(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記硬化剤がアミン系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物およびまたは酸無水物系化合物から選ばれる少なくともひとつである、請求項5に記載の組成物。
基材と請求項8に記載の硬化物層と第2基材とがこの順に積層してなる積層体であって、基材が金属または金属酸化物であって、第2基材がプラスチック層である、請求項9または10に記載の積層体。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<エポキシ化合物A>
本発明のエポキシ化合物Aは、下記式(1)で表される化合物である。
【0013】
(式(1)中、Arはそれぞれ独立して芳香環を有する構造を表し、
Arのうち置換基としてグリシジルエーテル基およびまたは2-メチルグリシジルエーテル基を有するArを1つ以上有するものであって、
R
1およびR
2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1または2のアルキル基を表し、
R
3〜R
8は水酸基、グリシジルエーテル基およびまたは2−メチルグリシジルエーテル基を表し、かつ、R
3〜R
8のうち少なくとも1つはグリシジルエーテル基または2−メチルグリシジルエーテル基であって、
R
9〜R
12は
水素原子またはメチル基を表し、
nは11〜16の整数であって、
m及びp
1及びp
2及びqは繰り返しの平均値であり
mは0.5〜10であって、
p
1及びp
2はそれぞれ独立して0〜5であって、
qが0.5〜5を表す
(但し、繰り返し単位中に存在する各繰り返し単位はそれぞれ同一であっても異なっていても構わない)。)
【0014】
これらの中でも、前記エポキシ化合物Aのエポキシ当量が150〜900g/eqであるものは、得られる硬化物の架橋密度が適当であり、柔軟強靭性と耐熱性とを兼備できる点から好ましいものである。
【0015】
前記一般式(1)において、それぞれ独立してArは無置換または置換基を有する芳香環を有する構造を表す。ここでいう芳香環とは、例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環が挙げられる。これら芳香環を有する構造であるArとしては、好ましくは下記式(2)で表される構造を表す。
【0017】
(式(2)において、芳香環は置換または無置換であってよく、*は結合点を表す。)
【0018】
上記式(2)において、硬化物の柔軟性、弾性率および接着性のバランスに優れる点から、Arの構造としては以下のものが特に好ましい。
【0020】
Arが置換基を有する場合、置換基としては好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、グリシジルエーテル基、2−メチルグリシジルエーテル基等が挙げられる。好ましくはアルキル基とグリシジルエーテル基、2−メチルグリシジルエーテル基であり、グリシジルエーテル基およびまたは2−メチルグリシジルエーテル基を有する場合は得られる硬化物の寸法安定性に優れることから特に好ましい。
【0021】
置換基を有するArとしての特に好ましい構造としては、以下の構造が挙げられる。
【0023】
前記式1で表されるエポキシ化合物Aにおいて、繰り返し単位nとしては、11〜16の整数であり、好ましくは12〜15である。nが11以上であることで、接着力が向上する上、硬化物の変形モードが弾性変形となる。また、nが16以下であることで、架橋密度の低下を抑制できる。
【0024】
前記式1で表されるエポキシ化合物Aにおいて、m及びp1及びp2及びqは繰り返しの平均値であり、mは0.5〜10であって、p
1及びp
2はそれぞれ独立して0〜5であって、qが0.5〜5を表す。
これら繰り返しの平均値は、GPCで測定することで得ることが出来る。m及びp
1及びp
2及びqとしては、柔軟強靭性と耐久性を兼備する点から、好ましくはmが0.6〜5.0、p
1及びp
2が0.5〜3.0、qが0.6〜3.0である。
【0025】
前記式(1)で表されるエポキシ化合物Aにおいて、R
1およびR
2はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1または2のアルキル基を表し、R
3〜R
8は水酸基またはグリシジルエーテル基または2−メチルグリシジルエーテル基を表し、かつ、R
3〜R
8のうち少なくとも1つはグリシジルエーテル基または2−メチルグリシジルエーテル基であって、R
9〜R
12は水酸基またはメチル基を表す。
【0026】
前記式(1)で表されるエポキシ化合物Aの好ましい構造としては、以下の構造が挙げられる。
【0030】
上記各構造式において、Gはグリシジル基であり、R
13は水素原子およびまたはメチル基であり、nは11〜16の整数であり、m及びp1及びp2及びqは繰り返しの平均値であり、mは0.5〜10 であって、p1及びp2はそれぞれ独立して0〜5であって、qが0.5〜5を表す。
【0031】
上記各構造式の中でも、得られる硬化物の物性バランスに優れる点から、前記構造式(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−5)、(A−8)、(A−9)、(A−10)で表されるものを用いることが最も好ましい。
【0032】
<エポキシ化合物Aの製造方法>
本発明のエポキシ化合物Aの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)とを、モル比(a1)/(a2)が1/1.01〜1/5.0の範囲で反応させて得られるヒドロキシ化合物Bを更にエピハロヒドリン類(a3)と反応させる方法を用いることが、原料入手や反応が容易である点から好ましい。
【0033】
<ヒドロキシ化合物B>
脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)とを反応させて得られるヒドロキシ化合物Bを更にエピハロヒドリン類(a3)と反応させてエポキシ化合物Aを得る場合、ヒドロキシ化合物Bとしては、脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)とを、モル比(a1)/(a2)が1/1.01〜1/5.0の範囲で反応させることで得ることができる。
【0034】
ヒドロキシ化合物B中には未反応の芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)が含まれるが、本発明ではそのまま用いてもよく、また、芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)を取り除いて用いても良い。
【0035】
未反応の前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)の除去方法としては種々の方法に準じて行うことができる。例えば、極性の違いを利用するカラムクロマトグラフィー分離法、沸点の違いを利用する蒸留分留法、アルカリ水への溶解度の違いを利用するアルカリ水溶抽出法などが挙げられる。なかでも、熱変質を伴わないため、アルカリ水溶抽出法が効率などの点で好ましく、この時目的物を溶解させるために使用する有機溶媒はトルエンやメチルイソブチルケトンなど水と混合しないものなら使用可能であるが、目的物との溶解性の観点からメチルイソブチルケトンが好ましい。得られるヒドロキシ化合物B中の未反応の前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)の存在率は質量%で0.1〜30であることが硬化物の強靱性と柔軟性とのバランスが良好となる点から好ましい。
【0036】
前記脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)としては、特に限定されるものではなく、例えば1,11−ウンデカンジオールジグリシジルエーテル、1,12−ドデカンジオールジグリシジルエーテル、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオールジグリシジルエーテル、1,15−ペンタデカンジオールジグリシジルエーテル、1,16−ヘキサデカンジオールジグリシジルエーテル、2−メチル−1,11−ウンデカンジオールジグリシジルエーテル、3−メチル−1,11−ウンデカンジオールジグリシジルエーテル、2,6,10−トリメチル−1,11−ウンデカンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、ヒドロキシ化合物のグリシジルエーテル化において生成する有機塩素不純物を含有していても良く、下記構造で表される1−クロロメチル−2−グリシジルエーテル(クロルメチル体)等の有機塩素を含有していても良い。これらのジグリシジルエーテルは単独でも、2種類以上を併用しても良い。
【0038】
これらの中でも、得られる硬化物の柔軟性と耐熱性のバランスに優れる点から炭素数12〜14のアルキレン鎖の両末端にエーテル基を介してグリシジル基が連結した構造である化合物であることが好ましく、1,12−ドデカンジオールジグリシジルエーテル、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオールジグリシジルエーテルを用いることが最も好ましい。
【0039】
前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)としては、特に限定されるものではなく、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール等のジヒドロキシベンゼン類、ピロガロール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等のトリヒドロキシベンゼン類、4,4‘,4“−トリヒドロキシトリフェニルメタン等のトリフェニルメタン型フェノール類、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、及び2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類、ジヒドロキシナフタレン類をカップリング反応させた、1,1‘−メチレンビスー(2,7−ナフタレンジオール)、1,1’−ビナフタレン−2,2‘,7,7’−テトラオール、1,1‘−オキシビスー(2,7−ナフタレンジオール)等の4官能フェノール類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、及び1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、及びビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のビスフェノール類、2,2’―ビフェノール、4,4‘−ビフェノール、(1,1’−ビフェニル)−3,4−ジオール、3,3’−ジメチル−(1,1‘−ビフェニル)−4,4’−ジオール、3−メチル−(1,1‘−ビフェニル)−4,4’−ジオール、3,3’、5,5’−テトラメチルビフェニル−2,2’−ジオール、3,3’、5,5’−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジオール、5−メチル−(1,1‘−ビフェニル)−3,4’ジオール、3‘−メチル−(1,1‘−ビフェニル)−3,4’ジオール、4’−メチル−(1,1‘−ビフェニル)−3,4’ジオール等のビフェノール類、フェノールとジシクロペンタジエンとの重付加物、及びフェノールとテルペン系化合物との重付加物等の脂環式構造含有フェノール類、ビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタン、及びビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)プロパン等のナフトール類、フェノールとフェニレンジメチルクロライド又はビフェニレンジメチルクロライドとの縮合反応生成物である所謂ザイロック型フェノール樹脂が挙げられ、単独でも、2種以上を併用して用いても良い。更に、上記の各化合物の芳香核に置換基としてメチル基、t−ブチル基、又はハロゲン原子が置換した構造の2官能性フェノール化合物も挙げられる。尚、前記脂環式構造含有フェノール類や、前記ザイロック型フェノール樹脂は、2官能成分のみならず、3官能性以上の成分も同時に存在し得るが、本発明ではそのまま用いてもよく、又、カラム等の精製工程を経て、2官能成分のみを取り出して用いても良い。
【0040】
これらの中でも、硬化物にした際の柔軟性と強靭性のバランスに優れる点からビスフェノール類が好ましく、特に靱性付与の性能が顕著である点からビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。又、硬化物の耐湿性を重視する場合には、脂環式構造を含有するフェノール類を用いることが好ましい。
【0041】
前記脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)との反応比率は、得られる化合物をエポキシ樹脂の硬化剤として用いるために、(a1)/(a2)が1/1.01〜1/5.0(モル比)の範囲で反応させることを必須とし、得られる硬化物の柔軟性と耐熱性をバランスよく兼備する点から、(a1)/(a2)が1/1.1〜1/3.0(モル比)であることが好ましい。
【0042】
前記脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)との反応は、触媒の存在下で行うことが好ましい。前記触媒としては、種々のものが使用でき、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム等のアルカリ(土類)金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物、DMP−30、DMAP、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム等のクロライド、ブロマイド、ヨーダイド、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、ベンジルトリブチルホスホニウム等のクロライド、ブロマイド、ヨーダイド等の4級アンモニウム塩、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類等が挙げられる。これらは2種以上の触媒を併用しても構わない。なかでも反応が速やかに進行すること、および不純物量の低減効果が高い点から水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリフェニルホスフィン、DMP−30が好ましい。これら触媒の使用量は特に限定されるものではないが、前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)のフェノール性水酸基1モルに対し0.0001〜0.01モル用いるのが好ましい。これら触媒の形態も特に限定されず、水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。
【0043】
また、前記脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテル(a1)と前記芳香族系ヒドロキシ化合物(a2)との反応は、無溶剤下で、あるいは有機溶剤の存在下で行うことができる。用いうる有機溶剤としては、例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどが挙げられる。有機溶剤の使用量としては、仕込んだ原料の総質量に対して通常50〜300質量%、好ましくは100〜250質量%である。これらの有機溶剤は単独で、あるいは数種類を混合して用いることが出来る。反応を速やかに行うためには無溶媒が好ましく、一方、最終生成物の不純物を低減できる点からはジメチルスルホキシドの使用が好ましい。
【0044】
前記反応を行う場合の反応温度としては、通常50〜180℃、反応時間は通常1〜10時間である。最終生成物の不純物を低減できる点からは反応温度は100〜160℃が好ましい。また、得られる化合物の着色が大きい場合は、それを抑制するために、酸化防止剤や還元剤を添加しても良い。酸化防止剤としては特に限定されないが、例えば2,6−ジアルキルフェノール誘導体などのヒンダードフェノール系化合物や2価のイオウ系化合物や3価のリン原子を含む亜リン酸エステル系化合物などを挙げることができる。還元剤としては特に限定されないが、例えば次亜リン酸、亜リン酸、チオ硫酸、亜硫酸、ハイドロサルファイトまたはこれら塩などが挙げられる。
【0045】
前記反応の終了後、反応混合物のpH値が3〜7、好ましくは5〜7になるまで中和あるいは水洗処理を行うこともできる。中和処理や水洗処理は常法にしたがって行えばよい。例えば塩基性触媒を用いた場合は塩酸、第一リン酸水素ナトリウム、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸等の酸性物質を中和剤として用いることができる。中和あるいは水洗処理を行った後、必要時には減圧加熱下で溶剤を留去し生成物の濃縮を行い、化合物を得ることが出来る。
【0046】
ヒドロキシ化合物Bの好ましい構造としては、以下の構造が挙げられる。
【0050】
上記各構造式において、R
13は水素原子およびまたはメチル基であり、nは11〜16の整数であり、mは繰り返しの平均値であり、0.5〜10である。
【0051】
<グリシジルエーテル化反応>
本発明のエポキシ化合物Aの製造方法において、ヒドロキシ化合物Bのグリシジルエーテル化反応の手法については特に限定は無く、フェノール性水酸基とエピハロヒドリン類とを反応させる方法や、フェノール性水酸基をオレフィン化し、オレフィンの炭素―炭素二重結合を酸化剤で酸化する方法等が挙げられる。これらの中でも、エピハロヒドリン類を用いた方法を用いることが、原料入手や反応が容易である点から好ましい。
【0052】
エピハロヒドリン類(a3)を用いる方法にとしては、例えば、前記で得られたヒドロキシ化合物Bのフェノール性水酸基1モルに対し、エピハロヒドリン類(a3)0.3〜20モルを添加し、この混合物に、該ヒドロキシ化合物Bのフェノール性水酸基1モルに対し0.9〜2.0モルの塩基性触媒を一括添加または徐々に添加しながら20〜120℃の温度で0.5〜10時間反応させる方法が挙げられる。このエピハロヒドリン類(a3)の添加量は、エピハロヒドリン類(a3)の過剰量が多くなる程、得られるエポキシ化合物は理論構造に近いものとなり、未反応フェノール性水酸基とエポキシ基との反応で生じる2級水酸基の生成を抑制することができる。かかる観点から中でも2.5〜20当量の範囲であることが好ましい。この塩基性触媒は固形でもその水溶液を使用してもよく、水溶液を使用する場合は、連続的に添加すると共に、反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類(a3)を留出させ、更に分液して水は除去しエピハロヒドリン類(a3)は反応混合物中に連続的に戻す方法でもよい。
【0053】
なお、工業生産を行う際は、エポキシ化合物生産の初バッチでは仕込みエピハロヒドリン類(a3)の全てを新しいものを使用するが、次バッチ以降は、粗反応生成物から回収されたエピハロヒドリン類(a3)と、反応で消費される分及で消失する分に相当する新しいエピハロヒドリン類(a3)とを併用することが好ましい。この時、使用するエピハロヒドリン類(a3)は特に限定されないが、例えばエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン等が挙げられる。なかでも入手が容易なことからエピクロルヒドリンが好ましい。
【0054】
また、塩基性触媒も特に限定されないが、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。特にエポキシ樹脂合成反応の触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、等が挙げられる。使用に際しては、これらのアルカリ金属水酸化物を10〜55質量%程度の水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。
【0055】
また、有機溶媒を併用することにより、エポキシ化合物の合成における反応速度を高めることができる。このような有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整するために適宜二種以上を併用してもよい。
【0056】
これらのグリシジル化反応の反応物を水洗後、加熱減圧下、蒸留によって未反応のエピハロヒドリン類(a3)や併用する有機溶媒を留去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ化合物とするために、得られたエポキシ化合物を再びトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えてさらに反応を行うこともできる。この際、反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相間移動触媒を存在させてもよい。
相間移動触媒を使用する場合のその使用量としては、用いるエポキシ樹脂に対して0.1〜3.0質量%の範囲が好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより高純度のエポキシ化合物を得ることができる。
【0057】
<組成物>
本発明の組成物は、本発明のエポキシ化合物Aを含有するものである。
【0058】
組成物としては、エポキシ化合物A以外を含んでいても良い。例えば、エポキシ化合物と反応可能な硬化剤を含有することは好ましい。
【0059】
硬化剤としては、エポキシ化合物と反応可能なものであれば特に限定は無いが、例えば
アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノ−ル系化合物、カルボン酸系化合物や、前述のヒドロキシ化合物Bなどが挙げられる。
【0060】
例えばアミン系化合物としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリプロピレングリコールジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミンなどの脂肪族ポリアミン類や、メタキシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミンなどの芳香族ポリアミン類や、1、3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミンなどの脂環族ポリアミン類等や、ジシアンジアミドが挙げられる。
【0061】
酸無水物系化合物としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸ポリプロピレングリコール、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。
【0062】
フェノール系化合物としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリ
フェニロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂やこれらの変性物等が挙げられる。また潜在性触媒として、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体なども挙げられる。
【0063】
アミド系化合物としては、例えばポリカルボン酸とポリアミンより合成される脂肪族ポリアミド、またはこれに芳香族環を導入した芳香族ポリアミド、ポリアミドにエポキシ化合物を付加してなる脂肪族ポリアミドアダクト、芳香族ポリアミドアダクト等が挙げられる。
【0064】
カルボン酸系化合物としては、カルボン酸末端ポリエステル、ポリアクリル酸、マレイン酸変性ポリプロピレングリコール等のカルボン酸ポリマ等が挙げられる。
【0065】
これらの硬化剤を用いる場合、硬化剤は1種類のみで用いてもよく、2種以上を混合してもよい。尚、アンダーフィル材等の用途や一般塗料用途においては、前記アミン系化合物、カルボン酸系化合物、及びまたは酸無水物系化合物を用いることが好ましい。また、接着剤やフレキシブル配線基板用途においてはアミン系化合物、特にジシアンジアミドが作業性、硬化性、長期安定性の点から好ましい。また、半導体封止材料用途においては硬化物の耐熱性の点から固形タイプのフェノール系化合物が好ましい。
【0066】
<その他のエポキシ化合物>
本発明の組成物は、前記エポキシ化合物A以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、その他のエポキシ化合物を併用しても良い。このとき、本発明の組成物中におけるエポキシ化合物Aの使用割合としては、全エポキシ化合物中30質量%以上であることが好ましく、特に40質量%以上であることが好ましい。
【0067】
併用できるエポキシ化合物としては、なんら制限されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等の液状エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂等の臭素化エポキシ樹脂、固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられ、単独でも、2種以上を併用してもよく、目的とする用途や硬化物の物性等に応じて種々選択して用いることが好ましい。
【0068】
本発明の組成物中におけるエポキシ化合物と硬化剤の配合量としては、特に制限されるものではないが、得られる硬化物の機械的物性等が良好である点から、エポキシ化合物Aを含むエポキシ化合物全量中のエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤中の活性基が0.7〜1.5当量になる量が好ましい
【0069】
<硬化促進剤>
例えば、本発明の組成物は硬化促進剤を含有しても構わない。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、ウレア化合物、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。接着剤用途として使用する場合には、作業性、低温硬化性に優れる点から、ウレア化合物、特に3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DCMU)が好ましい。半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルホスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデセンが好ましい。
【0070】
<フィラー>
本発明の組成物は、更にフィラーを含有してもよい。フィラーとしては、無機フィラーと有機フィラーが挙げられる。無機フィラーとしては、例えば無機微粒子が挙げられる。
【0071】
無機微粒子としては、例えば、耐熱性に優れるものとしては、アルミナ、マグネシア、チタニア、ジルコニア、シリカ(石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等)等;熱伝導に優れるものとしては、窒化ホウ素、窒化アルミ、酸化アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、ダイヤモンド等;導電性に優れるものとしては、金属単体又は合金(例えば、鉄、銅、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、白金、亜鉛、マンガン、ステンレスなど)を用いた金属フィラー及び/又は金属被覆フィラー、;バリア性に優れるものとしては、マイカ、クレイ、カオリン、タルク、ゼオライト、ウォラストナイト、スメクタイト等の鉱物等やチタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、ホウ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム;屈折率が高いものとしては、チタン酸バリウム、酸化ジルコニア、酸化チタン等;光触媒性を示すものとしては、チタン、セリウム、亜鉛、銅、アルミニウム、錫、インジウム、リン、炭素、イオウ、テリウム、ニッケル、鉄、コバルト、銀、モリブデン、ストロンチウム、クロム、バリウム、鉛等の光触媒金属、前記金属の複合物、それらの酸化物等;耐摩耗性に優れるものとしては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化マグネシウム等の金属、及びそれらの複合物及び酸化物等;導電性に優れるものとしては、銀、銅などの金属、酸化錫、酸化インジウム等;絶縁性に優れるものとしては、シリカ等;紫外線遮蔽に優れるものとしては、酸化チタン、酸化亜鉛等である。
これらの無機微粒子は、用途によって適時選択すればよく、単独で使用しても、複数種組み合わせて使用してもかまわない。また、上記無機微粒子は、例に挙げた特性以外にも様々な特性を有することから、適時用途に合わせて選択すればよい。
【0072】
例えば無機微粒子としてシリカを用いる場合、特に限定はなく粉末状のシリカやコロイダルシリカなど公知のシリカ微粒子を使用することができる。市販の粉末状のシリカ微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製アエロジル50、200、旭硝子(株)製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製E220A、E220、富士シリシア(株)製SYLYSIA470、日本板硝子(株)製SGフレ−ク等を挙げることができる。
また、市販のコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製メタノ−ルシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。
【0073】
表面修飾をしたシリカ微粒子を用いてもよく、例えば、前記シリカ微粒子を、疎水性基を有する反応性シランカップリング剤で表面処理したものや、(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾したものがあげられる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾した市販の粉末状のシリカとしては、日本アエロジル(株)製アエロジルRM50、R711等、(メタ)アクリロイル基を有する化合物で修飾した市販のコロイダルシリカとしては、日産化学工業(株)製MIBK−SD等が挙げられる。
【0074】
前記シリカ微粒子の形状は特に限定はなく、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、または不定形状のものを用いることができる。また一次粒子径は、5〜200nmの範囲が好ましい。5nm未満であると、分散体中の無機微粒子の分散が不十分となり、200nmを超える径では、硬化物の十分な強度が保持できないおそれがある。
【0075】
酸化チタン微粒子としては、体質顔料のみならず紫外光応答型光触媒が使用でき、例えばアナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンなどが使用できる。更に、酸化チタンの結晶構造中に異種元素をドーピングさせて可視光に応答させるように設計された粒子についても用いることができる。酸化チタンにドーピングさせる元素としては、窒素、硫黄、炭素、フッ素、リン等のアニオン元素や、クロム、鉄、コバルト、マンガン等のカチオン元素が好適に用いられる。また、形態としては、粉末、有機溶媒中もしくは水中に分散させたゾルもしくはスラリーを用いることができる。市販の粉末状の酸化チタン微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製アエロジルP−25、テイカ(株)製ATM−100等を挙げることができる。また、市販のスラリー状の酸化チタン微粒子としては、例えば、テイカ(株)TKD−701等が挙げられる。
【0076】
<繊維質基質>
本発明の組成物は、更に繊維質基質を含有してもよい。本発明の繊維質基質は、特に限定はないが、繊維強化樹脂に用いられるものが好ましく、無機繊維や有機繊維が挙げられる。
【0077】
無機繊維としては、カーボン繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維等の無機繊維のほか、炭素繊維、活性炭繊維、黒鉛繊維、ガラス繊維、タングステンカーバイド繊維、シリコンカーバイド繊維(炭化ケイ素繊維)、セラミックス繊維、アルミナ繊維、天然繊維、玄武岩などの鉱物繊維、ボロン繊維、窒化ホウ素繊維、炭化ホウ素繊維、及び金属繊維等を挙げることができる。上記金属繊維としては、例えば、アルミニウム繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維を挙げることができる。
【0078】
有機繊維としては、ポリベンザゾール、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート等の樹脂材料からなる合成繊維や、セルロース、パルプ、綿、羊毛、絹といった天然繊維、タンパク質、ポリペプチド、アルギン酸等の再生繊維等を挙げる事ができる。
【0079】
中でも、カーボン繊維とガラス繊維は、産業上利用範囲が広いため、好ましい。これらのうち、一種類のみ用いてもよく、複数種を同時に用いてもよい。
【0080】
本発明の繊維質基質は、繊維の集合体であってもよく、繊維が連続していても、不連続状でもかまわず、織布状であっても、不織布状であってもかまわない。また、繊維を一方方向に整列した繊維束でもよく、繊維束を並べたシート状であってもよい。また、繊維の集合体に厚みを持たせた立体形状であってもかまわない。
【0081】
<分散媒>
本発明の組成物は、組成物の固形分量や粘度を調整する目的として、分散媒を使用してもよい。分散媒としては、本発明の効果を損ねることのない液状媒体であればよく、各種有機溶剤、液状有機ポリマー等が挙げられる。
【0082】
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン等の環状エーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類が挙げられ、これらを単独又は併用して使用可能であるが、中でもメチルエチルケトンが塗工時の揮発性や溶媒回収の面から好ましい。
【0083】
前記液状有機ポリマーとは、硬化反応に直接寄与しない液状有機ポリマーであり、例えば、カルボキシル基含有ポリマー変性物(フローレンG−900、NC−500:共栄社)、アクリルポリマー(フローレンWK−20:共栄社)、特殊変性燐酸エステルのアミン塩(HIPLAAD ED−251:楠本化成)、変性アクリル系ブロック共重合物(DISPERBYK2000;ビックケミー)などが挙げられる。
【0084】
<樹脂>
また、本発明の組成物は、本発明の前述した各種化合物以外の樹脂を有していてもよい。樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲であれば公知慣用の樹脂を配合すればよく、例えば熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0085】
熱硬化性樹脂とは、加熱または放射線や触媒などの手段によって硬化される際に実質的に不溶かつ不融性に変化し得る特性を持った樹脂である。その具体例としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、活性エステル樹脂、アニリン樹脂、シアネートエステル樹脂、スチレン・無水マレイン酸(SMA)樹脂、マレイミド樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0086】
熱可塑性樹脂とは、加熱により溶融成形可能な樹脂を言う。その具体例としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、酢酸セルロース樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0087】
<その他の配合物>
本発明の組成物は、その他の配合物を有していてもかまわない。例えば、触媒、重合開始剤、無機顔料、有機顔料、体質顔料、粘土鉱物、ワックス、界面活性剤、安定剤、流動調整剤、カップリング剤、染料、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、反応性希釈剤等が挙げられる。
【0088】
<硬化物>
本発明の組成物においては、脂肪族系ジヒドロキシ化合物のジグリシジルエーテルと芳香族系ヒドロキシ化合物との反応物を適用することで、従来になく柔軟で強靱な硬化物を得ることが可能となる。例えば、前記した液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂をダイマー酸やセバシン酸のような脂肪族ジカルボン酸を分子鎖延長剤として反応させた高分子量化エポキシ化合物は、柔軟な構造の硬化物を与えるが、エステル基の凝集によりその効果は十分なものではない。
【0089】
これに対して本発明では脂肪族系化合物から生じる骨格が、柔軟性を付与する所謂ソフトセグメントとして機能するため、本発明のエポキシ化合物Aを硬化させて得られる硬化物は極めて柔軟なものとなる。一方、芳香族系ヒドロキシ化合物から生じる骨格が、本発明のエポキシ化合物Aに剛直性を付与する所謂ハードセグメントとして機能するため、柔軟性と靭性とを兼備する硬化物を与えることができる。
【0090】
特に本発明のエポキシ化合物Aの場合は、ハードセグメントとして機能する部分と、ソフトセグメントとして機能する部分とが結合することにより、エポキシ化合物構造に柔軟性を付与すると共に優れた耐湿性を発現させることができる。更に、本発明では芳香核に直接グリシジルオキシ基が結合することにより、エポキシ硬化物の靱性が極めて優れたものとなる。即ち、例えば、低分量タイプの液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂をエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドで変性して得られるジオール化合物をグリシジルエーテル化した構造の汎用のエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂骨格自体が柔軟になるものの、エポキシ基自体の活性に劣り、硬化時に靱性を発現するに充分な架橋が得られないものであったところ、本発明のエポキシ化合物Aは、グリシジルオキシ基が直接芳香核に結合することによりエポキシ基の活性が高くなる為、樹脂自体が柔軟であるにも拘わらず、硬化反応時には適度な架橋を形成して優れた靱性を発現する。更に、前記ハードセグメントが架橋点となるエポキシ基に隣接することで架橋点における物理的な強度が高まり靱性が向上するものである。
【0091】
本発明の組成物を硬化させる場合には、常温または加熱による硬化をおこなえばよい。硬化する際には、公知慣用の硬化触媒を用いても構わない。
熱硬化を行う場合、1回の加熱で硬化させてもよいし、多段階の加熱工程を経て硬化させてもかまわない。
【0092】
硬化触媒を用いる場合には、例えば、塩酸、硫酸、燐酸等の無機酸類;p−トルエンスルホン酸、燐酸モノイソプロピル、酢酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム等の無機塩基類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン酸エステル類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、モノエタノールアミン、イミダゾール、2−エチル−4−メチル−イミダゾール、1−メチルイミダゾール、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)等の各種の塩基性窒素原子を含有する化合物類;テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウム塩等の各種の4級アンモニウム塩類であって、対アニオンとして、クロライド、ブロマイド、カルボキシレートもしくはハイドロオキサイドなどを有する4級アンモニウム塩類;ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、オクチル酸錫又はステアリン酸錫など錫カルボン酸塩、;過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトン過酸化物、t−ブチルパーベンゾエートなどの有機過酸化物等を使用することができる。触媒は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
【0093】
また、本発明の組成物は、活性エネルギー線にて硬化させることも可能である。その際には、重合開始剤として光カチオン重合開始剤を用いればよい。活性エネルギー線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線等を用いることができる。
【0094】
光カチオン重合開始剤としては、アリール−スルフォニウム塩、アリール−ヨードニウム塩等が挙げられ、具体的には、アリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、アリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、アリールスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロ)ホウ酸塩、ジアルキルフェナクシルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート等を用いることができる。光カチオン重合開始剤は単独で使用しても良いし、2種以上併用しても良い。
【0095】
<積層体>
本発明の硬化物は基材と積層することで積層体とすることができる。
積層体の基材としては、金属やガラス等の無機材料や、プラスチックや木材といった有機材料等、用途によって適時使用すればよく、積層体の形状としても、平板、シート状、あるいは三次元構造を有していても立体状であってもかまわない。全面にまたは一部に曲率を有するもの等目的に応じた任意の形状であってよい。また、基材の硬度、厚み等にも制限はない。また、本発明の硬化物を基材とし、更に本発明の硬化物を積層してもかまわない。
【0096】
本発明の組成物は、金属及びまたは金属酸化物に対する接着性が特に高い為、金属用のプライマーとして特に良好に使用可能である。金属としては銅、アルミ、金、銀、鉄、プラチナ、クロム、ニッケル、錫、チタン、亜鉛、各種合金、及びこれらを複合した材料が挙げられ、金属酸化物としてはこれら金属の単独酸化物及びまたは複合酸化物が挙げられる。特に鉄、銅、アルミに対しての接着力に優れる為、鉄、銅、アルミ用の接着剤として良好に使用可能である。
【0097】
本発明の積層体において、硬化物層は、基材に対し直接塗工や成形により形成してもよく、すでに成形したものを積層させてもかまわない。直接塗工する場合、塗工方法としては特に限定は無く、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法等が挙げられる。直接成形する場合は、インモールド成形、インサート成形、真空成形、押出ラミネート成形、プレス成形等が挙げられる。
成形された組成物を積層する場合、未硬化または半硬化された組成物層を積層してから硬化させてもよいし、組成物を完全硬化した硬化物層を基材に対し積層してもよい。
また、本発明の硬化物に対して、基材となりうる前駆体を塗工して硬化させることで積層させてもよく、基材となりうる前駆体または本発明の組成物が未硬化あるいは半硬化の状態で接着させた後に硬化させてもよい。基材となりうる前駆体としては特に限定はなく、各種硬化性樹脂組成物等が挙げられる。
【0098】
<繊維強化樹脂>
本発明の組成物が繊維質基質を有し、該繊維質基質が強化繊維の場合、繊維質基質を含有する組成物は繊維強化樹脂として用いることができる。
組成物に対し繊維質基質を含有させる方法は、本発明の効果を損なわない範囲であればとくに限定はなく、繊維質基質と組成物とを、混練、塗布、含浸、注入、圧着、等の方法で複合化する方法が挙げられ、繊維の形態及び繊維強化樹脂の用途によって適時選択することができる。
【0099】
本発明の繊維強化樹脂を成形する方法については、特に限定されない。板状の製品を製造するのであれば、押し出し成形法が一般的であるが、平面プレスによっても可能である。この他、押し出し成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、真空成形法、射出成形法等を用いることが可能である。またフィルム状の製品を製造するのであれば、溶融押出法の他、溶液キャスト法を用いることができ、溶融成形方法を用いる場合、インフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形等が挙げられる。また、活性エネルギー線で硬化する樹脂の場合、活性エネルギー線を用いた各種硬化方法を用いて硬化物を製造する事ができる。特に、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂の主成分とする場合には、成形材料をプリプレグ化してプレスやオートクレーブにより加圧加熱する成形法が挙げられ、この他にもRTM(Resin Transfer Molding)成形、VaRTM(Vaccum assist Resin Transfer Molding)成形、積層成形、ハンドレイアップ成形等が挙げられる。
【0100】
<プリプレグ>
本発明の繊維強化樹脂は、未硬化あるいは半硬化のプリプレグと呼ばれる状態を形成することができる。プリプレグの状態で製品を流通させた後、最終硬化をおこなって硬化物を形成してもよい。積層体を形成する場合は、プリプレグを形成した後、その他の層を積層してから最終硬化を行うことで、各層が密着した積層体を形成できるため、好ましい。
この時用いる組成物と繊維質基質の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。
【0101】
<耐熱材料および電子材料>
本発明の組成物は、その硬化物が、ガラス転移温度が高く、耐熱分解性に優れることから、耐熱部材に好適に使用可能である。また、基材への密着性に優れることから、特に電子部材に好適に使用可能である。特に、半導体封止材、回路基板、ビルドアップフィルム、ビルドアップ基板等や、接着剤やレジスト材料に好適に使用可能である。また、繊維強化樹脂のマトリクス樹脂にも好適に使用可能であり、高耐熱性のプリプレグとして特に適している。こうして得られる耐熱部材や電子部材は、各種用途に好適に使用可能であり、例えば、産業用機械部品、一般機械部品、自動車・鉄道・車両等部品、宇宙・航空関連部品、電子・電気部品、建築材料、容器・包装部材、生活用品、スポーツ・レジャー用品、風力発電用筐体部材等が挙げられるが、これらに限定される物ではない。
【0102】
以下、代表的な製品について例を挙げて説明する。
【0103】
1.半導体封止材料
本発明の組成物から半導体封止材料を得る方法としては、前記組成物、及び硬化促進剤、及び無機充填剤等の配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に溶融混合する方法が挙げられる。その際、無機充填剤としては、通常、溶融シリカが用いられるが、パワートランジスタ、パワーIC用高熱伝導半導体封止材として用いる場合は、溶融シリカよりも熱伝導率の高い結晶シリカ,アルミナ,窒化ケイ素などの高充填化、または溶融シリカ、結晶性シリカ、アルミナ、窒化ケイ素などを用いるとよい。その充填率は硬化性樹脂組成物100質量部当たり、無機充填剤を30〜95質量%の範囲で用いることが好ましく、中でも、難燃性や耐湿性や耐ハンダクラック性の向上、線膨張係数の低下を図るためには、70質量部以上がより好ましく、80質量部以上であることがさらに好ましい。
【0104】
2.半導体装置
本発明の硬化性樹脂組成物から半導体装置を得る半導体パッケージ成形としては、上記半導体封止材料を注型、或いはトランスファー成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに50〜250℃で2〜10時間の間、加熱する方法が挙げられる。
【0105】
3.プリント回路基板
本発明の組成物からプリント回路基板を得る方法としては、上記プリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜300℃で10分〜3時間、加熱圧着させる方法が挙げられる。
【0106】
4.ビルドアップ基板
本発明の組成物からビルドアップ基板を得る方法は、例えば以下の工程が挙げられる。まず、ゴム、フィラーなどを適宜配合した上記組成物を、回路を形成した回路基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる工程(工程1)。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する工程(工程2)。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成する工程(工程3)。なお、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、本発明のビルドアップ基板は、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170〜300℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
【0107】
5.ビルドアップフィルム
本発明の組成物からビルドアップフィルムを得る方法としては、基材である支持フィルム(Y)の表面に、上記組成物を塗布し、更に加熱、あるいは熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて組成物の層(X)を形成させることにより製造することができる。
【0108】
ここで用いる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を用いることが好ましく、また、不揮発分30〜60質量%となる割合で使用することが好ましい。
【0109】
形成される層(X)の厚さは、通常、導体層の厚さ以上とする。回路基板が有する導体層の厚さは通常5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの厚みを有するのが好ましい。なお、本発明における上記組成物の層(X)は、後述する保護フィルムで保護されていてもよい。保護フィルムで保護することにより、樹脂組成物層表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。
【0110】
前記した支持フィルム及び保護フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、更には離型紙や銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などを挙げることができる。なお、支持フィルム及び保護フィルムはマッド処理、コロナ処理の他、離型処理を施してあってもよい。支持フィルムの厚さは特に限定されないが、通常10〜150μmであり、好ましくは25〜50μmの範囲で用いられる。また保護フィルムの厚さは1〜40μmとするのが好ましい。
【0111】
上記した支持フィルム(Y)は、回路基板にラミネートした後に、或いは加熱硬化することにより絶縁層を形成した後に、剥離される。ビルドアップフィルムを構成する硬化性樹脂組成物層が加熱硬化した後に支持フィルム(Y)を剥離すれば、硬化工程でのゴミ等の付着を防ぐことができる。硬化後に剥離する場合、通常、支持フィルムには予め離型処理が施される。
【0112】
上記のようにして得られたビルドアップフィルムを用いて多層プリント回路基板を製造することができる。例えば、層(X)が保護フィルムで保護されている場合はこれらを剥離した後、層(X)を回路基板に直接接するように回路基板の片面又は両面に、例えば真空ラミネート法によりラミネートする。ラミネートの方法はバッチ式であってもロールでの連続式であってもよい。また必要により、ラミネートを行う前にビルドアップフィルム及び回路基板を必要により加熱(プレヒート)しておいてもよい。ラミネートの条件は、圧着温度(ラミネート温度)を70〜140℃とすることが好ましく、圧着圧力を1〜11kgf/cm2(9.8×104〜107.9×104N/m2)とすることが好ましく、空気圧を20mmHg(26.7hPa)以下の減圧下でラミネートすることが好ましい。
【0113】
6.導電ペースト
本発明の組成物から導電ペーストを得る方法としては、例えば、導電性粒子を該組成物中に分散させる方法が挙げられる。上記導電ペーストは、用いる導電性粒子の種類によって、回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とすることができる。
【実施例】
【0114】
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り質量基準である。
【0115】
1Hおよび
13C−NMR、FD−MSスペクトル、GPCは以下の条件にて測定した。
【0116】
1H−NMR:JEOL RESONANCE製「JNM−ECA600」
磁場強度:600MHz
積算回数:32回
溶媒:DMSO−d
6
試料濃度:30質量%
【0117】
13C−NMR:JEOL RESONANCE製「JNM−ECA600」
磁場強度:150MHz
積算回数:320回
溶媒:DMSO−d
6
試料濃度:30質量%
【0118】
FD−MS:日本電子株式会社製「JMS−T100GC AccuTOF」
測定範囲:m/z=50.00〜2000.00
変化率:25.6mA/min
最終電流値:40mA
カソード電圧:−10kV
【0119】
GPC:東ソー株式会社製「HLC−8320GPC」
カラム:東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」+「TSK−GEL G3000HXL」+「TSK−GEL G4000HXL」
検出器:RI(示唆屈折率計)
測定条件:40℃
移動相:テトラヒドロフラン
流速:1ml/min
標準:東ソー株式会社製「PStQuick A」「PStQuick B」「PStQuick E」「PStQuick F」
【0120】
合成したエポキシ化合物のエポキシ当量については、JIS K7236に則って測定を行ない、エポキシ当量(g/eq)を算出した。
【0121】
繰り返し単位数の算出方法としては、GPC分子量測定や、FD−MS、NMR等の適切な各種の機器分析結からの算出が例示できる。
【0122】
合成例1 C12型(BPA)のヒドロキシ化合物B−1
温度計、撹拌機を取り付けたフラスコに1,12−ドデカンジオールのジグリシジルエーテル(四日市合成株式会社製:エポキシ当量210g/eq)210g(0.5モル)とビスフェノールA(水酸基当量114g/eq)228g(1.0モル)を仕込み、140℃まで30分間要して昇温した後、4%水酸化ナトリウム水溶液1gを仕込んだ。その後、30分間要して150℃まで昇温し、さらに150℃で3時間反応させた。その後、中和量のリン酸ソーダを添加し、ヒドロキシ化合物B−1を430g得た。このヒドロキシ化合物B−1は、マススペクトルにてM+=771のピークが確認されたことから前記構造式(b−1)で表される構造のヒドロキシ化合物を含有することが確認された。このヒドロキシ化合物B−1のGPCより算出した水酸基当量は330g/eq、前記構造式(b−1)中のmの平均値は0.8であった。
【0123】
合成例2 C12型(ピロガロール)のヒドロキシ化合物B−2
合成例1におけるビスフェノールA228g(1.0モル)をピロガロール126g(1.0モル)に変えた以外は合成例1と同様に反応し、ヒドロキシ化合物B−2を330g得た。このヒドロキシ化合物B−2は、マススペクトルにてM+=567のピークが確認されたことから前記構造式(b−8)で表される構造のヒドロキシ化合物を含有することが確認された。このヒドロキシ化合物B−2のGPCより算出した水酸基当量は121g/eq、前記構造式(b−8)中のmの平均値は0.8であった。
【0124】
合成例3 C12型(ビフェノール、テトラメチルビフェノール併用)のヒドロキシ化合物B−3
合成例1におけるビスフェノールA228g(1.0モル)を、4,4‘−ビフェノール93g(0.5モル)と、3,3’、5,5’−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジオール121g(0.5モル)に変えた以外は合成例1と同様に反応し、ヒドロキシ化合物B−3を415g得た。このヒドロキシ化合物BはマススペクトルにてM+=687、744、800のピークが観察されたことから前記構造式(b−3)で表される構造のヒドロキシ化合物を含有することが確認された。このヒドロキシ化合物B−3のGPCより算出した水酸基当量は318g/eq、前記構造式(b−3)中のmの平均値は0.8であった。
【0125】
合成例4 C12型(テトラメチルビフェノール)のヒドロキシ化合物B−4
合成例1におけるビスフェノールA228g(1.0モル)を、3,3’、5,5’−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジオール242g(1.0モル)に変えた以外は合成例1と同様に反応し、ヒドロキシ化合物B−4を458g得た。このヒドロキシ化合物BはマススペクトルにてM+=800のピークが観察されたことから前記構造式(b−3)で表される構造のヒドロキシ化合物を含有することが確認された。このヒドロキシ化合物B−4のGPCより算出した水酸基当量は342g/eq、前記構造式(b−3)中のmの平均値は0.8であった。
【0126】
合成例5 C12型(2,7−ジヒドロキシナフタレン)のヒドロキシ化合物B−5
合成例1におけるビスフェノールA228g(1.0モル)を、2,7−ジヒドロキシナフタレン160g(1.0モル)に変えた以外は合成例1と同様に反応し、ヒドロキシ化合物B−5を361g得た。このヒドロキシ化合物BはマススペクトルにてM+=635のピークが観察されたことから前記構造式(b−5)で表される構造のヒドロキシ化合物を含有することが確認された。このヒドロキシ化合物B−5のGPCより算出した水酸基当量は271g/eq、前記構造式(b−5)中のmの平均値は0.8であった。
【0127】
合成例6 C12型(トリフェニロールメタン)のヒドロキシ化合物B−6
合成例1におけるビスフェノールA228g(1.0モル)を、トリフェニロールメタン(群栄化学工業株式会社「TPM−100」)292g(1.0モル)に変えた以外は合成例1と同様に反応し、ヒドロキシ化合物B−6を498g得た。このヒドロキシ化合物B−6はマススペクトルにてM+=900のピークが観察されたことから前記構造式(b−9)で表される構造のヒドロキシ化合物を含有することが確認された。このヒドロキシ化合物B−6のGPCより算出した水酸基当量は192g/eq、前記構造式(b−9)中のmの平均値は0.8であった。
【0128】
合成例7 C12型(ビスーナフタレンジオール)のヒドロキシ化合物B−7
合成例1におけるビスフェノールA228g(1.0モル)を、1,1‘−メチレンビスー(2,7−ナフタレンジオール)332g(1.0モル)に変えた以外は合成例1と同様に反応し、ヒドロキシ化合物B−7を522g得た。このヒドロキシ化合物B−7はマススペクトルにてM+=979のピークが観察されたことから前記構造式(b−10)で表される構造のヒドロキシ化合物を含有することが確認された。このヒドロキシ化合物B−7のGPCより算出した水酸基当量は139g/eq、前記構造式(b−10)中のmの平均値は0.8であった。
【0129】
合成例8 C6型(BPA)のヒドロキシ化合物B−8
合成例1における1,12−ドデカンジオールのジグリシジルエーテル210g(0.5モル)を1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル(DIC株式会社製:商品名EPICLON 726D、エポキシ当量124g/eq)124g(0.5モル)に変えた以外は合成例1と同様に反応し、ヒドロキシ化合物B−8を340g得た。このヒドロキシ化合物B−8は、マススペクトルにてM+=687のピークが確認された。このヒドロキシ化合物B−8のGPCより算出した水酸基当量は262g/eqであった。
【0130】
合成例9 C9型(BPA)のヒドロキシ化合物B−9
合成例1における1,12−ドデカンジオールのジグリシジルエーテル210g(0.5モル)を1,9−ノナンジオールのジグリシジルエーテル(坂本薬品工業株式会社製:エポキシ当量156g/eq)156g(0.5モル)に変えた以外は合成例1と同様に反応し、ヒドロキシ化合物B−9を350g得た。このヒドロキシ化合物B−9は、マススペクトルにてM+=729のピークが確認された。このヒドロキシ化合物B−9のGPCより算出した水酸基当量は328g/eqであった。
【0131】
実施例1 B−1のエポキシ化合物Ep−1
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、合成例1で得られたヒドロキシ化合物B−1を330g、エピクロルヒドリン1110g(12.0モル)、n−ブタノール280gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液122g(1.5モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン1000gとn−ブタノール100gとを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液20gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水300gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去して、エポキシ化合物Ep−1を350g得た。得られたエポキシ化合物Ep−1のエポキシ当量は425g/eqであった。このエポキシ樹脂(Ep−1)は、NMRスペクトル(
13C)から、またマススペクトルで前記構造式(A−1)中のm=1、n=12、p
1=0、p
2=0、q=1の理論構造に相当するM+=883のピークが得られたことから前記構造式(A−1)で表される構造のエポキシ樹脂を含有することが確認された。得られたエポキシ樹脂(Ep−1)は、前記構造式(A−1)においてq=0の化合物を含んでおり、GPCで確認したところ該混合物中q=0の化合物を21質量%の割合で含有するものであり、前記構造式(A−1)中のqの平均値は0.9であった。
【0132】
実施例2 B−2のエポキシ化合物Ep−2
合成例1で得られたヒドロキシ化合物B−1の330gを合成例2で得られたヒドロキシ化合物B−2の121gに変えた以外は実施例1と同様に反応し、エポキシ化合物Ep−2を160g得た。得られたエポキシ化合物Ep−2のエポキシ当量は195g/eqであった。このエポキシ樹脂(Ep−2)は、NMRスペクトル(
13C)から、またマススペクトルで前記構造式(A−8)中のm=1、n=12、p
1=0、p
2=0、q=1の理論構造に相当するM+=791のピークが得られたことから前記構造式(A−8)で表される構造のエポキシ樹脂を含有することが確認された。得られたエポキシ樹脂(Ep−2)は、前記構造式(A−8)においてq=0の化合物を含んでおり、GPCで確認したところ該混合物中q=0の化合物を21質量%の割合で含有するものであり、前記構造式(A−8)中のqの平均値は0.9であった。
【0133】
実施例3 B−3のエポキシ化合物Ep−3
合成例1で得られたヒドロキシ化合物B−1の330gを合成例3で得られたヒドロキシ化合物B−3の318gに変えた以外は実施例1と同様に反応し、エポキシ化合物Ep−3を341g得た。得られたエポキシ化合物Ep−3のエポキシ当量は413g/eqであった。このエポキシ樹脂(Ep−3)は、NMRスペクトル(
13C)から、またマススペクトルで前記構造式(A−3)中のm=1、n=12、p
1=0、p
2=0、q=1の理論構造に相当するM+=799、856、912のピークが得られたことから前記構造式(A−3)で表される構造のエポキシ樹脂を含有することが確認された。得られたエポキシ樹脂(Ep−3)は、前記構造式(A−3)においてq=0の化合物を含んでおり、GPCで確認したところ該混合物中q=0の化合物を23質量%の割合で含有するものであり、前記構造式(A−3)中のqの平均値は0.9であった。
【0134】
実施例4 B−4のエポキシ化合物Ep−4
合成例1で得られたヒドロキシ化合物B−1の330gを合成例4で得られたヒドロキシ化合物B−4の342gに変えた以外は実施例1と同様に反応し、エポキシ化合物Ep−4を361g得た。得られたエポキシ化合物Ep−4のエポキシ当量は432g/eqであった。このエポキシ樹脂(Ep−4)は、NMRスペクトル(
13C)から、またマススペクトルで前記構造式(A−3)中のm=1、n=12、p
1=0、p
2=0、q=1、置換基R=CH
3の理論構造に相当するM+=912のピークが得られたことから前記構造式(A−3)で表される構造のエポキシ樹脂を含有することが確認された。得られたエポキシ樹脂(Ep−4)は、前記構造式(A−3)においてq=0の化合物を含んでおり、GPCで確認したところ該混合物中q=0の化合物を28質量%の割合で含有するものであり、前記構造式(A−3)中のqの平均値は0.9であった。
【0135】
実施例5 B−5のエポキシ化合物Ep−5
合成例1で得られたヒドロキシ化合物B−1の330gを合成例5で得られたヒドロキシ化合物B−5の271gに変えた以外は実施例1と同様に反応し、エポキシ化合物Ep−5を310g得た。得られたエポキシ化合物Ep−5のエポキシ当量は351g/eqであった。このエポキシ樹脂(Ep−5)は、NMRスペクトル(
13C)から、またマススペクトルで前記構造式(A−5)中のm=1、n=12、p
1=0、p
2=0、q=1の理論構造に相当するM+=747のピークが得られたことから前記構造式(A−5)で表される構造のエポキシ樹脂を含有することが確認された。得られたエポキシ樹脂(Ep−5)は、前記構造式(A−5)においてq=0の化合物を含んでおり、GPCで確認したところ該混合物中q=0の化合物を20質量%の割合で含有するものであり、前記構造式(A−5)中のqの平均値は0.9であった。
【0136】
実施例6 B−6のエポキシ化合物Ep−6
合成例1で得られたヒドロキシ化合物B−1の330gを合成例5で得られたヒドロキシ化合物B−6の192gに変えた以外は実施例1と同様に反応し、エポキシ化合物Ep−6を221g得た。得られたエポキシ化合物Ep−6のエポキシ当量は262g/eqであった。このエポキシ樹脂(Ep−6)は、NMRスペクトル(
13C)から、またマススペクトルで前記構造式(A−9)中のm=1、n=12、p
1=0、p
2=0、q=1の理論構造に相当するM+=1124のピークが得られたことから前記構造式(A−9)で表される構造のエポキシ樹脂を含有することが確認された。得られたエポキシ樹脂(Ep−6)は、前記構造式(A−9)においてq=0の化合物を含んでおり、GPCで確認したところ該混合物中q=0の化合物を8質量%の割合で含有するものであり、前記構造式(A−9)中のqの平均値は0.8であった。
【0137】
実施例7 B−7のエポキシ化合物Ep−7
合成例1で得られたヒドロキシ化合物B−1の330gを合成例5で得られたヒドロキシ化合物B−7の139gに変えた以外は実施例1と同様に反応し、エポキシ化合物Ep−6を179g得た。得られたエポキシ化合物Ep−7のエポキシ当量は194g/eqであった。このエポキシ樹脂(Ep−7)は、NMRスペクトル(
13C)から、またマススペクトルで前記構造式(A−10)中のm=1、n=12、p
1=0、p
2=0、q=1の理論構造に相当するM+=1316のピークが得られたことから前記構造式(A−10)で表される構造のエポキシ樹脂を含有することが確認された。得られたエポキシ樹脂(Ep−7)は、前記構造式(A−10)においてq=0の化合物を含んでおり、GPCで確認したところ該混合物中q=0の化合物を21質量%の割合で含有するものであり、前記構造式(A−10)中のqの平均値は0.7であった。
【0138】
比較例1 B−8のエポキシ化合物Ep−8
合成例1で得られたヒドロキシ化合物B−1の330gを、合成例8で得られたヒドロキシ化合物B−8の262gに変えた以外は実施例1と同様に反応し、エポキシ化合物Ep−8を380g得た。得られたエポキシ化合物Ep−8のエポキシ当量は350g/eqであった。
【0139】
比較例2 B−9のエポキシ化合物Ep−9
合成例1で得られたヒドロキシ化合物B−1の330gを、合成例9で得られたヒドロキシ化合物B−9の262gに変えた以外は実施例1と同様に反応し、エポキシ化合物Ep−9を350g得た。得られたエポキシ化合物Ep−9のエポキシ当量は422g/eqであった。
【0140】
〔実施例8〜14及び比較例3、4〕組成物及び樹脂硬化物の作成
表1に従った配合で,エポキシ樹脂,硬化剤および硬化促進剤を,混合機(株式会社シンキー製「あわとり練太郎ARV−200」)にて均一混合して,組成物を得た。この組成物を,シリコンチューブをスペーサーとしてアルミニウム鏡面板(株式会社エンジニアリングテストサービス製「JIS H 4000 A1050P」)にて挟み込み,170℃で30分加熱硬化を行い,厚さ0.8mmの硬化物を得た。
【0141】
<引張試験>
脂硬化物を打抜き刃にてダンベル形状(JIS K 7161−2−1BA)に打ち抜き,これを試験片とした。この試験片を引張試験機(株式会社島津製作所製「オートグラフAG−IS」)を用いて,JIS K 7162−2に従って破断点応力、最大点歪み率、弾性率を評価した(試験速度:2mm/min)。
【0142】
<引張せん断試験>
樹脂組成物を,2枚の冷間圧延鋼板(TP技研株式会社製「SPCC−SB」,1.0mm×25mm×100mm)のうち1枚に塗布し,スペーサーとしてガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ株式会社製「J−80」)を添加し,もう1枚のSPCC−SBを貼り合わせた(接着面積:25mm×12.5mm)。これを170℃で30分加熱硬化を行い,試験片を得た。その試験片を用いて引張りせん断試験を行うことで接着性を評価した。試験はJIS K 6850に従って行い,最大点応力および最大点歪み率を比較した。
【0143】
<T型剥離試験>
樹脂組成物を,2枚の冷間圧延鋼板(TP技研株式会社製「SPCC−SB」,0.5mm×25mm×200mm)のうち1枚に塗布し,スペーサーとしてガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ株式会社製「J−80」)を添加し,もう1枚のSPCC−SBを貼り合わせた(接着面積:25mm×150mm)。これを170℃で30分加熱硬化を行い,試験片を得た。その試験片を用いてT型剥離試験を行うことで接着性を評価した。試験はJIS K 6854−3に従って行い,平均応力を比較した。
【0144】
【表1】
【0145】
表中にて使用した材料は以下の通り。
DICY:ジシアンジアミド(三菱ケミカル株式会社製「DICY7」)
DCMU:3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DIC株式会社製「B−605−IM」)
【0146】
実施例8〜14に示すように、本発明はいずれも引張試験における高い歪み率と、引張せん断試験およびT型剥離試験における高い接着力を有する。
【0147】
実施例8、9、13においては、低弾性率を有することから、特にクッション性が求められる用途に対して好適に使用可能である。また、実施例10、11、12、14においては、高弾性率を有することから、特に剛性付与が求められる用途に対して好適に使用可能である。
【0148】
<異種材料接着時の反り量測定>
表2に従った配合で,エポキシ樹脂,硬化剤および硬化促進剤を,混合機(株式会社シンキー製「あわとり練太郎ARV−200」)にて均一混合して,組成物を得た。樹脂組成物を,アルミ板(株式会社エンジニアリングテストサービス製「A6061P−T6」,2mm×25mm×100mm)に塗布し,スペーサーとしてガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ株式会社製「J−80」)を添加し,CFRP(株式会社エンジニアリングテストサービス製「CFRP(エポキシ)」,1mm×25mm×100mm)を貼り合わせた(接着面積:25mm×100mm)。これを170℃で30分加熱硬化を行い,貼り合わせた試験片の反り量を測定した。反り量は,試験片の短手方向中心部から長手方向全長に水糸を張り、長手方向中央の谷底と水糸との距離を反り量として測定した。
【0149】
【表2】
【0150】
表中にて使用した材料は以下の通り。
E−850S:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、エポキシ当量188g/eq)
DICY:ジシアンジアミド(三菱ケミカル株式会社製「DICY7」)
DCMU:3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア(DIC株式会社製「B−605−IM」)
【0151】
実施例15に示すとおり、本発明は異種材料の接着時に生じる反りを低減できることを示した。