特許第6754447号(P6754447)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6754447測定台上のマスクホルダの位置を検出する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6754447
(24)【登録日】2020年8月25日
(45)【発行日】2020年9月9日
(54)【発明の名称】測定台上のマスクホルダの位置を検出する方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20200831BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20200831BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20200831BHJP
【FI】
   G01B11/00 H
   G03F7/20 521
   G03F9/00 H
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-555472(P2018-555472)
(86)(22)【出願日】2017年4月20日
(65)【公表番号】特表2019-515267(P2019-515267A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】EP2017059370
(87)【国際公開番号】WO2017182558
(87)【国際公開日】20171026
【審査請求日】2018年11月27日
(31)【優先権主張番号】102016107524.8
(32)【優先日】2016年4月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ソロワン ハンス−ミハエル
【審査官】 國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−317367(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0225554(US,A1)
【文献】 特開昭64−009303(JP,A)
【文献】 米国特許第05798947(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第102006059440(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G03F 7/20
G03F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトリソグラフィマスク(2)のためのマスクホルダ(1)の位置を測定する方法であって、
前記マスクホルダ(1)の位置を測定するための測定装置の測定台上で前記マスクホルダ(1)をマスク(2)と位置決めするステップと、
− 前記マスクホルダ(1)をアルゴリズムによって測定するステップと、
− 前記測定台上の前記マスクホルダ(1)の絶対位置を、後の測定のために記憶するステップと
を含む方法において、
前記後の測定において記録される少なくとも1つの前記マスクホルダ(1)の測定画像と比較するための少なくとも1つの前記マスクホルダ(1)の基準画像が記録および記憶されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記マスクホルダを測定する目的で、エッジ検出アルゴリズムによってホルダ縁部が測定されることを特徴とする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基準画像が、ホルダ縁部の一部分を含む
ことを特徴とする、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記後の測定が、
− 再び、前記マスクホルダ(1)が装着され、
− 前記マスクホルダ(1)が、前記記憶された絶対位置に位置決めされ、
− 少なくとも1つの前記マスクホルダ(1)の測定画像が記録され、
前記測定画像の少なくとも1つの部分と前記基準画像の少なくとも1つの部分とを比較することによって、前記マスクホルダ(1)の新しい位置の相対位置が判定される
ことを特徴とする、
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記比較が、2次元の相関画像分析によって実施される
ことを特徴とする、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記測定台上の前記マスクホルダ(1)の前記位置の系統的誤差を判定する目的で、異なる回転位置で前記マスク(2)の幾何学的パラメータが測定される
ことを特徴とする、
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記マスク(2)は、それぞれ90°ずれた4つの回転位置で測定され、各回転位置に対して、前記マスク(2)上の位置マークの中心度が判定される
ことを特徴とする、
請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、内容がすべて参照により本明細書に組み込まれている、独国特許出願第DE102016107524.8号の優先権を主張する。
本発明は、半導体リソグラフィ用のマスクのためのマスクホルダの位置を検出する方法、特にこの目的で使用される測定システムを較正する方法に関する。そのようなマスクは通常、半導体構成要素の製作の範囲内で、半導体基板、いわゆるウェーハ上で撮像される構造、いわゆるパターンを含む。
【背景技術】
【0002】
前述のマスクの製作およびその後の適用の範囲内では、マスク上のパターンの絶対位置を判定することが必要である。この目的で、通常、この用途のために特別に開発された座標測定機械が使用される。ここでは例示として、Carl Zeiss SMT GmbHによる市販のPROVE(登録商標)システムを指定する。前述のシステムは、特に、たとえばこの目的でマスクに取り付けられているマーク、いわゆる位置合わせマークを使用して、マスク上のパターンの絶対位置を測定する。マスク上に存在する他の構造を、この目的で使用することもできる。その後、このように確立されたマスク上のパターンの位置決め誤差に基づいて、マスクの製作に積極的に介入すること、またはさらに投影露光装置内で半導体ウェーハを露光するとき、確立された位置決め誤差を情報として適宜使用することが可能である。
さらに、マスクを製作する目的で、他のパラメータの多様性に加えて、いわゆる中心度を判定することが重要である。中心度とは、マスクのガラス体の重力中心に対するパターンの質量中心の相対オフセットであると理解される。このオフセットは、実際には、位置合わせマークに対するパターンの相対位置とは無関係であり、その判定には、マスク体のガラス縁の位置に関する知識が必要である。この目的で、一般に、マスクホルダの縁部に対するマスク体のガラス縁の相対位置が最初に判定される。ここでマスクホルダの縁部の位置が測定システムの座標系内で分かっている場合、適した変換によってマスク体の縁部の位置を判定し、したがって最終的に特に中心度を判定することが可能である。したがって、中心度の判定の再現性、また最終的に精度のため、特に測定機械内の座標系内のマスクホルダの縁部の位置に関する正確な知識を得ることが重要である。
【0003】
ここで、マスクホルダは、ほぼ正方形の切抜き内でマスクを保持するように設計される。ここで、マスクホルダの内縁部は、このように形成された正方形の辺に対応し、各辺に2つの実質上方形の突出部、いわゆる突起が位置し、これらの突出部によって、マスクホルダの縁部位置が判定される。この目的で、ホルダの縁部プロファイルを判定することを可能にするために、辺ごとに突起上の2つの測定点が判定される。従来技術から知られている方法では、このプロセスで、縁部プロファイルに直線が近似される。しかし、この手順は、製造方法により、特にy方向にホルダ縁部の粗さまたは不規則性が大きいという理由で、誤差の影響を受ける。測定動作中にホルダ縁部を測定するために異なる画像部分が使用される場合、測定システムの測定台上のマスクホルダの配置公差があるという理由で、著しい測定誤差が生じる可能性がある。
【0004】
説明の目的で、測定システムにおける従来のプロセスについて、概要として以下に再度提示する。
1.測定台上のマスクホルダ位置を較正する(ホルダ較正)
a.マスクホルダにマスクを装着する
b.測定画像を記録し、縁部検出によってホルダ縁部を測定する
c.測定台上のホルダの測定された絶対位置を基準位置として保存する
2.日常測定動作中にマスクホルダにマスクを装着する
a.マスクホルダにマスクを装着する
b.較正中に保存された基準位置へ動く
c.測定画像を記録する
d.ホルダ位置が測定台上に位置する状態で、縁部検出によって結果としてマスクホルダ縁部を絶対的に測定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特にマスクホルダの測定の反復性を改善する方法を指定することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立請求項1の特徴を有する方法によって実現される。従属請求項は、本発明の有利な発展形態および変形形態に関する。
本発明による方法は、
− 測定装置の測定台上でマスクホルダをマスクと位置決めするステップと、
− マスクホルダをアルゴリズムによって測定するステップと、
− 測定台上のマスクホルダの絶対位置を記憶するステップとを含む。
本発明によれば、少なくとも1つの基準画像がさらに記録および記憶される。
マスクホルダを測定するステップは、画像処理によって容易に識別可能なマスクの特徴領域、すなわちパターンに基づいて実施することができる。本発明の有利な変形形態では、測定するステップは、マスクホルダを測定する目的で、縁部検出アルゴリズムによってホルダ縁部を測定することによって実施することができる。
特に、基準画像は、ホルダ縁部の一部分を含むことができるが、原則的には、基準画像を製作するために、ホルダの他の特徴領域を使用することもできる。
【0007】
次いで、測定画像を記録するステップ(たとえば、特に不規則に形成された縁部に対しても、厳密な縁部プロファイルが記録される)では、後述するように、後の測定方法において、測定のさらなる再現性を実現することが可能である。
この方法では、
− 再び、マスクホルダが最初に装着され、
− マスクホルダが、記憶された絶対位置に位置決めされ、
− 少なくとも1つの測定画像が記録され、
− 測定画像の少なくとも1つの部分と基準画像の少なくとも1つの部分とを比較することによって、マスクホルダの新しい位置の相対位置が判定される。
ここで、特に上述した比較は、2次元の相関画像分析によって行うことができる。
【0008】
測定画像と基準画像との間の上述した比較の結果、基準画像と測定画像との間の相対オフセットを判定することが可能になり、したがってホルダ位置の個々の測定の再現性が、複数の測定サイクルにわたって(すなわち、ホルダとマスクとの複数の配置プロセスにわたって)著しく増大する。ホルダ縁部の構造によって、確実な2次元の画像相関が容易になる。2次元の画像相関は、マスクホルダの製作中に生じ、変化しない。すなわち2次元の画像相関は、マスクホルダの一種の指紋に相当し、これに基づいて、基準画像に対する測定画像内でのホルダの変位を明瞭に判定することが可能である。製作プロセスによってホルダ縁部の構造が不規則になるという理由で、測定画像と基準画像との間の比較は、測定点ごとに単一の測定画像に基づいて実施することができる。この場合、特にx方向におけるホルダ縁部の不規則性は、表面上は望ましくないが、有利になる傾向がある。完全にまっすぐな縁部の場合、縁部方向に沿って基準画像に対する測定画像のオフセットを検出することは不可能なはずである。しかし、ホルダの回転も確実に判定することが可能になるように、少なくとも2つの測定画像を記録することが有利である。
上述した較正に続いて、フォトマスクによる自動較正方法を適用することによって、著しく増大した再現性の結果、次に絶対精度も同様に著しく増大させることができる。
ここで、測定台上のマスクホルダの位置の系統的誤差を判定する目的で、異なる回転位置でマスクの幾何学的パラメータを測定することができる。
特に、マスクは、それぞれ90°ずれた4つの回転位置で測定することができ、ここで、各回転位置に対して、マスク上の位置マークの中心度を判定することができる。
【0009】
マスクホルダの位置を再現可能に、すなわち未知であるが一定の誤差によって、設定することが可能である結果、(誤差の影響を受けている)最初の基準位置に対するマスクホルダの現在の位置のオフセットがここで分かっているという理由で、最終的に、従来技術から知られている方法を使用して以前可能であった場合より実質上正確に誤差自体を確立することが可能になる。この目的で、マスクホルダ座標系の原点に対するマスク座標系の原点のオフセットが、上述したマスクの回転によって判定される。このオフセットがゼロに等しくないそのような場合、(同時回転する)マスクホルダ座標系における回転のそれぞれの異なる角度位置に対して異なる値が生じ、したがって4つの回転位置の場合、マスクホルダの座標系内で、円弧上に位置する4つの点が得られる。次いで、測定台上、すなわち機械座標系内のマスクホルダの位置を判定するとき、円の半径から絶対誤差を導くことができる。
したがって、測定システムの絶対精度を著しく増大させることができる。
本発明の例示的な実施形態および変形形態について、図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】マスクが配置されたマスクホルダの概略図である。
図2】選択された領域内のマスク縁部の例示的なプロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な図において、図1は、図示しない3つの点支承部にマスク2が配置されたマスクホルダ1を示す。典型的には、マスクホルダ1は、測定すべきマスク2を受け取り、測定の持続時間にわたって、測定システムの測定台上にマスク2を支承するために使用され、マスクホルダ1は通常、異なるマスクを連続して受け取るために使用される。上述したように、マスク2上の構造を精密かつ再現可能に測定するには、測定台上のマスクホルダ1の位置に関する正確な知識が重要である。しかし、測定台上のマスクホルダ1の位置の確立には、系統的誤差が含まれ、前記系統的誤差は、マスクホルダ1の構造自体によって生じる。測定台上のマスクホルダ1を測定する目的で、マスク2に面するマスクホルダ1の内側で、図示されているが別個にラベル付けされていない測定点が使用される。
【0012】
この図の断面拡大図から、これらの測定点は、いわゆる突起3、すなわち実質上方形の突出部の領域内に位置することが明らかである。これらの突起3は、x方向の縁部と、y方向の2つの縁部との両方を有するため、光学顕微鏡によるマスクホルダ1の測定は、突起3に基づいて、両方の方向で行うことができ、この目的でマスクホルダ1を長い経路にわたって変位させる必要はない。ここで、突起3を省略できる変形形態も考えられる。識別の目的で、後述する図2では、縁部に昇順で数字が与えられている。
図2図1の断面拡大図内にこのように示した領域内の縁部プロファイルを例示的に示し、前記縁部プロファイルは、光学顕微鏡によって確立されたものである。特にy方向における個々の不規則な縁部プロファイルがはっきりと識別可能である。次にマスクホルダ1が測定台上へ配置されると、この目的で使用される取扱いロボットの位置決め精度が有限であるという理由で、測定台上のマスクホルダ1の第1の基準位置に対して、たとえばx方向に沿って特定のオフセットが生じることがある。しかし、このオフセットにより、y縁部(すなわち、マスクホルダ1のy位置を判定するために使用されるx方向に延びる縁部)は、この縁部に直線を適合させることによって、縁部の一部分が基準位置から逸脱していることに基づいて判定される。次いで、図2にはっきりと見えるy縁部の不均質性は、結果として、y位置の誤った判定をもたらす。しかし、測定に使用される領域内の縁部のプロファイルが基準位置に対しても保存される場合、xおよびy方向における基準測定に対するその部分、したがってマスクホルダ1のオフセットを判定することが可能であり、また縁部部分の現在記録されている画像と、基準測定に基づいて記録された画像との比較に基づいて、厳密にはy縁部など、特に不規則に延びる縁部に対する可能な傾斜を判定することも可能である。したがって、測定台上のマスクホルダの位置の判定は、全体的により再現可能になり、これは上述したように、マスクホルダ1の位置を確立するときに系統的誤差を判定する可能性も開く。
図1
図2