(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサは、前記二次電池の電解液の量、端子間電圧、および、周囲温度または電解液温度の少なくとも1つに関する状態を検出することを特徴とする請求項2に記載の接続装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された技術では、警報表示部、負荷制御要求部、および、電流制御部には、電源マネジメント部による判定結果に基づく制御指令が供給される。このため、警報表示部、負荷制御要求部、および、電流制御部は、それぞれの独自の判定処理に基づいてバッテリの状態を判定し、その判定結果に基づいた処理を実行することができないという問題点がある。
【0005】
近年では、車両の電子化が進展し、それぞれの機器が異なる観点からバッテリの状態を判定し、その判定結果に基づいた独自の処理を行う必要性が高まっていることから、このような要求は切実である。
【0006】
本発明は、以上のような状況に鑑みてなされたものであり、それぞれの装置が二次電池の状態を独自に判定することが可能な接続装置およびネットワークシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、第1ネットワークと、前記第1ネットワークとは通信プロトコルが異なる第2ネットワークとを接続し、これらの間で情報を授受する接続装置において、二次電池の状態を検出する二次電池状態検出装置との間で前記第1ネットワークを介して情報を送受信する第1送受信手段と、車両の各部を制御する1または複数のECU(Electric Control Unit)との間で前記第2ネットワークを介して情報を送受信する第2送受信手段と、前記第1送受信手段を介して前記二次電池状態検出装置から前記二次電池の状態を示す二次電池状態情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された前記二次電池状態情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記二次電池状態情報を、前記第2送受信手段を介して前記1または複数のECUに供給する供給手段と、を有することを特徴とする。
このような構成によれば、それぞれのECUが二次電池の状態を独自に判定することが可能となる。
【0008】
また、本発明は、前記二次電池状態検出装置によって検出する状態とは異なる状態を検出するセンサからの情報を入力する入力手段をさらに有し、前記記憶手段は、前記入力手段から入力された情報についても、前記二次電池状態情報として記憶する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、それぞれのECUは、センサからの情報も加味して、二次電池の状態を的確に判断することができる。
【0009】
また、本発明は、前記センサは、前記二次電池の電解液の量、端子間電圧、および、周囲温度または電解液温度の少なくとも1つに関する状態を検出することを特徴とする。
このような構成によれば、電解液の量、端子間電圧、および、周囲温度も加味して、二次電池の状態を的確に判断することができる。
【0010】
また、本発明は、前記二次電池状態情報に基づいて、前記二次電池状態検出装置の故障の有無を判定する判定手段を有し、前記判定手段によって前記二次電池状態検出装置が故障していると判定された場合には、前記第2送受信手段を介して前記ECUに対して故障の発生を通知する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、二次電池状態検出装置の故障を検出し、所定のECUに対して通知することができるので、ユーザに故障の発生を的確に通知することができる。
【0011】
また、本発明は、前記記憶手段は、前記取得手段によって過去に取得された前記二次電池状態情報をさらに記憶し、前記供給手段は、前記記憶手段に記憶されている前記過去に取得された前記二次電池状態情報を前記ECUに対して供給する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、過去の情報も参照して、二次電池の状態をより正確に判定することができる。
【0012】
また、本発明は、前記第1ネットワークはLIN(Local Interconnect Network)であり、前記第2ネットワークはCAN(Controller Area Network)である、ことを特徴とする。
このような構成によれば、汎用性が高いLINおよびCANの間で情報を確実に授受することができる。
【0013】
また、本発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の接続装置を有するネットワークシステムである。
このような構成によれば、それぞれのECUが二次電池の状態を独自に判定することが可能なネットワークを提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、それぞれの装置が二次電池の状態を独自に判定することが可能な接続装置およびネットワークシステムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0017】
(A)本発明の実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係る接続装置を有する車両の電気系を示す図である。この図において、車両の電気系は、ゲートウエイ10、LIN20、センサ部22を有する二次電池状態検出装置21、二次電池23、オルタネータ24、スタータモータ25、CAN30、エンジンECU(Electric Control Unit)31、ステアリング系ECU32、ボディ系ECU33、エアコンECU34、セキュリティECU35、および、運転支援系ECU36を有している。LIN20、二次電池状態検出装置21、ゲートウエイ10、CAN30、エンジンECU31、ステアリング系ECU32、ボディ系ECU33、エアコンECU34、セキュリティECU35、および、運転支援系ECU36によってネットワークシステムが構成される。なお、
図1に示すECUは一例であって、これら以外のECUを有するようにしてもよい。
【0018】
ここで、ゲートウエイ10は、通信プロトコルが異なるLIN20およびCAN30を接続し、これらの間で情報の授受が可能になるように、プロトコルの変換を行う機能を有する。なお、ゲートウエイ10の詳細な構成については
図2を参照して後述する。
【0019】
LIN20は、ライン型バス構造を有し、マスタ・スレーブ方式でトークンを用いた通信を行うネットワークである。LIN20は、二次電池状態検出装置21、および、ゲートウエイ10を相互に接続し、これらの間で情報の授受を可能とするネットワークである。なお、LIN20では、ゲートウエイ10がマスタに設定され、二次電池状態検出装置21がスレーブに設定される。
【0020】
センサ部22は、二次電池状態検出装置21の一部として構成され、例えば、二次電池23の端子電圧を検出する電圧センサ、電流を検出する電流センサ、および、二次電池23の電解液温度を検出する温度センサ等を有している。もちろん、これら以外のセンサを有していてもよい。センサ部22によって検出された二次電池23の状態情報は二次電池状態検出装置21によって処理される。
【0021】
二次電池状態検出装置21は、例えば、二次電池23をパルス状に所定回数放電させ、そのときの電圧および電流の変化から、二次電池23のインピーダンスを算出し、インピーダンスに基づいて、二次電池23のSOC(State of Charge)、および、SOF(State of Function)、SOH(State of Health)等を算出する。そして、二次電池状態検出装置21は、このようにして得たSOC、SOH、SOFとともに、端子電圧、端子電流、電解液温度等の二次電池23の状態を示す情報(以下、「二次電池状態情報」と称する)を、LIN20を介してゲートウエイ10に供給する。
【0022】
二次電池23は、例えば、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、または、リチウムイオン電池等によって構成され、オルタネータ24によって充電され、スタータモータ25を駆動して図示しないエンジンを始動するとともに、エンジンECU31、ステアリング系ECU32、ボディ系ECU33、エアコンECU34、セキュリティECU35、および、運転支援系ECU36によって制御される負荷に電力を供給する。
【0023】
オルタネータ24は、エンジンによって駆動され、交流電力を発生して整流回路によって直流電力に変換し、二次電池23を充電する。オルタネータ24は、エンジンECU31等によって制御され、発電電圧を調整することが可能とされている。スタータモータ25は、二次電池23から供給される電力によって動作し、図示しないエンジンを始動する。
【0024】
CAN30は、ライン型構造を有し、マルチスター方式で、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)を用いた通信を行うネットワークである。
【0025】
エンジンECU31は、エンジンおよびオルタネータ24等を制御するためのECUである。ステアリング系ECU32は、電動ステアリング装置等を制御するためのECUである。ボディ系ECU33は、パワーウィンドウ、ワイパー、パワーシート、および、ライト等を制御するためのECUである。
【0026】
エアコンECU34は、エアコンディショナを制御するECUであり、車内の温度に応じてコンプレッサモータや送風モータを制御する。セキュリティECU35は、例えば、イモビライザ、人感センサ、または、振動センサ等によって構成されるセキュリティシステムを制御するためのECUである。運転支援系ECU36は、例えば、衝突回避システム、駐車支援システム、または、自動安定制御システムを制御するためのECUである。
【0027】
なお、エンジンECU31、ステアリング系ECU32、ボディ系ECU33、エアコンECU34、セキュリティECU35、および、運転支援系ECU36は、CAN30を介してゲートウエイ10と接続される。
【0028】
図2は、
図1に示すゲートウエイ10の詳細な構成例を示す図である。この図に示すように、ゲートウエイ10は、LIN I/F(Interface)11、A/D(Analog to Digital)変換部12、制御部13、記憶部14、CAN I/F15、および、バス16を有している。
【0029】
ここで、LIN I/F11は、LIN20を介して二次電池状態検出装置21との間で情報を送受信する際の通信制御を実行する。より詳細には、LIN I/F11は、LIN20のマスタとして動作し、スレーブである二次電池状態検出装置21に対してトークンを送信することで、二次電池状態検出装置21の情報の送信タイミングを管理する。
【0030】
A/D変換部12は、温度センサ17および液面センサ18から出力される信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換して出力する。温度センサ17は、二次電池23の周辺の温度を検出して出力する。液面センサ18は、二次電池23の電解液の液面を検出し、液面の位置から液量を特定して出力する。なお、これら以外のセンサを設けるようにしてもよい。
【0031】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等によって構成され、記憶部14に格納されているプログラムおよびデータ等に基づいて、装置の各部を制御する。
【0032】
記憶部14は、例えば、ROM(Random Access Memory)、および、RAM(Random Access Memory)等の半導体記憶装置によって構成され、制御部13が実行するプログラムを記憶するとともに、各種のデータを記憶する。
【0033】
CAN I/F15は、CAN30を介してエンジンECU31、ステアリング系ECU32、ボディ系ECU33、エアコンECU34、セキュリティECU35、および、運転支援系ECU36との間で情報を送受信する際の通信制御を実行する。より詳細には、CAN I/F15は、CAN30を介して各ECUから送信される情報を受信するとともに、各ECUに対して情報を送信する。なお、CAN30では、マルチマスター方式が採用されているので、CAN I/F15は、エンジンECU31、ステアリング系ECU32、ボディ系ECU33、エアコンECU34、セキュリティECU35、および、運転支援系ECU36とは対等の立場で情報の送受信を行う。
【0034】
バス16は、LIN I/F11、A/D変換部12、制御部13、記憶部14、および、CAN I/F15を相互に電気的に接続し、これらの間で情報の授受を可能とする接続線である。
【0035】
(B)本発明の実施形態の動作の説明
つぎに、本発明の実施形態の動作について説明する。二次電池状態検出装置21は、二次電池23をパルス状の電流によって所定回数放電させ、そのときの端子電圧および端子電流をセンサ部22によって検出する。二次電池状態検出装置21は、このようにして検出した端子電圧および端子電流に基づいて、例えば、
図3に示すような二次電池23の等価回路を構成する成分をフィッティング処理または学習処理によって算出する。なお、
図3では、等価回路は、二次電池23内部の導体要素および電解液抵抗に対応する抵抗成分であるRohmと、電極の活物質反応の反応抵抗に対応する抵抗成分であるRct1,Rct2と、電極と電解液の界面の電気二重層に対応する容量成分であるC1,C2とを有している。二次電池状態検出装置21は、このようにして算出した等価回路成分を、標準温度における値に補正する。より詳細には、等価回路成分の素子値は、温度によって変化することから、等価回路成分を算出した時点における電解液の温度をセンサ部22から取得し、標準温度(例えば、25℃)における素子値に変換する。標準温度への変換は、例えば、温度と素子値の対応関係を格納するテーブルや数式を用いて変換することができる。また、二次電池状態検出装置21は、所定のタイミング(例えば、車両の停止時)における端子電圧(例えば、開回路電圧)や端子電流(例えば、暗電流)をセンサ部22からの出力によって検出する。
【0036】
二次電池状態検出装置21は、算出した等価回路成分に基づいて、SOC、SOF、および、SOHを算出する。例えば、SOCについては、二次電池23の開回路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)と、SOCとの相関関係に基づいて求めることができる。また、SOHについては、SOCが所定の範囲内にある場合の二次電池23の抵抗値(Rohm、Rct1、Rct2の直列抵抗値)と、満充電時における抵抗値の比によって求めることができる。さらに、SOFについては、OCVと、エンジン始動時に流れる電流と、等価回路の抵抗値とによって求めることができる。なお、SOC、SOH、SOFは、前述した以外の方法によって求めてもよいことはいうまでもない。
【0037】
二次電池状態検出装置21は、以上のようにして求めた、二次電池23の端子電圧、端子電流、電解液温度、等価回路成分、SOC、SOH、および、SOFを、LIN20を介して、ゲートウエイ10に対して、定期的に(例えば、1分間隔で)送信する。より詳細には、二次電池状態検出装置21は、ゲートウエイ10がLIN20に対してトークンを送出するタイミングで、前述した情報をゲートウエイ10に対して送信する。
【0038】
ゲートウエイ10は、二次電池状態検出装置21からLIN20に送出された二次電池状態情報をLIN I/F11によって受信する。制御部13は、LIN I/F11によって受信された二次電池状態情報を、その種類によって分類した後、記憶部14に記憶させる。
図4は、記憶部14に記憶される二次電池状態情報の一例を示している。
図4の例では、二次電池状態情報としては、端子電圧、端子電流、電解液温度、等価回路成分、SOC、SOH、および、SOFが示されている。なお、これら以外の情報を記憶するようにしてもよい。
【0039】
制御部13は、記憶部14に記憶されている
図4に示す情報を、CAN I/F15を介して、エンジンECU31、ステアリング系ECU32、ボディ系ECU33、エアコンECU34、セキュリティECU35、および、運転支援系ECU36に対して定期的に送信する。より詳細には、制御部13は、記憶部14に記憶されている
図4に示す情報を定期的に取得し、CAN I/F15に供給する。CAN I/F15は、CSMA/CAに基づいて、情報を各ECUに送信する。すなわち、CAN I/F15は、CAN20に流れている情報を受信することで、CAN20に接続されているECUが現在通信を行っているか否かを判定し、通信を行っていない場合には情報を送信し、通信を行っている場合にはランダムな待ち時間だけ待機した後に、再度受信を行い、通信を行っていない場合には情報を送信する。なお、定期的に送信するのではなく、例えば、二次電池状態情報の変化の大小に応じて、頻度を変えるようにしてもよい。
【0040】
各ECUは、CAN I/F15によって送信された二次電池状態情報を受信し、制御対象に応じた処理を実行する。例えば、エンジンECU31では、二次電池23のSOCを取得し、SOCが所定の閾値よりも小さい場合には、例えば、オルタネータ24の発電電圧を高く設定することで充電を促進させる。また、SOCが所定の閾値(前述した閾値よりも大きい値の閾値)よりも大きい場合にはオルタネータ24の電圧を低く設定することで、エンジンにかかる負荷を軽減させ、燃費を向上させる。
【0041】
また、ステアリング系ECU32では、等価回路の抵抗成分と、電動ステアリング装置が動作したときに流れる電流とから、電動ステアリング装置が動作時の電圧降下を求める。そして、現在の端子電圧から電圧降下を減算して得た電圧値が、電動ステアリング装置の最低作動電圧よりも低い場合には、電動ステアリング装置に供給する電圧を昇圧することでスムーズに動作させることができる。あるいは、電動ステアリング装置に流れる電流を制限することで、過大な電流によって二次電池23の残量が急激に少なくなることを防ぐことができる。なお、電動制御ブレーキの場合も、同様の動作を行うことができる。
【0042】
また、ボディ系ECU33では、例えば、CAN I/F15によって送信された二次電池状態情報に含まれるSOCを参照し、SOCが所定の閾値よりも小さい場合には、ワイパーやパワーウィンドウの作動範囲の両端において、モータに供給する電流を制限することで、SOCが減少することを抑制することができる。より詳細には、ワイパーの場合には、作動範囲の両端において、ワイパーが進行方向を変えるが、その際に電流を多く消費するので、作動範囲の両端において電流を制限することで、SOCのさらなる減少を抑制することができる。また、パワーウィンドウの場合も、動作開始時および動作終了時に電力を多く消費するので、SOCが所定の閾値よりも小さい場合には、動作開始時および動作終了時に電流の制限を行うことで、SOCのさらなる減少を抑制することができる。
【0043】
また、エアコンECU34の場合には、二次電池23のSOCが所定の閾値よりも小さい場合には、電動コンプレッサまたは送風機に供給する電力を制限することで、SOCのさらなる減少を抑制することができる。同様に、図示しないライトECUの場合には、二次電池23のSOCが所定の閾値よりも小さい場合には、ライト(例えば、ヘッドライトまたはフォグライト)に供給する電力を制限することで、SOCのさらなる減少を抑制することができる。なお、SOCではなく、端子電圧または端子電流から負荷における消費電力の多寡を判定し、消費電力が多い場合には、エアコンまたはライトに供給する電力を制限するようにしてもよい。
【0044】
また、セキュリティECU35または運転支援系ECU36の場合には、SOCまたは端子電圧に関する情報を取得し、SOCが所定の閾値以下になるか、または、端子電圧が所定の閾値以下になった場合には、動作が不能になると判定して、運転者に通知する制御を行うことができる。これにより、セキュリティや運転支援系の負荷が動作できなくなる可能性があることを運転者に事前に通知することができる。また、SOHを取得し、SOHが所定の閾値以下になった場合(二次電池23が所定以上に劣化した場合)には、運転者に通知して二次電池23の交換を促すようにしてもよい。
【0045】
つぎに、
図5〜
図8を参照して、本実施形態において実行される処理について説明する。
図5は、ゲートウエイ10において、二次電池状態情報を取得する際に実行される処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
図5に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0046】
ステップS10では、制御部13は、所定の時間(例えば、1分)が経過したか否かを判定し、所定の時間が経過したと判定した場合(ステップS10:Y)にはステップS11に進み、それ以外の場合(ステップS10:N)には同様の処理を繰り返す。
【0047】
ステップS11では、制御部13は、二次電池23の状態を示す二次電池状態情報を送信するように要求する送信要求を、二次電池状態検出装置21に対して送出する。より詳細には、制御部13は、LIN I/F11を制御して、LIN20にトークンを送出させる。トークンを受信した二次電池状態検出装置21は、トークンの後に二次電池状態情報をLIN20に送出する。
【0048】
ステップS12では、制御部13は、LIN I/F11によって二次電池状態情報を受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合(ステップS12:Y)にはステップS13に進み、それ以外の場合(ステップS12:N)には同様の処理を繰り返す。例えば、二次電池状態検出装置21がトークンを取得して二次電池状態情報をLIN20に送出し、これを受信した場合にはYと判定してステップS13に進む。
【0049】
ステップS13では、制御部13は、ステップS12で受信した二次電池状態情報を、その種類に応じて分類する。例えば、二次電池状態検出装置21が送出する二次電池状態情報が、例えば、
図4に示す順番にデータパケットに収められている場合には、格納順に基づいて情報を分類する。
【0050】
ステップS14では、制御部13は、ステップS13において分類した二次電池状態情報を、記憶部14の所定の領域に記憶させる。例えば、制御部13は、ステップS13において分類した二次電池状態情報を、記憶部14の所定の記憶領域に対して、例えば、
図4に示すような態様で記憶させる。
【0051】
ステップS15では、制御部13は、処理を繰り返すか否かを判定し、繰り返すと判定した場合(ステップS15:Y)にはステップS10に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS15:N)には処理を終了する。
【0052】
つぎに、
図6を参照して、二次電池状態検出装置21において実行される処理について説明する。
図6に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0053】
ステップS30では、二次電池状態検出装置21は、ゲートウエイ10から二次電池状態情報の送信要求を受信したか否かを判定し、送信要求を受信したと判定した場合(ステップS30:Y)にはステップS31に進み、それ以外の場合(ステップS30:N)には同様の処理を繰り返す。例えば、ゲートウエイ10から送信要求を示すトークンを受信した場合には、Yと判定してステップS31に進む。
【0054】
ステップS31では、二次電池状態検出装置21は、検出済みの二次電池状態情報を図示しない記憶部から取得する。例えば、二次電池状態検出装置21は、定期的に二次電池23の状態を検出し、
図4に示すような情報を、図示しない記憶部に記憶しているので、これらの二次電池状態情報を記憶部から取得する。
【0055】
ステップS32では、二次電池状態検出装置21は、取得した二次電池状態情報を、LIN20を介して、ゲートウエイ10に対して送信する。より詳細には、二次電池状態検出装置21は、ゲートウエイ10から送信されるトークンを取得し、二次電池状態情報をLIN20に対して送出する。
【0056】
ステップS33では、二次電池状態検出装置21は、処理を繰り返すか否かを判定し、繰り返すと判定した場合(ステップS33:Y)にはステップS30に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS33:N)には処理を終了する。
【0057】
つぎに、
図7を参照して、ゲートウエイ10が二次電池状態情報を、CAN30を介して定期的に送信する処理について説明する。
図7に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。
【0058】
ステップS50では、制御部13は、所定の時間(例えば、1分)が経過したか否かを判定し、所定の時間が経過したと判定した場合(ステップS50:Y)にはステップS51に進み、それ以外の場合(ステップS50:N)には同様の処理を繰り返す。
【0059】
ステップS51では、制御部13は、記憶部14の所定の領域に格納されている二次電池状態情報を取得する。より詳細には、制御部13は、記憶部14に対して
図4に示す態様で格納されている二次電池状態情報を取得する。
【0060】
ステップS52では、制御部13は、ステップS51において取得した二次電池状態情報を、CAN I/F15を介してCAN30に送信する。より詳細には、CAN I/F15は、CSMA/CAに基づいて、CAN30に流れる情報を受信し、現在通信しているECUが存在しない場合には二次電池状態情報を送信し、通信しているECUが存在する場合には、ランダムな時間待った後、再度、通信しているECUの存在の有無を調べ、存在しない場合には二次電池状態情報を送信し、存在する場合にはランダムな時間待つ処理を繰り返す。
【0061】
ステップS53では、制御部13は、処理を繰り返すか否かを判定し、繰り返すと判定した場合(ステップS53:Y)にはステップS50に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS53:N)には処理を終了する。
【0062】
つぎに、
図8を参照して、各ECUで実行される処理の一例について説明する。
図8に示すフローチャートの処理が開始されると、以下のステップが実行される。なお、各ECUで実行される処理は同様であるので、以下では、ステアリング系ECU32を例に挙げて説明する。
【0063】
ステップS70では、ステアリング系ECU32は、CAN20を介してゲートウエイ10から二次電池状態情報を受信したか否かを判定し、受信したと判定した場合(ステップS70:Y)にはステップS71に進み、それ以外の場合(ステップS70:N)には同様の処理を繰り返す。例えば、ステアリング系ECU32がゲートウエイ10から二次電池状態情報を受信した場合には、Yと判定してステップS71に進む。
【0064】
ステップS71では、ステアリング系ECU32は、二次電池状態情報から必要な情報を取得する。例えば、ステアリング系ECU32は、端子電圧と内部抵抗に関する情報を取得する。
【0065】
ステップS72では、ステアリング系ECU32は、ステップS71で取得した二次電池状態情報に基づいた処理を実行する。例えば、ステアリング系ECU32は、二次電池23の抵抗成分と、電動ステアリング装置が動作したときに流れる電流とから、電動ステアリング装置が動作時の電圧降下の値を求める。そして、現在の端子電圧から電圧降下の値を減算して得た電圧値が、電動ステアリング装置の最低作動電圧よりも低い場合には、電動ステアリング装置に供給する電圧を昇圧することでスムーズに動作させることができる。あるいは、電動ステアリング装置に流れる電流を制限することで、過大な電流によって二次電池23の残量が急激に少なくなることを防止することができる。もちろん、これら以外の処理を実行するようにしてもよい。
【0066】
ステップS73では、ステアリング系ECU32は、処理を繰り返すか否かを判定し、繰り返すと判定した場合(ステップS73:Y)にはステップS70に戻って前述の場合と同様の処理を繰り返し、それ以外の場合(ステップS73:N)には処理を終了する。
【0067】
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、それぞれのECUが二次電池23の状態を独自に判断することが可能となる。
【0068】
(C)変形実施形態の説明
以上の実施形態は一例であって、本発明が上述したような場合のみに限定されるものでないことはいうまでもない。例えば、以上の実施形態では、
図3に示す等価回路を用いるようにしたが、これ以外の等価回路を用いるようにしてもよい。例えば、
図3では、正極と負極に対応して、Rct1とC1の並列素子とRct2とC2の並列素子を有するようにしたが、これらのいずれか一方だけの等価回路としてもよい。あるいは、並列素子が3つ以上接続された等価回路を用いるようにしてもよい。また、内部抵抗Rだけの等価回路を用いるようにしてもよい。
【0069】
また、以上の実施形態では、ゲートウエイ10は、1回の計測分の二次電池状態情報を記憶部14に記憶するようにしたが、複数回分の二次電池状態情報を格納し、各ECUに供給するようにしてもよい。そのような構成によれば、過去の複数回分の情報を参照することができるので、例えば、1日または数週間前の情報と比較することで、二次電池23の状態変化を検出することができる。例えば、SOHの経時的な変化を参照することで、二次電池23の交換時期を的確に判断することができる。また、二次電池状態情報の経時的な変化から、二次電池状態検出装置21の故障の有無を判定することもできる。例えば、二次電池状態情報が変化しなくなったり、あるいは急激に変化したりする場合には二次電池状態検出装置21の故障と判定するようにしてもよい。
【0070】
また、ゲートウエイ10が、二次電池23の検出結果に基づいて、使用状態を示す履歴情報を作成し、履歴情報に基づいて、二次電池23の状態を判定するようにしてもよい。より詳細には、ゲートウエイ10の制御部13が、取得したSOCおよび端子電流に基づいて過充電または過放電を検出し、過放電または過充電の頻度から、二次電池23の劣化状態を推定するようにしてもよい。また、二次電池23の電解液温度を検出し、電解液温度が所定の温度を下回った時間または上回った時間を履歴情報として記憶し、これらの情報に基づいて、二次電池23の劣化状態を推定するようにしてもよい。なお、このような処理は、ゲートウエイ10ではなく、ECUが実行するようにしてもよい。
【0071】
また、
図2に示す実施形態において、温度センサ17および液面センサ18によって検出された情報を、記憶部14に合わせて格納し、これらの情報も参照して、二次電池23の状態を判定するようにしてもよい。例えば、温度センサ17によって検出される二次電池23の外部の温度は、電解液の温度に先行して変化することから、温度センサ17によって検出される外部温度を制御部13が取得し、所定の温度を超えた場合または下回った場合には、エンジンECU31に通知し、警告を発するようにしてもよい。また、電解液の量によって、二次電池23の状態情報が変化することから、電解液の量を参照して、二次電池状態情報を補正するようにしてもよい。
【0072】
また、以上の実施形態では、エンジン車を例に挙げて説明したが、例えば、ハイブリッド車または電気自動車に本発明を適用するようにしてもよい。これらの車両では、12Vの二次電池以外にも、モータを駆動するための高圧系の二次電池を有しているので、この高圧系の二次電池の状態を検出する二次電池状態検出装置を、ゲートウエイ10に接続し、前述の場合と同様の処理を実行するようにしてもよい。また、12Vの予備電源を有する車両の場合には、予備電源に対して二次電池状態検出装置を設け、ゲートウエイ10に接続するようにしてもよい。
【0073】
また、以上の実施形態では、ゲートウエイ10が接続するネットワークとしては、LIN20とCAN30を例に挙げて説明したが、これら以外のネットワークを相互に接続するようにしてもよい。例えば、FlexRayやMOST(Media Oriented Systems Transport)等を接続し、これらの間で情報を授受するようにしてもよい。
【0074】
また、以上の実施形態では、ゲートウエイ10からCAN30に送出する二次電池状態情報の優先順位については言及していないが、他のECUから送出される情報との比較により、優先順位を付与するようにしてもよい。例えば、二次電池状態情報に対しては、ステアリング系ECU32やエンジンECU31よりも低い優先順位で、エアコンECU34よりも高い優先順位を付与するようにしてもよい。また、ゲートウエイ10が二次電池23の異常を検出した場合(例えば、正常な電圧を供給できない場合)には、最も高い優先順位を付与した情報(二次電池23の異常を示す情報)をCAN30に送出するようにしてもよい。
【0075】
また、以上の実施形態では、二次電池状態検出装置21は、ゲートウエイ10に対して二次電池状態情報を一方的に送信する構成としたが、例えば、二次電池状態検出装置21からの要求に応じて、ゲートウエイ10が記憶部14に記憶している二次電池状態情報を送信するようにしてもよい。そのような構成によれば、ゲートウエイ10の記憶部14を二次電池状態検出装置21の外部記憶装置として利用することができるので、二次電池状態検出装置21により複雑な計算処理を実行させることができる。
【0076】
また、以上の実施形態では、ゲートウエイ10がCAN30に対して二次電池状態情報を定期的に送信するようにしたが、例えば、各ECUからの要求に基づいて、二次電池状態情報を送信するようにしてもよい。
【0077】
また、以上の実施形態では、ゲートウエイ10がCAN30を介して各ECUと接続するようにしたが、例えば、自動運転制御を行う制御部とゲートウエイ10がCAN30を介して接続するようにしてもよい。そのような構成によれば、自動運転制御を行う制御部が、ゲートウエイ10から二次電池状態情報を取得することができるので、二次電池23の状態を参照して、最適な制御を実行することができる。より詳細には、二次電池23に異常が生じた場合には、最寄りの整備工場まで案内したり、より緊急度が高い場合には駐車スペースまで案内したりすることができる。