(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
油脂を25〜44質量%、ココアバターを18〜35質量%含有し、油脂100質量部に対してシーディング剤を0.1〜5質量部配合したソフトチョコレートであって、該ソフトチョコレートに含まれる油脂がココアバターを30〜75質量%、25℃で液状の油脂を15〜65質量%含有するソフトチョコレート。
【背景技術】
【0002】
チョコレートは、菓子の中でも一般消費者に広く好まれている商品である。チョコレートには、様々な食感の商品が存在しており、板チョコのような硬いチョコレート以外に、軟らかくてクリーム状のチョコレートが存在する。軟らかくてクリーム状のチョコレートは、通常、ソフトチョコレートと呼ばれている。ソフトチョコレートとしては、特許文献1〜4等のソフトチョコレートが提案されている。
【0003】
最近、プレミアム感を付与した商品が流行しているが、チョコレートにおいてもプレミアム感を付与した商品が販売されている。チョコレートでプレミアム感を付与する方法としては、カカオマスの配合量を増やすことが挙げられる。チョコレートの原料に使用されるカカオマスは、チョコレートの風味を決める重要な原料である。そのため、チョコレートにカカオマスが多く配合されると、より風味豊かで美味しいチョコレートが得られる。カカオマスが多く配合されて、プレミアム感を有するチョコレートは、ソフトチョコレートにおいても開発が進められている。
【0004】
カカオマスがココアバターを約55質量%含むことから、カカオマスが多く配合されたチョコレートは、ココアバターを多く含有するチョコレートになる。ココアバターは常温で固形状の油脂である。そのため、カカオマスが多く配合されて、ココアバターを多く含むソフトチョコレートは、軟らかくするために、比較的多量の液状油が配合されていた。しかしながら、ココアバター及び液状油を多く含みソフトチョコレートは、ブルームが発生しやすいという問題があった。
【0005】
また、ソフトチョコレートは、ベーカリー製品と組み合わせて使用されることが多い。特にソフトチョコレートは、ベーカリー製品のセンタークリームとして使用されることが多い。ソフトチョコレートがベーカリー製品と組み合わせて使用される場合、ソフトチョコレートは加熱前のベーカリー製品生地と共に加熱調理されることが多い。そのため、ベーカリー製品生地と共に加熱調理されて使用されるソフトチョコレートは、耐熱性を有することが必要であった。
【0006】
従って、ココアバターを多く含むにもかかわらず、ブルームが発生しにくく、耐熱性を有するソフトチョコレートの開発が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、ココアバターを多く含み、ベーカリー製品生地と共に加熱して使用されるソフトチョコレートに適したチョコレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、チョコレートにシード剤を特定量配合し、チョコレートに含まれる油脂含量を特定量にすると、ココアバターを多く含み、ベーカリー製品生地と共に加熱して使用されるソフトチョコレートに適したチョコレートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の第1の発明は、油脂を25〜44質量%、ココアバターを18〜35質量%含有し、油脂100質量部に対してシーディング剤を0.1〜5質量部配合したソフトチョコレートであって、該ソフトチョコレートに含まれる油脂がココアバターを30〜75質量%、25℃で液状の油脂を15〜65質量%含有するソフトチョコレートである。
本発明の第2の発明は、前記ソフトチョコレートが糖類を40〜60質量%含有する第1の発明に記載のソフトチョコレート。
本発明の第3の発明は、前記ソフトチョコレートがココアバターを26.07〜35質量%含有する第1の発明又は第2の発明に記載のソフトチョコレートである。
本発明の第4の発明は、前記ソフトチョコレートがベーカリー製品生地と共に加熱して使用される第1の発明〜第3の発明のいずれか1つの発明に記載のソフトチョコレートである。
本発明の第5の発明は、第1の発明〜第4の発明のいずれか1つの発明に記載のソフトチョコレートを使用して得られる
ベーカリー製品の製造方法である。
本発明の第6の発明は、前記ソフトチョコレートがベーカリー製品生地と共に加熱された第5の発明に記載の
ベーカリー製品の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、ココアバターを多く含み、ベーカリー製品生地と共に加熱して使用されるソフトチョコレートに適したチョコレートを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、油脂を25〜44質量%、ココアバターを18〜35質量%含有し、油脂100質量部に対してシーディング剤を0.1〜5質量部配合したチョコレートであって、該チョコレートに含まれる油脂がココアバターを30〜75質量%、液状油を15〜65質量%含有する。
【0013】
本発明におけるチョコレートは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上で規定されたチョコレートに限定されない。本発明においてチョコレートとは、食用油脂、糖類を主原料とし、必要によりカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、乳化剤等を加え、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、成形工程、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造され、油脂が連続相をなし、実質的に水を含有しない食品(好ましくは水分含量が3質量%以下である。)である。また、本発明におけるチョコレートは、ダークチョコレート、ミルクチョコレートの他に、ホワイトチョコレート、カラーチョコレートも含む。
【0014】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、油脂を25〜44質量%含有し、好ましくは27〜43質量%含有し、より好ましくは30〜41質量%含有する。チョコレートが油脂を前記範囲で含有すると、ベーカリー製品生地と共に加熱して使用されるソフトチョコレートが得られる。
なお、本発明において、油脂とは、チョコレートに含まれる全油脂分のことであり、配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー、全脂粉乳等)に含まれる油脂(ココアバター、乳脂等)も含む。しかし、後述するシーディング剤は、本発明における油脂には含まれない。本発明において、ベーカリー製品生地とは、ベーカリー製品の加熱前の生地のことである。
【0015】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、ココアバターを18〜35質量%含有し、好ましくは18〜32質量%含有し、より好ましくは20〜30質量%含有する。チョコレートがココアバターを前記範囲で含有すると、ココアバターを多く含むソフトチョコレートが得られる。
【0016】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、油脂100質量部に対してシーディング剤を0.1〜5質量部配合し、好ましくは0.3〜3質量部配合し、0.4〜2質量部配合する。チョコレートにシーディング剤が前記範囲で配合されると、ブルームが発生しにくいソフトチョコレートが得られる。
なお、本発明において、シーディング剤とは、シーディング法でチョコレートに添加される3鎖長β型の油脂結晶を含有する組成物のことである。シーディング法は、テンパリング型チョコレートの製造時に行われるテンパリング操作を代替する方法として知られており、3鎖長β型の油脂結晶を含有するシーディング剤を添加することにより、テンパリング型チョコレートの油脂に含まれる対称型トリグリセリドを安定な3鎖長β型の結晶形にすることである。シーディング剤は、市販品を使用することができる。シーディング剤に含まれる3鎖長β型の油脂結晶は、3鎖長β型のStOSt(1,3位にステアリン酸、2位にオレイン酸が結合したトリグリセリド)、BOB(1,3位にベヘン酸、2位にオレイン酸が結合したトリグリセリド)等が挙げられる。
【0017】
シーディング剤に含まれる3鎖長β型の油脂結晶は、X線回折(粉末法)の測定により得られる回折ピークから判断される。すなわち、油脂結晶について、その短面間隔を2θが17〜26度の範囲でX線回折を測定し、4.5〜4.7Åの面間隔に対応する強い回折ピークを検出し、4.1〜4.3Å及び3.8〜3.9Åの面間隔に対応する回折ピークを検出しないか、微小な回折ピークである場合に、β型結晶であると判断される。また、油脂結晶について、その長面間隔を2θが0〜8度の範囲で測定し、StOSt結晶の場合は、60〜65Åに相当する強い回折ピークを検出し、BOB結晶の場合は、70〜75Åに相当する強い回折ピークを検出する場合に、3鎖長構造であると判断される。
【0018】
シーディング剤に含まれる3鎖長β型の油脂結晶は、20℃以下の温度(好ましくは0〜20℃、さらに好ましくは10℃)でのX線回折によって得られる4.1〜4.3Åの面間隔に対応する回折ピークの強度G’と4.5〜4.7Åの面間隔に対応する回折ピークの強度Gとの強度比(G’/G)が、好ましくは0〜0.3であり、より好ましくは0〜0.2であり、更に好ましくは0〜0.1である。
【0019】
本発明の実施の形態に係るチョコレートの製造に使用されるシーディング剤は、好ましくはβ型の油脂結晶を10〜60質量%含有し、より好ましくはβ型のStOSt結晶を10〜60質量%含有し、さらに好ましくはβ型のStOSt結晶を30〜50質量%含有する。
【0020】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂がココアバターを30〜75質量%含有し、好ましくは45〜73質量%含有し、より好ましくは55〜70質量%含有する。チョコレートに含まれる油脂がココアバターを前記範囲で含有すると、ココアバターを多く含むソフトチョコレートが得られる。
【0021】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が液状油を15〜65質量%含有し、好ましくは17〜50質量%含有し、より好ましくは20〜35質量%含有する。チョコレートに含まれる油脂が液状油を前記範囲で含有すると、ソフトチョコレートが得られる。
なお、本発明において、液状油とは、25℃で液状の油脂のことである。また、本発明において、ソフトチョコレートとは、性状が25℃においてカスタードクリームのようなクリーム状で可塑性があり、食感が軟らかいチョコレートのことである。ソフトチョコレートは、一般的にチョコレートクリームと呼ばれることもある。
【0022】
本発明の実施の形態に係るチョコレートの製造に使用される液状油としては、例えば、大豆油、菜種油、パームオレイン、パームスーパーオレイン、コーン油、ひまわり油、紅花油、ごま油、綿実油、米油、オリーブ油、落花生油、亜麻仁油や、エステル交換、分別等によりこれらが加工処理された油脂や、市販品のソフトチョコレート用油脂等を使用することができる。これらの液状油は、1種又は2種以上を使用することができる。
【0023】
本発明の実施の形態に係るチョコレートには、その他の食用油脂(パーム油、パーム中融点部、パームステアリン、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、乳脂等)を使用することもできる。
【0024】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは糖類を含有する。糖類としては、例えば、ショ糖(砂糖、粉糖)、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、還元澱粉糖化物、液糖、酵素転化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖ポリデキストロース、オリゴ糖、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトース、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース、デキストリン等を使用することができる。本発明の実施の形態に係るチョコレートの製造に使用される糖類は、好ましくはショ糖(砂糖、粉糖)、乳糖である。
【0025】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、糖類を好ましくは20〜65質量%含有し、より好ましくは30〜63質量%含有し、更に好ましくは40〜60質量%含有する。
【0026】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、油脂、糖類以外にも、チョコレートに一般的に配合される原料を使用することができる。具体的には、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、カカオマス、ココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、コーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の乳化剤、酸化防止剤、着色料、香料等を使用することができる。
【0027】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、シーディング工程を経て製造する。なお、本発明において、シーディング工程を経て製造するとは、シーディング法を実施することである。また、本発明の実施の形態に係るチョコレートは、シーディング工程を経て製造する以外、従来公知のチョコレートの製造方法で製造することができる。本発明の実施の形態に係るチョコレートは、例えば、油脂、カカオ成分、糖類、乳化剤等を原料として、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、シーディング工程、冷却工程等を経て製造することができる。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくは微粒化工程を経て製造する。また、本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくはテンパリング操作を行わずに製造する。なお、本発明において、テンパリング操作には、シーディング法は含まれない。
【0028】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、ソフトチョコレートに適しており、好ましくはソフトチョコレートである。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、ココアバターを多く含むにもかかわらず、ブルームが発生しにくい。
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、耐熱性を有する。従って、本発明の実施の形態に係るチョコレートは、ベーカリー製品生地と共に加熱して使用されるチョコレートに適しており、好ましくはベーカリー製品生地と共に加熱して使用される。なお、本発明において、チョコレートが耐熱性を有するとは、ベーカリー製品生地と共に加熱した後に、チョコレートのベーカリー製品への染み出し、チョコレートの形状の変化及びチョコレートの食感の変化が少ないことである。
よって、本発明によると、ココアバターを多く含み、ベーカリー製品生地と共に加熱して使用されるソフトチョコレートに適したチョコレートが得られる。
【0029】
本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくはテンパリング型チョコレートである。
【0030】
本発明の実施の形態に係るベーカリー製品は、本発明の実施の形態に係るチョコレートを使用して得られる。
なお、本発明において、ベーカリー製品とは、穀粉(小麦粉等)、油脂(ショートニング、マーガリン、バター等)、糖類(砂糖等)、乳製品(牛乳、粉乳、クリーム等)、卵類(全卵、卵黄、卵白等)、塩類(食塩等)、膨張剤(重曹、ベーキングパウダー等)、乳化剤(レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等)、イースト、水等を原料としたベーカリー製品生地を、加熱して得られる製品のことである。また、ベーカリー製品生地を加熱する手段としては、焼き、蒸し、揚げ(フライ)等が挙げられる。なお、前述したように、本発明において、ベーカリー製品生地とは、ベーカリー製品の加熱前の生地のことである。
【0031】
本発明の実施の形態に係るベーカリー製品は、本発明の実施の形態に係るチョコレートを加熱後の製品と組み合わせたものであっても、本発明の実施の形態に係るチョコレートをベーカリー製品生地と組み合わせた後に加熱したものであってもよい。チョコレートを加熱後の製品又はベーカリー製品生地と組み合わせる手段としては、包餡、混合、接着、被覆、挟む、注入、埋没、トッピング等が挙げられる。
本発明の実施の形態に係るベーカリー製品は、好ましくは本発明の実施の形態に係るチョコレートがベーカリー製品生地と共に加熱されている。
【0032】
本発明の実施の形態に係るベーカリー製品としては、例えば、ビスケット、クッキー、クラッカー、乾パン、プレッツェル、カットパン、ウェハース、サブレ、ラングドシャ、マカロン等の焼き菓子、バターケーキ類(パウンドケーキ、フルーツケーキ、マドレーヌ、バウムクーヘン、カステラ等)、スポンジケーキ類(ショートケーキ、ロールケーキ、トルテ、デコレーションケーキ、シフォンケーキ等)、シュー菓子、発酵菓子、パイ、ワッフル等の洋生菓子、菓子パン、フランスパン、シュトーレン、パネトーネ、ブリオッシュ、ドーナツ、デニッシュ、クロワッサン等のパンが挙げられる。本発明の実施の形態に係るベーカリー製品は、好ましくはドーナツである。
【0033】
本発明の実施の形態に係るベーカリー製品の製造に使用される本発明の実施の形態に係るチョコレートは、好ましくはソフトチョコレートである。
【0034】
本発明の実施の形態に係るベーカリー製品は、本発明の実施の形態に係るチョコレートを使用すること以外、従来公知のチョコレートを使用したベーカリー製品の製造方法で製造することができる。
【0035】
本発明の実施の形態に係るベーカリー製品は、チョコレートがブルームを発生しにくく、耐熱性を有する。
【実施例】
【0036】
次に実施例により本発明を説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0037】
〔X線回折の測定〕
油脂のX線回折は、X線回折装置UltimaIV(株式会社リガク社製)を用いて、CuKα(λ=1.542Å)を線源とし、Cu用フィルタ使用、出力1.6kW、操作角0.96〜30.0°、測定速度2°/分の条件で測定した。
【0038】
〔シーディング剤〕
X線回折の測定により得られる回折ピークから、使用したシーディング剤は、油脂結晶型が3鎖長β型であった。また、使用したシーディング剤は、4.1〜4.3Åの面間隔に対応する回折ピークの強度G’と4.5〜4.7Åの面間隔に対応する回折ピークの強度Gとの強度比(G’/G)が0だった。また、使用したシーディング剤は、β型StOSt結晶含量が37.0質量%であった。
【0039】
〔ブルームの評価〕
表1〜3に示された配合でチョコレートを製造した(配合及び配合量の単位は質量部であり、含有量の単位は質量%である。)。実施例1〜6のチョコレートは、シーディング剤以外の原料を混合、微粒化、精練した後、シーディング剤を添加して十分に撹拌した後に冷却することで製造した。比較例1〜6のチョコレートは、原料を混合、微粒化、精練後、冷却することで製造した。比較例7〜12のチョコレートは、原料を混合、微粒化、精練後、テンパリング操作を行った後に冷却することで製造した。得られた全てのチョコレートは、性状が25℃においてクリーム状で可塑性があり、食感が軟らかく、ソフトチョコレートであった。なお、使用した大豆油、パームスーパーオレイン、ソフトチョコ用油脂は、全て25℃で液状であった。また、得られた全てのチョコレートは、水分含有量が3質量%であった。
得られた全てのチョコレートを20℃で保存し、製造直後、1週間保存後及び8週間保存後のブルームの有無を評価した。評価結果を表1〜3に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
表1から分かるように、シーディング剤を添加して製造した実施例のチョコレートは、ブルームが発生しなかった。
一方、表2〜3から分かるように、シーディング剤を添加せずに製造した比較例のチョコレートは、経時的にブルームが発生した。特に、比較例7〜12から分かるように、シーディング剤を添加していないチョコレートは、テンパリング操作を行っても、経時的にブルームが発生した。
【0044】
〔耐熱性1の評価〕
フライ前のドーナツ生地のセンターに、実施例1〜6のチョコレートを包餡した後、チョコレートが包餡されたドーナツ生地をフライすることで、ドーナツを製造した。
フライした直後のドーナツについて、チョコレートのドーナツへの染み出し、チョコレートの形状、チョコレートの食感を以下の評価基準で評価した。評価結果を表4に示した。
【0045】
<チョコレートのドーナツへの染み出しの評価基準>
○:染み出していない
△:やや染み出している
×:染み出している
<チョコレートの形状の評価基準>
○:フライ前と比べて、変化がない
△:フライ前と比べて、やや変化している
×:フライ前と比べて、変化している
<チョコレートの食感の評価基準>
○:軟らかい
△:やや軟らかい
×:軟らかくない
【0046】
【表4】
表4から分かるように、実施例1〜6のチョコレートは、耐熱性を有していた。
【0047】
〔耐熱性2の評価〕
表5に示された配合のチョコレートを、シーディング剤以外の原料を混合、微粒化、精練した後、シード剤を添加して十分に撹拌した後に冷却することで製造した(配合及び配合量の単位は質量部であり、含有量の単位は質量%である。)。得られた全てのチョコレートは、性状が25℃においてクリーム状で可塑性があり、食感が軟らかく、ソフトチョコレートであった。なお、使用した大豆油、パームスーパーオレイン、ソフトチョコ用油脂は、全て25℃で液状であった。また、得られた全てのチョコレートは、水分含有量が3質量%であった。
フライ前のドーナツ生地のセンターに、得られた各チョコレートを包餡した後、チョコレートが包餡されたドーナツ生地をフライすることで、ドーナツを製造した。
フライした直後のドーナツについて、チョコレートのドーナツへの染み出し、チョコレートの形状、チョコレートの食感を前記の評価基準で評価した。評価結果を表5に示した。
【0048】
【表5】
【0049】
表5から分かるように、実施例7〜10のチョコレートは、耐熱性を有していた。
一方、表5から分かるように、比較例13〜14のチョコレートは、耐熱性がなかった。