特許第6750435号(P6750435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6750435塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体、及び積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6750435
(24)【登録日】2020年8月17日
(45)【発行日】2020年9月2日
(54)【発明の名称】塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体、及び積層体
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20200824BHJP
   C08L 83/12 20060101ALI20200824BHJP
   B29C 41/18 20060101ALI20200824BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20200824BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20200824BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20200824BHJP
   B29K 27/06 20060101ALN20200824BHJP
   B29L 31/58 20060101ALN20200824BHJP
【FI】
   C08L27/06
   C08L83/12
   B29C41/18
   B32B5/18
   B32B27/30 101
   B32B27/40
   B29K27:06
   B29L31:58
【請求項の数】12
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-190343(P2016-190343)
(22)【出願日】2016年9月28日
(65)【公開番号】特開2018-53095(P2018-53095A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100150360
【弁理士】
【氏名又は名称】寺嶋 勇太
(74)【代理人】
【識別番号】100204401
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 睦美
(72)【発明者】
【氏名】西村 翔太
【審査官】 中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−117314(JP,A)
【文献】 特開平01−304140(JP,A)
【文献】 特開2014−133961(JP,A)
【文献】 特開昭56−131651(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104327406(CN,A)
【文献】 特開2012−167161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
B32B 1/00− 43/00
B29C 41/00− 41/36
41/44− 41/52
70/00− 70/88
B29K 27/06
B29L 31/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニル樹脂と、可塑剤と、エーテル変性シリコーンオイルと、シリコーン粒子と、を含み、
前記エーテル変性シリコーンオイルの粘度が、温度25℃において、300cs以上1000cs以下である塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項2】
前記シリコーン粒子がアクリル変性シリコーン粒子である、請求項1に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項3】
前記シリコーン粒子の含有量が、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.3質量部以下である、請求項1または2に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項4】
前記シリコーン粒子の含有量が、前記可塑剤100質量部に対して0.3質量部以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項5】
前記シリコーン粒子の含有量が、質量換算で、前記エーテル変性シリコーンオイルの含有量の0.5倍以上10倍以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項6】
前記エーテル変性シリコーンオイルのHLB値が1.5以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項7】
前記エーテル変性シリコーンオイルは、鎖状エチレンオキサイド構造および鎖状プロピレンオキサイド構造を有するエーテル基が側鎖に導入されてなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物
【請求項8】
粉体成形に用いられる、請求項1〜のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項9】
パウダースラッシュ成形に用いられる、請求項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる、塩化ビニル樹脂成形体。
【請求項11】
自動車インスツルメントパネル表皮用である、請求項10に記載の塩化ビニル樹脂成形体。
【請求項12】
発泡ポリウレタン成形体と、
請求項10又は11に記載の塩化ビニル樹脂成形体と、
を有する積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体、及び、積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニル樹脂は、一般に、耐寒性、耐熱性、耐油性などの特性に優れているため、種々の用途に用いられている。
具体的には、例えば、従来、自動車インスツルメントパネル等の自動車内装部品の形成には、塩化ビニル樹脂成形体からなる表皮や塩化ビニル樹脂成形体からなる表皮に発泡ポリウレタン等の発泡体を裏打ちしてなる積層体などの自動車内装材が用いられている。そして、自動車インスツルメントパネル等の自動車内装部品の表皮を構成する塩化ビニル樹脂成形体には、例えば、成形体表面のべた付きを抑制した良好な表面滑り性等、様々な性能が求められている。
【0003】
そこで、近年では、例えば、自動車インスツルメントパネル等の自動車内装部品の製造に好適に用い得る、塩化ビニル樹脂組成物および塩化ビニル樹脂成形体の改良が試みられている。
【0004】
具体的には、例えば、特許文献1では、可塑剤と水酸基変性シリコーンオイル(シラノール変性シリコーンオイル)とを配合した粉末成形用塩化ビニル樹脂組成物を用いて塩化ビニル樹脂成形体を形成している。そして、特許文献1の塩化ビニル樹脂成形体では、可塑剤のブリード性(表面への滲み出し易さ)および毛羽付き性(表面を布で拭いた際の繊維カスの付着し易さ、表面べた付き性)を低減している。
また、例えば、特許文献2には、塩化ビニル系樹脂粒子と、可塑剤と、塩化ビニル系樹脂微粒子と、アクリル変性ポリオルガノシロキサン粒子とを特定の量で配合してなる塩化ビニル系樹脂組成物が開示されている。そして、特許文献2に記載の塩化ビニル系樹脂組成物を用いて得られた塩化ビニル系樹脂シートでは、ガーゼで摩擦したシート表面に繊維が付着し難く、表面の非付着性(表面滑り性)が良好である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−7026号公報
【特許文献2】特開2015−117314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者が検討を重ねたところ、特許文献1に記載の従来の塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成された塩化ビニル樹脂成形体に発泡ポリウレタン成形体を裏打ちしてなる積層体を製造すると、塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性は良好になるものの、発泡ポリウレタン成形体中に比較的大きなボイド(空隙)が生じてしまうことが明らかとなった。また、特許文献2に記載の従来の塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成された塩化ビニル樹脂成形体では、発泡ポリウレタン成形体中に空隙が発生する問題は顕著に見られないものの、塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性の更なる向上に改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、表面滑り性に優れ、且つ、積層された発泡ポリウレタン成形体中に空隙が発生することを抑制し得る塩化ビニル樹脂成形体、および、当該塩化ビニル樹脂成形体を製造可能な塩化ビニル樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、表面滑り性に優れ、且つ、空隙の発生が抑制された、発泡ポリウレタン成形体と塩化ビニル樹脂成形体とを有する積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、エーテル変性シリコーンオイルおよびシリコーン粒子を併用すれば、塩化ビニル樹脂成形体の良好な表面滑り性と、当該塩化ビニル樹脂成形体に積層された発泡ポリウレタン成形体中に空隙が発生することの抑制とを両立できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂と、可塑剤と、エーテル変性シリコーンオイルと、シリコーン粒子とを含むことを特徴とする。このように、塩化ビニル樹脂組成物が塩化ビニル樹脂、可塑剤、エーテル変性シリコーンオイルおよびシリコーン粒子を含めば、当該組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体が表面滑り性に優れ、且つ、発泡ポリウレタン成形体と積層された際に当該発泡ポリウレタン成形体中に空隙が発生することを抑制し得る。
【0010】
ここで、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、前記シリコーン粒子がアクリル変性シリコーン粒子であることが好ましい。アクリル変性シリコーン粒子を用いれば、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体に積層された発泡ポリウレタン成形体中で空隙が発生することを抑制しつつ、塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性をより良好にすることができるからである。
【0011】
また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、前記シリコーン粒子の含有量が、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.3質量部以下であることが好ましい。シリコーン粒子の含有量が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂成形体の低温での引張伸びを高めることができるからである。
【0012】
また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、前記シリコーン粒子の含有量が、前記可塑剤100質量部に対して0.3質量部以下であることが好ましい。シリコーン粒子の含有量が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂成形体の低温での引張伸びを高めることができるからである。
【0013】
また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、前記シリコーン粒子の含有量が、質量換算で、前記エーテル変性シリコーンオイルの含有量の0.5倍以上10倍以下であることが好ましい。エーテル変性シリコーンオイルの含有量に対するシリコーン粒子の含有量が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性を更に良好にすることができるからである。また、エーテル変性シリコーンオイルの含有量に対するシリコーン粒子の含有量が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂成形体に積層された発泡ポリウレタン成形体中で空隙が発生することをより抑制すると共に、塩化ビニル樹脂成形体の低温での引張伸びを十分に確保できるからである。
【0014】
また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、前記エーテル変性シリコーンオイルのHLB値が1.5以上であることが好ましい。HLB値が上記下限以上であるエーテル変性シリコーンオイルを使用すれば、塩化ビニル樹脂成形体に積層された発泡ポリウレタン成形体中に空隙が発生することを更に抑制し得るからである。
なお、本発明において、「HLB値」とは、Hydrophile-Lipophile Balanceを指し、グリフィン法に従った以下の式(1):
HLB値=20×
(鎖状エチレンオキサイド構造の式量の総和/分子量) ・・・(1)
によって表される、親水性および親油性の程度を示す指標である。ここで、本発明において、「鎖状エチレンオキサイド構造」とは、後に詳述される、鎖状のエチレンオキサイド構造であり、例えば、エポキシ基などの環状のエチレンオキサイド構造は含まれない。
【0015】
更に、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、粉体成形に用いられることが好ましい。塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形に用いれば、例えば、自動車インスツルメントパネル等の自動車内装部品に利用される塩化ビニル樹脂成形体の形成に、塩化ビニル樹脂組成物をより好適に使用することができるからである。
【0016】
そして、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、パウダースラッシュ成形に用いられることが好ましい。塩化ビニル樹脂組成物をパウダースラッシュ成形に用いれば、例えば、自動車インスツルメントパネル等の自動車内装部品に利用される塩化ビニル樹脂成形体の形成に、塩化ビニル樹脂組成物を更に好適に使用することができるからである。
【0017】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、上述したいずれかの塩化ビニル樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。上記塩化ビニル樹脂組成物を用いて塩化ビニル樹脂成形体を形成すれば、良好な表面滑り性を実現しつつ、当該塩化ビニル樹脂成形体に積層した発泡ポリウレタン成形体中の空隙の発生を良好に抑制することができる。
【0018】
ここで、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、自動車インスツルメントパネル表皮用であることが好ましい。本発明の塩化ビニル樹脂成形体を自動車インスツルメントパネルの表皮として用いれば、表面のべた付きが良好に抑えられ、且つ、発泡ポリウレタン成形体が良好に裏打ちされた自動車インスツルメントパネルを製造し得るからである。
【0019】
更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の積層体は、発泡ポリウレタン成形体と、上述したいずれかの塩化ビニル樹脂成形体とを有することを特徴とする。発泡ポリウレタン成形体および上述の塩化ビニル樹脂成形体を用いて積層体とすれば、例えば、自動車内装材として適した発泡ポリウレタン成形体および塩化ビニル樹脂成形体が良好に積層され、且つ、表面滑り性に優れた積層体を得ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、表面滑り性に優れ、且つ、積層された発泡ポリウレタン成形体中に空隙が発生することを抑制し得る塩化ビニル樹脂成形体、および、当該塩化ビニル樹脂成形体を製造可能な塩化ビニル樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、表面滑り性に優れ、且つ、空隙の発生が抑制された、発泡ポリウレタン成形体と塩化ビニル樹脂成形体とを有する積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、例えば、本発明の塩化ビニル樹脂成形体を得る際に用いることができる。また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、当該塩化ビニル樹脂成形体を有する本発明の積層体の製造に用いることができる。そして、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、自動車インスツルメントパネルなどの自動車内装部品の表皮等の、自動車内装材として好適に用いることができる。
【0022】
(塩化ビニル樹脂組成物)
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂と、可塑剤と、エーテル変性シリコーンオイルと、シリコーン粒子とを含み、任意に、添加剤などを更に含んでもよい。そして、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は上記所定の成分を含んでいるため、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を用いれば、表面滑り性に優れる塩化ビニル樹脂成形体を得ることができる。また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体に発泡ポリウレタン成形体を積層させる際に、当該発泡ポリウレタン成形体中に空隙が発生することを抑制し、塩化ビニル樹脂成形体と発泡ウレタン成形体とを有する積層体を良好に製造することができる。
【0023】
<塩化ビニル樹脂>
ここで、塩化ビニル樹脂組成物が含む塩化ビニル樹脂としては、例えば、1種類又は2種類以上の塩化ビニル樹脂粒子を含有することができ、任意に、1種類又は2種類以上の塩化ビニル樹脂微粒子を更に含有することができる。中でも、塩化ビニル樹脂は、少なくとも塩化ビニル樹脂粒子を含有することが好ましく、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子を含有することがより好ましく、1種類の塩化ビニル樹脂粒子および2種類の塩化ビニル樹脂微粒子を含有することが更に好ましい。
なお、本明細書において、「樹脂粒子」とは、粒子径が30μm以上の粒子を指し、「樹脂微粒子」とは、粒子径が30μm未満の粒子を指す。
また、塩化ビニル樹脂は、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法など、従来から知られているいずれの製造法によっても製造され得る。
【0024】
<<組成>>
塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル単量体単位からなる単独重合体の他、塩化ビニル単量体単位を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する塩化ビニル系共重合体が挙げられる。塩化ビニル系共重合体を構成し得る、塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体(共単量体)の具体例としては、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;塩化アリル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化塩化エチレンなどのハロゲン化オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アリル−3−クロロ−2−オキシプロピルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのアリルエーテル類;アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、そのエステルまたはその酸無水物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアクリルアミド類;アリルアミン安息香酸塩、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどのアリルアミンおよびその誘導体類;などが挙げられる。以上に例示される単量体は、共単量体の一部に過ぎず、共単量体としては、近畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新聞社(1988年)第75〜104頁に例示されている各種単量体が使用され得る。これらの共単量体は、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。なお、上記塩化ビニル樹脂には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレンなどの樹脂に、(1)塩化ビニルまたは(2)塩化ビニルと前記共単量体とがグラフト重合された樹脂も含まれる。
ここで、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0025】
<<塩化ビニル樹脂粒子>>
塩化ビニル樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂粒子は、通常、マトリックス樹脂(基材)として機能する。なお、塩化ビニル樹脂粒子は、懸濁重合法により製造することが好ましい。
【0026】
[平均重合度]
ここで、塩化ビニル樹脂粒子の平均重合度は、500以上が好ましく、1000以上がより好ましく、1500以上が更に好ましく、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましく、2500以下が更に好ましく、2000以下が一層好ましい。塩化ビニル樹脂粒子の平均重合度が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の物理的強度を十分確保しつつ、例えば、塩化ビニル樹脂成形体を自動車インスツルメントパネルの表皮として利用する場合に好適な、低温下での引張伸びを良好にできるからである。また、塩化ビニル樹脂粒子の平均重合度が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性を向上させ、表面平滑性を向上できるからである。
なお、本発明において「平均重合度」は、JIS K6720−2に準拠して測定することができる。
【0027】
[平均粒子径]
また、塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径は、通常30μm以上であり、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性がより向上するからである。また、塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性がより向上すると共に、当該組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の表面平滑性をより向上させることができるからである。
なお、本発明において、「平均粒子径」は、JIS Z8825に準拠し、レーザー回折法により体積平均粒子径として測定することができる。
【0028】
[含有割合]
そして、塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂粒子の含有割合は、塩化ビニル樹脂合計100質量%に対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%とすることができ、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂粒子の含有割合が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の物理的強度を十分確保しつつ、低温下での引張伸びをより良好にできるからである。また、塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂粒子の含有割合が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が更に向上するからである。
【0029】
<<塩化ビニル樹脂微粒子>>
塩化ビニル樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂微粒子は、通常、ダスティング剤(粉体流動性改良剤)として機能する。なお、塩化ビニル樹脂微粒子は、乳化重合法により製造することが好ましい。
【0030】
[平均重合度]
ここで、塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度は、500以上が好ましく、700以上がより好ましく、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましく、2500以下が更に好ましい。そして、例えば、ダスティング剤として異なる平均重合度を有する2種類の塩化ビニル樹脂微粒子を併用する場合は、併用したダスティング剤の平均重合度の平均値が1000以上であることが好ましく、1500未満であることが好ましい。ダスティング剤としての塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性がより良好になると共に、当該組成物を用いて得られる成形体の低温における引張伸びがより良好になるからである。また、塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性がより向上し、当該組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の表面平滑性がより向上するからである。
【0031】
[平均粒子径]
また、塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径は、通常30μm未満であり、10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上であることが好ましい。塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が上記下限以上であれば、例えばダスティング剤としてのサイズを過度に小さくすることなく、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を更に良好に発揮できるからである。また、塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性がより高まり、形成される塩化ビニル樹脂成形体の平滑性を更に向上させることができるからである。
【0032】
[含有割合]
そして、塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合は、塩化ビニル樹脂100質量%に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、0質量%であってもよい。塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が更に向上するからである。また、塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の物理的強度および低温下での引張伸びをより高めることができるからである。
【0033】
<可塑剤>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は可塑剤を更に含む必要がある。塩化ビニル樹脂組成物が可塑剤を含まなければ、塩化ビニル樹脂組成物を用いて塩化ビニル樹脂成形体を良好に得ることができない。
【0034】
<<含有量>>
ここで、可塑剤の含有量は、上記塩化ビニル樹脂100質量部に対して70質量部以上であることが好ましく、80質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることが更に好ましく、200質量部以下であることが好ましく、150質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることが更に好ましく、95質量部以下であることが一層好ましい。可塑剤の含有量が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物に優れた柔軟性を付与し、例えば、塩化ビニル樹脂成形体へと加工し易くできると共に、得られる塩化ビニル樹脂成形体に低温下での良好な引張伸びを付与することができるからである。また、可塑剤の含有量が上記上限以下であれば、得られた塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きをより抑制し、表面滑り性をより高めることができるからである。
【0035】
<<種類>>
ここで、可塑剤の具体例としては、以下の一次可塑剤及び二次可塑剤などが挙げられる。
いわゆる一次可塑剤としては、トリメリット酸トリメチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸トリ−n−プロピル、トリメリット酸トリ−n−ブチル、トリメリット酸トリ−n−ペンチル、トリメリット酸トリ−n−ヘキシル、トリメリット酸トリ−n−ヘプチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、トリメリット酸トリ−n−ノニル、トリメリット酸トリ−n−デシル、トリメリット酸トリ−n−ウンデシル、トリメリット酸トリ−n−ドデシル、トリメリット酸トリ−n−トリデシル、トリメリット酸トリ−n−テトラデシル、トリメリット酸トリ−n−ペンタデシル、トリメリット酸トリ−n−ヘキサデシル、トリメリット酸トリ−n−ヘプタデシル、トリメリット酸トリ−n−ステアリル、トリメリット酸トリ−n−アルキルエステル(ここで、トリメリット酸トリ−n−アルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は一分子中で互いに異なっていてもよい。)などの、エステルを構成するアルキル基が直鎖状である直鎖状トリメリット酸エステル〔なお、これらのトリメリット酸エステルは、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。〕;
トリメリット酸トリ−i−プロピル、トリメリット酸トリ−i−ブチル、トリメリット酸トリ−i−ペンチル、トリメリット酸トリ−i−ヘキシル、トリメリット酸トリ−i−ヘプチル、トリメリット酸トリ−i−オクチル、トリメリット酸トリ−(2−エチルヘキシル)、トリメリット酸トリ−i−ノニル、トリメリット酸トリ−i−デシル、トリメリット酸トリ−i−ウンデシル、トリメリット酸トリ−i−ドデシル、トリメリット酸トリ−i−トリデシル、トリメリット酸トリ−i−テトラデシル、トリメリット酸トリ−i−ペンタデシル、トリメリット酸トリ−i−ヘキサデシル、トリメリット酸トリ−i−ヘプタデシル、トリメリット酸トリ−i−オクタデシル、トリメリット酸トリアルキルエステル(ここで、トリメリット酸トリアルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は一分子中で互いに異なっていてもよい。)などの、エステルを構成するアルキル基が分岐状である分岐状トリメリット酸エステル〔なお、これらのトリメリット酸エステルは、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。〕;
ピロメリット酸テトラメチル、ピロメリット酸テトラエチル、ピロメリット酸テトラ−n−プロピル、ピロメリット酸テトラ−n−ブチル、ピロメリット酸テトラ−n−ペンチル、ピロメリット酸テトラ−n−ヘキシル、ピロメリット酸テトラ−n−ヘプチル、ピロメリット酸テトラ−n−オクチル、ピロメリット酸テトラ−n−ノニル、ピロメリット酸テトラ−n−デシル、ピロメリット酸テトラ−n−ウンデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ドデシル、ピロメリット酸テトラ−n−トリデシル、ピロメリット酸テトラ−n−テトラデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ペンタデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ヘキサデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ヘプタデシル、ピロメリット酸テトラ−n−ステアリル、ピロメリット酸テトラ−n−アルキルエステル(ここで、ピロメリット酸テトラ−n−アルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は一分子中で互いに異なっていてもよい。)などの、エステルを構成するアルキル基が直鎖状である直鎖状ピロメリット酸エステル〔なお、これらのピロメリット酸エステルは、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。〕;
ピロメリット酸テトラ−i−プロピル、ピロメリット酸テトラ−i−ブチル、ピロメリット酸テトラ−i−ペンチル、ピロメリット酸テトラ−i−ヘキシル、ピロメリット酸テトラ−i−ヘプチル、ピロメリット酸テトラ−i−オクチル、ピロメリット酸テトラ−(2−エチルヘキシル)、ピロメリット酸テトラ−i−ノニル、ピロメリット酸テトラ−i−デシル、ピロメリット酸テトラ−i−ウンデシル、ピロメリット酸テトラ−i−ドデシル、ピロメリット酸テトラ−i−トリデシル、ピロメリット酸テトラ−i−テトラデシル、ピロメリット酸テトラ−i−ペンタデシル、ピロメリット酸テトラ−i−ヘキサデシル、ピロメリット酸テトラ−i−ヘプタデシル、ピロメリット酸テトラ−i−オクタデシル、ピロメリット酸テトラアルキルエステル(ここで、ピロメリット酸テトラアルキルエステルが有するアルキル基の炭素数は一分子中で互いに異なっていてもよい。)などの、エステルを構成するアルキル基が分岐状である分岐状ピロメリット酸エステル〔なお、これらのピロメリット酸エステルは、単一化合物からなるものであっても、混合物であってもよい。〕;
ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジフェニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジノニルフタレート、ジシクロヘキシルフタレートなどのフタル酸誘導体;
ジメチルイソフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)イソフタレート、ジイソオクチルイソフタレートなどのイソフタル酸誘導体;
ジ−(2−エチルヘキシル)テトラヒドロフタレート、ジ−n−オクチルテトラヒドロフタレート、ジイソデシルテトラヒドロフタレートなどのテトラヒドロフタル酸誘導体;
ジ−n−ブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソノニルアジペートなどのアジピン酸誘導体;
ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチルアゼレート、ジ−n−ヘキシルアゼレートなどのアゼライン酸誘導体;
ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソデシルセバケート、ジ−(2−ブチルオクチル)セバケートなどのセバシン酸誘導体;
ジ−n−ブチルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレエートなどのマレイン酸誘導体;
ジ−n−ブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレートなどのフマル酸誘導体;
トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−(2−エチルヘキシル)シトレートなどのクエン酸誘導体;
モノメチルイタコネート、モノブチルイタコネート、ジメチルイタコネート、ジエチルイタコネート、ジブチルイタコネート、ジ−(2−エチルヘキシル)イタコネートなどのイタコン酸誘導体;
ブチルオレエート、グリセリルモノオレエート、ジエチレングリコールモノオレエートなどのオレイン酸誘導体;
メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレートなどのリシノール酸誘導体;
n−ブチルステアレート、ジエチレングリコールジステアレートなどのステアリン酸誘導体(但し、12−ヒドロキシステアリン酸およびそのエステルを除く);
ジエチレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールジペラルゴネート、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルなどのその他の脂肪酸誘導体;
トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェートなどのリン酸誘導体;
ジエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキソエート)、ジブチルメチレンビスチオグリコレートなどのグリコール誘導体;
グリセロールモノアセテート、グリセロールトリアセテート、グリセロールトリブチレートなどのグリセリン誘導体;
エポキシヘキサヒドロフタル酸ジイソデシル、エポキシトリグリセライド、エポキシ化オレイン酸オクチル、エポキシ化オレイン酸デシルなどのエポキシ誘導体;
アジピン酸系ポリエステル、セバシン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステルなどのポリエステル系可塑剤;
などが挙げられる。
【0036】
また、いわゆる二次可塑剤としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油;塩素化パラフィン、トリエチレングリコールジカプリレートなどのグリコールの脂肪酸エステル、ブチルエポキシステアレート、フェニルオレエート、ジヒドロアビエチン酸メチルなどが挙げられる。
【0037】
なお、これらの可塑剤は、1種のみを用いてもよく、例えば、一次可塑剤、二次可塑剤などの2種以上を併用してもよい。また、二次可塑剤を用いる場合は、当該二次可塑剤と等質量以上の一次可塑剤を併用することが好ましい。
【0038】
そして、上述した可塑剤の中でも、塩化ビニル樹脂組成物の成形性をより良好にする観点からは、トリメリット酸エステル及び/又はピロメリット酸エステルを用いることが好ましく、トリメリット酸エステルを用いることがより好ましく、直鎖状トリメリット酸エステルを用いることが更に好ましく、炭素数が異なるアルキル基を分子内に2つ以上有する直鎖状トリメリット酸エステルを用いることが一層好ましい。また、当該アルキル基の炭素数は8〜10であることが好ましく、当該アルキル基がn−オクチル基、n−デシル基であることがより好ましい。そして、上記トリメリット酸エステルと共にエポキシ化大豆油を更に用いることが好ましい。
【0039】
<エーテル変性シリコーンオイル>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、後に詳述するシリコーン粒子と共に、エーテル変性シリコーンオイルを更に含むことを特徴とする。塩化ビニル樹脂組成物がエーテル変性シリコーンオイルを更に含むことにより、可塑剤を含む塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性を良好にしつつ、当該塩化ビニル樹脂成形体と積層する発泡ポリウレタン成形体中に空隙が発生するのを良好に抑制することができる。
なお、シリコーン粒子と共にエーテル変性シリコーンオイルを含むことによる上記表面滑り性の向上および空隙発生の抑制との両立は、可塑剤の含有量が比較的多い場合、具体的には、塩化ビニル樹脂100質量部に対する可塑剤の含有量が70質量部以上である場合に、一層効果的に実現される。
【0040】
<<種類>>
ここで、エーテル変性シリコーンオイルは、通常、シロキサン結合(−Si−O−Si−)からなる主鎖、上記主鎖の側鎖、および上記主鎖の末端の少なくとも一つにエーテル基を導入してなる。ここで、上記主鎖にエーテル基が導入される場合は、エーテル基が上記主鎖の途中にブロック結合される。また、上記末端にエーテル基が導入される場合は、片末端に導入されても、両末端に導入されてもよい。また、エーテル変性シリコーンオイルは、上記主鎖、上記主鎖の側鎖、および/または上記主鎖の末端に、エーテル基以外のその他の置換基を更に導入してなってもよい。
なお、エーテル変性シリコーンオイルは、エーテル基を、少なくとも側鎖に導入してなることが好ましい。
【0041】
[エーテル基]
エーテル基としては、例えば、鎖状アルキレンオキサイド構造を単数または複数有する置換基が挙げられる。具体的には、エーテル基としては、例えば、下記一般式(2):
[化1]
−(CO)− (2)
〔式(2)中、xは1以上の自然数である。〕で表される鎖状エチレンオキサイド構造(式(2)中、xが2以上の自然数の場合は、「ポリエチレンオキサイド基」とも称する。)のみを有する置換基;上記鎖状エチレンオキサイド構造および下記一般式(3):
[化2]
−(CO)− (3)
〔式(3)中、yは1以上の自然数である。〕で表される鎖状プロピレンオキサイド構造(式(3)中、yが2以上の自然数の場合は、「ポリプロピレンオキサイド基」とも称する。)を任意の割合で有する置換基;上記鎖状エチレンオキサイド構造に加え、鎖状アルキレンオキサイド構造以外の任意の有機構造(以下、「R」、「R’」と示す。)を更に有する置換基(例えば、−R−(CO)−R’);上記鎖状エチレンオキサイド構造および鎖状プロピレンオキサイド構造等の鎖状アルキレンオキサイド構造に加え、上記任意の有機構造R、R’を更に有する置換基(例えば、−R−(CO)(CO)−R’);等が挙げられる。ここで、例えば、上記−R−(CO)−R’および−R−(CO)(CO)−R’における任意の有機構造RおよびR’はいずれか一方のみ存在していてもよい。
【0042】
中でも、塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性を高めつつ、塩化ビニル樹脂成形体と隣接する発泡ポリウレタン成形体中の空隙の発生をより抑制する観点からは、理由は明らかではないが、エーテル基は、少なくとも鎖状エチレンオキサイド構造を有することが好ましく、鎖状エチレンオキサイド構造および鎖状プロピレンオキサイド構造を有することがより好ましく、鎖状エチレンオキサイド構造および鎖状プロピレンオキサイド構造を複数有することが更に好ましく、更に、耐熱老化性に優れるという観点からは、不飽和結合を有さないことが一層好ましい。
【0043】
[その他の置換基]
エーテル変性シリコーンオイルに更に導入され得るその他の置換基としては、特に限定されることなく、例えば、アルキル基(−C2a+1;ここで、aは任意の自然数)、アラルキル基(例えば、−CH−CH(CH)−C;ここで、Cはフェニル基)等が挙げられる。
【0044】
<<HLB値>>
また、エーテル変性シリコーンオイルは、HLB値が1.5以上であることが好ましく、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましく、6.5以下であることが更に好ましい。エーテル変性シリコーンオイルのHLB値が上記下限以上であれば、発泡ポリウレタン成形体の積層過程において空隙が発生することをより抑制し得るからである。また、エーテル変性シリコーンオイルのHLB値が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂成形体がより良好な表面滑り性を発揮し得るからである。そして、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の良好な表面滑り性と、発泡ポリウレタン成形体中に空隙が発生することの抑制とを、より高いレベルで両立し得るからである。
ここで、HLB値は、上述の式(1)によって表すことができる指標である。
【0045】
<<粘度>>
また、エーテル変性シリコーンオイルの粘度は、温度25℃において、65cs以上であることが好ましく、100cs以上であることがより好ましく、300cs以上であることが更に好ましく、4000cs以下であることがより好ましく、3000cs以下であることがより好ましく、1000cs以下であることが更に好ましい。エーテル変性シリコーンオイルの粘度が上記下限以上であれば、消泡効果を低下させ、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性をより良好に保ちつつ、発泡ポリウレタン成形体の積層過程において空隙が発生することをより抑制し得るからである。また、エーテル変性シリコーンオイルの粘度が上記上限以下であれば、エーテル変性シリコーンオイルのハンドリング性に優れるからである。
なお、本発明において「粘度」は、ASTM D 445−46Tに従い、温度25℃にて、実施例に記載した方法の通り測定することができる。
【0046】
<<含有量>>
そして、エーテル変性シリコーンオイルの含有量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、1質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.4質量部以下であることが更に好ましい。上記下限以上の含有量のエーテル変性シリコーンオイルをシリコーン粒子と併用すれば、塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きを十分に低減し、表面滑り性を更に良好にできるとともに、隣接する発泡ポリウレタン成形体中の空隙を十分に抑制できるからである。また、エーテル変性シリコーンオイルの含有量が上記上限以下であれば、例えば、塩化ビニル樹脂成形体を連続成形した場合であっても、過度の量のエーテル変性シリコーンオイルに起因して成形用金型等の表面が汚染されてしまうことを抑制し得るからである。
【0047】
また、エーテル変性シリコーンオイルの含有量は、可塑剤100質量部に対して0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、1質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.4質量部以下であることが更に好ましい。一般に、可塑剤は成形体の表面のべた付きの原因となり易いところ、上記下限以上の含有量のエーテル変性シリコーンオイルをシリコーン粒子と併用すれば、塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きを十分に低減し、表面滑り性を更に良好にできるとともに、積層される発泡ポリウレタン成形体中の空隙を十分に抑制できるからである。また、エーテル変性シリコーンオイルの含有量が上記上限以下であれば、例えば、塩化ビニル樹脂成形体を連続成形した場合であっても、過度の量のエーテル変性シリコーンオイルに起因して成形用金型等の表面が汚染されてしまうことを抑制し得るからである。
【0048】
なお、本発明において、エーテル変性シリコーンオイルは、通常、常温において流動性を有している。そして、本発明において、「常温」とは23℃を指す。
【0049】
<シリコーン粒子>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上述した塩化ビニル樹脂、可塑剤およびエーテル変性シリコーンオイルに加え、シリコーン粒子を更に含むことを特徴とする。塩化ビニル樹脂組成物が上述したエーテル変性シリコーンオイルと共にシリコーン粒子を更に含むことにより、塩化ビニル樹脂成形体と積層する発泡ポリウレタン成形体中に空隙が発生するのを良好に抑制しつつ、可塑剤を含む塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性を良好にすることができる。
なお、エーテル変性シリコーンオイルと共にシリコーン粒子を含むことによる上記表面滑り性の向上および空隙発生の抑制の両立は、可塑剤の含有量が比較的多い場合、具体的には、塩化ビニル樹脂100質量部に対する可塑剤の含有量が70質量部以上である場合に、一層効果的に実現される。
【0050】
<<構造>>
ここで、本発明の塩化ビニル樹脂組成物が含むシリコーン粒子は、通常、シロキサン結合(−Si−O−Si−)からなるポリシロキサン主骨格を有する重合体が粒子形状を成した粒子である。ここで、ポリシロキサン主骨格は、例えば、ランダムにポリマー化したランダム構造;2次元繰り返し構造を成してポリマー化したラダー構造;3次元繰り返し立体構造を成してポリマー化したカゴ構造;等の構造を有し得る。
また、シリコーン粒子は、上記ポリシロキサン主骨格において、当該主骨格を形成するケイ素原子(Si)に、上記酸素原子(O)以外に、好ましくは、メチル基(−CH)及び/又はエチル基(−C)が結合されており、より好ましくは、酸素原子およびメチル基が結合されている。更に、シリコーン粒子は、ケイ素原子(Si)が任意の1個以上の有機基R’’と結合した構造を有するポリオルガノシロキサン(有機変性シリコーン粒子)であることが好ましく、上記R’’が−OCOCH=CHまたは−OCOC(CH)=CHで表される、(メタ)アクリル変性シリコーン粒子であることがより好ましく、上記R’’が−OCOCH=CHで表されるアクリル変性シリコーン粒子であることが更に好ましい。(メタ)アクリル変性シリコーン粒子、とりわけ、アクリル変性シリコーン粒子を用いれば、塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性を一層良好にすることができるからである。
なお、例えば、上記アクリル変性シリコーン粒子は、−OCOCH=CH基がポリシロキサン主骨格にグラフト重合されることで導入されてなる、シリコーン−アクリルグラフト共重合体である。
【0051】
<<形状>>
また、シリコーン粒子の形状は、特に限定されることなく、球状;球状体が突起箇所を有する突起付き球状;不定形状;など、任意の形状とすることができる。中でも、塩化ビニル樹脂成形体に優れた表面滑り性を与える観点からは、シリコーン粒子の形状は、球状であることが好ましい。
【0052】
<<含有量>>
そして、シリコーン粒子の含有量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、1質量部未満であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以下であることが更に好ましい。上記下限以上の含有量のシリコーン粒子をエーテル変性シリコーンオイルと併用すれば、積層された発泡ポリウレタン成形体中の空隙の発生を十分に抑制しつつ、塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きを良好に低減し、表面滑り性を更に高めることができるからである。また、シリコーン粒子の含有量が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂成形体の低温における引張伸びを十分に確保することができるからである。特に、シリコーン粒子の含有量を塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.3質量部以下にすれば、塩化ビニル樹脂成形体の低温における引張伸びをより高めることができる。
【0053】
また、シリコーン粒子の含有量は、可塑剤100質量部に対して0.01質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、1質量部未満であることが好ましく、0.5質量部以下であることがより好ましく、0.3質量部以下であることが更に好ましい。一般に、可塑剤は成形体の表面のべた付きの原因となり易いところ、上記下限以上の含有量のシリコーン粒子をエーテル変性シリコーンオイルと併用すれば、積層された発泡ポリウレタン成形体中の空隙の発生を十分に抑制しつつ、塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きを良好に低減し、表面滑り性を更に高めることができるからである。また、シリコーン粒子の含有量が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂成形体の低温における引張伸びを十分に確保することができるからである。特に、シリコーン粒子の含有量を可塑剤100質量部に対して0.3質量部以下にすれば、塩化ビニル樹脂成形体の低温における引張伸びをより高めることができる。
【0054】
更に、シリコーン粒子の含有量は、質量換算で、エーテル変性シリコーンオイルの含有量の0.5倍以上であることが好ましく、1倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることが更に好ましく、10倍以下であることが好ましく、5倍以下であることがより好ましく、3倍以下であることが更に好ましい。エーテル変性シリコーンオイルの含有量に対するシリコーン粒子の含有量を上記下限以上にすれば、塩化ビニル樹脂成形体の表面のべた付きを一層良好に低減し、表面滑り性を更に高めることができるからである。また、エーテル変性シリコーンオイルの含有量に対するシリコーン粒子の含有量を上記上限以下にすれば、積層された発泡ポリウレタン成形体中の空隙の発生を一層抑制すると共に、塩化ビニル樹脂成形体の低温における引張伸びを十分に確保することができるからである。
【0055】
<添加剤>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上述した成分以外に、各種添加剤を更に含有してもよい。添加剤としては、特に限定されることなく、過塩素酸処理ハイドロタルサイト、ゼオライト、β−ジケトン、脂肪酸金属塩などの安定剤;離型剤;上記塩化ビニル樹脂微粒子以外のダスティング剤;およびその他の添加剤;などが挙げられる。
【0056】
<<過塩素酸処理ハイドロタルサイト>>
塩化ビニル樹脂組成物が含有し得る、過塩素酸処理ハイドロタルサイトは、例えば、ハイドロタルサイトを過塩素酸の希薄水溶液中に加えて撹拌し、その後必要に応じて、ろ過、脱水または乾燥することによって、ハイドロタルサイト中の炭酸アニオン(CO2−)の少なくとも一部を過塩素酸アニオン(ClO)で置換(炭酸アニオン1モルにつき過塩素酸アニオン2モルが置換)することにより、過塩素酸導入型ハイドロタルサイトとして容易に製造することができる。上記ハイドロタルサイトと上記過塩素酸とのモル比は任意に設定できるが、一般には、ハイドロタルサイト1モルに対し、過塩素酸0.1モル以上2モル以下が好ましい。
【0057】
ここで、未処理(過塩素酸アニオンを導入していない未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは85モル%以上である。また、未処理(過塩素酸アニオンを導入していない未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率は、好ましくは95モル%以下である。未処理(過塩素酸アニオンを導入していない未置換)のハイドロタルサイト中の炭酸アニオンの過塩素酸アニオンへの置換率が上記の範囲内にあることにより、塩化ビニル樹脂成形体をより容易に製造することができるからである。
【0058】
なお、ハイドロタルサイトは、一般式:[Mg1−xAl(OH)]x+[(CO)x/2・mHO]x−で表される不定比化合物で、プラスに荷電した基本層[Mg1−xAl(OH)]x+と、マイナスに荷電した中間層[(CO)x/2・mHO]x−とからなる層状の結晶構造を有する無機物質である。ここで、上記一般式中、xは0より大きく0.33以下の範囲の数である。天然のハイドロタルサイトは、MgAl(OH)16CO・4HOである。合成されたハイドロタルサイトとしては、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HOが市販されている。合成ハイドロタルサイトの合成方法は、例えば特開昭61−174270号公報に記載されている。
【0059】
ここで、過塩素酸処理ハイドロタルサイトの含有量は、特に制限されることなく、上記塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、7質量部以下が好ましく、6質量部以下がより好ましい。過塩素酸処理ハイドロタルサイトの含有量が上記範囲であれば、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体に、低温下での引張伸びをより良好に維持することができるからである。
【0060】
<<ゼオライト>>
塩化ビニル樹脂組成物は、ゼオライトを安定剤として含有し得る。ゼオライトは、一般式:Mx/n・[(AlO・(SiO]・zHO(一般式中、Mは原子価nの金属イオン、x+yは単子格子当たりの四面体数、zは水のモル数である)で表される化合物である。当該一般式中のMの種類としては、Na、Li、Ca、Mg、Znなどの一価又は二価の金属及びこれらの混合型が挙げられる。
【0061】
ここで、ゼオライトの含有量は、特に制限されることなく、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、5質量部以下が好ましい。
【0062】
<<β−ジケトン>>
β−ジケトンは、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の初期色調の変動をより効果的に抑えるために用いられる。β−ジケトンの具体例としては、ジベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタンなどが挙げられる。これらのβ−ジケトンは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
なお、β−ジケトンの含有量は、特に制限されることなく、塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、5質量部以下が好ましい。
【0064】
<<脂肪酸金属塩>>
塩化ビニル樹脂組成物が含有し得る脂肪酸金属塩は、特に制限されることなく、任意の脂肪酸金属塩とすることができる。中でも、一価脂肪酸金属塩が好ましく、炭素数12〜24の一価脂肪酸金属塩がより好ましく、炭素数15〜21の一価脂肪酸金属塩が更に好ましい。脂肪酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸バリウム、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸バリウム、2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸バリウム、リシノール酸亜鉛等である。脂肪酸金属塩を構成する金属としては、多価陽イオンを生成しうる金属が好ましく、2価陽イオンを生成しうる金属がより好ましく、周期表第3周期〜第6周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が更に好ましく、周期表第4周期の、2価陽イオンを生成しうる金属が特に好ましい。最も好ましい脂肪酸金属塩はステアリン酸亜鉛である。
【0065】
ここで、脂肪酸金属塩の含有量は、特に制限されることなく、上記塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.03質量部以上がより好ましく、5質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下が更に好ましい。脂肪酸金属塩の含有量が上記範囲であれば、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の色差の値を小さくできるからである。
【0066】
<<離型剤>>
離型剤としては、特に制限されることなく、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸エステルおよび12−ヒドロキシステアリン酸オリゴマーなどの12−ヒドロキシステアリン酸系潤滑剤が挙げられる。ここで、離型剤の含有量は、特に制限されることなく、上記塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下とすることができる。
【0067】
<<その他のダスティング剤>>
塩化ビニル樹脂組成物が含有し得る、上記塩化ビニル樹脂微粒子以外の、その他のダスティング剤としては、炭酸カルシウム、タルク、酸化アルミニウムなどの無機微粒子;ポリアクリロニトリル樹脂微粒子、ポリ(メタ)アクリレート樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子、ポリエチレン樹脂微粒子、ポリプロピレン樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子、ポリアミド樹脂微粒子などの有機微粒子;が挙げられる。中でも、平均粒径が10nm以上100nm以下の無機微粒子が好ましい。
【0068】
ここで、その他のダスティング剤の含有量は、特に制限されることなく、塩化ビニル樹脂100質量部に対して30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましい。その他のダスティング剤は、1種類を単独で、又は2種類以上を併用してもよく、また、上述した塩化ビニル樹脂微粒子と併用してもよい。
【0069】
<<その他の添加剤>>
塩化ビニル樹脂組成物が含有し得るその他の添加剤としては、特に制限されることなく、例えば、着色剤(顔料)、耐衝撃性改良剤、過塩素酸処理ハイドロタルサイト以外の過塩素酸化合物(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等)、酸化防止剤、防カビ剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、光安定剤、発泡剤等が挙げられる。
【0070】
着色剤(顔料)の具体例は、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ポリアゾ縮合顔料、イソインドリノン系顔料、銅フタロシアニン系顔料、チタンホワイト、カーボンブラックである。1種又は2種以上の顔料が使用される。
キナクリドン系顔料は、p−フェニレンジアントラニル酸類が濃硫酸で処理されて得られ、黄みの赤から赤みの紫の色相を示す。キナクリドン系顔料の具体例は、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンバイオレットである。
ペリレン系顔料は、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸無水物と芳香族第一級アミンとの縮合反応により得られ、赤から赤紫、茶色の色相を示す。ペリレン系顔料の具体例は、ペリレンレッド、ペリレンオレンジ、ペリレンマルーン、ペリレンバーミリオン、ペリレンボルドーである。
ポリアゾ縮合顔料は、アゾ色素が溶剤中で縮合されて高分子量化されて得られ、黄、赤系顔料の色相を示す。ポリアゾ縮合顔料の具体例は、ポリアゾレッド、ポリアゾイエロー、クロモフタルオレンジ、クロモフタルレッド、クロモフタルスカーレットである。
イソインドリノン系顔料は、4,5,6,7−テトラクロロイソインドリノンと芳香族第一級ジアミンとの縮合反応により得られ、緑みの黄色から、赤、褐色の色相を示す。イソインドリノン系顔料の具体例は、イソインドリノンイエローである。
銅フタロシアニン系顔料は、フタロシアニン類に銅を配位した顔料で、黄みの緑から鮮やかな青の色相を示す。銅フタロシアニン系顔料の具体例は、フタロシアニングリーン、フタロシアニンブルーである。
チタンホワイトは、二酸化チタンからなる白色顔料で、隠蔽力が大きく、アナタース型とルチル型がある。
カーボンブラックは、炭素を主成分とし、酸素、水素、窒素を含む黒色顔料である。カーボンブラックの具体例は、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、ボーンブラックである。
【0071】
耐衝撃性改良剤の具体例は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、クロロスルホン化ポリエチレンなどである。塩化ビニル樹脂組成物では、1種又は2種以上の耐衝撃性改良剤が使用できる。なお、耐衝撃性改良剤は、塩化ビニル樹脂組成物中で微細な弾性粒子の不均一相となって分散する。塩化ビニル樹脂組成物では、当該弾性粒子にグラフト重合した鎖及び極性基が塩化ビニル樹脂と相溶し、塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体の耐衝撃性が向上する。
【0072】
酸化防止剤の具体例は、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、亜リン酸塩などのリン系酸化防止剤などである。
【0073】
防カビ剤の具体例は、脂肪族エステル系防カビ剤、炭化水素系防カビ剤、有機窒素系防カビ剤、有機窒素硫黄系防カビ剤などである。
【0074】
難燃剤の具体例は、ハロゲン系難燃剤;リン酸エステル等のリン系難燃剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物;などである。
【0075】
帯電防止剤の具体例は、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル類、スルホン酸塩類等のアニオン系帯電防止剤;脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン系帯電防止剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル類等のノニオン系帯電防止剤;などである。
【0076】
充填剤の具体例は、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、クレーなどである。
【0077】
光安定剤の具体例は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ニッケルキレート系等の紫外線吸収剤、ヒンダートアミン系光安定剤などである。
【0078】
発泡剤の具体例は、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等のスルホニルヒドラジド化合物などの有機発泡剤;フロンガス、炭酸ガス、水、ペンタン等の揮発性炭化水素化合物、これらを内包したマイクロカプセルなどの、ガス系の発泡剤;などである。
【0079】
<塩化ビニル樹脂組成物の調製方法>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、特に制限されることなく、上述した成分を混合して調製することができる。
ここで、上記塩化ビニル樹脂と、可塑剤と、エーテル変性シリコーンオイルと、シリコーン粒子と、必要に応じて更に併用される各種添加剤との混合方法としては、特に限定されることなく、例えば、塩化ビニル樹脂微粒子を含むダスティング剤を除く成分をドライブレンドにより混合し、その後、ダスティング剤を添加、混合する方法が挙げられる。ここで、ドライブレンドには、ヘンシェルミキサーの使用が好ましい。また、ドライブレンド時の温度は、特に制限されることなく、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、200℃以下が好ましい。
【0080】
<塩化ビニル樹脂組成物の用途>
そして、得られた塩化ビニル樹脂組成物は、粉体成形に好適に用いることができ、パウダースラッシュ成形により好適に用いることができる。
【0081】
(塩化ビニル樹脂成形体)
本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、上述した塩化ビニル樹脂組成物を、任意の方法で成形することにより得られることを特徴とする。そして、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を成形してなるため、良好な表面滑り性を実現しつつ、例えば、発泡ポリウレタン成形体中の空隙を抑えながら塩化ビニル樹脂成形体に発泡ポリウレタン成形体を良好に裏打ちすることができる。従って、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、自動車内装部材として、具体的には、例えば、自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等の自動車内装部品の表皮として好適に用いられ、特に、自動車インスツルメントパネルの表皮用に好適に用いられる。
【0082】
<<塩化ビニル樹脂成形体の成形方法>>
ここで、パウダースラッシュ成形時の金型温度は、特に制限されることなく、200℃以上とすることが好ましく、220℃以上とすることがより好ましく、300℃以下とすることが好ましく、280℃以下とすることがより好ましい。
【0083】
そして、塩化ビニル樹脂成形体を製造する際には、特に限定されることなく、例えば、以下の方法を用いることができる。即ち、上記温度範囲の金型に本発明の塩化ビニル樹脂組成物を振りかけて、5秒以上30秒以下の間放置した後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とし、さらに、任意の温度下、30秒以上3分以下の間放置する。その後、金型を10℃以上60℃以下に冷却し、得られた塩化ビニル樹脂成形体を金型から脱型する。そして、脱型された塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、金型の形状をかたどったシート状の成形体として得られる。
【0084】
(積層体)
本発明の積層体は、発泡ポリウレタン成形体と、上述した塩化ビニル樹脂成形体とを有する。なお、通常、発泡ポリウレタン成形体は塩化ビニル樹脂成形体に裏打ちされており、発泡ポリウレタン成形体と塩化ビニル樹脂成形体とは積層方向に隣接している。そして、本発明の積層体は、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる塩化ビニル樹脂成形体を有しているため、表面のべた付きが十分に低減され、且つ、塩化ビニル樹脂成形体に、発泡ポリウレタン成形体が空隙を抑えながら良好に積層されている。従って、本発明の積層体は、例えば、自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等といった自動車内装部品の自動車内装材として好適に用いられ、特に、自動車インスツルメントパネル用に好適に用いられる。
【0085】
ここで、積層方法は、特に限定されることなく、例えば、以下の方法を用いることができる。即ち、塩化ビニル樹脂成形体上で発泡ポリウレタン成形体の原料となるイソシアネート類とポリオール類などとを反応させて重合を行うと共に、公知の方法によりポリウレタンの発泡を行うことにより、塩化ビニル樹脂成形体上に発泡ポリウレタン成形体を直接形成する。
【実施例】
【0086】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
そして、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径;各種シリコーンオイルのHLB値、粘度;塩化ビニル樹脂成形体の初期および加熱(熱老化試験)後の低温での引張伸び;塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性(動摩擦係数);発泡ポリウレタン成形体中の空隙の発生程度;は、下記の方法で測定および評価した。
【0087】
<平均重合度>
塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子の平均重合度は、JIS K6720−2に準拠し、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子のそれぞれを、シクロヘキサノンに溶解させて粘度を測定することにより、算出した。
【0088】
<平均粒子径>
塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径(体積平均粒子径(μm))は、JIS Z8825に準拠して測定した。具体的には、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子を、それぞれ水槽内に分散させ、以下に示す装置を用いて、光の回折・散乱強度分布を測定・解析し、粒子径及び体積基準の粒子径分布を測定することにより、算出した。
・装置:レーザー回折式粒度分布測定機(島津製作所製、SALD−2300)
・測定方式:レーザー回折及び散乱
・測定範囲:0.017μm〜2500μm
・光源:半導体レーザー(波長680nm、出力3mW)
【0089】
<HLB値>
各種シリコーンオイルのHLB値は、グリフィン法により、下記式(1):
HLB値=20×
(鎖状エチレンオキサイド構造の式量の総和/分子量) ・・・(1)
に従って、算出した。
HLB値が高いほど(20に近いほど)シリコーンオイルの極性が高く親水性であることを示し、HLB値が低いほど(0に近いほど)シリコーンオイルの極性が低く親油性であることを示す。
【0090】
<粘度>
各種シリコーンオイルの粘度は、ASTM D 445−46Tに従い、ウッベローデ粘度計を用いて、温度25℃における動粘度ηCS/25(単位:mm2/s=cs)として測定した。
【0091】
<低温での引張伸び>
塩化ビニル樹脂成形体の引張伸びは、以下の通り、初期(未加熱)および加熱(熱老化試験)後の状態それぞれについて、低温での引張破断伸び(%)を測定することにより評価した。
<<初期>>
得られた塩化ビニル樹脂成形シートを、JIS K6251に記載の1号ダンベルで打ち抜き、JIS K7113に準拠して、引張速度200mm/分で、−35℃の低温下における引張破断伸び(%)を測定した。引張破断伸びの値が大きいほど、初期(未加熱)の塩化ビニル樹脂成形体の、低温での延性が優れている。
<<加熱(熱老化試験)後>>
発泡ポリウレタン成形体が裏打ちされた積層体を試料とした。当該試料をオーブンに入れ、温度130℃の環境下で100時間、加熱を行った。次に、加熱後の積層体から発泡ポリウレタン成形体を剥離して、塩化ビニル樹脂成形シートのみを準備した。そして、上記初期の場合と同様の条件にて、100時間加熱後の塩化ビニル樹脂成形シートの引張破断伸び(%)を測定した。引張破断伸びの値が大きいほど、加熱(熱老化試験)後における塩化ビニル樹脂成形体の、低温での延性が優れている。
【0092】
<表面滑り性>
塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性は、以下の通り、動摩擦係数を測定することにより評価した。
具体的には、風合いテスター(トリニティラボ社製、製品名「TL201Ts」)を用いて、温度23℃、相対湿度50%の測定環境下において、荷重:50g、速度:10mm/秒、試験範囲:50mm、計測範囲:試験範囲の前後10mmを除いた30mm、の条件にて、触覚接触子を、積層体を形成する前の塩化ビニル樹脂成形シートに接触させることにより、当該シート表面の動摩擦係数を測定した。動摩擦係数の値が小さいほど、塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性がすぐれており、表面べた付きが良好に抑制されている。
【0093】
<空隙の発生程度>
発泡ポリウレタン成形体中の空隙の発生程度は、以下の通り評価した。
即ち、積層体から塩化ビニル樹脂成形シートを剥離して、発泡ポリウレタン成形体(200mm×300mm×10mm)のみを準備し、これを試料とした。そして、当該試料を、50mm間隔で短手方向に切断(6分割)し、断面の状態を目視で確認した。具体的には、直径3mm以上のボイドを空隙とみなして、6分割された6つの断面に存在する空隙の合計数(N)を数えた。
一方、塩化ビニル樹脂成形シートを金型中に載置しない以外は、実施例1の「積層体の形成」と同様の手順により発泡ポリウレタン成形体を作製し、当該発泡ポリウレタン成形体についても、上記と同様に6分割し、6つの断面に存在する空隙の合計数(N)を数えた。なお、Nは、塩化ビニル樹脂成形体に由来する空隙ではなく、あくまでも、発泡ポリウレタン成形体を形成する際の操作手順に由来する空隙を数えたものである。
そして、各試料において、Nを基準(100%)とした空隙の発生率(%)=N/N×100を算出し、以下の基準に従って、空隙の発生程度を評価した。空隙の発生率が低いほど(100%に近いほど)、塩化ビニル樹脂成形体に隣接する発泡ポリウレタン成形体中に空隙が生成し難い。
A:空隙の発生率が120%未満
B:空隙の発生率が120%以上150%未満
C:空隙の発生率が150%以上
なお、空隙の発生率が100%未満である場合は測定誤差とし、上記A評価に含める。
【0094】
(実施例1)
<塩化ビニル樹脂組成物の調製>
表1に示す配合成分のうち、可塑剤(トリメリット酸エステルおよびエポキシ化大豆油)と、ダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子とを除く成分をヘンシェルミキサーに入れて混合した。そして、混合物の温度が80℃に上昇した時点で上記可塑剤を全て添加し、更に昇温することにより、ドライアップ(可塑剤が、塩化ビニル樹脂である塩化ビニル樹脂粒子に吸収されて、上記混合物がさらさらになった状態をいう。)させた。その後、ドライアップさせた混合物が温度100℃以下に冷却された時点でダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子を添加し、塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
【0095】
<塩化ビニル樹脂成形体の形成>
上述で得られた塩化ビニル樹脂組成物を、温度250℃に加熱したシボ付き金型に振りかけ、8秒〜20秒程度の任意の時間放置して溶融させた後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とした。その後、当該塩化ビニル樹脂組成物を振りかけたシボ付き金型を、温度200℃に設定したオーブン内に静置し、静置から60秒経過した時点で当該シボ付き金型を冷却水で冷却した。金型温度が40℃まで冷却された時点で、塩化ビニル樹脂成形体としての、200mm×300mm×1mmの塩化ビニル樹脂成形シートを金型から脱型した。
そして、得られた塩化ビニル樹脂成形シートについて、上述の方法に従って、初期(未加熱)の低温での引張伸びおよび表面滑り性(動摩擦係数)を測定、算出した。結果を表1に示す。
【0096】
<積層体の形成>
得られた塩化ビニル樹脂成形シートを、温度100℃に設定したオーブンに2時間静置し、その後200mm×300mm×10mmの金型の中に、シボ付き面を下にして敷いた。
別途、プロピレングリコールのPO(プロピレンオキサイド)・EO(エチレンオキサイド)ブロック付加物(水酸基価28、末端EO単位の含有量=10%、内部EO単位の含有量4%)を50部、グリセリンのPO・EOブロック付加物(水酸基価21、末端EO単位の含有量=14%)を50部、水を2.5部、トリエチレンジアミンのエチレングリコ−ル溶液(東ソー社製、商品名「TEDA−L33」)を0.2部、トリエタノールアミンを1.2部、トリエチルアミンを0.5部、および整泡剤(信越化学工業製、商品名「F−122」)を0.5部混合して、ポリオール混合物を得た。また、得られたポリオール混合物とポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)とを、インデックスが98になる比率で混合した混合液を調製した。そして、調製した混合液を、上述の通り金型中に敷かれた塩化ビニル樹脂成形シートの上に注いだ。その後、348mm×255mm×10mmのアルミニウム板で上記金型に蓋をして、金型を密閉した。金型を密閉してから5分間放置することにより、表皮としての塩化ビニル樹脂成形シート(厚さ:1mm)に、発泡ポリウレタン成形体(厚さ:9mm、密度:0.18g/cm)が裏打ちされた積層体が、金型内で形成された。
そして、形成された積層体を金型から取り出して、上述の方法に従って、加熱(熱老化試験)後の低温での引張伸びおよび空隙の発生程度を測定、評価した。結果を表1に示す。
【0097】
(実施例2)
塩化ビニル樹脂組成物の調製において、表1に示す配合成分の通り、シリコーン粒子の配合量を0.3部に変更した以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形シート、および積層体を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により測定、算出を行った。結果を表1に示す。
【0098】
(比較例1)
塩化ビニル樹脂組成物の調製において、いかなるシリコーンオイルもシリコーン粒子も用いなかった。また、表1に示す配合成分の通り、塩化ビニル樹脂微粒子Aの配合量を8部から10部に変更し、且つ、8部の塩化ビニル樹脂微粒子Bに替えて10部の塩化ビニル樹脂微粒子Cを使用した。また、可塑剤としてのトリメリット酸エステルの配合量を110部に、エポキシ化大豆油の配合量を5部に変更した。更に、添加剤としての過塩素酸処理ハイドロタルサイトの配合量を4.56部に、ゼオライトの配合量を2.42部に、β−ジケトンの配合量を0.49部に、ステアリン酸亜鉛の配合量を0.20部に変更した。上記以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形シート、および積層体を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により測定、算出を行った。結果を表1に示す。
【0099】
(比較例2)
塩化ビニル樹脂組成物の調製において、エーテル変性シリコーンオイルを用いなかった以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形シート、および積層体を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により測定、算出を行った。結果を表1に示す。
【0100】
(比較例3)
塩化ビニル樹脂組成物の調製において、エーテル変性シリコーンオイルおよびシリコーン粒子を用いず、0.4部の未変性シリコーンオイルを用いた。また、表1に示す配合成分の通り、塩化ビニル樹脂微粒子Aの配合量を8部から10部に変更し、且つ、8部の塩化ビニル樹脂微粒子Bに替えて10部の塩化ビニル樹脂微粒子Cを使用した。また、可塑剤としてのトリメリット酸エステルの配合量を110部に、エポキシ化大豆油の配合量を5部に変更した。更に、添加剤としての過塩素酸処理ハイドロタルサイトの配合量を4.56部に、ゼオライトの配合量を2.42部に、β−ジケトンの配合量を0.49部に、ステアリン酸亜鉛の配合量を0.20部に変更した。上記以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形シート、および積層体を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により測定、算出を行った。結果を表1に示す。
【0101】
(比較例4)
塩化ビニル樹脂組成物の調製において、エーテル変性シリコーンオイルおよびシリコーン粒子を用いず、0.4部のシラノール変性シリコーンオイルを用いた。また、表1に示す配合成分の通り、塩化ビニル樹脂微粒子Aの配合量を8部から10部に変更し、且つ、8部の塩化ビニル樹脂微粒子Bに替えて10部の塩化ビニル樹脂微粒子Cを使用した。また、可塑剤としてのトリメリット酸エステルの配合量を110部に、エポキシ化大豆油の配合量を5部に変更した。更に、添加剤としての過塩素酸処理ハイドロタルサイトの配合量を4.56部に、ゼオライトの配合量を2.42部に、β−ジケトンの配合量を0.49部に、ステアリン酸亜鉛の配合量を0.20部に変更した。上記以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形シート、および積層体を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により測定、算出を行った。結果を表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
1)新第一塩ビ社製、製品名「ZEST(登録商標)1700ZI」(懸濁重合法、平均重合度:1700、平均粒子径:130μm)
2)新第一塩ビ社製、製品名「ZEST PQLTX」(乳化重合法、平均重合度:800、平均粒子径:1.8μm)
3)東ソー社製、製品名「リューロンペースト(登録商標)860」(乳化重合法、平均重合度:1600、平均粒子径:1.6μm)
4)東ソー社製、製品名「リューロンペースト(登録商標)761」(乳化重合法、平均重合度:2100、平均粒子径:1.6μm)
5)花王社製、製品名「トリメックスN−08」
6)ADEKA社製、製品名「アデカサイザー O−130S」
7)信越化学工業社製、製品名「X−50−1039A」(エーテル変性シリコーンオイル〔鎖状エチレンオキサイド構造および鎖状プロピレンオキサイド構造を有するエーテル基が側鎖に導入されてなる〕、HLB値:2、25℃での粘度:500cs)
8)信越化学工業社製、製品名「KF−96」(未変性シリコーンオイル、HLB値:0、25℃での粘度:5000cs)
9)信越化学工業社製、製品名「KF−9701」(シラノール変性シリコーンオイル、HLB値:0、25℃での粘度:60cs)
10)信越化学工業社製、製品名「X−22−8171」(アクリル変性シリコーン粒子、球状)
11)協和化学工業社製、製品名「アルカマイザー(登録商標)5」
12)水澤化学工業社製、製品名「MIZUKALIZER DS」
13)昭和電工社製、製品名「カレンズDK−1」
14)堺化学工業社、製品名「SAKAI SZ2000」
15)ADEKA社製、製品名「アデカスタブ LS−12」
16)大日精化社製、製品名「DA PX 1720(A)ブラック」
【0104】
表1より、いかなるシリコーンオイルもシリコーン粒子も用いなかった比較例1では、塩化ビニル樹脂シートの表面滑り性が顕著に劣ることが分かった。
また、エーテル変性シリコーンオイル以外のシリコーンオイルのみを用いた比較例3〜4では、塩化ビニル樹脂シートに隣接して積層された発泡ポリウレタン成形体中に空隙が生じ易いことが分かった。
更に、シリコーン粒子のみを用いた比較例2では、塩化ビニル樹脂シートの表面滑り性の更なる向上に改善の余地があることが分かった。
これに対し、塩化ビニル樹脂、可塑剤、エーテル変性シリコーンオイルおよびシリコーン粒子を用いた実施例1〜2では、発泡ポリウレタン成形体中の空隙の発生を良好に抑制しつつ、塩化ビニル樹脂成形体の表面滑り性を更に向上させており、表面滑り性と発泡ポリウレタン成形体中の空隙の発生の抑制とをより高いレベルで両立できることが分かった。
加えて、シリコーン粒子の配合量が比較的少ない実施例2では、シリコーン粒子の配合量が比較的多い実施例1に対し、塩化ビニル樹脂成形体の低温での引張伸びを顕著に改善できることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明によれば、表面滑り性に優れ、且つ、積層された発泡ポリウレタン成形体中に空隙が発生することを抑制し得る塩化ビニル樹脂成形体、および、当該塩化ビニル樹脂成形体を製造可能な塩化ビニル樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、表面滑り性に優れ、且つ、空隙の発生が抑制された、発泡ポリウレタン成形体と塩化ビニル樹脂成形体とを有する積層体を提供することができる。