(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被測定物と接触する接触部を有するスタイラスと、該接触部の移動を検出可能な検出素子と、該検出素子の出力を処理してデジタルタッチ信号を出力する信号処理回路の少なくとも一部と、を備える測定プローブを有するプローブユニットにおいて、
前記信号処理回路は、前記検出素子の出力を処理して前記接触部の互いに直交する3方向それぞれへの変位成分を合成した合成信号を出力する信号合成部と、該合成信号が所定の閾値条件を満足した際に、前記デジタルタッチ信号を当該プローブユニットの外部に出力する信号出力部と、を備え、
該信号出力部は、前記所定の閾値条件の少なくとも一部と前記合成信号とを比較する複数の比較部を備え、
前記信号出力部は、前記被測定物の測定をする際には、該複数の比較部のうちの2つ以上の比較部の出力に応じた前記デジタルタッチ信号を出力する
ことを特徴とするプローブユニット。
被測定物と接触する接触部を有するスタイラスと、該接触部の移動を検出可能な検出素子と、該検出素子の出力を処理してデジタルタッチ信号を出力する信号処理回路と、を備える測定プローブと、
該測定プローブを移動可能に支持し、該信号処理回路の出力から前記被測定物の形状を求める本体装置と、
を備える測定システムであって、
前記信号処理回路は、前記検出素子の出力を処理して前記接触部の互いに直交する3方向それぞれへの変位成分を合成した合成信号を出力する信号合成部と、該合成信号が所定の閾値条件を満足した際に、前記デジタルタッチ信号を前記本体装置に出力する信号出力部と、を備え、
該信号出力部は、前記所定の閾値条件と前記合成信号とを比較する複数の比較部を備え、
前記信号出力部は、前記被測定物の測定をする際には、該複数の比較部のうちの2つ以上の比較部の出力に応じた前記デジタルタッチ信号を出力し、
前記本体装置は、前記デジタルタッチ信号を受信し、該2つ以上の比較部の出力が前記所定の閾値条件を満たしていることで、前記被測定物の形状を求める
ことを特徴とする測定システム。
被測定物と接触する接触部を有するスタイラスと、該接触部の移動を検出可能な検出素子と、該検出素子の出力を処理してデジタルタッチ信号を出力する信号処理回路と、を備える測定プローブと、
該測定プローブを移動可能に支持し、該信号処理回路の出力から前記被測定物の形状を求める本体装置と、
を備える測定システムであって、
前記信号処理回路は、前記検出素子の出力を処理して前記接触部の互いに直交する3方向それぞれへの変位成分を合成した合成信号を出力する信号合成部と、該合成信号が所定の閾値条件の一部を満足した際に、前記デジタルタッチ信号を前記本体装置に出力する信号出力部と、を備え、
該信号出力部は、前記所定の閾値条件の一部と前記合成信号とを比較する複数の比較部を備え、
前記信号出力部は、前記被測定物の測定をする際には、該複数の比較部のうちの2つ以上の比較部の出力に応じた前記デジタルタッチ信号を出力し、
前記所定の閾値条件は、信号のレベルと該レベルの持続時間とを有し、
前記比較部における前記所定の閾値条件の一部は該信号のレベルとされ、かつ前記レベルの持続時間は全て同一とされ、
前記本体装置は、前記デジタルタッチ信号を受信した際、該デジタルタッチ信号に前記所定の閾値条件のうちの前記レベルの持続時間を適用し、該2つ以上の比較部の出力が前記所定の閾値条件を満たしていることで、前記被測定物の形状を求める
ことを特徴とする測定システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の測定プローブでは、1つの閾値で判定された結果がデジタルタッチ信号となっている。このため、特許文献1の測定プローブでは、予備的な測定結果から、その閾値を定めるものの、その閾値が低すぎて、接触部が被測定物に接触していないにも拘らず、デジタルタッチ信号が出力されたり、逆に、その閾値が高すぎて、接触部が被測定物に接触していても、デジタルタッチ信号が出力されなかったり、といった測定結果が生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、前記の問題点を解決するべくなされたもので、高い耐ノイズ性を保ちながら、安定して高精度な測定が可能なプローブユニット及び測定システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明は、被測定物と接触する接触部を有するスタイラスと、該接触部の移動を検出可能な検出素子と、該検出素子の出力を処理してデジタルタッチ信号を出力する信号処理回路の少なくとも一部と、を備える測定プローブを有するプローブユニットにおいて、前記信号処理回路が、前記検出素子の出力を処理して前記接触部の互いに直交する3方向それぞれへの変位成分を合成した合成信号を出力する信号合成部と、該合成信号が所定の閾値条件を満足した際に、前記デジタルタッチ信号を当該プローブユニットの外部に出力する信号出力部と、を備え、該信号出力部が、前記所定の閾値条件の少なくとも一部と前記合成信号とを比較する複数の比較部を備え、前記信号出力部が、前記被測定物の測定をする際には、該複数の比較部のうちの2つ以上の比較部の出力に応じた前記デジタルタッチ信号を出力したことにより、前記課題を解決したものである。
【0007】
本願の請求項2に係る発明は、更に、前記信号出力部に、前記比較部に初期設定された前記所定の閾値条件を書き換え可能な他の閾値条件を複数記憶する条件記憶部を備えるようにしたものである。
【0008】
本願の請求項3に係る発明は、前記デジタルタッチ信号を、パラレルデジタルデータとして出力するようにしたものである。
【0009】
本願の請求項4に係る発明は、前記デジタルタッチ信号を、シリアルデジタルデータとして出力するようにしたものである。
【0010】
本願の請求項5に係る発明は、前記所定の閾値条件が、信号のレベルと該レベルの持続時間とを有するようにしたものである。
【0011】
本願の請求項6に係る発明は、更に、前記所定の閾値条件のうちの、前記信号のレベルが前記2つ以上の比較部にそれぞれ設定され、前記レベルの持続時間が該2つ以上の比較部に同一で設定され、前記信号出力部が、前記測定プローブに接続され、該2つ以上の比較部の出力の連続する時間が前記所定の閾値条件のうちの前記レベルの持続時間を超えたか否かをそれぞれで判定し、該2つ以上の比較部の出力の連続する時間が該レベルの持続時間を超えている際には、前記デジタルタッチ信号を出力するプローブインターフェース部を備えるようにしたものである。
【0012】
本願の請求項7に係る発明は、前記信号出力部が、前記被測定物の測定をする際には、前記信号のレベルが異なり、かつ該信号のレベルの高いほうの持続時間が該信号のレベルの低いほうの持続時間以上とされる2つの前記所定の閾値条件を用いて前記デジタルタッチ信号を出力するようにしたものである。
【0013】
本願の請求項8に係る発明は、前記信号出力部が、前記被測定物の測定をする際には、前記信号のレベルが同一で、かつ該レベルの持続時間が異なる2つの前記所定の閾値条件を用いて前記デジタルタッチ信号を出力するようにしたものである。
【0014】
本願の請求項9に係る発明は、前記信号出力部が、前記測定プローブが前記被測定物を測定せずに単に移動する際には、前記被測定物の測定をする際に使用する前記信号のレベルよりも大きな前記所定の閾値条件を用いて前記デジタルタッチ信号を出力するようにしたものである。
【0015】
本願の請求項10に係る発明は、被測定物と接触する接触部を有するスタイラスと、該接触部の移動を検出可能な検出素子と、該検出素子の出力を処理してデジタルタッチ信号を出力する信号処理回路と、を備える測定プローブと、該測定プローブを移動可能に支持し、該信号処理回路の出力から前記被測定物の形状を求める本体装置と、を備える測定システムであって、前記信号処理回路が、前記検出素子の出力を処理して前記接触部の互いに直交する3方向それぞれへの変位成分を合成した合成信号を出力する信号合成部と、該合成信号が所定の閾値条件を満足した際に、前記デジタルタッチ信号を前記本体装置に出力する信号出力部と、を備え、該信号出力部が、前記所定の閾値条件と前記合成信号とを比較する複数の比較部を備え、前記信号出力部が、前記被測定物の測定をする際には、該複数の比較部のうちの2つ以上の比較部の出力に応じた前記デジタルタッチ信号を出力し、前記本体装置が、前記デジタルタッチ信号を受信し、該2つ以上の比較部の出力が前記所定の閾値条件を満たしていることで、前記被測定物の形状を求めることにより、前記課題を解決したものである。
【0016】
本願の請求項11に係る発明は、被測定物と接触する接触部を有するスタイラスと、該接触部の移動を検出可能な検出素子と、該検出素子の出力を処理してデジタルタッチ信号を出力する信号処理回路と、を備える測定プローブと、該測定プローブを移動可能に支持し、該信号処理回路の出力から前記被測定物の形状を求める本体装置と、を備える測定システムであって、前記信号処理回路が、前記検出素子の出力を処理して前記接触部の互いに直交する3方向それぞれへの変位成分を合成した合成信号を出力する信号合成部と、該合成信号が所定の閾値条件の一部を満足した際に、前記デジタルタッチ信号を前記本体装置に出力する信号出力部と、を備え、該信号出力部が、前記所定の閾値条件の一部と前記合成信号とを比較する複数の比較部を備え、前記信号出力部が、前記被測定物の測定をする際には、該複数の比較部のうちの2つ以上の比較部の出力に応じた前記デジタルタッチ信号を出力し、前記所定の閾値条件が、信号のレベルと該レベルの持続時間とを有し、前記比較部における前記所定の閾値条件の一部が該信号のレベルとされ、かつ前記レベルの持続時間が全て同一とされ、前記本体装置が、前記デジタルタッチ信号を受信した際、該デジタルタッチ信号に前記所定の閾値条件のうちの前記レベルの持続時間を適用し、該2つ以上の比較部の出力が前記所定の閾値条件を満たしていることで、前記被測定物の形状を求めることにより、前記課題を解決したものである。
【0017】
本願の請求項12に係る発明は、前記所定の閾値条件が、前記本体装置から出力される書き換え信号により他の閾値条件に書き換えられるようにしたものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高い耐ノイズ性を保ちながら、安定して高精度な測定が可能な測定プローブおよび測定システムを実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0021】
本発明の測定システムに係る第1実施形態について
図1〜
図6を参照して説明する。
【0022】
最初に、測定システム100の全体構成を説明する。
【0023】
測定システム100は、
図1に示す如く、測定プローブ300を移動させる三次元測定機200と、手動操作するジョイスティック111を有する操作部110と、三次元測定機200の動作を制御するモーションコントローラ700と、を備える。また、測定システム100は、モーションコントローラ700を介して三次元測定機200を動作させるとともに三次元測定機200によって取得した測定データを処理して被測定物Wの寸法や形状などを求めるホストコンピュータ800と、測定条件等を入力する入力手段120と、測定結果等を出力する出力手段130と、を備える。
【0024】
ここで、三次元測定機200は、
図1に示す如く、測定プローブ300と、定盤210と、定盤210に立設されて測定プローブ300を三次元的に移動させる駆動機構220と、駆動機構220の駆動量を検出する駆動センサ(図示せず)と、を備えている。なお、測定システム100のうちで、測定プローブ300を除く部分を本体装置101とも称する。
【0025】
次に、測定プローブ300の概略構成を説明する。
【0026】
測定プローブ300は、
図2に示す如く、被測定物Wと接触する接触部362を有するスタイラス336と、スタイラス336を軸心O上に支持可能なプローブハウジング306と、接触部362の軸心O上からの移動及び軸心O上での移動を検出可能な検出素子325と、検出素子325の出力を処理してデジタルタッチ信号CPを出力する信号処理回路320と、を備えている(つまり、測定プローブ300は、タッチ信号プローブとされている)。なお、スタイラス336は、スタイラスモジュール304に含まれ、プローブハウジング306と検出素子325とはプローブ本体302に含まれている。プローブ本体302は、駆動機構220のスピンドル224に支持されている。そして、スタイラスモジュール304はキネマティックジョイント(後述)で、高い位置再現性で脱着可能にプローブ本体302に連結されている。
【0027】
以下、測定プローブ300について詳細に説明する。なお、以下の説明のために、
図2の紙面左右方向にX方向をとり、紙面垂直方向にY方向をとり、紙面上下方向にZ方向をとる。このため、測定プローブ300の軸心Oの方向(軸方向O)は、Z方向と同一となる。なお、本実施形態では、測定プローブ300とプローブユニット301とが同一とされている。
【0028】
前記プローブ本体302は、
図2に示す如く、プローブハウジング306と、信号処理回路320と、支持部材322、324と、検出素子325と、連結シャフト326と、フランジ部材328と、永久磁石330と、球332と、を備える。
【0029】
プローブハウジング306は、
図2に示す如く、取り付け部308と、回路配置部310と、固定部材314と、下部部材316と、本体カバー318と、を備える。
【0030】
取り付け部308は、
図2に示す如く、測定プローブ300の上端部においてスピンドル224に取り付けられる部位であり、例えばスピンドル224に設けられた嵌合部に挿入される頭部が設けられている(なお、取り付け部とは別に電気的な接続を行うためのケーブルとコネクタを用いてもよい)。また、取り付け部308は、モーションコントローラ700と電気的接続が可能な一方の接続端子ともされている。回路配置部310は、取り付け部308の下端に配置されている。回路配置部310は、円盤形状の上端部310Aと下端に設けられた円盤形状の下フランジ312を除いて、軸心Oに直交する断面が略三角形形状とされている。その略三角形形状とされた外周に、信号処理回路320が配置されている。回路配置部310は、支持部材322、324の上側に配置されている。
【0031】
下フランジ312の下端周辺部312Bには、
図2に示す如く、支持部材322を挟んで、固定部材314が固定されている。固定部材314は、軸心O上に開口部314Aが設けられた円筒形状とされている。固定部材314の下端内面には、4つの凹部314Cが4回対称で設けられている。そして、固定部材314の下端周辺部には、支持部材324を挟んで、下部部材316が固定されている。下部部材316は、円環形状とされている。本体カバー318は、円筒形状であり、回路配置部310、下フランジ312、固定部材314、下部部材316の外周に、信号処理回路320を全て覆うように配置されている。本体カバー318は、ボルトで、固定部材314に固定されている。
【0032】
信号処理回路320は、
図3に示す如く、検出素子325の出力を処理して接触部362に被測定物Wが接触したことを通知するデジタルタッチ信号(接触感知信号)CPを出力する回路である。簡単に説明すると、信号処理回路320は、4つの検出素子325の出力からXYZの3方向への撓み量を求め、その3方向への撓み量を合成して、接触部362が一定の変位以上となった際に、デジタルタッチ信号CPを出力する構成となっている(具体的な構成は後述する)。
【0033】
支持部材322、324は、
図2に示す如く、プローブハウジング306の軸方向Oに配置されスタイラス336の姿勢変化を許容する弾性変形可能な部材であり、材質としてはSUS系など(他の材料でもよい)である。具体的に、支持部材324は、
図3に示す如く、周方向(軸心Oの周りで)で互いに角度が90度ずれた位置に全部で4つの変形可能な腕部324Bを備える回転対称形状であり、この4つの腕部324Bは同一平面上に成形されている。支持部材322、324は、同一の厚みの同様の構造で、互いに腕部324Bの幅が異なるだけである(これに限らず、互いに異なる腕部324Bの厚み、長さ、形状とされていてもよいし、支持部材322、324全体が互いに異なる形状とされていてもよい)。このため、以下では検出素子325の配置される支持部材324の説明を行い、支持部材322についての重複する説明は省略する。なお、支持部材の構造は、本実施形態で示す形状に限定されるものではない。
【0034】
支持部材324は、
図3に示す如く、略円板形状の部材であり、矩形状の腕部324Bに加え、連結シャフト326に接続される中心部324Aと、中心部324Aと腕部324Bで連結されプローブハウジング306に接続される周辺部324Cと、を備える。周辺部324Cは、支持部材324の最外周にあり、腕部324Bは径方向に直線的に延在して、周辺部324Cの内側に配置されている。中心部324Aは、腕部324Bのさらに内側に配置されている。支持部材324は、プローブハウジング306に対する連結シャフト326の変位により、中心部324Aが上下左右に移動し、腕部324Bが弾性変形する構造となっている。
【0035】
検出素子325は、例えば貼付けタイプの歪みゲージであり、
図3に示す如く、検出素子325の配置される支持部材324の歪み量を検出する。検出素子325は、支持部材324の腕部324Bそれぞれに配置されて、例えば接着剤で固定されている。
【0036】
連結シャフト326は、
図2、
図3に示す如く、略円柱形状とされ、2つの支持部材322、324を連結している。連結シャフト326は、下フランジ312、固定部材314、及び下部部材316とは、2つの支持部材322、324により、軸心O上に非接触に保持されている。連結シャフト326はフランジ部材328を一体的に支持している。
【0037】
フランジ部材328は、
図2に示す如く、略円盤形状であり、下部部材316と軸方向Oで非接触に対峙し、かつ本体カバー318と径方向で非接触に対峙している。そして、フランジ部材328は、スタイラスモジュール304を支持している。ここで、下部部材316とフランジ部材328との間の少なくとも一部の隙間にグリースオイルなどの粘性材料が充填されている。これにより、少なくとも粘性材料が下部部材316に対するフランジ部材328の変位をダンピングし、測定プローブ300の移動に伴って生じるXY方向及びZ方向への不要な振動の発生を低減でき、測定プローブ300の高感度化に伴うノイズの増大を防止することが可能となる。フランジ部材328の下面の軸心O上には永久磁石330が固定され、それを取り囲むようにフランジ部材328の下端外周には、周方向で120度毎に3つの球332が回転対称に配置されている。
【0038】
前記スタイラスモジュール304は、
図2に示す如く、オーバートラベル機構334と、オーバートラベル機構334に支持されるスタイラス336と、を備える。
【0039】
オーバートラベル機構334は、
図2に示す如く、デジタルタッチ信号CPを出力する際の測定力Fよりも大きな力が加わった場合にスタイラス336の位置を変化させ、大きな力が消失した際には自動的にスタイラス336の位置を復元する機構である。つまり、オーバートラベル機構334は、スタイラス336に大きな力が加わった際には、スタイラスモジュール304がプローブ本体302から外れる前にスタイラス336の位置を変化させるように機能する。具体的に、オーバートラベル機構334は、フランジ部338と、延在部344と、スタイラスホルダ346と、コイルばね350と、備える。
【0040】
フランジ部338は、
図2に示す如く、フランジ部材328に対応する部材である。即ち、球332に接触するように、V溝340がフランジ部338の周方向で120度毎に3つ配置されている。そして、フランジ部338には、永久磁石330に対向して、永久磁石330と引き合う磁性部材(永久磁石でもよい)342が配置されている。
【0041】
ここで、V溝340は、
図2に示す如く、対応する球332の表面それぞれに接触する。このため、永久磁石330と磁性部材342とが所定の磁力で引き合った状態では、フランジ部材328にフランジ部338が6点着座(接触)された状態となる。つまり、高い位置決め精度を実現しながら、フランジ部材328とフランジ部338とを連結することができる。即ち、フランジ部338とフランジ部材328とは、脱着可能な連結機構であるキネマティックジョイントを構成している状態である。このキネマティックジョイントにより、プローブ本体302とスタイラスモジュール304とが脱着を繰り返しても、高い位置決め再現性を実現することが可能である。
【0042】
延在部344は、
図2に示す如く、フランジ部338の外周に一体とされ、その内側に軸方向Oに伸縮可能なコイルばね350を収納している。スタイラスホルダ346は、延在部344の軸方向O端部に設けられ、ボルトで延在部344と接続されている。そして、スタイラスホルダ346は、コイルばね350で押圧されるスタイラス336のフランジ部356を、そのコイルばね側上面で、移動可能に支持している。スタイラスホルダ346のコイルばね側上面には、球348が周方向で120度毎に3つ配置されている。そして、フランジ部356の下面には、球348に対応して、周方向で120度毎にV溝358が3つ設けられている。なお、V溝358の軸方向は、軸心Oに向かう略径方向と同一とされている。即ち、スタイラスホルダ346とフランジ部356とは、上述したキネマティックジョイントを構成している状態と言える。
【0043】
このため、コイルばね350によりフランジ部356が所定のばね力で押圧された状態では、スタイラスホルダ346にフランジ部356が6点着座(接触)された状態となり、一定の位置に位置決めされる。つまり、オーバートラベル機構334によって、コイルばね350の押圧力を超えない測定力Fの範囲では、フランジ部338に対するスタイラス336の再現性の高い位置決めを実現することができる。そして、スタイラス336にコイルばね350で与えられる所定のばね力よりも大きな力が加わったときには、スタイラスホルダ346からフランジ部356が脱落して、プローブ本体302からのスタイラスモジュール304の脱落を防止することが可能である。
【0044】
スタイラス336は、
図2に示す如く、前述したようにスタイラスホルダ346に支持されるフランジ部356と、フランジ部356から軸方向Oに延在するロッド部360と、ロッド部360の先端に設けられた接触部362と、を有する。
【0045】
ロッド部360は、
図2に示す如く、その基端がフランジ部356に取り付けられている。ロッド部360の先端には、被測定物Wに接触する球形の接触部362が設けられている(即ち、スタイラス336は被測定物Wと接触する接触部362を有する)。なお、スタイラス336にXY方向への変位がない状態においてスタイラス336の中心軸の方向がZ方向(軸方向O)となる。
【0046】
次に、信号処理回路320と本体装置101の一部について、主に
図3〜
図6を用いて説明する。
【0047】
信号処理回路320は、
図3に示す如く、信号合成部364と、信号出力部366と、を備える。
【0048】
信号合成部364は、
図3に示す如く、検出素子325の出力を処理して接触部362の互いに直交するXYZの3方向それぞれへの変位成分を合成した合成信号Scを出力する。
【0049】
信号出力部366は、
図3に示す如く、合成信号Scが所定の閾値条件を満足した際に、デジタルタッチ信号CPを測定プローブ300の外部、即ち本体装置101に出力する。具体的に、信号出力部366は、
図3に示す如く、所定の閾値条件を5つ(複数であればよい)記憶する条件記憶部368と、所定の閾値条件と合成信号Scとを比較する3つ(複数であればよい)の比較部370(第1比較部370A、第2比較部370B、第3比較部370C)と、を備える。そして、信号出力部366は、被測定物Wの測定をする際には、3つの比較部370のうちの2つ(以上でもよい)の比較部370A、370Bの出力に応じたデジタルタッチ信号CPを出力する。本実施形態では、デジタルタッチ信号CPは、被測定物Wの測定をする際には、第1比較部370A、第2比較部370Bの出力CP1、CP2となる。また、デジタルタッチ信号CPは、被測定物Wを測定せずに単に移動する際には、第3比較部370Cの出力CP3となる。つまり、デジタルタッチ信号CPは、第1比較部370A、第2比較部370B、および第3比較部370Cの出力がパラレルデジタルデータとして出力される。第1比較部370A、第2比較部370B、第3比較部370Cそれぞれにはいずれかの閾値条件が初期設定されている。デジタルタッチ信号CPは、取り付け部308を介して、有線手段で本体装置101に伝達されてもよいし、無線手段で本体装置101に伝達されてもよい。
【0050】
条件記憶部368は、比較部370に初期設定された閾値条件(所定の閾値条件)を書き換え可能な他の閾値条件を、複数記憶している。例えば、条件記憶部368は、被測定物Wの測定をする際には、4つの信号のレベルSL1、SL2、SL3、SL4と3つのレベルの持続時間0、T0(≠0)、T1(≠0、≠T0)との組合せとなる最大12個の閾値条件(所定の閾値条件である比較部370に初期設定された閾値条件と他の閾値条件との合計)を記憶している。また、条件記憶部368は、例えば、被測定物Wの測定をせずに単に移動する際には、1つの信号のレベルSL5と3つのレベルの持続時間0、T0(≠0)、T1(≠0、≠T0)との組合せとなる最大3個の閾値条件(所定の閾値条件である比較部370に初期設定された閾値条件と他の閾値条件との合計)を記憶している(これに限らず、条件記憶部368に閾値条件が複数記憶されていればよい)。つまり、所定の閾値条件は、信号のレベルとそのレベルの持続時間とを有するようになっている。また、3つの第1比較部370A、第2比較部370B、第3比較部370Cに設定する閾値は、
図3に示す如く、本体装置101の書き換え信号SSにより選択される構成となっている。つまり、所定の閾値条件は、本体装置101から出力される書き換え信号SSにより他の閾値条件に書き換えられる構成となっている。なお、条件記憶部368は本体装置101からその閾値条件を書き換えることも可能とされている。
【0051】
比較部370それぞれは、信号合成部364の出力である合成信号Scと条件記憶部368で設定される閾値条件とを比較して、合成信号Scが閾値条件を満足する場合は、Hレベル(=1)を出力し、それ以外ではLレベル(=0)を出力する。即ち、デジタルタッチ信号CPは、合成信号Scが閾値条件を満足する場合は、連続してHレベルとなっている(これに限らず、閾値条件以上となった際に、パルス的なデジタルタッチ信号CPが継続して出力されてもよい)。なお、比較部370は、ハードウェアで3つ設けられていてもよいが、全ての比較部370が1つのFPGAの中でソフトウェアで構成されていてもよい。
【0052】
本体装置101は、
図3に示す如く、測定システム100のうちの測定プローブ300を除く構成全体を示す。即ち、本体装置101は、測定プローブ300を移動可能に支持し、信号処理回路320の出力から被測定物Wの形状を求める構成となっている。なお、
図3では、本体装置101は、デジタルタッチ信号CPに関わる部分のみを示している。
【0053】
本体装置101は、
図3に示す如く、本体処理部102を備える。本体処理部102は、
図1に示すモーションコントローラ700とホストコンピュータ800の機能である。本体処理部102は、デジタルタッチ信号CPを受信し、第1比較部370Aと第2比較部370Bの出力が互いに異なる閾値条件を満たしていることで、被測定物Wの形状を求める。即ち、
図4、
図5で示すデジタルタッチ信号CP1、CP2が共に、Hレベルである場合には、デジタルタッチ信号CP1の開始時間が被測定物Wに接触した時間として、その形状を求めることを本体処理部102は行うことができる。
【0054】
次に、被測定物Wの測定をする際の比較部370の動作について、
図4(A)、(B)、(C)を用いて説明する。
図4(A)で縦軸は信号のレベルSL、横軸は経過時間tを示している(
図5(A)、
図6(A)も同様)。例えば、比較部370に
図4(A)に示す合成信号Scが入力され、第1比較部370Aに閾値条件(信号のレベルSL1、レベルの持続時間0)、第2比較部370Bに閾値条件(信号のレベルSL2、レベルの持続時間0)を設定しているとする。すると、第1比較部370Aからは
図4(C)に示すデジタルタッチ信号CP1が出力される。そして、第2比較部370Bからは
図4(B)に示すデジタルタッチ信号CP2が出力される。なお、本実施形態では、第3比較部370Cは、測定プローブ300が被測定物Wを測定せずに単に移動する際に用いている。即ち、この場合には、信号出力部366は、被測定物Wの測定をする際には、信号のレベルSL1、SL2が異なり、かつそれらのレベルの持続時間が同一の2つの閾値条件(例えば、レベルの持続時間が0)を用いてデジタルタッチ信号CP1、CP2を出力している(このような場合は、実際には信号のレベルSL2が信号のレベルSL1よりもはるかに大きい(例えば、数倍)ときとなる。信号のレベルSL2が信号のレベルSL1とそれほど変わらない(2倍以下)であれば、信号のレベルSL2の持続時間は0以上であることが望ましい。つまり、信号出力部366は、被測定物Wの測定をする際には、信号のレベルSL1、SL2が異なり、かつそれらの信号のレベルの高いほうSL2の持続時間が信号のレベルの低いほうSL1の持続時間以上とされる2つの所定の閾値条件を用いてデジタルタッチ信号CPを出力する)。
【0055】
あるいは、比較部370に
図5(A)に示す合成信号Scが入力され、第1比較部370Aに閾値条件(信号のレベルSL1、レベルの持続時間0)、第2比較部370Bに閾値条件(信号のレベルSL1、レベルの持続時間T0)を設定しているとする。すると、第1比較部370Aからは
図5(C)に示すデジタルタッチ信号CP1が出力される。そして、第2比較部370Bからは
図5(B)に示すデジタルタッチ信号CP2が出力される。デジタルタッチ信号CP2は、信号のレベルSL1を合成信号Scが超えて、レベルの持続時間T0以上続いたことによって出力されている。なお、本実施形態でも、第3比較部370Cは、測定プローブ300が被測定物Wを測定せずに単に移動する際に用いている。即ち、この場合には、信号出力部366は、被測定物Wの測定をする際には、信号のレベルSL1が同一で、かつレベルの持続時間0、T0が異なる2つの閾値条件を用いてデジタルタッチ信号CP1、CP2を出力している。
【0056】
なお、測定プローブ300が被測定物Wを測定せずに単に移動する際には、信号出力部366は、被測定物Wを測定する際に使用する信号のレベルよりも大きな閾値条件を用いてデジタルタッチ信号を出力するようにされている。例えば、比較部370に、測定プローブ300が被測定物Wを測定せずに単に移動する際に、
図6(A)に示す合成信号Scが入力され、第3比較部370Cに閾値条件(信号のレベルSL5、レベルの持続時間0)を設定しているとする。すると、第3比較部370Cからは
図6(B)に示すデジタルタッチ信号CP3が出力されることとなる。この場合には、本体処理部102は、被測定物Wの形状を求めるのではなく、測定プローブ300の移動を中止させる指令を駆動機構220に向けて出力することとなる。
【0057】
このように、本実施形態では、信号処理回路320は、信号合成部364と、合成信号Scが閾値条件を満足した際に、デジタルタッチ信号CPを本体装置101に出力する信号出力部366と、を備えている。そして、信号出力部366は、閾値条件と合成信号Scとを比較する3つの比較部370と、を備えている。そして、信号出力部366は、被測定物Wの測定をする際には、第1比較部370Aと第2比較部370Bの出力に応じたデジタルタッチ信号CPを出力するようになっている。即ち、信号出力部366からは、閾値条件の異なるデジタルタッチ信号CPが出力されることとなる。ここで、測定プローブ300から出力されるのがデジタルタッチ信号CPであるから、高い耐ノイズ性を備えている。そして、閾値条件が異なるデジタルタッチ信号でデジタルタッチ信号CPが構成されるので、一方のデジタルタッチ信号CPの正確さを、もう一方のデジタルタッチ信号CPで検証することができる。例えば、高感度の閾値条件で得られたデジタルタッチ信号CP1が、本当に被測定物Wに接触したことで得られたかどうかを、低感度の閾値条件で得られたデジタルタッチ信号CP2の有無から、判定をすることができる。また、互いのデジタルタッチ信号CPの出現頻度などで、測定精度や測定安定度やばらつきなども推定することができる。
【0058】
また、本実施形態では、信号出力部366は、比較部370に初期設定された閾値条件を書き換え可能な他の閾値条件を複数記憶する条件記憶部368を備える。このため、本体装置101から出力される書き換え信号SSにより他の閾値条件に書き換える際には、書き換え信号SSを条件記憶部368に記憶された他の閾値条件に単に選択するだけの単純な信号とすることができる。つまり、書き換え信号SSをより単純にでき、閾値条件を外部から直接書き換えるよりも、安全かつ確実に閾値条件の設定をすることができる。さらに、書き換え信号SSにより、測定プローブ300をいちいち取り外すことなく、最適な閾値条件を、測定プローブ300を動作させながら、選択することができる。なお、これに限らず、閾値条件は、測定プローブを取り外して、選択するようにしてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、デジタルタッチ信号CPは、パラレルデジタルデータとして出力される。このため、デジタルタッチ信号CPを出力する回路はシリアルデータで出力するよりも回路構成を簡素にできるので、測定プローブ300の軽量化・低コスト化・安定動作を確保することが容易である。同時に、デジタルタッチ信号CPは、パラレルデジタルデータであるので、測定プローブ300の測定に対する応答速度をシリアルデジタルデータの場合と比べて、速めることが可能である。
【0060】
また、本実施形態では、閾値条件は、信号のレベルとそのレベルの持続時間とを有する。このため、単に信号のレベルだけで、閾値条件を選択するよりも、時間の要素を取り入れることができるので、より多面的にデジタルタッチ信号CPの正確さを確保することができる。なお、これに限らず、信号のレベルだけ、あるいはそのレベルの持続時間だけで、閾値条件を構成してもよい。
【0061】
また、本実施形態では、信号出力部366が、被測定物Wの測定をする際には、信号のレベルが異なり、かつ信号のレベルの高いほうの持続時間が信号のレベルの低いほうの持続時間以上とされる2つの閾値条件を用いてデジタルタッチ信号CPを出力することができる。このため、信号のレベルの違いが測定精度等を低下させる主要因である場合には、より適切に、閾値条件を定めることが可能である。
【0062】
また、本実施形態では、信号出力部366が、被測定物Wの測定をする際には、信号のレベルが同一で、かつそれらのレベルの持続時間が異なる2つの閾値条件を用いてデジタルタッチ信号CPを出力することができる。このため、持続時間の違いが測定精度等を低下させる主要因である場合には、より適切に、閾値条件を定めることが可能である。
【0063】
また、本実施形態では、信号出力部366は、測定プローブ300が被測定物Wを測定せずに単に移動する際には、被測定物Wを測定する際に使用する信号のレベルよりも大きな閾値条件(の信号のレベルSL5)を用いてデジタルタッチ信号CPを出力する。このように、被測定物Wを測定する際に使用する信号のレベルよりも大きな閾値条件を用いていることで、測定プローブ300の測定をしない移動時には、不慮の衝突といった場合のみにデジタルタッチ信号CPが出力されるので、測定プローブ300の迅速な移動を実現でき、かつ測定プローブ300が衝突した際だけ、確実に検出することができる。なお、本実施形態では、このときの信号のレベルの持続時間を複数設定することが可能となっており、単なる移動中に、外乱振動によってデジタルタッチ信号CPが誤って出力しないことを可能としている。
【0064】
即ち、本実施形態では、高い耐ノイズ性を保ちながら、安定して高精度な測定が可能な測定プローブ300および測定システム100を実現することができる。
【0065】
本発明について第1実施形態を挙げて説明したが、本発明は第1実施形態に限定されるものではない。即ち本発明の要旨を逸脱しない範囲においての改良並びに設計の変更が可能なことは言うまでもない。
【0066】
例えば、第1実施形態では、デジタルタッチ信号CPは、パラレルデジタルデータとして出力されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図7に示す第2実施形態の如くであってもよい。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、デジタルタッチ信号CPは、シリアルデジタルデータとして変換されて出力されるだけである。このため、信号出力部466の変換に関わる変換部472の構成以外は、第1実施形態とは基本的に符号上位1桁を変更しただけとして説明は省略する。なお、第2実施形態でも、測定プローブ400とプローブユニット401とは同一とされている。
【0067】
第2実施形態では、
図7に示す如く、信号出力部466が変換部472を比較部470の後段に備えている。変換部472は、ある時間におけるデジタルタッチ信号CP1、CP2の状態(L、Hレベル)を1つのデータ単位(シリアルデータ)として一定の周期(例えば数kHz)で逐次送信する。例えば、スタイラス436が被測定物Wに接触していない状態では、デジタルタッチ信号CP1、CP2が共にLレベルとなる。そして、スタイラス436の被測定物Wへの接触開始からデジタルタッチ信号CP2がHレベルになるまでの間は、デジタルタッチ信号CP1はHレベル、デジタルタッチ信号CP2はLレベルのデータが1つの単位として一定の時間間隔で送信される。そして、デジタルタッチ信号CP2がHレベルになった後は、デジタルタッチ信号CP1はHレベル、デジタルタッチ信号CP2はHレベルのデータが1つの単位として一定の時間間隔で送信される。このとき、デジタルタッチ信号CP1がLレベルからHレベルになった後、そのままHレベルが維持されている状態(第1比較部470Aの閾値条件が継続して満たされている状態)でデジタルタッチ信号CP2がレベルHとなれば、被測定物Wとの接触によるデジタルタッチ信号(トリガー信号)であると判断する。そして、最初のデジタルタッチ信号CP1がHレベルとなった時間を被測定物Wに接触した時間としてその形状を求めることを本体処理部104は行うことができる。
【0068】
本実施形態では、デジタルタッチ信号CPがシリアルデジタルデータとして出力されるので、測定プローブ400からはデジタルタッチ信号CPの信号線は少なくできるので、特に、取り付け部における配線の引き回しが容易となる。
【0069】
また、上記実施形態では、測定プローブと測定プローブユニットとは同一とされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図8に示す第3実施形態の如くであってもよい。第3実施形態では、上記実施形態とは異なり、信号出力部566が測定プローブ500に接続されるプローブインターフェース部574を更に備える。つまり、信号出力部566の一部(プローブインターフェース部574)は測定プローブ500の外部に設けられている。なお、プローブインターフェース部574に関わる構成以外は、第2実施形態とは基本的に符号上位1桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0070】
第3実施形態では、
図8に示す如く、信号出力部566のプローブインターフェース部574が本体装置105に接続されている。ここでは、条件記憶部568の所定の閾値のうちの、信号のレベルが第1比較部570A、第2比較部570Bおよび第3比較部570Cにそれぞれ設定され、レベルの持続時間が第1比較部570A、第2比較部570Bおよび第3比較部570Cに同一(即ち、0)で設定されている。そして、プローブインターフェース部574は、測定プローブ500に接続され、第1比較部570A、第2比較部570Bおよび第3比較部570Cの出力の連続する時間が第1比較部570A、第2比較部570Bおよび第3比較部570Cで設定されるはずであった所定の閾値条件のうちのレベルの持続時間を超えたか否かをそれぞれで判定する。そして、プローブインターフェース部574は、第1比較部570A、第2比較部570Bおよび第3比較部570Cの出力の連続する時間がそれらのレベルの持続時間を超えている際には、デジタルタッチ信号CPを出力する構成となっている。
【0071】
即ち、本実施形態では、第1比較部570A、第2比較部570Bおよび第3比較部570Cで設定され、第1比較部570A、第2比較部570Bおよび第3比較部570Cで処理されるはずの信号のレベルの持続時間に関する処理を、プローブインターフェース部574で行う構成となっている。このため、測定プローブ500の処理を単純化し、かつ負荷を低減することができる。なお、第1比較部570A、第2比較部570Bには、同一の信号レベルが設定される場合があり、その際には、第1比較部570A、第2比較部570Bに設定される閾値条件が同一となる。
【0072】
また、第3実施形態では、第1比較部570A、第2比較部570Bおよび第3比較部570Cで処理されるはずの信号のレベルの持続時間に関する処理を、プローブインターフェース部574で行っていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図9に示す第4実施形態の如くであってもよい。第4実施形態では、第3実施形態とは異なり、測定プローブ600とプローブユニット601とは同一とされている。そして、測定プローブ600には、条件記憶部が存在しない構成となっている。このため、第3実施形態とは異なる構成以外は、基本的に符号上位1桁を変更しただけとして説明は省略する。
【0073】
第4実施形態では、第3実施形態のプローブインターフェース部574で行っていた処理を、本体処理部108で行っている。つまり、本体処理部108は、測定プローブ600に接続され、第1比較部670A、第2比較部670Bおよび第3比較部670Cの出力の連続する時間が第1比較部670A、第2比較部670Bおよび第3比較部670Cで設定されるはずであった所定の閾値条件のうちのレベルの持続時間を超えたか否かをそれぞれで判定する。そして、本体処理部108は、第1比較部670A、第2比較部670Bおよび第3比較部670Cの出力の連続する時間がそれらのレベルの持続時間を超えている際には、デジタルタッチ信号CPを構成する。構成されたデジタルタッチ信号CPは、更に本体処理部108で処理されることとなる。
【0074】
このため、本実施形態では、第3実施形態のように、測定プローブ600の処理を単純化し、かつ負荷を低減することができる。しかも、プローブインターフェース部を必要とはしない。言い換えれば、本実施形態は、信号処理回路620が、信号合成部664と、合成信号Scが所定の閾値条件の一部を満足した際に、デジタルタッチ信号CP1、CP2、CP3を本体装置107に出力する信号出力部666と、を備えている。そして、信号出力部666は、所定の閾値条件の一部(信号のレベル)と合成信号Scとを比較する3つの比較部670A、670B、670Cを備え、被測定物Wの測定をする際には、第1比較部670A、第2比較部670Bの出力に応じたデジタルタッチ信号CP1、CP2を出力する。そして、所定の閾値条件は、信号のレベルとその信号のレベルの持続時間とを有している。そして、第1比較部670A、第2比較部670Bにおける所定の閾値条件の一部は信号のレベルとされ、かつその信号のレベルの持続時間は全て同一(例えば0)とされている。そして、本体装置107は、デジタルタッチ信号CP1、CP2を受信した際、デジタルタッチ信号CP1、CP2に所定の閾値条件のうちのその信号のレベルの持続時間を適用し、第1比較部670A、第2比較部670Bの出力が所定の閾値条件を満たしていることで、被測定物Wの形状を求めるような構成となっているといえる。
【0075】
なお、本実施形態では、条件記憶部が測定プローブ600に存在しない。つまり、本実施形態では、書き換え信号SSで、比較部670の閾値を直接書き換えるようにしている。このとき、書き換え信号SSは、測定プローブ600の外部に予め記憶された閾値条件そのものの信号でもよいし、その場で閾値条件を作成した信号であってもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、比較部が3つとされていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、2つ以上であればよいし、4つ以上であってもよい。例えば、実際に使用する比較部の数を超えて想定できる所定の閾値条件の数だけ比較部を設けて、そのデジタルタッチ信号を全て本体処理部に入力させてもよい。そして、本体処理部でどの比較部の出力を処理するかを選択できるようにしてもよい。そのような構成とすることで、本体処理部からの書き換え信号を不要とでき、測定プローブの内部の制御を簡易化することができる。