特許第6750325号(P6750325)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6750325発泡同軸ケーブル及びその製造方法並びに多芯ケーブル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750325
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】発泡同軸ケーブル及びその製造方法並びに多芯ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 11/18 20060101AFI20200824BHJP
   H01B 11/20 20060101ALI20200824BHJP
   H01B 13/14 20060101ALI20200824BHJP
   H01B 7/02 20060101ALI20200824BHJP
【FI】
   H01B11/18 D
   H01B11/20
   H01B13/14 B
   H01B7/02 F
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-116335(P2016-116335)
(22)【出願日】2016年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-220424(P2017-220424A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】黄 得天
(72)【発明者】
【氏名】渡部 考信
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 晴之
(72)【発明者】
【氏名】工藤 紀美香
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−188742(JP,A)
【文献】 特開2007−169687(JP,A)
【文献】 特開平06−111633(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0109253(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 11/18
H01B 7/02
H01B 11/20
H01B 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心導体と、前記中心導体の外周に設けられた発泡絶縁層と、前記発泡絶縁層の外周に設けられた外部導体と、前記外部導体の外周に設けられた最外被覆層とを備え、
前記中心導体は、複数本の導体を撚り合わせた撚線からなり、
前記発泡絶縁層は、厚さが0.1mm以下に形成され、且つ前記中心導体側の厚み2分の1までの第1の領域の発泡度が前記第1の領域以外の残りの部分である第2の領域の発泡度よりも高く形成され、気泡の潰れ及び絶縁切れが抑制されていることを特徴とする発泡同軸ケーブル。
【請求項2】
前記第1の領域の気泡の容積が、前記発泡絶縁層全体の気泡の容積の50%以上であることを特徴とする請求項1に記載の発泡同軸ケーブル。
【請求項3】
前記第1の領域の気泡の容積が、前記発泡絶縁層全体の気泡の容積の60〜80%であることを特徴とする請求項1に記載の発泡同軸ケーブル。
【請求項4】
前記発泡絶縁層は、前記中心導体の直上に設けられた押出被覆層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡同軸ケーブル。
【請求項5】
前記発泡絶縁層の直上に設けられた、非発泡絶縁体からなるスキン層を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡同軸ケーブル。
【請求項6】
ダイスを通過させて中心導体の外周に発泡絶縁層を押出被覆する工程を有し、
前記ダイスは、当該ダイスの中心部側に設けられた第1の樹脂流路と、前記第1の樹脂流路よりも外側に設けられた第2の樹脂流路とを備え、
前記押出被覆する工程は、前記第1の樹脂流路を流れる樹脂と前記ダイスを通過する前記中心導体とが接触する部分に形成され、前記第1の樹脂流路の流路幅よりも流路幅が広い空間で前記発泡絶縁層を発泡させる工程と、前記中心導体が排出される前記ダイスの排出孔で前記発泡絶縁層を発泡させる工程とを含み、
厚さが0.1mm以下であり、且つ前記中心導体側の厚み2分の1までの第1の領域の発泡度が前記第1の領域以外の残りの部分である第2の領域の発泡度よりも高い前記発泡絶縁層を形成することを特徴とする発泡同軸ケーブルの製造方法。
【請求項7】
記空間は、前記第2の樹脂流路を流れる樹脂と前記ダイスを通過する前記中心導体とが接触する部分よりも広い空間であることを特徴とする請求項6に記載の発泡同軸ケーブルの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡同軸ケーブルを1本以上備えたケーブルコアと、前記ケーブルコアの外周に設けられたシースとを有することを特徴とする多芯ケーブル。
【請求項9】
医療用ケーブルであることを特徴とする請求項8に記載の多芯ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡同軸ケーブル及びその製造方法並びに多芯ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用ケーブルには、プローブケーブル(例えば、超音波診断用)、カテーテルケーブル、内視鏡ケーブル等があるが、各々、信号線として同軸ケーブルが用いられている。例えば、192本の発泡同軸ケーブルを集合し、その集合体の外周にシースを設けた超音波診断用プローブケーブルなどがある。
【0003】
この様な医療用ケーブルに内蔵される同軸ケーブルとして、従来より、中心導体の外周に発泡押出被覆により形成された発泡絶縁層を備えた同軸ケーブルが知られている(例えば特許文献1〜2参照)。発泡による気泡を有することで絶縁層の静電容量を下げることができる。
【0004】
医療用ケーブルでは、医療機器の小型化に伴って、細径化が求められており、それに付随して、同軸ケーブルも細径化する傾向にある(例えば特許文献3参照)。
【0005】
中心導体の外周へ発泡絶縁層を押出により被覆する場合、静電容量特性の安定化のため、発泡絶縁層の気泡の大きさをできるだけ均一にし、かつ、その分布もできるだけ均一にするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−63369号公報
【特許文献2】特開2010−212185号公報
【特許文献3】特開2007−169687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発泡絶縁層の発泡度を上げると、気泡の数が増えたり、気泡が大きく成長するが、厚さ0.1mm以下の薄肉発泡絶縁体になると気泡がすぐに潰れたり、酷い場合には絶縁切れを起こすという問題がある。つまり、細径化が難しくなる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、発泡度を上げた厚さ0.1mm以下の薄肉発泡絶縁体においても、気泡がすぐに潰れたり、絶縁切れを起こしたりすることのない発泡同軸ケーブル及びその製造方法並びに当該発泡同軸ケーブルを用いた多芯ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、下記の発泡同軸ケーブル及びその製造方法並びに多芯ケーブルを提供する。
【0010】
[1]複数本の導体を撚り合せた中心導体と、前記中心導体の外周に設けられた発泡絶縁層と、前記発泡絶縁層の外周に設けられた外部導体と、前記外部導体の外周に設けられた最外被覆層とを備え、前記発泡絶縁層は、前記中心導体側の厚み2分の1までの第1の領域の発泡度が、前記第1の領域以外の残りの部分である第2の領域の発泡度よりも高いことを特徴とする発泡同軸ケーブル。
[2]前記第1の領域の気泡の容積が、前記発泡絶縁層全体の気泡の容積の50%以上であることを特徴とする前記[1]に記載の発泡同軸ケーブル。
[3]前記第1の領域の気泡の容積が、前記発泡絶縁層全体の気泡の容積の60〜80%であることを特徴とする前記[1]に記載の発泡同軸ケーブル。
[4]前記発泡絶縁層は、前記中心導体の直上に設けられた押出被覆層であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の発泡同軸ケーブル。
[5]前記発泡絶縁層の直上に設けられた、非発泡絶縁体からなるスキン層を備えることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の発泡同軸ケーブル。
[6]ダイスを通過させて複数本の導体を撚り合せた中心導体の外周に発泡絶縁層を押出被覆する工程を有し、前記押出被覆する工程は、前記ダイス内に形成された空間で前記発泡絶縁層を発泡させる工程と、前記中心導体が排出される前記ダイスの排出孔で前記発泡絶縁層を発泡させる工程とを含むことを特徴とする発泡同軸ケーブルの製造方法。
[7]前記ダイスは、当該ダイスの中心部側に設けられた第1の樹脂流路と、前記第1の樹脂流路よりも外側に設けられた第2の樹脂流路とを備え、前記空間は、前記第1の樹脂流路を流れる樹脂と前記ダイスを通過する前記中心導体とが接触する部分に設けられており、前記第1の樹脂流路の流路幅よりも流路幅が広い空間であることを特徴とする前記[6]に記載の発泡同軸ケーブルの製造方法。
[8]前記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の発泡同軸ケーブルを1本以上備えたケーブルコアと、前記ケーブルコアの外周に設けられたシースとを有することを特徴とする多芯ケーブル。
[9]医療用ケーブルであることを特徴とする前記[8]に記載の多芯ケーブル。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、発泡度を上げた厚さ0.1mm以下の薄肉発泡絶縁体においても、気泡がすぐに潰れたり、絶縁切れを起こしたりすることのない発泡同軸ケーブル及びその製造方法並びに当該発泡同軸ケーブルを用いた多芯ケーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係る発泡同軸ケーブルの構造を示す横断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る発泡同軸ケーブルの製造工程において使用されるダイスの構造を示す横断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る多芯ケーブルの構造を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔発泡同軸ケーブル〕
図1は、本発明の実施の形態に係る発泡同軸ケーブルの構造を示す横断面図である。
【0014】
図1に示される本発明の実施の形態に係る発泡同軸ケーブル10は、複数本の導体を撚り合せた中心導体1と、中心導体1の外周に設けられた発泡絶縁層2と、発泡絶縁層2の外周に設けられた外部導体4と、外部導体4の外周に設けられた最外被覆層5とを備え、発泡絶縁層2は、中心導体1側の厚み2分の1までの第1の領域21の発泡度が、第1の領域21以外の残りの部分である第2の領域22の発泡度よりも高い。
【0015】
(中心導体1)
中心導体1は、単線からなるものであってもよいが、発泡絶縁層2との間の空隙率を高める観点から複数本の導体を撚り合わせた撚線からなることが好ましい。撚り合わせる導体の本数は、特に限定されるものではないが、発泡絶縁層2との間の空隙率を高める観点から3本又は7本であることが好ましい。図1では、7本の導体を撚り合せている。
【0016】
中心導体1は、例えば銅合金からなる。銀めっき等のめっきが施されていても良い。中心導体1は細径であることが好ましく、具体的には42〜50AWG(American Wire Gauge)であることが好ましく、46〜50AWGであることがより好ましく、48〜50AWGであることがさらに好ましい。
【0017】
(発泡絶縁層2)
発泡絶縁層2は、中心導体1の直上に設けられた押出被覆層であることが好ましい。発泡絶縁層2は、例えば、フッ素樹脂からなる。フッ素樹脂としては、例えばテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適である。
【0018】
発泡絶縁層2は、中心導体1側の厚み2分の1までの第1の領域21の発泡度(%)が、第1の領域21以外の残りの部分である第2の領域22の発泡度(%)よりも高い。ここで発泡度(%)とは、発泡同軸ケーブル10の横断面における発泡絶縁層2の面積に占める気泡の割合を言う。すなわち、例えば、中心導体1側の厚み2分の1までの第1の領域21の発泡度(%)とは、発泡絶縁層2のうち中心導体1側の厚み2分の1までの第1の領域21(樹脂部分と気泡部分含む)の面積中に占める、第1の領域21に存在する気泡の面積の割合を言う。本発明の実施の形態においては、発泡同軸ケーブル10の長手方向全長に亘って発泡絶縁層2の発泡度が上記関係を満たしていることが望ましいが、これに限られるものではない。例えば、発泡同軸ケーブル10の長手方向の任意の複数箇所(x箇所)で発泡度を測定した際のx/3箇所以上で上記関係を満たしていることが好ましく、x/2箇所以上で上記関係を満たしていることがより好ましく、3x/4箇所以上で上記関係を満たしていることがさらに好ましく、4x/5箇所以上で上記関係を満たしていることが最も好ましい(小数点以下は切り上げ)。
【0019】
また、第1の領域21の気泡の容積が、発泡絶縁層2全体の気泡の容積の50%以上であることが好ましく、発泡絶縁層2全体の気泡の容積の60〜80%であることがより好ましい。ここで上記関係を満たしているか否かの確認は、発泡同軸ケーブル10の横断面における気泡の面積を測定し、面積の割合を算出することで代替できる。すなわち、発泡同軸ケーブル10の横断面における発泡絶縁層2全体の気泡の面積に対する第1の領域21中の気泡の面積の割合が50%以上であることが好ましく、60〜80%であることがより好ましい。本発明の実施の形態においては、発泡同軸ケーブル10の長手方向全長に亘って上記関係を満たしていることが望ましいが、これに限られるものではない。例えば、発泡同軸ケーブル10の長手方向の任意の複数箇所(x箇所)で気泡の面積を測定した際のx/3箇所以上で上記関係を満たしていることが好ましく、x/2箇所以上で上記関係を満たしていることがより好ましく、3x/4箇所以上で上記関係を満たしていることがさらに好ましく、4x/5箇所以上で上記関係を満たしていることが最も好ましい(小数点以下は切り上げ)。
【0020】
第1の領域21の発泡度(%)及び第2の領域22の発泡度(%)は、上記関係を満たしていれば特に限定されない。
【0021】
発泡絶縁層2の厚みは、ケーブルの細径化を目的とした場合、0.1mm以下であることが好ましい。発泡絶縁層2を上記の構成としたことにより、発泡度を上げた厚さ0.1mm以下の薄肉発泡絶縁体においても、気泡がすぐに潰れたり、絶縁切れを起こしたりすることのない発泡同軸ケーブルが得られる。
【0022】
(スキン層3)
発泡同軸ケーブル10は、発泡絶縁層2の直上に、非発泡絶縁体からなるスキン層3が設けられていることが好ましい。
【0023】
スキン層3は、テープを巻き付けて形成されることが好ましく、例えば、ホットメルト接着層付きのポリエチレンテレフタレート(PET)テープ、ポリエーテルイミド(PEI)テープ又はポリイミド(PI)テープを巻き付けることにより形成されたものであることが好ましい。ホットメルト接着層とは、加熱圧着による接着が可能なホットメルト接着剤からなる層である。テープは、ラップ部分があるように巻き付けていくことが好ましい。ホットメルト接着層の厚みは、例えば0.5〜2μmであり、各基材からなるテープの厚みは、例えば2〜6μmである。
【0024】
スキン層3は、チューブ状であってもよく、例えば、フッ素樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)から選ばれる樹脂を押出成形することにより形成される。フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)が好適である。押出被覆によるスキン層3の厚みは、8〜30μmであることが好ましい。
【0025】
(外部導体4)
外部導体4は、例えば、錫めっき銅線、錫めっき銅合金線、銀めっき銅線、銀めっき銅合金線である。これが多数本(例えば、30本〜60本)、所定ピッチでらせん状にスキン層3(スキン層3を設けない場合には発泡絶縁層2)の外周に巻き付けられる。
【0026】
(最外被覆層5)
最外被覆層5は、PETテープを巻回したり、或いはETFE、FEP、PFAなどを押出被覆することによって設けることができる。
【0027】
(用途)
上記本発明の実施の形態に係る発泡同軸ケーブルは、医療用ケーブル等の多芯ケーブルに内蔵される同軸ケーブルとして好適であるが、その他のケーブルに適用することもできる。
【0028】
〔発泡同軸ケーブルの製造方法〕
図2は、本発明の実施の形態に係る発泡同軸ケーブルの製造工程において使用されるダイスの構造を示す横断面図である。
【0029】
本発明の実施の形態に係る発泡同軸ケーブルの製造方法は、ダイス100を通過させて中心導体1の外周に発泡絶縁層2を押出被覆する工程を有し、前記押出被覆する工程は、ダイス100内に形成された空間104で発泡絶縁層2を発泡させる工程と、中心導体1が排出されるダイス100の排出孔100aで発泡絶縁層2を発泡させる工程とを含む。
【0030】
ダイス100の具体的な構成例としては、図2に示されるように、ダイス100は、ダイスホルダ101の中心部に挿入された、ノズル孔102aを有するノズル102と、当該ダイス100の中心部側にノズル102の外壁に沿って設けられた第1の樹脂流路101aと、第1の樹脂流路101aよりも外側に設けられた第2の樹脂流路101bとを備える。
【0031】
第1の樹脂流路101aと第2の樹脂流路101bは、分流器103により分流されている。
【0032】
空間104は、第1の樹脂流路101aを流れる第1の樹脂111とノズル孔102aを通過する中心導体1とが接触する部分に設けられており、第1の樹脂流路101aの流路幅よりも流路幅が広い空間である。第1の樹脂111が空間104に流入した際に発泡が生じる。第1の樹脂111により形成される部分が、発泡絶縁層2のうち中心導体1により近い部分を構成する。
【0033】
その後、空間104を流れる第1の樹脂111と、第2の樹脂流路101bを流れる第2の樹脂112とが合流し、ダイス100の排出孔100aから排出された際に発泡が生じ、発泡絶縁層2が形成される。
【0034】
第1の樹脂流路101aを流れる第1の樹脂111及び第2の樹脂流路101bを流れる第2の樹脂112は、前述した材料を使用することができ、これらは同じものであっても異なるものであってもよい。第1の樹脂111は、第2の樹脂112よりも多めに発泡剤を含むことが好ましい。
【0035】
発泡絶縁層2が形成された後、その外周にスキン層3、外部導体4、最外被覆層5が通常の方法により設けられることで、発泡同軸ケーブル10が製造される。
【0036】
〔多芯ケーブル〕
本発明の実施の形態に係る多芯ケーブルは、上記本発明の実施の形態に係る発泡同軸ケーブルを1本以上備えたケーブルコアと、前記ケーブルコアの外周に設けられたシースとを有する。多芯ケーブルは、例えば、医療用ケーブルである。
【0037】
図3は、本発明の実施の形態に係る多芯ケーブルの例示としての医療用ケーブルのひとつであるプローブケーブルの構造を示す横断面図である。
【0038】
上記本発明の実施の形態に係る発泡同軸ケーブル(発泡同軸ケーブル10)を複数本束ねて(束ねて撚り合せても良い)、同軸ケーブルユニット11とし、その同軸ケーブルユニット11複数本(図3では7本)をPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等からなるバインドテープ12で束ねてケーブルコアとし、その周囲に銀めっき銅線などの金属線を複数本巻き付け、又は編組してなるシールド層13を設け、そのシールド層13の周囲にPFAやPVC(ポリ塩化ビニル)などからなるシース14を設けることでプローブケーブル20が得られる。同軸ケーブルユニット11は、束ねた複数本の発泡同軸ケーブル10の外周に被覆層を有していることが好ましい。
【0039】
プローブケーブル以外の医療用ケーブル、すなわち、カテーテルケーブル、内視鏡ケーブルについても、発泡同軸ケーブルの本数が異なる点を除けば基本的にプローブケーブル同様の構造を有している。なお、カテーテルケーブルにおいては、発泡同軸ケーブルが1本のみで構成される場合がある。また、電源線やその他の信号線が含まれる場合がある。
【0040】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々に変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0041】
10:発泡同軸ケーブル
1:中心導体、2:発泡絶縁層、2a:気泡
3:スキン層、4:外部導体、5:最外被覆層
21:第1の領域、22:第2の領域
20:多芯ケーブル(プローブケーブル)、11:同軸ケーブルユニット
12:バインドテープ、13:シールド層、14:シース
100:ダイス、100a:排出孔、101:ダイスホルダ
101a:第1の樹脂流路、101b:第2の樹脂流路
102:ノズル、102a:ノズル孔、103:分流器、104:空間
111:第1の樹脂、112:第2の樹脂
図1
図2
図3