【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、シリコンウエーハのエッジ形状を評価する方法であって、
前記シリコンウエーハのウエーハ断面におけるエッジ形状を評価するための形状パラメーターとして、
前記シリコンウエーハの面取り部の最先端のウエーハ径方向の位置を径方向基準L1とし、該径方向基準L1からウエーハ中心方向に450[μm]入り込んだウエーハ径方向の位置を径方向基準L2とし、該径方向基準L2とウエーハ主表面との交点をP1とし、該点P1を含み、点P1のウエーハ高さ位置を示す面を高さ基準面L3とし、
前記面取り部において、前記高さ基準面L3から垂直方向へh1[μm]離れた面取り部表面の点をPx2とし、前記高さ基準面L3から垂直方向へh2[μm]離れた面取り部表面の点をPx3とし、前記点Px2および前記点Px3の2点を通る直線をLxとし、
前記直線Lxと前記高さ基準面L3とのなす角の鋭角側の角をθxとし、
前記直線Lxと前記高さ基準面L3との交点をPx0とし、該点Px0からウエーハ中心方向にδ[μm]入り込んだウエーハ表面の位置を点Px1とし、該点Px1、前記点Px2および前記点Px3の3点を通る円の半径をRx[μm]と定義するとき、
前記シリコンウエーハのエッジ形状を測定し、
前記h1、前記h2および前記δの形状パラメーターの値を設定して、前記エッジ形状の測定データに基づいて、前記定義に則して前記Rxおよび前記θxの形状パラメーターを算出し、該算出した前記Rxおよび前記θxからシリコンウエーハのエッジ形状を判定して評価することを特徴とするシリコンウエーハのエッジ形状の評価方法を提供する。
【0015】
このような本発明の評価方法により、上記のような新たな定義に基づいてウエーハエッジ部の形状を評価すれば、従来の技術、評価方法によって定義付けられていなかった部分のシリコンウエーハのエッジ形状、すなわち、主表面と面取り部の境界領域の形状を精緻に判定できる。また、如何なる面幅の面取り形状であっても、上記境界領域の形状を精緻に判定できる。
【0016】
前述したトラブル、すなわち、例えばフォトレジスト膜の破裂や酸化膜の剥離、センサーでの検出不良などは、上記境界領域の形状を起因として発生する。しかしながら、本発明の評価方法で精緻に上記境界領域の形状を判定して評価でき、また管理することができ、例えば該判定結果と上記トラブルの発生の関係から、トラブルを未然に防げる最適な境界領域の形状を得ることができる。それによって上記トラブルの発生を防ぐことができる。
【0017】
また本発明は、シリコンウエーハの選別方法であって、上記シリコンウエーハのエッジ形状の評価方法により前記シリコンウエーハのエッジ形状を判定し、該判定結果に基づいて、前記シリコンウエーハの選別を行うことを特徴とするシリコンウエーハの選別方法を提供する。
【0018】
このような選別方法であれば、例えば、上記トラブルの発生を防止可能な、所望の上記境界領域の形状を有するシリコンウエーハを確実かつ簡便に選ぶことができる。
【0019】
また本発明は、シリコンウエーハの製造方法であって、上記シリコンウエーハのエッジ形状の評価方法により前記シリコンウエーハのエッジ形状を判定し、該判定結果に基づいて、次に製造するシリコンウエーハの前記形状パラメーターを設定して製造することを特徴とするシリコンウエーハの製造方法を提供する。
【0020】
このような製造方法であれば、ウエーハ製造へのエッジ形状に関するデータのフィードバックにより、例えば、上記トラブルの発生を未然に防ぐことができる、最適な上記境界領域の形状を有するシリコンウエーハを確実かつ簡便に製造することができる。
【0021】
そして、前記シリコンウエーハのエッジ形状を判定するとき、前記h1を15[μm]とし、前記h2を30[μm]とし、前記δを30[μm]として、
前記次に製造するシリコンウエーハの前記形状パラメーターを設定するとき、前記Rxを240[μm]以上とし、前記θxを27[deg]以下とすることができる。
【0022】
このようにすれば、上記トラブルをより確実に防ぐことができるシリコンウエーハを得ることができる。
【0023】
また本発明は、シリコンウエーハのエッジ形状を評価する装置であって、
前記シリコンウエーハのウエーハ断面におけるエッジ形状を評価するための形状パラメーターとして、
前記シリコンウエーハの面取り部の最先端のウエーハ径方向の位置を径方向基準L1とし、該径方向基準L1からウエーハ中心方向に450[μm]入り込んだウエーハ径方向の位置を径方向基準L2とし、該径方向基準L2とウエーハ主表面との交点をP1とし、該点P1を含み、点P1のウエーハ高さ位置を示す面を高さ基準面L3とし、
前記面取り部において、前記高さ基準面L3から垂直方向へh1[μm]離れた面取り部表面の点をPx2とし、前記高さ基準面L3から垂直方向へh2[μm]離れた面取り部表面の点をPx3とし、前記点Px2および前記点Px3の2点を通る直線をLxとし、
前記直線Lxと前記高さ基準面L3とのなす角の鋭角側の角をθxとし、
前記直線Lxと前記高さ基準面L3との交点をPx0とし、該点Px0からウエーハ中心方向にδ[μm]入り込んだウエーハ表面の位置を点Px1とし、該点Px1、前記点Px2および前記点Px3の3点を通る円の半径をRx[μm]とする定義において、
前記シリコンウエーハのエッジ形状を測定する測定手段と、該測定手段による前記エッジ形状の測定データを解析する解析手段とを備え、
該解析手段は、前記h1、前記h2および前記δの形状パラメーターの値をデータ入力する入力部と、該入力部にデータ入力された前記h1、前記h2および前記δの値から、前記エッジ形状の測定データに基づいて、前記定義に則して前記Rxおよび前記θxの形状パラメーターを算出する演算部と、該演算部で算出された前記Rxおよび前記θxをデータ出力する出力部を備えたものであることを特徴とするシリコンウエーハのエッジ形状の評価装置を提供する。
【0024】
このような本発明の評価装置であれば、従来では定義付けられていなかった上記境界領域の形状を精緻に判定して評価し、管理することができる。そして、その評価を利用して、例えば上記トラブルを未然に防ぐことが可能な境界領域の形状を得ることができ、実際に上記トラブルの発生を防ぐことが可能である。
【0025】
また本発明では、シリコンウエーハであって、
前記シリコンウエーハのウエーハ断面におけるエッジ形状を評価するための形状パラメーターとして、
前記シリコンウエーハの面取り部の最先端のウエーハ径方向の位置を径方向基準L1とし、該径方向基準L1からウエーハ中心方向に450[μm]入り込んだウエーハ径方向の位置を径方向基準L2とし、該径方向基準L2とウエーハ主表面との交点をP1とし、該点P1を含み、点P1のウエーハ高さ位置を示す面を高さ基準面L3とし、
前記面取り部において、前記高さ基準面L3から垂直方向へh1[μm]離れた面取り部表面の点をPx2とし、前記高さ基準面L3から垂直方向へh2[μm]離れた面取り部表面の点をPx3とし、前記点Px2および前記点Px3の2点を通る直線をLxとし、
前記直線Lxと前記高さ基準面L3とのなす角の鋭角側の角をθxとし、
前記直線Lxと前記高さ基準面L3との交点をPx0とし、該点Px0からウエーハ中心方向にδ[μm]入り込んだウエーハ表面の位置を点Px1とし、該点Px1、前記点Px2および前記点Px3の3点を通る円の半径をRx[μm]とする定義において、
前記h1が15[μm]、前記h2が30[μm]、前記δが30[μm]、前記Rxが240[μm]以上、前記θxが27[deg]以下のものであることを特徴とするシリコンウエーハを提供する。
【0026】
このような本発明のシリコンウエーハであれば、上記トラブルをより確実に防ぐことができるウエーハであり、エッジ形状に関して優れた品質のものとなる。
【0027】
また本発明は、シリコンウエーハのエッジ形状を評価する方法であって、
前記シリコンウエーハのウエーハ断面におけるエッジ形状を評価するための形状パラメーターとして、
前記シリコンウエーハの主表面の任意の点をPx1とし、面取り部表面の任意の2点をPx2、Px3とし、ウエーハ径方向において面取り部の最先端からウエーハ中心方向に所定距離入り込んだ主表面における点をP1とし、該点P1を含み、点P1のウエーハ高さ位置を示す面を高さ基準面L3とし、
前記点Px2および点Px3の2点を通る直線をLxとし、
該直線Lxと前記高さ基準面L3とのなす角の鋭角側の角をθxとし、
前記点Px1、前記点Px2および前記点Px3の3点を通る円の半径をRxと定義するとき、
前記シリコンウエーハのエッジ形状を測定し、
前記点Px1、前記点Px2、前記点Px3の位置を設定して、前記エッジ形状の測定データに基づいて、前記定義に則して前記Rxおよび前記θxの形状パラメーターを算出し、該算出した前記Rxおよび前記θxからシリコンウエーハのエッジ形状を判定して評価することを特徴とするシリコンウエーハのエッジ形状の評価方法を提供する。
【0028】
このような評価方法によっても、従来では定義付けられていなかった上記境界領域の形状を精緻に判定して評価し、管理することが可能であり、さらには上記トラブルを未然に防ぐことが可能な境界領域の形状を得ることができ、実際に上記トラブルの発生を防ぐことが可能である。
【0029】
また本発明は、シリコンウエーハの製造方法であって、
前記シリコンウエーハのウエーハ断面におけるエッジ形状を評価するための形状パラメーターとして、
前記シリコンウエーハの主表面の任意の点をPx1とし、面取り部表面の任意の2点をPx2、Px3とし、ウエーハ径方向において面取り部の最先端からウエーハ中心方向に所定距離入り込んだ主表面における点をP1とし、該点P1を含み、点P1のウエーハ高さ位置を示す面を高さ基準面L3とし、
前記点Px2および点Px3の2点を通る直線をLxとし、
該直線Lxと前記高さ基準面L3とのなす角の鋭角側の角をθxとし、
前記点Px1、前記点Px2および前記点Px3の3点を通る円の半径をRxと定義するとき、
前記点Px1を、ウエーハ径方向において面取り部の最先端からウエーハ中心方向に1000[μm]以下の範囲で離れた主表面における点とし、
前記点Px2を前記高さ基準面L3から垂直方向へ15[μm]離れた面取り部表面の点とし、前記点Px3を前記高さ基準面L3から垂直方向へ30[μm]離れた面取り部表面の点として設定するとき、
前記Rxが240[μm]以上、前記θxが27[deg]以下のシリコンウエーハを製造することを特徴とするシリコンウエーハの製造方法を提供する。
【0030】
このような製造方法によっても、上記トラブルの発生を未然に防ぐことができる、最適な上記境界領域の形状を有するシリコンウエーハを確実かつ簡便に製造することができる。
【0031】
また本発明は、シリコンウエーハのエッジ形状を評価する装置であって、
前記シリコンウエーハのウエーハ断面におけるエッジ形状を評価するための形状パラメーターとして、
前記シリコンウエーハの主表面の任意の点をPx1とし、面取り部表面の任意の2点をPx2、Px3とし、ウエーハ径方向において面取り部の最先端からウエーハ中心方向に所定距離入り込んだ主表面における点をP1とし、該点P1を含み、点P1のウエーハ高さ位置を示す面を高さ基準面L3とし、
前記点Px2および点Px3の2点を通る直線をLxとし、
該直線Lxと前記高さ基準面L3とのなす角の鋭角側の角をθxとし、
前記点Px1、前記点Px2および前記点Px3の3点を通る円の半径をRxとする定義において、
前記シリコンウエーハのエッジ形状を測定する測定手段と、該測定手段による前記エッジ形状の測定データを解析する解析手段とを備え、
該解析手段は、前記点Px1、前記点Px2、前記点Px3の位置をデータ入力する入力部と、該入力部にデータ入力された前記点Px1、前記点Px2、前記点Px3の位置から、前記エッジ形状の測定データに基づいて、前記定義に則して前記Rxおよび前記θxの形状パラメーターを算出する演算部と、該演算部で算出された前記Rxおよび前記θxをデータ出力する出力部を備えたものであることを特徴とするシリコンウエーハのエッジ形状の評価装置を提供する。
【0032】
このような評価装置によっても、従来では定義付けられていなかった上記境界領域の形状を精緻に判定して評価し、管理することが可能であり、さらには上記トラブルを未然に防ぐことが可能な境界領域の形状を得ることができ、実際に上記トラブルの発生を防ぐことが可能である。
【0033】
また本発明は、シリコンウエーハであって、
前記シリコンウエーハのウエーハ断面におけるエッジ形状を評価するための形状パラメーターとして、
前記シリコンウエーハの主表面の任意の点をPx1とし、面取り部表面の任意の2点をPx2、Px3とし、ウエーハ径方向において面取り部の最先端からウエーハ中心方向に所定距離入り込んだ主表面における点をP1とし、該点P1を含み、点P1のウエーハ高さ位置を示す面を高さ基準面L3とし、
前記点Px2および点Px3の2点を通る直線をLxとし、
該直線Lxと前記高さ基準面L3とのなす角の鋭角側の角をθxとし、
前記点Px1、前記点Px2および前記点Px3の3点を通る円の半径をRxとする定義において、
前記点Px1が、ウエーハ径方向において面取り部の最先端からウエーハ中心方向に1000[μm]以下の範囲で離れた主表面における点であり、
前記点Px2が前記高さ基準面L3から垂直方向へ15[μm]離れた面取り部表面の点であり、前記点Px3が前記高さ基準面L3から垂直方向へ30[μm]離れた面取り部表面の点であり、前記Rxが240[μm]以上、前記θxが27[deg]以下のものであることを特徴とするシリコンウエーハを提供する。
【0034】
このようなシリコンウエーハも、上記トラブルをより確実に防ぐことができるウエーハであり、エッジ形状に関して優れた品質のものとなる。