特許第6749516号(P6749516)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6749516
(24)【登録日】2020年8月13日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】酸化ケイ素薄膜の選択的横成長
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20200824BHJP
【FI】
   H01L21/316 A
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-92855(P2020-92855)
(22)【出願日】2020年5月28日
(62)【分割の表示】特願2017-541759(P2017-541759)の分割
【原出願日】2016年1月5日
【審査請求日】2020年6月24日
(31)【優先権主張番号】62/113,944
(32)【優先日】2015年2月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/984,599
(32)【優先日】2015年12月30日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン, イーホン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ケルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ムケルジー, シャウナック
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
【審査官】 鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−206472(JP,A)
【文献】 特開2012−160549(JP,A)
【文献】 特表2014−516477(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0202359(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/316
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する方法であって、
(a)基板上に形成された層の上面及び側壁面上に、トリメチルアルミニウム(TMA)を含む触媒層を共形的に形成することと、
(b)前記基板を触媒不活性化ガスから形成されたプラズマに曝すことであって、前記触媒不活性化ガスは、O、N、NH、H、HO、He、Ar、又はこれらの任意の組み合わせを含み、前記基板が前記プラズマに曝されている間、前記触媒不活性化ガスが前記触媒層の側壁面により受容されずに前記触媒層の上面により受容されるように、前記基板がバイアスされる、プラズマに曝すことと、
(c)前記基板上に材料層を形成するために、前記基板をシラノールに曝すことと、
(d)前記材料層の所望の厚さが実現されるまで、(a)から(c)を繰り返すことと
を含む方法。
【請求項2】
前記シラノールが、一般式Si(OR)OHを有する化合物であり、R基が炭化水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シラノールが、トリス−(tert−ブトキシ)シラノール、トリス−(tert−ペントキシ)シラノール、又はこれらの誘導体である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記材料層が酸化ケイ素である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記触媒不活性化ガスがO又はHOである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記層が誘電体層である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記材料層が、前記触媒層の前記側壁面上に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
基板を処理する方法であって、
第1の層と、該第1の層の上に配置された第2の層とを有する、基板を提供することであって、前記第2の層は、前記第1の層の上面の一部を露出させるようにパターニングされており、前記第2の層は、上面及び側壁面を有する、基板を提供することと、
前記第1の層の露出された前記上面、及び前記第2の層の前記上面並びに前記側壁面上に、触媒層を形成することであって、前記触媒層が、トリメチルアルミニウム(TMA)、テトラメチルチタニウム、テトラメチル亜鉛、又はこれらの組み合わせを含む、触媒層を形成することと、
前記基板を触媒不活性化ガスから形成されたプラズマに曝すことであって、前記触媒不活性化ガスは、O、N、NH、H、HO、He、Ar、又はこれらの任意の組み合わせを含む、プラズマに曝すこと、且つ、前記基板を前記プラズマに曝している間、前記触媒不活性化ガスが前記第2の層の前記側壁面により受容されずに前記第2の層の前記上面により受容されるように、前記基板をバイアスすることと、
前記基板上に材料層を形成するために、前記基板をシラノールに曝すことと、
前記材料層の予め規定された厚さが実現されるまで、前記第1の層の露出された前記上面、及び前記第2の層の前記上面並びに前記側壁面上に、触媒層を形成することと、前記基板を触媒不活性化ガスから形成されたプラズマに曝すことと、前記基板上に材料層を形成するために、前記基板をシラノールに曝すこととを、繰り返すことと
を含む方法。
【請求項9】
前記シラノールが、一般式Si(OR)OHを有する化合物であり、R基が炭化水素である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記シラノールが、トリス−(tert−ブトキシ)シラノール、トリス−(tert−ペントキシ)シラノール、又はこれらの誘導体である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記材料層が酸化ケイ素である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記触媒不活性化ガスがO又はHOである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記材料層が、前記第2の層の前記側壁面上に形成される、請求項8に記載の方法
【請求項14】
前記第1の層が金属含有層である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の層が誘電体層である、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される実施態様は、一般に、半導体製造に関し、より具体的には、酸化ケイ素膜を選択的に形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業が、より高性能でより大きな機能性を有する新しい世代の集積回路(IC)を導入するにつれて、それらのICを形成する要素の密度が増加する。要素密度が増加すると、個々の構成要素間又は要素間の寸法、サイズ及び間隔が減少する。パターニングプロセスからの解像度の向上は、IC上の特徴のサイズ及び間隔の縮小のための1つのメカニズムである。
【0003】
解像度の向上は、パターンの本来の解像度を変更することによって達成することができる。パターンの本来の解像度は、パターンが転送できる最も細かい空間的な詳細である。本来の解像度は、使用される放射の波長及びパターン内の特徴のサイズなどのファクタの関数である。露光ツールの本来の解像度を変更することなくパターニングプロセスの結果的な解像度を向上させるために、自己整合ダブルパターニング(SADP)及び自己整合クォッドルプルパターニング(SAQP)などのパターン乗算プロセスを使用することができる。従って、これらのプロセスは、1層当たりのリソグラフィ露光の回数を減少させることができ、これは、デバイス製造においてかなりのコストを削減する。
【0004】
現在のパターン乗算は、通常、いくつかの堆積ステップ及びエッチングステップの組み合わせによって達成される。そのようなアプローチは、非効率的なコストが非常に高く、著しい集積化の複雑さをもたらす可能性がある。更に、特徴サイズがより小さくなるにつれ、制御するのがより困難になる。
【0005】
したがって、ICにおける特徴サイズ制御の新たな方法が必要となる。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載される実施態様は、一般に、金属表面上への堆積を回避しながら誘電体表面に選択的に堆積させることなどの、酸化ケイ素層の選択的堆積方法に関する。この方法は、一般に、露出した水酸基を有する表面でシリル化を行うことを含む。OHを有する表面がシリル化剤に暴露されると、シリル化剤はOHと反応して、−O−Si(CH基と共有結合を形成する。次いで、−O−Si(CH基をSi−OH基に変換し、追加のシリル化を行うために、窒素含有プラズマ及びHO浸漬を用いて、基板の表面の水酸基が再生される。複数のシリル化、プラズマ処理、及び浸漬が、所望の厚さを有する層を堆積させるために実行され得る。
【0007】
1つの実施態様では、酸化ケイ素膜を堆積させる方法は、基板を処理チャンバの中に位置付けることであって、基板が、第1の層と、第1の層の上に配置され、露出した第2の表面及びその中に形成された一又は複数の特徴を有し、特徴が一又は複数の側壁面及び露出した第1の表面を作成する、第2の層とを有する、位置付けることと;基板を触媒で処理することであって、触媒がルイス酸を含み、触媒が末端反応性基を露出した第1の表面、一又は複数の側壁面及び露出した第2の表面の上に形成する、処理することと;触媒不活性化剤を基板に供給することであって、触媒不活性化剤はプラズマによって活性化され、基板は、触媒不活性化剤が露出した第1の表面及び露出した第2の表面によって受容されるようにバイアスされ、末端反応性基は一又は複数の側壁面で維持される、供給することと;シラノールを基板に供給することであって、シラノールがケイ素含有層を一又は複数の側壁面に堆積させる、供給することとを含むことができる。
【0008】
別の実施態様では、酸化ケイ素膜を堆積させる方法は、基板を処理チャンバの中に位置付けることであって、基板が、露出した誘電体表面及びその中に形成された一又は複数の特徴を有する誘電体領域であって、特徴が側壁を有し、露出した誘電体表面及び側壁が末端水酸基を有する、誘電体領域と、実質的に無酸素である露出面を有する金属領域とを含む、位置付けることと;ケイ素及び炭素含有層を側壁及び露出した誘電体表面の上に選択的に堆積させるために一又は複数のシリル化サイクルを実行することであって、シリル化サイクルの各々が、シリル化を基板の表面で行うことであって、シリル化がケイ素及び炭素含有層を堆積させる、行うことと、基板を窒素含有プラズマに曝すことであって、窒素含有プラズマがケイ素及び炭素含有層の中で少なくとも1つの炭素を窒素に置換する、曝すことと;基板を水含有ガスに曝して、水酸基を基板の表面に形成することとを含む、実行することとを含むことができる。
【0009】
別の実施態様では、酸化ケイ素膜を堆積させる方法は、基板を処理チャンバの中に位置付けることであって、基板が、銅を含む金属層と、金属層の上に配置され、露出した誘電体表面及びその中に形成された一又は複数の特徴を有し、特徴が一又は複数の側壁面及び露出した金属表面を作成する、誘電体層とを有する、位置付けることと;基板を触媒で処理することであって、触媒がテトラメチルアルミニウムを含み、触媒が末端CH基を露出した金属表面、一又は複数の側壁面及び露出した誘電体表面の上に形成する、処理することと;触媒不活性化剤を含む容量結合プラズマを形成することと;容量結合プラズマを基板に供給することであって、基板は、触媒不活性化剤が露出した金属表面及び露出した誘電体表面によって受容されるようにバイアスされ、末端CH基は一又は複数の側壁面で維持される、供給することと;シラノールを基板に供給することであって、シラノールが酸化ケイ素層を一又は複数の側壁面に堆積させる、供給することとを含むことができる。
【0010】
本デバイス及び方法の上記の特徴を詳細に理解できるように、上記で簡単に要約した本デバイス及び方法のより詳細な説明は、実施態様を参照することによって得られ、これらの実施態様のいくつかが添付の図面に示されている。しかしながら、本デバイス及び方法は他の等しく有効な実施態様も許容し得るため、添付の図面は本デバイス及び方法の典型的な実施態様のみを示しており、したがってその範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施態様を実行するために適合された処理チャンバの断面図である。
図2】1つの実施態様による、酸化ケイ素膜を堆積させるための作業方法のフロー図である。
図3A】1つの実施態様による、酸化ケイ素膜形成中の基板を示す。
図3B】1つの実施態様による、酸化ケイ素膜形成中の基板を示す。
図3C】1つの実施態様による、酸化ケイ素膜形成中の基板を示す。
図3D】1つの実施態様による、酸化ケイ素膜形成中の基板を示す。
図4】1つの実施態様による、炭酸化ケイ素(silicon carboxide)膜を堆積させるための作業方法のフロー図である。
図5A】別の実施態様による、酸化ケイ素膜形成中の基板を示す。
図5B】別の実施態様による、酸化ケイ素膜形成中の基板を示す。
図5C】別の実施態様による、酸化ケイ素膜形成中の基板を示す。
図5D】別の実施態様による、酸化ケイ素膜形成中の基板を示す。
図5E】別の実施態様による、酸化ケイ素膜形成中の基板を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするため、可能な限り、図面に共通する同一の要素を示すのに同一の参照番号を使用した。1つの実施態様の要素及び特徴は、更なる記述がなくとも、他の実施態様に有益に組み込まれることがあると想定されている。
【0013】
本明細書に記載の実施態様は、一般に、炭素がドープされた酸化物膜を形成する方法に関する。方法は、一般に、プラズマを使用して基板の表面に水酸基を生成することと、次いで基板の表面でシリル化を行うこととを含む。基板表面の水酸基は、次いで、追加的シリル化を行うために、プラズマを用いて再生される。複数のプラズマ処理及びシリル化が、所望の厚さを有する層を堆積させるために実行され得る。
【0014】
図1は、1つの実施態様による処理チャンバ100の断面図である。処理チャンバ100は、チャンバ本体102、及びチャンバ本体102に結合し内部150を画定するチャンバリッド104を有している。基板支持体106は、チャンバ100の内部150に配置される。基板支持体106の上面166及びチャンバリッド104の下面168は、内部で基板支持体106の上面166の基板コンタクトエリア176に配置された基板が処理環境に曝露される処理領域108を画定する。
【0015】
基板は、チャンバ本体102の基板通路又は開口110を通って処理チャンバ100を出入りする。図1の断面図において、基板通路又は開口110は、チャンバ100の「後ろ」の断面背後にある。基板支持体106は、チャンバ100の縦軸に沿って移動可能であり、基板支持体106は、基板支持体106の上面166が開口部110に近接した状態である基板ハンドリング位置と、基板支持体106の上面166がチャンバリッド104の下面168に近接した状態である基板処理位置とに交互に位置付けられる。図1では、基板支持体106は、基板処理位置に示されている。基板支持体106が基板処理位置にあるとき、基板支持体106の上面166とチャンバリッド104の下面168との間の距離は、約2mmから約8mmである。基板支持体106のシャフト172は、典型的には、チャンバ本体102の下壁170の開口120を通って延び、リフト機構(図示せず)に連結して、基板支持体106を移動させる。
【0016】
基板エレベータ112は、基板支持体106を通って配置される。基板エレベータ112は、チャンバ100の内部150の低いエリアに配置されたアクチュエータ116に接触するベース114を有している。アクチュエータ116は、支持部材118によって低壁170から支持される。アクチュエータ116は、輪などの環状部材であり、支持部材118は、アクチュエータ116からの環状突起であり得る。アクチュエータ116、支持部材118、又はそれらの両方が、交互に区分けされてもよい。例えば、どちらか若しくは両方が、区分けされた環状部材であってもよく、又はアクチュエータ116が、基板エレベータ112のベース114に係合するように位置付けられたパッド、ポスト、若しくはスピンドルであってもよい。
【0017】
支持部材118は、基板支持体106の上面166と実質的に平行な関係に維持する。基板支持体106が処理位置から基板処理位置まで移動するときに、基板エレベータ112のベース114がアクチュエータ116と接触し、基板エレベータ112を基板支持体106の上面を通って突出させ、開口110を通って基板処理ロボット(図示されず)によるアクセスのために、上に配置された基板を上面上方に持ち上げる。図1では、2つの基板エレベータ112だけが見られるが、典型的な実施態様は、基板処理のための安定した配置を提供するために分散した3つ以上の基板エレベータ112を有することになる。
【0018】
チャンバリッド104は電極であってもよく、RF電力174のソースに接続されてもよい。チャンバリッド104が電極である場合、チャンバリッド104は、典型的には、導電性材料を含むことになる。チャンバリッド104は、完全に若しくは実質的に導電性材料から作られてもよく、又は任意の都合の良い程度に導電性材料でコーティングされてもよい。チャンバリッド104が電極として使用される場合、チャンバリッド104の下面168は、基板支持体106の上面166に近接した処理領域108へのRF接続を提供するために導電性になるだろう。1つの実施態様では、チャンバリッド104はアルミニウムである。処理チャンバ100は、容量結合プラズマなどのプラズマを内部で生成するように適合される。
【0019】
ガスマニホールド124は、ポート194でチャンバリッド104に連結される。処理ガスは、ガスライン128を通ってチャンバに供給される。複数の高速バルブ126A−Cは、ガスライン128を通りチャンバ100内までのガスの流れを制御する。高速バルブは、ALDバルブであってもよく、幾つかの実施態様では1秒未満で、場合によっては0.25秒未満で、開閉可能であり得る。前駆体ライン130は、高速バルブ126A−Cのうちの1つに連結される。他の高速バルブは、図1には見られないが、他の前駆体ラインを接合し、ガスライン128を通してガスを供給するために使用され得る。高速バルブの操作により、ALD堆積サイクルなどのチャンバ操作に必要なガス流を迅速に切り替えることが可能になる。
【0020】
チャンバリッド104は、チャンバリッド104の周辺領域に位置し、かつポート194及びガスマニホールド124と流体連通するガス入口122を有している。ガス入口122は、基板支持体106の基板コンタクトエリア176外側に位置し得る。エッジリング136は、基板支持体106の周辺領域に配置される。エッジリング136は、内側寸法及び外側寸法を有する環状部材であり得る。エッジリング136の内側寸法は、基板支持体の上に配置された基板が、図1に示されるように、エッジリング136内部に入れ子状態となるように、基板コンタクトエリア176の寸法と実質的に同一となり得る。エッジリング136の内側寸法はまた、基板コンタクトエリア176の寸法よりも大きくなり得る。エッジリング136の内側寸法はまた、エッジリング136の一部が基板のエッジ上を延びるように、基板コンタクトエリア176よりも小さくなり得る。図1のエッジリング136は、基板支持体106が処理位置にあるときには、基板支持体106上で静止する。したがって、基板支持体106はまた、処理位置にあるときには、エッジリング136を支持する。
【0021】
ポンピングプレナム132は、基板支持体106の処理位置に近接したチャンバ本体102の側壁178に位置している。ポンピングプレナム132は、処理領域108から処理ガスが排気される処理領域108周囲の環状通路である。ライナー134は、ポンピングプレナム32を処理領域108から分離する。ライナー134は、処理ガスが処理領域108からポンピングプレナム132内へ流れることを可能にする開口180を有している。開口180は、典型的には、基板支持体106が処理位置にあるときには、基板支持体106の上面166下方に位置している。
【0022】
図2は、1つの実施態様による、炭素がドープされた酸化物膜を堆積させるための方法200のフロー図である。方法200は、要素202において、基板を処理チャンバの中に位置付けることであって、基板が、第1の層と、第1の層の上に配置され、露出した第2の表面及びその中に形成された一又は複数の特徴を有し、特徴が一又は複数の側壁面及び露出した第1の表面を作成する、第2の層とを有する、位置付けることと;204において、基板を触媒で処理することであって、触媒がルイス酸を含み、触媒が末端反応性基を露出した第1の表面、一又は複数の側壁面及び露出した第2の表面の上に形成する、処理することと;206において、触媒不活性化剤を基板に供給することであって、触媒不活性化剤はプラズマによって活性化され、基板は、触媒不活性化剤が露出した第1の表面及び露出した第2の表面によって受容されるようにバイアスされ、末端反応性基は一又は複数の側壁面で維持される、供給することと;208において、シラノールを基板に供給することであって、シラノールがケイ素含有層を一又は複数の側壁面に堆積させる、供給することとを含む。図3A−3Dは、1つの実施態様による、酸化ケイ素膜形成中の基板を示す。本明細書で開示された実施態様の説明を容易にするために、図2及び図3A−3Dは、併せて説明されることになる。
【0023】
方法200は、202において、基板を処理チャンバの中に位置付けることであって、基板が、第1の層と、第1の層の上に配置され、露出した第2の表面及びその中に形成された一又は複数の特徴を有し、特徴が一又は複数の側壁面及び露出した第1の表面を作成する、第2の層とを有する、位置付けることによって開始する。要素202において、図3Aに示されるデバイス300は、図1に示される処理チャンバ100などの処理チャンバ内に位置付けられる。デバイス300は、基板302を備える。基板302は、例えば、上部に酸化ケイ素層又は炭素がドープされた酸化ケイ素層を有するケイ素ウエハであり得る。基板302は、図示されたように、第1の層304を含む。第1の層304は、銅を含む層などの金属層とすることができる。第2の層306は、第1の層304の上に形成することができる。第2の層306は、酸化ケイ素層などの誘電体層とすることができる。図示されたように、第2の層306は、露出した第2の表面310と、その内部に形成された一又は複数の特徴307とを有している。一又は複数の特徴307は、側壁面309を有しており、露出した第1の表面308まで下に延びる。
【0024】
204において、処理チャンバに位置付けられると、基板はルイス酸を含む触媒で処理される。ルイス酸は、有機アルミニウム化合物、有機鉄化合物、有機チタン化合物、有機亜鉛化合物、又はこれらの組み合わせなどの有機化合物とすることができる。1つの実施態様では、ルイス酸は、トリメチルアルミニウム(TMA)、テトラメチルチタニウム、テトラメチル亜鉛又はこれらの組み合わせの何れかである。ルイス酸は、更に、AlCl、FeCl、TiCl、ZnCl又はこれらの組み合わせなどのハロゲン含有化合物とすることができる。ルイス酸は、図3Bに示すように、露出した第1の表面308、一又は複数の側壁面309及び露出した第2の表面310などの露出面と反応して、末端反応性基を有する層312を生成する。上記ルイス酸を使用することで、層312の末端反応性基は、メチル基などの有機基、又は塩素族などのハロゲン基とすることができる。
【0025】
触媒不活性化剤は、次に206において、基板に供給することができ、触媒不活性化剤はプラズマによって活性化される。触媒不活性化剤は、O、N、NH、H、HO、He、Ar、又はこれらの組み合わせなどのガスとすることができる。プラズマは、容量結合プラズマとすることができる。プラズマは、触媒不活性化剤がラジカルを生成することなく主にイオン化されるようなエネルギーレベルを有するべきである。層312が触媒不活性化剤に曝され、上記の特定のルイス酸の1つと仮定された後に、図3Cの層314として示されるように、−CH3又は−Cl結合が破壊され、非反応性核種が置換される。例えば、触媒不活性化剤がO又はHOである場合、末端反応性基は−OH基で置換される。基板は、触媒不活性化剤が、側壁面309によって受容されることなく、露出した第1の表面308及び露出した第2の表面310によって受容されるようにバイアスされる。したがって、末端反応性基は、側壁面309で維持される。
【0026】
露出した第1の表面308及び露出した第2の表面310が触媒不活性化剤でいったん処理されると、208において、ケイ素含有層316を一又は複数の側壁面に堆積させるシラノールが基板に供給される。シラノールは、一般式Si(OR)OHを有する任意の化合物とすることができ、この場合、R基は炭化水素である。1つの例では、シラノールは、トリス−(tert−ブトキシ)シラノール、トリス−(tert−ペントキシ)シラノール、又はこれらの誘導体である。シラノールは、デバイス300の表面に供給され、ここで、図3Dに示された側壁面309に形成された層312の残りの末端反応性基と反応する。
【0027】
露出時間及び濃度次第で、成長厚は、側壁面309において約200Åまでとなり得る。要素204、206及び208を繰り返すことによって、200Åより厚い膜を成長させることが可能である。有利には、不活性化剤触媒を含む表面(例えば、露出した第1の表面308及び露出した第2の表面310)での成長厚は、測定不能である。したがって、選択的成長は、露出した第1の表面308又は露出した第2の表面310において検出可能な成長がなくても、側壁面309で実現することができる。この選択的成長により、ICデバイスの継続的な小型化に役立つより小さな特徴の形成が可能になる。
【0028】
図4は、1つの実施態様による、炭酸化ケイ素(silicon carboxide)膜を堆積させるための方法400のフロー図である。方法400は、402において、基板を処理チャンバの中に位置付けることであって、基板が、露出した誘電体表面及びその中に形成された一又は複数の特徴を有する誘電体領域であって、特徴が側壁を有し、露出した誘電体表面及び側壁が末端OH基を有する、誘電体領域と、実質的に無酸素である露出面を有する金属領域とを含む、位置付けることと;ケイ素及び炭素含有層を側壁及び露出した誘電体表面の上に選択的に堆積させるために一又は複数のシリル化サイクルを実行することであって、シリル化サイクルの各々が、404において、シリル化を基板の表面で行うことであって、シリル化がケイ素及び炭素含有層を堆積させる、行うことと、406において、基板を窒素含有プラズマに曝すことであって、窒素含有プラズマがケイ素及び炭素含有層の中で少なくとも1つの炭素を窒素に置換する、曝すことと、408において、基板を水含有ガスに曝して、水酸基を基板の表面に形成することとを含む、実行することとを含む。図5A−5Eは、1つの実施態様による、酸化ケイ素形成中の基板を示す。本明細書で開示された実施態様の説明を容易にするために、図4及び図5A−5Eは、併せて説明されることになる。
【0029】
方法400は、402において、基板を処理チャンバの中に位置付けることであって、基板が、露出した誘電体表面及びその中に形成された一又は複数の特徴を有する誘電体領域であって、特徴が側壁を有し、露出した誘電体表面及び側壁が末端OH基を有する、誘電体領域と、実質的に無酸素である露出した第1の表面508を有する金属領域とを含む、位置付けることとによって開始する。要素402において、図5Aに示されるデバイス500は、図1に示される処理チャンバ100などの処理チャンバ内に位置付けられる。デバイス500は、基板502を備える。基板502は、例えば、上部に酸化ケイ素層又は炭素がドープされた酸化ケイ素層を有するケイ素ウエハであり得る。基板502は、図示されたように、第1の層504を含む。第1の層504は、銅を含む層などの金属層とすることができる。第2の層506は、第1の層504の上に形成することができる。第2の層506は、酸化ケイ素層などの誘電体層とすることができる。図示されたように、第2の層506は、露出した第2の表面510と、その内部に形成された一又は複数の特徴507とを有している。一又は複数の特徴507は、側壁面509を有しており、露出した第1の表面508まで下に延びる。露出した第1の表面508は、ここでは水素として示される末端非反応性核種522を有している。露出した第2の表面510及び側壁面509は、末端水酸基520を有している。
【0030】
404において、基板が位置付けられた状態で、ケイ素及び炭素含有層を堆積させるシリル化が、基板の表面で行われる。シリル化反応は、デバイス300を、(ジメチルアミノ)トリメチルシラン(DMATMS)、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン又はこれらの組み合わせなどのシリル化剤に曝露することにより、実行される。シリル化は、図5Cに示すように、水酸基520からの水素をトリメチルシリルペンダント基524で置換する結果となる。シリル化反応は、トリメチルシリル基の単層を、デバイス500の側壁面509及び露出した第2の表面510に加える。この反応により、トリメチルシランのメチル基の存在により、結果的にいくらかの炭素が内部に取り込まれた酸化ケイ素層が形成され、したがって炭酸化ケイ素(silicon carboxide)層が形成される。上述のシリル化反応を用いて、炭酸化ケイ素の別個の単層を形成することができ、基板上に比較的薄い層を再現可能に堆積させることができる。
【0031】
1つの例では、基板は、約25℃から約400℃までの範囲内の温度、例えば約75℃などで、維持される。圧力は、約100mTorrから約760Torrまでの範囲内、例えば6Torrに維持される。シリル化剤は、約0.1標準リットル/分(slm)−約4.0slm、例えば約2slmの流量で供給される不活性ガスによって運ばれる。不活性ガスは、ヘリウム、アルゴン、又は二原子窒素の一又は複数であり得る。シリル化剤は、約0.1グラム/分から約4.0グラム/分の速度で供給される。基板は、シリル化剤に約5秒間から約300秒間、例えば約60秒間、曝露され得る。
【0032】
シリル化反応は、誘電体層のような実施態様において、第2の層506に存在する水酸基を消費し、よって、最終的には、更なるシリル化は起こらないことに留意されたい。更なるシリル化を促進するために、基板502上に形成された膜の厚さを増加させ、第2層506が、その上に追加の水酸基の形成を誘発するように処理される(例えば、再生される)。
【0033】
いったんシリル化反応が完了すると、406において、基板が窒素含有プラズマに曝され、窒素含有プラズマが、ケイ素及び炭素含有層の中で少なくとも1つの炭素を窒素に置換する。プラズマ処理は、アンモニアから形成されたプラズマのような窒素含有プラズマに基板330を曝すことを含む。プラズマ処理は、図5Dに示すように、ケイ素−メチル結合の一部を破壊し、末端メチル基526をアミン基528で置き換えることによって、水酸基の形成を促進する。
【0034】
1つの例では、NHガスは、約100sccmから約5000sccmまでの流量、例えば約150sccmの流量でチャンバに供給され、プラズマを生成するために50ワットのRF電力が印加され得る。別の例では、RF電力は、約10ワットから約1000ワットまで、例えば60ワットであり得る。基板は、約200℃の温度で維持され、チャンバ圧力は、約3Torrであり得る。Nのような不活性ガスは、約100sccmから約30000sccmの流量、例えば27000sccmの流量でチャンバに供給され得る。基板は、約25℃から400℃の温度、例えば約200℃の温度で維持され得る。圧力は、約1Torrから約10Torrまでの範囲内、例えば4.2Torrに維持され得る。露出時間は、約1秒から約60秒の範囲、例えば4秒から10秒の範囲内であり得る。
【0035】
次に、408において、水酸基を基板の表面に形成すために、基板が水含有ガスに曝される。図5Eに示すように、ペンダント基524内のアミン基528を置換することによって、水酸基530の形成を促進するために、基板502は水含有ガスに曝される。水含有ガスは、水蒸気発生器(WVG)を使用して生成された蒸気又は水蒸気を含み得る。1つの例では、水蒸気ガスの流量は、約1sccmから約1000sccm、例えば約10sccmであり得る。
【0036】
要素408の後に基板302の表面上に存在し得る望ましくない水分子は、処理チャンバ内の圧力を下げることによって、及び/又はプロセスチャンバ内の温度を上げることによって、脱着及び脱離される。その後、揮発性成分は、処理チャンバから排出され得る。
【0037】
実施態様の利点は、一般に、約100オングストローム未満又は約10オングストローム未満などの厚さが比較的小さい酸化ケイ素膜の再現可能かつ選択的な堆積を含む。酸化ケイ素層は、ルイス酸で触媒されたシラノール堆積によって堆積させることができる。選択性は、選択された表面のバイアスされた不活性化によって制御することができる。更なる実施形態では、プラズマ及び水処理により基板の表面を再生することによって、シリル化を介してシリコン酸化物層を堆積させることができる。シリル化は、正確な層毎の堆積を可能にし、よって正確な厚さを有する非常に薄い層の形成を促進する。
【0038】
上記は本出願の実施態様を対象とするが、本出願の基本的な範囲から逸脱することなく、他の更なる実施態様を考案することもでき、本出願の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【要約】
本明細書で開示される実施態様は、概して酸化ケイ素膜を形成する方法に関する。方法は、末端水酸基を有する基板の表面でシリル化を行うことを含むことができる。次いで、基板表面の水酸基は、追加的シリル化を行うために、プラズマ及びHO浸漬を用いて再生される。更に方法は、ルイス酸を使用して露出面に触媒作用を及ぼすことと、露出した第1及び第2の表面を方向的に不活性にすることと、ケイ素含有層を側壁面に堆積させることとを含む。複数のプラズマ処理が、所望の厚さを有する層を堆積させるために実行され得る。
【選択図】 図3D
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E