【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)の円筒型スパッタリングターゲットを形成する方法及びLiMO
2(例えば、LiCoO
2)から得られた円筒型スパッタリングターゲット、並びに円筒型スパッタリングターゲットアセンブリ(例えば、過酷なスパッタリングターゲット環境を受け入れるために、バッキングチューブ上に支持されており、かつそれに適切に取り付けられている(例えば、接合している)1つ以上のLiMO
2の円筒型ターゲットボディ(例えば、LiCoO
2))を提供することを対象としている。
【0014】
本発明は、スパッタリングターゲットアセンブリにおいて使用するのに適した中空円筒の形態にある、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)を高密度化するためのCIPをベースとする方法、及び好適なターゲットバッキング支持体上にこのような中空円筒を組み立てて、LiCoO
2回転スパッタリングターゲットアセンブリの機能化をもたらす技法を含む。
【0015】
本発明は、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)中空円筒型ターゲットボディであって、このターゲットボディが、以下のうちの1つ以上(「複数の」は、a)〜h)の利用可能な任意の部分集合又はすべてである):
a)ASTM C693:「浮力によるガラスの密度に関する標準試験方法(Standard Test Method for Density of Glass by Buoyancy)」において記載されているようなアルキメデスの技法により決定すると、≧90%、より好ましくは91〜99.8%(95〜99.8%のように)となる相対密度範囲、
b)DCパルススパッタリングに一致する値となる、≦5kΩ−cm、より好ましくは≦2kΩ−cmとなる抵抗率の値、
c)5〜40マイクロメートル(より好ましくは、モノモーダル粒子サイズ分布及び/又は粒子サイズのバイモーダル分布を含めた、5〜20マイクロメートル)の平均粒径、
d)0.2〜3.0マイクロメートルのような(内径(inside diameter、ID)に関すると、この範囲内の高い方(より容易に湿潤される)の値、及び外径(outside diameter、OD)に関すると、やはりこの範囲内の低い方の値であるのが好ましい)≦3.0マイクロメートルの表面粗さ(surface roughness、Ra)
e)150〜500mm又はそれ超の軸長範囲(円筒ボディあたり)(これは、マルチ円筒型ターゲットアセンブリにおける区域又はセグメントを形成することができるか、又はスパッタリングターゲットアセンブリにおいて単独で使用することができる)、
f)75〜175mmのOD範囲、
g)50〜160mmのID範囲、及び/又は
h)焼結ボディにおける、1500ppm未満、より好ましくは500ppm未満、最も好ましくは100ppm未満の汚染物混入率を有するスパッタリングターゲットとして働くことを可能にする特徴を有する、中空円筒型ターゲットボディを形成することを含む。
【0016】
本発明の実施形態はまた、以下:
a)適切な特徴のLiMO
2(例えば、LiCoO
2)粉末の形成又は外部調達、
b)水性スリップへの原料粉末の分散及び湿式ミル粉砕(すなわち、スラリー)、
c)このスリップへのバインダの導入、
d)このスリップ(含まれているバインダを含む)を乾燥(例えば、スプレードライ)して粒状物を形成すること、
e)適切に設計されており、かつ寸法にされている金型(例えば、ポリマーがライニングされている金型)に粒状物を充填すること、
f)粒状物を冷間等方圧縮(CIP)して、成形体を形成すること(例えば、2000〜4000bar、及びより好ましくは4,000barのような圧力の半分より高い圧力範囲で)、
g)金型からのCIP高密度化成形体の取り出すこと、
h)この成形体の脱脂(有機バインダを燃え尽くす)及び焼結(例えば、最初にバインダの燃焼、次に焼結した成形体の形成という2段階燃焼手順)及び
i)成形体を所望の寸法に機械加工すること、又は他には微細化すること(焼結後、まだ好適な構成にない場合)
を含む、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)スパッタリングターゲット(例えば、平面プレート型ボディ、円筒型ボディ又は他のスパッタリングボディ構成体)の形成を含む。
【0017】
本発明において、上記の円筒型LiMO
2(例えば、LiCoO
2)セラミックボディ、並びに好適なバッキング支持体及びその間に取付層を含む、スパッタリングターゲットアセンブリを形成する方法も特徴としている。
【0018】
したがって、本発明は、対応する平面型スパッタリングターゲットと比べて、堆積速度の向上、ノジュール形成の傾向がより低いこと、及びより高度な材料利用をもたらす上記の円筒型LiMO
2(例えば、LiCoO
2)ターゲットボディを提供することを対象としている。更に、本発明は、ターゲットボディであって、本スパッタリング方法による堆積を行う場合、堆積されることになる元素を適切に供給するための高品質ターゲットが必須であること、及び堆積中にいかなる問題も引き起こすことなく、スパッタリングされる薄膜の所望の組成と適切に適合する材料からなるターゲットを必要とするという概念を満足することを指向した特徴を有する、ターゲットボディを提供する。このことはまた、例えば、固体の薄膜のLiをベースとするバッテリー又はセルの形成に使用される薄膜を生成するためのスパッタリングのような、上述のターゲットボディのうちの1つ以上を備えた、スパッタリングターゲットアセンブリをスパッタリングする、LiMO
2(例えば、LiCoO
2の場合、まさにその通りである。
【0019】
高品質の中空LiMO
2円筒型スパッタリングターゲットボディを形成するための技法を提供することに加え、経済的であり、かつ良好な非破損性及び高い品質スパッタリング操作性能を有するターゲットアセンブリをもたらす、好適な支持構造体上に、このようなセラミック製中空ターゲットボディ(単数又は複数)を取り付ける(例えば、接合ステップによって)ための技法も提供される。例えば、本発明は、バッキングボディ若しくはターゲットセグメント材料の一方から又は両方からはんだ層の層間剥離をもたらす累積熱及び収縮応力、並びにスパッタリング中のターゲットボディ(複数可)のひび割れという関連誘発などの問題の回避を指向する接合技法(例えば、インジウムなどの金属はんだバインダ)を特徴とする、回転円筒型LiMO
2スパッタリングターゲットアセンブリを提供することを対象としている。
【0020】
上記の状況を鑑みると、本発明の目的は、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)焼結スパッタリングターゲットボディなどのセラミック製スパッタリングターゲットボディを作製するための製造方法、及び言及したLiMO
2(例えば、LiCoO
2)焼結スパッタリングターゲットボディ、特に、中空円筒型セラミック製LiMO
2をベースとするターゲットボディなどの1つ以上のターゲットボディを有するスパッタリングターゲットアセンブリを作製する製造方法を提供することである。これらのスパッタリングターゲットアセンブリは、好適な接合/取付け材料を用いてターゲットボディ(単数又は複数)に取り付けられている(接合されている)、内部が一般的に管状の、円周方向に位置されている管支持体などのバッキング支持体と一緒になった、1つ以上のこのようなターゲットボディ(例えば、直列している隣接ターゲットボディ間に、空間を設けて又は設けないで(例えば、空間がない、又は恒久的な若しくは除去可能なスペーサーボディによって設けられている空間がある)、直列に配列されている、多数の円筒型セグメント)から形成される。配列を接合する固定化タイプの材料は、本発明において特徴付けられるが、他の取付け配列としては、例えば、一般に、摩擦保持、円周方向の間隙充填材料(例えば、導電性フエルトなどの、円周方向の間隙内に供給される圧縮可能な材料)が挙げられる。
【0021】
ターゲットボディを形成する本発明の方法、ターゲットアセンブリを組み立てる方法、及びこれらの方法のそれぞれの個々の製品は、高品質製品(例えば、単なる一例として、再充電可能なバッテリーにおいて使用される薄膜などの、言及した薄膜製品)を作製するのに十分に適したターゲットアセンブリをやはり提供しながらも、上記の1つ以上の製造の困難さなどの困難さを回避又は改善することを指向する特徴を有する。
【0022】
本発明は、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)焼結ターゲットボディ(Ni、Co、Mn、Ti、Al、V、Cr、Y、Sr、Ca、Zr、Zn、Si、Mg、Ga、W、Fe、Cu、La又はそれらの組合せ(セラミック材料において特徴的なLi及び金属(複数可)Mに対して、化学量論及び非化学量論LiMO
2組成を含む)からなる群からの金属として選択されるMなどとの遷移金属酸化物材料である構成成分としての材料Mを特徴とする実施形態を含む)を含む。例えば、Mは、Ni、Co及びMn、又はそれらの組合せ、並びに他のドーパント又は改変剤(Ti、Al、V、Cr、Y、Sr、Ca、Zr、Zn、Si、Mg、Ga、W、Fe、Cu、La又はそれらの組合せを含む)などの一次金属を含む。本発明は、スパッタリングターゲットアセンブリを形成するのに好適な取付手段により、金属製管状支持体などの管状バッキング支持体に接合されたLiMO
2(例えば、LiCoO
2)円筒型焼結ターゲットボディ(単数又は複数)を更に特徴とする。
【0023】
本発明は、冷間等方圧(「CIP」)方法により粉末セラミック源を高密度化し、次に、セラミック製円筒型成形ターゲットボディを焼結することにより、LiMO
2ターゲットボディなどのターゲット(「ターゲットボディ」)を形成する方法を更に含む。この粉末セラミック源に、好ましくは、湿式ミル粉砕及び乾燥(例えば、スプレードライ)が施されて、CIP高密度化プロセスで利用される粒状物にされる。この方法において、CIP及び焼結プロセスを使用して、スパッタリングプロセスにおいて使用するのに適した、明記したLiMO
2(例えば、LiCoO
2)円筒型スパッタリングターゲットボディなどの、中空円筒型スパッタリングターゲットボディが形成される。この同じ高密度化プロセス及び焼結プロセスはまた、平面型タイル又はディスク、及び他の様々に構成されているスパッタリングターゲットボディを作製するのに有用である。
【0024】
本発明は、金属製管状支持体などの管状バッキング支持体に接合されている、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)円筒型焼結ターゲットボディ(単数又は複数)を特徴とするLiMO
2(例えば、LiCoO
2)ターゲットアセンブリの製造方法を更に含む。本発明の一実施形態は、内部が円筒型の管状支持体(好ましくは、チタンから形成されているもの、及び複数のターゲットボディの場合の実施形態における一般的な支持体として使用されるもののような金属製管)に接合されている、予め形成された円筒形状の焼結LiMO
2(例えば、LiCoO
2)ターゲットボディ(単数又は複数)から組み立てられている、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)スパッタリングターゲットアセンブリを更に含む。ターゲットボディ(複数可)の表面の反対側の面と取り付けられているバッキング構造体との間に配置するための取付手段の一例は、金属はんだのような接合材料(例えば、In又はIn合金、Sn又はSn合金、Ag又はAg合金である接合材料)により、2つの構成成分を接合することを含み、このような合金は、材料の濡れ特性及び接合強度を改善するため若しくは融点を低下させるための、又は所望の混入物質として、ある量の他の金属元素を潜在的に含む。Ti、Zn、Cu、Ni、Ga、Ce、Bi、Sb、Si及びPbは、このような元素となり得る。このような接合材料(例えば、合金)はまた、最終の間隙充填接合材料が供給されて、バッキング基材とターゲットボディとを接合する前に、表面湿潤プロセスと併用して利用され得る。すなわち、本出願において接合材料を言う場合、湿潤材料、及び「間隙充填」接合材料(これは単独で使用されてもよく、又はターゲットボディ(複数可)のID若しくはバッキング支持体(複数可)のODの一方又は両方に供給される湿潤材料と併用して使用されてもよい)を含む。湿潤材料又は間隙充填材料は、共通の材料又は異なる材料のどちらかとすることができる。更に、熱膨張係数の橋渡し/変化をもたらすものなどの異なる材料が、円周方向の間隙内に適用されてもよい。
【0025】
本発明はまた、薄膜形成において、好ましくは好適な支持体と組合せた後、上述の本発明の焼結ターゲットボディ(単数又は複数)、又は例えば、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)焼結ターゲットボディ材料からなるボディを利用することも含む。例えば、薄膜形成は、薄膜リチウム二次セルの陽極の形成に使用されるものとすることができる。このような使用では、好ましい実施形態は、上で議論した真空スパッタリングチャンバのようなスパッタリングチャンバにおける、スパッタリングされた材料を生成するための源として、1つ以上の言及したLiMO
2(例えば、LiCoO
2)円筒型ターゲットボディ(複数可)を含む、回転円筒型スパッタリングターゲットアセンブリを特徴とする。
【0026】
本発明の分野は、ターゲットアセンブリにおける誘導加熱技法を含み、かつ上記のものなどの例えば、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)ターゲットボディアセンブリに適用可能な、ターゲットアセンブリ(例えば、1つ以上の円筒型ターゲットボディから形成される回転円筒型スパッタリングターゲットアセンブリ)を形成するための方法を更に含む。
【0027】
本発明の実施形態は、例えば、薄膜リチウム二次セル又はバッテリーにおける陽極の形成において使用するのに十分適した、スパッタリングターゲットの形態にある、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)焼結ボディを作製するための方法に更に関する。本発明は、平面型(例えば、ディスク又はシート)又は円筒型(一元型又は積層型ターゲット配列)を含み、かつターゲット材料が接合されている、プレート又は管の形態のバッキングボディを有する、ターゲットアセンブリなどの薄膜製品の形成に使用されるスパッタリングターゲットボディ及びスパッタリングターゲットアセンブリに更に関する。
【0028】
本発明の実施形態はまた、様々なアセンブリ技法により、本発明において作製されるスパッタリングターゲットボディを有する、スパッタリングターゲットアセンブリの形成も含む。好ましいアセンブリ技法の一例は、本発明において生成可能なセラミックLiMO
2(例えば、LiCoO
2)の形態などの導電性が相対的に低いターゲット材料ボディを接合するのに特に好適なものであり、このアセンブリ技法は、誘導加熱器と加熱されるターゲットボディに関連する添加される導電性材料(例えば、ターゲットボディのまわり及び誘導加熱器のコイル内部をラッピングする、添加された導電性布製ラップ)との組合せによる誘導加熱を含む。この誘導加熱技法は、1つ以上の中空円筒型セラミック製スパッタリングボディと好適な内部バッキング支持構造体との間に位置している、円周方向の間隙内に置かれる湿潤材料又は間隙充填接合材料などの、取付け(例えば、接合)材料の制御加熱をもたらす。誘導加熱器を使用する、及び好ましくは中間導電性材料も用いるこの接合技法は、接合プロセスにおいて放射加熱だけに制限される技法などの、他の取付け/バインダを適用する加熱技法に潜在的に関連し得る、熱衝撃、及び不十分な又は非持続的な取付けなどの問題の回避を促進する。しかし、本発明は、放射加熱ボンダー(bonder)などの代替的なアセンブリ接合技法を含む、好適なバッキング支持体に、本明細書に記載されているもののようなスパッタリングターゲットボディを取り付けるための別の接合技法の使用を含む。本発明のターゲットボディによる使用に適した別の接合技法/アセンブリの一例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれており、かつ以下に更に概説されている、Simpsonらの2007年4月5日に公開された米国特許公開第2007/0074969号(米国第’969号公開)に記載されているものを含む。
【0029】
本明細書に記載されているターゲットボディ(複数可)によりスパッタリングターゲットアセンブリを形成するのに適した接合技法の追加の例は、参照により本明細書に組み込まれている、同一出願人への2013年5月16日に公開された、米国公開第2013/0118898号(米国第‘898号)に見いだされる。この刊行物は、接合段階の間に接合強度を増強するよう設計されている選択的な表面処理によって、ターゲットボディとバッキング支持体との間の領域を画定する対向する面の一方又は両方において、個別領域を意図的に形成させることを含む。
【0030】
1つ以上の誘導加熱器(上述の導電性ラップなどの、添加された導電性構成成分を有する又は有さない)を利用する上記の接合技法などの本発明における実施形態では、取付け(例えば、接合)プロセスの間に、回転ターゲットアセンブリ内の、温度グラジエントの制御可能性の改善がもたらされる。例えば、ターゲットボディの対向する表面と関連するバッキング支持体との間の領域内に供給される取付け材料に発生する軸方向の熱グラジエント全体にかかる追加の制御が容易になる。誘導加熱器の電気周波数及びエネルギーレベルは、軸方向と半径方向とのバランスのとれた加熱が容易になるほど制御可能とである。周波数は、より高い導電性(例えば、金属製バッキングチューブ)の1つなどのバッキング支持体の存在下で、例えば、中程度の導電性セラミック製ターゲット材料(本発明のLiMO
2(例えば、LiCoO
2)だけのターゲットボディの形態によって表されるような)の加熱を効果的に制御するよう選択され得る。加熱及び冷却の速度は、単一出力制御によりグラジエントを最小化しながら、最大化することができる。これにより、アセンブリ回数が低減する。誘導加熱素子はまた、加熱されるアセンブリへの優れた利用機会をもたらすよう、相対的に小さくすることもでき、明記した導電性ラップなどの明記された添加された導電性構成成分を使用して、例えば、加熱される唯一の中程度の導電性のターゲットボディに対して、制御可能な形式で誘導加熱を補うことができる。
【0031】
対象の誘導加熱速度は、誘導電流の周波数、誘導電流の強度、材料の比熱、材料の透磁率及び電流への材料の抵抗率を含めた、いくつかの因子に依存する。物理特性により誘導加熱に直接的に十分適していない(例えば、LiMO
2のある種の形態(例えば、LiCoO
2)ターゲットボディが代表的なものである)、スパッタリングアセンブリの構成成分がもたらされる状況では、本発明は、この限定を排除する方法をもたらす。誘導加熱器を単独で用いて直接、セラミックを誘導加熱する代わりに、セラミック製部品(ターゲットボディ)が、ラッピングされたセラミックの温度を高めるための慣用的な熱伝播を使用して、加熱される誘導に感受性の高い材料によりラッピングされる。
【0032】
金属製及び非金属製材料のものを含めた、いくつかの導電性ラップ(例えば、導電性スリーブ)は、本発明において特徴的なものであるが、炭素が埋め込まれた織布(例えば、ガラス繊維又は他のセラミック繊維からなる布)の導電性ラップは、ラッピングされたLiMO
2(例えば、LiCoO
2)円筒の効率的な加熱をもたらすことを特徴とする。
【0033】
有利なことに、出力及び誘導加熱器制御の周波数の適切な選択により、ラッピングされた中空LiMO
2(例えば、LiCoO
2)円筒が誘導加熱ユニットの関連コイルにより取り囲まれることを可能にする寸法を有する環状誘導加熱ユニットにより、効率的な加熱が実現される。更に、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)円筒の内径(ID)よりも小さな外径(OD)のバッキングチューブは、中空LiMO
2(例えば、LiCoO
2)円筒内に置かれ、同時に組合せ加熱される。
【0034】
本発明の実施形態はまた、保護ラップの封入も含む(利用される場合、単独で又は導電性ラップと組み合わせてのどちらか)。取付け/接合段階に先立って、本発明の技法の下で形成されるターゲットボディのODまわりに保護ラップが提供される。この保護ラップは、ポリアミドフィルム(例えば、Kapton(登録商標)フィルム)のラップなどの所期の加熱環境に適した材料から形成される。好ましい実施形態では、この保護ラップは、実質的に空気ポケットを含まないで、下層のセラミック製ターゲットのOD表面に直接、取り付けられ、接着剤又は粘着剤を含まない追加的な固定が望まれる場合、この固定は、保護ラップの外部表面のまわりに適用されるテープなどの保持手段を用いて行うことができる。導電性ラップが使用される実施形態では、保護ラップは、導電性ラップがターゲットボディに直接接触して置かれる場合にもたらされる、反応物又は堆積物(例えば、きず)の分解からある程度の保護をもたらす。導電性ラップは、使用される場合、下層の表面(例えば、使用される場合、保護ラップ、又は保護ラップは利用されない場合、ターゲットボディ)に対する空気ポケットの形成を回避するよう、やはり好ましくは十分に薄く、かつ可撓性がある。明記したラップの一方又は両方にとって、リボン状螺旋ラップが好ましい。本発明において特徴的な保護ラップの追加的な利点は、保護ラップ(好ましくは、やはり、シリコーン粘着テープを用いるポリアミドのような、外側に利用される任意のテープを用いる)は、誘導加熱器の使用の停止及び導電性ラップの除去後に、適切な位置に保持され得ること、並びにその後スパッタリング使用が望まれるまでの期間の保護が保持され得ることである。
【0035】
したがって、本発明の実施形態は、LiCoO
2などのCIPをベースとするLiMO
2を形成するための方法、円周方向に配列された中空セラミック製ターゲットボディ(スペーサーを有する及び有さないモノリシック又は積み重ねられているもの)などのスパッタリングターゲットをバッキングチューブに接合するための方法、及びターゲットアセンブリ形成プロセスにおいて、本明細書に記載されている誘導加熱技法を使用する、CIPをベースとするLiMO
2(例えば、LiCoO
2)ターゲットボディが組み合わされた有利な配列を含む。
【0036】
本発明において、LiMO
2(例えば、LiCoO
2)円筒型ターゲットボディを特徴とする。ターゲットボディの実施形態は、90%又はそれ超の密度、5〜40マイクロメートルの平均粒子サイズ(バイモーダル粒子サイズ分布のようなものであるが、可能な代替実施形態は、モノモーダル粒子サイズ分布であることを特徴とする)、≦5kΩ−cmの抵抗率(パルス化DCスパッタリングに好適な値のような)、及び0.2〜3.0マイクロメートルの表面粗さ(IDとODの両方にとって)を有するものを含む。
【0037】
本発明では、バッキング支持体(例えば、上記のLiMO
2円筒型ターゲットボディ(複数可)、管状バッキング支持体、及びこのターゲットとこのバッキング支持体を一緒に接合するよう配置されているバインダのような取付手段を含むスパッタリングターゲットアセンブリ)を有する1つ以上のLiMO
2(例えば、LiCoO
2)円筒型ターゲットボディ(複数可)を含む、スパッタリングターゲットアセンブリをやはり特徴とする。
【0038】
本発明では、セラミック粉末源及びバインダの湿式ミル粉砕後に形成される粒状物のCIP高密度成形、次いで、CIP成形ボディの加熱処理物の脱脂及び焼結という二段階のような加熱処理によって、中空円筒型ターゲットボディなどの、平面型プレート成形体又は代替的な成形体のようなLiMO
2(例えば、LiCoO
2)ターゲットボディを形成する方法を特徴とする。
【0039】
本発明はまた、金属製円筒型管などのバッキング支持体と関連付けて薄膜材料をスパッタリングする際、及び接合材料により上記2つを接合する際に使用するのに好適なものとなるよう、本発明において形成されるLiMO
2(例えば、LiCoO
2)の中空円筒型ターゲットボディの正しい位置決めを含む方法を含む。好適な接合材料の一例は、スパッタリングシステムにおいて使用するため、ターゲットボディの内部とバッキングチューブの外側の表面を接合するよう、これらの2つの間に配置される、インジウム又はインジウム合金などの金属はんだを含む。
【0040】
本発明において、バッキング支持体に接合されている上記のもの(例えば、LiCoO
2焼結ターゲットボディ(単数又は複数))などの1つ以上のターゲットボディを含む、スパッタリングターゲットアセンブリを形成する方法も特徴としている。以下に記載されている実施形態において、バッキング支持体に接合されているスパッタリングターゲットボディ又はセグメントは、円筒型ターゲットボディであるが、本技法は、1つ以上の平面型ターゲットボディを平面型バッキング支持プレートに接合するなどの、他のターゲットボディ成形体にやはり適している。下記のスパッタリングターゲットアセンブリ方法では、円筒型ターゲットボディ(単数又は複数)は、以下に説明されているような接合技法を使用して、好適な支持体(例えば、金属製管状支持体)に接合される:
以下:
i)インジウム又はインジウム合金などの湿潤材料(一部の環境では、接合界面を増強するため、Ag又はNiなどの追加的な中間層を有する又は有さない)より、円筒(例えば、LiCoO
2円筒)のIDを湿潤(例えば、直接湿潤)すること、
ii)インジウム又はインジウム合金などの湿潤材料(一部の環境では、接合界面を増強するため、Ag又はNiなどの追加的な中間層を有する又は有さない)より、バッキングチューブのODを湿潤(例えば、直接湿潤)すること、
iii)円筒型スパッタリングターゲットアセンブリを形成するよう、ターゲットボディ(複数可)を対応するバッキング支持体に接合するために、追加的なインジウム又はインジウム合金などの、湿潤表面間の中間(例えば、円周方向の間隙充填)接合材料を準備すること(すなわち、バッキングチューブのODと円筒のIDとの間の間隙を充填すること)、及び
iv)接合プロセスと併用した、誘発熱発生器を利用すること
を含む、接合技法による、円筒型形状の焼結ターゲットボディ(ID及び/又はODの機械加工により微細化されるものなどのID及びODを有する)を管状支持体などの好適なバッキング支持体への接合。
【0041】
本発明の一部の実施形態では、湿潤層形成(及び/又は追加の中間層)が、半径方向に十分に厚く、熱の適用時に容易に軟化する場合として、取付手段によって充填される中間間隙を設けていないバッキング支持体と比べて、ターゲットボディが直接、伸縮自在にスライディングすることを特徴とする。しかし、本発明において特徴とするLiMO
2(例えば、LiCoO
2)円筒型ターゲットボディの場合、ターゲットボディ(複数可)とバッキング支持体との間に円周方向の間隙を設ける接合技法を使用し、次いで間隙充填接合(取付け)材料を添加するのが好ましい。
【0042】
本発明は、ターゲット形成、ターゲットアセンブリ形成、並びにそれぞれの製造及び使用のどれも、本発明の主題を含む。例えば、本発明は、以下を含む:
A)
中空円筒型スパッタリングターゲットボディにLiMO
2材料源を構成すること
を含む、スパッタリングターゲットを形成するための方法。
B)中空円筒型スパッタリングターゲットボディを形作るために、冷間等方法(CIP)で、LiMO
2材料を圧縮することを含む、Aの中空円筒型スパッタリングターゲットボディを形成する方法。
C)1回のCIPステップだけが、完成した円筒型スパッタリングターゲットボディの形成において実施される、Bの方法。
D)円筒型スパッタリングターゲットボディが、少なくとも100mmの軸長を有する、Bの方法。
E)軸長が100mm〜1000mmである、Dの方法。
F)圧縮LiMO
2材料が、バインダ材料と一緒に圧縮される、Bの方法。
G)圧縮前に、LiMO
2材料に、湿式ミル粉砕が施される、Bの方法。
H)湿式ミル粉砕したLiMO
2が、圧縮前にバインダと混合される、Gの方法(例示的なバインダは、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニルからなる群から選択されるものである)。
I)湿式ミル粉砕したLiMO
2とバインダとの混合物にスプレードライが施されて、粒状物が形成される、Hの方法。
J)粒状物の総数の少なくとも70%が、CIP段階(より好ましくは、60〜100マイクロメートルの範囲中)において圧縮が施される、40〜120マイクロメートルのサイズ(より好ましくは、60〜100マイクロメートルの範囲)を有する、Iの方法。
K)粒状物が金型に置かれて、CIP圧縮が施される、Iの方法。
L)CIP圧縮レベルが3000〜4000barである、Kの方法。
M)CIP圧縮が、20〜30℃(例えば、周囲温度のような)の温度範囲で行われる、Hの方法。
N)CIPの前に、LiMO
2材料が湿式ミル粉砕されて、CIP段階のためCIP金型内に位置している粒状物を形成するよう、スプレードライされる、Bの方法。
O)湿式ミル粉砕されたLiMO
2が、Ni、Co、Mn、Ti、Al、V、Cr、Y、Sr、Ca、Zr、Zn、Si、Mg、Ga、W、Fe、Cu、La又はそれらの組合せからなる群からの金属として選択されるMなどとの遷移金属酸化物材料の構成成分とて、Mを有する、Nの方法(例えば、Mは、Ni、Co及びMn、又はそれらの組合せなどの一次金属、並びにTi、Al、V、Cr、Y、Sr、Ca、Zr、Zn、Si、Mg、Ga、W、Fe、Cu、La又はそれらの組合せを含めた、他のドーパント又は改変剤を含む)。例えば、Li/Mの比は、変動して(例えば、化学量論又は非化学量論)所期の最終製品の属性及びスパッタリング装置の特徴に適合することができ、0.90〜1.25(0.98〜1.05のような)のLi/M(例えば、Li/Co)原子比が、一部の実施形態の例示である。
P)CIP方法において形成された成形体に焼結が施される、Kの方法。
Q)バインダ材料が除去される脱脂段階、次いでその後の熱適用段階としての焼結を含む2段階加熱適用の一部として、焼結が実施される、Pの方法。
R)2段階加熱適用が、125〜600℃の範囲でのバインダの除去段階、及び600〜1050℃の範囲の焼結段階を含む、Qの方法(実施形態は、バインダの除去温度を超える焼結温度を特徴とする)。好ましい焼結温度範囲は、950〜1050℃、及びより好ましくは1000〜1050℃であり、焼結温度は、例えば、3000〜4000BarのCIP圧力範囲、及びより好ましくは3050〜4000Barの後であることを特徴とする。
S)2段階加熱適用後に作製される焼結ボディが、LiCoO
2材料を含むものとして、LiMO
2材料を有する、Qの方法。
T)焼結ボディの内径に湿潤材料供給して、湿潤スパッタリングターゲットボディを得ることを含む、Qの方法。
U)スパッタリングターゲットボディが、バイモーダル粒子パターンを有するよう形成される、Aの方法。
V)バイモーダルパターンのピークのそれぞれが、40マイクロメートル未満である、Uの方法。
W)スパッタリングターゲットボディが、40μm未満の平均粒子サイズを有しており、湿式ミル粉砕が施される、セラミックLiMO
2原料粉末から形成される、Aの方法。
X)湿式ミル粉砕後のLiMO
2材料が、0.15〜2.0マイクロメートルの平均粒子サイズを有する、Wの方法(少なくとも10/1の比に縮小されるもの(例えば、7〜8μmという元の平均粒子サイズが、湿式ミル粉砕されて小さくされ、0.5+/−0.3μmのような0.15〜1.0μm平均粒子サイズに縮小される))。
Y)バインダが、中空円筒型スパッタリングターゲットボディへの構成するためのLiMO
2粒状物材料源をもたらすよう、湿式ミル粉砕されたLiMO
2粒子を含むスラリー中に含まれて、湿式ミル粉砕されたLiMO
2と一緒にスプレードライする、Aの方法。
Z)CIP圧縮ボディに焼結が施され、≧90%となる密度を有する、Bの方法。
AA)パッキング支持体を用いて、AからZにおいて説明されている方法で形成される、スパッタリングターゲットボディ(複数可)のうちの1つ以上を組み合わせることを含む、スパッタリングターゲットアセンブリを形成する方法。
BB)バッキング支持体が、1つ以上のスパッタリングターゲットボディの内径IDと接合されている外径ODを有する管型ボディである、AAの方法。
CC)管型ボディのOD及び1つ以上のスパッタリングターゲットボディのIDが、円周方向の間隙を画定し、管型ボディ及びスパッタリングターゲットボディ(複数可)が、円周方向の間隙内に接合材料を供給することにより接合される、BBの方法。
DD)複数のスパッタリングターゲットボディが存在し、各々が、一般的なCIP方法で形成され、それぞれが、管型ボディに接合されている、CCの方法。
EE)管型ボディに接合されているスパッタリングターゲットボディの各々が、LiCoO
2を含む、DDの方法。
FF)一緒にする方法が、1つ以上の誘導加熱器に熱を供給することを含む、AAの方法。
GG)1つ以上のスパッタリングターゲットボディのまわりに導電性ラップを配置して、こうして、1つ以上の誘導加熱器のうちの少なくとも1つによって生じるエネルギーを受け取るように配置することを更に含む、FFの方法。
HH)以下:
j)LiMO
2粉末材料を形成させること又は外部調達すること、
k)水性スリップにこの粉末を分散及び湿式ミル粉砕すること、
l)スリップにバインダを導入すること、
m)バインダを含むスリップを乾燥(例えば、スプレードライ)して粒状物を形成すること、
n)粒状物を金型に充填すること、
o)金型内の粒状物を冷間等方圧縮(CIP)して、成形体を形成すること、
p)金型からCIP高密度化成形体を取り出すこと、
q)CIP高密度化成形体を脱脂して焼結すること、
を含む、LiMO
2スパッタリングターゲットボディを形成する方法。
II)スパッタリングターゲットボディの所望の構成に成形体を機械加工することを更に含む、HHの方法。
JJ)LiMO
2粉末材料が、LiCoO
2粉末材料を含む、HHの方法。
KK)CIP成形が、3000〜4000barの圧力範囲で行われる、HHの方法。
LL)脱脂及び焼結した高密度化成形体が、≧90%の密度値を有する、HHの方法。
MM)脱脂及び焼結した高密度化成形体が、≦5kΩ−cmの抵抗率を有する、LLの方法。
NN)パッキング支持体を用いて、HHにおいて形成されるスパッタリングターゲットボディを接合することを含む、スパッタリングターゲットアセンブリを形成する方法。
OO)バッキング支持体が、スパッタリングターゲットボディの内径IDと接合されている外径ODを有する管型ボディである、NNの方法。
PP)管型ボディのOD及びスパッタリングターゲットボディのIDが、円周方向の間隙を画定し、管型ボディ及びスパッタリングターゲットボディが、円周方向の間隙内に接合材料を供給することにより接合される、OOの方法。
QQ)複数のスパッタリングターゲットボディが存在し、各々が、CIP高密度化方法により形成され、スパッタリングターゲットボディのそれぞれが管型ボディに接合されている、PPの方法。
RR)管型ボディに接合されているスパッタリングターゲットボディの各々が、LiCoO
2を含む、QQの方法。
SS)接合する方法が、1つ以上の誘導加熱器に熱を供給することを含む、NNの方法。
TT)1つ以上のスパッタリングターゲットボディのまわりに導電性ラップを配置して、こうして、1つ以上の誘導加熱器のうちの少なくとも1つによって生じるエネルギーを受け取るように配置されることを更に含む、SSの方法。
UU)LiMO
2を含む中空円筒型ターゲットボディを備えた、スパッタリングターゲット。
VV)LiMO
2のターゲットボディがLiCoO
2を含む、UUのスパッタリングターゲット。
WW)ターゲットボディの軸長が少なくとも100mmである、UUのスパッタリングターゲット。
XX)ターゲットボディが、5〜40マイクロメートルの平均粒径を有しており、≧90%の相対密度範囲を有する、UUのスパッタリングターゲット。
YY)平均粒径が5〜20マイクロメートルである、XXのスパッタリングターゲット。
ZZ)スパッタリングターゲットボディが、40マイクロメートル未満の各ピークを有するバイモーダル粒子分布を有する、UUのスパッタリングターゲット。
AAA)LiMO
2がLiCoO
2を含む、XXのスパッタリングターゲット。
BBB)ターゲットボディが、20マイクロメートル未満の各ピーク平均径ピークを有するバイモーダル粒子分布を有する、UUのスパッタリングターゲット。
CCC)ターゲットボディがLiCoO
2である、BBBのスパッタリングターゲット。
DDD)UU〜CCCのスパッタリングターゲットボディ(複数可)のうちの1つ以上、及びターゲットボディ(複数可)を支持するバッキング支持体を含む、スパッタリングターゲットアセンブリ。
EEE)バッキング支持体により1つ以上のスパッタリングターゲットボディを取り付ける取付けデバイス(例えば、はんだ、フエルト、エラストマー、粘着剤及び他の取付手段)を更に含む、DDDのスパッタリングターゲットアセンブリ。
FFF)1つ以上のスパッタリングターゲットボディのそれぞれが、中空円筒型形状を有しており、バッキング支持体が、1つ以上のターゲットボディの内径IDと接合されている外径ODを有する管型ボディである、DDDのスパッタリングターゲットアセンブリ。
GGG)管型ボディのOD及び1つ以上のスパッタリングターゲットボディのIDが、円周方向の間隙を画定し、取付けデバイスが、円周方向の間隙内に配置されている接合材料を含む、FFFのスパッタリングターゲットアセンブリ。
HHH)複数のスパッタリングターゲットボディが存在し、スパッタリングターゲットボディのそれぞれが管型ボディに接合されている、FFFのスパッタリングターゲットアセンブリ。
III)管型ボディに接合されているスパッタリングターゲットボディの各々が、LiCoO
2を含む、HHHのスパッタリングターゲットアセンブリ。
JJJ)1つ以上のスパッタリングターゲットボディのまわりに配置されている1つ以上の導電性ラップを更に含む、FFFのスパッタリングターゲットアセンブリ。
【0043】
上記の例示的な本発明の実施形態では、文字付けされた1つの例からそれより早い文字付けされた例に戻る参照は、様々となり得、詳しく説明され得る。例えば、例「U」の「A」への参照は、単に「A」というよりも「A」から「T」のそれぞれであるよう詳しく説明され得、互いに可能な一貫した組合せは、上で提示されている例「A」から「JJJ」に対する本発明の特徴である。
【0044】
本発明の実施形態
第1の態様から鑑みると、本発明は、以下の製品実施形態を更に提供することができる:
実施形態1:スパッタリングターゲットアセンブリにおける使用に適合したリチウム含有遷移金属酸化物をベースとする円筒型中空ターゲットボディであって、この円筒型中空ターゲットボディは、バッキングチューブ上に接合される(及び、したがって接合に好適である)ようになされて、それによって、スパッタリングターゲットアセンブリが形成され、円筒型中空ターゲットボディは、相対密度値90.0%以上、好ましくは91.0%以上及び99.8%以下を有しており、リチウム含有遷移金属酸化物は、バイモーダル粒子サイズ分布を含むマイクロ構造からなる、又はこれを有する、リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする円筒型中空ターゲットボディ。
【0045】
≧90.0%という(高い)相対密度を有するリチウム含有遷移金属酸化物をベースとする円筒型中空ターゲットボディを実現することにより、このボディにおける空隙が最小化され、その結果、本発明による円筒型ターゲットボディが、その外部表面上に、耐性及び機械的強度の改善(90%より低い相対密度を有する円筒型ターゲットボディと比べて)をもたらし、それによって、使用中(スパッタリング中)に、ノジュールの形成がスパッタリングターゲット表面の電気特性に影響を及ぼすので、有害であることが知られているスパッタリングターゲット表面におけるノジュール形成を誘発する、ターゲットの外部表面に再凝縮されるターゲットボディ表面からの粒子の放出を防止する。この効果/結果は、スパッタリングプロセス自体を支配する操作メカニズムを犠牲にする恐れがある。更に、空隙は、材料中に局所的に分布して、コーティング特性の不均質性[空隙を有するターゲットをスパッタリングする結果として]を誘発するので、ターゲット中の材料分布の局所不均質性の深刻な原因となる。その意味で、本発明において特許請求されている値などの高い相対密度を実現すると空隙がかなり低減され、こうして、好適な機械的特性及び組成特性を有する材料が得られ、スパッタリングターゲットとして、好ましくは最適な方法でその使用が可能になる。
【0046】
実施形態2:リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする円筒型中空ターゲットボディは、5kΩcm以下、好ましくは3kΩcm以下、より好ましくは2kΩcm以下の抵抗値を有する。
【0047】
ターゲットボディの高い抵抗率(すなわち、5kΩcmより高い抵抗率)は、局所アーク発生現象の形成にリンクしている。アーク発生現象は、微塵(スパッタリングボディの外部表面の微細破損に起因する)の量の増加が原因であり、これにより、スパッタリングに起因する基材のコーティング特性の均質性に悪影響を及ぼす。
【0048】
したがって、均質なコーティング特性を保証するよう、スパッタリング中の安定なプラズマコーティングプロセスを維持するため、低い抵抗率(すなわち、5kΩcm以下、好ましくは3kΩcm以下、より好ましくは2kΩcm以下)が望ましい。
【0049】
高い密度は、電気絶縁体となる空隙がより少ないことに関連するので、抵抗率の低さは、高密度に直接、関連する。
【0050】
実施形態3:中空円筒型ターゲットボディのリチウム含有遷移金属酸化物は、1μm以上、好ましくは5μm、及び46μm以下、より好ましくは45μm、最も好ましくは40μmの平均粒径を有する。
【0051】
実施形態4:中空円筒型ターゲットボディのリチウム含有遷移金属酸化物は、5μm以上及び20μm以下の平均粒径を有する。
【0052】
実施形態5:中空円筒型ターゲットボディのリチウム含有遷移金属酸化物は、バイモーダル粒子サイズ分布を有しており、バイモーダル粒子サイズ分布の各モード(又はピーク)は、50μm以下、好ましくは46μm、より好ましくは40μm、更により好ましくは、30μm以下、場合により20μm以下の平均径の値に中心がある。
【0053】
実施形態6:リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする円筒型中空ターゲットボディは、バイモーダル粒子サイズ分布を有しており、バイモーダル粒子サイズ分布の各モード(又はピーク)は、1μm以上、好ましくは5μm、及び20μm以下、好ましくは20μm未満の平均径の値に中心がある。
【0054】
実施形態7:中空円筒型ターゲットボディのリチウム含有遷移金属酸化物は、一般式:LiMO
2又はLiMM’O
2(Mは、Ni、Co、Mn、Ti、Al、V、Cr、Y、Sr、Ca、Zr、Zn、Si、Mg、Ga、W、Fe、Cu、La又は少なくとも1つのそれらの組合せからなる群から選択される遷移金属であり、M’は、Ti、Al、V、Cr、Y、Sr、Ca、Zr、Zn、Si、Mg、Ga、W、Fe、Cu、La又は少なくとも1つのそれらの組合せからなる群から選択されるドーパントである)を有する。
【0055】
実施形態8:中空円筒型ターゲットボディのLiMO
2又はLiMM’O
2リチウム含有遷移金属酸化物は、0.90以上及び1.25以下、好ましくは0.98以上及び1.05以下のLi/M又はLi/(M+M’)原子比を有する。
【0056】
実施形態9:中空円筒型ターゲットボディのLiMM’O
2リチウム含有遷移金属酸化物は、0.001以上及び0.05以下のM’/M原子比を有する。
【0057】
実施形態10:中空円筒型ターゲットボディのLiMO
2リチウム含有遷移金属酸化物は、一般式:LiCoO
2を有する。
【0058】
実施形態11:中空円筒型ターゲットボディのリチウム含有遷移金属酸化物は、1.00+/−0.01に等しいLi/Co比を有しており、好ましくはこの比は、1.00+/−0.50に等しく、より好ましくはこの比は、0.60+/−0.01以上及び0.80+/−0.01以下である。
【0059】
実施形態12:リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする中空円筒型ターゲットボディは、0.2μm以上及び3.0μm以下の外部表面の粗さ及び/又は内部表面の粗さを有する。
【0060】
実施形態13:リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする中空円筒型ターゲットボディは、2.5+/−0.25μmに等しい外部表面の粗さ及び/又は内部表面の粗さを有する。
【0061】
実施形態14:リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする中空円筒型ターゲットボディは、100mm以上及び1000mm以下、好ましくは150mm以上及び500mm以下の軸長範囲を有する。
【0062】
実施形態15:リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする中空円筒型ターゲットボディは、外径75mm以上及び175mm以下、並びに内径50mm以上及び160mm以下を有する。
【0063】
実施形態16:リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする中空円筒型ターゲットボディは、1500ppm未満、好ましくは1000ppm未満、より好ましくは100ppm未満の汚染物混入率しか有していない。
【0064】
特定の実施形態16の枠組みでは、リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする中空円筒型ターゲットボディは、少なくとも99.995重量%、好ましくは99.99重量%、より好ましくは99.9重量%の純度を有する。
【0065】
第2の態様から鑑みると、本発明は、以下の方法実施形態を提供することができる:
実施形態17:リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする円筒型中空ターゲットボディを製造する方法であって、
リチウム含有遷移金属酸化物材料、好ましくはリチウム含有遷移金属酸化物粉末を準備するステップ、
水溶液を準備するステップ、
撹拌下で、リチウム含有遷移金属酸化物材料又はリチウム含有遷移金属酸化物粉末と水溶液を接触させて、スラリーを形成するステップであって、リチウム含有遷移金属酸化物材料又はリチウム含有遷移金属酸化物粉末が、好ましくは、水溶液中に、均質に分散されるステップ、
スラリーを湿式ミル粉砕して、好ましくは、粉末/材料及び水溶液から作製される均質なスラリーを形成させるステップ、
スラリー中の少なくとも1つのバインダを撹拌下で添加して、少なくとも1つのバインダを含む均質スラリーにするステップ、
少なくとも1つのバインダを含むスラリーをスプレードライして、リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする粒状物を形成させるステップ、
冷間等方圧(CIP)条件下で、中空円筒形状の金型中でリチウム含有遷移金属酸化物をベースとする粒状物を成形して、成形ボディを形成させるステップ、
成形ボディを加熱して、少なくとも1つのバインダを除去して、好ましくはバインダ不含の成形ボディを得るステップ(このステップは、本特許出願における脱脂ステップとも呼ばれる)、及び
加熱ステップ後に成形ボディを焼結して、バイモーダル粒子サイズ分布を含む又はこれからなるリチウム遷移金属酸化物のマイクロ構造にあるリチウム含有遷移金属酸化物の円筒型中空ターゲットボディを得るステップ
を含む、方法。
【0066】
場合により、実施形態17のプロセスにおいて、リチウム含有遷移金属酸化物材料は、40μm未満のメジアン粒子サイズを有する粉末形態で供給される。
【0067】
実施形態18:本方法は、円筒型中空ボディを機械加工して、100mm以上及び1000mm以下の軸長範囲、75mm以上及び175mm以下の外径、並びに50mm以上及び160mm以下の内径で成形する第1のステップを含む。
【0068】
実施形態19:本方法は、円筒型中空ボディを機械加工して、0.2μm以上及び3.0μm以下の外部表面及び/又は内部表面の粗さで成形する、第2のステップを含む。
【0069】
実施形態20:焼結ボディを機械加工する第1及び第2のステップは、同時に又は逐次に行うことができる。
【0070】
実施形態21:リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする粒状物を成形するステップは、2000〜4000barsの間、より好ましくは3000〜4000barの間の圧力範囲のCIP下で行われる。
【0071】
実施形態22:成形するステップは、20℃〜30℃の間の範囲の温度で行われる。
【0072】
実施形態23:湿式ミル粉砕ステップは、40μm〜120μmの間のサイズを有する粒状物の総数の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%を占めるリチウム含有遷移金属酸化物をベースとする粒状物を得るよう行われる。
【0073】
実施形態24:少なくとも1つのバインダを除去するための加熱ステップは、150℃以上及び600℃以下の第1の温度で、好ましくは連続的に行われ、焼結ステップは、第1の温度超及び1100℃以下、より好ましくは1050℃以下である第2の温度で、好ましくは連続的に行われ、焼結の第2の温度は、好ましくは600℃超である。より好ましくは、加熱ステップ及び焼結ステップは、加熱ステップから焼結ステップへの円滑な移行の間に行われる中断及び温度の低下がないように、加熱ステップと焼結ステップとの間の連続的な移行を含めて、連続的及び逐次に行われる。
【0074】
実施形態25:成形ボディを加熱するステップは、10時間以上及び25時間以下、好ましくは12時間以上及び25時間以下の第1の期間P1の間に、好ましくは連続的に行われる。
【0075】
好ましくは、加熱するステップは、順番に行われ、
a)第1の周囲段階温度ST1又はT
amb.(第1の周囲温度は、20℃〜30℃の間の範囲で含まれる)から第2段階温度ST2(150℃≦ST2≦300℃、好ましくはST2=250℃)まで、好ましくは連続的に成形ボディを加熱する第1のステップであって、第1の加熱するステップが、3時間以上及び5時間以下、好ましくは3.75時間に等しい第2の期間P2の間で好ましくは適用される、ステップ、
b)2時間以上及び5時間以下、好ましくは3時間に等しい第3の期間P3の間に、第2段階温度ST2で、好ましくは連続的に成形ボディを加熱する第2のステップ、
c)5時間以上及び10時間以下、好ましくは8時間に等しい、より好ましくは9時間に等しく、最も好ましくは、8〜9時間の間で規定された範囲で含まれる第4の期間P4の間に、第2段階温度ST2に等しい第3段階温度ST3(その結果、ST3=ST2となる)から第4の段階温度ST4まで(ST4>ST3であり、400℃≦ST4≦600℃であり、好ましくはST4=500℃である)、好ましくは連続的に成形ボディを加熱する第3のステップ、
d)2時間以上及び5時間以下、好ましくは3時間に等しい第5の期間P5の間、第4の段階温度ST4で、好ましくは連続的に成形ボディの加熱を維持し、こうして、少なくとも1つのバインダが除去された(加熱)成形ボディが得られる、第4のステップ
を含む。
【0076】
実施形態26:ステップa)、c)及びd)が任意選択である、実施形態25に記載の方法。
【0077】
実施形態27:成形ボディを焼結ステップは、20時間以上及び31時間以下の第6の期間P6の間に、好ましくは連続的に行われる。
【0078】
好ましくは、焼結ステップは、順番に行われ、
a)第4段階温度ST4から第5段階温度ST5(ST5>ST4及び好ましくは600℃≦ST5≦800℃、好ましくはST5=750℃)まで、好ましくは連続的に成形ボディを焼結する第1のステップであって、第1の焼結ステップが、好ましくは、1時間以上及び3時間以下、好ましくは2時間に等しい第7の期間P7の間に、好ましくは適用される、ステップ、
b)第5段階温度ST5から第6段階温度ST6(ST6>ST5及び900℃≦ST6≦1100℃、好ましくは1000℃≦ST6≦1100℃、より好ましくはST6=1025℃)まで、好ましくは連続的に成形ボディを焼結する第2のステップであって、第1の焼結ステップが、好ましくは、8時間以上及び10時間以下、好ましくは9時間に等しい第8の期間P8の間に、好ましくは適用される、ステップ、
c)10時間以上及び16時間以下、好ましくは15時間に等しい第8の期間P8の間に、第6段階の温度ST6において、好ましくは連続的に、成形ボディを焼結して、焼結した成形ボディを得る、第3のステップ、
d)1時間以上及び2時間以下、好ましくは1.5時間に等しい、より好ましくは1.75時間に等しい、第9の期間P9の間、第6段階の温度ST6から第7の段階温度ST7(ST7<ST6及び500℃≦ST7≦700℃、好ましくはST7=600℃)まで、好ましくは連続的に、成形ボディを加熱する第4のステップ
を含み、
場合により、実施形態27のステップd)の後に、焼成する第4のステップの後に行われる、冷却するステップe)が続き、成形ボディ(又は焼結した成形ボディ)の、好ましくは連続的に行われる冷却ステップは、第7段階の温度ST7から、又は第6段階の温度ST6から第8段階の温度(ST8=T
amb.(周囲温度であるT
amb.は、20℃〜30℃の間、好ましくは25℃に等しいと規定された範囲で構成する)まで行われる。
【0079】
特に、焼結した成形ボディを冷却するステップe)は、2時間〜3時間の間、好ましくは2.5時間の第10期間P10の間に行われる。
【0080】
実施形態27において、ステップa)、b)、d)及びe)は、任意選択である。
【0081】
実施形態28:湿式ミル粉砕ステップが行われて、0.15μm以上及び2.0μm以下、好ましくは0.15μm以上及び1.0μm以下、更により好ましくは0.15μm以上及び0.8μm以下、最も好ましくは0.5μm+/−0.3μmに等しい、メジアン粒子サイズを有する粒子粉末が懸濁する。
【0082】
実施形態29:湿式ミル粉砕ステップが行われて、バイモーダル粒子サイズ分布を有する粒子粉末の懸濁をもたらし、第1のモード(又はピーク)は、0.1μm〜0.3μm、好ましくは0.15〜0.25μmの間を含む第1の粒子サイズ値に中心があり、第2のモード(又はピーク)は、1.0μm〜7.0μmの間を含む第2の粒子サイズ値に中心がある。
【0083】
実施形態30:湿式ミル粉砕ステップが行われて、30cP以上及び120cP以下、好ましくは30cP以上及び100cP以下の粘度を有するスラリーが得られる。
【0084】
実施形態31:少なくとも1つのバインダを添加するステップが行われて、25cP以上及び125cP以下、好ましくは30cP以上及び100cP以下の粘度を有するスラリーが得られる。
【0085】
実施形態32:少なくとも1つのバインダは、リチウム含有遷移金属酸化物材料又はリチウム含有遷移金属酸化物粉末の0.25重量%〜3.0重量%によって表される量でスラリーに添加される。
【0086】
実施形態33:焼結ステップは、5μm以上及び40μm以下の平均粒径を有する、リチウム含有遷移金属酸化物をもたらす。
【0087】
あるいは、中空円筒型ターゲットボディのリチウム含有遷移金属酸化物は、5μm以上及び46μm以下、より好ましくは45μm、最も好ましくは40μmの平均粒径を有する。
【0088】
実施形態34:焼結ステップは、5μm以上及び20μm以下の平均粒径を有するリチウム含有遷移金属酸化物をもたらす。
【0089】
実施形態35:焼結ステップは、バイモーダル粒子サイズ分布を表すリチウム含有遷移金属酸化物をもたらし、バイモーダル粒子サイズ分布の各モード(又は、ピーク)は、50μm以下、好ましくは40μm、より好ましくは30μm以下、最も好ましくは20μm以下の平均径の値に中心がある。
【0090】
好ましくは、中空円筒型ターゲットボディのリチウム含有遷移金属酸化物は、バイモーダル粒子サイズ分布を有しており、バイモーダル粒子サイズ分布の各モード(又はピーク)は、50μm未満、好ましくは46μmの平均径の値に中心がある。
【0091】
実施形態36:焼結ステップは、バイモーダル粒子サイズ分布を表すリチウム含有遷移金属酸化物をもたらし、このバイモーダル粒子サイズ分布の各モード(又は、ピーク)は、5μm以上及び20μm以下、好ましくは20μm未満の平均径の値に中心がある。
【0092】
実施形態37:本方法は、一般式:LiMO
2又はLiMM’O
2を有するリチウム含有遷移金属酸化物粉末をもたらすステップを含み、Mは、Ni、Co、Mn、Ti、Al、V、Cr、Y、Sr、Ca、Zr、Zn、Si、Mg、Ga、W、Fe、Cu、La又は少なくとも1つのそれらの組合せからなる群から選択される遷移金属であり、M’は、Ti、Al、V、Cr、Y、Sr、Ca、Zr、Zn、Si、Mg、Ga、W、Fe、Cu、La又は少なくとも1つのそれらの組合せからなる群から選択されるドーパントである。
【0093】
実施形態38:本方法は、0.90以上及び1.25以下、好ましくは0.98以上及び1.05以下のLi/M又はLi/(M+M’)原子比を有する、リチウム含有遷移金属酸化物粉末をもたらすステップを含む。
【0094】
実施形態39:本方法は、0.001以上及び0.05以下のM’/M原子比を有する、リチウム含有遷移金属酸化物粉末をもたらすステップを含む。
【0095】
実施形態40:本方法は、一般式:LiCoO
2として有する、リチウム含有遷移金属酸化物粉末をもたらすステップを含む。
【0096】
実施形態41:本方法は、一般式:LiCoO
2として有するリチウム含有遷移金属酸化物粉末もたらすステップを含み、Li/Co比は、1.0+/−0.01に等しく、好ましくはこの比は1.0+/−0.50に等しく、より好ましくはこの比は0.60+/−0.01以上及び0.80+/−0.01以下である。
【0097】
実施形態42:本方法は、≧90.0%、好ましくは91.0%〜99.8%の間の相対密度値を有する、リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする円筒型中空ターゲットボディを製造するのに好適である。
【0098】
実施形態43:本方法は、5kΩcm以下、好ましくは3kΩcm以下、より好ましくは2kΩcm以下の抵抗値を有する、リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする円筒型中空ターゲットボディを製造するのに好適である。
【0099】
実施形態44:本方法は、実施形態1〜17のいずれかによる、リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする円筒型中空ターゲットボディを製造するのに好適である。
【0100】
第3の態様から鑑みると、本発明は、以下の使用実施形態を提供することができる:
実施形態45:スパッタリングターゲットアセンブリにおいて、実施形態1〜17のいずれかによる、リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする円筒型中空ターゲットボディの使用。スパッタリングターゲットアセンブリが、
実施形態1〜17のいずれかに記載の円筒型中空ターゲットボディ、及び
その上に円筒型中空ターゲットが装着されるバッキングチューブ
を含む。
【0101】
本発明の枠組みでは、用語「粒子」は、結晶子として解釈することができ、マイクロ構造は、結晶子を含有する多結晶性マイクロ構造であり、結晶子は、サイズ及び配向が変わる可能性がある。
【0102】
このような文脈では、リチウム含有遷移金属酸化物は、バイモーダルサイズ分布を有する、マイクロ構造の粒子を含有する少なくとも1つのドーパントにより、場合によりドープされた、金属酸化物を含有する。
【0103】
更に、本発明の文脈では、用語「混入物質」とは、不可避の不純物と見なされる任意の元素又は元素の群を指す。このような混入物質は、例えば、この例に限定されないが、少なくとも、本発明による方法の加熱ステップの後、又は加熱ステップ及び焼結ステップの後に残るバインダである。
【0104】
別の汚染物質は、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする粉末中のCo
2O
3相とすることができる。
【0105】
不純物又は混入物質は、本発明の枠組みにおいて、(化学)組成物又は材料化合物中に存在する、不可避の望ましくない化合物又は元素として見なされる。
【0106】
このような文脈では、本発明によるリチウム含有遷移金属酸化物をベースとする中空円筒型ターゲットボディに含まれるバインダは、リチウム含有遷移金属酸化物をベースとする中空円筒型ターゲットボディの総重量に対して、1500ppm未満、好ましくは1000ppm未満、より好ましくは100ppm未満の割合しか存在していないことが考えられ得る。
【0107】
更に、本発明の枠組みにおいて、用語「均質な/均質に」とは、ここでは、液相中に含有する固相が、沈降物、堆積物又は一様な沈殿物という形態でこの液相中に存在しないということを指す。
【0108】
更に、上記の本実施形態において、以下の用語を考えるべきである:
「ターゲットセグメント」
「ターゲットボディ」
「ターゲットボディ円筒」
「円筒型(又は回転)ターゲットボディ」
「円筒型(又は回転)ターゲットセグメント」
「円筒型スパッタリングターゲットボディ又はセグメント」
「円筒型中空ターゲットボディ」、及び類似表現
は、本発明の文脈では、実施例を含めた、「本発明を実施するための形態」において同義と見なされる。
【0109】
本発明は、上記実施形態の形態に限定されるものではなく、多数の変更が、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、なされ得ることが理解される。