(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(E)成分として、界面活性剤を更に(A)成分の100質量部に対して0.01乃至1.0質量部含有する、請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
(F)成分として、密着促進剤を更に(A)成分の100質量部に対して0.1乃至20質量部含有する、請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の感光性樹脂組成物は、下記(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物である。
(A)成分:下記(A1)〜(A4)を共重合させて得られるアルカリ可溶性アクリル共重合体
(A1)不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物、(A2)フェノール性水酸基と重合性不飽和基とを有するモノマー、(A3)ヒドロキシアルキル基と重合性不飽和基とを有するモノマー、(A4)N置換マレイミド化合物;
(B)成分:1,2−キノンジアジド化合物、
(C)成分:架橋剤
(D)溶剤。
以下、各成分の詳細を説明する。
【0010】
<(A)成分>
(A)成分は、(A1)不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物、(A2)フェノール性水酸基と重合性不飽和基とを有するモノマー、(A3)ヒドロキシアルキル基と重合性不飽和基とを有するモノマー、(A4)N置換マレイミド化合物を共重合して得られたアルカリ可溶性アクリル重合体である。
【0011】
本発明において、アクリル重合体とはアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、マレイミド等の重合性不飽和基、すなわち、構造中にC=C二重結合を含む重合性基を有するモノマーを用いて得られる重合体を指す。
(A)成分のアルカリ可溶性アクリル重合体は、アルカリ可溶性アクリル重合体であればよく、アクリル重合体を構成する高分子の主鎖の骨格及び側鎖の種類などについて特に限定されない。
【0012】
(A)成分のアルカリ可溶性アクリル重合体は、数平均分子量が30,000を超えて過大なものであると、段差に対する平坦化性能が低下する一方、数平均分子量が2,000未満で過小なものであると、熱硬化時に硬化不足になり溶剤耐性が低下する場合がある。従って、数平均分子量が2,000乃至30,000の範囲内にあるものである。
【0013】
上述のように、(A)成分のアルカリ可溶アクリル重合体の合成方法は、(A1)カルボキシル基及び/または酸無水物基を有するモノマー、(A2)フェノール性水酸基と重合性不飽和基とを有するモノマー、(A3)ヒドロキシアルキル基と重合性不飽和基とを有するモノマー、及び(A4)N置換マレイミドを含むモノマー混合物を共重合する方法が簡便である。
【0014】
以下、(A)成分の構成モノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
(A1)成分の不飽和カルボン酸を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、モノ−(2−(アクリロイルオキシ)エチル)フタレート、モノ−(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)フタレート、N−(カルボキシフェニル)マレイミド、N−(カルボキシフェニル)メタクリルアミド、N−(カルボキシフェニル)アクリルアミド等、また不飽和カルボン酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
【0015】
(A2)成分のフェノール性水酸基と重合性不飽和基とを有するモノマーとしては、例えば、p−ヒドロキシスチレン、α―メチル−p−ヒドロキシスチレン、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、p−ヒドロキシフェニルアクリレート、p−ヒドロキシフェニルメタクリレート等が挙げられ、これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、p−ヒドロキシフェニルアクリレートとp−ヒドロキシフェニルメタクリレートから選ばれるモノマーが好ましい。
【0016】
(A3)ヒドロキシアルキル基と重合性不飽和基とを有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、グリセリンモノメタクリレート、5−アクリロイルオキシ−6−ヒドロキシノルボルネン−2−カルボキシリック−6−ラクトン等が挙げられる。
【0017】
(A4)N置換マレイミド化合物としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、及びN−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。
【0018】
また、本発明においては、(A)成分のアクリル重合体を得る際に、上記モノマー(A1)〜(A4)と共重合可能な、その他モノマーを併用することができる。そのようなモノマーの具体例としては、アクリル酸エステル化合物、メタクリル酸エステル化合物、マレイミド、アクリルアミド化合物、アクリロニトリル、スチレン化合物及びビニル化合物等が挙げられる。以下、当該その他モノマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
前記アクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ベンジルアクリレート、ナフチルアクリレート、アントリルアクリレート、アントリルメチルアクリレート、フェニルアクリレート、グリシジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−アミノエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−メチル−2−アダマンチルアクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルアクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルアクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、カプロラクトン2−(アクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート等が挙げられる。
【0020】
前記メタクリル酸エステル化合物としては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、アントリルメタクリレート、アントリルメチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−アミノメチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3−メトキシブチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、γ−ブチロラクトンメタクリレート、2−プロピル−2−アダマンチルメタクリレート、8−メチル−8−トリシクロデシルメタクリレート、及び、8−エチル−8−トリシクロデシルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、カプロラクトン2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート等が挙げられる。
【0021】
前記アクリルアミド化合物としては、例えば、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0022】
前記ビニル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、アリルグリシジルエーテル、3−エテニル−7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、及び、1,7−オクタジエンモノエポキサイド等が挙げられる。
【0023】
前記スチレン化合物としては、ヒドロキシ基を有しないスチレン、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。
【0024】
本発明に用いるアルカリ可溶性アクリル重合体を得る方法は特に限定されないが、例えば、アルカリ可溶性モノマー(A1)〜(A4)、それ以外の共重合可能なモノマー及び所望により重合開始剤等を共存させた溶剤中において、50乃至110℃の温度下で重合反応させることにより、得られる。その際、用いられる溶剤は、アルカリ可溶性アクリル重合体を構成するモノマー及び特定官能基を有するアクリル重合体を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、後述する(D)溶剤に記載する溶剤が挙げられる。
【0025】
このようにして得られる特定官能基を有するアクリル重合体は、通常、溶剤に溶解した溶液の状態である。
【0026】
また、上記のようにして得られた特定共重合体の溶液を、ジエチルエーテルや水等の撹拌下に投入して再沈殿させ、生成した沈殿物を濾過・洗浄した後、常圧又は減圧下で、常温あるいは加熱乾燥することで、特定共重合体の粉体とすることができる。このような操作により、特定共重合体と共存する重合開始剤や未反応モノマーを除去することができ、その結果、精製した特定共重合体の粉体を得られる。一度の操作で充分に精製できない場合は、得られた粉体を溶剤に再溶解して、上記の操作を繰り返し行えば良い。
本発明においては、上記特定共重合体の粉体をそのまま用いても良く、あるいはその粉体を、たとえば後述する(D)溶剤に再溶解して溶液の状態として用いても良い。
また、本発明においては、(A)成分のアクリル重合体は、複数種の特定共重合体の混合物であってもよい。
【0027】
<(B)成分>
(B)成分である1,2−キノンジアジド化合物としては、水酸基又はアミノ基のいずれか一方か、水酸基及びアミノ基の両方を有する化合物であって、これらの水酸基又はアミノ基(水酸基とアミノ基の両方を有する場合は、それらの合計量)のうち、好ましくは10乃至100モル%、特に好ましくは20乃至95モル%が1,2−キノンジアジドスルホン酸でエステル化、またはアミド化された化合物を用いることができる。
【0028】
前記水酸基を有する化合物としては例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ハイドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ガリック酸メチル、ガリック酸エチル、1,3,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン、4,4−ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,5−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)メチルなどのフェノール化合物、エタノール、2−プロパノール、4−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−ブトキシプロパノール、乳酸エチル、乳酸ブチルなどの脂肪族アルコール類を挙げることができる。
【0029】
また、前記アミノ基を含有する化合物としては、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、4−アミノジフェニルメタン、4−アミノジフェニル、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、などのアニリン類、アミノシクロヘキサンを挙げることができる。
【0030】
さらに、水酸基とアミノ基両方を含有する化合物としては、例えば、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、4−アミノレゾルシノール、2,3−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、4,4’−ジアミノ−4’’−ヒドロキシトリフェニルメタン、4−アミノ−4’,4’’−ジヒドロキシトリフェニルメタン、ビス(4−アミノ−3−カルボキシ−5−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−アミノ−3−カルボキシ−5−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノ−3−カルボキシ−5−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−カルボキシ−5−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのアミノフェノール類、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノシクロヘキサノールなどのアルカノールアミン類を挙げることができる。
【0031】
これらの1,2−キノンジアジド化合物は単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0032】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分の100質量部に対して、好ましくは5乃至100質量部、より好ましくは8乃至50質量部、更に好ましくは10乃至40質量部である。5質量部未満の場合、ポジ型感光性樹脂組成物の露光部と未露光部の現像液への溶解速度差が小さくなり、現像によるパターニングが困難である場合がある。また、100質量部を超えると、短時間での露光で1,2−キノンジアジド化合物が十分に分解されないため感度が低下する場合や、(B)成分が光を吸収してしまい硬化膜の透明性を低下させてしまう場合がある。
【0033】
<(C)成分>
(C)成分は架橋剤であり、より具体的には、(A)成分と熱反応により橋架け構造を形成しうる構造を有する化合物である。以下、具体例を挙げるがこれらに限定されるものではない。熱架橋剤は、例えば、(C1)アルコキシメチル基及びヒドロキシメチル基から選ばれる置換基を2個以上有する架橋性化合物や(C2)後述する式(2)で表される架橋性化合物から選ばれるものが好ましい。これらの架橋剤は単独または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0034】
(C1)成分のアルコキシメチル基及びヒドロキシメチル基から選ばれる置換基を2個以上有する架橋性化合物は、熱硬化時の高温に曝されると、脱水縮合反応により架橋反応が進行するものである。このような化合物としては、例えば、アルコキシメチル化グリコールウリル、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、およびアルコキシメチル化メラミン等の化合物、およびフェノプラスト系化合物が挙げられる。
【0035】
アルコキシメチル化グリコールウリルの具体例としては、例えば、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(ブトキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(メトキシメチル)尿素、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシ−2−イミダゾリノン、および1,3−ビス(メトキシメチル)−4,5−ジメトキシ−2−イミダゾリノン等が挙げられる。市販品として、三井サイテック(株)製グリコールウリル化合物(商品名:サイメル(登録商標)1170、パウダーリンク(登録商標)1174)等の化合物、メチル化尿素樹脂(商品名:UFR(登録商標)65)、ブチル化尿素樹脂(商品名:UFR(登録商標)300、U−VAN10S60、U−VAN10R、U−VAN11HV)、DIC(株)製尿素/ホルムアルデヒド系樹脂(高縮合型、商品名:ベッカミン(登録商標)J−300S、同P−955、同N)等が挙げられる。
【0036】
アルコキシメチル化ベンゾグアナミンの具体例としてはテトラメトキシメチルベンゾグアナミン等が挙げられる。市販品として、三井サイテック(株)製(商品名:サイメル(登録商標)1123)、(株)三和ケミカル製(商品名:ニカラック(登録商標)BX−4000、同BX−37、同BL−60、同BX−55H)等が挙げられる。
【0037】
アルコキシメチル化メラミンの具体例としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。市販品として、三井サイテック(株)製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:サイメル(登録商標)300、同301、同303、同350)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:マイコート(登録商標)506、同508)、三和ケミカル製メトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:ニカラック(登録商標)MW−30、同MW−22、同MW−11、同MW−100LM、同MS−001、同MX−002、同MX−730、同MX−750、同MX−035)、ブトキシメチルタイプメラミン化合物(商品名:ニカラック(登録商標)MX−45、同MX−410、同MX−302)等が挙げられる。
【0038】
また、このようなアミノ基の水素原子がメチロール基またはアルコキシメチル基で置換されたメラミン化合物、尿素化合物、グリコールウリル化合物及びベンゾグアナミン化合物を縮合させて得られる化合物であってもよい。例えば、米国特許第6323310号に記載されているメラミン化合物およびベンゾグアナミン化合物から製造される高分子量の化合物が挙げられる。前記メラミン化合物の市販品としては、商品名:サイメル(登録商標)303(三井サイテック(株)製)等が挙げられ、前記ベンゾグアナミン化合物の市販品としては、商品名:サイメル(登録商標)1123(三井サイテック(株)製)等が挙げられる。
【0039】
フェノプラスト系化合物の具体例としては、例えば、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)クレゾール、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4−メトキシフェノール、3,3’,5,5’−テトラキス(ヒドロキシメチル)ビフェニル−4,4’−ジオール、3,3’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンメタノール)、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−メチル−6−ヒドロキシメチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−メチル−6−ヒドロキシメチルフェノール]、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2,6−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール]、4,4’−メチレンビス[2,6−ビス(ヒドロキシメチル)フェノール]、2,6−ビス(メトキシメチル)フェノール、2,6−ビス(メトキシメチル)クレゾール、2,6−ビス(メトキシメチル)−4−メトキシフェノール、3,3’,5,5’−テトラキス(メトキシメチル)ビフェニル−4,4’−ジオール、3,3’−メチレンビス(2−メトキシ−5−メチルベンゼンメタノール)、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2−メチル−6−メトキシメチルフェノール]、4,4’−メチレンビス[2−メチル−6−メトキシメチルフェノール]、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス[2,6−ビス(メトキシメチル)フェノール]、4,4’−メチレンビス[2,6−ビス(メトキシメチル)フェノール]等が挙げられる。市販品としても入手が可能であり、その具体例としては、26DMPC、46DMOC、DM−BIPC−F、DM−BIOC−F、TM−BIP−A、BISA−F、BI25X−DF、BI25X−TPA(以上、旭有機材工業(株)製)等が挙げられる。
【0040】
さらに、(C1)成分としては、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド等のヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換されたアクリルアミド化合物またはメタクリルアミド化合物を使用して製造されるポリマーも用いることができる。
そのようなポリマーとしては、例えば、ポリ(N−ブトキシメチルアクリルアミド)、N−ブトキシメチルアクリルアミドとスチレンとの共重合体、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミドとメチルメタクリレートとの共重合体、N−エトキシメチルメタクリルアミドとベンジルメタクリレートとの共重合体、及びN−ブトキシメチルアクリルアミドとベンジルメタクリレートと2−ヒドロキシプロピルメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。このようなポリマーの重量平均分子量は、1,000乃至50,000であり、好ましくは、1,500乃至20,000であり、より好ましくは2,000乃至10,000である。
【0041】
これらの架橋性化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0042】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物における架橋剤として(C1)成分を選択した場合の含有量は、(A)成分の100質量部に対して、好ましくは5乃至50質量部、より好ましくは10乃至40質量部である。5質量部未満の場合、メタルスパッタ後の耐熱性が低下したり、段差平坦化性が低下したりする場合がある。また、50質量部を超えると、現像時の密着性が低下したり、感度が低下する可能性がある。
【0043】
また本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(C2)成分として、式(2)で表される架橋性化合物を含有することができる。
【化1】
(式中、kは2〜10の整数、mは0〜4の整数を示し、R
1はk価の有機基を表す)
【0044】
(C2)成分は、式(2)で表されるシクロアルケンオキサイド構造を有する化合物であれば特に限定されない。その具体例としては、下記式C2−1及びC2−2や、以下に示す市販品等が挙げられる。
【化2】
【化3】
【0045】
市販品としては、エポリードGT−401、同GT−403、同GT−301、同GT−302、セロキサイド2021、セロキサイド3000(ダイセル化学工業(株)製 商品名)、脂環式エポキシ樹脂であるデナコールEX−252(ナガセケムッテクス(株)製 商品名)、CY175、CY177、CY179(以上、CIBA−GEIGY A.G製 商品名)、アラルダイトCY−182、同CY−192、同CY−184(以上、CIBA−GEIGY A.G製 商品名)、エピクロン200、同400(以上、DIC(株)製 商品名)、エピコート871、同872(以上、油化シェルエポキシ(株)製 商品名)、ED−5661、ED−5662(以上、セラニーズコーティング(株)製 商品名)等を挙げることができる。また、これらの架橋性化合物は、単独または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
これらのうち、耐熱性、耐溶剤性、耐長時間焼成耐性等の耐プロセス性、および透明性の観点からシクロヘキセンオキサイド構造を有する、上記式C2−1及び式C2−2で表される化合物、エポリードGT−401、同GT−403、同GT−301、同GT−302、セロキサイド2021、セロキサイド3000が好ましい。
【0047】
上記架橋剤として(C2)成分を選択した場合の含有量は、(A)成分の100質量部に対して3乃至50質量部、好ましくは7乃至40質量部、より好ましくは10乃至30質量部である。架橋性化合物の含有量が少ない場合には、架橋性化合物によって形成される架橋の密度が十分ではないため、パターン形成後の耐熱性、耐溶剤性、長時間の焼成に対する耐性等を向上させる効果が得られない場合がある。一方、50質量部を超える場合には、未架橋の架橋性化合物が存在し、パターン形成後の耐熱性、耐溶剤性、長時間の焼成に対する耐性等が低下し、また、感光性樹脂組成物の保存安定性が悪くなる場合がある。
【0048】
<(D)溶剤>
本発明に用いる(D)溶剤は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を溶解し、且つ所望により添加される後述の(E)成分乃至(F)成分などを溶解するものであり、斯様な溶解能を有する溶剤であれば、その種類及び構造などは特に限定されるものでない。
【0049】
斯様な(D)溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、3−メチル−2−ペンタノン、2−ペンタノン、2-ヘプタノン、γ―ブチロラクトン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0050】
これらの溶剤は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用することができる。
これら(D)溶剤の中、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル等が、塗膜性が良好で安全性が高いという観点より好ましい。これら溶剤は、一般にフォトレジスト材料のための溶剤として用いられている。
【0051】
<(E)成分>
(E)成分は、界面活性剤である。本発明のポジ型感光性樹脂組成物にあっては、その塗布性を向上させるという目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、更に界面活性剤を含有することができる。
【0052】
(E)成分の界面活性剤としては、特に制限されないが、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。この種の界面活性剤としては、例えば、住友スリーエム(株)製、DIC(株)製或いはAGCセイミケミカル(株)製等の市販品を用いることができる。これら市販品は、容易に入手することができるので、好都合である。その具体的な例としては、ポリフォックスPF−136A、151、156A、154N、159、636、6320、656、6520(Omnova社製)、メガファックR30、R08、R40、R41、R43、F251、F477、F552、F553、F554、F555、F556、F557、F558、F559、F560、F561、F562、F563、F565、F567、F570(DIC(株)製)、FC4430、FC4432(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−386、S−611、S−651、(AGCセイミケミカル(株)製)、フタージェントFTX−218、DFX−18、220P、251、212M、215M((株)ネオス製)等のフッ素系界面活性剤、BYK−300、302、306、307、310、313、315、320、322、323、325、330、331、333、342、345、346、347、348、349、370、377、378、3455(ビックケミージャパン(株)製)、SH3746、SH3749、SH3771、SH8400、SH8410、SH8700、SF8428(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、KF−351、KF−352、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−618、KF−6011、KF−6015(信越化学工業(株)製)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
(E)成分の界面活性剤は、一種単独で、または二種以上の組合せで使用することができる。
【0053】
界面活性剤が使用される場合、その含有量は、(A)成分100質量部に基づいて通常0.01乃至1.0質量部であり、好ましくは0.02乃至0.8質量部である。(E)成分の界面活性剤の使用量が1.0質量部を超える量に設定されても、上記塗布性の改良効果は鈍くなり、経済的でなくなる。0.01質量部以下である場合、塗布性改善の効果が発現しない場合がある。
【0054】
<(F)成分>
(F)成分は、密着促進剤である。本発明のポジ型感光性樹脂組成物は現像後の基板との密着性を向上させる目的で、密着促進剤を添加してもよい。このような密着促進剤の具体例としては、トリメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン等のクロロシラン類、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(N−ピペリジニル)プロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、N,N‘‐ビス(トリメチルシリル)ウレア、ジメチルトリメチルシリルアミン、トリメチルシリルイミダゾール等のシラザン類、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、インダゾール、イミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、ウラゾール、チオウラシル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリミジン等の複素環状化合物や、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア等の尿素、またはチオ尿素化合物を挙げることができる。
【0055】
上記の密着促進剤は、例えば、信越化学工業(株)製、Momentive Performance Materials Worldwide Inc.製や東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製等の市販品の化合物を用いることもでき、これらの市販品は容易に入手可能である。
(F)成分として、前記密着性促進剤のうち1種又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
これらの(F)成分の中、アルコキシシラン類(すなわち、シランカップリング剤)が良好な密着性が得られる点で好ましい。
【0057】
これらの密着促進剤の添加量は、(A)成分の100質量部に対して、通常、0.1乃至20質量部、好ましくは0.5乃至10質量部である。20質量部以上用いると感度が低下する場合があり、また、0.1質量部未満では密着促進剤の十分な効果が得られない場合がある。
【0058】
<その他添加剤>
更に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、レオロジー調整剤、顔料、染料、保存安定剤、消泡剤、または多価フェノール、多価カルボン酸等の溶解促進剤等を含有することができる。
【0059】
<ポジ型感光性樹脂組成物>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(A)成分の(A1)〜(A4)を共重合させて得られる共重合体、(B)成分の1,2−キノンジアジド化合物、(C)成分の架橋剤が(D)溶剤に溶解したものであり、且つ、それぞれ所望により、(E)成分の界面活性剤、(F)成分の密着促進剤、及びその他添加剤のうち一種以上を更に含有することができる組成物である。
【0060】
中でも、本発明のポジ型感光性樹脂組成物の好ましい例は、以下のとおりである。
[1]:(A)成分100質量部に基づいて、5乃至100質量部の(B)成分、5乃至50質量部の(C)成分を含有し、これら成分が(D)溶剤に溶解されたポジ型感光性樹脂組成物。
[2]:上記[1]の組成物において、更に(E)成分を(A)成分100質量部に基づいて、0.01乃至1.0質量部含有するポジ型感光性樹脂組成物。
[3]:上記[1]又は[2]の組成物において、更に(F)成分を(A)成分100質量部に基づいて0.1乃至20質量部含有するポジ型感光性樹脂組成物。
【0061】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物における固形分の割合は、各成分が均一に溶剤に溶解している限り、特に限定されるものではないが、例えば1乃至80質量%であり、また例えば5乃至60質量%であり、または10乃至50質量%である。ここで、固形分とは、ポジ型感光性樹脂組成物の全成分から(D)溶剤を除いたものをいう。
【0062】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の調製方法は、特に限定されないが、その調製法としては、例えば、(A)成分(アルカリ可溶性樹脂)を(D)溶剤に溶解し、この溶液に(B)成分の1,2−キノンジアジド化合物、(C)成分の架橋剤を所定の割合で混合し、均一な溶液とする方法、或いは、この調製法の適当な段階において、必要に応じて(E)成分(界面活性剤)、(F)成分(密着促進剤)及びその他添加剤を更に添加して混合する方法が挙げられる。
【0063】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の調製にあたっては、(D)溶剤中における重合反応によって得られる共重合体の溶液をそのまま使用することができ、この場合、この(A)成分の溶液に前記と同様に(B)成分、(C)成分などを入れて均一な溶液とする際に、濃度調整を目的としてさらに(D)溶剤を追加投入してもよい。このとき、特定共重合体の形成過程で用いられる(D)溶剤と、ポジ型感光性樹脂組成物の調製時に濃度調整のために用いられる(D)溶剤とは同一であってもよいし、異なってもよい。
【0064】
而して、調製されたポジ型感光性樹脂組成物の溶液は、孔径が0.2μm程度のフィルタなどを用いて濾過した後、使用することが好ましい。
【0065】
<塗膜及び硬化膜>
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を半導体基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、金属例えばアルミニウム、モリブデン、クロムなどが被覆された基板、ガラス基板、石英基板、ITO基板等)の上に、回転塗布、流し塗布、ロール塗布、スリット塗布、スリットに続いた回転塗布、インクジェット塗布などによって塗布し、その後、ホットプレートまたはオーブン等で予備乾燥することにより、塗膜を形成することができる。その後、この塗膜を加熱処理することにより、ポジ型感光性樹脂膜が形成される。
【0066】
この加熱処理の条件としては、例えば、温度70℃乃至160℃、時間0.3乃至60分間の範囲の中から適宜選択された加熱温度及び加熱時間が採用される。加熱温度及び加熱時間は、好ましくは80℃乃至140℃、0.5乃至10分間である。
【0067】
また、ポジ型感光性樹脂組成物から形成されるポジ型感光性樹脂膜の膜厚は、例えば0.1乃至30μmであり、また例えば0.2乃至10μmであり、更に例えば0.3乃至8μmである。
【0068】
上記で得られた塗膜上に、所定のパターンを有するマスクを装着して紫外線等の光を照射し、アルカリ現像液で現像することで、露光部が洗い出されて端面のシャープなレリーフパターンが得られる。
【0069】
使用されうるアルカリ性現像液としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、コリンなどの水酸化第四級アンモニウムの水溶液、エタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミンなどのアミン水溶液等のアルカリ性水溶液が挙げられる。さらに、これらの現像液には、界面活性剤などを加えることもできる。
【0070】
上記の中、水酸化テトラエチルアンモニウム0.1乃至2.38質量%水溶液は、フォトレジストの現像液として一般に使用されており、本発明の感光性樹脂組成物においても、このアルカリ性現像液を用いて、膨潤などの問題をひき起こすことなく良好に現像することができる。
【0071】
また、現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法など、いずれも用いることができる。その際の現像時間は、通常、15乃至180秒間である。
【0072】
現像後、ポジ型感光性樹脂膜に対して流水による洗浄を例えば20乃至120秒間行い、続いて圧縮空気もしくは圧縮窒素を用いてまたはスピニングにより風乾することにより、基板上の水分が除去され、そしてパターン形成された膜が得られる。
【0073】
続いて、斯かるパターン形成膜に対して、熱硬化のためにポストベークを行うことにより、具体的にはホットプレート、オーブンなどを用いて加熱することにより、耐熱性、透明性、平坦化性、低吸水性、耐薬品性などに優れ、良好なレリーフパターンを有する膜が得られる。
【0074】
ポストベークとしては、一般に、温度140℃乃至270℃の範囲の中から選択された加熱温度にて、ホットプレート上の場合には5乃至30分間、オーブン中の場合には30乃至90分間処理するという方法が採られる。
【0075】
而して、斯かるポストべークにより、目的とする、良好なパターン形状を有する硬化膜を得ることができる。
【0076】
以上のように、本発明のポジ型感光性樹脂組成物により、保存安定性が高く、十分高感度であり且つ現像の際に未露光部の膜減りが非常に小さく、微細なパターンを有する塗膜を形成することができる。
【0077】
また、この塗膜から得られる硬化膜はパターン残渣が少ないという特徴を有する。そのため、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイにおける各種の膜、例えば層間絶縁膜、保護膜、絶縁膜などと共に、TFT型液晶素子のアレイ平坦化膜等の用途で好適に用いることができる。
【実施例】
【0078】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
[実施例で用いる略記号]
以下の実施例で用いる略記号の意味は、次のとおりである。
MAA:メタクリル酸
MMA:メチルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
PQMA:4-ヒドロキシフェニルメタクリレート
CHMI:N−シクロヘキシルマレイミド
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
QD:α、α、α‘−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン1molと1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロリド1.5molとの縮合反応によって合成される化合物
CEL−2021P:3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
GT−401:ブタンテトラカルボン酸 テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) 修飾ε-カプロラクトン
MPTS:γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
R30:DIC(株)製 メガファック R−30(商品名)
【0079】
[数平均分子量及び重量平均分子量の測定]
以下の合成例に従い得られた特定共重合体及び特定架橋体の数平均分子量及び重量平均分子量を、日本分光(株)製GPC装置(Shodex(登録商標)カラムKF803LおよびKF804L)を用い、溶出溶媒テトラヒドロフランを流量1ml/分でカラム中に(カラム温度40℃)流して溶離させるという条件で測定した。なお、下記の数平均分子量(以下、Mnと称す。)及び重量平均分子量(以下、Mwと称す。)は、ポリスチレン換算値にて表される。
【0080】
<合成例1>
特定共重合体を構成するモノマー成分として、MAA 12.0g、CHMI 21.0g、MMA 27.0gを使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN 3.8gを使用し、これらを溶剤PGMEA 95.8g中において温度60℃乃至100℃で重合反応させることにより、Mn4,500、Mw7,800であるアルカリ可溶性アクリル重合体成分(特定共重合体)の溶液(特定共重合体濃度:40.0質量%)を得た。(P1)
【0081】
<合成例2>
特定共重合体を構成するモノマー成分として、MAA 4.2g、CHMI 21.0g、HEMA 27.6g、MMA 7.2gを使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN 3.8gを使用し、これらを溶剤PGME 95.8g中において温度60℃乃至100℃で重合反応させることにより、Mn4,200、Mw7,500であるアルカリ可溶性アクリル重合体成分(特定共重合体)の溶液(特定共重合体濃度:40.0質量%)を得た。(P2)
【0082】
<合成例3>
特定共重合体を構成するモノマー成分として、MAA 11.0g、CHMI 20.9g、PQMA 15.0 g、MMA 12.9gを使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN 2.9gを使用し、これらを溶剤PGMEA 95.4g中において温度60℃乃至100℃で重合反応させることにより、Mn5,400、Mw10,000であるアルカリ可溶性アクリル重合体成分(特定共重合体)の溶液(特定共重合体濃度:40.0質量%)を得た。(P3)
【0083】
<合成例4>
特定共重合体を構成するモノマー成分として、MAA 7.8g、CHMI 21.0g、HEMA 15.0g、PQMA 1.2 g、MMA 15.0gを使用し、ラジカル重合開始剤としてAIBN 3.8gを使用し、これらを溶剤PGMEA 95.8g中において温度60℃乃至100℃で重合反応させることにより、Mn4,100、Mw7,600であるアルカリ可溶性アクリル重合体成分(特定共重合体)の溶液(特定共重合体濃度:40.0質量%)を得た。(P4)
【0084】
<実施例1>
アルカリ可溶性樹脂溶液として、前記合成例4から得られた特定共重合体溶液(P4)に、QD(以下、感光剤と称す。)、架橋性化合物、界面活性剤、密着助剤、溶剤を加えた後、室温で8時間攪拌して表1に示す組成のポジ型感光性組成物を調製した。
【0085】
<比較例1乃至比較例3>
アルカリ可溶性樹脂溶液として、前記合成例1〜3から得られた特定共重合体溶液(P1〜P3)に、感光剤、架橋性化合物、界面活性剤、密着助剤、溶剤を加えた後、室温で8時間攪拌して表1に示す組成のポジ型感光性組成物を調製した。
【0086】
【表1】
【0087】
得られた実施例1並びに比較例1乃至比較例3の各ポジ型感光性樹脂組成物について、それぞれ、感度、現像時の密着性、熱硬化時のパターン内残渣の評価を下記に示す方法で行った。
【0088】
[感度の評価]
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い膜厚4.0μmの塗膜を形成した。膜厚はFILMETRICS製 F20を用いて測定した。この塗膜にキヤノン(株)製紫外線照射装置PLA−600FAにより365nmにおける光強度が5.5mW/cm
2の紫外線を一定時間照射した。その後0.4質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(以下、TMAHと称す)水溶液に90秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で20秒間流水洗浄を行った。露光部において溶け残りのなくなる最低の露光量(mJ/cm
2)を感度とした。
【0089】
[密着性の評価]
ポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、温度110℃で120秒間ホットプレート上においてプリベークを行い塗膜を形成した。この塗膜に365nmにおける光強度が5.5mW/cm
2の紫外線をマスクを介して一定時間照射し、10μm×10μmのコンタクトホールを130μm間隔で配置したパターンを作製した。その後0.4質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(以下、TMAHと称す)水溶液に90秒間浸漬することで現像を行った後、超純水で90秒間流水洗浄を行った。その後、エスペック(株)製CLEANOVENPVHC−210を用いて230℃で30分間ポストベークを行い、膜厚約4.0μmの硬化膜を形成した。その後、作製した10μm×10μmの抜きパターンの密着性を、日立電界放出形走査電子顕微鏡S−4100を用いて評価した。抜きパターンの裾浮きなく密着されているものを良好(○)、裾が浮いているものを不良(×)と判断した。
【0090】
[パターン内残渣の評価]
上記、密着性の評価で作製した10μm×10μmの抜きパターン内の残渣を日立電界放出形走査電子顕微鏡S−4100によって確認した。この際、抜きパターン内に残渣が残っていないものを良好(○)、残っているものを不良(×)と判断した。
【0091】
[評価の結果]
以上の評価を行った結果を、次の表2に示す。
【表2】
【0092】
表2に示す結果より判るように、実施例1のポジ型感光性樹脂組成物はいずれも高感度であり、現像時の密着性も十分であった。更にパターン形成後のパターン内の残渣が全く無いという優れた特性を示した。