(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演算処理手段が、前記2つの撮像手段のうちの、一方の撮像手段により撮像された前記第1のページデータ画像の明るさに対する、他方の撮像手段によりノイズ画像として撮像された前記第1のページデータ画像の明るさの比率αを求める比較評価器と、該比較評価器により求められた該比率αを、前記一方の撮像手段により撮像された前記第1のページデータ画像の明るさAに乗じてα・Aを求める乗算器と、前記他方の撮像手段により撮像された前記第2のページデータ画像の明るさBから、該乗算器により求められた明るさα・Aを減算する減算器とからなることを特徴とする請求項1に記載のホログラム再生装置。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量かつ高速な情報記録を可能としたホログラム記録媒体が注目されている。
ホログラム記録再生装置においては、記録したい情報を担持した信号光と、記録用参照光を干渉させ、生じた干渉縞を記録媒体に屈折率変化として記録・保持する。信号光は「ページデータ」と称される2次元データ画像により空間的に変調され、レンズを通じてホログラム記録媒体へ照射される。
【0003】
そして、ホログラム記録媒体の再生装置においては、記録したときと同一の参照光の波長や入射角度(入射角度については、記録したときと反対の位置からの参照光の入射も可)を選択すれば、記録したページデータを再生することができる。
さらに記録媒体の高密度化・大容量化を目的として、参照光の条件(例えば記録媒体への入射角度、波長、あるいは波面等)を変化させながら、媒体の同一箇所に複数のページデータを多重して記録する多重記録方式の提案も各種なされている。
【0004】
上述したように、ホログラム記録媒体は多重記録が可能で、多重数を増加させれば記録密度も増加するので、多重数を増加させるために、例えば角度多重においては、隣接するホログラム記録の角度間隔を小さくすることが行われる(例えば特許文献1を参照)。
【0005】
このようなホログラム再生装置において、本願発明者等は、2枚のページデータを同時に再生することにより、再生時のデータ読み出し速度を従来の2倍とし得る提案をしている。
【0006】
このホログラム再生装置は、ホログラム記録媒体に照射された参照光のうち、情報再生に寄与した光のその余の光の大部分がホログラム記録媒体を透過するため、この透過光を再度、参照光として利用し、ホログラム記録媒体から2つの参照光によって2つのページデータを同時に再生し、もって再生速度の倍速化を図る、との本願発明者の着想に基づくものである(特許文献2を参照)。
【0007】
なお、最初にホログラム記録媒体に照射する第1の参照光と、ホログラム記録媒体を透過して、再びホログラム記録媒体に照射される第2の参照光は、一方をp偏光、他方をs偏光とすることにより、それらの照射により再生された、第1の再生光と第2の再生光も、一方がp偏光、他方がs偏光とされ、1つの偏光ビームスプリッター(PBS)により互いに分離されて、それぞれ対応するカメラにより、担持した情報を撮像することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述したように、2つの再生光は偏光ビームスプリッター(PBS)によって互いに分離されるが、完全に分離することは難しく、その分離度はPBSの消光比等により表されるものとなっている。例えば第1の再生光の一部の成分が漏れ出し、第2の再生光を撮像するカメラ2で撮像されることがある。
【0010】
すなわち、各カメラにおいて、撮像しようとしている再生光情報だけではなく、他のカメラが撮像しようとしている再生光情報も同時に取得してしまい、これによりクロストークが生じ、再生したページデータの信号対雑音比(以下、SNR(Signal to Noise Ratio)と称する)が低下したり、再生データのビットエラーの原因となってしまう。
【0011】
また、従来の一般的なホログラム記録再生装置においても、高密度記録のためにクロストークが生じない、限界に近い密な角度間隔で多重記録を行う必要があるが、再生時に参照光の入射角度に誤差が生じると、それが微小な角度であっても、誤差により近づいた側に位置する隣接するページデータ情報が同時に再生されてしまい、ページ間クロストークが生じ、やはり、SNRが低下したり、再生データのビットエラーの原因となってしまう。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、クロストークノイズとして他のページデータが重畳された再生ページデータから、該クロストークノイズ成分を除去し得るホログラム再生装置およびホログラム再生方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
また
、本発
明のホログラム再生装置は、
ページデータに係る像情報を担持した信号光と記録用参照光とを干渉させて形成した干渉縞を、所定の条件を変化させながら、同一位置に複数重畳させて
ホログラム記録媒体に多重記録してなるホログラムに対し、再生用参照光を各ページデータの記録に応じた前記所定の条件で入射せしめて、前記ホログラムに多重記録されてい
たページデータ像情報を再生するホログラム再生装置において、
前記再生用参照光を、p偏光およびs偏光のいずれかである第1参照光に調整して出力する第1の参照光偏光調整手段と、
該第1の参照光偏光調整手段からの前記第1参照光について、前記ホログラムに前記所定の条件で入射するように前記所定の条件の調整を行う第1の所定条件調整手段と、
該第1の所定条件調整手段から出力され、前記ホログラ
ムに入射した前記第1参照光のうち、該ホログラム記録媒体を透過した偏光を、p偏光およびs偏光のうち、前記第1参照光とは異なる偏光である第2参照光に調整して出力する第2の参照光偏光調整手段と、
該第2の参照光偏光調整手段からの第2参照光について、前記ホログラ
ムに、前記所定の条件とは異なる条件で入射するように前記所定の条件の調整を行う第2の所定条件調整手段と、
前記第1参照光の照射により前記ホログラム記録媒体から発生する第1再生光と、前記第2参照光の照射により前記ホログラム記録媒体から発生する第2再生光とを分離する再生光分離手段と、
前記分離された2つの再生光に担持されたホログラム情報を、各々撮像する2つの撮像手段と、を備え、
前記第2再生光に担持された第2のページデータ像情報を撮像することにより得られた第2のページデータ画像に、前記第1再生光に担持された第1のページデータ像情報によるノイズ画像が混入してページデータ間クロストークが生じている場合に、前記
第1のページデータ像情報を撮像することにより得られた第1のページデータ画像の一部領域の明るさに対する、該一部領域に対応する前記ノイズ画像の一部領域の明るさの比率αに基づき前記ノイズ画像全体の明るさを求め、前記第2のページデータ画像の明るさから前記ノイズ画像の明るさを減算する演算処理手段を備えたことを特徴とするものである。
ここで、「ホログラム再生装置」とは、多重して記録された情報を再生する機能のみを有するもののみならず、情報をホログラムに多重記録する機能を併せ有するものも含めて称するものとする。
【0016】
また、前
記ホログラム再生装置において、
前記演算処理手段が、前記2つの撮像手段のうちの、一方の撮像手段により撮像された前記第1のページデータ画像の明るさに対する、他方の撮像手段によりノイズ画像として撮像された前記第1のページデータ画像の明るさの比率αを求める比較評価器と、該比較評価器により求められた該比率αを、前記一方の撮像手段により撮像された前記第1のページデータ画像の明るさAに乗じてα・Aを求める乗算器と、前記他方の撮像手段により撮像された前記第2のページデータ画像の明るさBから、該乗算器により求められた明るさα・Aを減算する減算器とからなることが好ましい。
【0019】
前
記ホログラム再生装
置において、前記所定の条件が、前記参照光のホログラムへの入射角度とされていることが好ましい。
【0020】
また、本発明のホログラム再生方法は、
ページデータに係る像情報を担持した信号光と記録用参照光とを干渉させて形成した干渉縞を、所定の条件を変化させながら、同一位置に複数重畳させてホログラム記録媒体に多重記録してなるホログラムに対し、再生用参照光を各ページデータの記録に応じた前記所定の条件で入射せしめて、前記ホログラムに多重記録されていた前記ページデータ像情報を再生するホログラム再生方法において、
前記再生用参照光を、p偏光およびs偏光のいずれかである第1参照光に調整して出力する第1の参照光偏光調整工程と、
該第1の参照光偏光調整工程により調整された前記第1参照光について、前記ホログラムに、前記所定の条件で入射するように前記所定の条件の調整を行う第1の所定条件調整工程と、
該第1の所定条件調整工程により前記所定の条件の調整がなされた、前記ホログラムに入射した前記第1参照光のうち、該ホログラム記録媒体を透過した偏光を、p偏光およびs偏光のうち、前記第1参照光とは異なる偏光である第2参照光に調整して出力する第2の参照光偏光調整工程と、
該第2の参照光偏光調整工程により調整された前記第2参照光について、前記ホログラムに、前記所定の条件とは異なる条件で入射するように前記所定の条件の調整を行う第2の所定条件調整工程と、
前記第1参照光の照射により前記ホログラム記録媒体から発生する第1再生光と、前記第2参照光の照射により前記ホログラム記録媒体から発生する第2再生光とを分離する再生光分離工程と、
前記分離された2つの再生光に夫々担持されたホログラム情報を、各々撮像する撮像工程と、をこの順に行い、
前記第2再生光に担持された第2のページデータ像情報を撮像することにより得られた第2のページデータ画像に、前記第1再生光に担持された第1のページデータ像情報によるノイズ画像が混入してページデータ間クロストークが生じている場合に、前記第1のページデータ像情報を撮像することにより得られた第1のページデータ画像の一部領域の明るさに対する、該一部領域に対応する前記ノイズ画像の一部領域の明るさの比率αに基づき前記ノイズ画像全体の明るさを求め、前記第2のページデータ画像の明るさから前記ノイズ画像の明るさを減算することを特徴とするものである。
【0021】
ここで、「ホログラム再生方法」とは、記録された情報を再生する機能のみを有するもののみならず、情報をホログラムに記録する機能を併せ有するものも含めて称するものとする。
【発明の効果】
【0022】
本発明のホログラム再生装置および方法によれば、第1のページデータ像情報および第2のページデータ像情報のうち、いずれか一方を再生したことにより得られたページデータ画像に、いずれか他方によるノイズ画像が混入してページデータ間クロストークが生じている場合に、演算処理手段において、ページデータ画像の一部領域の明るさに対する、該一部領域に対応する該ノイズ画像の一部領域の明るさの比率αに基づき該ノイズ画像全体の明るさを求め、いずれか一方のページデータ画像から前記ノイズ画像を減算するように構成しているので、クロストークにより実際に混入しているノイズ画像の各画素の明るさを簡易、かつ正しく求めることができ、クロストークによるノイズ画像を除去したページデータ画像を求めることができる。
これにより、再生されたページデータのSNRやビット誤り率を大幅に向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例1に係るホログラム再生装置およびホログラム再生方法を、図面を参照しながら説明する。
【0025】
この実施例1に係るホログラム再生装置は、ホログラム記録媒体の記録機能および再生機能を備えた記録再生装置として構成されている。本実施例において、記録機能は、複数枚のページデータ情報を角度多重によりホログラム記録媒体に記録するものであり、再生機能は、角度多重によりホログラム記録媒体に記録された複数枚のページデータ情報を、同時に2ページずつ再生するものである。
【0026】
なお、ホログラム記録媒体11(
図1を参照)は、例えばフォトポリマーで構成される。
【0027】
実施例1にかかるホログラム再生装置は、異なるページデータ情報を同時に読み取り、それぞれのページデータ情報を担持した2つの再生光をPBS8(
図1を参照)で分離し、各々対応するカメラ13a、13b(
図1を参照)により撮像するものであるが、このPBS8における消光比に応じて、各々他方向に再生光が漏れて、クロストークが生じることから、演算処理手段61(
図1を参照)において、目的とするページデータ画像からこの漏れ光にかかるノイズ画像分を差し引くことによりSNRおよびビットエラーが大幅に改善されたページデータ画像を得ることができる。
【0028】
以下、実施例1にかかるホログラム再生装置の光学系を
図1を用いて具体的に説明する。
図1に示すように、記録時において、レーザ光源1から出射されたコヒーレントなレーザ光束は、図示されないシャッタを通過し、発散レンズ2、空間フィルタ3およびコリメートレンズ4からなるビームエキスパンダにより光束径を拡大され、半波長板5を通過し、ミラー6により直角に偏向され、偏光ビームスプリッタ(PBS:以下単にPBSと称する)7により2系の光束に分岐される。
【0029】
PBS7から図中左方に向かう光束(信号搬送用光:p偏光)は、PBS8を透過して
図1には示されない空間光変調器(SLM(振幅変調器):以下単にSLMと称する:記録時には、図示するカメラ13bと入れ替わるようにSLMが配置される)に照射され、該SLMにより空間的に変調されて、白、黒2値の画素が2次元配列されたデジタル画像からなるページデータ情報を担持した信号光とされる。なお、この振幅変調SLMは、丁
度、
図8に示す振幅変調SLM109と同様にして配置される。
また、SLMから出射(反射)された信号光は、入射した状態とは偏光状態が変化してs偏光とされており、PBS8において図中下方に反射され、レンズ(FTL)10によって光学的にフーリエ変換されてホログラム記録媒体11に照射される。
【0030】
一方、PBS7から図中下方に向かう光束(s偏光)は、参照光(記録時参照光)とされ、半波長板14(半波長板14の光学軸が入射光の偏光方位に合致するように調整しておく)を通過し、ミラー15により直角に偏向されるが、s偏光状態とされているためPBS16により反射され、PBS16から図中下方に向かうことになる。この光束はガルバノメータミラー17により角度制御され、リレーレンズ18を介して記録媒体11中の信号光が照射される場所へ、信号光とは別角度で照射され、これにより、記録媒体11の記録材料中に干渉縞模様の光の強弱に応じた屈折率変化が誘起され、これがホログラム情報として保持される。
【0031】
なお、本実施形態装置においては、角度多重記録が前提とされているので、ページデータを上記SLMに表示させ、逐次、上記SLMへのページデータの表示を更新しつつ、この更新毎に、参照光の記録媒体への入射角度をガルバノメータミラー17によって少しずつ変化させることにより、互いに異なるページデータを記録媒体中の同一位置へ多重記録することが可能となり、高密度な情報格納が可能となっている。
【0032】
なお、図示されない計測制御部は、記録時において、レーザ光源1の駆動制御、およびガルバノメータミラー17の角度制御を行うとともに、上記SLMに対してページデータを送出し、表示させるように指示する。
【0033】
次に、
図1を用いて、実施例1のホログラム再生装置の再生機能について説明する。
図1に示すように、ホログラム記録媒体11に記録されたページデータ情報を再生する場合には、半波長板14を調整することで、参照光の偏光方向を(s偏光からp偏光に)変換する。この参照光は、ミラー15で反射された後PBS16に到達するが、半波長板14によってp偏光とされているので、このPBS16を直進することになる。次に、ミラー20によって、図中下方向に反射され、p偏光とされていることからPBS21を透過する。PBS21を直進したp偏光の再生用参照光は、角度制御を行うガルバノメータミラー22およびリレーレンズ23を介して、記録媒体11中の信号光が照射された場所へ、その裏面側において記録用参照光の入射方向とは対向するような方向から照射される。
【0034】
ところで、ホログラム記録媒体11に照射された再生用参照光1は、ホログラム記録媒体11の内部で回折して再生光を生成するが、照射光の大部分は、再生光として寄与することなく、ホログラム記録媒体11をそのまま透過する。
本実施例では、このように透過された照射光の一部を参照光2として再度、ホログラム記録媒体11に照射するようにして、ホログラム記録媒体11からのデータの再生速度を2倍程度に増大させるようにしている。
【0035】
すなわち、ホログラム記録媒体11を透過したp偏光は参照光2とされ、記録用再生光の入射経路を逆行し、リレーレンズ18を通過し、ガルバノメータミラー17により反射され、PBS16を直進し、ミラー31により図中左方向に反射されて半波長板32に到る。この半波長板32では、p偏光がs偏光に変換され、この後、再生用参照光2は、ミラー33、ガルバノメータミラー34を介して、PBS21に到る。このときの再生用参照光2はs偏光であるから、PBS21で図中下方に反射され、角度制御を行うガルバノメータミラー22およびリレーレンズ23を介して、ホログラム記録媒体11中の参照光1が照射された場所へ、その裏面側において記録用参照光の入射方向とは対向するような
方向から照射される。
【0036】
なお、ホログラム記録媒体11への参照光2の入射角度は、参照光1の入射角度とは異なるように(通常は、ページデータが記録されている隣接ステップの入射角度分だけ異なるように)ガルバノメータミラー34の回転角度が制御される。すなわち、ガルバノメータミラー34は、記録媒体11に同時に入射されるp偏光とs偏光の入射角の角度差に対応させるために設けられたものである。
【0037】
このように、参照光2の照射によってホログラム記録媒体11から第2の再生光が射出される。この第2の再生光は、参照光1の照射によって、ホログラム記録媒体11から射出された第1の再生光と同一方向(図中上方向)に射出され、レンズ10を介してPBS8に照射される。このPBS8においては、p偏光である第1の再生光は透過し、s偏光である第2の再生光は反射することから、第1の再生光に担持されたページデータ情報はカメラ13aに入射して撮像され、一方、第2の再生光に担持されたページデータ情報はカメラ13bに入射して撮像される。
【0038】
この後、2つの参照光は、ガルバノメータミラー17、22、34の回転角度制御に応じ、順次、角度多重再生が行われるようにホログラム記録媒体11への入射角度が制御される。
これにより、参照光照射の長時間化または光源の高パワー化を図ることなく、同時に2つのページデータの角度多重再生を行うことができ、ホログラム記録媒体11からのデータの再生速度を2倍程度に増大させることができる。
なお、図示されない計測制御部は、再生時において、レーザ光源1の駆動制御、およびガルバノメータミラー17、22、34の角度制御を行うとともに、カメラ13a、13bから出力されたページデータ情報信号を加工し、図示されないモニター上に、ページデータ画像として表示させるように指示する。
【0039】
前述したように、上述したPBS8においては、分離面において、p偏光とs偏光を完全に分離することは難しい。すなわち、p偏光にかかる第1の再生光の大部分はカメラ1(13a)方向に直進するが、第1の再生光の一部は分離面で反射されてカメラ2(13b)に入射してしまい、逆に、s偏光にかかる第2の再生光の大部分はカメラ2(13b)方向に反射されるが、第2の再生光の一部は分離面を直進してカメラ1(13a)に入射してしまう。
【0040】
したがって、これら2つの再生光の間では、一部が各々他方向に漏れて、クロストークを生じさせることから、本実施例では、演算処理手段61において、目的とするページデータ画像からこの漏れ光にかかるノイズ画像分を差し引くようにしている。
【0041】
上記クロストークは、いずれのカメラ13a、13bによって撮像されたページデータ画像においても発生するが、
図4に示すように、カメラ2(13b)によって撮像されたページデータ画像の方が、状況はより深刻である。これは、第1の再生光よりも第2の再生光の方が、元々の光量が小さいこと、およびカメラ1(13a)においてノイズ光として撮像される第2の再生光の漏れ光よりも、カメラ2(13b)においてノイズ光として撮像される第1の再生光の漏れ光の方が、光量が大きいこと、という2つの理由からである。
【0042】
したがって、演算処理手段61においては、カメラ2(13b)によって撮像されたページデータ画像から、カメラ2(13b)において撮像された第1の再生光の漏れ光によるノイズ画像を減算するようにしている。以下、この減算処理について説明する。なお、
図3は、カメラ2(13b)によって撮像されたページデータ画像に第1の再生光の漏れ
光によるノイズ画像が混入してクロストークが生じている状態を示すものである。
【0043】
ここで、演算処理手段61は、カメラ1(13a)により撮像された第1のページデータ画像(ページデータ1とも称する)の所定領域の明るさに対する、カメラ2(13b)により撮像された第1のページデータ画像(ノイズ画像)の所定領域の明るさの比率αを求める比較評価器73と、この比較評価器73により求められた比率αを、カメラ1(13a)により撮像された第1のページデータ画像全体(各画素)の明るさAに乗じてα・Aを求める乗算器74と、カメラ2(13b)により撮像された第2のページデータ画像(ページデータ2とも称する)全体(各画素)の明るさBから、該乗算器74により求められた明るさα・Aを減算する減算器75とから構成されている。
【0044】
なお、
図2に示すように、第1のページデータ画像(ページデータ1)は、演算処理手段61に入力されることなくそのまま出力されるのと同時に、演算処理手段61の比較評価器73に入力される。第2のページデータ画像(ページデータ2)については、そのまま演算処理手段61の比較評価器73に入力される。
また、減算器75により減算して求められた結果であるB−α・Aは、ノイズ除去処理がなされた第2のページデータ画像(ページデータ2)として外部に出力される。
【0045】
なお、上述した比率αを求める場合の「所定領域」とは、例えば、第1のページデータ画像のみに設けられた、
図3に示すような、データ領域外に形成したL字型のマーカーの領域とする。これにより、このマーカーの領域について、カメラ1(13a)で撮像された第1のページデータ画像における明度と、カメラ2(13b)で撮像された第1のページデータ画像(ノイズ画像)における明度を比較することにより上記比率αを求めることができる。
【0046】
図5に、記録用の第1のページデータ画像(ページデータ1)(a)、記録用の第2のページデータ画像(ページデータ2)(b)、およびカメラ2(13b)で撮像された、クロストーク成分(ノイズ成分)が含まれた第2のページデータ画像(ページデータ2)(c)を示す。
【0047】
それぞれの記録用ページデータ画像(a)、(b)のデータ領域外にL字型のマーカーを設けているが、このマーカーは、奇数ページ(第1のページデータ)と偶数ページ(第2のページデータ)で、互いに異なる領域(奇数ページについては短辺側の領域、偶数ページについては長辺側の領域)に設けられている。
【0048】
カメラ2(13b)で取得した第2のページデータ画像(ページデータ2)には、第1のページデータ画像(ページデータ1)のデータ画像およびマーカーの画像が混入しているが、両ページデータ画像におけるマーカーの画像位置が重なっていないため、「カメラ2(13b)で取得した第1のページデータ画像(ページデータ1)のマーカーの明るさ」と「カメラ1(13a)で取得した第1のページデータ画像(ページデータ1)のマーカーの明るさ」を比較すれば、前述した明るさの比率(明度比較パラメーター値)αを求めることができる。
【0049】
前述したマーカーの検出は、ページデータ画像のエッジ等の特徴点を検出することにより、あるいは予め用意したテンプレートとの逐次比較等によるマッチング処理を用いて検出することにより行なうことができる。
【0050】
さらに、上記マーカーの検出は、再生されたページデータ画像内の領域において、第2のページデータ画像(ページデータ2)のデータが存在せず、かつ第1のページデータ画像(ページデータ1)のデータが存在する画素領域を利用して明るさの比率(明度比較パ
ラメーター値)αを求めるようにしてもよい。
【0051】
また、明るさの比率(明度比較パラメーター値)αについては、1つのページデータ画像に1つの比率αを設けるのではなく、1つのページデータ画像における各領域毎に比率αを求めるようにしてもよい。例えば、
図5(a)、(b)で各々4つのマーカーを設けているように、ページデータを複数の領域に分割して各領域毎にマーカーを設け、各領域毎に異なる明るさの比率(明度比較パラメーター値)αを求めるようにしてもよい。
【0052】
以上のようにして、比較評価器73において求められた、比率(明度比較パラメーター値)αは乗算器74に送出される。この乗算器74においては、入力された比率(明度比較パラメーター値)αを、第1のページデータ画像(ページデータ1)の全画素に乗算して明るさの調整を行い(α・A)、この明るさの調整が行われた第1のページデータ画像(ページデータ1)を減算器75に出力する。
図6はこのようにして乗算器74で明るさが調整されて減算器75に出力されたデータ画像(第1のページデータ画像のノイズ画像と等価)を示すものである。
【0053】
この後、減算器75において、第2のページデータ画像(ページデータ2)(B)から、乗算器74で調整された、ノイズ成分と等価な第1のページデータ画像(ページデータ1)(α・A)を減算することによって、ページ間クロストーク成分が除去された第2のページデータ画像(ページデータ2)を求めることができる。
図7は、このようにして減算処理がなされ、ノイズ成分が除去されて出力された第2のページデータ画像を示すものである。
【0054】
次に、
参考例に係るホログラム再生装置およびホログラム再生方法を、
図8を参照しながら説明する。
この
参考例に係るホログラム再生装置は、上記実施例1に係るホログラム再生装置とは異なり、1つの再生光と1つのカメラを用いてホログラム記録媒体111に記録されていた画像情報を再生し、撮像する一般的な装置構成とされている。
このような一般的な装置構成のものにおいても上述したようなクロストークの問題が生じている。この問題は
参考例を用いて改善し得るので、以下その構成について説明する。
なお、上記実施例1と同様に、情報再生機能のみならず情報記録機能も有している。
【0055】
この
参考例に係るホログラム再生装置の光学系の構成は、上記実施例1に係るホログラム再生装置の光学系の構成と類似しているので、同一の機能を有する部材については、上記実施例1における対応する部材の符号に100を加えた符号を付して表し、詳細な説明は省略する。
【0056】
なお、実施例1においては、ミラー31、半波長板32、ミラー33、ガルバノメータミラー34およびPBS21からなる第2の参照光を生成して、ホログラム記録媒体11に照射するための光路が設けられているが、
参考例においては、この第2の参照光を生成する光路は設けられていない。さらに、前述したように、実施例1においては2つのカメラ13a、13bを設けているが、
参考例においては1つのカメラ113のみを設けている。なお、
参考例においては、情報再生時においても、実施例1における第2のカメラ13bの配設位置に、情報記録時に用いられる振幅変調SLM109が固定的に配設されている。
【0057】
ところで、ホログラム記録装置においては、高密度記録のために、例えば、クロストークが生じない、限界に近い角度間隔で多重記録を行うようにしている場合が多いが、再生時に参照光の入射角度に誤差が生じると、それが微小な角度であっても、誤差により近づいた側に位置する隣接するページデータ情報が同時に再生されてしまい、ページ間クロストークが生じ、やはり、SNRが低下したり、再生データのビットエラーの原因となる。この
参考例に係るホログラム再生装置は、このような場合においても、クロストークノイズが重畳されたページデータ画像からクロストークノイズを除去することが可能である。
【0058】
以下、
図9を用いて、
参考例に係るホログラム再生装置の演算処理手段161について説明する。
【0059】
この演算処理手段161は、第1のページデータ画像(ページデータ1)と、第1のページデータ画像(ページデータ1)によるクロストークノイズが重畳された第2のページデータ画像(ページデータ2)を分離するページデータ分離部171と、分離するページデータ分離部171から出力された第1のページデータ画像(ページデータ1)を記憶するメモリ領域172と、このメモリ領域172から出力された第1のページデータ画像(ページデータ1)の所定領域の明るさに対する、第2のページデータ画像(ページデータ2)にクロストークノイズとして重畳された第1のページデータ画像(ページデータ1)の上記所定領域の明るさの比率αを求める比較評価器173と、この比較評価器173により求められた比率αを、カメラ113により撮像された第1のページデータ画像全体(各画素)の明るさAに乗じてα・Aを求める乗算器174と、カメラ113により撮像された第2のページデータ画像(ページデータ2)全体(各画素)の明るさBから、該乗算器174により求められた明るさα・Aを減算する減算器175とから構成されている。
【0060】
ここで、例えば、角度多重記録されたページデータの集合体であるブックの先頭または末尾のページデータにおいては、隣接するページデータが片側のみにあるため、他のページデータよりもSNRが高く、本
参考例におけるページデータ1として設定することが好ましい。
【0061】
分離を容易にするためには、例えば、第1のページデータ画像(ページデータ1)のみについて、データ領域外に分離用のマーカーを設ける。第1のページデータ画像(ページデータ1)についてはそのまま出力されるのと同時に、同データをメモリ領域に一時的に保存する。
【0062】
この後、
実施例1と同様に、2つのページデータについての比較および減算処理を順次行うことで、クロストーク成分が除去された第2のページデータ画像(多重されたページデータ)を順次、出力することができる。
【0063】
減算器175から出力された第2のページデータ画像(ページデータ2)については、外部に出力するのと同時にメモリ領域172に保存し、第2のページデータ画像(ページデータ2)に隣接して記録されている第3のページデータ画像(ページデータ3)に重畳された第2のページデータ画像(ページデータ2)のクロストーク成分を除去するのに利用することができる。同処理を、ブック内で多重された各ページデータ画像について、繰り返し行うことで、ブック内全体でSNRの高いページデータを得ることができる。
【0064】
なお、本発明のホログラム再生装置およびホログラム再生方法としては、上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、ホログラム再生装置の光学系として、図
1を用いているが、これに限られるものではなく、光学系において種々の態様のものに適用が可能である。例えば、図
1に示す実施形態装置においては、位相共役タイプとされているが、これに替えて、記録時と再生時のいずれにおいても、記録媒体の同一側に参照光が入射されるようなタイプに構成してもよい。
また、上
記実施例
1は、角度多重記録がなされたホログラム記録媒体の再生処理に適用するものであるが、ペリストロフィック多重等の他の多重記録手法を用いて多重記録がなされたホログラム記録媒体の再生処理にも適用することができる。
また、上
記実施例
1のホログラム再生装置は、再生機能の他に記録機能も有しているものであるが、本発明を再生機能のみを有するホログラム再生装置に適用してもかまわない。
また、上述した、ノイズ成分の明るさの比率αを求める際に用いたマーカーとしては、上記実施例
1のものに限られず、他の形状のものとすることも可能である。
【0065】
なお、上述したように、角度多重の記録および再生においては、上記ガルバノメータミラー17、22、34、117、122の角度および位置を少しずつ変化させることになるが、具体的には、例えば、入射角を35度〜55度の範囲(信号光および参照光を記録媒体11、111に入射させる際に、光出射端構造および出射光が物理的に干渉(ケラレ)を起こさない範囲内)で、例えば0.2度ずつ変化させる度に該領域にページデータ情報の記
録または再生が行なわれるようにすればよい。