特許第6750408号(P6750408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6750408塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体、および積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750408
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体、および積層体
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20200824BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20200824BHJP
   B29C 41/18 20060101ALI20200824BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20200824BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20200824BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20200824BHJP
   B29K 27/06 20060101ALN20200824BHJP
   B29L 31/58 20060101ALN20200824BHJP
【FI】
   C08L27/06
   C08L83/04
   B29C41/18
   B32B27/30 101
   B32B5/18
   B32B27/40
   B29K27:06
   B29L31:58
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-171405(P2016-171405)
(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公開番号】特開2018-35304(P2018-35304A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2019年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100175477
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】西村 翔太
【審査官】 中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−291244(JP,A)
【文献】 特開平08−291243(JP,A)
【文献】 特開2000−204212(JP,A)
【文献】 特開昭55−090539(JP,A)
【文献】 特開昭54−135840(JP,A)
【文献】 特開平06−136173(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102977510(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
B32B 1/00− 43/00
B29C 41/00− 41/36
41/44− 41/52
70/00− 70/88
B29K 27/06
B29L 31/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)塩化ビニル樹脂と、(b)25℃での動粘度50×104cs以上のシリコーンオイルとを含み、前記(b)シリコーンオイルの含有量が、前記(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.3質量部以上であり、そして自動車インスツルメントパネル表皮用である、塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項2】
前記(b)シリコーンオイルが未変性シリコーンオイルを含む、請求項1に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項3】
粉体成形に用いられる、請求項1または2に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項4】
パウダースラッシュ成形に用いられる、請求項3に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物を成形してなり、そして自動車インスツルメントパネル表皮用である、塩化ビニル樹脂成形体。
【請求項6】
発泡ポリウレタン成形体と、
請求項5に記載の塩化ビニル樹脂成形体と、
を有し、そして自動車インスツルメントパネル表皮用である、積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体、および積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニル樹脂は、一般的に、耐寒性、耐熱性、耐油性などの特性に優れているため、種々の用途に用いられている。具体的には、塩化ビニル樹脂は、例えば、自動車インスツルメントパネルの表皮等を形成する際に使用されている。ここで、自動車インスツルメントパネルは、発泡ポリウレタン成形体の層が、塩化ビニル樹脂の成形体からなる表皮等と基材との間に設けられた積層構造を有している。そして、近年では、例えば、自動車インスツルメントパネルの製造に好適に用い得る、塩化ビニル樹脂成形体、および塩化ビニル樹脂成形体の形成に用いられる塩化ビニル樹脂組成物の改良が試みられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、塩化ビニル樹脂100重量部、可塑剤20〜200重量部、抗菌剤0.01〜5部、およびシリコンオイル0.05〜5部を含む塩化ビニル樹脂組成物が開示されている。そして、特許文献1によれば、この塩化ビニル樹脂組成物は、耐磨耗性に優れると共に、さらっとした肌触りを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−204212
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、シリコーンオイルを塩化ビニル樹脂組成物に含有させると、その表面改質剤としての機能に因り、当該塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きを抑制することができる。一方で、本発明者が検討を重ねたところ、特許文献1に記載の塩化ビニル樹脂組成物から得られる塩化ビニル樹脂成形体と、発泡ポリウレタン成形体とを含む積層体を作製すると、発泡ポリウレタン成形体中の微細な気泡が破泡して、大きな空隙(以下、「ボイド」という。)が生成してしまう場合があることが明らかとなった。このようなボイドが多く生成すると、塩化ビニル樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体を有する積層体の作製に不具合が生じる。また、ボイド部分における発泡ポリウレタン成形体のクッション性が損なわれると共に、当該ボイド部分が、発泡ポリウレタン成形体上に積層された塩化ビニル樹脂成形体表面の色調や光沢にムラを生じさせるという問題が生じる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、表面のべた付きが十分に抑制されていると共に、隣接した発泡ポリウレタン成形体中にボイドを生成させ難い塩化ビニル樹脂成形体を提供することを目的とする。また、本発明は、当該塩化ビニル樹脂成形体を形成可能な塩化ビニル樹脂組成物、および当該塩化ビニル樹脂成形体を有する積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、塩化ビニル樹脂と、所定の値以上の粘度を有するシリコーンオイルを含む塩化ビニル樹脂組成物を用いて塩化ビニル樹脂成形体を形成することにより、塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きを抑制しつつ、当該塩化ビニル樹脂成形体と接する発泡ポリウレタン成形体などの樹脂発泡体中に生成するボイドの数を低減できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、(a)塩化ビニル樹脂と、(b)粘度が1×10cs以上のシリコーンオイルとを含むことを特徴とする。このように、塩化ビニル樹脂粒子と、上述した値以上の粘度を有するシリコーンオイルとを含む塩化ビニル樹脂組成物を用いれば、表面のべた付きが十分に抑制されていると共に、隣接した発泡ポリウレタン成形体中にボイドを生成させ難い塩化ビニル樹脂成形体を提供することができる。
なお、本発明において「粘度」は、ASTMD 445−46Tに従い、温度25℃にて、ウッベローデ粘度計を用いて測定することができる。また、異なる2種以上のシリコーンオイルの混合物を用いる場合は、「粘度」は混合物全体の値として測定することができる。
【0009】
ここで、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、前記(b)シリコーンオイルの粘度が6×10cs超であることが好ましい。(b)シリコーンオイルの粘度が6×10cs超であれば、得られる塩化ビニル樹脂成形体と隣接する発泡ポリウレタン成形体中に生成するボイドの数を更に低減することができるからである。
【0010】
そして、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、前記(b)シリコーンオイルが未変性シリコーンオイルを含むことが好ましい。(b)シリコーンオイルとして未変性のシリコーンオイルを用いれば、得られる塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きを一層抑制すると共に、塩化ビニル樹脂成形体と隣接する発泡ポリウレタン成形体中に生成するボイドの数を容易に低減することができるからである。
【0011】
また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、粉体成形に用いられることが好ましい。塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形に用いれば、例えば、自動車インスツルメントパネルなどに利用される塩化ビニル樹脂成形体等の形成に、塩化ビニル樹脂組成物をより好適に使用することができるからである。
【0012】
そして、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、パウダースラッシュ成形に用いられることが好ましい。塩化ビニル樹脂組成物をパウダースラッシュ成形に用いれば、例えば、自動車インスツルメントパネルなどに利用される塩化ビニル樹脂成形体等の形成に、塩化ビニル樹脂組成物を更に好適に使用することができるからである。
【0013】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、上述したいずれかの塩化ビニル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。上記(a)塩化ビニル樹脂、(b)シリコーンオイルを含む塩化ビニル樹脂組成物を用いて塩化ビニル樹脂成形体を形成すれば、得られる塩化ビニル樹脂成形体表面のべた付きを十分に抑えることができ、また、当該塩化ビニル樹脂成形体に隣接した発泡ポリウレタン成形体中のボイド生成を抑制することもできる。
なお、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、上述のように、表面のべた付きが十分に抑制されていると共に、隣接する発泡ポリウレタン成形体中にボイドを大量に生成させることもないため、自動車インスツルメントパネル表皮の用途に好適に用いることができる。
【0014】
更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の積層体は、発泡ポリウレタン成形体と、上述したいずれかの塩化ビニル樹脂成形体とを有することを特徴とする。発泡ポリウレタン成形体および上述の塩化ビニル樹脂成形体を含む積層体は、塩化ビニル樹脂成形体側表面のべた付きを十分に抑制されていると共に、発泡ポリウレタン成形体中に生成するボイドの数が少ない。よって、本発明の積層体は、例えば、自動車インスツルメントパネルの構成部材として好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表面のべた付きが十分に抑制されていると共に、隣接した発泡ポリウレタン成形体中にボイドを生成させ難い塩化ビニル樹脂成形体を提供することができる。
また、本発明によれば、当該塩化ビニル樹脂成形体を形成可能な塩化ビニル樹脂組成物、および当該塩化ビニル樹脂成形体を有する積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、例えば、本発明の塩化ビニル樹脂成形体を形成する際に用いることができる。また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、当該塩化ビニル樹脂成形体を有する本発明の積層体の製造に用いることができる。そして、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、自動車インスツルメントパネルの表皮用など、自動車内装材用として好適に用いることができる。
【0017】
(塩化ビニル樹脂組成物)
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、(a)塩化ビニル樹脂と、(b)粘度が1×10cs以上のシリコーンオイルとを含むことを特徴とする。また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上記成分に加え、任意に、可塑剤などの添加剤などを更に含有しても良い。そして、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上記所定の成分を含んでいるため、当該組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きを十分に抑制することができる。また、当該組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体に隣接した発泡ポリウレタン成形体中において、ボイドの生成を抑制することもできる。
【0018】
なお、1×10cs以上の高粘度を有するシリコーンオイルを配合することで、上記のように発泡ポリウレタン成形体中のボイド生成を抑制することができる理由は定かではないが、以下の通りであると推察される。すなわち、一般に、シリコーンオイルは、塩化ビニル樹脂成形体中の塩化ビニル樹脂との親和性が高いとはいえず、塩化ビニル樹脂成形体表面付近に偏在することで、当該成形体表面の動摩擦係数を低下させる(すなわち、表面のべた付きを抑制する)効果を発揮する。一方で、比較的粘度が低いシリコーンオイルを使用した場合、塩化ビニル樹脂成形体の表面付近に存在するシリコーンオイルは、塩化ビニル樹脂成形体に隣接して作製される発泡ポリウレタン成形体からなる層に容易に移行する。ここで低粘度のシリコーンオイルは、通常、消泡効果を有しており、このような低粘度のシリコーンオイルが発泡ポリウレタン成形体中に拡散することが、発泡ポリウレタン成形体中にボイドを生成させる一因となると考えられる。そこで、上述した高粘度シリコーンオイルを用いることで、シリコーンオイルが発泡ポリウレタン成形体に移行して当該成形体中で拡散するのを抑制することができ、結果として、発泡ポリウレタン成形体中のボイドの生成を抑制することができると推察される。
【0019】
<(a)塩化ビニル樹脂>
ここで、塩化ビニル樹脂組成物に用いられる(a)塩化ビニル樹脂としては、例えば、1種類または2種類以上の塩化ビニル樹脂粒子を含有することができ、任意に、1種類または2種類以上の塩化ビニル樹脂微粒子を更に含有することができる。中でも、(a)塩化ビニル樹脂は、少なくとも塩化ビニル樹脂粒子を含有することが好ましく、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子を含有することがより好ましく、1種類の塩化ビニル樹脂粒子および2種類の塩化ビニル樹脂微粒子を併用することが更に好ましい。
なお、本明細書において、「樹脂粒子」とは、粒子径が30μm以上の粒子を指し、「樹脂微粒子」とは、粒子径が30μm未満の粒子を指す。
また、(a)塩化ビニル樹脂は、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法など、従来から知られているいずれの製造法によっても製造され得る。
【0020】
<<組成>>
(a)塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル単量体単位からなる単独重合体の他、塩化ビニル単量体単位を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する塩化ビニル系共重合体が挙げられる。塩化ビニル系共重合体を構成し得る、塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体(共単量体)の具体例としては、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;塩化アリル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化塩化エチレンなどのハロゲン化オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリル−3−クロロ−2−オキシプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル類;アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルまたはその酸無水物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類;アリルアミン安息香酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのアリルアミンおよびその誘導体類;などが挙げられる。以上に例示される単量体は、共単量体の一部に過ぎず、共単量体としては、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社(1988年)第75〜104頁に例示されている各種単量体が使用され得る。これらの共単量体は、1種のみを用いても良く、2種以上を用いても良い。なお、上記(a)塩化ビニル樹脂には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレンなどの樹脂に、(1)塩化ビニルまたは(2)塩化ビニルと前記共単量体とがグラフト重合された樹脂も含まれる。
ここで、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
【0021】
<<塩化ビニル樹脂粒子>>
塩化ビニル樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂粒子は、通常、マトリックス樹脂(基材)として機能する。なお、塩化ビニル樹脂粒子は、懸濁重合法により製造することが好ましい。
【0022】
[平均重合度]
ここで、塩化ビニル樹脂粒子の平均重合度は、800以上が好ましく、1000以上がより好ましく、1500以上が更に好ましく、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましい。塩化ビニル樹脂粒子の平均重合度が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の物理的強度を十分確保しつつ、低温下における引張伸びを良好にできるからである。また、塩化ビニル樹脂粒子の平均重合度が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂成形体の溶融性を向上させ、表面平滑性を向上できるからである。
なお、本発明において「平均重合度」は、JIS K6720−2に準拠して測定することができる。
【0023】
[平均粒子径]
また、塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径は、通常30μm以上であり、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、500μm以下が好ましく、250μm以下がより好ましく、200μm以下が更に好ましい。塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が向上するからである。また、塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性が向上すると共に、当該組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の表面平滑性を向上させることができるからである。
なお、本発明において、「平均粒子径」は、JIS Z8825に準拠し、レーザー回折法により体積平均粒子径として測定することができる。
【0024】
[含有割合]
そして、(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂粒子の含有割合は、(a)塩化ビニル樹脂100質量%に対して70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、100質量%とすることができ、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂粒子の含有割合が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の物理的強度を十分確保できる共に、低温下における引張伸びを向上できるからである。また、(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂粒子の含有割合が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が向上するからである。
【0025】
<<塩化ビニル樹脂微粒子>>
塩化ビニル樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂微粒子は、通常、ダスティング剤(粉体流動性改良剤)として機能する。なお、塩化ビニル樹脂微粒子は、乳化重合法により製造することが好ましい。
【0026】
[平均重合度]
ここで、塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度は、(a)塩化ビニル樹脂が含有する塩化ビニル樹脂微粒子全体として600以上であることが好ましく、900以上であることがより好ましく、2000以下であることが好ましく、1700以下であることがより好ましい。そして、例えば、ダスティング剤として異なる平均重合度を有する2種類の塩化ビニル樹脂微粒子を併用する場合は、一方の塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度を500以上1000以下とし;他方の塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度を1000超2500以下とする:等、適宜選択することができる。ダスティング剤としての塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が良好になると共に、当該組成物を用いて形成される塩化ビニル樹脂成形体の低温下における引張伸びが向上するからである。また、塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性が向上し、当該組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の表面平滑性が向上するからである。
ここで、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性を更に向上させる観点からは、ダスティング剤としての塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度は、基材としての塩化ビニル樹脂粒子の平均重合度よりも小さいことが好ましい。
【0027】
[平均粒子径]
また、塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径は、通常30μm未満であり、10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上であることが好ましい。塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が上記下限以上であれば、例えばダスティング剤としてのサイズを過度に小さくすることなく、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を更に良好に発揮できるからである。また、塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性が高まり、形成される塩化ビニル樹脂成形体の表面平滑性を向上させることができるからである。
【0028】
[含有割合]
そして、(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合は、(a)塩化ビニル樹脂100質量%に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が向上するからである。また、(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の低温下における引張伸びを良好にできるからである。
【0029】
<(b)シリコーンオイル>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上述した(a)塩化ビニル樹脂に加え、(b)シリコーンオイルを更に含むことを必要とする。
【0030】
<<粘度>>
ここで、(b)シリコーンオイルの粘度は、1×10cs以上であることが必要であり、6×10cs超であることが好ましく、10×10cs以上であることがより好ましく、25×10cs以上であることが更に好ましく、50×10cs以上であることが特に好ましく、200×10cs超とすることができ、また、1000×10cs以下であることが好ましい。(b)シリコーンオイルの粘度が上記下限未満となると、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体に隣接する発泡ポリウレタン成形体中のボイドの数が増大するからである。また、(b)シリコーンオイルの粘度が上記上限以下であれば、(b)シリコーンオイルのハンドリング性や易分散性を確保することができるからである。
【0031】
<<種類>>
(b)シリコーンオイルとしては、未変性シリコーンオイルであっても良く、変性シリコーンオイルであっても良く、これらの混合物であっても良い。
未変性シリコーンオイルとしては、特に限定されることなく、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリ(メチルエチル)シロキサン等のポリシロキサン構造を有する高分子、およびこれらの混合物等が挙げられる。
また、変性シリコーンオイルとしては、例えば、カルボキシル基、水酸基(シラノール変性)、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイロキシ基等の極性基がポリシロキサン構造を有する高分子に導入されている極性基変性シリコーンオイル;非極性基がポリシロキサン構造を有する高分子に導入されている非極性基変性シリコーンオイル;等が挙げられる。中でも、極性基変性シリコーンオイルが好ましく、シラノール変性シリコーンオイルがより好ましい。
なお、上記極性基または非極性基が導入される部位は、ポリシロキサン構造を有する高分子の末端(片末端、両末端)および/または側鎖である。
そして、塩化ビニル樹脂組成物から形成される塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きを一層抑制すると共に、当該塩化ビニル樹脂成形体と隣接する発泡ポリウレタン成形体に生成するボイドの数を更に低減する観点から、(b)シリコーンオイルは、未変性シリコーンオイルを含むことが好ましく、ポリジメチルシロキサンを含むことがより好ましく、ポリジメチルシロキサンのみからなるものが更に好ましい。
また、本明細書において、「(メタ)アクリロイロキシ」とは、アクリロイロキシおよび/またはメタクリロイロキシを意味する。
【0032】
<<含有量>>
ここで、塩化ビニル樹脂組成物中の(b)シリコーンオイルの含有量は、上記(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、1質量部以下であることが好ましく、0.6質量部以下であることがより好ましい。(b)シリコーンオイルの含有量が上記下限以上であれば、得られる塩化ビニル樹脂成形体に隣接する発泡ポリウレタン成形体に生成するボイドの数を更に低減しつつ、塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きを一層抑制することができるからである。また、(b)シリコーンオイルの含有量が上記上限以下であれば、得られる塩化ビニル樹脂成形体に隣接する発泡ポリウレタン成形体に生成するボイドの数を更に低減することができるからである。
【0033】
ここで、塩化ビニル樹脂組成物に後述する可塑剤を配合させると、得られる塩化ビニル樹脂成形体の表面に可塑剤が染み出し、当該成形体の表面のべたつきが悪化する場合がある。そして、このような可塑剤の染み出しが起こった場合であっても、塩化ビニル樹脂成形体の表面のべたつきを十分に抑制する観点から、塩化ビニル樹脂組成物が可塑剤を更に含む場合、(b)シリコーンオイルの含有量は、可塑剤100質量部対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、1質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.4質量部以下であることが更に好ましい。(b)シリコーンオイルの含有量が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂成形体の、可塑剤による表面べた付きの発生を十分に抑制することができるからである。また、(b)シリコーンオイルの含有量が上記上限以下であれば、得られる塩化ビニル樹脂成形体に隣接する発泡ポリウレタン成形体に生成するボイドの数を更に低減することができるからである。
【0034】
<添加剤>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上述した成分以外に、各種添加剤を更に含有してもよい。添加剤としては、特に限定されることなく、可塑剤;過塩素酸処理ハイドロタルサイト、ゼオライト、β−ジケトン、脂肪酸金属塩などの安定剤;離型剤;上記塩化ビニル樹脂微粒子以外のダスティング剤;およびその他の添加剤;などが挙げられる。
【0035】
<<可塑剤>>
可塑剤としては、以下の一次可塑剤および二次可塑剤などが挙げられる。
いわゆる一次可塑剤としては、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリ−n−プロピル、トリメリット酸トリ−n−ブチル、トリメリット酸トリ−n−ペンチル、トリメリット酸トリ−n−ヘキシル、トリメリット酸トリ−n−ヘプチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、トリメリット酸トリ−n−ノニル、トリメリット酸トリ−n−デシル、トリメリット酸トリ−n−ウンデシル、トリメリット酸トリ−n−ドデシル、トリメリット酸トリ−n−トリデシル、トリメリット酸トリ−n−テトラデシル、トリメリット酸トリ−n−ペンタデシル、トリメリット酸トリ−n−ヘキサデシル、トリメリット酸トリ−n−ヘプタデシル、トリメリット酸トリ−n−ステアリル、トリメリット酸トリ−n−アルキルエステル(ここで、トリメリット酸トリ−n−アルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は一分子中で互いに異なっていても良い。)などの、エステルを構成するアルキル基が直鎖状である直鎖状トリメリット酸エステル〔なお、これらのトリメリット酸エステルは、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。〕;
トリメリット酸トリ−i−プロピル、トリメリット酸トリ−i−ブチル、トリメリット酸トリ−i−ペンチル、トリメリット酸トリ−i−ヘキシル、トリメリット酸トリ−i−ヘプチル、トリメリット酸トリ−i−オクチル、トリメリット酸トリ−(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリ−i−ノニル、トリメリット酸トリ−i−デシル、トリメリット酸トリ−i−ウンデシル、トリメリット酸トリ−i−ドデシル、トリメリット酸トリ−i−トリデシル、トリメリット酸トリ−i−テトラデシル、トリメリット酸トリ−i−ペンタデシル、トリメリット酸トリ−i−ヘキサデシル、トリメリット酸トリ−i−ヘプタデシル、トリメリット酸トリ−i−オクタデシル、トリメリット酸トリアルキルエステル(ここで、トリメリット酸トリアルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は一分子中で互いに異なっていても良い。)などの、エステルを構成するアルキル基が分岐状である分岐状トリメリット酸エステル〔なお、これらのトリメリット酸エステルは、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。〕;
ピロメリット酸テトラメチル、ピロメリット酸テトラエチル、ピロメリット酸テトラ−n−プロピル、ピロメリット酸テトラ−n−ブチル、ピロメリット酸テトラ−n−ペンチル、ピロメリット酸テトラ−n−ヘキシル、ピロメリット酸テトラ−n−ヘプチル、ピロメリット酸テトラ−n−オクチル、ピロメリット酸テトラ−n−ノニル、ピロメリット酸テトラ−n−デシル、ピロメリット酸テトラ−n−ウンデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ドデシル、ピロメリット酸テトラ−n−トリデシル、ピロメリット酸テトラ−n−テトラデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ペンタデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ヘキサデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ヘプタデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ステアリル、ピロメリット酸テトラ−n−アルキルエステル(ここで、ピロメリット酸テトラ−n−アルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は一分子中で互いに異なっていても良い。)などの、エステルを構成するアルキル基が直鎖状である直鎖状ピロメリット酸エステル〔なお、これらのピロメリット酸エステルは、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。〕;
ピロメリット酸テトラ−i−プロピル、ピロメリット酸テトラ−i−ブチル、ピロメリット酸テトラ−i−ペンチル、ピロメリット酸テトラ−i−ヘキシル、ピロメリット酸テトラ−i−ヘプチル、ピロメリット酸テトラ−i−オクチル、ピロメリット酸テトラ−(2−エチルヘキシル)、ピロメリット酸テトラ−i−ノニル、ピロメリット酸テトラ−i−デシル、ピロメリット酸テトラ−i−ウンデシル、ピロメリット酸テトラ−i−ドデシル、ピロメリット酸テトラ−i−トリデシル、ピロメリット酸テトラ−i−テトラデシル、ピロメリット酸テトラ−i−ペンタデシル、ピロメリット酸テトラ−i−ヘキサデシル、ピロメリット酸テトラ−i−ヘプタデシル、ピロメリット酸テトラ−i−オクタデシル、ピロメリット酸テトラアルキルエステル(ここで、ピロメリット酸テトラアルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は一分子中で互いに異なっていても良い。)などの、エステルを構成するアルキル基が分岐状である分岐状ピロメリット酸エステル〔なお、これらのピロメリット酸エステルは、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。〕;
ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレートなどのフタル酸誘導体;
ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレートなどのイソフタル酸誘導体;
ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸誘導体;
ジ−n−ブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸誘導体;
ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸誘導体;
ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソデシルセバケート、ジ−(2−ブチルオクチル)セバケートなどのセバシン酸誘導体;
ジ−n−ブチルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエートなどのマレイン酸誘導体;
ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレートなどのフマル酸誘導体;
トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレートなどのクエン酸誘導体;
モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネートなどのイタコン酸誘導体;
ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエートなどのオレイン酸誘導体;
メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレートなどのリシノール酸誘導体;
n−ブチルステアレート、ジエチレングリコールジステアレートなどのステアリン酸誘導体(但し、12−ヒドロキシステアリン酸エステルを除く);
ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどのその他の脂肪酸誘導体;
トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェートなどのリン酸誘導体;
ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレートなどのグリコール誘導体;
グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン誘導体;
エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシルなどのエポキシ誘導体;
アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどのポリエステル系可塑剤;
などが挙げられる。
【0036】
また、いわゆる二次可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油;塩素化パラフィン、トリエチレングリコールジカプリレートなどのグリコールの脂肪酸エステル、ブチルエポキシステアレート、フェニルオレエート、ジヒドロアビエチン酸メチルなどが挙げられる。
【0037】
なお、これらの可塑剤は、1種のみを用いても良く、例えば、一次可塑剤、二次可塑剤などの2種以上を併用しても良い。また、二次可塑剤を用いる場合は、当該二次可塑剤と等質量以上の一次可塑剤を併用することが好ましい。
そして、上述した可塑剤の中でも、低温下における良好な引張伸びを得る観点からは、トリメリット酸エステルおよび/またはピロメリット酸エステルを用いることが好ましく、トリメリット酸エステルを用いることがより好ましく、直鎖状トリメリット酸エステルを用いることが更に好ましく、炭素数が異なるアルキル基を分子内に2つ以上有する直鎖状トリメリット酸エステルを用いることが一層好ましい。また、当該アルキル基の炭素数は8〜10であることが好ましく、当該アルキル基がn−オクチル基、n−デシル基であることがより好ましい。そして、上記トリメリット酸エステルと共にエポキシ化大豆油を更に用いることが好ましい。
【0038】
ここで、可塑剤の形態は特に限定されないが、(a)塩化ビニル樹脂との混合容易性の観点からは、常温で液体であることが好ましい。
【0039】
可塑剤の含有量は、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して、80質量部以上であることが好ましく、85質量部以上であることがより好ましく、200質量部以下であることが好ましく、150質量部以下であることがより好ましく、120質量部以下であることが更に好ましい。可塑剤の含有量が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の低温下における良好な引張伸びを確保することができる。なお、可塑剤の含有量を上記下限以上配合した場合には、上述した、塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きの問題が生じる虞があるが、本発明では、塩化ビニル樹脂組成物が所定の粘度を有する(b)シリコーンオイルを含有しているので、成形体表面のべた付きを抑制することができる。また、可塑剤の含有量が上記上限以下であれば、形成された塩化ビニル樹脂成形体表面のべた付きを一層抑制することができる。
【0040】
<<過塩素酸処理ハイドロタルサイト>>
塩化ビニル樹脂組成物が含有し得る、過塩素酸処理ハイドロタルサイトは、例えば、ハイドロタルサイトを過塩素酸の希薄水溶液中に加えて撹拌し、その後必要に応じて、ろ過、脱水または乾燥することによって、ハイドロタルサイト中の炭酸アニオン(CO2−)の少なくとも一部を過塩素酸アニオン(ClO)で置換(炭酸アニオン1モルにつき過塩素酸アニオン2モルが置換)することにより、過塩素酸一部導入型ハイドロタルサイトとして容易に製造することができる。上記ハイドロタルサイトと上記過塩素酸とのモル比は任意に設定できるが、一般には、ハイドロタルサイト1モルに対し、過塩素酸0.1モル以上2モル以下が好ましい。
【0041】
ここで、未処理(過塩素酸アニオンを一部導入していない未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは85モル%以上である。また、未処理(過塩素酸アニオンを一部導入していない未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率は、好ましくは95モル%以下である。未処理(過塩素酸アニオンを一部導入していない未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率が上記の範囲内にあることにより、塩化ビニル樹脂成形体を容易に製造することができるからである。
【0042】
なお、ハイドロタルサイトは、一般式:[Mg1−xAl(OH)]x+[(CO)x/2・mHO]x−で表される不定比化合物で、プラスに荷電した基本層[Mg1−xAl(OH)]x+と、マイナスに荷電した中間層[(CO)x/2・mHO]x−とからなる層状の結晶構造を有する無機物質である。ここで、上記一般式中、xは0より大きく0.33以下の範囲の数である。天然のハイドロタルサイトは、MgAl(OH)16CO・4HOである。合成されたハイドロタルサイトとしては、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HOが市販されている。合成ハイドロタルサイトの合成方法は、例えば特開昭61−174270号公報に記載されている。
【0043】
ここで、過塩素酸処理ハイドロタルサイトの含有量は、特に制限されることなく、上記(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上が更に好ましく、7質量部以下が好ましく、6質量部以下がより好ましい。過塩素酸処理ハイドロタルサイトの含有量が上記範囲であれば、低温下における引張伸びが確保された塩化ビニル樹脂成形体を容易に製造することができるからである。
【0044】
<<ゼオライト>>
塩化ビニル樹脂組成物は、ゼオライトを安定剤として含有し得る。ゼオライトは、一般式:Mx/n・[(AlO・(SiO]・zHO(一般式中、Mは原子価nの金属イオン、x+yは単子格子当たりの四面体数、zは水のモル数である)で表される化合物である。当該一般式中のMの種類としては、Na、Li、Ca、Mg、Znなどの一価または二価の金属およびこれらの混合型が挙げられる。
【0045】
ここで、ゼオライトの含有量は、特に制限されることなく、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、5質量部以下が好ましい。
【0046】
<<β−ジケトン>>
β−ジケトンは、塩化ビニル樹脂組成物を成形して得られる塩化ビニル樹脂成形体の初期色調の変動を効果的に抑えるために用いられる。β−ジケトンの具体例としては、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタンなどが挙げられる。これらのβ−ジケトンは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
なお、β−ジケトンの含有量は、特に制限されることなく、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、5質量部以下が好ましい。
【0048】
<<脂肪酸金属塩>>
塩化ビニル樹脂組成物が含有し得る脂肪酸金属塩は、特に制限されることなく、任意の脂肪酸金属塩とすることができる。中でも、一価脂肪酸金属塩が好ましく、炭素数12〜24の一価脂肪酸金属塩がより好ましく、炭素数15〜21の一価脂肪酸金属塩が更に好ましい。脂肪酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸バリウム、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛等である。脂肪酸金属塩を構成する金属としては、多価陽イオンを生成しうる金属が好ましく、2価陽イオンを生成しうる金属がより好ましく、周期表第3周期〜第6周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が更に好ましく、周期表第4周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が特に好ましい。最も好ましい脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛である。
【0049】
ここで、脂肪酸金属塩の含有量は、特に制限されることなく、上記(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、5質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下が更に好ましい。脂肪酸金属塩の含有量が上記範囲であれば、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の色差の値を小さくして、成形体表面への繊維カス付着を抑制できるからである。
【0050】
<<離型剤>>
離型剤としては、特に制限されることなく、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸エステルおよび12−ヒドロキシステアリン酸オリゴマーなどの12−ヒドロキシステアリン酸系潤滑剤が挙げられる。ここで、離型剤の含有量は、特に制限されることなく、上記(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下とすることができる。
【0051】
<<その他のダスティング剤>>
塩化ビニル樹脂組成物が含有し得る、上記塩化ビニル樹脂微粒子以外の、その他のダスティング剤(粉体流動性改良剤)としては、炭酸カルシウム、タルク、酸化アルミニウムなどの無機微粒子;ポリアクリロニトリル樹脂微粒子、ポリ(メタ)アクリレート樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子、ポリエチレン樹脂微粒子、ポリプロピレン樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子、ポリアミド樹脂微粒子などの有機微粒子;が挙げられる。中でも、平均粒径が10nm以上100nm以下の無機微粒子が好ましい。
【0052】
ここで、その他のダスティング剤の含有量は、特に制限されることなく、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、10質量部以上とすることができる。その他のダスティング剤は、1種類を単独で、または2種類以上を併用しても良く、また、上述した塩化ビニル樹脂微粒子と併用してもよい。
【0053】
<<その他の添加剤>>
塩化ビニル樹脂組成物が含有し得るその他の添加剤としては、特に制限されることなく、例えば、着色剤(顔料)、耐衝撃性改良剤、過塩素酸処理ハイドロタルサイト以外の過塩素酸化合物(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等)、酸化防止剤、防カビ剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、光安定剤、発泡剤等が挙げられる。
【0054】
着色剤(顔料)の具体例は、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ポリアゾ縮合顔料、イソインドリノン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、チタンホワイト、カーボンブラックである。1種または2種以上の顔料が使用される。
キナクリドン系顔料は、p−フェニレンジアントラニル酸類が濃硫酸で処理されて得られ、黄みの赤から赤みの紫の色相を示す。キナクリドン系顔料の具体例は、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンバイオレットである。
ペリレン系顔料は、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸無水物と芳香族第一級アミンとの縮合反応により得られ、赤から赤紫、茶色の色相を示す。ペリレン系顔料の具体例は、ペリレンレッド、ペリレンオレンジ、ペリレンマルーン、ペリレンバーミリオン、ペリレンボルドーである。
ポリアゾ縮合顔料は、アゾ色素が溶剤中で縮合されて高分子量化されて得られ、黄、赤系顔料の色相を示す。ポリアゾ縮合顔料の具体例は、ポリアゾレッド、ポリアゾイエロー、クロモフタルオレンジ、クロモフタルレッド、クロモフタルスカーレットである。
イソインドリノン系顔料は、4,5,6,7−テトラクロロイソインドリノンと芳香族第一級ジアミンとの縮合反応により得られ、緑みの黄色から、赤、褐色の色相を示す。イソインドリノン系顔料の具体例は、イソインドリノンイエローである。
銅フタロシアニン系顔料は、フタロシアニン類に銅を配位した顔料で、黄みの緑から鮮やかな青の色相を示す。銅フタロシアニン系顔料の具体例は、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーである。
チタンホワイトは、二酸化チタンからなる白色顔料で、隠蔽力が大きく、アナタース型とルチル型がある。
カーボンブラックは、炭素を主成分とし、酸素、水素、窒素を含む黒色顔料である。カーボンブラックの具体例は、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、ボーンブラックである。
【0055】
耐衝撃性改良剤の具体例は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレンなどである。塩化ビニル樹脂組成物では、1種または2種以上の耐衝撃性改良剤が使用できる。なお、耐衝撃性改良剤は、塩化ビニル樹脂組成物中で微細な弾性粒子の不均一相となって分散する。塩化ビニル樹脂組成物では、当該弾性粒子にグラフト重合した鎖および極性基が(a)塩化ビニル樹脂と相溶し、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成される塩化ビニル樹脂成形体の耐衝撃性が向上する。
【0056】
酸化防止剤の具体例は、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、亜リン酸塩などのリン系酸化防止剤などである。
【0057】
防カビ剤の具体例は、脂肪族エステル系防カビ剤、炭化水素系防カビ剤、有機窒素系防カビ剤、有機窒素硫黄系防カビ剤などである。
【0058】
難燃剤の具体例は、ハロゲン系難燃剤;リン酸エステル等のリン系難燃剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物;などである。
【0059】
帯電防止剤の具体例は、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル類、スルホン酸塩類等のアニオン系帯電防止剤;脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン系帯電防止剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類等のノニオン系帯電防止剤;などである。
【0060】
充填剤の具体例は、シリカ、マイカ、クレーなどである。
【0061】
光安定剤の具体例は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ニッケルキレート系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などである。
【0062】
発泡剤の具体例は、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジド化合物などの有機発泡剤;フロンガス、炭酸ガス、水、ペンタン等の揮発性炭化水素化合物、これらを内包したマイクロカプセルなどの、ガス系の発泡剤;などである。
【0063】
<塩化ビニル樹脂組成物の調製方法>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上述した成分を混合して調製することができる。
ここで、上記(a)塩化ビニル樹脂と、(b)シリコーンオイルと、必要に応じて更に併用される各種添加剤との混合方法としては、特に限定されることなく、例えば、上記塩化ビニル樹脂微粒子およびその他のダスティング剤を含むダスティング剤を除く成分をドライブレンドにより混合し、その後、ダスティング剤を添加、混合する方法が挙げられる。ここで、ドライブレンドには、ヘンシェルミキサーの使用が好ましい。また、ドライブレンド時の温度は、特に制限されることなく、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、200℃以下が好ましい。
【0064】
<塩化ビニル樹脂組成物の用途>
そして、得られた塩化ビニル樹脂組成物は、粉体成形に好適に用いることができ、パウダースラッシュ成形により好適に用いることができる。
【0065】
(塩化ビニル樹脂成形体)
本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、上述した塩化ビニル樹脂組成物を、任意の方法で成形することにより得られることを特徴とする。そして、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を用いて得られているため、表面のべた付きが十分に抑制されており、また、当該塩化ビニル樹脂成形体に隣接した発泡ポリウレタン成形体中のボイドの生成を抑えることもできる。従って、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、自動車内装材、例えば自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等の表皮として好適に用いられ、特に、自動車インスツルメントパネルの表皮として好適に用いられる。
【0066】
<<塩化ビニル樹脂成形体の成形方法>>
ここで、パウダースラッシュ成形時の金型温度は、特に制限されることなく、200℃以上とすることが好ましく、220℃以上とすることがより好ましく、300℃以下とすることが好ましく、280℃以下とすることがより好ましい。
【0067】
そして、塩化ビニル樹脂成形体を製造する際には、特に限定されることなく、例えば、以下の方法を用いることができる。即ち、上記温度範囲の金型に本発明の塩化ビニル樹脂組成物を振りかけて、5秒以上30秒以下の間放置した後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とし、さらに、任意の温度下、30秒以上3分以下の間放置する。その後、金型を10℃以上60℃以下に冷却し、得られた本発明の塩化ビニル樹脂成形体を金型から脱型する。そして、脱型された塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、金型の形状をかたどったシート状の成形体として得られる。
【0068】
(積層体)
本発明の積層体は、発泡ポリウレタン成形体と、上述した塩化ビニル樹脂成形体とを有する。そして、本発明の積層体は、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成された塩化ビニル樹脂成形体を有しているため、表面のべた付きが十分に抑制されており、また、発泡ポリウレタン成形体中に生成するボイドの数が少ない。従って、本発明の積層体は、例えば、自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等といった自動車内装材として好適に用いられ、特に、自動車インスツルメントパネル用に好適に用いられる。
【0069】
ここで、積層方法は、特に限定されることなく、例えば、塩化ビニル樹脂成形体上で発泡ポリウレタン成形体の原料となるイソシアネート類とポリオール類などとを反応させて重合を行うと共に、公知の方法によりポリウレタンの発泡を行うことにより、塩化ビニル樹脂成形体上に発泡ポリウレタン成形体を直接形成する方法などが挙げられる。
【実施例】
【0070】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
そして、シリコーンオイルの粘度、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度、平均粒子径;初期および加熱(熱老化試験)後の塩化ビニル樹脂成形体についての低温での引張伸び、塩化ビニル樹脂成形体の表面べた付き性(動摩擦係数);発泡ポリウレタン成形体のボイド生成量;は、下記の方法で測定および評価した。
【0071】
<粘度>
シリコーンオイルの粘度は、ASTM D 445−46Tに従い、ウッベローデ粘度計を用いて、温度25℃における動粘度ηCS/25(単位:mm2/s=cs)として測定した。
【0072】
<平均重合度>
塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度は、JIS K6720−2に準拠し、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子のそれぞれを、シクロヘキサノンに溶解させて粘度を測定することにより、算出した。
【0073】
<平均粒子径>
塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径(体積平均粒子径(μm))は、JIS Z8825に準拠して測定した。具体的には、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子を、それぞれ水槽内に分散させ、以下に示す装置を用いて、光の回折・散乱強度分布を測定・解析し、粒子径および体積基準の粒子径分布を測定することにより、算出した。
・装置:レーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所製、SALD−2300)
・測定方式:レーザー回折および散乱
・測定範囲:0.017μm〜2500μm
・光源:半導体レーザー(波長680nm、出力3mW)
【0074】
<低温での引張伸び>
<<初期>>
得られた塩化ビニル樹脂成形シートを、JIS K6251に記載の1号ダンベルで打ち抜き、JIS K7113に準拠して、引張速度200mm/分で、−35℃の低温下における引張破断伸び(%)を測定した。引張破断伸びの値が大きいほど、初期(未加熱)の塩化ビニル樹脂成形体の、低温での延性が優れている。
<<加熱(熱老化試験)後>>
発泡ポリウレタン成形体が裏打ちされた積層体を試料とした。当該試料をオーブンに入れ、温度130℃の環境下で100時間、加熱を行った。次に、加熱後の積層体から発泡ポリウレタン成形体を剥離して、塩化ビニル樹脂成形シートのみを準備した。そして、上記初期の場合と同様の条件にて、100時間加熱後の塩化ビニル樹脂成形シートの引張破断伸び(%)を測定した。温度−35℃における引張破断伸びの値が大きいほど、加熱(熱老化試験)後における塩化ビニル樹脂成形体の、低温での延性が優れている。
【0075】
<動摩擦係数>
塩化ビニル樹脂成形体の表面べた付き性は、以下の通り、動摩擦係数を測定することにより評価した。
具体的には、風合いテスター(トリニティラボ社製、製品名「TL201Ts」)を用いて、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下において、荷重:50g、速度:10mm/秒、試験範囲:50mm、計測範囲:試験範囲の前後10mmを除いた30mm、の条件にて、触覚接触子を、積層体を形成する前の塩化ビニル樹脂成形シートに接触させることにより、当該シート表面の動摩擦係数を測定した。動摩擦係数の値が小さいほど、塩化ビニル樹脂成形体表面のべた付きが抑制されている。
【0076】
<ボイド生成量>
積層体から塩化ビニル樹脂成形シートを剥離して、発泡ポリウレタン成形体(200mm×300mm×10mm)のみを準備し、これを試料とした。当該試料を、50mm間隔で短手方向に切断(6分割)し、断面の状態を確認した。具体的には、直径3mm以上の空隙をボイドとみなして、5つの切断箇所に存在するボイドの数(N)を数えた。
一方、塩化ビニル樹脂成形シートを金型中に載置しない以外は、実施例1の「積層体の形成」と同様の手順により発泡ポリウレタン成形体を作製し、当該発泡ポリウレタン成形体についても、上記と同様に6分割し、5つの切断箇所に存在するボイドの数(N)を数えた。
そして、各試料において、Nを基準(100%)としたボイド生成量(%)=N/N×100を算出した。ボイド生成量の値が小さいほど、塩化ビニル樹脂成形体に隣接する発泡ポリウレタン成形体中にボイドが生成し難い。
【0077】
(実施例1)
<塩化ビニル樹脂組成物の調製>
表1に示す配合成分のうち、可塑剤(トリメリット酸エステルおよびエポキシ化大豆油)と、ダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子とを除く成分をヘンシェルミキサーに入れて混合した。そして、混合物の温度が80℃に上昇した時点で上記可塑剤を全て添加し、更に昇温することにより、ドライアップ(可塑剤が、塩化ビニル樹脂である塩化ビニル樹脂粒子に吸収されて、上記混合物がさらさらになった状態をいう。)させた。その後、ドライアップさせた混合物が温度70℃以下に冷却された時点でダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子を添加し、塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
【0078】
<塩化ビニル樹脂成形体の製造>
上述で得られた塩化ビニル樹脂組成物を、温度250℃に加熱したシボ付き金型に振りかけ、10秒〜20秒程度の任意の時間放置して溶融させた後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とした。その後、当該塩化ビニル樹脂組成物を振りかけたシボ付き金型を、温度200℃に設定したオーブン内に静置し、静置から60秒経過した時点で当該シボ付き金型を冷却水で冷却した。金型温度が40℃まで冷却された時点で、塩化ビニル樹脂成形体として、200mm×300mm×1mmの塩化ビニル樹脂成形シートを金型から脱型した。
そして、得られた塩化ビニル樹脂成形シートについて、上述の方法に従って、初期(未加熱)の低温での引張伸び、および表面べた付き性(動摩擦係数)を評価した。結果を表1に示す。
【0079】
<積層体の形成>
得られた塩化ビニル樹脂成形シートを、100℃に設定したオーブンに2時間静置し、その後200mm×300mm×10mmの金型の中に、シボ付き面を下にして敷いた。
別途、プロピレングリコールのPO(プロピレンオキサイド)・EO(エチレンオキサイド)ブロック付加物(水酸基価28、末端EO単位の含有量=10%、内部EO単位の含有量4%)を50部、グリセリンのPO・EOブロック付加物(水酸基価21、末端EO単位の含有量=14%)を50部、水を2.5部、トリエチレンジアミンのエチレングリコ−ル溶液(東ソー社製、商品名「TEDA−L33」)を0.2部、トリエタノールアミンを1.2部、トリエチルアミンを0.5部、および整泡剤(信越化学工業製、商品名「F−122」)を0.5部混合して、ポリオール混合物を得た。また、得られたポリオール混合物とポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)とを、インデックスが98になる比率で混合した混合液を調製した。そして、調製した混合液を、上述の通り金型中に敷かれた塩化ビニル樹脂成形シートの上に注いだ。その後、348mm×255mm×10mmのアルミニウム板で上記金型に蓋をして、金型を密閉した。金型を密閉してから5分間放置することにより、表皮としての塩化ビニル樹脂成形シート(厚さ:1mm)に、発泡ポリウレタン成形体(厚さ:9mm、密度:0.18g/cm)が裏打ちされた積層体が、金型内で形成された。そして、形成された積層体を金型から取り出して、上述の方法に従って、加熱(熱老化試験)後の低温での引張伸び、およびボイド生成量を評価した。結果を表1に示す。
【0080】
(実施例2)
塩化ビニル樹脂組成物の調製において、表1に示す配合成分の通り、0.4部のシリコーンオイルAに替えて、0.2部のシリコーンオイルBを使用した以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形シート、および積層体を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により評価を行った。結果を表1に示す。
【0081】
(実施例3)
塩化ビニル樹脂組成物の調製において、表1に示す配合成分の通り、シリコーンオイルBの配合量を0.2部から0.4部に変更した以外は実施例2と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形シート、および積層体を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により評価を行った。結果を表1に示す。
【0082】
(比較例1)
塩化ビニル樹脂組成物の調製において、表1に示す配合成分の通り、0.4部のシリコーンオイルAに替えて0.4部のシリコーンオイルCを使用し、塩化ビニル樹脂微粒子Aの配合量を8部から10部に変更し、そして8部の塩化ビニル樹脂微粒子Bに替えて10部の塩化ビニル樹脂微粒子Cを使用した以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形シート、および積層体を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により評価を行った。結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
1)新第一塩ビ社製、製品名「ZEST(登録商標)1700ZI」(懸濁重合法、平均重合度:1700、平均粒子径:130μm)
2)花王社製、製品名「トリメックス(登録商標)N−08」
3)ADEKA社製、製品名「アデカサイザー(登録商標)O−130S」
4)協和化学工業社製、製品名「アルカマイザー(登録商標)5」
5)水澤化学工業社製、製品名「MIZUKALIZER(登録商標)DS」
6)昭和電工社製、製品名「カレンズ(登録商標)DK−1」
7)堺化学工業社、製品名「SAKAISZ2000」
8)ADEKA社製、製品名「アデカスタブ(登録商標)LS−12」
9)信越シリコーン社製、製品名「KF−96H−30万cs」(未変性シリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン)、粘度:30×10cs)
10)信越シリコーン社製、製品名「KF−96H−100万cs」(未変性シリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン)、粘度:100×10cs)
11)信越シリコーン社製、製品名「KF−96−5000cs」(未変性シリコーンオイル、粘度:0.5×10cs)
12)新第一塩ビ社製、製品名「ZEST(登録商標) PQLTX」(乳化重合法、平均重合度:800、平均粒子径:1.8μm)
13)東ソー社製、製品名「リューロンペースト(登録商標)860」(乳化重合法、平均重合度:1600、平均粒子径:1.6μm)
14)東ソー社製、製品名「リューロンペースト(登録商標)761」(乳化重合法、平均重合度:2100、平均粒子径:1.6μm)
15)大日精化社製、製品名「DA PX 1720(A)ブラック」
【0085】
表1より、粘度が1×10cs以上のシリコーンオイルを用いた実施例1〜3では、塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きが十分に抑えられており、また発泡ポリウレタン成形体中のボイド生成が抑制されていることが分かる。一方、粘度が1×10cs未満のシリコーンオイルを用いた比較例1では、発泡ポリウレタン成形体中にボイドが多く生成してしまうことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によれば、表面のべた付きが十分に抑制されていると共に、隣接した発泡ポリウレタン成形体中にボイドを生成させ難い塩化ビニル樹脂成形体を提供することができる。
また、本発明によれば、当該塩化ビニル樹脂成形体を形成可能な塩化ビニル樹脂組成物、および当該塩化ビニル樹脂成形体を有する積層体を提供することができる。