(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態及び実施例を、図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態及び実施例は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに限定されるものでない。また各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明に係る実施形態及び実施例を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。さらに、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」および、それらの用語を含む別の用語)を用いる。
【0010】
本発明の一形態に係る発光装置の製造方法によれば、電極を備える電極形成面と、前記電極形成面と反対側にある基板面と、前記電極形成面及び基板面との間に位置する第一素子側面乃至第四素子側面とを備える発光素子と、第一凹部底面と、前記第一凹部底面と交差する第一凹部第一内側面とを有する第一凹部を備える第一金型と、第二凹部底面と、前記第二凹部底面と交差する第二凹部第一内側面とを有する第二凹部を備える第二金型とを準備する工程と、前記発光素子の前記第一素子側面と、前記第一金型の前記第一凹部の前記第一凹部第一内側面とが接し、且つ前記発光素子の前記基板面と、前記第一凹部の前記第一凹部底面とを対向させた姿勢で、前記発光素子を前記第一凹部内に配置する工程と、前記第一凹部内において露出される前記発光素子の前記第二素子側面乃至第四素子側面を、第一被覆部材で被覆する工程と、前記第一被覆部材が形成された前記発光素子を、前記第一凹部から取り出す工程と、前記第一凹部から取り出された前記発光素子の前記第一素子側面と、前記第二金型の前記第二凹部の前記第二凹部第一内側面とが接し、且つ前記発光素子の前記基板面と、前記第二凹部の前記第二凹部底面と、を離間させた姿勢で、前記発光素子を前記第二凹部内に配置する工程と、前記第二凹部内において、前記発光素子の前記基板面を、第二被覆部材で被覆する工程と、前記第二被覆部材が形成された前記発光素子を、前記第二凹部から取り出す工程とを含むことができる。
【0011】
一実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、さらに前記発光素子を前記第二凹部から取り出す工程の後に、前記第二被覆部材が形成された前記発光素子の前記第一素子側面を、透光性部材で被覆する工程を含むことができる。これにより、発光素子の素子発光面となる第一素子側面に透光性部材を形成することが可能となる。
【0012】
また、他の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、前記透光性部材で被覆する工程において、前記透光性部材で、前記発光素子の前記第一素子側面、前記第一被覆部材及び第二被覆部材を連続して被覆させることができる。
【0013】
さらに、他の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、前記透光性部材で被覆する工程において、前記透光性部材に、波長変換部材を含有させることができる。
【0014】
さらにまた、他の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、さらに、前記発光素子を前記第二凹部から取り出す工程の後で、前記透光性部材で被覆する工程の前に、前記第二凹部から取り出した前記発光素子を、前記第一素子側面が上側を向くように回転させる工程を含むことができる。これにより、第二凹部から取り出した発光素子に透光性部材を被膜させ易い姿勢として、透光性部材の被膜工程を精度よく実行させることが可能となる。
【0015】
さらにまた、他の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、前記発光素子を前記第一凹部内に配置する工程において、前記発光素子の前記基板面と前記第二凹部の前記第二凹部底面とが対向するように配置することができる。
【0016】
さらにまた、他の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、前記発光素子を前記第一被覆部材で被覆する工程において、前記第一被覆部材と前記第一凹部の前記第一凹部第一内側面とが接するように配置することができる。
【0017】
さらにまた、他の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、前記第二被覆部材で被覆する工程において、前記第二被覆部材と前記第二凹部の前記第二凹部第一内側面とが接するように配置することができる。
【0018】
さらにまた、他の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、前記第一被覆部材及び前記第二被覆部材に、反射部材を含有させることができる。
【0019】
さらにまた、他の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、前記第一金型が、前記発光素子の前記基板面と対向する前記第一凹部底面に第一貫通孔を開口させることができる。
【0020】
さらにまた、他の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、さらに前記発光素子を前記第一凹部内に配置する工程の後で、第一被覆部材で被覆する工程の前に、前記第一凹部内に前記発光素子を配置した状態で、前記第一凹部を閉塞する第三金型を、前記電極と接するように配置させることができる。
【0021】
さらにまた、他の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、さらに前記発光素子を前記第二凹部内に配置する工程の後で、第二被覆部材で被覆する工程の前に、前記第二凹部内に前記発光素子を配置した状態で、前記第二凹部を閉塞する前記第三金型を、前記電極と接するように配置させることができる。
【0022】
さらにまた、他の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、前記第三金型を、平板状に形成することができる。
【0023】
さらにまた、他の実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、前記第三金型を、前記第一凹部と対向する領域に第三凹部を形成することができる。
<実施形態1>
【0024】
本発明の実施形態1に係る発光装置10を
図1〜
図3に示す。これらの図において、
図1は実施形態1に係る発光装置を示す斜視図、
図2は
図1の発光装置を二次基板SSS上に実装する状態を示す分解斜視図、
図3は
図1の発光装置のIII−III線における断面図を、それぞれ示している。
図1は上面側の斜視図であり、
図2は下面側の斜視図である。
【0025】
発光装置10は、側面発光型(サイドビュータイプ)である。発光装置10は略直方体であり、発光装置10の発光面を正面13とし、その反対側を背面14とし、上面12と上面に対して反対側の下面11とを有し、正面13に対して右側面15、左側面16の側面とを有する。発光装置10は、発光素子20と、発光素子20を被覆する被覆部材40と、発光素子20からの光を透過する透光性部材30とを含む。発光装置10の下面11は、被覆部材40から一対の電極28が露出する。一対の電極28は、
図2に示すように二次基板SSS上の配線WPと電気的に接合される。透光性部材30を備えた正面(装置発光面)13は、二次基板SSS上に実装した際に側方(二次基板SSSの上面と略平行な方向)を向くように配置されている。正面13と下面11以外の面、すなわち、上面12と、背面14と、右側面15と、左側面16と、は被覆部材40で構成される。被覆部材40は、発光素子20からの光を反射する反射性部材として機能する。
【0026】
なお
図1の例では、発光装置10は、正面13及び上面12を横長の長方形状、側面を正方形状としているが、この構成に限らず、例えば正面や上面を正方形としてもよく、側面を長方形状としてよい。
【0027】
図3に示すように、透光性部材30と、発光素子20の第一素子側面23と、が接触するように配置される。このように正面視において、透光性部材30と、発光素子20の第一素子側面23(素子発光面)と、が重なるので、発光装置の光の取り出し効率が向上する。
(発光素子)
【0028】
発光素子としては、例えば発光ダイオード等の半導体発光素子を用いることができ、青色、緑色、赤色等の可視光を発光可能な発光素子を用いることができる。
図8に示すように、半導体発光素子は、透光性基板20aと、その上に形成された半導体積層体20bとを含むことができる。また、半導体積層体20bは、透光性基板とは反対側(対向する面)に、電極28を備えた電極形成面21を備えている。
(半導体積層体20b)
【0029】
半導体積層体20bは、複数の半導体層を含む。半導体積層体20bの一例としては、第一導電型半導体層(例えばn型半導体層)、発光層(活性層)および第二導電型半導体層(例えばp型半導体層)の3つの半導体層を含むことができる。紫外光や、青色光から緑色光の可視光を発光可能な半導体層としては、例えば、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等の半導体材料から形成することができる。具体的には、In
XAl
YGa
1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系の半導体材料(例えばInN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等)を用いることができる。赤色を発光可能な半導体積層体20bとしては、GaAs、GaAlAs、GaP、InGaAs、InGaAsP等を用いることができる。
(透光性基板20a)
【0030】
発光素子の透光性基板20aには、例えば、上記の窒化物系半導体材料の場合、サファイア(Al
2O
3)のような透光性の絶縁性材料や、半導体積層体20bからの発光を透過する半導体材料(例えば、窒化物系半導体材料)を用いることができる。また、GaAs等の半導体材料の場合、GaAlAs、InGaAs等が挙げられる。ここでの透光性とは、発光素子から出射される光の60%、65%、70%又は80%程度以上を透過し得る性質を指す。
(電極28)
【0031】
発光素子が有する一対の電極28は、半導体層の同一面側に配置されている。これらの一対の電極28は、上述した第一導電型半導体層及び第二導電型半導体層と、それぞれ、電流−電圧特性が直線又は略直線となるようなオーミック接続されるものであれば、単層構造でもよいし、積層構造でもよい。このような電極28は、当該分野で公知の材料及び構成で、任意の厚みで形成することができる。例えば、10μm〜300μmが好ましい。また、電極28としては、電気良導体を用いることができ、例えばCu、Au、Ag、AuSn等の金属が好適である。
(透光性部材30)
【0032】
透光性部材30は、透光性樹脂、ガラス等が使用できる。特に、透光性樹脂が好ましく、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好適である。
【0033】
透光性部材30は、上記の透光性材料に加え、波長変換部材を含有させることもできる。
透光性部材30には、蛍光体が好適に利用できる。蛍光体は、発光素子からの発光で励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce);セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG:Ce);ユウロピウムおよび/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO−Al
2O
3−SiO
2);ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)
2SiO
4);βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体;KSF系蛍光体(K
2SiF
6:Mn);硫化物系蛍光体、量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。また、第一透光性部材には、粘度を調整する等の目的で、各種のフィラー等を含有させてもよい。
(被覆部材)
【0034】
被覆部材として、第一被覆部材41及び第二被覆部材42を含む。被覆部材に使用できる樹脂材料としては、特に、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂であるのが好ましい。
【0035】
被覆部材は、反射部材を含む光反射性樹脂から形成することができる。光反射性樹脂とは、発光素子からの光に対する反射率が70%以上の樹脂材料を意味する。被覆部材に達した光が反射されて、発光装置の装置発光面に向かうことにより、発光装置の光取出し効率を高めることができる。
【0036】
光反射性樹脂としては、例えば透光性樹脂に、光反射性物質を分散させたものが使用できる。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが好適である。光反射性物質は、粒状、繊維状、薄板片状などが利用できるが、特に、繊維状のものは被覆部材の熱膨張率を低下させる効果も期待できるので好ましい。
(実施形態1に係る発光装置の製造方法)
【0037】
次に、実施形態1に係る発光装置の製造方法を、
図4A1〜
図5D2に基づいて説明する。
図4A1、
図4B1、
図4C1は発光装置の右側面側から見た概略端面図を、
図4A2、
図4B2、
図4C2、
図4D2は、発光装置の正面側から見た概略端面図を、それぞれ示している。なお、これらの図においては一例として発光素子20の右側面及び左側面を正方形状、正面及び背面を長方形状としているが、本発明はこの構成に限らず、発光素子の右側面及び左側面を長方形状としたり、正面及び背面を正方形状としたりしてもよい。
(発光素子20及び金型を準備する工程)
【0038】
まず、発光素子20と金型をそれぞれ準備する。発光素子20として、例えば発光ダイオード等の半導体発光素子を準備する。発光素子20は、成長基板と、半導体積層体と、正負一対の電極を備える。発光素子は、
図8の斜視図に示すように、電極が備えられた電極形成面21と、電極形成面と反対側の基板面22とを備える。さらに、発光素子20は、電極形成面21及び基板面22との間にある第一素子側面23と、第一素子側面23の反対側の第二素子側面24とを備える。さらに、電極形成面21及び基板面22との間で、かつ第一素子側面23と第二素子側面24の間にある第三素子側面25と、第三素子側面25の反対側の第四素子側面26とを備える。
【0039】
一方、金型は第一金型100と第二金型200と第三金型300をそれぞれ準備する。第一金型100は、
図4A1、
図4A2等に示すように、上面を開口するように第一凹部110を複数形成している。第一凹部110は、第一凹部底面112と、第一凹部底面112と交差する第一凹部第一内側面114とを有する。
【0040】
各第一凹部110は、発光素子20を少なくとも一個収容可能な大きさとする。各第一凹部110は、底面(第一凹部底面112)と、4つの側面とを備える。4つの側面は、2つの長側面と2つの短側面であり、長側面同士が対向し、短側面同士が対向している。なお、
図4A1、
図4A2の例では、各第一凹部110の第一凹部底面112を長方形状とする例を示しているが、本発明はこれに限定するものでなく、例えば第一凹部底面を正方形状としてもよい。
【0041】
下金型100の第一凹部110の長側面の内、一面が第一凹部第一内側面114である。第一凹部110の内側面の内、第一凹部第一内側面114以外を第一凹部第二内側面116とする。第一凹部第一内側面114は、発光素子20を第一凹部110内に収容した際に、発光素子20の第一素子側面23と接する。また第一凹部110の長側面の内、第一凹部第一内側面114と対向する長側面(第一凹部第二内側面116の一つ)は、発光素子20の第二素子側面24と対向する姿勢で離間されて空間を形成する。また下金型100の第一凹部110の短側面は、発光素子20を第一凹部110内に収容した際に、発光素子20の第三素子側面25及び第四素子側面26とそれぞれ対向する。
【0042】
また第二金型200は、
図4D1、
図4D2等に示すように、上面を開口するように第二凹部210を複数形成している。第二凹部210は、第二凹部底面212と、第二凹部底面212と交差する第二凹部第一内側面214とを有する。
【0043】
さらに第三金型300は、
図4B1、
図4B2等に示すように、第一金型100の、第一凹部110の開口面を閉塞するように平板状に形成される。第一金型、第二金型及び第三金型の材質は、鋼等の公知の部材を用いることができる。この第三金型300は、第一金型100の第一凹部110と対向する領域に第三凹部310をそれぞれ形成している。
(発光素子20を第一凹部110に配置する工程)
【0044】
次に、第一凹部110内に発光素子20を配置する。ここでは、
図4A1、
図4A2に示すように、発光素子20の第一素子側面23と、第一金型100の第一凹部110の第一凹部第一内側面114とが接する。発光素子20の基板面22と、第一凹部110の第一凹部底面112とを対向させた姿勢で、発光素子20を第一凹部110内に配置する。このとき、電極28の上面が第一凹部110の開口面の端縁とほぼ同じ高さとなる状態で、発光素子20が配置されるように、第一金型100の第一凹部110を設計する。
【0045】
発光素子20の第二素子側面24乃至第四素子側面26は第一金型100の第一凹部110の第一凹部の内側面から離間し、空間を形成するように配置される。すなわち、発光素子20の第二素子側面24乃至第四素子側面26は、第一凹部110の第一凹部第二内側面116と離間されて空間を形成するように配置される。この空間の厚さが、第一被覆部材41の厚みとなるように、第一凹部110の形状及び大きさが設計される。
(第一被覆部材41で被覆する工程)
【0046】
次に、第一凹部110内において第一凹部第二内側面116から露出される発光素子20の第二素子側面24乃至第四素子側面26を、第一被覆部材41で被覆する。ここでは、
図4B1及び
図4B2に示すように、第三金型300で第一金型100の第一凹部110を閉塞した状態で、発光素子20の第二素子側面24乃至第四素子側面26と、第一凹部110の第一凹部第二内側面116との間の空間内に樹脂を充填して、第一被膜部材を形成する。この際、発光素子20の第一素子側面23と第一金型100の第一凹部第一内側面114との間、及び電極の上面と第三金型300との間には隙間が生じないようにして、第一被膜部材が電極上に形成されないようにすることが好ましい。この際、第一凹部110内に配置された発光素子20が位置ずれしないように保持される。
図4B1及び
図4B2の例では、第一金型100に第一貫通孔120を設けて、第一貫通孔120を通じて吸引することで発光素子20を保持している。第一貫通孔120は、発光素子20の基板面22と対向する第一凹部底面112に開口される。また第一貫通孔120は複数の面に設けてもよく、例えば
図4B1及び
図4B2の例では、発光素子20の第一素子側面23と接する第一凹部110の第一凹部第一内側面114にも形成されている。これにより、第一貫通孔120から発光素子20を吸引して、より安定的に保持することができる。また、第一被膜部材が発光素子の電極上に形成される場合には、第一被膜部材を除去し、電極を第一被膜部材から露出する。第一被膜部材を除去する工程は、研削又はブラストなどの公知の方法により行うことができる。
(第一凹部110から発光素子20を取り出す工程)
【0047】
このようにして、第一凹部110に注入された樹脂が硬化されて第一被膜部材が形成されると、第一被膜部材で被膜された発光素子20を第一凹部110から取り出す。
図4C1及び
図4C2の例では、第三金型300を利用して、第三金型300に発光素子20を固定した状態で離型する。例えば、第一金型100の第一貫通孔120の吸引を解除し、第三金型300に開口した第三貫通孔320で発光素子20を吸引して固定する。あるいは、予め第三金型300で第一金型100の第一凹部110を閉塞する前に、電極28との接触面に接着材を塗布してもよい。
(発光素子20を第二凹部210に配置する工程)
【0048】
次に、発光素子20を第二凹部210内に配置する。ここでは、
図4D1及び
図4D2に示すように、発光素子20の第一素子側面23と、第二金型200の第二凹部210の第二凹部第一内側面214とが接し、且つ発光素子20の基板面22と、第二凹部210の第二凹部底面212とを離間させた姿勢で、発光素子20を第二凹部210内に配置する。第二凹部210は、予め第一被膜部材が形成された発光素子20を収納でき、かつ基板面22と第二凹部底面212との間に空間が形成される大きさ及び形状に、予め設計されている。基板面22と第二凹部底面212との隙間が、第二被覆部材42の厚さとなるよう、第二凹部210の深さが調整される。さらに
図4D1及び
図4D2の例では、発光素子20が固定された第三金型300で、第二金型200の第二凹部210を閉塞できるよう、発光素子20と対応する位置に第二凹部210が形成されている。
(第二被覆部材42で被覆する工程)
【0049】
次に、第二凹部210内において、発光素子20の基板面22を、第二被覆部材42で被覆する。ここでは、
図5A1及び
図5A2に示すように、第三金型300で第二金型200の第二凹部210を閉塞した状態で、発光素子20の基板面22と、第二凹部210の第二凹部底面212との間の空間内に樹脂を充填して、第二被膜部材を形成する。ここでも、発光素子20の第一素子側面23と第二金型200の第二凹部第一内側面214との間、及び電極形成面21と第三金型300との間には隙間が生じないようにして、第二被膜部材がこの領域に形成されないようにすることが好ましい。またこの際、第二凹部210内に配置された発光素子20が位置ずれしないように保持する。ここでは、予め発光素子20が第三金型300に固定されているため、別途吸引のための構成を第二金型200に設ける必要はない。
(第二凹部210から発光素子20を取り出す工程)
【0050】
このようにして第二凹部210に注入された樹脂が硬化され、第二被膜部材が形成されると、第一被膜部材及び第二被膜部材で被膜された発光素子20を第二凹部210から取り出す。例えば、第三金型300を第二金型200から分離することで、第三金型300に固定された発光素子20を第二凹部210から離型できる。
図5B1及び
図5B2の例では、離型した第三金型300を反転させた状態を示している。あるいは、キャリアシートを用いてもよい。例えば、第三金型300で第一金型100を閉塞する際に、キャリアシートを介在させ、キャリアシートに発光素子20を接着しておくことで、キャリアシートごと第一金型100や第二金型200から発光素子20を離型できる。あるいはまた、
図5B1及び
図5B2の状態から第三金型300を分離したとき、発光素子20を第二凹部210に残したままとして、この状態でキャリアシートに発光素子20を、接着材等を介して接着させて第二凹部210から取り出してもよい。
(発光素子20の姿勢を回転させる工程)
【0051】
さらに、発光素子20を、素子発光面に透光性部材30を形成し易いよう、第一素子側面23(素子発光面)が上面となる姿勢に回転させる。例えば
図5C1及び
図5C2の例では、キャリアシートCS上に発光素子20を配置している。
(透光性部材30の被膜工程)
【0052】
この状態で
図5D1及び
図5D2に示すように、発光素子20の第一素子側面23(素子発光面)に透光性部材30を形成する。透光性部材30は、発光素子20の第一素子側面23、第一被覆部材41及び第二被覆部材42を連続して被覆させる。なお透光性部材は、ポッティング、スプレー、印刷等、公知の方法で形成できる
【0053】
以上のようにして、金型を用いて被膜部材を発光素子20に被膜した小型の発光装置を効率良く得ることができる。
(実施形態2に係る発光装置の製造方法)
【0054】
以上の例では、第三金型として平板状の金型を用いた例を説明したが、本発明はこの構成に限らず、第三金型にも凹部を形成してもよい。このような例を実施形態2として、
図6A1〜
図7D2に示す。この第三金型300Bは、第一金型100Bの第一凹部110Bと対向する領域に第三凹部310Bをそれぞれ形成している。一方で第一金型100B及び第二金型200Bは、第一凹部110B及び第二金型200Bの第二凹部210Bの深さを、それぞれ実施形態1における第一凹部の深さよりも浅くして、第三凹部310Bとの組み合わせで発光素子20に第一被膜部材、第二被膜部材を形成するように設計している。これらの第一金型100B、第二金型200B、第三金型300Bを用いた発光装置の製造方法は、実施形態1とほぼ同様である。すなわち、まず発光素子20と金型をそれぞれ準備し、次に
図6A1及び
図6A2に示すように、第一凹部110Bに発光素子20を配置する。ここでは、電極28は第一金型100Bの上面と同一面とせず、より高い位置とする。次に
図6B1及び
図6B2に示すように、第三金型300Bを用いて、各第一凹部110Bを第三凹部310Bで閉塞するように位置決めして、第一凹部110B及び第三凹部310B内において発光素子20の第二素子側面24乃至第四素子側面26を、第一被覆部材41で被覆する。そして樹脂が硬化されて第一被膜部材が形成されると、
図6C1及び
図6C2に示すように、第一被膜部材で被膜された発光素子20を第一凹部110Bから取り出す。ここでは第三金型300Bの第三凹部310Bに、第一被膜部材で被膜された発光素子20が固定されているため、より安定的に発光素子20を保持したまま第三金型300Bを離型できる。
【0055】
さらに
図6D1及び
図6D2に示すように、第二金型200Bを第三金型300Bと組み合わせ、発光素子20を第二凹部210Bと第三凹部310Bで形成される空間内に配置する。この状態で
図7A1及び
図7A2に示すように、基板面22と第二凹部底面212Bとの隙間に、第二被覆部材42を充填して、発光素子20を第二被覆部材42で被覆する。そして
図7B1及び
図7B2に示すように、第二凹部210B及び第三凹部310Bから発光素子20を取り出し、さらに
図7C1及び
図7C2に示すように、発光素子20を素子発光面が上側となる姿勢でキャリアシートCS上に配置して、
図7D1及び
図7D2に示すように、第一素子側面23(素子発光面)に透光性部材30を形成する。以上の方法でも、金型を用いて被膜部材を発光素子20に被膜した小型の発光装置を効率良く得ることができる。