【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明の負極材は、下記化学式1で表され、超気孔構造を有するシリコンフレークを活物質として含むことを特徴とする。
xSi・(1−x)A …(1)
上記式において、
0.5≦x≦1.0であり;
Aは不純物であって、Al
2O
3、MgO、SiO
2、GeO
2、Fe
2O
3、CaO、TiO
2、Na
2O、K
2O、CuO、ZnO、NiO、Zr
2O
3、Cr
2O
3及びBaOからなる群より選択される1つ以上の化合物である。
【0015】
ここで、前記xは、重量比であり、前記「シリコンフレーク(silicon flake)」とは、具体的に、2次元結晶形態または四面体(tetrahedral)結晶形態を有するシリコン原子が2次元的に周期的に配列されている板状構造または実質的な板状構造を意味する。
【0016】
また、前記「超気孔(hyperporous)構造」とは、気孔の大きさを基準に分類したとき、大空隙、中空隙及び微細空隙が一緒に形成されている構造を意味する。
【0017】
したがって、前記超気孔構造を有するシリコンフレークは、例えば、気孔の大きさが50nm超過500nm以下の大空隙、気孔の大きさが2nm超過50nm以下の中空隙、及び気孔の大きさが0.5nm以上2nm以下の微細空隙を含む超気孔構造を有し得る。
【0018】
このような超気孔構造は、本発明のシリコンフレークが合成されるときに形成されるものであるが、後述されるように、本発明のシリコンフレークは粘土と金属還元剤とを熱処理する金属熱還元法によって合成される。この場合、まず粘土と金属還元剤との表面反応を通じて粘土の表面には中空隙と微細空隙が一緒に形成され、大空隙は形成されない。その後、反応が進むほど、表面に形成された中空隙と微細空隙を通じて粘土の内部に浸透した金属還元剤が内部還元反応を起こし、内部で形成された金属酸化物は後ほど大空隙を形成させる役割を果たしながら、このような金属酸化物を除去する後処理を通じて金属酸化物の位置に大空隙が形成されることで超気孔構造が完成される。
【0019】
このような超気孔構造のシリコンフレークを負極活物質として使用する場合は、超気孔構造によって充放電時のシリコン体積膨張を緩和でき、電解質との接触面積を広げながらリチウムイオンの移動距離を減らすことで、寿命特性及びレート特性が著しく向上する効果を発揮することができる。
【0020】
このような意図する効果をより効果的に発揮し、体積対比優れた容量を具現するため、前記超気孔構造を有するシリコンフレークの空隙の平均気孔径は100nm〜150nmであり、全体体積を基準にして10%〜50%の孔隙率、詳しくは10%〜30%の孔隙率を有し得る。
【0021】
また、シリコンフレークのBET表面積は、70m
2/g〜250m
2/gであり得る。詳しくは、120m
2/g〜210m
2/gであり得、より詳しくは、150m
2/g〜190m
2/gであり得る。
【0022】
ここで、前記孔隙率は空隙の全体体積とタップ密度に基づいて概算し、前記BET表面積は、Micromeritics ASAP 2020 instrumentを用いて窒素吸脱着等温線測定方法(N2 adsorption−desorption isotherm measurement)によって測定した。さらに、上記の結果にBJH(Barrett、Johner and Halenda)方程式を適用して平均気孔径を計算した。
【0023】
また、前記シリコンフレークは、20〜100nmの厚さを有し得、200nm〜50μmの大きさを有し得るが、これらに限定されることはない。
【0024】
ただし、上記範囲を満足するほどに薄くて大面的に形成される場合、リチウムイオンの移動距離をより効果的に減少させる一方、電解質の含浸が容易であるため、さらに望ましい。詳しくは、前記シリコンフレークは30〜50nmの厚さを有し得、1μm〜5μmの大きさを有し得る。
【0025】
このような、シリコンフレークは重ねられて形成される構成を1つの単位(1個)にするとき、1個が形成されても良いが、前記シリコンフレークを形成する合成条件によって、2個〜6個、詳しくは2個〜4個のフレークが積層されることもあり、これらに限定されない。リチウム二次電池の負極活物質として使用する場合は、2個以上のシリコンフレークが積層された形態で使用することができる。したがって、前記「シリコンフレークを活物質として含む」とは、前記シリコンフレーク状の物質を1つの単位体にするとき、1個以上積層された場合を含むことは言うまでもない。
【0026】
一方、本発明によるシリコンフレークは、活物質として使用される場合、さらに電子伝導性を高めてレート特性を向上させるため、炭素コーティングされても良い。
【0027】
このとき、前記炭素コーティングは、シリコンフレークの製造過程で追加的な工程で行われても良く、具体的な内容は以下の製造方法で説明する。
【0028】
前記炭素コーティングは1〜100nm、詳しくは3〜30nm、より詳しくは5nm〜15nmの厚さを有し得る。
【0029】
上記の範囲を満足する場合、炭素コーティングから得ようとしたレート特性が改善され、炭素コーティングを均一に形成でき、結果的に電気化学的性能が向上して、全体体積対比容量を発現するシリコンの含有量が適切に確保されて容量減少の問題を防止することができる。
【0030】
また、本発明は、前記シリコンフレークを製造する方法であって、
i)粘土と金属還元剤との混合物を500℃〜800℃で30分〜6時間熱処理する過程;
ii)前記熱処理された混合物を酸性溶液に入れて撹拌する過程;及び
iii)前記撹拌済みの結果物から超気孔構造のシリコンフレークを収得する過程;を含むことを特徴とするシリコンフレークの製造方法を提供する。
【0031】
上記のような方法によって、粘土と金属還元剤との均一な混合物を金属還元剤の融点付近で反応させれば、金属還元剤が融け始めて粘土の表面で還元反応を起こし、最外郭層のシリカをシリコンに還元させながら過量の熱を放出するようになる。そして、このように放出された熱は粘土内に金属酸化物からなる下位層に伝達され、前記金属酸化物が逆触媒(negative catalyst)の役割を果たしながら還元反応から発生した過量の熱を緩和する熱スカベンジャーの役割も果たす。そして、その後、このような金属酸化物を除去する酸性溶液後処理を通じて金属酸化物の位置に大空隙が形成され、既に存在する中空隙と微細空隙とともに超気孔構造のシリコンフレークが得られる。
【0032】
このとき、シリコンフレークを得るために使用される粘土は層状構造を有し得、詳しくは、シリコンフレークの形状に相応する板状構造に相応する構造を有し得る。
【0033】
このように、入手し易くて安価な粘土から純度90重量%以上、詳しくは95重量%以上の高純度シリコンを得られるため、上記の製造方法による場合、製造コスト及び工程の面から非常に優秀である。
【0034】
前記粘土は、具体的に、層状構造を有する粘土であれば限定されないが、粘土鉱物としてモンモリロナイト(montmorillonite)、雲母(mica)、滑石(talc)及びこれらの組合せからなる群より選択される鉱物を含むものであり得、詳しくは、滑石であり得る。
【0035】
このように粘土に含まれる鉱物の種類によって、含まれる金属酸化物の種類が変わり得る。したがって、粘土に含まれているシリカを還元させてシリコンを得るための金属還元剤は、前記粘土に含まれているシリコン酸化物を除いた金属酸化物と同じ金属であり得、詳しくは、Al、Mg、Ge、Fe、Ca、Ti、Cu、Zn、Ni、Zr、Cr、Ba及びこれらの組合せからなる群より選択される金属であり得、詳しくは、AlまたはMgであり得る。このような金属還元剤は詳しくは粉末状であり得るが、これに限定されることはない。
【0036】
前記過程i)において、前記粘土と金属還元剤との混合比は、粘土に含まれているシリコン酸化物の酸素と金属還元剤とのモル比率が1:0.5〜1:2になるように混合することができる。
【0037】
上記の範囲から外れて、金属還元剤が多過ぎる場合はかえって金属還元剤が不純物になり得、少な過ぎる場合はシリコンに還元されずに残るシリカが存在し得るため、純度を低下させて望ましくない。
【0038】
このように混合された粘土と金属還元剤との混合物は熱処理を経るようになるが、このような熱処理によって、粘土に含有されたシリカは還元されてシリコンフレークを形成し、前記金属還元剤は酸化される。このような過程を1つの例として化学式で表せば下記のようである。
(SiO
2)x(MgO)y+2xMg→xSi+(2x+y)MgO
(SiO
2)x(Al
2O
3)y+4/3xAl→xSi+(2/3x+y)MgO
【0039】
このような還元反応のための前記過程i)の熱処理は、500℃〜800℃で30分〜6時間行われ、詳しくは、600℃〜800℃で1時間〜3時間行うことができる。
【0040】
上記の範囲から外れて、温度が低過ぎるか又は時間が短い場合は、粘土に含まれたシリカが十分還元されずシリコンフレークを収得し難く、温度が高過ぎるか又は時間が長い場合は、結晶構造の再配列が起きるなど所望の形態の超気孔構造を得られず望ましくない。
【0041】
また、前記熱処理は不活性気体を含む雰囲気下で行われ、詳しくは、窒素気体、アルゴン気体、ネオン気体、ヘリウム気体及びこれらの組合せからなる群より選択される気体を含む雰囲気下で行われ、詳しくはアルゴン気体雰囲気下で行われても良い。
【0042】
前記過程で酸化された金属還元剤は酸化物を形成し、これは不純物として作用するため、以後の過程ii)で酸性溶液との撹拌によって除去し、還元されたシリコンフレークのみを高純度で収得することができる。
【0043】
このとき、前記過程ii)の酸性溶液に入れて撹拌する過程は、第1酸性溶液に入れて撹拌する過程;及び第2酸性溶液に入れて撹拌する過程を順次行うことができる。
【0044】
このように二回酸性溶液に入れて撹拌するのは、熱処理を経た還元反応済みの混合物に存在する金属酸化物及び反応できずに残っているシリカを全て除去するためである。
【0045】
このような金属酸化物とシリカの除去に使用される酸性溶液は、詳しくは、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、ヨウ素酸及びこれらの組合せからなる群より選択されるものであり得る。すなわち、第1酸性溶液及び第2酸性溶液は、それぞれ独立して、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、フッ酸、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、ヨウ素酸及びこれらの組合せからなる群より選択できる。より詳しくは、第1酸性溶液は塩酸であり、第2酸性溶液はフッ酸であり得る。前記塩酸は金属酸化物を溶かし、前記フッ酸はシリカを溶かす役割を果たす。
【0046】
このように酸性溶液と撹拌する過程は、残留する不純物の含有量によって適切に決定でき、詳しくは、24℃〜40℃で5分〜5時間行われ、第1酸性溶液が塩酸であるとき、第1酸性溶液との撹拌時間は具体的に30℃〜40℃で2時間〜5時間行われても良く、第2酸性溶液がフッ酸であるとき、第2酸性溶液との撹拌時間は常温で5分〜30分間行われても良い。
【0047】
このように不純物まで除去された物質は、前記過程iii)で、前記撹拌済みの結果物から超気孔構造のシリコンフレークを収得することができる。前記超気孔構造のシリコンフレークを収得または分離する方法は、特に制限されないが、例えば、フィルタリングまたは遠心分離機によって行われ得る。
【0048】
前記遠心分離機で溶液に含まれた結果物を収得する方法は、当業界で周知の方法と同様であり、前記フィルタリングは詳しくは真空フィルターを用いる方法であり得る。真空フィルターを通じて結果物を収得する方法では、真空フィルターを適切にセットした後、真空フィルター容器に前記撹拌済みの溶液を注ぐことで酸性溶液及びその他の溶媒をシリコンフレークと分離できる。
【0049】
このとき、遠心分離機を用いて収得する方法は、溶媒の体積が最小200ml以上であり、酸性溶液と中性溶液との場合、完全に分離できないという問題があるため、詳しくは、前記フィルタリングを通じて前記撹拌済みの物質から超気孔構造のシリコンフレークを合成することがより望ましい。
【0050】
一方、前記シリコンフレークの製造方法は、
iv)前記収得されたシリコンフレークに炭素含有ガスを供給して熱処理する過程をさらに含むことができる。
【0051】
このような過程を経ることで、炭素がコーティングされたシリコンフレークを収得することができる。
【0052】
このとき、前記炭素含有ガスは、アセチレンガス、エチレンガス、プロピレンガス、メタンガス、エタンガス及びこれらの組合せから選択でき、詳しくは、アセチレンガスであり得る。
【0053】
また、炭素含有ガスを用いて炭素をコーティングするための前記過程iv)の熱処理は、500℃〜1000℃で1分〜30分、詳しくは、1分〜10分間行うことができる。
【0054】
上記の範囲から外れて、低過ぎる温度で行うか又は短過ぎる時間行う場合は、所望の程度に炭素がコーティングされず、高過ぎる温度で行うか又は長過ぎる時間行う場合は、シリコンフレークの結晶構造及び超気孔構造に影響を及ぼし、炭素がコーティングされる形態ではなく、シリコンフレークと複合体を形成する形態にその構造が変形される恐れがあるため、望ましくない。
【0055】
このように製造完了段階で炭素含有ガスを用いてシリコンフレークに炭素をコーティングする場合は、炭素がシリコンの空隙を塞ぐことなく連結性を有していることから、電子移動通路(path)を効果的に形成するだけでなく、ガス状態でコーティングされるため、シリコンフレークの表面に均一にコーティングできる。なお、製造工程で炭素化合物を入れて一緒に反応させることでシリコンと炭素化合物との複合体が形成され、炭素化合物がシリコンと複合体を形成しながら炭素化合物が空隙の形成を妨害でき、金属熱還元反応で発生した過量の熱によってシリコンカーバイドが形成され得るが、シリコンカーバイドは電気化学的に非活性であるため、シリコンフレークの構造維持と均一な炭素コーティング、及び活物質の損失防止の面からより優れる。
【0056】
また、本発明は、前記負極材を含む負極及び該負極を含む二次電池を提供する。
【0057】
本発明による前記二次電池は、一般に、正極、負極、分離膜及びリチウム塩含有非水電解質を含む。したがって、以下では上述した本発明による負極材以外のリチウム二次電池を構成する他の成分について説明する。
【0058】
前記正極は、正極集電体上に正極活物質、導電材及び結着剤の混合物を塗布した後、乾燥して製造され、必要によっては、前記混合物に充填剤をさらに添加しても良い。
【0059】
前記正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物(LiCoO
2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO
2)などの層状化合物や、1またはそれ以上の遷移金属で置換された化合物;化学式Li
1+yMn
2−yO
4(ここで、yは0〜0.33)、LiMnO
3、LiMn
2O
3、LiMnO
2などのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(Li
2CuO
2);LiV
3O
8、LiFe
3O
4、V
2O
5、Cu
2V
2O
7などのバナジウム酸化物;化学式LiNi
1−yM
yO
2(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGa、y=0.01〜0.3)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn
2−yM
yO
2(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTa、y=0.01〜0.1)またはLi
2Mn
3MO
8(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZn)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLi一部がアルカリ土類金属イオンで置換されたLiMn
2O
4;ジスルフィド化合物;Fe
2(MoO
4)
3などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0060】
前記導電材は、通常正極活物質を含む混合物の全体重量を基準に1〜50重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、グラフェン(graphene)、黒鉛ペレット、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;CNTなどの炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが挙げられる。
【0061】
前記結着剤は、活物質と導電材などとの結合や集電体に対する結合を補助する成分であって、通常正極活物質を含む混合物全体重量を基準に1〜50重量%で添加される。このような結着剤の例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(PAA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。
前記充填剤は、正極の膨張を抑制する成分であって、選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発することなく繊維状材料であれば特に制限されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合体;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状物質が挙げられる。
【0062】
前記正極集電体は、一般に3μm〜500μmの厚さで製造される。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく高い導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが挙げられる。集電体の表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態が可能である。
【0063】
前記負極は、当業界で知られた通常の方法によって活物質、導電材及び結着剤の混合物である負極材を負極集電体に結着した形態で製造し、前記正極と同様に、リチウムイオンを吸蔵及び放出する役割を果たす。
【0064】
前記負極活物質は、本発明で定義するシリコンフレークの外に、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、チャンネルブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック類、キッシュ黒鉛(Kish graphite、KG)、SFGシリーズ(SFG−6、SFG−15など)、高配向性熱分解グラファイト(highly oriented pyrolytic graphite)、MPCF(Mesophase pitch based carbon fiber)、MCMBシリーズ(MCMB 2800、MCMB 2700、MCMB 2500など)などのように炭素原子のみからなり、2000℃以上の温度で熱処理されて完全に結晶化された構造(ordered structure)の炭素材なども一緒に使用可能である。
【0065】
前記負極集電体は、一般に3μm〜500μmの厚さで製造される。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発することなく導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などが挙げられる。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使用できる。
【0066】
前記負極は、負極集電体上に負極活物質、導電材及び結着剤の混合物を塗布した後、乾燥して製造され、必要によっては、前記混合物に充填剤をさらに添加しても良い。このとき、使用される導電材、結着剤及び充填剤の種類及び含量は前記正極で説明された内容を参考して適用され得る。
【0067】
前記分離膜は、正極と負極との間に介在され、高いイオン透過度と機械的強度を有する絶縁性の薄膜が使用される。分離膜の気孔径は一般に0.01〜10μmであり、厚さは一般に5〜300μmである。このような分離膜としては、例えば、耐化学性及び疎水性のポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマー;ガラス繊維またはポリエチレンなどから製造されたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合は、固体電解質が分離膜を兼ねても良い。
【0068】
前記リチウム塩含有非水系電解質は非水電解液とリチウム塩からなり、前記非水電解液としては非水系有機溶媒、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用される。
【0069】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキサイド誘導体、ポリプロピレンオキサイド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアジテーションリシン(agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などが使用され得る。
【0070】
前記無機固体電解質としては、例えば、Li
3N、LiI、Li
5NI
2、Li
3N−LiI−LiOH、LiSiO
4、LiSiO
4−LiI−LiOH、Li
2SiS
3、Li
4SiO
4、Li
4SiO
4−LiI−LiOH、Li
3PO
4−Li
2S−SiS
2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使用され得る。
【0071】
前記リチウム塩は、前記非水電解質に溶解され易い物質であって、例えば、LiCl、LiBr、LII、LiClO
4、LiBF
4、LiB
10Cl
10、LiPF
6、LiCF
3SO
3、LiCF
3CO
2、LiAsF
6、LiSbF
6、LiAlCl
4、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Li、(CF
3SO
2)
2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム及びテトラフェニルホウ酸リチウム、イミドなどが使用され得る。
【0072】
また、電解液には、充放電特性、難燃性などの改善を目的として、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されても良い。場合によっては、不燃性を与えるため、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませても良く、高温保存特性を向上させるために二酸化炭素ガスをさらに含ませても良い。