【実施例】
【0042】
以下に示す評価試験A〜Cを行い、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
(1)腐食防止効果に関する評価試験A
実施例A1〜A3及び比較例A1〜A9で調製した初期処理工程用溶液を対象として、以下に示す方法で金属部材表面に対する腐食防止効果を評価する試験を行った。
【0044】
(実施例A1)
<試験片の準備>
鉄センサー(材質:SS400、10φ×30mmの鉄棒、表面積:10.3cm
2)を、トルエンによって脱脂し、乾燥させたものを試験片とした。
【0045】
<初期処理工程用溶液の調製>
原水として栃木県下都賀郡野木町水(以下「野木町水」と称す)を用いた。
このときの野木町水の水質は、pH:7.0、カルシウム硬度:40mgCaCO
3/L、イオン状シリカ:20mgSiO
2/Lであった。
1Lビーカーに野木町水を入れ、野木町水に初期処理剤として酒石酸ナトリウムを30mg/Lとなるように添加した。このビーカーを、30℃に設定した恒温槽に移動させて加温し、実施例A1の初期処理工程用溶液を調製した。
【0046】
<初期処理工程用溶液のpH測定>
ここで、調製した初期処理工程用溶液を適量採取し、JIS Z8802:2011に記載の方法に準拠して、ガラス電極法の操作に基づき、実施例A1の初期処理工程用溶液のpH(実施例A1の初期処理剤を添加した後の水系のpH)を測定したところ、pH7.3であった。
なお、pHの校正には、フタル酸塩、中性りん酸塩、及び炭酸塩の各pH標準液を用いた。
【0047】
<腐食加速液の調製>
腐食処理剤として10質量%塩化物イオン溶液(塩化ナトリウム溶液)、及び10質量%硫酸イオン溶液(硫酸ナトリウム溶液)を用いた。
1Lビーカーに、野木町水を入れ、野木町水に、10質量%塩化物イオン溶液(塩化ナトリウム溶液)、及び10質量%硫酸イオン溶液(硫酸ナトリウム溶液)をそれぞれ80mg/Lとなるように添加し、腐食加速液を調製した。
【0048】
<初期処理工程>
上記で調製した実施例A1の初期処理工程用溶液に、試験片を浸漬させた。そして、300rpmでスターラーを回転させることで初期処理工程用溶液の撹拌を開始し、この撹拌を室温にて24時間継続させた後、撹拌を終了した。
初期処理工程用溶液の撹拌を開始してから終了までの間、腐食計(東方技研社製、「K−600」)を用いて、試験片の腐食が進行する速度(腐食速度)を経時的に測定した。この測定結果を
図1に示した。
なお、ここで「腐食速度」とは、試験片の単位面積、単位時間当たりの腐食による試験片の重量減少量(mdd:mg/dm
2・day)を指していう。
【0049】
<腐食処理工程>
初期処理工程の撹拌終了後、初期処理工程用溶液を腐食加速液に切り替え、初期処理工程と同様にして、腐食加速液に試験片を浸漬させた。そして、300rpmでスターラーを回転させることで腐食加速液の撹拌を開始し、この撹拌を48時間継続させた後、撹拌を終了した。
腐食加速液の撹拌を開始してから終了までの間、初期処理工程と同様にして、腐食計(東方技研社製、「K−600」)を用いて、試験片の腐食が進行する速度(腐食速度)を経時的に測定した。この測定結果を
図1に示した。
【0050】
(実施例A2)
実施例A1の初期処理工程用溶液の調製において、野木町水に初期処理剤として酒石酸ナトリウムを50mg/Lとなるように添加したこと以外は、実施例A1と同様にして実施例A2の腐食防止効果を評価する試験を行った。
実施例A2の初期処理工程用溶液のpH(実施例A2の初期処理剤を添加した後の水系のpH)を測定したところ、pH6.9であった。
【0051】
(実施例A3)
実施例A1の初期処理工程用溶液の調製において、野木町水に初期処理剤として酒石酸ナトリウムを100mg/Lとなるように添加したこと以外は、実施例A1と同様にして実施例A3の腐食防止効果を評価する試験を行った。
実施例A3の初期処理工程用溶液のpH(実施例A3の初期処理剤を添加した後の水系のpH)を測定したところ、pH7.0であった。
【0052】
(比較例A1)
実施例A1の初期処理工程用溶液の調製において、野木町水に初期処理剤として酒石酸ナトリウムを300mg/Lとなるように添加したこと以外は、実施例A1と同様にして比較例A1の腐食防止効果を評価する試験を行った。
比較例A1の初期処理工程用溶液のpH(比較例A1の初期処理剤を添加した後の水系のpH)を測定したところ、pH7.1であった。
【0053】
(比較例A2)
実施例A1の初期処理工程用溶液の調製において、野木町水に初期処理剤として酒石酸を100mg/Lとなるように添加したこと以外は、実施例A1と同様にして比較例A2の腐食防止効果を評価する試験を行った。
比較例A2の初期処理工程用溶液のpH(比較例A2の初期処理剤を添加した後の水系のpH)を測定したところ、pH5.0であった。
【0054】
(比較例A3)
実施例A1の初期処理工程用溶液の調製において、野木町水に初期処理剤としてグルコン酸を50mg/Lとなるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして比較例A3の腐食防止効果を評価する試験を行った。
比較例A3の初期処理工程用溶液のpH(比較例A3の初期処理剤を添加した後の水系のpH)を測定したところ、pH7.3であった。
【0055】
(比較例A4)
実施例A1の初期処理工程用溶液の調製において、野木町水に初期処理剤としてクエン酸を50mg/Lとなるように添加したこと以外は、実施例A1と同様にして比較例A4の腐食防止効果を評価する試験を行った。
比較例A4の初期処理工程用溶液のpH(比較例A4の初期処理剤を添加した後の水系のpH)を測定したところ、pH6.1であった。
【0056】
(比較例A5)
実施例A1の初期処理工程用溶液の調製において、野木町水に初期処理剤として酢酸を50mg/Lとなるように添加したこと以外は、実施例A1と同様にして比較例A5の腐食防止効果を評価する試験を行った。
比較例A5の初期処理工程用溶液のpH(比較例A5の初期処理剤を添加した後の水系のpH)を測定したところ、pH6.1であった。
【0057】
(比較例A6)
実施例A1の初期処理工程用溶液の調製において、野木町水に初期処理剤としてエチレンジアミン四酢酸を50mg/Lとなるように添加したこと以外は、実施例A1と同様にして比較例A6の腐食防止効果を評価する試験を行った。
比較例A6の初期処理工程用溶液のpH(比較例A6の初期処理剤を添加した後の水系のpH)を測定したところ、pH6.7であった。
【0058】
(比較例A7)
実施例A1の初期処理工程用溶液の調製において、野木町水に初期処理剤としてマレイン酸を50mg/Lとなるように添加したこと以外は、実施例A1と同様にして比較例A7の腐食防止効果を評価する試験を行った。
比較例A7の初期処理工程用溶液のpH(比較例A7の初期処理剤を添加した後の水系のpH)を測定したところ、pH6.2であった。
【0059】
(比較例A8)
実施例A1の初期処理工程用溶液の調製において、野木町水に初期処理剤としてコハク酸を50mg/Lとなるように添加したこと以外は、実施例A1と同様にして比較例A8の腐食防止効果を評価する試験を行った。
比較例A8の初期処理工程用溶液のpH(比較例A8の初期処理剤を添加した後の水系のpH)を測定したところ、pH6.1であった。
【0060】
(比較例A9)
実施例A1の初期処理工程用溶液の調製において、野木町水に初期処理剤としてリン酸塩であるヘキサメタリン酸を100mgPO
4/L、及び亜鉛化合物である塩化亜鉛を20mgZn/Lとなるように添加したこと以外は、実施例A1と同様にして比較例A9の腐食防止効果を評価する試験を行った。
比較例A9の初期処理工程用溶液のpH(比較例A9の初期処理剤を添加した後の水系のpH)を測定したところ、pH6.5であった。
【0061】
前述した実施例A1〜A3及び比較例A1〜A9の初期処理工程用溶液の調製で用いた、初期処理剤の種類、その添加量(mg/L)、及び初期処理工程用溶液のpH(初期処理剤を添加した後の水系のpH)の測定結果を表1に示した。
【0062】
また、前述した実施例A1〜A3及び比較例A1〜A9の初期処理工程及び腐食処理工程において、経時的に測定した腐食速度(mdd:mg/dm
2・day)の変化を
図1に示した。
【0063】
【表1】
【0064】
(評価試験Aの結果のまとめ)
図1に示した腐食防止効果に関する評価試験Aの結果より、以下のことが分かる。
比較例A1における腐食速度は、本発明で規定する初期処理剤を水系に特定量(酒石酸換算で20〜150mg/L特に30〜100mg/L)を超えて添加したことに起因し、実施例A1〜A3の腐食速度よりも高いものであった。
このことから、比較例A1は、金属部材表面に対して防食皮膜を良好に形成することができず、腐食防止効果が十分に得られないことが分かった。
【0065】
比較例A2における腐食速度は、本発明で規定する初期処理剤を添加した後の水系のpHを特定範囲(pH6.0〜8.0)未満としたことに起因し、実施例A1〜A3の腐食速度よりも高いものであった。
このことから、比較例A2は、金属部材表面に対して防食皮膜を良好に形成することができず、腐食防止効果が十分に得られないことが分かった。
【0066】
また、比較例A3〜A8における腐食速度は、本発明で規定する初期処理剤を用いなかったことに起因し、実施例A1〜A3の腐食速度よりも高いものであった。
このことから、比較例A3〜A8は、金属部材表面に対して防食皮膜を良好に形成することができず、腐食防止効果が十分に得られないことが分かった。
【0067】
これに対して、実施例A1〜A3における腐食速度は、本発明で規定する初期処理剤を水系に特定量(酒石酸換算で20〜150mg/L特に30〜100mg/L)添加し、該初期処理剤を添加した後の水系のpHを特定範囲(pH6.0〜8.0)としたことに起因し、初期処理剤としてリン酸塩及び亜鉛化合物を用いた比較例A9と同程度に低いものであった。
このことから、実施例A1〜A3は、金属部材表面に対して防食皮膜を良好に形成することができ、優れた腐食防止効果が得られることが分かった。
【0068】
(2)腐食防止効果に関する評価試験B
前述した腐食防止効果に関する評価試験Aで用いた、実施例A2及び比較例A9で調製した初期処理工程用溶液、及びブランク液を対象として、以下に示す方法で金属部材表面に対する腐食防止効果を評価する試験を行った。
【0069】
(実施例B1)
<試験片の準備>
SPCC製テストピース(サイズ:30mm×50mm×1mm)を、20質量%硝酸溶液、及び10質量%硫酸溶液にてエッチング処理し、乾燥させたものを試験片とした。
なお、腐食試験Bを行う前の試験片の重量W
1は予め測定しておいた。
【0070】
<初期処理工程>
実施例A2の初期処理工程用溶液に、試験片を浸漬させ30℃に加温した状態で、回転腐食試験装置(信和加工社製)を用いて、試験片の回転を150rpmで開始し、この回転を24時間継続させた後、回転を停止し、1回目の初期処理工程を終了した。
【0071】
<ブランク処理工程>
1回目の初期処理工程終了後、実施例A2の初期処理工程用溶液をブランク液に切り替え、ブランク液に、試験片を浸漬させ30℃に加温した状態で、初期処理工程と同様に回転腐食試験装置を用いて、試験片の回転を150rpmで開始し、この回転を24時間継続させた後、回転を停止し、1回目のブランク処理工程を終了した。
なお、ここで「ブランク液」とは、実施例A1の初期処理工程溶液の調製に原水として用いた野木町水と同様のものを指していう。
【0072】
<腐食減量W
Aの算出>
1回目のブランク処理工程終了後、試験片を引き上げ、乾燥させて試験片の重量W
2を測定し、1回目の試験片の腐食減量W
Aを下記式1により算出した。
なお、評価試験Bを行う前の試験片の重量W
1は予め測定しておいた。
(式1): 腐食減量W
A(mg)=|W
2−W
1|
【0073】
続いて、1回目と同様にして2回目の初期処理工程を24時間行った後、2回目のブランク処理工程を24時間行った。そして、2回目のブランク処理工程終了後、1回目と同様にして2回目の試験片の腐食減量W
Aを上記式1により算出した。
更に、1回目と同様にして3回目の初期処理工程を24時間行った後、3回目のブランク処理工程を24時間行った。そして、3回目のブランク処理工程終了後、1回目と同様にして3回目の試験片の腐食減量W
Aを上記式1により算出した。
【0074】
(比較例B1)
実施例B1の初期処理工程において、実施例A2の初期処理工程用溶液を比較例A9の初期処理工程用溶液に変更したこと以外は、実施例B1と同様にして比較例B1の腐食防止効果を評価する試験を行った。
【0075】
(比較例B2)
実施例B1の初期処理工程において、実施例A2の初期処理工程用溶液をブランク液に変更したこと以外は、実施例B1と同様にして比較例B2の腐食防止効果を評価する試験を行った。
【0076】
前述した実施例B1及び比較例B1、B2において、初期処理工程及びブランク処理工程を1セットとし、この1セットを3回繰り返し行い、経時的に測定した腐食減量の変化を
図2に示した。
【0077】
(評価試験Bの結果のまとめ)
図2に示した腐食防止効果に関する評価試験Bの結果より、以下のことが分かる。
比較例B2における腐食減量は、初期処理剤を用いなかったことに起因し、多いものであった。
このことから、比較例B2は、金属部材表面に対して防食皮膜を形成することができず、腐食防止効果が得られないことが分かった。
【0078】
これに対して、実施例B1における腐食減量は、本発明で規定する初期処理剤を水系に特定量(酒石酸換算で20〜150mg/L特に30〜100mg/L)添加し、該初期処理剤を添加した後の水系のpHを特定範囲(pH6.0〜8.0)としたことに起因し、初期処理剤としてリン酸塩及び亜鉛化合物を用いた比較例B1と同程度に少ないものであった。
このことから、実施例B1は、金属部材表面に対して防食皮膜を良好に形成することができ、優れた腐食防止効果が得られることが分かった。
【0079】
(3)腐食防止効果に関する評価試験C
図3に示す伝熱面評価試験装置を用いて、以下に示す方法で金属部材表面(具体的には鉄製の評価チューブ2)に対する腐食防止効果を評価する試験を行った。
【0080】
<伝熱面評価試験装置>
図3に示す伝熱面評価試験装置は、試験水タンク(100L容)1にある試験水の流速を循環水ポンプP
1で調整し、循環ラインL
1を通じて試験水を試験管3に供給し、循環戻りラインL
2を通じて試験水を試験水タンク1に循環させるものである。
試験管3には、鉄製の評価チューブ2が挿入されており、装置起動時には鉄製の評価チューブ2を試験水に浸漬させることができる。
鉄製の評価チューブ2には、ヒーター(熱電対)4が挿入されており、装置起動時にはヒーター(熱電対)4によって鉄製の評価チューブ2を加熱することができる。
循環戻りラインL
2には、流量調整バルブVが設けられている。
補給水タンク(300L容)5にある試験水は、必要に応じて、補給水ラインL
3を通じて試験水を試験水タンク1に補給することができる。
補給水タンク5にある試験水が試験水タンク1に補給される際には、補給される試験水の流速は循環水ポンプP
2で調整される。
試験水タンク1には、試験水が所定量を超えると外部に排出することができるオーバーフローラインL
4が設けられている。
【0081】
(試験1)
<初期処理工程>
試験水タンク(100L容)1に野木町水を入れ、野木町水に初期処理剤として酒石酸を50mg/Lとなるように添加し、水系を30℃に加温して初期処理工程の試験水1を調製した。
なお、ここで「野木町水」とは、実施例A1の初期処理工程溶液の調製に原水として用いた野木町水と同様のものを指していう。
このときの試験水1の水質は、pH:7.0、カルシウム硬度:40mgCaCO
3/L、イオン状シリカ:20mgSiO
2/L、酸消費量:40mgCaCO
3/Lであった。
ヒーター(熱電対)4を駆動させて電力を2kW、管肉温度を80℃に設定して水系に熱負荷をかけ、試験水タンク(100L容)1にある試験水1の流速を循環水ポンプP
1で0.5m/sに調整し、循環ラインL
1を通じて試験水1を試験管3に供給し、循環戻りラインL
2を通じて試験水1を試験水タンク1に戻すといった一連の水系循環を24時間行った。
なお、初期処理工程において水系に熱負荷をかけた状態であっても、実際の水系の温度は30℃になるよう制御した。
【0082】
<通常運転工程>
初期処理工程の水系循環終了後、試験水タンク(100L容)1にある試験水1に、保持処理剤としてアクリル酸とマレイン酸との共重合体を50mg/L、及び亜鉛化合物である塩化亜鉛を2mg/Lとなるように添加し、更に、カルシウム硬度が500mgCaCO
3/Lとなるように10質量%塩化カルシウム溶液を添加し、酸消費量が150mgCaCO
3/Lとなるように5質量%重炭酸ナトリウム溶液を添加し、水系を30℃に加温して通常運転工程の試験水2を調製した。
このときの試験水2の水質は、pH:8.6、カルシウム硬度:500mgCaCO
3/L、酸消費量:150mgCaCO
3/Lであった。
ヒーター(熱電対)4を駆動させて電力を2kW、管肉温度を80℃に設定して水系に熱負荷をかけ、試験水タンク(100L容)1にある試験水2の流速を循環水ポンプP
1で0.5m/sに調整し、循環ラインL
1を通じて試験水2を試験管3に供給し、循環戻りラインL
2を通じて試験水2を試験水タンク1に戻すといった一連の水系循環を48時間行った。
なお、通常運転工程において水系に熱負荷をかけた状態であっても、実際の水系の温度は30℃になるよう制御した。
【0083】
<腐食減量W
Bの算出>
通常運転工程の水系循環終了後、鉄製の評価チューブ2を引き上げ、乾燥させて評価チューブ2の重量W
4を測定し、試験1の評価チューブ2の腐食減量W
Bを下記式2により算出した。
なお、評価試験Cを行う前の評価チューブ2の重量W
3は予め測定しておいた。
(式2): 腐食減量W
B(mg)=|W
4−W
3|
【0084】
(試験2)
試験1の初期処理工程において、ヒーター(熱電対)4を駆動させず、すなわち水系に熱負荷をかけず、一連の水系循環を24時間行ったこと以外は、試験1と同様にして試験2の腐食防止効果を評価する試験を行った。
なお、初期処理工程において水系に熱負荷をかけなかった状態であっても、実際の水系の温度は30℃になるよう制御した。
【0085】
前述した試験1及び試験2の初期処理工程及び通常運転工程を経た後の腐食減量の測定結果を表2に示した。
【0086】
【表2】
【0087】
(評価試験Cの結果のまとめ)
表2に示した腐食防止効果に関する評価試験Cの結果より、以下のことが分かる。
試験1における腐食減量は、初期処理工程において、水系に熱負荷をかけ、一連の水系循環を行ったことに起因し、多いものであった。
これに対して、試験2における腐食減量は、初期処理工程において、水系に熱負荷をかけずに、一連の水系循環を行ったことに起因し、少ないものであった。
このことから、試験2は、試験1よりも、金属部材表面に対して防食皮膜を良好に形成することができ、優れた腐食防止効果が得られることが分かった。