(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記側枠基部の前記筒状支柱は、断面矩形の筒状の支柱であり、一の側面および当該一の側面に対向する他の側面に、当該一の側面および当該他の側面の対向する位置に形成された対をなす開口が、当該一の側面および当該他の側面の前記長手方向に沿って複数形成されており、
前記高さ調整部材の前記差込支柱係止部は、前記高さ調整部材が前記筒状支柱に装着されることにより、前記一の側面および前記他の側面に形成された前記対をなす開口、および、前記筒状支柱の内部を通過し、前記筒状支柱の内部において前記側枠可動部の前記差込支柱に干渉する
ことを特徴とする請求項1に記載の折り畳み式ラック。
前記高さ調整部材の前記差込支柱係止部は、前記側枠可動部の前記差込支柱の下端に当接し、前記差込支柱の前記筒状支柱内の前記スライド移動であって、前記側枠基部が前記パレット上に立設されたときに前記パレットの方向となる下方向への当該差込支柱の前記スライド移動を規制することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の折り畳み式ラック。
前記パレット上に設置され、前記パレット上に載置される前記ロール製品の支管の下部開口に嵌挿し、当該ロール製品の位置を固定する1または複数の製品固定部をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の折り畳み式ラック。
前記パレット上に載置し収容された前記ロール製品の上部に載置され、前記ロール製品の支管の上部開口に嵌挿される1または複数の製品固定部を有する天板をさらに有することを特徴とする請求項6または7に記載の折り畳み式ラック。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、サイズの異なる物品を収容し輸送等を行うことのできる折り畳み式ラックであって、収容物が小さいときはラック全体のサイズも小さくすることができ、ラック内に無駄な空間を形成することなく効率よく物品を収容し輸送等を行うことのできる折り畳み式ラックを提供することにある。また、ロール製品用の折り畳み式ラックにおいて、収容するロール製品の軸方向長さに応じて折り畳み式ラックの容積を変化させることができ、ラック内に無駄な空間を形成することなく効率よくロール製品を収容し保管や輸送等を行うことのできるロール製品用の折り畳み式ラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の折り畳み式ラックは、パレットと、物品を収容するときは前記パレット上に対向して立設され、物品を収容しないときは前記パレット上に倒置可能な一対の側枠とを有する折り畳み式ラックであって、
前記側枠の各々は、
前記パレットに回動可能に設置される側枠基部と、
前記側枠基部に対して移動可能に設置される側枠可動部であって、当該側枠基部が前記パレット上に立設されたときに当該折り畳み式ラックの高さ方向となる方向に移動可能な側枠可動部と、
前記側枠可動部の前記側枠基部に対する前記移動を規制し、前記側板の高さを所望の高さに維持する高さ調整部材とを有することを特徴とする。
【0007】
好適には、本発明の折り畳み式ラックにおいて、前記側枠基部は、筒状支柱を有し、前記側枠可動部は、前記側枠基部の前記筒状支柱に挿入されて前記筒状支柱内を長手方向にスライド移動可能な差込支柱を有し、前記高さ調整部材は、前記側枠可動部の前記差込支柱の前記スライド移動を規制することを特徴とする。
【0008】
また好適には、本発明の折り畳み式ラックにおいて、前記側枠基部の前記筒状支柱は、側面に、前記筒状支柱の長手方向に沿った複数の開口を有し、前記高さ調整部材は、前記開口を介して前記筒状支柱内に挿入され、前記筒状支柱内において前記側枠可動部の前記差込支柱に干渉し当該差込支柱の前記スライド移動を規制する差込支柱係止部を有することを特徴とする。
【0009】
また好適には、本発明の折り畳み式ラックにおいて、
前記側枠基部の前記筒状支柱は、断面矩形の筒状の支柱であり、一の側面および当該一の側面に対向する他の側面に、当該一の側面および当該他の側面の対向する位置に形成された対をなす開口が、当該一の側面および当該他の側面の前記長手方向に沿って複数形成されており、
前記高さ調整部材の前記差込支柱係止部は、前記高さ調整部材が前記筒状支柱に装着されることにより、前記一の側面および前記他の側面に形成された前記対をなす開口、および、前記筒状支柱の内部を通過し、前記筒状支柱の内部において前記側枠可動部の前記差込支柱に干渉することを特徴とする。
【0010】
また好適には、本発明の折り畳み式ラックにおいて前記側枠基部の前記筒状支柱は、
一方の方向における、前記一の側面および前記一の側面に対向する前記他の側面に形成された前記複数の対をなす開口である第1の開口群と、
一方の方向と直角な他方の方向における、前記一の側面および前記一の側面に対向する前記他の側面に形成された前記複数の対をなす開口である第2の開口群とを有し、
前記第1の開口群の前記複数の対をなす開口と、前記第2の開口群の前記複数の対をなす開口とは、前記筒状支柱の長手方向において異なる位置に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また好適には、本発明の折り畳み式ラックにおいて、前記高さ調整部材の前記差込支柱係止部は、前記側枠可動部の前記差込支柱の下端に当接し、前記差込支柱の前記筒状支柱内の前記スライド移動であって、前記側枠基部が前記パレット上に立設されたときに前記パレットの方向となる下方向への当該差込支柱の前記スライド移動を規制することを特徴とする。
【0012】
また好適には、本発明の折り畳み式ラックにおいて、前記側枠可動部の前記差込支柱の下端には、高さ調整部材抜け防止ピンが設置されており、前記高さ調整部材の前記差込支柱係止部には、高さ調整部材抜け防止ピンが挿入されるピン挿入孔が形成されていることを特徴とする。
【0013】
また好適には、本発明の折り畳み式ラックは、前記一対の側枠が前記パレット上に対向して立設された状態において、前記一対の側枠の上部を連結する連結棒をさらに有することを特徴とする。
【0014】
また好適には、本発明の折り畳み式ラックは、1または複数のロール製品を、当該ロール製品の軸方向が当該折り畳み式ラックの高さ方向となる方向で前記パレット上に載置し収容することを特徴とする。
【0015】
また好適には、本発明の折り畳み式ラックは、前記パレット上に設置され、前記パレット上に載置される前記ロール製品の支管の下部開口に嵌挿し、当該ロール製品の位置を固定する1または複数の製品固定部をさらに有することを特徴とする。
【0016】
また好適には、本発明の折り畳み式ラックは、前記パレット上に載置し収容された前記ロール製品の上部に載置され、前記ロール製品の支管の上部開口に嵌挿される1または複数の製品固定部を有する天板をさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、収容物が小さいときはラック全体のサイズも小さくすることができ、ラック内に無駄な空間を形成することなく効率よく物品を収容し輸送等を行うことのできる折り畳み式ラックを提供することができる。また、収容するロール製品の軸方向長さに応じて折り畳み式ラックの容積を変化させることができ、ラック内に無駄な空間を形成することなく効率よくロール製品を収容し保管や輸送等を行うことのできるロール製品用の折り畳み式ラックを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の折り畳み式ラックの一実施形態について、
図1〜
図8を参照して説明する。
本実施形態においては、ロール製品を収容し輸送あるいは保管等を行うためのロール製品用ラックを例示し本発明を説明する。
【0020】
本実施形態のロール製品用ラックは、ロール製品を収容する際には、
図7(A)および
図7(B)に示すように組み立てられた状態とされ、ロール製品を収容せずラックのみを回送等する際には、
図8に示すように折り畳まれた状態とされる折り畳み式のラック1である。
【0021】
また、
図7(A)および
図7(B)に示すように、本実施形態のロール製品用ラック1は、ロール製品90をパレット10上に縦置きに収容するラックである。すなわち、ロール製品を、支管の軸方向がロール製品用ラックの高さ方向となるようにパレット上に載置し収容するラックである。そして、特に本実施形態のロール製品用ラック1は、
図7(A)および
図7(B)に比較可能に示すように、収容するロール製品の長さに応じて、組み立てられた状態におけるラックの高さを調整することができるものである。
【0022】
図1に示すように、ロール製品用ラック1は、パレット10、下金枠20、製品固定部設置板24、底板30、一対の側枠40、2本の連結棒70および天板80を有する。また、一対の側枠40の各々は、側枠基部41、側枠可動部51および高さ調整部材61を有する。以下、ロール製品用ラック1の各部の構成について説明する。
【0023】
パレット10は、ロール製品用ラック1の基台である。パレット10は、長方形の平面形状を有し、少なくとも長手方向の側面にフォークリフトの爪部(フォーク)が差し込まれるリフト用開口101が形成されている。本実施形態において、パレット10は、樹脂成型により製造された樹脂パレットである。
【0024】
下金枠20は、パレット10の上面の周縁に沿って設置される金属製部材である。下金枠20は、パレット10の四隅に設置されるコーナー金具21、パレット10の短手方向の辺縁に沿って設置される一対の短手方向連結枠22、および、パレット10の長手方向の辺縁に沿って設置される一対の長手方向連結枠23を有する。これら4個のコーナー金具21、一対の(2個の)短手方向連結枠22および一対の(2個の)長手方向連結枠23は、溶接により順次連結されて一の下金枠20に構成されている。
【0025】
コーナー金具21は、側枠40の側枠基部41が回動可能に連結されるとともに、ロール製品用ラック1が組み立てられたときに側枠基部41を立設状態に維持する部材である。コーナー金具21は、
図2に示すように、長手方向連結枠23に平行な第1の面211と、短手方向連結枠22に平行な第2の面212とを有する断面L字状の部材である。
【0026】
コーナー金具21の第1の面211には、パレット10の上面に対して直角な方向に延伸する長孔である側板回動ピン通過孔213が形成されている。側板回動ピン通過孔213は、側枠40の側枠基部41の下縁両側に突出した連結回動シャフト45が挿入される孔である。パレット10の短手方向に隣接するコーナー金具21においては、
図3に示すように、第1の面211が対向して設置されることとなり、側板回動ピン通過孔213も対向して配置される。側枠40の側枠基部41は、これら対向して配置される側板回動ピン通過孔213に下縁両側に突出した連結回動シャフト45が挿入されることにより、コーナー金具21に連結される。
【0027】
側板回動ピン通過孔213の幅は、側枠基部41の連結回動シャフト45の直径よりも若干広い。したがって、側枠基部41は、連結回動シャフト45を回動中心として回動可能であるとともに、側板回動ピン通過孔213の長手方向の範囲内で、上下方向に容易に移動可能である。
【0028】
なお、側枠基部41は、下縁両側をパレット10の上面に対して傾斜させることにより、側枠基部41の両側の連結回動シャフト45を順次側板回動ピン通過孔213から離脱させることができ、側枠基部41をコーナー金具21から分離することができる。また、側枠基部41の下縁両側をパレット10の上面に対して傾斜させ、一方の連結回動シャフト45から順に側板回動ピン通過孔213に挿入することにより、側枠基部41の両側の連結回動シャフト45を側板回動ピン通過孔213に挿入した状態、すなわち、側枠基部41をコーナー金具21に連結した状態とすることができる。側枠基部41のコーナー金具21に対する設置及び分離は、このようにして行う。
【0029】
図2に示すように、コーナー金具21の第1の面211の上縁には、上方向に開口した溝である側板立設用ピン係合溝214が形成されている。側板立設用ピン係合溝214は、
図3に示すように、ロール製品用ラック1が組み立てられるとき、すなわち側枠40がパレット10上に立設されるときに、側枠基部41の下方分両側の立設用係合ピン46が係合される溝である。側枠基部41の立設用係合ピン46がコーナー金具21の側板立設用ピン係合溝214に係合されることにより、側枠40(側枠基部41)パレット10の上面方向に傾倒不能となり、側枠40はパレット10上に立設された状態に維持される。
【0030】
側枠基部41の下縁部を上方に移動させたとき、すなわち、連結回動シャフト45を側板回動ピン通過孔213の上部に移動させたときは、立設用係合ピン46はコーナー金具21と干渉しないようになっており、側枠基部41をパレット10に直角な姿勢とすることができる。コーナー金具21の側板立設用ピン係合溝214は、このような状態、すなわち側枠基部41を上方に引き上げパレット10に直角な姿勢とした状態で、側枠基部41の立設用係合ピン46の下となる位置に形成されている。したがって、この状態から側枠基部41を下方に下すことにより、側枠基部41の立設用係合ピン46はコーナー金具21の側板立設用ピン係合溝214に嵌入され、立設用係合ピン46は側板立設用ピン係合溝214に係合される。
【0031】
ロール製品を収容せずロール製品用ラック1を折り畳むときは、上述したように立設された状態の側枠基部41を上方に引き上げる。そうすると、側枠基部41の立設用係合ピン46はコーナー金具21の側板立設用ピン係合溝214から抜け出て、これらの係合状態は解除される。その結果、側枠基部41は、連結回動シャフト45を回動中心として回動可能となり、側枠基部41をパレット10の上面方向に傾倒させることが可能となる。
【0032】
なお、側板回動ピン通過孔213内を筒状支柱42の連結回動シャフト45が上方に移動されるのは、上述したように側枠基部41の立設用係合ピン46をコーナー金具21の側板立設用ピン係合溝214に係合させるときおよびこれらの係合状態を解除するとき、上述したように側枠基部41を下金枠20に設置するときおよび取り外すとき、および、1対の側枠40をパレット10上に重ねて載置する際に上側の側枠40の連結回動シャフト45が上方に配置されるときの各場合である。コーナー金具21の側板回動ピン通過孔213は、これらの各場合に対応できる長さに形成される。
【0033】
図2にしめすように、コーナー金具21の第1の面211の外面中央部には、連結棒受け215が設置されている。ロール製品用ラック1を折り畳んだとき、連結棒70は、
図8に示すように、ロール製品用ラック1の長手方向に沿って隣接するコーナー金具21間に保持され、折り畳まれたロール製品用ラック1と一体化される。コーナー金具21の第1の面211の連結棒受け215は、このとき、連結棒70の係合部72が挿入される部材である。
【0034】
下金枠20の短手方向連結枠22は、
図3に示すように、パレット10の短手方向の辺縁に沿って設置され、パレット10の短手方向に隣接するコーナー金具21を接続する。短手方向連結枠22は、パレット10の上面に接合される底部221と、パレット10の周縁に立設状態に配置される縁部222とを有する断面L字状の金属製部材である。
【0035】
短手方向連結枠22の底部221は、下金枠20をパレット10へ設置する際の固定面として用いられる。
図1に示すように、パレット10の上部の樹脂板部分の下側、すなわちパレット10の内部には、金属製の下金枠取付板102が設置されている。短手方向連結枠22の底部221は、間にパレット10の上部樹脂板部分を介在させた状態で、すなわち上部樹脂板部分を挟み込む状態で、パレット10の内部の下金枠取付板102とボルトナットにより固定される。その結果、下金枠20はパレット10の上面に固定設置される。
【0036】
下金枠20の長手方向連結枠23は、
図1に示すように、パレット10の長手方向の辺縁に沿って設置され、パレット10の長手方向に隣接するコーナー金具21を接続する。長手方向連結枠23は、
図3に示すように、パレット10の上面に接合される底部231と、パレット10の周縁に立設状態に配置される縁部232とを有する断面L字状の金属製部材である。
【0037】
パレット10の上面には、
図1および
図3に示すように、製品固定部設置板24が設置されている。製品固定部設置板24は、パレット10の長手方向に延伸する帯状の金属製部材である。製品固定部設置板24は、両側が下金枠20の短手方向連結枠22の底部221に溶接により接続されて下金枠20と一体化されており、下金枠20と一体的にパレット10上に設置される。製品固定部設置板24は、パレット10の短手方向においてパレット10の略中央部に設置される。
【0038】
製品固定部設置板24の上には、
図1に示すように、製品固定部241が設置されている。製品固定部241は、パレット10上に載置されるロール製品のパレット10上の位置を固定するために、ロール製品の下側端面の支管の開口に嵌挿される部材である。製品固定部241は、ロール製品の支管に挿入可能なように、ロール製品の支管の内径より若干小さい外径を有する円筒状の部材である。また、その高さは、輸送時の振動や衝撃等によりロール製品の支管が容易に抜けない程度の高さである。
【0039】
製品固定部241は、ロール製品用ラック1が収容可能なロール製品の数だけ設置される。本実施形態のロール製品用ラック1は、2個のロール製品を収容するので、図示のごとく製品固定部241は2個設置されている。また、2個の製品固定部241は、製品固定部241を介してパレット10上に設置された2個のロール製品が、相互に干渉せず、また、ロール製品用ラック1の側枠40等の構造とも干渉しないように収容される位置に形成される。
【0040】
底板30は、
図1に示すように、パレット10上に設置され、ロール製品が載置されるシート状部材である。底板30は、収容したロール製品に対する振動や衝撃を緩和する緩衝材としての役目を有し、本実施形態においては発泡性のPP(ポリプロピレン)シートである。
【0041】
底板30は、パレット10上において、下金枠20のコーナー金具21、短手方向連結枠22の縁部222および長手方向連結枠23の縁部232(
図3参照)により規定される領域に設置される。底板30において、製品固定部設置板24の製品固定部241に対応する位置には、製品固定部241を通過させ底板30の上面に突出させるための製品固定部用開口341が形成されている。
【0042】
側枠40は、ロール製品用ラック1にロール製品を収容するときにパレット10の長手方向の両側に対向して立設され、パレット10上にロール製品の収容空間を規定する部材である。側枠40の各々は、下辺部を回動中心として回動可能に、パレット10の短手方向の辺縁に沿ってパレット10上に設置されている。また、側枠40の各々は、ロール製品用ラック1にロール製品が収容されないときは、パレット10の上面に傾倒され、折り畳まれた状態とされる。
【0043】
側枠40の各々は、
図3に示すように、パレット10に回動可能に設置される側枠基部41と、側枠基部41にスライド移動可能に設置される側枠可動部51と、側枠可動部51のスライド移動を規制して側枠40の高さを所望の高さに維持する高さ調整部材61を有する。なお、
図3においては底板30の図示を省略する。
【0044】
側枠基部41は、
図4に示すように、水平方向両側に平行に配置される断面矩形の一対の筒状支柱42と、一対の筒状支柱42を上下において各々連結する2本の水平補強材44を有する。また、側枠可動部51は、
図5に示すように、水平方向両側に配置される一対の差込支柱52と、一対の差込支柱52を上部において連結する2本の水平補強材54とを有する。
【0045】
側枠基部41の一対の筒状支柱42と、側枠可動部51の一対の差込支柱52との各中心間距離は同じである。また、側枠可動部51の差込支柱52は、側枠基部41の筒状支柱42よりも断面形状が小さく、筒状支柱42の内側に挿入可能な断面外形形状を有する。したがって、側枠可動部51の差込支柱52の各々は、側枠基部41の筒状支柱42に上部開口420から筒状支柱42内に差し込む(挿入する)ことが可能であり、この状態において各差込支柱52は、筒状支柱42の内部を長手方向にスライド移動可能になる。その結果、側枠可動部51は、
図3に示すように、全体が側枠基部41に対してスライド移動可能な状態に設置された状態となる。側枠可動部51は、水平補強材54が側枠基部41の筒状支柱42に当たる位置まで、側枠基部41の奥方向にスライド移動(差し込み)可能である。
【0046】
図3および
図4に示すように、側枠基部41の筒状支柱42には、側面に、長手方向に沿って複数のスリット430が形成されている。スリット430は、筒状支柱42の一の側面およびその一の側面に対向する他の側面の対応する位置に対向するように対をなして形成されている。
【0047】
本実施形態においては、
図4に示すように、側枠基部41がパレット10上に立設された状態においてパレット10の長手方向に対向して配置されることとなる一の側面および他の側面に、第1のスリット群431が形成されている。また、側枠基部41がパレット10上に立設された状態においてパレット10の短手方向に対向して配置されることとなる一の側面および他の側面に(第1のスリット群431が形成された対向面とは直角な対向面に)、第2のスリット群432が形成されている。なお、一対の側枠40を構成する一対の側枠基部41の各筒状支柱42、すなわちロール製品用ラック1の4本の筒状支柱42においては、形成される各スリットの位置は同一である。
【0048】
高さ調整部材61は、
図3に示すように、側枠基部41の筒状支柱42に装着され、側枠可動部51の差込支柱52の、側枠基部41の筒状支柱42内でのスライド移動を規制する部材である。高さ調整部材61は、
図6(A)に示すように、差込支柱受け部62と屈曲部63を有する断面L字状の金属製部材である。差込支柱受け部62は、側枠基部41の筒状支柱42に形成されているスリット430に差し込まれ、側枠可動部51の差込支柱52と係合する部分である。また、屈曲部63は、高さ調整部材61がスリット430に差し込まれた際に高さ調整部材61を所定の差し込み位置に配置するための掛止部であるとともに、高さ調整部材61を着脱する際に作業者が把持する爪に相当する部分である。
【0049】
高さ調整部材61の差込支柱受け部62の中央部には、ピン挿入孔621が形成されている。ピン挿入孔621は、屈曲部63が筒状支柱42の外面に当接する位置まで高さ調整部材61がスリット430に差し込まれた際に、筒状支柱42の内部断面のほぼ中央となる位置に配置されるよう高さ調整部材61の差込支柱受け部62に形成されている。
【0050】
スリット430のいずれかに高さ調整部材61が挿入されると、
図6(B)に示すように、高さ調整部材61は筒状支柱42の内部を通過することとなる。したがって、側枠基部41の筒状支柱42の内部における側枠可動部51の差込支柱52のスライド移動は、差込支柱52の下端521が高さ調整部材61の差込支柱受け部62に当接した位置で制限されることとなる。すなわち、側枠可動部51の差込支柱52は、高さ調整部材61により下端521が支持された状態となる。その結果、側枠可動部51の側枠基部41に対するスライド移動は規制され、側枠40は、全体として所望の高さに維持されることとなる。
【0051】
また、
図5に示すように、側枠可動部51の差込支柱52の下端521には、差込支柱52の長手方向と同方向に所定長さの高さ調整部材抜け防止ピン53が設置されている。上述したように側枠可動部51の差込支柱52の下端521がスリット430に挿入された高さ調整部材61に当接する際には、
図6(B)に示すように、高さ調整部材抜け防止ピン53が高さ調整部材61のピン挿入孔621に挿入されることとなる。その結果、高さ調整部材61は、側枠基部41の筒状支柱42のスリット430から抜け出ることが防止され、スリット430に挿入された状態に維持されることとなる。
【0052】
このような構成の側枠40においては、高さ調整部材61を挿入するスリット430の位置を変更することで、側枠40の高さを調整することができる。すなわち、
図7(A)に示すように、高さ調整部材61を、側枠基部41の各筒状支柱42の高い位置のスリット430に装着することで、側枠可動部51の下部は側枠基部41の高い位置で支持されることとなり、側枠40の高さは高くなる。また、
図7(B)に示すように、高さ調整部材61を、側枠基部41の各筒状支柱42の低い位置のスリット430に装着することで、側枠可動部51の下部は側枠基部41の低い位置で支持されることとなり、側枠40の高さは低くなる。
【0053】
したがって、ロール製品用ラック1においては、パレット10上に縦置きに載置されるロール製品90の長さが長い場合、すなわち、収容するロール製品90の高さが高い場合には、
図7(A)に示すように、側枠40の高さを高く調整することができる。また、ロール製品の長さが短い場合、すなわち、収容するロール製品の高さが低い場合には、
図7(B)に示すように、側枠40の高さを低く調整することができる。
【0054】
図4に示すように、本実施形態において、第1のスリット群431の一連の複数のスリット430と、第2のスリット群432の一連の複数のスリット430とは、各々、筒状支柱42の長手方向において異なる位置に形成されている。高さ調整部材61は、第1のスリット群431と第2のスリット群432のいずれかのスリット430に装着される。このような構成とすることで、高さ調整部材61を装着可能なスリット430をより細かい間隔で側枠基部41の筒状支柱42に設置することができ、側枠40の高さを、より細かく調整して適切な高さとすることができる。
【0055】
各側枠40の各側枠基部41の下部には、連結回動シャフト45が設置されている。連結回動シャフト45は、各筒状支柱42の下縁のパレット10の中央側となる側に設置されており、その外側の端部は側枠基部41の外側端面よりも外方向に突出している。連結回動シャフト45は、
図3を参照して前述したように、下金枠20のコーナー金具21に形成された側板回動ピン通過孔213に挿入される。側枠40の両側下部の連結回動シャフト45が、下金枠20の側板回動ピン通過孔213に各々挿入されることにより、側枠40は、連結回動シャフト45を回動中心として回動可能、かつ、側板回動ピン通過孔213に沿って上下方向に移動可能に、下金枠20に係合保持される。
【0056】
また、側枠40の側枠基部41の筒状支柱42の外側端面であって、第2のスリット群432の下側の位置には、外側に突出する立設用係合ピン46が設置されている。立設用係合ピン46は、前述したように、側枠40がパレット10上に立設される場合に、下金枠20のコーナー金具21の側板立設用ピン係合溝214に係合されピンである。立設用係合ピン46が側板立設用ピン係合溝214に係合することにより、側枠40のパレット10上面方向への傾倒が不能となり、側枠40の立設状態が維持される。
【0057】
また、
図5に示すように、各側枠40の側枠可動部51の各差込支柱52の外側端面上部には、連結棒受け55が設置されている。一対の側枠40がパレット10上に対向して立設されたとき、対向する側枠40の対向する上隅部間は、
図1に示すように連結棒70により連結される。連結棒受け55には、このとき連結棒70の両端部の屈曲部である係合部72が挿入され、連結棒70の端部と側枠40の上隅部とが連結される。
【0058】
連結棒70は、上述したように、対向して立設された側枠40の対向する上隅部間を連結するロッドである。連結棒70は、金属製の棒状部材であって、長手方向に延伸する連結部71と、連結部71の両側に形成された係合部72とを有する。係合部72は、棒状部材の端部を連結部71に対してほぼ直角に折り曲げて形成した部分であり、ロール製品用ラック1が組み立てられているとき、側枠40の側枠可動部51の両側上部外面に設置された連結棒受け55に挿入される。これにより、連結棒70は、対向して立設された側枠40の対向する上隅部間を連結する。
【0059】
ロール製品用ラック1が折り畳まれるときは、連結棒70は、両側の係合部72が下金枠20の第1の面211に設置された連結棒受け215に挿入され、パレット10の長手方向に沿って下金枠20の外側に装着される。これにより、連結棒70は、折り畳まれたロール製品用ラック1と一体に保管され、また回送等される。
【0060】
天板80は、パレット10上に載置し収容されたロール製品の上部に載置され、収容したロール製品に対する振動や衝撃を緩和するシート状の緩衝材である。天板80の下面(ロール製品側の面)には、硬質な材料で形成された製品固定部841が形成されている。製品固定部841は、パレット10に載置されるロール製品90(
図7参照)の上端面の支管端部開口91に嵌挿される部材であり、ロール製品の支管の内径より若干小さい外径を有する円筒状の部材である。
【0061】
製品固定部841は、前述した下金枠20に連結されてパレット10上に設置された製品固定部設置板24の製品固定部241と対向する位置に配置される。製品固定部841の高さは、輸送時の振動や衝撃等によりロール製品の支管が容易に抜けない程度の高さである。パレット10に収容したロール製品の上部にこのような天板80を設置することにより、ロール製品に対する振動や衝撃が低減されるとともに、パレット10に収容したロール製品の上部が、振動等により水平方向に揺れて相互に接触等することを防ぐことができる。
【0062】
このような構成のロール製品用ラック1にロール製品を収容するときは、まず、例えば
図8に示すように折りたたまれているロール製品用ラック1から、側枠40を引き起こし、パレット10上に立設する。このときは、側枠40を引き起こしながら、側枠40の立設用係合ピン46がコーナー金具21と干渉しない状態まで側枠40を持ち上げる。そして、側枠40がパレット10に垂直な姿勢となったら、側枠40を下方に下ろし、立設用係合ピン46をコーナー金具21の側板立設用ピン係合溝214に係合させる。その結果、側枠40は傾倒不能となり、立設状態に維持される。
【0063】
一対の側枠40をパレット10上に立設したら、パレット10の上方に収容対象のロール製品90(
図7(A)および
図7(B)参照)を載置する。ロール製品90の支管端部開口91に、パレット10上において底板30からさらに突出している製品固定部241が挿入されるようにロール製品90をパレット10上に載置することにより、ロール製品90の下部の位置が固定される。本実施形態のロール製品用ラック1は2本のロール製品を収容可能なので、2本のロール製品90をパレット10上に載置する。
【0064】
パレット10上にロール製品を載置したら、収容したロール製品の高さに応じて側枠40の高さを調整する。側枠40の高さの調整をするときは、まず、側枠可動部51を側枠基部41に対して上方にスライド移動させることにより持ち上げる。側枠可動部51の下端521の高さ調整部材抜け防止ピン53の先端が高さ調整部材61のピン挿入孔621から抜き出る位置まで側枠可動部51を持ち上げたら、高さ調整部材61を側枠基部41から抜き取る。1の側枠40の2本の筒状支柱42(差込支柱52)について、各々このような調整部材61の抜き取りを行う。
【0065】
高さ調整部材61を抜き取ったら、側枠40の高さが収容したロール製品の高さに応じた適切な高さとなるような新たな位置のスリット430に、高さ調整部材61を装着する。そのために、側枠可動部51の下端521の高さ調整部材抜け防止ピン53の先端が、新たな位置のスリット430に挿入される高さ調整部材61と干渉しない位置となるまで側枠可動部51を持ち上げ、そのような状態で高さ調整部材61をスリット430に挿入する。
【0066】
高さ調整部材61をスリット430に挿入したら、側枠可動部51の下端521が高さ調整部材61に当接するまで側枠可動部51を下方にスライド移動させる。側枠可動部51を下方にスライド移動させると、枠可動部51の下端521の高さ調整部材抜け防止ピン53が高さ調整部材61の差込支柱受け部62のピン挿入孔621に挿入された後、側枠可動部51の下端521が高さ調整部材61の差込支柱受け部62に当接する。側枠可動部51の下端521が高さ調整部材61の差込支柱受け部62に当接すると、側枠可動部51の下方へのスライド移動は不可能となり、側枠可動部51は高さ調整部材61により支持された状態となり、側枠40の全体の高さは所定の高さに調整されたこととなる。
【0067】
一対の側枠40の両方の高さを調整したら、収容したロール製品の上部に天板80を載置する。天板80は、製品固定部841がロール製品の上端面の支管端部開口91に挿入されるように、ロール製品の上部に載置する。これにより、パレット10上に収容した2本のロール製品の間隔は保持され、ロール製品用ラック1の輸送時の振動等により、ロール製品の上部が接触する等の状態を防ぐことができる。
【0068】
天板80を載置したら、連結棒70により、対向する側枠40の対向する上隅部を連結する。連結棒70は、対向する側枠40の側枠可動部51の両側上端外面に設置されている連結棒受け55に、連結棒70の両側の係合部72を挿入することにより対向する側枠40間に設置される。
このようにロール製品を収容したロール製品用ラック1は、輸送等に供される。
【0069】
輸送等されたロール製品用ラック1からロール製品を取り出す際には、まず、連結棒70をロール製品用ラック1から取り外し、天板80をロール製品の上部から取り外し、その後ロール製品をパレット10上から取り出す。なお、取り外した連結棒70は、コーナー金具21に設置されている連結棒受け215に係合部72を挿入することにより、下金枠20に沿って装着しておく。
【0070】
ロール製品をパレット上から取り出したら、ロール製品用ラック1を折り畳む。ロール製品用ラック1を折り畳む場合には、必要に応じて、側枠40の高さを調整する。ロール製品用ラック1を折り畳む際の側枠40の高さが、例えば最も低い高さあるいは最も高い高さ等に決定されている場合には、側枠40の高さをその高さに調整する。例えば、パレット10や下金枠20に、折り畳んだ状態で側枠可動部51が抜き出ないような機構が設置されており、その機構が側枠40が所定の高さのときに機能するよう構成されている場合には、側枠40の高さをその高さに調整する。一方、折り畳む際の側枠40の高さが規定されていない場合等、側枠40の高さ調整が必要ない場合には、側枠40の高さを調整しなくともよい。
【0071】
側枠40の高さが折り畳み時の高さに調整されたら、あるいは、そのような高さ調整の必要がない場合には、側枠40をパレット10上に折り畳む。側枠40を上方に持ち上げ、側枠40の立設用係合ピン46とコーナー金具21の側板立設用ピン係合溝214との係合を解除した後、側枠40をパレット10の上面方向に傾倒させ、パレット10上に横倒し状態で載置する。一対の側枠40をこのようにパレット10に傾倒させることにより、
図8に示すように、ロール製品用ラック1は折り畳まれた状態となる。なお、天板80は、
図8に示すように折り畳まれたロール製品用ラック1の上部に載置しておくのが好ましい。
【0072】
このように、本発明に係るロール製品用ラック1においては、収容するロール製品の長さに応じて、換言すればパレット10上に載置したロール製品の高さに応じて、パレット10の高さを調整することができる。例えば、長いロール製品を収容する場合には、
図7(A)に示すように、側枠40の高さは高く調整され、ロール製品用ラック1の全体のサイズ(容積)も大きく調整される。一方で、短いロール製品を収容する場合には、
図7(B)に示すように、側枠40の高さは低く調整され、ロール製品用ラック1の全体のサイズ(容積)も小さく調整される。したがって、ロール製品用ラック1においては、収容対象のロール製品の長さに応じてロール製品用ラック1の外形のサイズそのものを変更することができる。したがって、どのような長さのロール製品を収容した場合でも、ロール製品用ラック1内に無駄な空間が形成することはなく、種々のロール製品を効率よく収容し輸送等することができる。
【0073】
また、そのロール製品用ラック1のサイズの変更、換言すれば側枠40の高さの調整は、高さ調整部材61の着脱、および、これに合わせた側枠可動部51のスライド移動という非常に簡単な方法である。したがって、本発明に係るロール製品用ラック1は、取り扱いが容易で利便性の高いロール製品用ラックである。
【0074】
また、高さ調整部材61は側枠可動部51の下端521の高さ調整部材抜け防止ピン53により係合されており抜け落ちることがない。したがって、ロール製品用ラック1は、側枠40の高さ調整された状態を適切に維持することができる安全性の高いロール製品用ラック1である。すなわち、ロール製品用ラック1によれば、ロール製品を安全に収容し輸送等することができる。
【0075】
また、ロール製品用ラック1は、1つのロール製品用ラック1で、種々の長さのロール製品について効率のよい収容や輸送を行うことができる。すなわち、ロール製品用ラック1は、極めて利便性の高いロール製品用ラック1である。したがって、ロール製品用ラック1によれば、ロール製品の輸送コスト等の大幅な低減が達成できる。
【0076】
なお、本発明は本実施形態に限られるものではなく、任意好適な種々の改変が可能である。
たとえば、前述した実施形態のロール製品用ラック1は、長さ(高さ)が同一のロール製品を2本収容するものであったが、2本のロール製品は高さが異なるロール製品であってもよい。そのような場合には、天板80は、各ロール製品の上端面に載置されるように、2枚に分割された構成とすることが好ましい。また、側枠40は、長い方のロール製品に対応する高さに調整をすればよい。
【0077】
また、ロール製品用ラック1に収容するロール製品の数も何ら限定されるものではなく、3本以上であってもよいし、1本であってもよい。
【0078】
また、本実施形態においては、ロール製品を収容するロール製品用ラック1について説明したが、本発明の趣旨は、収容する物品のサイズに応じてラックの高さを調整できることにある。従って、収容する物品はロール製品に限られるものではない。本発明は、任意の物品を収容する任意の折り畳み式ラックに適用可能である。
【0079】
また、前述した実施形態のロール製品用ラック1において、製品固定部241および製品固定部841は、ロール製品の支管の形状に応じた円筒状部材としたが、支管内に挿入されてロール製品の位置が規定できるものであれば任意の突出部でよい。
【0080】
その他、側枠基部41の筒状支柱42に形成されたスリット(開口)430の形状、スリット430に挿入される高さ調整部材61の形状、高さ調整部材61の差込支柱受け部(差込支柱係止部)62と側枠可動部51の差込支柱52との係合形態、製品固定部241あるいは製品固定部841の形態、底板30や天板80の形状や材料、ロール製品用ラック1を使用する際の手順(側枠40の高さ調整、天板80の装着、および、連結棒70による側枠40の連結の順序等)、パレットの形態(樹脂パレットか金属パレットか等)等も任意に変更してよい。