(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754365
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】大面積基板コーティング装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20200831BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20200831BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20200831BHJP
C23C 16/455 20060101ALN20200831BHJP
【FI】
C23C14/24 A
H01L21/31 B
F27D7/02 Z
!C23C16/455
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-540851(P2017-540851)
(86)(22)【出願日】2016年2月1日
(65)【公表番号】特表2018-511695(P2018-511695A)
(43)【公表日】2018年4月26日
(86)【国際出願番号】EP2016052021
(87)【国際公開番号】WO2016124517
(87)【国際公開日】20160811
【審査請求日】2019年1月30日
(31)【優先権主張番号】102015101461.0
(32)【優先日】2015年2月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502010251
【氏名又は名称】アイクストロン、エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】ゴピ、バスカル・パガダラ
(72)【発明者】
【氏名】アブデル−カリム、ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】バッケス、パトリック・マリー・アントニウス
【審査官】
安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−216744(JP,A)
【文献】
特表2013−533388(JP,A)
【文献】
特開2009−065121(JP,A)
【文献】
特開2002−008995(JP,A)
【文献】
特開2009−127131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00−14/58
C23C 16/00−16/56
H01L 21/205,21/31,21/365,21/469
F27D 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(8)をコーティングするために、均一に分散されたガス出口孔(6)を設けたガス出口面(2’)を具備するガス分配室(5)を有するガス入口部材(2)を備え、ガス分配室(5)に供給されたプロセスガスがガス出口孔を通してプロセスチャンバ(7)に、そして、プロセスチャンバの床に配置された基板(8)に到達することができ、ガス出口面が、共通する面内に位置する複数のガス出口プレート(10、11、12、13、14、15、16、17、18、19)から形成され、ガス出口プレートは、ガス分配室(5)の容積を規定する側壁(5’)から離れて配置された分離ゾーン(10’、10”、11’、11”、12’、12”、13’、13”、14”、15’、16’、17’、18’)の領域にて互いに結合されている装置であって、
隣り合う2枚のガス出口プレート(10〜19)が、分離ゾーン(10’、10”、11’、11”、12’、12”、13’、13”、14”、15’、16’、17’、18’)に沿って蝶番状に互いに変位させられ、かつ、各ガス出口プレート(10〜19)が少なくとも1つのハンガー(20)によりガス入口部材(2)の後壁(22)、ハウジング(1)の天井、又は支持フレームワーク(29)に固定されており、その場合、ハンガー(20)が、プロセスチャンバの床に対するガス出口プレート(10〜19)の鉛直位置を調整するために調整要素(32)を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
隣り合う2枚のガス出口プレート(10〜19)が、分離ゾーン(10’、10”、11’、11”、12’、12”、13’、13”、14”、15’、16’、17’、18’)の領域にてオーバーラップするか又は接続片(28)によりオーバーラップされることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
ガス出口プレート(10〜19)の吊り下げのために少なくとも3つのハンガーが用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
ガス出口プレート(10〜19)を加熱するための加熱装置(3)を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
調整要素(32)がガス入口部材(2)の後壁(22)に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
ガス出口プレート(10〜19)が、分離ゾーンにて断面における切り欠きをもつ突起(24、25)を有し、それらがオーバーラップするか、又は、接続片(28)によりオーバーラップされることにより、分離ゾーン(10’、10”、11’、11”、12’、12”、13’、13”、14”、15’、16’、17’、18’)で互いに掛合する2枚のガス出口プレート(11〜19)の広い面が同一の平面となるように互いに結合することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
各ガス出口プレート(11、19)がそれぞれ加熱可能な加熱要素(3)を割り当てられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
ガス出口プレート(10〜19)のガス出口面が互いに異なる大きさで形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス入口部材を有する、基板のコーティングのための装置に関し、ガス入口部材は、ガス出口面をもつガス分配室を具備し、ガス出口面は実質的に均一に分散して配置されたガス出口孔を具備し、ガス分配室に供給されたプロセスガスは、ガス出口孔を通してプロセスチャンバに、そしてプロセスチャンバの床に配置された基板へと到達することができ、その場合、ガス出口面は、共通する面内に位置する複数のガス出口プレートから形成され、それらのガス出口プレートは、ガス分配室の容積を規定する側壁から離れて配置された分離ゾーンの領域で互いに結合されている。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、CVD反応炉内のガス入口部材を開示しており、それによればガス入口部材が9枚の底プレートを有し、それらの各々が電極を形成している。
【0003】
特許文献2は、プロセスチャンバの天井の下面に配置された金属電極を開示しており、それらの間に電気プレートが配置されている。電極内にガス通過孔が配置されている。
【0004】
特許文献3は、ガス出口面を具備するシャワーヘッドの形態のガス入口部材を開示している。
【0005】
CVDコーティングシステムもまた、特許文献4及び未公開の特許文献5により知られている。
【0006】
特許文献6及び特許文献7は、ガス出口孔をもつガス出口面を有する入口部材を開示しており、それは保持部材を用いて上方に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−187318号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0180213号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2010/0167551号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第10 2013 101 534号明細書
【特許文献5】独国特許出願第10 2014 116 991号明細書
【特許文献6】米国特許第8,721,791号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2009/0133631号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明に関係するコーティング装置は、コーティングされる基板を受容するためのサセプタと、ガス分配器の機能をもつガス入口部材とを有し、それによりプロセスガスをプロセスチャンバに導入することができる。プロセスチャンバは、ガス分配器の下方かつサセプタの上方に位置する。ガス入口部材のガス出口面の下面に配置されたガス出口孔を通ってプロセスガスがプロセスチャンバに入る。ガス入口部材の内部には、ガス出口孔に対してプロセスガスを分配するための少なくとも1つの室がある。しかしながら、ガス入口部材内に複数のガス分配室を配置することができ、それらの各々は、それぞれ関係するガス出口孔と連通している。
【0009】
OLEDの堆積のために、有機開始物質が搬送ガスと共に、加熱されたガス分配室に供給される。少なくともガス出口面が加熱される。プロセスガスの凝縮温度より高い温度であるガス出口孔を通って、搬送ガスとその搬送ガスにより搬送されるプリカーサとがプロセスチャンバに入る。ガス状のプリカーサは基板上で凝縮される。そのために基板は、冷却されたサセプタにより支持されている。基板は、1平方メートル以上の表面積を有することがある。この結果、2〜3メートルのサセプタ直径を有するコーティング装置を作製する必要性がある。ガス入口部材は、サセプタの全面に亘って延在するべきである。従って、ガス入口部材は、2〜3メートルの直径を有しなければならない。その一方、プロセスチャンバは、僅か数センチメートルのプロセスチャンバ高さを有する。
【0010】
本発明の目的は、大面積基板をプロセスチャンバ内でコーティングできるように、本発明により装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、請求の範囲に記載された本発明により解決され、各請求項は、原則的にこの課題に対する独立した解決手段である。
【0012】
先ず、実質的に、連続したガス分配室のガス出口面が、複数のガス出口プレートから形成されることが提示される。それらのガス出口プレートは共通する面内に位置する。ガス出口プレートは、分離ゾーンにおいて互いに隣接している。分離ゾーンは、分離ラインとすることができる。隣り合うガス出口プレートは、分離ゾーンにおいて直接的に互いに結合されている。しかしながら、それらは、例えば2枚の隣接するガス出口プレートの間に格子状の担持フレーム等のウェブが延在する場合は、間接的に互いに結合されることができる。ガス分配室の容積は、側壁により規定される。分離ゾーンは、ガス分配室の側壁から離れて延在する。分離ゾーンは直線的に延在し、それによりガス分配室と交差することができる。2枚のガス出口プレートが直接的に互いに隣接する場合、ガス分配室と交差する分離ラインが形成される。それにより、個々のガス出口プレートからなるガス出口面は、製造技術上、簡易な方法で作製可能である。さらに、互いに結合したガス出口プレートが分離ゾーンの領域で互いに向かってわずかに移動可能であることが好適である。隣接するガス出口プレートは、分離ゾーン又は分離ラインに沿って蝶番状に互いに対して変位することができることが提示される。適切な調整要素を用いて、プロセスチャンバの床に対する各ガス出口プレートの高さを調整することができる。
【0013】
上述した技術的特徴に替えて、又はそれと組み合わせて、本発明による装置は、2枚の隣接するガス出口プレートが分離ゾーンにおいてオーバーラップすることによっても改良され得る。このために、ガス出口プレートは、断面において切り欠きをもつ突起を有する。断面において切り欠きをもつ突起が互いに重なり合って掛合することにより、プロセスチャンバに向いた広い面に隣接するガス出口プレートと、ガス分配室に向いた広い面に隣接するガス出口プレートとが、同一平面で互いに重なる。
2枚の互いに隣り合って配置されたガス出口プレートの固定は、螺合によって行うことができ、その場合、螺合される螺子は、ガス出口プレートがオーバーラップする領域を通って締結される。
2枚の隣接するガス出口プレートの直接的なオーバーラップではなく、接続片を設けることもできる。この接続片は、好適には、ガス出口プレートの約半分の材料厚さを有することが好適であり、断面においてそれぞれ切り欠きをもつ2つの突起により形成された同一平面の1つの凹部内に位置し、その凹部はガス分配室の方に向いていることが好適である。
各ガス出口プレートは、少なくとも1つのハンガーにより上向きに固定されることが好適である。そのハンガーは、ガス入口部材の後壁、ハウジングの天井、又は、ハウジングの天井に取り付けられた支持フレームワークに固定することができる。少なくとも幾つかのガス出口プレートは、少なくとも3つのハンガーにより取り付けられる。
各ガス出口プレートは、その全面に亘って実質的に均一に配置されたガス出口孔を有することにより、ガス出口面全体がシャワーヘッドの形態に形成される。
ガス出口プレートを加熱することができる加熱装置を設けることが提示される。各ガス出口プレートがそれぞれに割り当てられた加熱装置を有することができる。加熱装置は、電流を流すことにより加熱されるフィラメントとすることができる。これは、ガス分配室の方に向いたガス出口プレートの広い面の溝に収容することができる。
基板に対する各ガス出口プレートの鉛直位置を調整可能な調整要素が設けられる。この調整要素は、ガス出口面の後壁に配置されることが好適である。それらは、ハンガーの後壁側の上端に設けることができる。調整要素は螺子要素とすることができ、例えば、螺子付きシャフトと協働するナットである。
サセプタが冷却装置を設けられる。これは、サセプタ内に配置された冷却ダクトにより形成される。
ハウジングからプロセスガス又は搬送ガスを出すためのガス出口部材が、真空ポンプに接続されることができ、それによりハウジングを排気可能である。
ハンガーは、ガス状のプレカーサと直接接触できないように配置されていることが好適である。
ガス出口プレートの高さ位置及びその鉛直位置はまた、個別に調整可能であるように設けられる。連続的なガス出口面を形成するために用いられるガス出口プレートは、互いに異なる大きさを有することができる。ガス出口プレートは、長方形の形状を有すると共にエッジを有し、それらのエッジは、隣り合う2枚のガス出口プレートがオーバーラップすることによって互いに結合可能であるように構成されることが好適である。分離ゾーンと一致するオーバーラップゾーンは、ガス出口プレート上において直接隣接して配置された2つのガス出口孔の間の距離よりも短い幅を有する。機械的、特に電気機械的な調整要素を設けることができ、それを用いてハンガーに掛けることにより、サセプタの上方のガス出口プレートの高さを調整することができる。
本発明の変形においては、第2のハンガーが設けられ、それを用いてガス入口部材の後壁を、ハウジングの天井又はハウジングの天井に固定された支持フレームワークのいずれかから吊り下げることができる。
【0014】
本発明の実施形態の例は、以下に示す添付の図面を参照して説明されるが、図面はコーティングシステムの構成要素を単に概略的に示している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態のコーティング装置の断面図であり、3枚の出口プレート10、11、12が、1つのガス分配室5に割り当てられたガス出口面2’を形成している。
【
図2】
図2は、均一なガス出口面を形成する10枚の異なる大きさのガス出口プレート10〜19の組合せの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、OLEDを堆積するためのコーティング装置のハウジング1を概略的に示している。ハウジング1の内部には、平坦で中空の筐体であるガス入口部材2を有し、それは後壁22を具備し、それに対し、全部で3枚のガス出口プレート10、11、12がハンガー20により固定されている。
【0017】
ガス出口面2’を形成するガス出口プレート10、11、12の下方に、数センチメートルの高さのプロセスチャンバ7が配置されている。プロセスチャンバ7の床は、サセプタ9の上向きの表面であり、それは、少なくとも1平方メートルのコーティングされる基板8を担持する。好適には長方形のサセプタ9の対角線は、約2〜3メートルである。サセプタ9の内部には、冷却液体の通路となる冷却ダクト23がある。
【0018】
ガス出口面2’は、サセプタ9の表面全体に亘って延在している。従って、それは2〜3メートルの対角線を有する。
【0019】
筐体形状のガス入口部材2は、側壁5’を形成している。側壁5’は、一繋がりのガス分配室9を取り囲み、ガス分配室9は、外部からの供給管4から、搬送ガスとそれにより搬送されるガス状のプレカーサとを供給される。
【0020】
ガス入口部材2は、ハンガー21によりハウジング1の天井の下面に固定されている。このために、ハンガーは、その一端でハウジング1の天井に、その他端でガス入口部材の後壁22に固定されている。後壁22上にハンガー20が固定され、ハンガー20は後壁22からガス出口プレート10、11、12まで延在している。従って、ガス出口プレート10、11、12の各々は、少なくとも1つのハンガー20により後壁22に固定されている。
【0021】
隣り合う2枚のガス出口プレート10、11、12は、分離ゾーン10’、11’で互いに結合されている。従って、分離ゾーンは、ガス分配室5の下方において側壁5’から離れた位置に自由に延在しており、よって分離ゾーンには、局所的に壁等が全く割り当てられていない。この実施形態の例においては、各分離ゾーン10’、11’に、断面においてz形状をもつ直線状に延在する掛合エッジが形成され、その上で隣り合う2枚のガス出口プレート10、11、12が互いに掛合している。分離ゾーン10’、11’の領域において、互いに掛合する2枚のガス出口プレート10、11、12がオーバーラップしている。
【0022】
各ガス出口プレート10、11、12は、多数のガス出口孔6を有する。符号3は、加熱装置を示しており、それによりガス出口プレート10、11、12を加熱することができる。加熱装置3を用いてガス出口プレート10、11、12は、有機開始物質の凝縮温度より高い所定の温度に加熱される。有機開始物質は、プロセスチャンバ7に供給されるために、供給管4を通ってガス分配室5に供給されそしてガス出口孔6を通ってガス分配室5から出て行く。有機開始物質は、蒸気として基板8の表面に到達し、そこで蒸気は、コーティングを形成しつつ凝縮する。
【0023】
図2に示した実施形態の例は、全部で10枚のガス出口プレート10、11、12、13、14、15、16、17、18、19から形成されたガス出口面を示している。各ガス出口プレート10〜19は長方形の形状を有する。それらは互いに前後及び左右に並列に配置されている。それらは異なる大きさを有する。ガス出口プレート10〜19は、二次元マトリクスの形態で1つの面内に配置されている。
【0024】
隣り合う2枚のガス出口プレート10〜19は、直線状に延在する分離ゾーン10’、10”、11’、11”、12’、12”、13’、13”、14”、15’、16’、17’及び18’において互いに掛合している。幾つかのガス出口プレート、すなわちガス出口プレート11、12、13、15、16、17は、全部で3つの互いに直角であるエッジを有し、それらは隣り合うガス出口プレートのエッジと互いに突き合わされている。隣り合うガス出口プレート10〜19は、オーバーラップ領域を形成して互いに掛合しており、そのオーバーラップ領域は、隣り合う2枚のガス出口プレートの広い面が同一の平面で互いに結合されるように構成されている。
【0025】
図3は、ガス出口プレート17と18の間の分離ゾーン17’の拡大図を示している。ガス出口プレート17は、断面において切り欠きのあるエッジ領域を有することにより、突起24とその上に重なる自由空間が形成されている。同様に、ガス出口プレート18のエッジは、断面において切り欠かれていることにより、そこに突起25がその上に重なる自由空間と共に形成される。2つの突起24、25はこのようなオーバーラップを生じることができ、それにより螺子26が突起25の孔を通って挿入され、そして突起24の内螺子に螺合されることができる。それによって、隣り合う2枚のガス出口プレート17、18を互いに結合することができる。
【0026】
さらに
図3は、溝27に載置されたヒーター3も示しており、それによりガス出口プレート17、18が加熱されることができる。各ガス出口プレート17、18がそれぞれヒーター3を割り当てられることにより、ガス出口プレート17、18を個別に加熱可能である。
【0027】
図4は、
図3に替わる構成を示す。この場合も、隣り合う2枚のガス出口プレート17、18のエッジがそれぞれ突起24を形成する。しかしながら、2つの突起24は、上向きの、ガス分配室の方に開口した1つの溝を形成している。この開口した溝の中に接続片28が載置される。この接続片は、ガス出口プレート17、18の材料厚さの約半分の厚さを有する。接続片28の突起24との接続は、この場合も螺子26を用いて行われる。
【0028】
図5に示した実施形態の例では、調整要素32が示されており、それを用いてハンガー20の効果的な長さを調整することができる。調整要素32は、ここではガス入口部材2の後壁上に配置されている。それらは、螺子付きシャフトに締結されるナットとすることができ、ナットの回転によって、ガス出口プレート11、12に端部を固定されたハンガー20の効果的な長さを調整できる。
【0029】
ハンガー21により、ガス入口部材2の全体が、熱的に安定した支持フレームワーク29に固定されている。支持フレームワーク29は、十分な剛性を有することにより、ハウジング1の排気によっても加熱によっても、いかなる顕著な作用においても変形しない。支持フレームワーク29は、固定要素30を用いてハウジング1の天井に固定されている。
【0030】
図6に示した実施形態の例は、実質的に
図5に示した実施形態の例に対応する。この場合も、ガス出口プレート11、12、13におけるガス分配室の方に向いた側にハンガー20が当接している。ハンガー20は、支持フレームワーク29に固定されている。そこにも、ハンガー20の効果的な長さを調整することによりサセプタに対するガス出口プレート11、12、13の鉛直位置を調整するために調整要素32が配置されている。支持要素31が設けられており、それはハンガー20と固く接続されると共にガス入口部材2の後壁22を支持している。この実施形態の例においては、ガス出口プレート10〜19が金属から作製される。金属表面はコーティングされてもよい。この実施形態の例では、1つの分配室のみを有するガス入口部材を示している。図示しない実施形態の例では、複数のガス分配室を具備するガス入口部材を有することにより、互いに異なるプロセスガスを分離してプロセスチャンバに導入することができる。
【0031】
上述した説明は、本願により包含される本発明を全体的に説明するためのものであり、それらはまた、少なくとも以下の特徴の組み合わせによっても各々独立しても従来技術を進展させるものである。すなわち:
【0032】
ガス出口面が、共通する面内に配置された複数のガス出口プレート10、11、12、13、14、15、16、17、18、19から形成されていることを特徴とする装置。
【0033】
隣り合うガス出口プレート10〜19が分離ゾーン10’、10”、11’、11”、12’、12”、13’、13”、14”、15’、16’、17’、18’の領域で互いに隣接して配置されており、その分離ゾーン10’、10”、11’、11”、12’、12”、13’、13”、14”、15’、16’、17’、18’は、ガス分配室5の容量を規定する側壁5’から離れて配置されていることを特徴とする装置。
【0034】
プロセスチャンバの床に対するガス出口プレート10〜19の距離を調整するために、隣り合う2枚のガス出口プレート10〜19は、それらの共通する分離ゾーン10’、10”、11’、11”、12’、12”、13’、13”、14”、15’、16’、17’、18’に沿って蝶番状に互いに変位することができることを特徴とする装置。
【0035】
隣り合う2枚のガス出口プレートが、分離ゾーン10’、10”、11’、11”、12’、12”、13’、13”、14”、15’、16’、17’、18’の領域でオーバーラップするか又は接続片28によりオーバーラップされることを特徴とする装置。
【0036】
各ガス出口プレート10〜19が、少なくともハンガー20によりガス入口部材2の後壁22、ハウジングの天井又は支持フレームワーク29に固定されていることを特徴とする装置。
【0037】
ガス出口プレート10〜19の吊り下げのために少なくとも3つのハンガーが用いられることを特徴とする装置。
【0038】
ガス出口プレート10〜19を加熱するための加熱装置3を特徴とする装置。
【0039】
ハンガー20が、ガス出口プレート11〜19の鉛直位置を調整するために調整要素32を有し、その調整要素が特にガス入口部材の後壁に配置されていることを特徴とする装置。
【0040】
ガス出口プレート10〜19が、分離ゾーンにて断面における切り欠きをもつ突起24、25を有し、それらがオーバーラップするか、又は、接続片28によりオーバーラップされることにより、分離ゾーン10’、10”、11’、11”、12’、12”、13’、13”、14”、15’、16’、17’、18’で互いに掛合する2枚のガス出口プレート11〜19の広い面が同一の平面となるように互いに結合することを特徴とする装置。
【0041】
各ガス出口プレート11、19がそれぞれ加熱可能な加熱要素3を割り当てられていることを特徴とする装置。
【0042】
ガス出口プレート10〜19のガス出口面が互いに異なる大きさで形成されていることを特徴とする装置。
【0043】
開示された全ての特徴(それ自体もまた互いの組合せにおいても)本発明の本質である。本願の開示には、関係する優先権書類(先願の複写)もまたその全体が、それらの書類の特徴を本願の請求の範囲に組み込む目的も含め、ここに包含される。従属項はその構成により特徴付けられ、従来技術に対する独立した進歩性ある改良であり、特にこれらの請求項に基づく分割出願を行うためである。
【符号の説明】
【0044】
1 ハウジング
2 ガス入口部材
2’ ガス出口面
3 ヒーター要素
4 ガス供給管
5 ガス分配室
5’ 側壁
6 ガス出口孔
7 プロセスチャンバ
8 基板
9 サセプタ
10 ガス出口プレート
10’、10” 分離ゾーン
11 ガス出口プレート
11’、11” 分離ゾーン
12 ガス出口プレート
12’、12” 分離ゾーン
13 ガス出口プレート
13’、13” 分離ゾーン
14、14’ ガス出口プレート
14” 分離ゾーン
15 ガス出口プレート
15’ 分離ゾーン
16 ガス出口プレート
16’ 分離ゾーン
17 ガス出口プレート
17’ 分離ゾーン
18 ガス出口プレート
18’ 分離ゾーン
19 ガス出口プレート
20、21 ハンガー
22 後壁
23 冷却ダクト
24、25 突起
26 螺子
27 溝
28 接続片
29 支持フレームワーク
30 固定具
31 支持要素
32 調整要素