質量%、特に0.01〜1質量%、殊に0.01〜1質量%の量で含む。
【0072】
さらに、保護層(A)は、o−ヒドロキシトリス−アリールトリアジンUV吸収剤を、該保護層(A)の質量に対して好ましくは0.01〜15質量%、特に0.1〜10質量%、殊に0.1〜5質量%の量で含む。
【0073】
バリア層(B)は、好ましくは気体透過性および透湿性を低減させるために使用され、かつ、好ましくはポリ塩化ビニリデンフィルム、シクロオレフィンコポリマーフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムであり、特にポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムである。本発明のもう1つの実施形態によれば、ポリ塩化ビニリデンフィルム、シクロオレフィンコポリマーフィルムまたはポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。
【0074】
バリア層(B)は、好ましくはフィルムの形態で存在し、特に厚さ10〜200μm、好ましくは20〜200μm、より好ましくは20〜100μmのフィルムの形態で存在する。
【0075】
バリア層(B)は顔料を含有してもよく、顔料を含有する場合には、該バリア層(B)の質量に対して好ましくは0.5〜20質量%、特に1〜20質量%、殊に1〜15質量%の量で含有することができる。さらに、バリア層(B)に複雑なデザインを印刷することも可能である。
【0076】
さらに、バリア層(B)は、少なくとも1種のヒンダードアミン光安定剤を含有してもよい。ヒンダードアミン光安定剤が使用される場合には、これはバリア層(B)中に、該バリア層(B)の質量に対して好ましくは0.005〜5質量%、特に0.01〜1質量%、殊に0.01〜1質量%の量で存在する。
【0077】
ベース層(C)は、好ましくは熱可塑性ポリウレタン樹脂である。ベース層(C)は、好ましくはフィルムの形態で存在し、特に厚さ10〜400μm、好ましくは20〜200μm、より好ましくは100〜200μmのフィルムの形態で存在する。
【0078】
ポリウレタン樹脂の例としては、ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物との重合付加反応により得られる樹脂が挙げられる。ここで、ポリヒドロキシ化合物の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、マレイン酸および他の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトールおよび他のポリヒドロキシ化合物との縮合反応生成物を含むポリエステルポリオール;ポリカプロラクトンおよび他のラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキシレンカーボネートジオール、ポリノニレンカーボネートジオール、ポリシクロヘキシレンカーボネートジオール、ポリジメチルシクロヘキシルカーボネートジオールおよび他のポリカーボネートポリオール;ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールおよび他のポリエーテルポリオールが挙げられる。さらに、アクリルポリオール、ヒマシ油誘導体等が挙げられる。さらに、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールおよび他のヒドロキシ化合物、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸および他のカルボキシル基含有ヒドロキシ化合物も挙げられる。ポリイソシアネート化合物の例としては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびビス(メチルイソシアネート)シクロヘキサンが挙げられる。
【0079】
ベース層(C)は顔料を含有してもよく、顔料を含有する場合には、該ベース層(C)の質量に対して好ましくは0.5〜20質量%、特に1〜20質量%、殊に1〜15質量%の量で含有することができる。さらに、ベース層(C)に複雑なデザインを印刷することも可能である。
【0080】
さらに、ベース層(C)は、少なくとも1種のヒンダードアミン光安定剤を含有してもよい。ヒンダードアミン光安定剤が使用される場合には、これはベース層(C)中に、該ベース層(C)の質量に対して好ましくは0.005〜5質量%、特に0.01〜1質量%、殊に0.01〜1質量%の量で存在する。
【0081】
好ましい一実施形態によれば、バリア層(B)および/またはベース層(C)は、少なくとも1種の可塑剤を含む。こうした可塑剤を、フィルムの伸びを改善するために使用することができ、特に複雑な形状の表面にフィルムを施与するために使用することができる。
【0082】
適切な可塑剤としては、フタル酸エステル、ならびにアジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、リン酸エステルおよびエポキシ化油が挙げられるが、これらに限定されない。一般に使用される可塑剤は、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート(DOP)である。他の有用な可塑剤としては、リン酸トリクレジル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、リン酸トリブチル、エポキシ化エステル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリオクチル、セバシン酸ジオクチルおよびアジピン酸ジオクチル、ならびに例えばポリプロピレングリコールエステル等の種々の低分子量ポリマーが挙げられる。さらに、例えばJoncryl ADP1200等のオリゴマータイプの可塑剤や、ポリブチルアクリレートポリマーを使用することができる。
【0083】
こうした可塑剤を、ベース層(C)のために、そして場合によりバリア層(B)のために使用することが好ましい。
【0084】
接着層(D)は、あらゆる溶剤系または水性のホットメルト接着剤または押出された接着剤であることができる。接着層は、例えば、ポリウレタン系接着剤、ポリアクリル系接着剤、またはポリイソブテンから選択されることができる。ポリウレタンおよびポリイソブテンが好ましく、特にポリウレタンが好ましい。ポリウレタン系接着剤の例としては、Dispercoll(登録商標)U(Bayer MaterialScience AGより入手可能)、および国際公開第2012/065966号(WO−A−2012/065966)に記載されているようポリウレタン系接着剤が挙げられる。
【0085】
接着層(D)は、好ましくはコーティングによりベース層(C)に施与され、かつ好ましくはフィルムの形態で存在し、特に厚さ1〜100μm、好ましくは1〜50μm、より好ましくは5〜40μmのフィルムの形態で存在する。
【0086】
本発明による多層フィルムは、層(A)、(B)および(C)を積層し、次いでベース層(C)に接着層(D)をコーティングすることによって製造することができる。
【0087】
積層は従来の方法により行うことができ、その際、真空蒸着、積層、押出積層(接着積層、溶融積層またはホットメルト積層)によって個々の層が互いに合一される。湿式積層や乾式積層といった接着積層によって積層を行うことが好ましい(接着層(D)に関して上記で挙げた接着剤を使用することができる)。
【0088】
接着層(D)の施与は、例えば積層法においてロール塗布法を用いて行われてもよいし、押出積層法においてダイを用いて行われてもよい。
【0089】
所望であれば、層(A)〜(D)の各々はさらに、1種以上の常用の添加剤を含むことができる。適切な例を以下に列挙する。
【0090】
1. 酸化防止剤
1.1. アルキル化モノフェノール 例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、側鎖が直鎖状または分岐鎖状であるノニルフェノール、例えば、2,6−ジ−ノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノールおよびそれらの混合物。
【0091】
1.2. アルキルチオメチルフェノール 例えば、2,4−ジオクチルチオメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジ−ドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール。
【0092】
1.3. ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン 例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アジペート。
【0093】
1.4. トコフェロール 例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロールおよびそれらの混合物(ビタミンE)。
【0094】
1.5. ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル 例えば、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−s−アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−ジスルフィド。
【0095】
1.6. アルキリデンビスフェノール 例えば、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−t−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−フェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス[3,3−ビス(3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−t−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン。
【0096】
1.7. O−、N−およびS−ベンジル化合物 例えば、3,5,3’,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート。
【0097】
1.8. ヒドロキシベンジル化マロネート 例えば、ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル−2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート。
【0098】
1.9. 芳香族ヒドロキシベンジル化合物 例えば、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール。
【0099】
1.10. トリアジン化合物 例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート。
【0100】
1.11. ベンジルホスホネート 例えば、ジメチル−2,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩。
【0101】
1.12. アシルアミノフェノール 例えば、4−ヒドロキシラウラニリド、4−ヒドロキシステアラニリド、N−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバミン酸オクチル。
【0102】
1.13. β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と以下のものとのエステル 一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、イソオクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
【0103】
1.14. β−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と以下のものとのエステル 一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、イソオクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン;3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン。
【0104】
1.15. β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と以下のものとのエステル 一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
【0105】
1.16. 3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と以下のものとのエステル 一価または多価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン。
【0106】
1.17. β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド 例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、N,N’−ビス[2−(3−[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド(Uniroyalにより供給されるNaugard(登録商標)XL−1)。
【0107】
1.18. アスコルビン酸(ビタミンC)
1.19. アミン系酸化防止剤 例えば、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−t−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えば、p,p’−ジ−t−オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−t−ブチル−4−ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、t−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノアルキル化およびジアルキル化t−ブチル/t−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化t−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノアルキル化およびジアルキル化t−ブチル/t−オクチルフェノチアジンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化t−オクチル−フェノチアジンの混合物、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブト−2−エン。
【0108】
2. 紫外線吸収剤および光安定剤
2.1. 2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール 例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)−カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール];2−[3’−t−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;
【化28】
(ここで、R=3’−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニルである)、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール。
【0109】
2.2. 2−ヒドロキシベンゾフェノン 例えば、4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクチルオキシ、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2’,4’−トリヒドロキシおよび2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体。
【0110】
2.3. 置換および非置換の安息香酸のエステル 例えば、4−t−ブチルフェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2,4−ジ−t−ブチルフェニル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸オクタデシル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル。
【0111】
2.4.アクリレート 例えば、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エチル、α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸イソオクチル、α−カルボメトキシケイ皮酸メチル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシケイ皮酸メチル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシケイ皮酸ブチル、α−カルボメトキシ−p−メトキシケイ皮酸メチル、N−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリン、テトラ(α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸ネオペンチル。
【0112】
2.5. ニッケル化合物 例えば、2,2’−チオ−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、例えば1:1または2:1錯体であって、付加的な配位子、例えば、n−ブチルアミン、トリエタノールアミンまたはN−シクロヘキシルジエタノールアミンを伴うかまたは伴わないもの、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、モノアルキルエステルのニッケル塩、例えば、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスホン酸のメチルエステルまたはエチルエステルのニッケル塩、ケトキシムのニッケル錯体、例えば、2−ヒドロキシ−4−メチルフェニルウンデシルケトキシムのニッケル錯体、1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシピラゾールのニッケル錯体であって、付加的な配位子を伴うかまたは伴わないもの。
【0113】
2.6. オキサミド 例えば、4,4’−ジオクチルオキシオキサリニド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−t−ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−t−ブトキサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エトキサニリド、およびこれと2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−t−ブトキサニリドとの混合物、o−メトキシ−二置換オキサニリドとp−メトキシ−二置換オキサニリドとの混合物、ならびにo−エトキシ−二置換オキサニリドとp−エトキシ−二置換オキサニリドとの混合物。
【0114】
2.7. 2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン 例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(4−[2−エチルヘキシルオキシ]−2−ヒドロキシフェニル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0115】
2.8. キノリン誘導体 例えば、市販のUVINUL(登録商標)Sパック。
【0116】
3. 金属不活性化剤 例えば、N,N’−ジフェニルオキサミド、N−サリチラル−N’−サリチロイル−ヒドラジン、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’−ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)オキサリルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジド。
【0117】
4. ホスファイトおよびホスホナイト 例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリトリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリス(t−ブチルフェニル)ペンタエリトリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12H−ジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−12−メチル−ジベンゾ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト]、2−エチルヘキシル(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト、5−ブチル−5−エチル−2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシ)−1,3,2−ジオキサホスフィラン。
【0118】
以下のホスファイトが特に好ましい。
【0119】
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(Irgafos(登録商標)168)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、
【化29】
【0120】
5. ヒドロキシルアミン 例えば、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクチルヒドロキシルアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N−ジテトラデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミン、N,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘキサデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、N−ヘプタデシル−N−オクタデシルヒドロキシルアミン、水素化牛脂アミンから誘導されたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミン。
【0121】
6. ニトロン 例えば、N−ベンジル−α−フェニルニトロン、N−エチル−α−メチルニトロン、N−オクチル−α−ヘプチルニトロン、N−ラウリル−α−ウンデシルニトロン、N−テトラデシル−α−トリデシルニトロン、N−ヘキサデシル−α−ペンタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−ヘキサデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ペンタデシルニトロン、N−ヘプタデシル−α−ヘプタデシルニトロン、N−オクタデシル−α−ヘキサデシルニトロン、水素化牛脂アミンから誘導されたN,N−ジアルキルヒドロキシルアミンから誘導されたニトロン。
【0122】
7. チオ相乗剤 例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミストリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートまたはジステアリルジスルフィド。
【0123】
8. 過酸化物捕捉剤 例えば、β−チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリルエステル、ステアリルエステル、ミリスチルエステルまたはトリデシルエステル、メルカプトベンゾイミダゾール、または2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジブチルジチオカルバンミン酸亜鉛、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリトリトールテトラキス(β−ドデシルメルカプト)プロピオネート。
【0124】
9. ポリアミド安定剤 例えば、銅塩とヨウ化物との組み合わせ、および/または、リン化合物と二価マンガンの塩との組み合わせ。
【0125】
10. 塩基性補助安定剤 例えば、メラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン、ポリアミド、ポリウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、リシノール酸ナトリウムおよびパルミチン酸カリウム、アンチモンピロカテコレートまたは亜鉛ピロカテコレート。
【0126】
11. 成核剤 例えば、無機物質、例えばタルク、金属酸化物、例えば二酸化チタンまたは酸化マグネシウム、好ましくはアルカリ土類金属のリン酸塩、炭酸塩または硫酸塩;有機化合物、例えばモノカルボン酸またはポリカルボン酸およびその塩、例えば、4−t−ブチル安息香酸、アジピン酸、ジフェニル酢酸、コハク酸ナトリウムまたは安息香酸ナトリウム;ポリマー化合物、例えば、イオン性コポリマー(アイオノマー)。特に好ましいのは、1,3:2,4−ビス(3’,4’−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(パラメチルジベンジリデン)ソルビトール、および1,3:2,4−ジ(ベンジリデン)ソルビトールである。
【0127】
12. フィラーおよび強化剤 例えば、炭酸カルシウム、シリケート、ガラス繊維、ガラスビーズ、アスベスト、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物および水酸化物、カーボンブラック、グラファイト、木粉、または他の天然生成物の粉末および繊維、合成繊維。
【0128】
13. 他の添加剤 例えば、可塑剤、潤滑剤、乳化剤、顔料、レオロジー添加剤、触媒、流動調整剤、難燃剤、帯電防止剤および発泡剤。
【0129】
14. ベンゾフラノンおよびインドリノン 例えば、米国特許第4325863号明細書(U.S. 4,325,863);米国特許第4338244号明細書(U.S. 4,338,244);米国特許第5175312号明細書(U.S. 5,175,312);米国特許第5216052号明細書(U.S. 5,216,052);米国特許第5252643号明細書(U.S. 5,252,643);独国特許出願公開第4316611号公報(DE−A−4316611);独国特許出願公開第4316622号公報(DE−A−4316622);独国特許出願公開第4316876号公報(DE−A−4316876);欧州特許出願公開第0589839号公報(EP−A−0589839)、欧州特許出願公開第0591102号公報(EP−A−0591102);欧州特許出願公開第1291384号公報(EP−A−1291384)に記載されているもの、または3−[4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル]−5,7−ジ−t−ブチルベンゾフラン−2−オン、5,7−ジ−t−ブチル−3−[4−(2−ステアロイルオキシエトキシ)フェニル]ベンゾフラン−2−オン、3,3’−ビス[5,7−ジ−t−ブチル−3−(4−[2−ヒドロキシエトキシ]フェニル)ベンゾフラン−2−オン]、5,7−ジ−t−ブチル−3−(4−エトキシフェニル)ベンゾフラン−2−オン、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチルベンゾフラン−2−オン、3−(3,5−ジメチル−4−ピバロイルオキシフェニル)−5,7−ジ−t−ブチルベンゾフラン−2−オン、3−(3,4−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチルベンゾフラン−2−オン、3−(2,3−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−t−ブチルベンゾフラン−2−オン、3−(2−アセチル−5−イソオクチルフェニル)−5−イソオクチルベンゾフラン−2−オン。
【0130】
一般に、従来の添加剤は、1つの層内に、対応する層の質量を基準として例えば0.001〜20質量%、または0.01〜20質量%、好ましくは0.001〜5質量%、または0.01〜5質量%の量で存在することができる。
【0131】
本発明による多層フィルムは、好ましくは4つの層のみから構成され、その際、保護層(A)が第一の層であり、バリア層(B)が第二の層であり、ベース層(C)が第三の層であり、かつ接着層(D)が第四の層である。
【0132】
本発明による多層フィルムは、好ましくは200%〜1000%の伸び率を示すことを特徴とする。
【0133】
本発明による多層フィルムを、知られている技術によって、金属表面またはプラスチック表面に付着させることができる。この多層フィルムの接着層(D)の面を金属表面またはプラスチック表面に付け、次いでこのフィルムを例えば40〜100℃といった高められた温度に加熱することによって、このフィルムの柔軟性および伸びを向上させることが好ましい。このことは、例えば熱風での加熱により行われることができる。
【0134】
好ましい一実施形態によれば、多層フィルムは、輸送手段、包装、機器、構成部品および電気電子機器の金属表面またはプラスチック表面への施与に、特に自動車のこうした表面への施与に使用される。こうした表面、特に自動車の表面にはラッカー塗装が施されていないことが好ましく、このことは、多層フィルムがラッカーの代わりに使用されることを意味する。防食のために、金属表面は予め電着のような下塗りにより保護されていてもよい。
【0135】
プラスチック表面の例は、エポキシ、ポリアミド、ポリウレタンおよびポリカーボネートである。
【0136】
表面としては、金属、例えばスチールが好ましい。
【0137】
したがって、本発明のより好ましい一実施形態は、自動車の表面に施与するための多層フィルムの使用を対象とし、その際、前記多層フィルムは、
最初の層としての保護層(A)であって、少なくとも1種のヒンダードアミン光安定剤と少なくとも1種のo−ヒドロキシトリス−アリールトリアジンUV吸収剤とを含むポリ(アルキルメタクリレート)フィルムである前記保護層(A)、
バリア層(B)、
ベース層(C)、
最後の層としての接着層(D)
を含み、かつ
バリア層(B)および/またはベース層(C)は少なくとも1種の顔料を含む。
【0138】
層(A)〜(D)およびフィルムに関しては、前出の意味および選好物が該当するものとする。
【0139】
本実施形態に関しては、好ましくは、保護層(A)は、o−ヒドロキシトリス−アリールトリアジンUV吸収剤として式(7)および(8)の少なくとも1種の化合物を含み、好ましくは、式(7)および(8)の化合物から選択される2種の異なるo−ヒドロキシトリス−アリールトリアジンUV吸収剤を含み、より好ましくは、式(7)の少なくとも1種のo−ヒドロキシトリス−アリールトリアジンUV吸収剤と式(8)の少なくとも1種のo−ヒドロキシトリス−アリールトリアジンUV吸収剤とを含む。
【0140】
また、自動車の表面にはラッカー塗装が施されていないことが好ましく、このことは、多層フィルムがラッカーの代わりに使用されることを意味する。
【0141】
本発明による多層フィルムは、高い耐候性、高い耐熱性、高い光安定性、高い耐薬品性、高い耐溶剤性、高い耐水性および高い耐摩耗性を示す。さらに、本フィルムは良好な可とう性を示し、かつ本フィルムの他の所望の特性を損なうことなく本フィルムを顔料着色することが可能である。適切に処理された場合、本多層フィルムをブリスターなしに施与することができる。熱風で加熱を行うことによって、成形を支援することができる。冷却後、本フィルムの形状は、極めて高度に半球形状に盛り上がった部分や凹状の部分や凸状の縁部においても保持される。
【0142】
本フィルムを用いることによって、本フィルムを用いなければ自動車工場における高コストのラッカー塗装処理において必要とされるであろう投資を、省くことができる。また、有色塗装、クリアー塗装および各乾燥ステップといった後処理をなくすことができる。
【0143】
さらに、本多層フィルムを炭素繊維強化プラスチックに施与することもできる。通常は、ガラス転移温度が高いことからエポキシ等の熱硬化性樹脂が使用される。ガラス転移温度が高い樹脂は、塗装ステップの乾燥ステップ時に熱変形を生じえない。しかし、本多層フィルムは乾燥ステップを必要としない。このことは、炭素繊維強化プラスチックのメーカーが炭素繊維強化プラスチックに熱可塑性樹脂を使用できることを意味する。このことによって、炭素繊維強化プラスチックのメーカーには、より高い自由度がもたらされる。すなわち、例えばABS、ポリプロピレン、ポリウレタン等の汎用プラスチック、例えばポリアミド、ポリエステル等のエンジニアリングプラスチック、そしてPPS(ポリフェニレンサルファイド)等のスーパーエンジニアリングプラスチックのように、ガラス転移温度が比較的低い樹脂(例えばT
g=80〜350℃)を用いることによる射出成形や反応射出成形を採用するといった高い自由度がもたらされる。
【0144】
さらに、本多層フィルムを、例えばガラス繊維やナノカーボン等といった他のフィラーで強化されたプラスチックにも適用することができる。
【0145】
本多層フィルムは、自動車車体の個々の部品にのみ使用することもでき、例えば車のウィングにのみ使用することもできる。原則的には、1つの多層フィルムによって自動車車体全体を覆うことも可能であるし、複数の多層フィルムを使用してこれらの多層フィルムの各々が自動車車体の異なる部分を覆うことも可能である。
【0146】
本多層フィルムによって、自動車部品に施与されるべきプラスチックにより高い実現可能性をもたらすことができる。その結果、本フィルムによって自動車車体の軽量化が可能となり、さらにはエネルギー消費量が低下するとともに設計自由度がより高まる。