(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
仮固定層が設けられた支持体に、能動面及び該能動面とは反対側に受動面を有する半導体素子を1つ以上、前記仮固定層と前記半導体素子の前記能動面とが貼り合わさるように仮固定する工程(I)と、
仮固定された前記半導体素子を、ガラスクロスに熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなる半導体封止用部材で封止して、前記半導体素子の前記受動面側を覆う、前記半導体封止用部材に由来する第1の絶縁層を形成する工程(II)と、
前記半導体素子及び該半導体素子を封止する前記第1の絶縁層から、前記支持体及び前記仮固定層をはく離して、前記能動面が露出した前記半導体素子及び該半導体素子を封止する前記第1の絶縁層を得る工程(III)と、
前記能動面が露出した前記半導体素子及び該半導体素子を封止する前記第1の絶縁層の前記能動面側に、前記半導体素子の前記能動面にまで至る開口を有する第2の絶縁層を形成する工程(IV)と、
前記半導体素子の前記能動面の一部及び前記第2の絶縁層上に、シード層を形成する工程(V)と、
前記シード層上に、配線パターンを形成する工程(VI)と、
前記シード層の前記配線パターンが設けられている以外の部分を除去する工程(VII)と、
前記配線パターン及び前記第2の絶縁層上に、前記配線パターンにまで至る開口を有する第3の絶縁層を形成する工程(VIII)と、
前記開口に、外部接続用端子を形成する工程(IX)と、
を備え、
前記工程(II)における、前記第1の絶縁層の厚みT1と前記半導体素子の厚みT2との差(T1−T2)が、30μm以下である、半導体装置の製造方法。
能動面及び該能動面とは反対側に受動面を有する半導体素子と、前記半導体素子の前記受動面側を覆うように前記半導体素子の前記能動面以外を封止する絶縁層と、を備え、
前記絶縁層が、ガラスクロスと前記ガラスクロスに含浸した熱硬化性樹脂組成物の硬化物とからなり、
前記絶縁層の厚みT1と前記半導体素子の厚みT2との差(T1−T2)が、30μm以下である、半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜3に記載されている方法は、ウェハ上に再配線するよりも再配線領域を広く確保することができ、半導体素子の多ピン化に対応することが可能となる。
【0009】
他方、特許文献4に記載されている方法は、小型化及び薄型化が進む半導体装置の生産性の向上が期待される。
【0010】
しかしながら、本発明者らが上記技術の組み合わせについて検討したところ、半導体装置の小型化及び薄型化、並びに半導体素子の微細化に十分対応するためには、改善すべき課題があることを見出した。
【0011】
まず、上記従来技術を組み合わせた半導体装置の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜3は、上記に係る製造方法の一例を説明するための模式端面図である。
図3(n)に示される半導体装置20が、下記の工程を経て得られる。
【0012】
支持体の片側に仮固定用フィルムを貼り合せて、仮固定層2(仮固定用フィルム)が設けられた支持体1を用意する(
図1(a)参照)。次いで、半導体素子3を所定の間隔で半導体素子の能動面(表面;回路が形成された面)が仮固定層2に貼り合わさるように配置し、仮固定する(
図1(b)参照)。次いで、半導体素子3を覆うように封止材で封止し、第1の絶縁層4を形成する(
図1(c)参照)。封止後、所定の温度及び時間で封止材を加熱し、後硬化を行う。次いで、所定温度に設定されたホットプレート上に載せ、支持体を取り外す(
図1(d)参照)。次いで、仮固定用フィルム2をはく離し、半導体素子の能動面(表面)を露出させる(
図1(e)参照)。
【0013】
次いで、半導体素子の能動面に、例えば、塗布型の感光性樹脂組成物をスピンコートし、所定温度に設定されたホットプレート上で乾燥させて、第2の絶縁層5を形成する(
図2(f)参照)。次いで、所定の箇所を露光・現像処理し、オーブンで後硬化することにより、半導体素子の能動面にまで至る開口を有する第2の絶縁層5’を設ける(
図2(g)参照)。次いで、第2の絶縁層5’上に、スパッタによりシード層6を形成する(
図2(h)参照)。次いで、シード層6上に回路形成用レジストをラミネートし、所定の箇所を露光、現像処理し、レジストパターン7を形成する(
図2(i)参照)。次いで、電気めっき法により配線パターン8を形成する(
図2(j)参照)。
【0014】
次いで、はく離液によりレジストパターン7を除去する(
図3(k)参照)。次いで、シード層6の配線パターンが設けられている以外の部分をエッチングにより除去する(
図3(l)参照)。次いで、第2の絶縁層5’及び配線パターン8上に、感光性樹脂組成物を再度スピンコートし、所定温度(例えば80℃程度)に設定されたホットプレート上で乾燥させ、所定の箇所を露光・現像処理し、オーブンで後硬化することにより、配線パターンにまで至る開口を有する第3の絶縁層9を形成する(
図3(m)参照)。次いで、第3の絶縁層9の開口部にはんだボールをリフロー搭載し、ダイシング個片化することで、半導体装置20が作製される(
図3(n)参照)。
【0015】
このような方法で製造された半導体装置は、半導体素子の受動面(裏面)が封止されているため、特に、加熱が伴う工程において反りが生じ易く、更なる薄型化への対応が困難であることが判明した。
【0016】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、反りの発生を抑制することができ、半導体装置の薄型化を図ることを可能とする半導体封止用部材、並びにそれを用いる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明は、ガラスクロスに熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなる、半導体封止用部材を提供する。
【0018】
本発明はまた、仮固定層が設けられた支持体に、能動面及び該能動面とは反対側に受動面を有する半導体素子を1つ以上、仮固定層と半導体素子の能動面とが貼り合わさるように仮固定する工程(I)と、
仮固定された上記半導体素子を、上記本発明に係る半導体封止用部材で封止して、上記半導体素子の受動面側を覆う第1の絶縁層を形成する工程(II)と、
上記半導体素子及び該半導体素子を封止する上記第1の絶縁層から、上記支持体及び上記仮固定層をはく離して、能動面が露出した上記半導体素子及び該半導体素子を封止する上記第1の絶縁層を得る工程(III)と、
能動面が露出した上記半導体素子及び該半導体素子を封止する上記第1の絶縁層の能動面側に、上記半導体素子の能動面にまで至る開口を有する第2の絶縁層を形成する工程(IV)と、
上記半導体素子の能動面の一部及び上記第2の絶縁層上に、シード層を形成する工程(V)と、
上記シード層上に、配線パターンを形成する工程(VI)と、
上記シード層の上記配線パターンが設けられている以外の部分を除去する工程(VII)と、
上記配線パターン及び上記第2の絶縁層上に、上記配線パターンにまで至る開口を有する第3の絶縁層を形成する工程(VIII)と、
上記開口に、外部接続用端子を形成する工程(IX)と、
を備える半導体装置の製造方法を提供する。
【0019】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、本発明に係る半導体封止用部材を用いることにより、半導体素子を当該部材で封止することにより得られる構成物の反りを抑制することができ、その後の工程において、反りの発生を抑制することができ、薄型化を図った半導体装置を効率よく製造することが可能となる。
【0020】
本発明の半導体装置の製造方法においては、埋め込み性の観点から、上記工程(II)における、上記部材の封止温度が50〜140℃であり且つ加熱時間が10〜300秒であることが好ましい。
【0021】
また、埋め込み性の観点から、上記工程(II)における、上記部材の封止圧力が0.2〜2.0MPaであることが好ましい。
【0022】
更に、反りの抑制の観点から、上記工程(II)における、上記第1の絶縁層の厚みT1と上記半導体素子の厚みT2との差(T1−T2)が、50μm以下であることが好ましい。
【0023】
本発明はまた、上記本発明に係る半導体装置の製造方法により得られる半導体装置を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、反りの発生を抑制することができ、半導体装置の薄型化を図ることを可能とする半導体封止用部材、並びにそれを用いる半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することができる。
【0025】
本発明によれば、薄型化を図ることができるとともに、反りが十分抑制されたウェハレベルの半導体装置を効率よく製造することができる。
【0026】
本発明により得られる半導体装置は、高機能化・多機能化が進むスマートフォンやタブレット端末等の電子機器に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0029】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、仮固定層が設けられた支持体に、能動面及び該能動面とは反対側に受動面を有する半導体素子を1つ以上、仮固定層と半導体素子の能動面とが貼り合わさるように仮固定する工程(I)と、
仮固定された上記半導体素子を、上記本発明に係る半導体封止用部材で封止して、上記半導体素子の受動面側を覆う第1の絶縁層を形成する工程(II)と、
上記半導体素子及び該半導体素子を封止する上記第1の絶縁層から、上記支持体及び上記仮固定層をはく離して、能動面が露出した上記半導体素子及び該半導体素子を封止する上記第1の絶縁層を得る工程(III)と、
能動面が露出した上記半導体素子及び該半導体素子を封止する上記第1の絶縁層の能動面側に、上記半導体素子の能動面にまで至る開口を有する第2の絶縁層を形成する工程(IV)と、
上記半導体素子の能動面の一部及び上記第2の絶縁層上に、シード層を形成する工程(V)と、
上記シード層上に、配線パターンを形成する工程(VI)と、
上記シード層の上記配線パターンが設けられている以外の部分を除去する工程(VII)と、
上記配線パターン及び上記第2の絶縁層上に、上記配線パターンにまで至る開口を有する第3の絶縁層を形成する工程(VIII)と、
上記開口に、外部接続用端子を形成する工程(IX)と、
を備える。
【0030】
図4〜6を参照しながら、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0031】
工程(I)としては、例えば、支持体1の片側に仮固定用フィルムを貼り合せることにより、仮固定層2が設けられた支持体1を用意し(
図4(a))、次いで、半導体素子3を所定の間隔で半導体装置3の能動面(表面)が仮固定層2に貼り合わさるように配置して仮固定する(
図4(b))工程が挙げられる。
【0032】
支持体1の材質は特に限定されないが、熱による寸法変化が小さいSUS板やシリコンウェハなどが好適である。同様に厚みも特に限定するものではないが、反り抑制が可能な0.5mm以上の厚みが好適である。
【0033】
仮固定用フィルム2についても特に限定するものでなく、市販されており一般に入手可能な材料で構わない。仮固定用フィルムに耐熱性が必要な場合には、例えば、特開2010−254808号公報に記載のジアミン化合物と、芳香族多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる、アミド結合又はイミド結合を有する特定の構造を有する重合体フィルムを用いることができる。
【0034】
半導体素子3としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、本実施形態においては、例えば、厚みが400μm以下の半導体素子を用いることができる。また、支持体上に固定する半導体素子の数は2以上とすることができ、樹脂充填性の観点から、半導体素子間に隙間を設けることが好ましい。
【0035】
工程(II)としては、例えば、ガラスクロスに熱硬化性樹脂組成物を含浸させた半導体封止用部材30を用意し、半導体素子3の受動面側を覆うように配置し(
図4(c))、これらを公知の真空ラミネータ、ロールラミネータ、又はプレス機等を用いて貼り合わせることにより、半導体素子3を封止する第1の絶縁層30’を形成する(
図4(d))。
【0036】
このときの封止温度は、好ましくは50〜140℃であり、より好ましくは70〜100℃である。封止温度をこのような範囲に設定することにより、半導体素子を充分に樹脂で埋め込むことができるとともに、封止後に半導体素子を上記部材で封止することにより得られる構成物から支持体及び仮固定層をはく離することが難しくなることを防止することができる。
【0037】
封止時間は、好ましくは10〜300秒であり、より好ましくは30〜120秒である。封止時間をこのような範囲に設定することにより、半導体素子を充分に樹脂で埋め込むことができるとともに、生産性の低下やコストの上昇を抑制することができる。
【0038】
封止圧力は、好ましくは0.2〜2.0MPaであり、より好ましくは0.2〜1.0MPaである。封止圧力をこのような範囲に設定することにより、半導体素子を充分に樹脂で埋め込むことができるとともに、半導体素子3の受動面上に充分な厚みの絶縁層を形成することができる。
【0039】
本実施形態においては、所定の温度及び時間で第1の絶縁層の後硬化を行うことができる。後硬化温度は特に限定するものではないが、好ましくは120〜200℃であり、より好ましくは150〜180℃である。後硬化時間についても特に限定するものではないが、好ましくは15〜180分であり、より好ましくは30〜120分である。
【0040】
第1の絶縁層の厚さT1は、25μm〜500μmとすることができ、好ましくは100μm〜300μmである。T1を500μm以下とした場合、得られる半導体装置を薄くできる傾向にある。他方、T1を25μm以上とした場合、それに応じて半導体素子3も適度な厚みを有するため、第1の絶縁層で半導体素子3を封止する際に半導体素子3の割れが抑制される傾向にある。
【0041】
本実施形態においては、第1の絶縁層の厚みT1と半導体素子の厚みT2との差(T1−T2)が、50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましい。
【0042】
本実施形態で用いる半導体封止用部材30の厚みT0は、20〜500μmとすることができ、第1の絶縁層の厚みT1及び半導体素子の厚みT2が上記の関係を満たすように設定することが好ましい。
【0043】
工程(III)としては、例えば、
図4(e)及び(f)に示すように、工程(II)で得られる構成物を所定温度に設定されたホットプレート上に載せ、支持体1及び仮固定層(仮固定フィルム)2を取り外することにより、半導体素子の能動面(表面)を露出させる工程が挙げられる。ホットプレートの温度は特に限定するものではなく、仮固定用フィルムの特性に合った温度を選択することができる。支持体1及び仮固定層(仮固定フィルム)2は、この順に取り外してもよく、一緒に取り外してもよい。また、支持体及び仮固定用フィルムのはく離は、第1の絶縁層の熱硬化前に行ってもよい。
【0044】
工程(IV)としては、例えば、能動面が露出した上記半導体素子3及び該半導体素子を封止する上記第1の絶縁層30’からなる構成物の半導体素子3の能動面側に、熱硬化性樹脂組成物からなる第2の絶縁層5を形成する工程(
図5(g))と、次いで、アルカリ処理による第2の絶縁層表層の研削により、半導体素子3に至るまでの開口部を設ける工程と含むものが挙げられる。
【0045】
第2の絶縁層5を形成する工程では、熱硬化性樹脂組成物が液状、もしくは溶剤で樹脂を溶解したワニスの場合は、塗布する工程及び半硬化もしくは乾燥する工程を経ることで第2の絶縁層を形成できる。塗布する工程では、コータを用いて塗布、もしくは印刷法を用いて塗布できる。コータの方式は、特に限定されるものではなく、ダイ、コンマ、ディップ、スピン等が使用できる。硬化もしくは乾燥する工程では、ホットプレートや乾燥炉を用いることができる。熱硬化性樹脂組成物がフィルムの場合は、公知の真空ラミネータ、ロールラミネータ、プレス機等により貼り合わせる工程を経ることで上記構成物の半導体素子3の能動面(表面)側に第2の絶縁層を形成できる。熱硬化性樹脂組成物がフィルムの場合、貼り合わせ工程におけるラミネータの圧力や温度、時間は特に限定するものではないが、空気のかみこみ等が生じない条件を選択することが好ましい。
【0046】
アルカリ処理で使用するアルカリ処理液は特に限定されるものではなく、デスミア処理液やレジストはく離液等を用いることができる。開口径に応じて、pHを調整することもできる。デスミア処理は、例えば、過マンガン酸ナトリウム液、水酸化ナトリウム液、過マンガン酸カリウム液、クロム液、硫酸等の混合液に被処理基板を浸漬することによって実施できる。具体的には、熱湯や所定の膨潤液を用いて被処理基板を膨潤処理した後、過マンガン酸ナトリウム液等で残渣等を除去し、還元(中和)を行った後、水洗、湯洗、乾燥を行う。1回の処理を行っても充分な粗化及び残渣除去の効果が得られない場合は複数回処理を行ってもよい。なお、デスミア処理は上記のものに限定されない。また、デスミア処理後に、再度、熱硬化性樹脂組成物の熱硬化を行ってもよい。再度の熱硬化は、用いる熱硬化性樹脂によっても効果は異なるが、熱硬化を充分に行い、未反応物を減少させること、ガラス転移温度を上げることができるだけでなく、低熱膨張化を図ることができるからである。
【0047】
工程(V)としては、例えば、開口が設けられた第2の絶縁層5’上に無電解銅めっき処理などによりシード層6を設ける工程(
図5(i))が挙げられる。シード層6の厚みは特に制限はないが、0.1〜1.0μmが好ましい。シード層6の形成は、無電解銅めっき法の他に、スパッタ法を用いてもよく、銅を蒸着する前にTiを蒸着する等、形成層を種々選択することができる。
【0048】
工程(VI)は、例えば、以下の工程により行うことができる。
【0049】
まず、シード層6上に回路形成用レジストをラミネートし、次いで、マスクパターンを通して活性光線を照射して回路形成用レジストの所定部分を露光し、露光部の回路形成用レジストを光硬化させる露光処理、及び未露光部を除去するための現像処理を施すことにより、再配線用のレジストパターン7を形成する(
図5(j))。
【0050】
活性光線の光源としては、公知の光源を用いることができるが、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射するものを使用できる。また、直接描画方式のダイレクトレーザ露光を用いてもよい。露光量は使用する装置や回路形成用レジストの組成によって異なるが、好ましくは10〜600mJ/cm
2であり、より好ましくは20〜400mJ/cm
2である。露光量が10mJ/cm
2以上であると光硬化が不充分となることが少なく、他方、600mJ/cm
2以下であると光硬化が過剰となることが少なく、レジストパターン7の開口形状を安定して得ることができる傾向にある。回路形成用レジストは液状、フィルム状のいずれも用いることができる。液状の場合は、印刷機を用いて塗布することができる。フィルム状の場合はロールラミネータや真空ラミネータを用いて貼り付けることができる。
【0051】
露光部以外の回路形成用レジストを除去するために用いる現像液としては、例えば、20〜50℃の炭酸ナトリウムの希薄溶液(1〜5質量%水溶液)等のアルカリ現像液が用いられる。現像は、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング及びスクラッピング等の公知の方法により行うことができる。
【0052】
次いで、電気めっき法により、シード層6上に銅の配線パターン8を形成する(
図5(k))。配線パターン8は、1〜20μmの厚みを有することが好ましい。電気めっき法以外の公知の方法により、配線パターン8を形成してもよい。
【0053】
次いで、はく離液により、レジストパターン7をはく離し除去する(
図6(l))。はく離液としては、特に限定されず公知のものを用いることができ、例えば、炭酸ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を用いることができる。
【0054】
工程(VII)としては、例えば、エッチング液により、第2の絶縁層5’表面上で露出しているシード層6を除去する工程(
図6(m))が挙げられる。エッチング液としては、特に限定されず公知のものを用いることができ、市販されており一般に入手可能なエッチング液を用いることができる。
【0055】
工程(VIII)としては、例えば、第2の絶縁層5’及び配線パターン8上に熱硬化性樹脂組成物からなる絶縁層を形成し、アルカリ処理を施すことにより、配線パターン8にまで至る開口を有する第3の絶縁層9を設ける工程(
図6(m))が挙げられる。絶縁層の形成方法やアルカリ処理については、第2の絶縁層の場合と同様である。
【0056】
工程(IX)は、第3の絶縁層に設けた開口から露出した配線パターン8上に無電解ニッケルめっき及び金めっき12を行う工程を含むことができる。めっき厚みは特に限定されるものではないが、ニッケルめっき厚は1〜10μm、金めっき厚は0.1μm〜0.5μm程度が好ましい。
【0057】
上記工程の後、第3の絶縁層の開口部に外接続用端子10としての導電材料を形成することができる(
図6(p))。導電材料は、特に限定されるものではないが、環境保全の観点から、Sn−Ag系やSn−Ag−Cu系のはんだを使用することが好ましい。回路形成用レジストを用いて、Cuポストを形成しても構わない。
【0058】
本実施形態においては、工程(IX)の後、ダイサーを用いてダイシング個片化することで、
図7(q)に示す半導体装置22を得ることができる。
【0059】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、小型化及び薄型化が進むウェハレベルの半導体装置の製造方法として特に好適である。また、本実施形態の方法で得られる半導体装置は、高機能化・多機能化が進むスマートフォンやタブレット端末、ウェアラブル端末等の電子機器に好適である。
【0060】
次に、上述の半導体装置の製造に用いられる本発明に係る半導体封止用部材について詳細に説明する。
【0061】
本実施形態の半導体封止用部材は、ガラスクロスに熱硬化性樹脂組成物を含浸させてなるものである。
【0062】
ガラスクロスとしては、例えば、ガラス織布、ガラス不織布、ガラスペーパー等が挙げられる。ガラスクロスを構成するガラスは、特に限定されないが、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等が挙げられる。これらの中でもEガラス、Tガラス、又はSガラスが好ましい。これにより、ガラスクロスの高弾性化を達成することができ、熱膨張係数も小さくすることができる。
【0063】
ガラスクロスの厚みは、10〜350μmであることが好ましく、10〜200μmであることがより好ましい。また、ガラスクロスの使用枚数は、一枚に限らず、薄いガラスクロスを複数枚重ねて使用することも可能である。なお、ガラスクロスを複数枚重ねて使用する場合は、その合計の厚みが上記の範囲を満たせばよい。
【0064】
熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドイミド樹脂及び熱硬化性ポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0065】
本実施形態に係る熱硬化性樹脂組成物は、樹脂流動性確保の観点から、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドイミド樹脂及び熱硬化性ポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂と、最大粒径が20μm以下且つ平均粒径が5μm以下の無機フィラーとを含むことが好ましい。また、上記無機フィラーは、最大粒径が10μm以下且つ平均粒径が3μm以下であることがより好ましい。
【0066】
エポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0067】
エポキシ樹脂は、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂ならば、特に制限されることなく使用することができるが、好適には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル等のビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビキシレノールジグリシジルエーテル等のビキシレノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びそれらの二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0068】
市販のエポキシ樹脂としては、DIC株式会社製EXA4700(4官能ナフタレン型エポキシ樹脂)、日本化薬株式会社製NC−7000(ナフタレン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のナフタレン型エポキシ樹脂;日本化薬株式会社EPPN−502H(トリスフェノールエポキシ樹脂)等のフェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物(トリスフェノール型エポキシ樹脂);DIC株式会社製エピクロンHP−7200H(ジシクロペンタジエン骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のジシクロペンタジエンアラルキル型エポキシ樹脂;日本化薬株式会社製NC−3000H(ビフェニル骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;DIC株式会社製エピクロンN660、エピクロンN690、日本化薬株式会社製EOCN−104S等のノボラック型エポキシ樹脂;日産化学工業株式会社製TEPIC等のトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、DIC株式会社製エピクロン860、エピクロン900−IM、エピクロンEXA―4816、エピクロンEXA−4822、旭チバ株式会社製アラルダイトAER280、東都化成株式会社製エポトートYD−134、三菱化学株式会社製JER834、JER872、住友化学株式会社ELA−134等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;DIC株式会社製エピクロンHP−4032等のナフタレン型エポキシ樹脂;DIC株式会社製エピクロンN−740等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールとサリチルアルデヒドの縮合物のエポキシ樹脂;日本化薬株式会社製EPPN−500シリーズなどが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0069】
上記エポキシ樹脂の中でも、銅との密着性や絶縁性に優れる点で、日本化薬株式会社製NC−3000H(ビフェニル骨格含有多官能固形エポキシ樹脂)等のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が好ましく、また、架橋密度が高く、高Tgが得られる点で、日本化薬株式会社製EPPN−500シリーズを用いることがより好ましい。
【0070】
上記エポキシ樹脂の含有量は、無機フィラー成分を除く樹脂成分100質量部に対して、30〜90質量部であることが好ましく、40〜80質量部であることがより好ましい。
【0071】
エポキシ樹脂と組み合わせる硬化剤としては、従来公知の各種エポキシ樹脂硬化剤もしくはエポキシ樹脂硬化促進剤を配合することができる。例えば、フェノール樹脂、イミダゾール化合物、酸無水物、脂肪族アミン、脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、第3級アミン、ジシアンジアミド、グアニジン類、又はこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもののほか、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム、テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン系化合物・有機ホウ素系化合物、DBU(1,8−ジアザビシクロ(4.5.0)ウンデセン−7)もしくはその誘導体など、硬化剤もしくは硬化促進剤の如何に拘らず、公知慣用のものを単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0072】
具体的には、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等を例示できる。これらは、単独、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0073】
上記の硬化剤は、エポキシ樹脂100質量部に対して、1〜60質量部の割合で用いることができ、5〜25質量部の割合で用いることが好ましい。
【0074】
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、分子構造中に少なくとも2個の不飽和N−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物を含有することが好ましい。具体的には、例えば、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−[1,3−(2−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−[1,3−(4−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N’−(1,4−フェニレン)ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4−マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、2,2’−ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−アルファ,アルファ−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミド等が挙げられる。これらのマレイミド化合物は、単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
【0075】
上記熱硬化性ポリイミド樹脂の含有量は、無機フィラー成分を除く樹脂成分100質量部に対して、0.25〜40質量部であることが好ましく、0.5〜30質量部であることがより好ましい。
【0076】
上記マレイミド化合物の重合触媒は、公知のビスマレイミド樹脂組成物の重合触媒を使用することができ、例えば、イミダゾール類、第3級アミン類、第4級アンモニウム塩類、三弗化ホウ素アミン錯体、オルガノフォスフィン類、オルガノホスホニウム塩等のイオン触媒及び有機過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤などが挙げられる。重合触媒の添加量は目的に応じて決定すればよいが、ビスマレイミド樹脂組成物の安定性の面から全樹脂成分に対して0.01〜3質量%とすることが好ましい。
【0077】
本実施形態で用いられる熱硬化性樹脂としては、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂及びポリアミドイミド樹脂のうちの一種以上を用いることが好ましい。また、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリアミドイミド樹脂や各種カルボン酸含有樹脂をエポキシ樹脂と反応させる別な樹脂として使用しても良い。ポリアミドイミド樹脂としては、東洋紡績株式会社の「バイロマックスHR11NN」、「バイロマックスHR12N2」、「バイロマックスHR16NN」等が挙げられる。カルボン酸含有樹脂としては、アクリル樹脂や酸変性エポキシアクリレート、酸含有ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0078】
上記エポキシ樹脂と反応させる別な樹脂(硬化剤)の含有量は、無機フィラー成分を除く樹脂成分100質量部に対して、5〜50質量部であることが好ましく、10〜40質量部であることがより好ましい。
【0079】
無機フィラーとしては従来公知の全ての無機充填剤が使用でき、特定のものに限定されない。例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の体質顔料や、銅、錫、亜鉛、ニッケル、銀、パラジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、金、白金等の金属粉体などが挙げられる。
【0080】
シリカフィラーを用いる場合は、樹脂中のフィラーの分散性を向上させるために、シランカップリング剤を用いることが好ましい。シリカフィラーの最大粒径は5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
【0081】
シランカップリング剤としては、一般的に入手可能なものを用いることができ、例えば、アルキルシラン、アルコキシシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、アミノシラン、アクリルシラン、メタクリルシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、イソシアネートシラン、サルファーシラン、スチリルシラン、アルキルクロロシラン等が使用可能である。
【0082】
熱硬化性樹脂組成物に含まれる無機フィラーの充填量は、熱硬化性樹脂組成物の全量を基準として、20〜95質量%が好ましく、30〜95質量%がより好ましく、55〜90質量%であることがさらに好ましい。無機フィラーの充填量が20質量%以上の場合、半導体装置の反りを効果的に抑制できる傾向にある。無機フィラーの充填量が95質量%以下の場合、樹脂の流動性を確保することができ、半導体素子を充分に封止できる傾向にある。
【0083】
無機フィラーの平均粒径は、5μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下である。さらに好ましくは、3μm以下である。無機フィラーの平均粒径が5μm以下の場合、めっき後の表面のラフネスが小さくなり、その後のフォトリソ工程で微細なパターンの形成が良好となる傾向にある。
【0084】
ガラスクロスに熱硬化性樹脂組成物を含浸する方法としては、例えば、熱硬化性樹脂組成物として熱硬化性樹脂フィルムを用意し、これをガラスクロスに積層して熱プレスする方法、加熱ラミネータを用いてプレスする方法が挙げられる。
【0085】
熱プレスの条件としては、60℃〜300℃、1.0MPa以下が挙げられる。
【0086】
以上、本発明に係る半導体装置の製造方法及び半導体封止用部材の好適な実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を行ってもよい。
【実施例】
【0087】
[熱硬化性樹脂組成物の調製]
ガラスクロスに含浸させる熱硬化性樹脂組成物として、以下に示す組成物A〜Cを調製した。
【0088】
<熱硬化性樹脂組成物A>
(硬化剤Aの合成)
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−アミノフェニル)スルホン:26.40gと、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:484.50gと、p−アミノ安息香酸:29.10g、及びジメチルアセトアミド:360.00gを入れ、140℃で5時間反応させて分子主鎖中にスルホン基を有し、酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤Aの溶液を得た。
【0089】
エポキシ樹脂として、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(製品名NC−3000H、日本化薬株式会社製)を70質量部と、上記で得られた硬化剤Aの溶液を硬化剤の質量換算で30質量部と、無機フィラー成分として、平均粒径が50nm、ビニルシランでシランカップリング処理したシリカフィラーとを混合して熱硬化性樹脂組成物Aを得た。なお、無機フィラー成分は、樹脂分に対し、30質量%になるように配合した。また、無機フィラー成分の分散にはプラネタリーミキサーを用いた。
【0090】
熱硬化性樹脂組成物Aにおける無機フィラー成分の分散状態は、動的光散乱式ナノトラック粒度分布計「UPA−EX150」(日機装株式会社製)、及びレーザ回折散乱式マイクロトラック粒度分布計「MT−3100」(日機装株式会社製)を用いて測定し、最大粒径が1μm以下となっていることを確認した。
【0091】
<熱硬化性樹脂組成物B>
(硬化剤Bの合成)
ジアミン化合物としてワンダミンHM(WHM)〔(4,4’−ジアミノ)ジシクロヘキシルメタン、新日本理化株式会社製、商品名〕52.7g、反応性官能基を有するジアミンとして3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル6g、トリカルボン酸無水物として無水トリメリット酸(TMA)108g及び非プロトン性極性溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)1281gを入れ、フラスコ内の温度を80℃に設定して30分間撹拌した。撹拌終了後、水と共沸可能な芳香族炭化水素としてトルエン192gをさらに添加し、フラスコ内の温度を160℃に昇温して2.5時間還流した。水分定量受器に理論量の水が貯留され、水の留出が見られなくなっていることを確認した後、水分定量受器中の水及びトルエンを除去しながら、フラスコ内の温度を180℃まで上昇させて反応溶液中のトルエンを除去した。フラスコ内の溶液を60℃まで冷却した後、長鎖炭化水素鎖骨格(炭素原子数約50)を有するジカルボン酸として水添α,ω−ポリブタジエンジカルボン酸(CI−1000、日本曹達株式会社製、商品名)309.5gを入れ、10分間撹拌した。撹拌終了後、ジイソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)119.7gを添加し、フラスコ内の温度を160℃に上昇させて2時間反応させ、樹脂溶液を得た。このポリアミドイミド樹脂溶液を硬化剤Bの溶液とした。また、ポリアミドイミド樹脂の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したところ47000であった。ポリアミドイミド1分子あたりの平均反応性官能基数Nは4.4であった。
【0092】
エポキシ樹脂として、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(製品名NC−3000H、日本化薬株式会社製)を70質量部と、上記で得られた硬化剤Bの溶液を硬化剤の質量換算で30質量部と、無機フィラー成分として、平均粒径が50nm、ビニルシランでシランカップリング処理したシリカフィラーとを混合して熱硬化性樹脂組成物Bを得た。なお、無機フィラー成分は、樹脂分に対し、30質量%になるように配合した。また、無機フィラー成分の分散にはプラネタリーミキサーを用いた。
【0093】
熱硬化性樹脂組成物Bにおける無機フィラー成分の分散状態を、熱硬化性樹脂組成物Aと同様にして測定したところ、最大粒径が1μmであることを確認した。
【0094】
<熱硬化性樹脂組成物C>
エポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(製品名エピクロンN660、DIC株式会社製)を70質量部と、硬化剤として、フェノキシ樹脂YP−55(新日鉄化学株式会社製)を10質量部及びメラミン変性フェノールノボラック樹脂LA7054(DIC株式会社製)を20質量部と、無機フィラー成分として、平均粒径が300nmの硫酸バリウムとを混合して熱硬化性樹脂組成物Cを得た。なお、無機フィラー成分は、樹脂分に対し、30質量%になるように配合した。
【0095】
なお、上記無機フィラー成分は、平均粒径が300nmの硫酸バリウムを、スターミルLMZ(アシザワファインテック株式会社製)で、直径1.0mmのジルコニアビーズを用い、周速12m/sにて3時間分散してから配合した。
【0096】
熱硬化性樹脂組成物Cにおける無機フィラー成分の分散状態を、熱硬化性樹脂組成物Aと同様にして測定したところ、最大粒径が2μmであることを確認した。
【0097】
[熱硬化性樹脂フィルムの作製]
上述のように得た各熱硬化性樹脂組成物A〜Cの溶液を、支持体である16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(G2−16、帝人株式会社製、商品名)上に塗布することにより熱硬化性樹脂組成物層を形成した。その後、熱風対流式乾燥機を用いて熱硬化性樹脂組成物層を100℃で約10分間乾燥することによって支持体上に熱硬化性樹脂フィルムを得た。熱硬化性樹脂フィルムの膜厚は50〜500μmのものを準備した。
【0098】
次いで、熱硬化性樹脂フィルムに埃等が付着しないように、支持体と接している側とは反対側の表面上にポリエチレンフィルム(NF−15、タマポリ株式会社製、商品名)を保護フィルムとして貼り合わせ、保護フィルム付き熱硬化性樹脂フィルムを得た。
【0099】
[半導体封止用部材の作製]
上記で得られた保護フィルム付き熱硬化性樹脂フィルムからポリエチレンフィルムを剥がした熱硬化性樹脂フィルムを2枚用意した。次に、ガラスクロス(厚み:10μm〜200μm、ガラスの種類:Sガラス)の厚さ方向両側に、2枚の熱硬化性樹脂フィルムのそれぞれの熱硬化性樹脂層がガラスクロスと接するように積層し、熱ローラーを用いてプレスした。熱プレス時の温度は160℃、プレス時間は10分間とした。熱プレス後にポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がすことで半導体封止用部材を得た。
【0100】
上記の方法により、厚みT0が50、80、245、250、280、300又は390μmである半導体封止用部材をそれぞれ得た。
【0101】
[仮固定用フィルム付き支持体の準備]
まず、支持体として直径220mm、厚み1.5mmのSUS板を準備した。次に、SUS板の片側に仮固定用フィルムを、ラミネータを用いて貼り付けて、
図4(a)に示されるような仮固定用フィルム付き支持体を得た。
【0102】
SUS板からはみ出した仮固定用フィルムについては、カッターナイフで切り離した。
【0103】
[半導体装置の製造]
(実施例1〜11、比較例1)
仮固定用フィルム付き支持体に、7.3mm×7.3mmの半導体素子(株式会社ウォルツ製 CC80−0101JY)を、半導体素子の受動面(裏面)と仮固定用フィルムとが貼り合わさるように格子状に配置した(
図4(b)参照)。半導体素子の搭載数は193個、ピッチは縦方向、横方向ともに9.6mmとした。半導体素子の配置にはダイソーター(キヤノンマシナリー株式会社製 CAP3500)を用いた。配置時の荷重は半導体素子1個当り1kgfとした。
【0104】
次に、上記で作製された半導体封止用部材を用いて、半導体素子を覆うように封止し、ガラスクロスに含浸させた熱硬化性樹脂組成物からなる第1の絶縁層を形成した(
図4(d)参照)。詳細には、まず、半導体素子の能動面(表面)上に、半導体封止用部材を載置した。これを、プレス式真空ラミネータ(MVLP−500、株式会社名機製作所製、商品名)を用いてラミネートし、半導体素子の受動面(裏面)上と半導体素子間に第1の絶縁層を形成した。なお、比較例1では、半導体素子の封止を、ガラスクロスを含まない熱硬化性樹脂組成物Aからなる熱硬化性樹脂フィルムを用いて行った。
【0105】
このときの熱硬化性樹脂組成物、半導体封止用部材の厚み(μm)、第1の絶縁層の厚みT1(μm)、半導体素子の厚みT2(μm)、ラミネート温度(℃)、ラミネート時間(秒)、ラミネート圧力(MPa)を、表1及び2にそれぞれ示す。なお、ラミネートは、真空引き時間20秒、気圧4kPa以下の条件で行った。
【0106】
次いで、クリーンオーブンで、表1及び2に示される温度及び時間で加熱し、熱硬化を行った。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
その後、支持体、及び仮固定用フィルムを200℃のホットプレート上ではく離した(
図4(e)及び(f)参照)。
【0110】
次いで、半導体素子の能動面側に、熱硬化性樹脂組成物からなる第2の絶縁層を形成した(
図5(g)参照)。熱硬化性樹脂組成物は第1の絶縁層と同様の熱硬化性樹脂組成物を用い、第2の絶縁層の形成方法は、第1の絶縁層と同様にした。また、第2の絶縁層の厚みは10μmとした。次いで、クリーンオーブンで120〜170℃、30分〜1時間の加熱を行い、第2の絶縁層の熱硬化を行った。
【0111】
次いで、表3に示す条件でデスミア処理を施し、第2の絶縁層表面の研削を行い、第2の絶縁層に、半導体素子に至るまでの開口部を設けた(
図5(h)参照)。
【0112】
【表3】
【0113】
その後、無電解銅めっき法により、開口部及び第2の絶縁層上に1μmの厚みのシード層を形成した(
図5(i)参照)。
【0114】
次いで、回路形成用レジスト(日立化成株式会社 Photec RY−3525)をロールラミネータでシード層上に貼着し、パターンを形成したフォトツールを密着させ、株式会社オーク製作所社製EXM‐1201型露光機を使用して、100mJ/cm
2のエネルギー量で露光を行った。次いで、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液で、90秒間スプレー現像を行い、回路形成用レジストパターンを形成した(
図5(j)参照)。
【0115】
次いで、電気めっき法により、シード層上に、5μmの厚みの銅の配線パターンを形成した(
図5(k)参照)。次いで、はく離液により回路形成用レジストパターンをはく離した後(
図6(l)参照)、第2の絶縁層表面に露出しているシード層をエッチング液により除去した(
図6(m)参照)。
【0116】
次いで、配線パターン及び第2の絶縁層上に、熱硬化性樹脂組成物からなる第3の絶縁層を形成し、表3のデスミア処理を施し、第3の絶縁層に、配線パターンに至るまでの開口部を設けた(
図6(n)参照)。熱硬化性樹脂組成物は第1の絶縁層と同様の熱硬化性樹脂組成物を用い、第3の絶縁層の形成方法は、第1の絶縁層と同様にした。また、第3の絶縁層の厚みは20μmとした。
【0117】
その後、市販の無電解ニッケル/金めっき液を用いて、ニッケルめっき厚3μm、金めっき厚0.1μmとなるように配線パターン上にめっき処理を行った(
図6(o)参照)。次いで、金めっき上に外部接続端子となるSn−Ag−Cu系のはんだボールをリフロー搭載した(
図6(p)参照)。
【0118】
次いで、ダイシング(ブレード幅0.3mm)により、9.3mm×9.3mmの大きさに個片化し、半導体装置を得た(
図7(q)参照)。
【0119】
[半導体装置の製造における評価]
半導体装置の製造における反り、埋め込み性及び平滑性について以下の方法で評価した。結果を表4及び5に示す。
【0120】
(反り)
第1の絶縁層を形成し、所定の熱硬化を行った後の成形物について、直径200mmの範囲の反り量を室温下(25℃)で測定し、以下の基準に基づいて反りを評価した。
A:反り量が1mm未満。
B:反り量が1mm以上、2mm未満。
C:反り量が2mm以上、2.5mm未満。
D:反り量が2.5mm以上。
【0121】
(埋め込み性)
第1の絶縁層を形成し、所定の熱硬化を行った後の成形物について、熱硬化性樹脂組成物による半導体素子の埋め込み状態を目視で確認し、以下の基準に基づいて埋め込み性を評価した。
A:半導体素子間に充分に樹脂が埋め込まれており、未充填部がない。
B:半導体素子間に未充填部がある。
【0122】
(平滑性(段差))
第1の絶縁層を形成し、所定の熱硬化を行った後の成形物について、表面粗さ計を用いて、半導体素子の受動面(裏面)側の第1の絶縁層表面の段差を測定し、以下の基準に基づいて平滑性(段差)を評価した。
A:第1の絶縁層の表面の段差が2μm未満。
B:第1の絶縁層の表面の段差が2μm以上、5μm未満。
C:第1の絶縁層の表面の段差が5μm以上。
【0123】
(平滑性(壁面))
第1の絶縁層を形成し、所定の熱硬化を行った後の成形物について、壁面の平滑性を目視により確認し、以下の基準に基づいて平滑性(段差)を評価した。
A:欠けがない。
B:欠けがある。
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
本発明によれば、薄型化が可能で、反りが十分抑制されたウェハレベル半導体装置を低コストで効率よく提供することができる。なお、本発明は、ウェハレベル半導体装置に限定するものでなく、パッケージ・オン・パッケージの再配線プロセス等、小型化及び薄型化が必要な全ての半導体装置、部品内蔵基板に適用することができる。