(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6753119
(24)【登録日】2020年8月24日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】シーラント用接着剤及び易剥離性フィルム
(51)【国際特許分類】
C09J 123/08 20060101AFI20200831BHJP
C09J 131/04 20060101ALI20200831BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20200831BHJP
C09J 7/30 20180101ALI20200831BHJP
【FI】
C09J123/08
C09J131/04
C09J11/06
C09J7/30
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-76667(P2016-76667)
(22)【出願日】2016年4月6日
(65)【公開番号】特開2017-186460(P2017-186460A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森下 功
【審査官】
藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−035645(JP,A)
【文献】
特開平01−185329(JP,A)
【文献】
特開2015−150730(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/156133(WO,A1)
【文献】
特開2011−079918(JP,A)
【文献】
特開平1−230653(JP,A)
【文献】
特開2004−322407(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/042727(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0362539(US,A1)
【文献】
特開2014−31197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00− 5/10
7/00− 7/50
9/00−201/10
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS K6924−1で測定した酢酸ビニル含有率が6〜15重量%の範囲であり、JIS K6924−1で測定したメルトマスフローレイトが8〜30g/10分の範囲であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)80〜90重量%、環球法で測定した軟化点が90℃〜140℃の粘着付与剤(B)10〜15重量%、及び少なくとも有機ホウ素化合物を含む帯電防止剤(C)0.2〜2重量%((A)、(B)及び(C)の合計は100重量%)を含む組成物よりなるシーラント用接着剤。
【請求項2】
帯電防止剤(C)が、有機ホウ素化合物と塩基性窒素化合物よりなることを特徴とする請求項1に記載のシーラント用接着剤。
【請求項3】
帯電防止剤(C)が、下記一般式(1)で表されるドナー・アクセプター系分子化合物よりなることを特徴とする請求項1又は2に記載のシーラント用接着剤。
【化1】
上記式中、R1、R2は、それぞれ独立に、CH
3(CH
2)
16−CO−OCH
2又はHOCH
2で、かつ少なくとも一方がCH
3(CH
2)
16−CO−OCH
2であり、R3、R4は、それぞれ独立に、CH
3、C
2H
5、HOCH
2、HOC
2H
4又はHOCH
2CH(CH
3)であり、R5はC
2H
4又はC
3H
6である。
【請求項4】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、粘着付与剤(B)及び帯電防止剤(C)の合計量100重量部に対し、更にブルックフィールド粘度計を用いて160℃で測定した粘度が50〜1000mPa・sである低分子量エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)2〜10重量部を配合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシーラント用接着剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のシーラント用接着剤からなる層及び支持基材層を有することを特徴とする易剥離性フィルム。
【請求項6】
請求項5に記載の易剥離性フィルムからなる電子部品搬送用の紙製容器のキャリアテープ用カバーテープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む組成物からなるシーラント用接着剤に関するものであり、より詳細には紙製容器に適した蓋材シーラント用接着剤、及び易剥離性フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品包装や工業用部品の包装にはポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどのプラスチック容器や紙を主体とした紙製容器が使用されており、その蓋材には適度なヒートシール強度を持ち、且つ剥離時にはスムーズな剥離性能を持つ易剥離性フィルムが使用されている。その中で紙製の食品容器用の蓋材や電子部品搬送用キャリアテープのカバーテープには、剥離強度に加え剥離時に容器の紙が剥けて毛羽立つ、いわゆる紙剥けが無い剥離外観も要求される。特にカバーテープにおいては、高速充填適性のための短いシール時間で高い剥離強度が得ることができる低温ヒートシール性や、非常に小さな電子部品が部品の取り出し時にカバーテープに付着したり、飛び出したりする取り出し不良を防止するための帯電防止性が要求される。近年益々チップ型電子部品が小型化し部品の重量も軽量化しているため、従来では問題にならなかった程度の帯電や剥離帯電による電子部品のカバーテープへの付着や飛び出しの問題、また高温高湿環境下などの各種環境下において保管された後に帯電防止性能が低下することによる取り出し不良問題が発生するようになり、更に帯電防止性能の安定性に優れたもの、保管環境依存性が小さいものの要求が高くなってきている。容器蓋材シーラント用接着剤としては、ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合体に粘着付与剤を添加する混合物(例えば特許文献1参照。)、非帯電性カリウムアイオノマー(例えば特許文献2参照。)等が使用されている。しかしながら、これらでは高速化が進んだ充填機では低温ヒートシール性、毛羽立ち防止に満足できるものはなく、これらに加えて高温高湿環境下で保管すると剥離強度が大きく増加し、毛羽立ちが発生してしまうため剥離特性の維持性においてもなど全てを満足できるものではなかった。
【0003】
また、帯電防止性については、グリセリン脂肪酸エステルなどに代表される界面活性剤を練り込むことにより性能を付与することが一般的に行われているが、グリセリン脂肪酸エステルを単独で使用した場合、常温や高温高湿環境下の保管や経時変化による帯電防止性能の低下が発生しやすく安定した帯電防止性能を持つカバーテープは得られていない。また、ポリエーテル構造を含む高分子型帯電防止剤を練りこむ方法(例えば特許文献3参照)もあるが、高分子型帯電防止剤は多量に配合する必要があるために接着強度が低くなりやすく、また高価なために大幅にコストアップする問題があった。
そのため、高速充填適性である低温ヒートシール性に優れ、剥離時の紙製容器の毛羽立ちが無いことに加えて、常温や高温高湿環境下での保管後においても良好な剥離強度と帯電防止効果を示すシーラント用接着剤、及び易剥離性フィルムが切望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−105260号公報
【特許文献2】特開平9−175592号公報
【特許文献3】特許第5106208号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のいずれの方法も、紙製容器、特に紙基材からなる紙キャリアテープに対し、高速充填適性である低温ヒートシール性、剥離時の紙製容器の毛羽立ち防止に満足できるものは無いことに加えて、高温高湿環境下での保管により帯電防止性が大きく低下してしまうため、剥離特性と帯電防止効果の維持を含め全てを十分に満足できるものではなかった。
【0006】
本発明は、低温ヒートシール性に優れ、剥離時の紙製容器の毛羽立ちが無いことに加えて、高温高湿環境下での保管後も良好な剥離特性と帯電防止性を示すことができるシーラント用接着剤、及び易剥離性フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、特定のエチレン−酢酸ビニル共重合体、粘着付与剤及び特定の帯電防止剤を含む組成物からなるシーラント用接着剤が、低温ヒートシール性に優れ、剥離時の紙製容器の毛羽立ちが無いことに加えて、高温高湿環境下での保管後も良好な剥離特性と帯電防止性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、JIS K6924−1で測定した酢酸ビニル含有率が3〜18重量%の範囲であり、JIS K6924−1で測定したメルトマスフローレイトが5〜40g/10分の範囲であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)78〜94.8重量%、環球法で測定した軟化点が90℃〜140℃の粘着付与剤(B)5〜20重量%、及び少なくとも有機ホウ素化合物を含む帯電防止剤(C)0.2〜2重量%((A)、(B)及び(C)の合計は100重量%)を含む組成物よりなるシーラント用接着剤、及び易剥離性フィルムに関するものである。
【0009】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明のシーラント用接着剤は、JIS K6924−1で測定した酢酸ビニル含有率が3〜18重量%の範囲であり、JIS K6924−1で測定したメルトマスフローレイトが5〜40g/10分の範囲であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)78〜94.8重量%、環球法で測定した軟化点が90℃〜140℃の粘着付与剤(B)5〜20重量%、及び少なくとも有機ホウ素化合物を含む帯電防止剤(C)0.2〜2重量%((A)、(B)及び(C)の合計は100重量%)を含む組成物よりなるものである。
【0011】
本発明を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、公知の製造方法により得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)であって、低温ヒートシール性やヒートシール強度、毛羽立ち防止に優れたものとなることから、酢酸ビニル含有率が3〜18重量%、好ましくは、5〜10重量%からなるものである。ここで、酢酸ビニル含有率が3重量%未満の場合、得られるシーラント用接着剤は低温ヒートシール性に劣るものとなる。一方、酢酸ビニル含有率が18重量%を超える場合、得られるシーラント用接着剤は巻取フィルム状態での耐ブロッキング性に劣るものとなる。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含有率は、JIS K 6924−1に準拠し測定した方法により測定することができる。
【0012】
また、該エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)は、押出ラミネート加工性、低温ヒートシール性や紙容器の毛羽立ち防止に優れたシーラント用接着剤となることから、JIS K 6924−1に準拠して温度190℃、荷重21.18Nで測定したメルトマスフローレイトが5〜40g/10分の範囲にあるものであり、特に8〜30g/10分であることが好ましい。メルトマスフローレイトが5g/10分未満の場合、押出ラミネート加工時のドローダウン性が劣るものとなる。一方、メルトマスフローレイトが30g/10分を超える場合、得られるシーラント用接着剤は、溶融膜が安定せず押出ラミネート加工安定性に劣るものとなる。
【0013】
該エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の具体的例示としては、例えば(商品名)ウルトラセン537、ウルトラセン539、ウルトラセン526、ウルトラセン541、ウルトラセン625(東ソー株式会社製)等を挙げることができる。
【0014】
本発明を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)の配合割合は、78〜94.8重量%、特に低温ヒートシール性とヒートシール強度、毛羽立ち防止のバランスに優れたシーラント用接着剤となることから80〜90重量%であることが好ましい。ここで、78重量%未満の場合、得られるシーラント用接着剤は、巻取フィルム状態での耐ブロッキング性に劣るものとなる。一方、94.8重量%を超える場合、得られるシーラント用接着剤は、低温ヒートシール性が不十分となる。
【0015】
本発明を構成する粘着付与剤(B)は、粘着付与剤の範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、粘着付与剤として低温ヒートシール性、ヒートシール強度を付与するものであれば良く、例えば合成石油樹脂系粘着付与剤である石油樹脂系、クマロン樹脂系、スチレン系などや、天然樹脂系粘着付与剤であるロジン系樹脂、メチルエステル系樹脂、グリセリンエステル系樹脂、ペンタエリストールエステル系樹脂、テルペン系樹脂及びそれらの変性物、などが挙げられる。これら粘着付与剤のうち合成石油樹脂系粘着付与剤には脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、共重合系石油樹脂などがある。これらは、単独、又は2種以上を併用して使用できる。粘着付与剤(B)としては、環球法で測定した軟化点が90〜140℃のものが用いられる。軟化点が90℃未満の場合には、巻取フィルム状態での耐ブロッキング性に劣るものとなり、 140℃を超える場合には、低温ヒートシール性が不十分となる。
【0016】
本発明を構成する粘着付与剤(B)の配合割合は、5〜20重量%、特に低温ヒートシール性、毛羽立ち防止に優れたシーラント用接着剤となることから、10〜15重量%であることが好ましい。5重量%未満の場合、得られるシーラント用接着剤は低温ヒートシール性が劣るものとなる。一方、20重量%を超える場合、剥離時の紙製容器に毛羽立ちが発生するものとなる。
【0017】
本発明を構成する帯電防止剤(C)は、少なくとも有機ホウ素化合物を含む帯電防止剤の範疇に属するものであれば如何なるものを用いることも可能であり、帯電防止剤として易剥離性フィルムの帯電を防止するものであれば良く、各種環境下に保管後の帯電防止効果に優れたものとなることから、有機ホウ素化合物と塩基性窒素化合物よりなるものが好ましく、更に高温高湿環境下や低湿度環境下に保管後の帯電防止効果に優れたものとなることから下記一般式(1)の上段の半極性有機ホウ素化合物(ドナー成分)と下段の塩基性窒素化合物(アクセプター成分)とを混合溶融し反応させて得られる、下記一般式(1)で表されるドナー・アクセプター系分子化合物であることが好ましい。
【0018】
【化1】
上記式中、R1、R2は、それぞれ独立に、CH
3(CH
2)
16−CO−OCH
2又はHOCH
2で、かつ少なくとも一方がCH
3(CH
2)
16−CO−OCH
2であり、R3、R4は、それぞれ独立に、CH
3、C
2H
5、HOCH
2、HOC
2H
4又はHOCH
2CH(CH
3)であり、R5はC
2H
4又はC
3H
6である。
【0019】
なお、前記ドナー成分の、「δ+」は分子内の共有結合中に極性が存在していることを示し、(+)は酸素原子の電子供与性が強くなっていることを示し、(−)はホウ素原子の電子吸引性が強くなっていることを示し、「→」は電子が引き付けられる経路を示し、「−−−」は原子間結合力が弱められた状態を示す。
【0020】
前記ドナー成分は、炭素数17の直鎖型飽和炭化水素基を1〜2個有し、結晶状態での半極性結合原子団の占有面積が最小になるようにグリセリン残基に限定したものが好ましい。
【0021】
また、前記アクセプター成分は、N−置換基の1個が、アミド結合を介して炭素数17の直鎖型飽和炭化水素基が末端に結合した基で、残りの2個のN−置換基が炭素数1〜3の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基である三級アミンであるものが好ましい。
【0022】
また、前記一般式(1)のドナー・アクセプター系分子化合物は、本発明を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、粘着付与剤(B)と混合する前に、予めドナー成分とアクセプター成分をモル比約1:1で混合溶融して反応させることにより作製しておくことが好ましい。また、両成分の混合比は1:0.8〜0.8:1が好ましく、特に1:1に近いほうが好ましい。
【0023】
本発明を構成する帯電防止剤(C)の配合割合は、0.2〜2重量%、特に帯電防止性能とヒートシール強度に優れたものとなることから、0.5〜1.0重量%であることが好ましい。0.2重量%未満の場合は、得られるシーラント用接着剤は帯電防止効果に劣るものとなる。一方、2重量%を超える場合、フィルム外観を悪化させるだけでなく、ヒートシール強度も低下させるものとなる。
【0024】
本発明を構成する帯電防止剤(C)は、少なくとも有機ホウ素化合物を含む帯電防止剤の効果を損なわない範囲で他の帯電防止を併用することができる。併用する帯電防止剤として、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール粗暴酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド等の非イオン界面活性剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル酸化エチレン付加アマイド、アルキルアミン、ステアリルアルコール、アルキルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは、単独、又は2種以上を併用して使用できる。
【0025】
本発明を構成するエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、粘着付与剤(B)及び帯電防止剤(C)の合計量100重量部に対し、更にブルックフィールド粘度計を用いて160℃で測定した粘度が50〜1000mPa・sである低分子量エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)2〜10重量部を配合することが好ましい。
【0026】
本発明を構成する低分子量エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)は、公知の製造方法により得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)であって、接着強度の安定性を付与し剥離時の紙製容器の毛羽立ちを押さえるために、ブルックフィールド粘度計を用いて180度で測定した粘度が50〜1,000mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは100〜500mPa・sである。ブルックフィールド粘度計を用いて160℃で測定した粘度が50mPa・s未満では粘度が低すぎるため配合物の成形安定性が劣り、1,000mPa・sを超えると剥離時の紙製容器の毛羽立ち改良効果が低くなる。
【0027】
本発明を構成する低分子量エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)の配合割合は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、粘着付与剤(B)及び帯電防止剤(C)の合計量100重量部に対し、2〜10重量部配合することが好ましい。2重量部以上の場合は、剥離時の紙製容器の毛羽立ち改良効果が高く、一方10重量部以下であれば配合物の成形安定性が低下することなく、剥離強度も低下しない。
【0028】
本発明のシーラント用接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の熱可塑性樹脂やゴム、及び光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、滑剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、流動性改良剤、離型剤、難燃剤、着色剤、無機系中和剤、塩酸吸収剤、充填剤導電剤等が用いられても良い。
【0029】
本発明のシーラント用接着剤の調製方法としては、シーラント用接着剤の調製が可能であれば如何なる方法であってもよく、例えば該エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、該粘着付与剤(B)及び該帯電防止剤(C)、低分子量エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)を同時にヘンシェルミキサー又はタンブラー等の混合機により予備ブレンドしておき、単軸又は二軸の押出機で溶融混練する方法が挙げられる。また、該帯電防止剤(C)についてはあらかじめポリオレフィン系樹脂に高濃度で練り込んでマスターバッチとしておき、そのマスターバッチを押出ラミネーション加工時に添加することも可能である。マスターバッチのベースとなるポリオレフィン系樹脂はエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂が好ましく、更には本発明に使用のエチレン−酢酸ビニル共重合体(A)であることが特に好ましい。
【0030】
本発明のシーラント用接着剤は、蓋材やカバーテープ構成とした場合のヒートシール工程の作業性より、ポリエステルなど高剛性、高耐熱性の熱可塑性樹脂からなるフィルム支持基材や金属箔などの支持基材と予め積層し、そのシーラント層用の接着剤として用いることが望ましい。各種支持基材と積層させる際には、予めインフレーションやキャスト法により得られた単層接着剤フィルムや最内層に接着剤層を持つ多層接着剤フィルムを、ドライラミネートなどの方法で積層する方法や、押出ラミネート法のように、ウレタン系アンカーコート剤等を設けて支持基材層に溶融状態で積層させる方法などを行うことができる。
【0031】
本発明の易剥離性フィルムは、支持基材層と上記シーラント接着剤からなる層を有する。支持基材層を構成する支持基材としては、自己支持性を有するものであれば良く、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酸共重合樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂で構成されたプラスチックフィルム、和紙、複合紙などの紙、アルミニウムなどの金属で構成された金属箔、これらの単独又は積層体などが挙げられる。支持基材層の厚みは、機械的強度、作業性などが損なわれない範囲で用途に応じて選択できるが、一般的には5〜100μm程度、好ましくは10〜50μmである。
【0032】
シーラント接着剤層の厚みは、接着性、作業性などが損なわれない範囲で用途に応じて選択できるが、一般的には5〜50μm程度、好ましくは10〜30μmである。
【0033】
本発明では、前記支持基材層とシーラント接着剤層との間に、両層の密着性を高めるため、中間層を設けることもできる。この中間層は、ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーなどで構成でき、これらの成分は単独又は2種以上混合して使用できる。例えば、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレンやエチレン共重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体など)やその変性物などが挙げられる。中間層には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、導電剤、アンチブロッキング剤、粘着付与剤等が用いられても良い。
【0034】
中間層の厚みは、作業性などが損なわれない範囲で用途に応じて選択できるが、一般的には5〜20μm程度である。
【0035】
本発明では、前記支持基材層とシーラント接着剤層との間、又は前記支持基材層と中間層との間に、両層の密着性を高めるためアンカーコート層を設けることもできる。
【0036】
本発明の易剥離性フィルムは、主な材質が紙製である容器、例えば、クレープ紙、和紙、合成紙、複合紙などからなる容器や、葦、サトウキビなどからなるパルプモールド容器などの紙製容器の蓋材として好適である。
【0037】
本発明の易剥離性フィルムは、主な材質が紙製である電子部品搬送用の紙製容器、例えば、広葉樹パルプや針葉樹パルプなどの木材パルプを主体とした多層抄板紙や、それらの表面に表面サイズ剤塗布した多層抄板紙などからなる電気部品搬送用紙キャリアの蓋材(カバーテープ)に好適である。表面サイズ剤としては、酸化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイド、スチレンアクリル樹脂、ロジン系樹脂、樹脂ポリマーなどが挙げられ、これらのいずれかひとつ又は複数の樹脂を配合して成るものが挙げられる。これらの中で、特に表面サイズ剤として澱粉を主剤とする澱粉系サイズ剤、ポリビニルアルコールを主剤とするポリビニルアルコール系サイズ剤が好ましい。
【0038】
電気部品搬送用紙キャリアの蓋材に用いる場合、支持基材層にはポリエチレンテレフタレート樹脂が耐熱性に優れるために好ましく、支持基材層厚みは12〜25μm程度、シーラント接着剤層厚みは10〜25μm程度が好ましい。
【0039】
該易剥離性フィルムの製造方法としては、特に限定はしないが、シーラント接着剤を押出ラミネートする方法、予めシーラント接着剤を少なくとも1層含む多層フィルムを成形し、支持基材フィルムと積層する方法などが挙げられる。例えば、(1)支持基材フィルムにアンカーコート剤を塗布し、接着剤層を溶融押出する押出ラミネート方法、(2)支持基材フィルムにアンカーコート剤を塗布し、中間層を溶融押出した後、その上に接着剤層を溶融押出する押出ラミネート方法、(3)支持基材フィルムに、支持基材との接着性に優れた中間層を溶融押出した後、その上に接着剤層を溶融押出する押出ラミネート方法、(4)支持基材フィルムにアンカーコート剤を塗布し、中間層と接着剤層を同時に溶融押出する共押出ラミネート方法、(5)予めインフレーション成形法やキャスト成形法によりシーラント接着剤を少なくとも1層含む多層フィルムを成形し、アンカーコート剤を塗布した支持基材フィルムに貼り合わせる方法。(6)アンカーコート剤を塗布した支持基材フィルムとシーラント接着剤を少なくとも1層含む多層フィルムを押出ラミネートを用いて中間層を溶融押出すことにより積層する押出ラミネート方法などが挙げられる。
【0040】
本発明の易剥離性フィルムは、容器に適した蓋材用として用いられ、特に紙製容器に適している。紙製容器に対する毛羽立ちの発生が無く帯電防止性能にも優れているため、これらの性能が要求される分野に有効的に使用できる。たとえば、電子部品やマイクロチップなどを入れた連続したテープ状の容器(一般的にキャリヤーテープと称する)の蓋材(一般的にカバーテープと称する)として使用できる。キャリアテープはポリスチレンなどを用いたプラスチック系のものがあるが、厚紙に部品を挿入する穴又は窪みを設けたキャリアテープが多く使用されている。たとえば紙製のキャリアテープには穴又は窪みに微小なマイクロチップが挿入され、カバーテープとなる易剥離性フィルムを蓋材となるように短時間で加熱接着される。その後別工程に運ばれ、高速で易剥離性フィルムを剥離しながらマイクロチップを取り出す工程に移される。このようにカバーテープには短時間で加熱接着される低温ヒートシール性、剥離した紙繊維がマイクロチップ等に付着するのを防ぐ剥離時の毛羽立ち防止性、更には静電気発生による電子部品に影響を与えない帯電防止性が要求されるため、本発明は充分にこれらを満足できる易剥離性フィルムを提供することができる。易剥離性フィルムからなる電子部品搬送用の紙製容器のキャリアテープ用カバーテープ。
【発明の効果】
【0041】
以上述べたとおり、本発明はシーラント用接着剤に関し、更に詳しくは紙製容器に適したシーラント接着剤であり、優れた低温ヒートシール性、剥離時の紙製容器の毛羽立ちが無いことに加え、特に高温高湿環境下にて保管後に良好な剥離特性と帯電防止性能を示すシーラント用接着剤及び易剥離性フィルムとして有用である。
【実施例】
【0042】
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0043】
〜メルトマスフローレイト(MFR)〜
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)のMFRは、JIS K6924−1に準拠して測定した。
【0044】
JIS K6924−1はエチレン−酢酸ビニル共重合体を材料とする場合の関連規格であり、JIS K6924−1はポリエチレンを材料とする場合の関連規格である。今回、両者の試験温度と公称荷重は同じ条件でメルトインデクサー(タカラ工業(株)社製)を用いてISO 1133の試験方法で測定した。MFRが25未満の場合はA法(所定の時間に押し出された樹脂をカットしその樹脂重量から求める方法)を使用し、MFRが25以上の場合にはB法(ピストンが所定の距離を移動した時間から求める方法)を使用した。A法の測定方法は、試料6gを190℃に設定したメルトインデクサーのシリンダーに入れピストンをセットし、190℃に加熱した樹脂に2.16kgの荷重を掛けてオリフィス2.095mmを通過し所定の時間に流れ出た樹脂をカットし、その重量を測定する。その重量を10分間に流れ出た重量に換算しMFRを求めた。B法の測定方法は、予め樹脂の溶融密度を求めるためにA法と同様の方法で190℃に加熱した樹脂に2.16kgの荷重を掛けて、ピストンが所定の距離を移動した時に流れ出た樹脂をカットし、その重量を測定する。溶融密度(g/cm
3)を樹脂重量(g)/(0.711×所定の距離(cm))の式から求める。シリンダー、ピストンとオリフィスを掃除し、再度試料6gを190℃に設定したメルトインデクサーのシリンダーに入れピストンをセットし、190℃に加熱した樹脂に2.16kgの荷重を掛けてピストンの下部標線がシリンダーの上端に達した時に自動測定を開始し、標線で示す所定の距離(2.486cm)をピストンが移動する時間を測定する。MFRは、(426×2.486×溶融密度)/測定時間(秒)にて計算して得た。
【0045】
シーラント用接着剤の調整方法は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)、粘着付与剤(B)、帯電防止剤(C)、を同時にヘンシェルミキサー又はタンブラー等の混合機により予備ブレンドしておき、同方向回転の単軸又は二軸の押出機(東芝機械(株)社製、商品名TEM50B)を使用して溶融混練し、本シーラント用接着剤のペレットを得た。溶融混練温度は、溶融樹脂温度で160℃とした。本シーラント用接着剤には熱安定性を考慮しフェノール系酸化防止剤(BASF(株)社製、商品名イルガノックス1010)を、シーラント用接着剤100重量部に対し0.05重量部添加した。
【0046】
この本シーラント用接着剤ペレットを用いた構成物を作成するために、あらかじめ二軸延伸されたポリエステルフィルム(東洋紡(株)社製、商品名E5100、25μm厚み)にウレタン系のアンカーコート剤(武田薬品工業(株)社製、商品名A3210、A3072、酢酸エチル、固形分濃度7重量%)を使用して低密度ポリエチレン(東ソー(株)社製、商品名ペトロセン203)を樹脂温度310℃で15μmの厚みに押出ラミネーション加工をして基材を作成しておき、その基材の低密度ポリエチレン側に本シーラント用接着剤ペレットを更に樹脂温度160℃の条件で15μm厚みに押出ラミネーション加工を行い、易剥離性フィルムを得た。
【0047】
実施例により得られたシーラント用接着剤について以下に示す方法にて、低温ヒートシール性、剥離外観(毛羽立ち)、剥離特性の維持性(高温高湿環境下保管後)、帯電防止性(常温)、帯電防止性(高温高湿環境下保管後)を測定した。
〜低温ヒートシール性の測定〜
易剥離性フィルムの接着剤面と紙キャリアテープ(韓国製)とをそれぞれ重ね合わせて、テーピング試験機(株式会社バンガードシステムズ製、VS−120型)、コの字型シールバー(0.5mm幅×2本型、シールバー長さ8.2mm)を用いて130℃、0.1MPa、0.1秒、シールピッチ8mmの条件でシールバーの端部分が少し重なり合うように連続して加圧加熱接着した。
【0048】
放冷後に、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件にて、シール強度を150mm長さ分連続して測定して、その平均値を求めた。低温ヒートシール性は、0.2N/mm以上が良好と評価される。
【0049】
○:0.2N/mm以上
×:0.2N/mm未満
〜剥離外観(毛羽立ち)〜
易剥離性フィルムの接着剤面と紙キャリアテープ(韓国製)とをそれぞれ重ね合わせて、テーピング試験機(株式会社バンガードシステムズ製 VS−120型)、コの字型シールバー(0.5mm幅×2本型、シールバー長さ8.2mm)を用いてヒートシール強度が0.3N/mmとなるようにヒートシール条件を調整し加圧加熱接着した。放冷後に、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件にて剥離した易剥離性フィルムの接着剤面、及びキャリアテープ表面の目視確認を行ない、剥離状態を評価した。○を良好とした。
【0050】
○:キャリアテープに毛羽立ちは無く、フィルム表面にも紙繊維の付着が見られない
×:キャリアテープに毛羽立ちがあり、フィルム表面に紙繊維の付着がある
〜剥離特性の維持性の測定(高温高湿保管後)〜
易剥離性フィルムの接着剤面と紙キャリヤーテープ(韓国製)とをそれぞれ重ね合わせて、テーピング試験機(株式会社バンガードシステムズ製 VS−120型)、コの字型シールバー(0.5mm幅×2本型、シールバー長さ8.2mm)を用いて130℃、0.1MPa、0.1秒、シールピッチ8mmの条件でシールバーの端部分が少し重なり合うように連続して加圧加熱接着した。貼り合わせた試料を60℃、95%RHの高温高湿槽中に1日保管し、試料を取り出して放冷した後に、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件にてシール強度を150mm長さ分連続して測定し、その平均値を求めた。剥離強度の維持性として、初期強度平均値(高温高湿保管前)から高温高湿保管後強度平均値を引いた値(経時変化量)を用いた。経時変化量は0以上、0.1N/mm以下が良好とした。
【0051】
〜帯電防止性(常温)の測定〜
押出ラミネーション加工後、易剥離性フィルムを23℃、50%RHの条件で3日間保管した後、接着剤面の表面固有抵抗値を、JIS K6911に準拠し23℃、50%RHの条件において測定した。
表面固有抵抗値は、10
12Ω以下が良好とされる。
【0052】
〜帯電防止性(高温高湿環境下保管後)の測定〜
押出ラミネーション加工後、易剥離性フィルムを60℃、95%RHの条件にて1日間保管した後、23℃、50%RHの条件で1日間放置後、シーラント接着剤面の表面固有抵抗値を、JIS K6911に準拠し23℃、50%RHの条件において測定した。
表面固有抵抗値は、10
12Ω以下が良好とされる。
【0053】
実施例1
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、酢酸ビニル含有率6%、MFRが28g/10分である樹脂(A1)(東ソー(株)製 商品名ウルトラセン539)84.5重量%、粘着付与剤(B)として軟化点が125℃の水添石油樹脂(B1)(荒川化学(株)社製 商品名アルコンP125)を15重量%、帯電防止剤(C)として 半極性有機ホウ素化合物と塩基性窒素化合物よりなる帯電防止剤(C1)((株)ボロン研究所社製、商品名Biomicelle BN−105)(一般式(1)のR1:CH
3(CH
2)
16−CO−OCH
2、R2:CH
3(CH
2)
16−CO−OCH
2、R3:CH
3、R4:CH
3、R5:C
3H
6)0.5重量%をタンブラー混合機で予備ブレンドしておき、二軸押出機を用い160℃で溶融混練し本シーラント用接着剤のペレットを得た。
【0054】
シーラント用接着剤の配合を表1に示す。
【0055】
あらかじめ押出ラミネーションで作成しておいた二軸延伸されたポリエステルフィルム(25μm厚み)と低密度ポリエチレン(15μm厚み、東ソー(株)社製 商品名ペトロセン203)からなる貼り合わせ基材の低密度ポリエチレン側に、押出ラミネーター(プラコー(株)社製 スクリュー径25mmΦ)を用い本シーラント用接着剤のペレットを加工温度180℃で15μmの厚みで押出ラミネーションし易剥離性フィルムを得た。
得られた易剥離性フィルムを用いて前記評価方法で測定し、結果を表2に示す。
実施例2
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)84.5重量%、水添石油樹脂(B1)15重量%、帯電防止剤(C1)0.5重量%の合計100重量部に対し、低分子量エチレン−酢酸ビニル共重合体(D)としてブルックフィールド粘度計を用いて180℃で測定した粘度が240mPa・sである樹脂(D1)(東ソー(株)製 特殊ウルトラセン7A55A。メルトマスフローレイトが約30,000g/10分、数平均分子量が2,500)を5重量部配合し、実施例1と同様にしてシーラント用接着剤、及び易剥離性フィルムを得た。
【0056】
シーラント用接着剤の配合を表1に示す。
【0057】
得られた易剥離性フィルムを用いて前記評価方法で測定し、結果を表2に示す。
実施例3
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)84.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)84.0重量%、帯電防止剤(C)として 帯電防止剤(C1)0.5重量%の代わりに、帯電防止剤(C1)1.0重量%とした以外は、実施例2と同様にしてシーラント用接着剤、及び易剥離性フィルムを得た。
【0058】
シーラント用接着剤の配合を表1に示す。
【0059】
得られた易剥離性フィルムを用いて前記評価方法で測定し、その結果を表2に示す。
【0060】
実施例4
帯電防止剤(C)として 帯電防止剤(C1)0.5重量%の代わりに、半極性有機ホウ素化合物と塩基性窒素化合物よりなる帯電防止剤(C2)((株)ボロン研究所社製、商品名Biomicelle BN−77)1.0重量%とした以外は、実施例3と同様にしてシーラント用接着剤、及び易剥離性フィルムを得た。
【0061】
シーラント用接着剤の配合を表1に示す。
【0062】
得られた易剥離性フィルムを用いて前記評価方法で測定し、その結果を表2に示す。
【0063】
実施例5
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)84.5重量%の代わりに、酢酸ビニル含有率15%、MFRが14g/10分である樹脂(A2)(東ソー(株)社製、商品名ウルトラセン625)84.5重量%とした以外は、実施例2と同様にしてシーラント用接着剤、及び易剥離性フィルムを得た。
【0064】
シーラント用接着剤の配合を表1に示す。
【0065】
得られた易剥離性フィルムを用いて前記評価方法で測定し、その結果を表2に示す。
【0066】
比較例1
帯電防止剤(C)として 帯電防止剤(C1)0.5重量%の代わりに、ステアリン酸モノグリセリド系帯電防止剤(C3)(理研ビタミン(株)製 商品名リケマールS−100)0.5重量%とした以外は、実施例2と同様にしてシーラント用接着剤、及び易剥離性フィルムを得た。
【0067】
シーラント用接着剤の配合を表1に示す。
【0068】
得られた易剥離性フィルムを用いて前記評価方法で測定し、その結果を表2に示す。
【0069】
得られた易剥離性フィルムは、剥離特性の維持性と帯電防止性能(高温高湿保管後)に劣るものであった。
【0070】
比較例2
帯電防止剤(C)として 帯電防止剤(C1)0.5重量%の代わりに、ジエタノールアミド系帯電防止剤(C4)(花王(株)製 商品名リケマールHS12A)0.5重量%とした以外は、実施例2と同様にしてシーラント用接着剤、及び易剥離性フィルムを得た。
【0071】
シーラント用接着剤の配合を表1に示す。
【0072】
得られた易剥離性フィルムを用いて前記評価方法で測定し、その結果を表2に示す。
得られた易剥離性フィルムは、低温ヒートシール性に劣り、また、帯電防止性能(高温高湿保管後)にも劣るものであった。
【0073】
比較例3
エチレン−酢酸ビニル共重合体(A)として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)84.5重量%の代わりに、エチレン−酢酸ビニル共重合体(A1)84.9重量%、帯電防止剤(C)として 帯電防止剤(C1)0.5重量%の代わりに、帯電防止剤(C1)0.1重量%とした以外は、実施例2と同様にしてシーラント用接着剤、及び易剥離性フィルムを得た。
【0074】
シーラント用接着剤の配合を表1に示す。
【0075】
得られた易剥離性フィルムを用いて前記評価方法で測定し、その結果を表2に示す。
得られた易剥離性フィルムは、帯電防止性能(常温)と帯電防止性能(高温高湿保管後)にも劣るものであった。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】