(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の行と列とに配列された複数の第1凹部および前記複数の第1凹部のそれぞれを取り囲むグリッド状の溝部が設けられた第1面、ならびに、前記第1面とは反対側に位置する第2面を有する導光板と、
前記導光板の前記複数の第1凹部のうち対応する1つの内側にそれぞれ配置された複数の発光素子と、
前記導光板の前記溝部の内部に位置し、前記導光板よりも低い屈折率を有する第1透光部材と、
前記導光板の前記第1面および前記第1透光部材を覆う反射性樹脂層と
を備え、
前記第1透光部材の屈折率は、1.35以上1.6以下であり、
前記導光板の屈折率は、1.5以上1.7以下である、発光モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光モジュールは、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。
【0011】
図面が示す構成要素の寸法、形状等は、わかり易さのために誇張されている場合があり、実際の発光モジュールにおける寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0012】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置をわかり易さのために用いているに過ぎない。参照した図面における「上」、「下」等の用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置等において、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
【0013】
(発光モジュールの実施形態)
図1は、本開示のある実施形態による発光モジュールの例示的な構成を示す。
図1に示す発光モジュール200は、上面210aを有する導光板210と、導光板210の下方に位置する層状の反射性樹脂層220とを含む。なお、
図1には、説明の便宜のために、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印があわせて図示されている。本開示の他の図面においてもこれらの方向を示す矢印を図示することがある。
図1に示す例では、発光モジュール200の上面210aは、矩形状を有しており、その矩形状を規定する辺は、図中のX方向またはY方向に一致している。
【0014】
後に詳しく説明するように、本開示の実施形態による発光モジュールは、各々が少なくとも1つの発光素子を含む複数の単位の繰り返し構造を有する。以下では、説明の便宜のために、発光素子を有する単位の各々を発光セルと呼ぶことがある。
図1に模式的に示すように、ここでは、発光モジュール200は、合計16個の、上面視において矩形状の発光セル100Uを有し、これら発光セル100Uは、図のX方向およびY方向に沿って4行4列のマトリクス状に配列されている。もちろん、発光モジュール200に含まれる発光セル100Uの数およびそれら発光セル100Uの配置は、任意であり、
図1に示す例に限定されない。
【0015】
図1に示すように、複数の発光セル100Uのそれぞれは、導光板210の一部と、反射性樹脂層220の一部と、発光素子130とを有する。後に図面を参照しながら詳しく説明するように、導光板210は、上面210aとは反対側の下面側に複数の第1凹部を有しており、各発光セル100Uにおいて、発光素子130は、第1凹部の内側に位置する。ここでは、発光セル100Uが4行4列のマトリクス状に配列されていることに対応して、複数の第1凹部も、4行4列のマトリクスの配列で導光板210の下面側に形成されている。
【0016】
図1に例示する構成において、導光板210は、上面210a側に複数の光拡散構造を有する。ここでは、複数の光拡散構造は、複数の第2凹部12の形で各発光セル100Uに設けられている。これら光拡散構造としての第2凹部12は、発光セル100Uごとに設けられる。換言すれば、複数の発光セル100Uのそれぞれは、導光板210の上面210a側に設けられた光拡散構造を含んでいる。
【0017】
複数の第2凹部12のそれぞれは、典型的には、導光板210の下面側に位置する上述の第1凹部のうち対応する1つの反対側に位置する。したがって、ここでは、複数の第2凹部12は、導光板210の上面210a側において4行4列のマトリクス状の配列を有する。
【0018】
図2は、発光モジュール200を導光板210の上面210aに垂直に切断したときの断面の一部を模式的に示している。上述したように、各発光セル100Uは、導光板210の一部と、反射性樹脂層220の一部と、発光素子130とを含む。この例では、反射性樹脂層220上に配線層180が形成されている。また、
図2に例示する構成において、各発光セル100Uは、発光素子130の側面を覆う光反射性部材140と、第1凹部11の内部に位置する波長変換部材150と、透光部材160とをさらに有する。
【0019】
図2に示すように、導光板210は、上面210aとは反対側の下面210bを有する。下面210bには複数の第1凹部11が設けられ、図示するように、発光素子130は、対応する第1凹部11の内側に配置されている。
【0020】
導光板210は、さらに、下面210bに複数の溝212を有する。図示するように、溝212の内部は、第1透光部材230によって充填されている。以下では、上述の「透光部材160」を「第2透光部材160」と呼ぶ。なお、本明細書における「透光性」および「透光」の用語は、入射した光に対して拡散性を示すことをも包含するように解釈され、「透明」であることに限定されない。
【0021】
溝212は、互いに隣接する2つの発光セル100Uの境界に位置する。この例では、溝212のそれぞれは、下面210bに対して傾斜する2つの傾斜面212sによって規定されるV字状の断面形状を有する溝である。ただし、後述するように、溝212の断面形状は、V字状に限定されず、他の形状を有していてもよい。
【0022】
図3は、発光モジュール200を導光板210の上面210aの法線方向から見たときの外観を模式的に示す。この例では、各発光セル100Uは、矩形状の外形を有し、したがって、発光モジュール200の発光面を構成する、導光板210の上面210aも全体として矩形状の外形を有している。導光板210の上面210aの一辺の長さは、例えば1cm以上200cm以下の範囲であり得る。本開示の典型的な実施形態では、各発光セル100Uの矩形状の一辺の長さは、20mm以上25mm以下である。
【0023】
図3に模式的に示すように、溝212は、互いに隣接する2つの発光セル100Uの間の位置で図のX方向またはY方向に沿って延びている。
図3中の破線DLは、溝212において最も深い部分、換言すれば、2つの傾斜面212sによって規定される三角柱の頂部の位置を示している。
【0024】
導光板210は、さらに、外縁の位置に溝214を有する。溝214は、溝212の概ね半分の幅を有する。溝212の内部と同様に、溝214の内部は、第1透光部材230で充填されている。導光板210の下面210bに形成されたこれら複数の溝212および溝214は、導光板210の複数の第1凹部11のそれぞれを取り囲むグリッド状の溝部210Gを構成する。
【0025】
図4は、発光モジュール200から発光素子130と第1透光部材230とを取り出してこれらの配置を示す。導光板210の下面210bに形成された溝部210Gがグリッドの形状を有することに対応して、溝212および溝214の内部に位置する第1透光部材230も、複数の第1凹部11のそれぞれを取り囲むグリッドの形状を有する。したがって、各発光セル100Uの発光素子130は、
図4に示すように第1透光部材230によって取り囲まれる。
【0026】
図4に模式的に示すように、第1透光部材230は、それぞれが図のX方向またはY方向に沿って延びる三角柱状の複数の部分を含み、ここでは、各発光セル100Uの発光素子130は、図のX方向またはY方向に沿って延びる傾斜面によって取り囲まれている。後述するように、第1透光部材230は、導光板210よりも低い屈折率を有する。そのため、第1透光部材230および導光板210の界面が反射面として機能することにより、ある発光セル100Uの発光素子130から出射されて他の発光セル100Uに向かう光は、発光素子130を取り囲む傾斜面の位置で導光板210の上面210aに向けて反射させられる。ただし、第1透光部材230が透光性を有することにより、第1透光部材230および導光板210の界面に入射した光の少なくとも一部は、第1透光部材230を透過して、隣接する他の発光セル100Uに到達する。
【0027】
図5は、複数の発光セルのうちの1つの発光素子を点灯させたときの発光面の様子を示す。この例では、4行4列に配列された16個の発光セル100Uのうち、第2行第4列に位置する発光セル100U中の発光素子130を選択的に点灯させている。互いに隣接する2つの発光セル100Uの間に位置する溝212の内部の第1透光部材230が光の透過を許容することにより、発光素子130を点灯状態とした発光セル100Uの周囲に位置する他の発光セル100Uまで光が入り込んでいることがわかる。
【0028】
これに対し、各発光素子を取り囲む傾斜面をほぼ完全な反射面とした場合には、発光素子から出射された光は、隣接する発光セルに直接には入射しない。ただし、導光板の上面での全反射により、隣接する発光セルに入射する成分が存在する。発光素子が消灯状態とされた発光セル内に入り込んだ光は、そのセルの内部で反射を繰り返すことにより、発光セルの外部に出射される。発光セルの外部に出射される光には、消灯状態とされた発光素子を取り囲む傾斜面で反射された光も含まれる。そのため、このような構成においては、発光面にブロック状の発光パターンが現れることがあある。発光面におけるブロック状の発光パターンは、画像の表示において不自然な輝度変化を生じさせ得る。
【0029】
また、各発光素子を取り囲む傾斜面をほぼ完全な反射面とすると、複数の発光素子のうちの一部を点灯状態としたときに、発光面における明るい領域の形状が矩形に近くなり過ぎることがあり得る。例えばローカルディミング動作の適用においては、プリント基板上のある発光領域を点灯状態とし、その周囲に位置する複数の発光領域を消灯状態とすることも起こり得る。このような動作の下では、発光面における、あまりに矩形に近い発光パターンは、液晶パネルとの組み合わせにおいて画像の表示に不利に働くことがある。例えば、所望の高コントラスト比の画像の表示に、複雑な駆動回路および/または画像処理回路が必要になることがあり得る。特に、独立して点灯および消灯を制御可能な領域の数が比較的に少ない場合、意図しない不自然な輝度変化を画像処理によっても補正しきれず、画像を自然な明度およびコントラストで表示できない可能性がある。この傾向は、一般に、発光素子から液晶パネルまでの距離が小さくなるほど顕著である。
【0030】
他方、
図5に示す例では、それぞれが発光素子130を含む複数の発光セル100Uの境界に位置する溝212で発光素子130からの光の一部を導光板210の上面210aに向けて反射させつつ、他の一部の光が、隣接する発光セル100Uに透過することを許容している。そのため、複数の発光素子130のうちの一部の発光素子130を点灯させた場合であっても、明暗のコントラストによる発光領域の境界が導光板210の上面210aにはっきりと現れることを回避し得る。したがって、発光面における輝度の段差状の変化を緩和して、発光面における輝度の変化を連続的な変化に近づけることができる。本開示の実施形態によれば、発光面における明るい領域の形状を例えば円状に近づけ得る。このように、本開示の実施形態によれば、駆動回路の複雑化を回避しながら、自然かつ高コントラスト比の画像を表示することが可能になり、有利にローカルディミング動作を適用することができる。
【0031】
以下、図面を参照しながら、発光セル100Uの各構成要素をより詳細に説明する。
【0032】
[導光板210]
図2を参照する。導光板210は、ポリカーボネート、アクリル、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、エポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂、または、ガラスから形成される概ね板状の部材であり、透光性を有する。これらの材料のうち、特に、ポリカーボネートは、安価でありながら、高い透明度を得ることが可能である。なお、導光板210は、例えば母材とは異なる屈折率を有する材料が分散させられることにより、光拡散機能を有していてもよい。
【0033】
上述したように、導光板210は、上面210aに複数の光拡散構造を有する。光拡散構造は、発光素子130から出射されて導光板210に入射した光を例えば空気層との界面で反射させて導光板210の面内に拡散させる。導光板210の上面210aに光拡散構造を設けることにより、発光素子130の直上に向かう光を光拡散構造によって導光板210の面内に効果的に拡散して、導光板210の上面210aのうち発光素子130の直上以外の領域における輝度を向上させることができる。換言すれば、発光モジュール200の上面における輝度ムラを効果的に抑制して、より均一な光を得ることができる。
【0034】
導光板210の上面210aに設けられた光拡散構造は、導光板210の薄化に貢献する。導光板210の厚さは、典型的には、0.1mm以上5mm以下程度であり、特に、本開示の実施形態によれば、0.5mm以上3mm以下程度の範囲とすることも可能である。
【0035】
図2に例示する構成において、光拡散構造は、底面12bおよび側面12cを含む逆円錐台形状の第2凹部12の形で導光板210の上面210aに設けられている。第2凹部12は、導光板210の内部を上面210aに向かって進行する光を傾斜面である側面12cと空気層との界面で反射させる。底面12bおよび側面12cの断面視における形状は、図示するような直線状に限定されず、曲線状であってもよいし、屈曲、段差を含む形状であってもよい。導光板210本体の材料とは屈折率の異なる材料で第2凹部12の内部が充填されていてもよい。あるいは、底面12b上および側面12c上に、金属等の反射膜、白色樹脂層等の光反射性の部材が配置されていてもよい。
【0036】
光拡散構造の具体的な構成は、
図2に示す第2凹部12のような構造に限定されない。光拡散構造の具体的な構成は、導光板210の下面210b側に配置される発光素子130の形状および特性等に応じて適宜に決定され得る。また、光拡散構造を凹部の形とする場合であっても、凹部の形状は、逆円錐台形状に限定されず、所望の光学特性に応じて適宜変更され得る。第2凹部12の形状は、例えば、円錐、または、四角錐、六角錐等の多角錐形状、あるいは多角錐台形状等であってもよい。第2凹部12の深さは、例えば、0.05mm以上3mm以下の範囲である。光拡散構造として、凹部に代えて、上面210aから突出する凸部が適用されることもあり得る。
【0037】
導光板210は、下面210b側に複数の第1凹部11を有する。
図2から理解されるように、典型的には、導光板210の下面210b側(第1面側)の第1凹部11は、導光板210の上面210a側(第2面側)の複数の光拡散構造のうちの対応する1つの直下に位置する。
【0038】
図3を参照して説明した例では、複数の第1凹部11のそれぞれは、正方形状の外形を有する。すなわち、ここでは、各第1凹部11は、四角柱形状の穴部である。四角柱形状の底面の対角線方向に沿った長さは、例えば、0.05mm以上10mm以下とすることができ、好ましくは、0.1mm以上1mm以下である。第1凹部11の矩形状の対角線方向における長さを、導光板210の上面210a側に設けられた第2凹部12の底面12bの直径とほぼ同じとしてもよい。第1凹部11の形状および大きさは、求める光学特性に応じて適宜に決定し得る。第1凹部11の中心と、第2凹部12の中心とは、典型的には概ね一致させられる。
【0039】
導光板210および第1凹部11の平面視における形状が矩形状である場合、第1凹部11の矩形状の一辺は、
図3に示すように、導光板210の矩形状の一辺に対して平行であってもよいし、導光板210の矩形状の対角方向に平行であってもよい。例えば、第1凹部11の矩形状を導光板210の矩形状に対して45°傾けることにより、第1凹部11の矩形状の辺から、発光素子130を取り囲む傾斜面(例えば傾斜面212s)までの距離を拡大しながら、第1凹部11の矩形状の角から傾斜面までの距離を縮小することができる。このような構成によれば、矩形状の発光セル100Uの4つの角部における輝度を向上させながら、矩形状の辺の中央付近の輝度を相対的に低下させ得る。
【0040】
光拡散構造が第2凹部12の形で上面210aに設けられる場合、下面210bに位置する第1凹部11の深さは、第2凹部12の底面12bに到達しない限りにおいて適宜に設定され得る。第1凹部11の深さは、例えば、0.05mm以上4mm以下の範囲であり、好ましくは、0.1mm以上1mm以下である。
【0041】
第1凹部11の平面視における形状としては、
図3に示すような矩形状のほか、円形状も採用し得る。第1凹部11が例えば円柱形状を有する場合、円柱形状の底面の直径は、導光板210の上面210a側に設けられた第2凹部12の円錐台形状の底面12bの直径とほぼ同じであってもよい。
【0042】
上述したように、導光板210の下面210bは、平面視においてグリッド状の溝部210Gをさらに有する。溝部210Gは、互いに隣接する2つの発光セル100Uの境界に位置し、例えば、2つの傾斜面212sを含む溝212と、導光板210の外周に位置する溝214とを含む(
図3参照)。溝212と同様に、溝214も、導光板210の下面210bに対して傾斜し、入射した光を導光板210の上面210a側に向けて反射させる傾斜面を有する。
【0043】
各発光素子130を取り囲むグリッド状の溝部は、V字状の断面形状を有する溝の形で導光板210の下面210bに設けられてもよいし、
図6に示すように、複数の発光セル100Uの配列の行方向および列方向に延びる丸溝212r等の集合の形で設けられてもよい。本明細書において、「丸溝」の断面視における形状は、
図6に示すような半円に限定されず、半楕円状などであってもよい。本明細書における「丸溝」は、一部に曲面を含むU字状の断面形状を有する溝などを含むように広く解釈される。
【0044】
[第1透光部材230]
第1透光部材230は、溝部210Gの内部を占める透光性の部材であり、溝部210Gの形状に応じた形状を有する。第1透光部材230は、導光板210と比較して低い屈折率を有する。第1透光部材230は、例えばエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の透光性かつ熱硬化性の樹脂材料等から形成され、導光板210の典型的な屈折率が1.5〜1.7程度であることに対して、第1透光部材230の屈折率は、典型的には1.35〜1.6程度である。
【0045】
第1透光部材230が導光板210よりも低い屈折率を有することにより、第1透光部材230および導光板210の界面は、入射する光の一部を透過させつつ、残余の成分を導光板210の上面210aに向けて反射させることができる。第1透光部材230は、例えば母材とは異なる屈折率を有する材料が分散させられることにより、光拡散機能を有していてもよい。なお、本明細書における「屈折率」は、ナトリウムのD線(589nm)における屈折率である。
【0046】
[発光素子130]
図7は、
図2のうち発光素子130およびその周辺を拡大して示す。発光素子130は、導光板210の下面210bに設けられた複数の第1凹部11のうち対応する1つの内側に位置する。ここでは、各発光素子130の各々は、導光板210の上面210a側に設けられた複数の光拡散構造のうち対応する1つの直下に位置している。
【0047】
発光素子130の典型例は、LEDである。
図7に例示する構成おいて、発光素子130は、素子本体132と、発光素子130の上面130aとは反対側に位置する電極134とを有する。素子本体132は、例えば、サファイアまたは窒化ガリウム等の支持基板と、支持基板上の半導体積層構造とを含む。半導体積層構造は、活性層と、活性層を挟むn型半導体層およびp型半導体層とを含む。半導体積層構造は、紫外〜可視域の発光が可能な窒化物半導体(In
xAl
yGa
1-x-yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)を含んでいてもよい。この例では、発光素子130の上面130aは、素子本体132の上面に一致している。電極134は、正極および負極の組を含み、半導体積層構造に所定の電流を供給する機能を有する。
【0048】
ここでは、発光素子130として、青色光を出射するLEDを例示する。ただし、発光モジュール200に設けられる複数の発光素子130は、青色光を出射する素子に限定されず、複数の発光素子130は、例えば、白色光を出射する素子であってもよいし、互いに異なる色の光を発する素子を含んでいてもよい。複数の発光素子130が、赤色光を出射する素子、青色光を出射する素子および緑色光を出射する素子を含んでいてもよい。
【0049】
複数の発光素子130の各々は、各第1凹部11の内部に配置された波長変換部材150のうち、対応する1つに接合される。この例では、発光素子130は、後述の接合部材170を介してその上面130aが波長変換部材150に接合されることにより、第1凹部11の内側の所定の位置に固定されている。本明細書では、第1凹部11の内側とは、平面視における第1凹部11の内側を意味する。
図7から理解されるように、発光素子130の全体が第1凹部11の内部に配置されていることは、本開示の実施形態において必須ではない。例えば発光素子130の上面130aが導光板210の下面210bよりも低い位置に配置されていることもあり得る。
【0050】
発光素子130の上面視における形状は、典型的には、矩形状である。発光素子130の矩形状の一辺の長さは、例えば1000μm以下である。発光素子130の矩形状の縦および横の寸法は、500μm以下であってもよい。縦および横の寸法が500μm以下の発光素子は、安価に調達しやすい。あるいは、発光素子130の矩形状の縦および横の寸法は、200μm以下であってもよい。発光素子130の矩形状の一辺の長さが小さいと、液晶表示装置のバックライトユニットへの適用において、高精細な映像の表現、ローカルディミング動作等に有利である。特に、縦および横の両方の寸法が250μm以下であるような発光素子は、上面の面積が小さくなるので発光素子の側面からの光の出射量が相対的に大きくなる。したがって、バットウィング型の配光特性を得やすい。ここで、バットウィング型の配光特性とは、広義には、発光素子の上面に垂直な光軸を0°として、0°よりも配光角の絶対値が大きい角度において発光強度が高い発光強度分布で定義されるような配光特性を指す。
【0051】
発光モジュール200において、複数の発光素子130は、X方向およびY方向に沿って二次元に配列されている。発光素子130の配置ピッチは、例えば0.05mm以上20mm以下程度とすることができ、1mm以上10mm以下程度の範囲であってもよい。ここで、発光素子130の配置ピッチとは、発光素子130の光軸間の距離を意味する。発光素子130は、等間隔に配置されてもよいし、不等間隔で配置されてもよい。発光素子130の配置ピッチは、互いに異なる二方向の間で同じであってもよいし、異なっていてもよい。発光素子130の数および配置は、
図1を参照して説明した例に限定されず、任意の数および配置を採用し得る。
【0052】
[波長変換部材150]
波長変換部材150は、概ね板状の形状を有し、第1凹部11の底部に位置する。ここで、「第1凹部11の底部」とは、導光板210の下面210bを上に向けて第1凹部11を穴とみなしたときの底に相当する部分を意味する。このように、本明細書では、発光モジュールについて図面に表された姿勢に拘泥することなく、「底部」および「底面」の用語を使用することがある。第1凹部11の底部は、発光セル100Uを
図7に示す姿勢としたとき、導光板210の下面210b側に形成されるドーム状の構造の天井部分であるともいえる。ここでは、第1凹部11は、底面11bと、4つの側面11cとによって規定される四角柱形状の穴部の形で導光板210に形成されており、波長変換部材150は、第1凹部11の底面11bと、発光素子130の上面130aとの間に配置されている。
【0053】
波長変換部材150は、典型的には、樹脂中に蛍光体の粒子が分散された部材である。波長変換部材150は、発光素子130から出射された光の少なくとも一部を吸収し、発光素子130からの光の波長とは異なる波長の光を発する。例えば、波長変換部材150は、発光素子130からの青色光の一部を波長変換して黄色光を発する。このような構成によれば、波長変換部材150を通過した青色光と、波長変換部材150から発せられた黄色光との混色によって、白色光が得られる。
【0054】
蛍光体等の粒子を分散させる樹脂としては、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの樹脂の2種以上を含む樹脂を用いることができる。導光板210に効率的に光を導入する観点からは、波長変換部材150の母材が導光板210の材料よりも低い屈折率を有すると有益である。波長変換部材150の材料に母材とは屈折率の異なる材料を分散させることにより、波長変換部材150に光拡散の機能を付与してもよい。例えば、波長変換部材150の母材に、二酸化チタン、酸化ケイ素等の粒子を分散させてもよい。
【0055】
蛍光体には、公知の材料を適用することができる。蛍光体の例は、KSF系蛍光体等のフッ化物系蛍光体、CASN等の窒化物系蛍光体、YAG系蛍光体、βサイアロン蛍光体等である。YAG系蛍光体は、青色光を黄色光に変換する波長変換物質の例であり、KSF系蛍光体およびCASNは、青色光を赤色光に変換する波長変換物質の例であり、βサイアロン蛍光体は、青色光を緑色光に変換する波長変換物質の例である。蛍光体は、量子ドット蛍光体であってもよい。
【0056】
波長変換部材150に含まれる蛍光体が発光モジュール200内で共通であることは必須ではない。複数の発光セル100U中の異なる第1凹部11の間で、波長変換部材150の母材に分散させる蛍光体を異ならせることも可能である。例えば、複数の第1凹部11のうち、ある一部の第1凹部11内に、入射した青色光を黄色光に変換する波長変換部材を配置し、他のある一部の第1凹部11内に、入射した青色光を緑色光に変換する波長変換部材を配置してもよい。さらに、残余の第1凹部11内に、入射した青色光を赤色光に変換する波長変換部材を配置してもよい。
【0057】
[接合部材170]
接合部材170は、発光素子130の側面130cの少なくとも一部を覆う透光性の部材である。
図7に模式的に示すように、典型的には、接合部材170は、発光素子130の上面130aと波長変換部材150との間に位置する層状の部分を有する。本実施形態では、各第1凹部11内に配置された波長変換部材150に対応させて波長変換部材150上に1つの接合部材170が位置する。
【0058】
接合部材170の材料としては、透明な樹脂材料を母材として含む樹脂組成物を用いることができる。接合部材170は、発光素子130の発光ピーク波長を有する光に対して、例えば60%以上の透過率を有する。光を有効に利用する観点から、発光素子130の発光ピーク波長における接合部材170の透過率が70%以上であると有益であり、80%以上であるとより有益である。
【0059】
接合部材170の母材の典型例は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂である。接合部材170の母材として、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂もしくはポリノルボルネン樹脂、または、これらの2種以上を含む材料を用いてもよい。接合部材170は、例えば母材とは異なる屈折率を有する材料が分散させられることにより、光拡散機能を有していてもよい。
【0060】
上述したように、接合部材170は、発光素子130の側面130cの少なくとも一部を覆う。また、接合部材170は、後述の光反射性部材140との界面である外面を有する。発光素子130の側面130cから出射されて接合部材170に入射した光は、接合部材170の外面の位置で発光素子130の上方に向けて反射される。したがって、接合部材170を介して発光素子130を波長変換部材150に固定し、これらを光反射性部材140で覆うことにより、光の取出し効率を向上させ得る。
【0061】
断面視における接合部材170の外面の形状は、
図7に示すような直線状に限定されない。断面視における接合部材170の外面の形状は、折れ線状、発光素子130に近づく方向に凸の曲線状、発光素子130から離れる方向に凸の曲線状等であってもよい。
【0062】
[光反射性部材140]
光反射性部材140は、各第1凹部11の内側において接合部材170および発光素子130の側面130cを覆う部材である。なお、本明細書において「覆う」とは、被覆される部材と、被覆する部材とが直接に接触している態様に限定されず、これらの間に他の部材が介在するような態様をも包含する。
図7に示す例では、発光素子130の側面130cの一部と光反射性部材140との間には接合部材170が介在している。ただし、光反射性部材140は、接合部材170の外面の全体をも覆っており、したがって、発光素子130の4つの側面130cの全体は、光反射性部材140に覆われているといってよい。
【0063】
光反射性部材140は、例えば光反射性のフィラーが分散された樹脂等の光反射性の材料から形成される。本明細書において、「光反射性」あるいは「反射性」とは、発光素子130の発光ピーク波長における反射率が60%以上であることを指す。光反射性部材140の、発光素子130の発光ピーク波長における反射率が70%以上であるとより有益であり、80%以上であるとさらに有益である。
【0064】
光反射性部材140を形成するための母材としては、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、BTレジン、ポリフタルアミド(PPA)等を用い得る。光反射性のフィラーとしては、金属の粒子、または、光反射性のフィラーを分散させる母材よりも高い屈折率を有する無機材料もしくは有機材料の粒子を用いることができる。光反射性のフィラーの例は、二酸化チタン、酸化ケイ素、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウムの粒子、または、酸化イットリウムおよび酸化ガドリニウム等の各種希土類酸化物の粒子等である。
【0065】
波長変換部材150上の接合部材170および発光素子130を光反射性部材140で覆うことにより、特に発光素子130の側面130cから出射された光を接合部材170の外面と光反射性部材140との界面で反射させて波長変換部材150に導くことができる。したがって、光の取出し効率が向上する。また、この例では、
図7に模式的に示すように、光反射性部材140は、発光素子130の上面130aとは反対側の面のうち、電極134が配置された領域以外の領域をも覆っている。電極134の下面を除いて発光素子130の上面130aとは反対側の面を光反射性部材140で覆うことにより、発光素子130の上面130aとは反対側への光の漏れを抑制して、光の取出し効率を向上させることができる。
【0066】
[第2透光部材160]
上述の波長変換部材150と、接合部材170によって波長変換部材150に固定された発光素子130と、光反射性部材140とは、第2透光部材160により、複数の第1凹部11のうち対応する第1凹部11の底面11bに配置される。
図7に示すように、第2透光部材160の少なくとも一部は、対応する第1凹部11の内部に位置する。第2透光部材160は、第1凹部11の底面11bと波長変換部材150との間に位置する部分を有し得る。また、第2透光部材160は、
図7に示すように、導光板210の下面210bから盛り上がった部分を有し得る。
【0067】
第2透光部材160は、接合部材170と同様に、透明な樹脂材料を母材として含む樹脂組成物から形成される。第2透光部材160の材料は、接合部材170の材料と異なっていてもよいし、共通であってもよい。第2透光部材160は、典型的には、導光板210の屈折率よりも低い屈折率を有する。
【0068】
[反射性樹脂層220]
導光板210の下面210b上には、反射性樹脂層220が位置する。ここでは、反射性樹脂層220は、導光板210の下面210bに加えて第1透光部材230をも覆っている(
図2参照)。
【0069】
反射性樹脂層220は、上述の光反射性部材140と同様に、例えば光反射性のフィラーが分散された樹脂組成物等の光反射性の材料から形成され、発光素子130の発光ピーク波長の光に対して60%以上の反射率を示す。反射性樹脂層220の材料は、光反射性部材140の材料と異なっていてもよいし、共通であってもよい。
【0070】
反射性樹脂層220は、入射した光を導光板210に向けて反射させる光反射層として機能する。導光板210の下面210bおよび第1透光部材230を反射性樹脂層220で覆うことにより、導光板210の下面210bに向かう光を反射性樹脂層220によって反射させて、導光板210の上面210aにおける輝度を向上させることができる。また、この例のように第2透光部材160をも反射性樹脂層220で覆うことにより、第2透光部材160からの光の漏れを抑制して光の取出し効率の低下を回避することができる。導光板210の下面210b側に反射性樹脂層220を形成することにより、導光板210からの発光素子130等の脱落の防止、導光板210の補強等の効果も期待できる。
【0071】
反射性樹脂層220を含めた構造の厚さ、換言すれば、発光素子130の電極134の下面から導光板210の上面210aまでの距離は、0.7mm以上1.1mm以下程度であり得る。本開示の実施形態によれば、発光素子130の電極134の下面から導光板210の上面210aまでの距離を、例えば5mm以下、3mm以下または1mm以下に縮小し得る。
【0072】
[配線層180]
配線層180は、反射性樹脂層220の下面220b上に位置し、典型的には、Cu等の金属から形成された単層膜または積層膜の形の複数の配線を含む。図示するように、発光素子130の電極134の下面は、反射性樹脂層220の下面220bから露出されており、配線層180は、発光素子130の電極134との間に電気的接続を有する。配線層180は、不図示の電源等に接続されることにより各発光素子130に所定の電流を供給する機能を有する。
【0073】
導光板210の下面210b側、換言すれば、発光モジュール200の裏面側に配線層180を設けることにより、例えば発光モジュール200中の複数の発光素子130同士を配線層180によって電気的に接続することができる。このような構成を採用することにより、複数の発光素子130ごとに配線基板との間の電気的接続を形成する必要がなくなり、配線層180に電源等を接続することによって複数の発光素子130に対する電気的接続を一括して得ることができる。すなわち、本開示の実施形態による発光モジュールは、電源、ドライバ回路等と発光素子との間の接続の形成が容易であり、配線層180に電源、ドライバ回路等を接続することによって容易に所望の動作を得ることができる。
【0074】
例えば、発光モジュール200の単位で発光素子130を駆動させることも容易である。後述するように、複数の発光モジュール200を組み合わせて面発光光源を構築することにより、面発光光源を、発光モジュールを単位としたローカルディミング動作させることができる。もちろん、発光素子130を1以上の発光セル100Uの単位で駆動させてもかまわない。
【0075】
(発光装置の例示的な製造方法)
ここで、本開示のある実施形態による発光モジュールの例示的な製造方法の概略を説明する。
【0076】
まず、
図8に示すように、一方の主面に複数の第1凹部11の例えば二次元配列と、それら第1凹部11を取り囲むグリッド状の溝部210Gとを有する導光板210を準備する。なお、
図8では図示が省略されているが、導光板210の一方の主面の外縁部には、2つの傾斜面212sで規定される溝212の半分の幅を有する溝214が設けられ得る(
図3参照)。
【0077】
導光板210は、例えば、ポリカーボネートを母材とする原料を用いて射出成型によって形成することができる。上述した材料のうち、熱可塑性の樹脂材料は、射出成型によって効率よく導光板210を製造可能であるので有利である。導光板210の形成には、射出成型のほか、トランスファー成型、熱転写等も適用し得る。
【0078】
図8に示す例では、導光板210は、複数の第1凹部11の設けられた下面210bとは反対側の上面210aに光拡散構造としての複数の第2凹部12を有している。典型的には、複数の第2凹部12の各々は、下面210b側に位置する複数の第1凹部11のうちの対応する1つの直上に形成される。すなわち、ここでは、導光板210の上面210aは、複数の第2凹部12の二次元配列を有し、上面210a側の第2凹部12の底面12bと、下面210b側の第1凹部11の底面11bとは、互いに対向している。図示する例において、導光板210は、各々が第1凹部11および第2凹部12を有する複数の単位構造である導光板110の二次元配列によって構成されているといってもよい。上述の溝212は、互いに隣接する2つの単位構造の間、換言すれば、互いに隣接する2つの導光板110の間に位置する。
【0079】
図8に例示するような、上面210a側および下面210b側のそれぞれに凹部を有する構造は、例えば射出成型を適用する場合、キャビティの内側に向けて突出する凸部を金型の所定の位置に設けておくことによって得ることができる。このような手法によれば、上面210a側の凹部と、下面210b側の凹部とを一括して形成できるので、上面210a側の凹部と、下面210b側の凹部との間の位置ずれの発生を回避し得る。
【0080】
同様にして、グリッド状の溝部210Gも、キャビティの内側に向けて突出するグリッド状の凸部を金型の所定の位置に設けておくことによって形成できる。キャビティの内側に向けて突出する凸部の形状を所望の形状とすることにより、所望の形状を有する、複数の溝を含む溝部を精度よく形成することが可能である。溝部210Gの形成の方法は、複数の第1凹部11および第2凹部12とともに一括して形成する方法に限定されず、上面210a側および下面210b側にそれぞれに第1凹部11および第2凹部12を有する構造を得た後、下面210b側にグルービング等によって溝部210Gを形成してもよい。
【0081】
次に、
図9に模式的に示すように、導光板210と比較して低い屈折率を示す例えば透光性の樹脂材料を母材として含む樹脂組成物230rを、ディスペンサ等を用いて溝部210Gの内部に付与する。導光板210の母材として例えばポリカーボネートを選択した場合であれば、樹脂組成物230rの母材としてシリコーン樹脂等を用いることができる。樹脂組成物230rの付与後、樹脂組成物230rを硬化させることにより、溝部210Gの形状に整合した形状を有する第1透光部材230を溝部210Gの内部に形成することができる。なお、溝部210Gの内部に未硬化の樹脂組成物230rを付与することに代えて、それぞれが透光性を有する例えば複数の三角柱状の部分から構成されたグリッド状の部材を溝部210Gの内部に配置することにより、溝部210Gの内部に第1透光部材230を設けてもよい。
【0082】
ここでは、次に、それぞれが発光素子130および波長変換部材150を有する複数の発光体ブロックを準備し、それら発光体ブロックを複数の第1凹部11の内側に配置する。発光体ブロックは、例えば以下の手順によって作製できる。
【0083】
まず、例えば蛍光体の粒子等の波長変換部材が分散された樹脂組成物から、射出成型、圧縮成型、トランスファー成型等により蛍光体シートを形成する。蛍光体シートは、例えば100〜500μm程度の厚さを有し得る。次に、
図10に示すように、透明な樹脂材料を母材として含む樹脂組成物170rをディスペンサ等によって蛍光体シート150s上に付与する。典型的には、このとき、蛍光体シート150sの一方の主面の複数の領域上に樹脂組成物170rを付与してよい。さらに、
図10に示すように、発光素子130の上面130aを蛍光体シート150sに対向させて、樹脂組成物170rが付与された蛍光体シート150sの各領域上に発光素子130を配置する。
【0084】
次に、蛍光体シート150s上の樹脂組成物170rを硬化させる。樹脂組成物170rの硬化により、
図11に示すように、発光素子130の側面130cの少なくとも一部を覆う接合部材170を形成する。さらに、母材としての樹脂材料と、光反射性のフィラーとを含有する樹脂組成物を蛍光体シート150s上に付与し、蛍光体シート150s上の樹脂組成物を硬化させる。これにより、蛍光体シート150s上の構造を一括して覆う第1樹脂層140Tを形成する。第1樹脂層140Tの形成には、トランスファー成型、圧縮成型、スプレー塗布、印刷、ポッティング等の各種の方法を適用できる。
【0085】
蛍光体シート150s上に第1樹脂層140Tが形成された状態において、各発光素子130の電極134は、
図11に示すように、典型的には、第1樹脂層140Tに覆われている。ここでは、
図12に示すように、蛍光体シート150s上に第1樹脂層140Tが形成された構造体を耐熱性の粘着テープ等の支持体400上に配置し、研削といし410を備えるグラインダ等を利用した研削加工により、第1樹脂層140Tの一部を蛍光体シート150sとは反対側から除去する。これにより、各発光素子130の電極134の下面を研削面から露出させる。
【0086】
その後、ダイシング装置等により、蛍光体シート150s上において互いに隣接する2つの発光素子130の間の位置で蛍光体シート150sおよび第1樹脂層140Tを切断する。この切断の工程により、第1樹脂層140Tおよび蛍光体シート150sからそれぞれ光反射性部材140および波長変換部材150を形成して、
図13に示すように、それぞれが、発光素子130と、発光素子130を覆う波長変換部材150とを有する複数の発光体ブロック130Bを得ることができる。
【0087】
次に、これらの発光体ブロック130Bを導光板210に接合する。発光体ブロック130Bの接合においては、
図14に示すように、ディスペンサ等を利用して導光板210の各第1凹部11の内部に樹脂組成物160rを付与する。樹脂組成物160rとしては、第1透光部材230の材料あるいは接合部材170の材料と同様に、透明な樹脂材料を母材として含む樹脂組成物を用いることができる。樹脂組成物160rは、第1透光部材230を形成するための樹脂組成物230rと共通であってもよい。樹脂組成物160rに、母材とは異なる屈折率を有する材料を分散させておいてもよい。
【0088】
第1凹部11の内部への樹脂組成物160rの付与後、上述の発光体ブロック130Bを各第1凹部11内に配置する。このとき、
図15に示すように、発光素子130の電極134を導光板210とは反対側に向けた状態で、発光体ブロック130Bの波長変換部材150が樹脂組成物160rに埋め込まれるようにして第1凹部11内に発光体ブロック130Bを配置する。なお、発光体ブロック130Bの全体が導光板210の下面210bよりも低い位置に埋め込まれている必要はない。
【0089】
また、第1凹部11内に発光体ブロック130Bが挿入された状態において、樹脂組成物160rの表面が導光板210の下面210bに整合した平坦面である必要はない。例えば、発光素子130の電極134が樹脂組成物160rによって覆われない限りにおいて、発光体ブロック130Bに押しのけられた樹脂組成物160rが導光板210の下面210bから盛り上がっていてもかまわない。第1凹部11内に発光体ブロック130Bが挿入された状態において、樹脂組成物160rのうち導光板210の下面210b上に位置する部分の体積は、第1凹部11の内部に付与する樹脂組成物160rの量を調整することによって制御可能である。
【0090】
次に、樹脂組成物160rを硬化させる。樹脂組成物160rの硬化により、樹脂組成物160rから第2透光部材160を形成し、複数の第1凹部11のうち対応する1つの内側に発光素子130を第2透光部材160によって固定することができる。樹脂組成物160rを、第1透光部材230の材料である樹脂組成物230rと共通とした場合には、第1凹部11への樹脂組成物160rの付与の工程において溝部210Gの内部への樹脂組成物230rの付与を実行してもよい。第1透光部材230の材料と第2透光部材160の材料とを共通とすることにより、樹脂組成物160rの硬化とあわせて樹脂組成物230rを硬化させることができ、第1凹部11の内側への発光素子130の配置と第1透光部材230の形成とを一括して実行することが可能になる。
【0091】
次に、導光板210の下面210b上に、例えば光反射性のフィラーが分散された樹脂組成物を付与する。さらに、付与された樹脂組成物を硬化させる。これにより、
図16に示すように、導光板210の下面210b、第1透光部材230、発光体ブロック130Bおよび第2透光部材160を覆う第2樹脂層220Tを導光板210の下面210b側に形成する。第2樹脂層220Tの材料は、光反射性部材140の材料と共通であってもよい。第2樹脂層220Tの形成には、トランスファー成型、圧縮成型、スプレー塗布、印刷、ポッティング等の各種の方法を適用できる。この段階で、各発光素子130の電極134が第2樹脂層220Tに覆われていてもかまわない。
【0092】
第2樹脂層220Tの形成後、研削加工等により、第2樹脂層220Tの表面から、各第1凹部11に対応した位置にある発光素子130の電極134の下面を露出させる。これにより、
図17に模式的に示すように、第2樹脂層220Tから反射性樹脂層220を形成することができる。このとき、導光板210の下面210bからの光の漏れを抑制する観点から、第2透光部材160の全体が研削後の状態においても反射性樹脂層220に覆われている状態であることが有利である。
【0093】
その後、必要に応じて、
図18に模式的に示すように、反射性樹脂層220の下面220b上に配線層180を形成する。配線層180は、例えば反射性樹脂層220の形成後に、スパッタリング等によって反射性樹脂層220の下面220b上に金属膜を形成し、例えばレーザアブレーションによって金属膜をパターニングすることによって形成可能である。金属膜は、積層膜の形で反射性樹脂層220の下面220b上に形成されてもよい。例えば、Cu、NiおよびAuを順次に堆積することにより、反射性樹脂層220の下面220b上に金属膜を形成してもよい。
【0094】
以上の工程により、
図1に示す発光モジュール200が得られる。なお、
図8に例示する構成において、導光板210の上面210aのうち第2凹部12以外の領域、ならびに、下面210bのうち第1凹部11および溝部210G以外の領域は、概ね平坦な面である。しかしながら、導光板210の上面210aおよび下面210bの形状は、この例に限定されず、例えば、第2凹部12、第1凹部11および溝部210Gを除く領域に、光を拡散または反射させる構造が形成されていてもよい。例えば、導光板210の表面のうち、第2凹部12、第1凹部11および溝部210Gを除く領域に微細な凹凸パターンを設けたり、第2凹部12、第1凹部11および溝部210Gを除く領域を粗面としたりしてもよい。
【0095】
上述の例示的な製造工程から理解されるように、本実施形態では、発光素子130が、配線基板側ではなく導光板210側に予め固定されるので、発光素子130と、導光板210の上面210a側の光拡散構造との間の位置ずれの発生を抑制し得る。なお、発光モジュール200を構成する複数の発光セル100Uの構造は、典型的には、これらの発光セル100Uの間で共通である。しかしながら、共通の構造を有する複数の発光セルのみによって発光モジュールが構築されることは、本開示の実施形態において必須ではない。例えば、4行4列に配列された16個の発光セル100Uのうち、発光面の中央部に位置する4個の発光セルと、これらのセルを取り囲む、外周部の12個の発光セルとの間で、導光板210の下面210b側に位置する溝の深さを異ならせてもよい。あるいは、発光面の中央部に位置する1以上の発光セルと、外周部に位置する複数の発光セルとの間で、光拡散構造の構成、例えば、第2凹部12の大きさを変えてもよい。
【0096】
(面発光光源の実施形態)
図19は、本開示の他のある実施形態による面発光光源の例を示す。
図19に示す面発光光源300は、複数の発光モジュール200の二次元配列を含む。
図19は、上述の発光モジュール200を8行16列に配置した例であり、発光モジュール200の二次元配列を導光板210の上面210a側から見た外観を模式的に示している。
【0097】
行方向または列方向において隣接する2つの発光モジュール200の導光板210は、典型的には、互いに直接に接触する。しかしながら、隣接する2つの発光モジュール200の導光板210が互いに直接に接触するようにして二次元配列が形成されることは必須ではなく、互いに隣接する2つの導光板210間に、これらを互いに光学的に結合する導光構造が介在されてもよい。このような導光構造は、例えば、導光板210の側面に透光性の接着剤を付与した後、付与した接着剤を硬化させることによって形成できる。あるいは、互いに間隔をあけて複数の発光モジュール200を二次元に配置し、互いに隣接する2つの導光板210の間の領域を透光性の樹脂材料で充填後、樹脂材料を硬化させることによって導光構造を形成してもよい。導光板210間に位置する導光構造の材料としては、例えば、上述の接合部材170と同様の材料を用いることができる。導光構造の母材として、導光板210の材料と同等かそれ以上の屈折率を有する材料を用いることができると有益である。導光板210間に位置する導光構造に光拡散機能を付与してもよい。
【0098】
図19に示す例において、各発光モジュール200の縦方向の長さLおよび横方向の長さWは、例えば、それぞれおよそ24.3mmおよび21.5mmである。したがって、
図19に示す発光モジュール200の配列は、アスペクト比が16:9の、15.6インチのスクリーンサイズに適合している。例えば、
図19に示す発光モジュール200の配列は、15.6インチのスクリーンサイズを有するラップトップパソコンのバックライトユニットに好適に用いることができる。
【0099】
本開示の実施形態によれば、各発光モジュール200の上面である、導光板210の上面210aの集合が発光面を構成する。そのため、大面積の発光面が得られる。また、発光モジュール200の配置を変更したり、面発光光源300に含まれる発光モジュール200の数を変更したりすることにより、スクリーンサイズの異なる複数種の液晶パネルに容易に面発光光源300を適用することができる。すなわち、発光モジュール200中の導光板210等に関する光学計算をやり直したり、導光板210を形成するための金型を再製作したりする必要なく、スクリーンサイズの変更に対して柔軟に対応することが可能である。そのため、スクリーンサイズの変更に対して製造コストおよびリードタイムの増大を招来させずに済む。
【0100】
図20は、
図19に示す複数の面発光光源300を2行2列に配列した構成を示す。この場合、合計512個の発光モジュール200により、アスペクト比が16:9の、31.2インチのスクリーンサイズに適合した面光源を構成することができる。例えば、
図20に示す発光モジュール200の配列は、液晶テレビのバックライトユニット等に用いることができる。このように本実施形態によれば、さらなる大面積の発光面を得ることも比較的容易である。
【0101】
複数の発光モジュール200の組み合わせによって面発光光源300の発光面を構成する手法によれば、スクリーンサイズに応じて光学系の設計をやり直したり、導光板の形成のための金型を再製作したりすることなく、多様なスクリーンサイズの液晶パネルに柔軟に対応することが可能になる。すなわち、スクリーンサイズに適合したバックライトユニットを低コストかつ短納期で提供し得る。また、仮に、断線等により点灯しない発光素子が存在した場合であっても、不具合が生じた発光素子を含む発光モジュールを交換すれば済むという利点も得られる。
【0102】
(複数の発光モジュール200の間の電気的接続)
図2等を参照しながら説明したように、反射性樹脂層220の下面220b上には、発光セル中の発光素子との電気的接続を有する配線層180が設けられ得る。このような構成においては、配線層180に対する電源等の接続によって、発光モジュール200中の発光素子と電源等との間に容易に電気的接続を形成することができる。すなわち、配線層180に電源を接続することによって簡単に面発光が得られる。
【0103】
図21は、発光モジュール200を配線基板に接続した状態の一例を示す。ある実施形態において、本開示の発光モジュールは、
図21に示すように、配線基板260を有し得る。
図21に例示する構成において、配線基板260は、絶縁基材265と、絶縁基材265上の第1配線層261および第2配線層262と、複数のビア264とを有する。第1配線層261は、絶縁基材265の一方の主面上に設けられ、第2配線層262は、絶縁基材265の他方の主面に位置する。これら第1配線層261および第2配線層262は、絶縁基材265の内部に配置されたビア264によって互いに電気的に接続される。
【0104】
配線基板260は、発光モジュール200の下面側、すなわち、導光板210の上面210aとは反対側に位置し、発光モジュール200の配線層180に対して第1配線層261が対向させられている。この例では、発光モジュール200は、配線層180がはんだ等によって配線基板260の第1配線層261に結合させられることにより、配線基板260に実装されている。本実施形態によれば、各発光素子との接続を有する配線層180を発光モジュール200側に設けることができるので、配線基板260側に複雑な配線パターンを形成することなく、ローカルディミング等に要求される接続を容易に形成することができる。配線層180は、各発光素子の電極134の下面よりも大きな面積を有し得るので、第1配線層261に対する電気的な接続の形成も比較的容易である。あるいは、例えば発光モジュール200が配線層180を有しない場合には、発光素子の電極を配線基板260の第1配線層261に接続してもよい。
【0105】
図22は、配線層180の配線パターンの一例を示す。簡単のために、
図22では、面発光光源300に含まれ得る複数の発光モジュール200のうちの4つを取り出してそれらの電気的接続を模式的に示している。
【0106】
面発光光源300は、発光モジュール200ごとに配線層180を有し、各発光モジュール200の配線層180は、発光モジュール200に含まれる複数の発光素子130を互いに電気的に接続している。
図22に示す例では、各発光モジュール200の配線層180は、4個の発光素子130を直列に接続し、かつ、直列に接続された発光素子130の4個の群を並列に接続している。
【0107】
図22に示すように、これら配線層180の各々は、発光素子130を駆動するドライバ250に接続され得る。ドライバ250は、発光モジュールを支持する基板等(例えば配線基板260)の上に配置されて配線層180に電気的に接続されてもよいし、発光モジュールを支持する基板等とは別個の基板上に配置されて配線層180に電気的に接続されてもよい。このような回路構成のもとでは、16個の発光素子130を含む発光モジュール200を単位とするローカルディミング動作が可能である。もちろん、配線層180による複数の発光素子130の接続は、
図22に示す例に限定されず、発光モジュール200中の各発光素子130が独立して駆動するように接続されていてもよい。あるいは、発光モジュール200に含まれる発光素子130を複数の群に分割し、複数の発光素子130を含む群の単位で発光素子130を駆動可能に複数の発光素子130を電気的に接続してもよい。
【0108】
以上に説明したように、本開示の実施形態によれば、厚さをより低減しながら、多様なスクリーンサイズに柔軟に対応可能な光源装置を提供することができる。なお、上述した各実施形態において、図に示す発光素子130および発光モジュール200の配列は、あくまでも例示であり、例えば面発光光源300中の発光モジュール200の数および配置は、任意に設定し得る。また、上述した各実施形態は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。