(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記極性反転回路は、前記極性制御信号の論理レベルに応じて、前記信号生成回路及び前記インバータのいずれか一方の出力が前記増幅回路に接続されるように接続を切り替えることにより、前記極性反転信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の無線送信装置。
前記振幅制御信号生成回路は、前記位相シフト変調指定を受けたとき、前記データ信号の前記信号レベルが遷移するタイミングの前後で前記増幅回路の前記増幅率を低減及び増加させて前記増幅率を前記低増幅率とする前記第1振幅制御信号を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線送信装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線送信では、理論的に定められる周波数帯域の出力信号以外に、設計上意図しない不要な信号成分からなるスプリアス発射が生じる。スプリアス発射は電波障害の原因となるため、電波法によりその強度が制限されている。このため、無線送信を行う際の変調は、スプリアス発射の発生を抑えるべく、振幅を滑らかに変化させつつ行う必要がある。例えば、ASK変調を用いた無線送信では、通常、送信データをアナログ信号に変換した後に、搬送波と混合して振幅変調を行う。このため、送信データをアナログ信号に変換するためのD/A変換器や、変換したアナログ信号を搬送波と混合するための混合器(乗算器)が必要となる。
【0005】
また、PSK変調を用いた無線送信では、送信データをI(In-phase)信号(同相信号)及びQ(Quadrature)信号(直交信号)に変換し、夫々についてアナログ信号への変換及び搬送波との混合を行った後、これらを加算して変調波を生成する。このため、I信号及びQ信号に対応した2つの系を設ける必要があり、2つの信号を加算する加算器が必要となる。従って、ASK変調方式及びBPSK変調方式の両方に対応した無線送信を行うためには、回路規模の大きな送信回路が必要になるという問題があった。
【0006】
また、かかる無線送信装置では、搬送波を変調して変調波を生成した後、増幅して送信する。変調波はアナログ信号であるため、増幅時に信号波形に歪みが生じないよう、無線送信装置は線形性の高い増幅回路を備えることが望ましい。従って、A級増幅回路やB級増幅回路等の電力効率の低い線形増幅回路が必要となり、送信回路の消費電力が大きいという問題があった。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、回路規模及び消費電力を抑えつつASK変調方式及びBPSK変調方式のいずれにも対応した無線送信を行うことが可能な無線送信装置及び無線送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る無線送信装置は、2値の信号レベルの系列からなるデータ信号を振幅シフト変調又は位相シフト変調により変調して送信する無線送信装置であって、前記振幅シフト変調を指定する振幅シフト変調指定又は前記位相シフト変調を指定する位相シフト変調指定を受け
、前記位相シフト変調指定を受けたときは前記データ信号の信号レベルに応じて第1の論理レベル及び第2の論理レベルとなり、前記振幅シフト変調指定を受けたときは第1の論理レベルを有する極性制御信号を生成する変調指定受付部と、搬送波信号を生成する信号生成回路と、
前記位相シフト変調指定を受けたときは、前記データ信号の前記信号レベルの変化に対応した振幅を有する
第1振幅制御信号
を生成し、前記振幅シフト変調指定を受けたときは、前記データ信号の前記信号レベルの変化に対応した振幅を有する第2振幅制御信号を生成する振幅制御信号生成回路と、
前記搬送波信号の論理レベルを反転させるインバータを含み、前記極性制御信号が第1の論理レベルである間は前記搬送波信号と同じ論理レベルを有し、前記極性制御信号が第2の論理レベルである間は前記搬送波信号の論理レベルを反転させた論理レベルを有する極性反転信号を生成する極性反転回路と、前記位相シフト変調指定を受けたときは前記
第1振幅制御信号に応じた増幅率で前記極性反転信号を増幅して位相シフト変調信号を得、前記振幅シフト変調指定を受けたときは前記
第2振幅制御信号に応じた増幅率で前記搬送波信号を振幅変調して振幅シフト変調信号を得る増幅回路と、前記振幅シフト変調信号又は前記位相シフト変調信号を送信する送信部と、を備え
、前記第1振幅制御信号は、前記データ信号の前記信号レベルが遷移するタイミングで前記増幅回路の前記増幅率を低増幅率とする信号であり、前記第2振幅制御信号は、前記データ信号の前記信号レベルに応じて前記増幅回路の前記増幅率を変化させる信号であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る無線送信方法は、2値の信号レベルの系列からなるデータ信号を振幅シフト変調又は位相シフト変調により変調して送信する無線送信方法であって、前記振幅シフト変調を指定する振幅シフト変調指定又は前記位相シフト変調を指定する行う位相シフト変調指定を受けるステップと、
前記位相シフト変調指定を受けたときは前記データ信号の信号レベルに応じて第1の論理レベル及び第2の論理レベルとなり、前記振幅シフト変調指定を受けたときは第1の論理レベルを有する極性制御信号を生成するステップと、搬送波信号を生成するステップと、前記データ信号の前記信号レベルの変化に対応した振幅を有する
第1振幅制御信号
又は第2振幅制御信号を生成するステップと、
前記極性制御信号が第1の論理レベルである間は前記搬送波信号と同じ論理レベルを有し、前記極性制御信号が第2の論理レベルである間は前記搬送波信号の論理レベルを反転させた論理レベルを有する極性反転信号を生成するステップと、前記位相シフト変調指定を受けたときは前記
第1振幅制御信号に応じた増幅率で前記極性反転信号を増幅して位相シフト変調信号を得、前記振幅シフト変調指定を受けたときは前記
第2振幅制御信号に応じた増幅率で前記搬送波信号を振幅変調して振幅シフト変調信号を得るステップと、前記振幅シフト変調信号又は前記位相シフト変調信号を送信するステップと、を備え
、前記第1振幅制御信号又は前記第2振幅制御信号を生成するステップは、前記位相シフト変調指定を受けたとき、前記データ信号の前記信号レベルが遷移するタイミングで前記増幅率を低増幅率とする前記第1振幅制御信号を生成するステップと、前記振幅シフト変調指定を受けたとき、前記データ信号の前記信号レベルに応じて前記増幅率を変化させる前記第2振幅制御信号を生成するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回路規模及び消費電力を抑えつつASK変調方式及びBPSK変調方式のいずれにも対応した無線送信を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明にかかる無線通信装置10の構成を示すブロック図である。無線通信装置10は、送信回路11、受信回路12、アンテナ13及びスイッチSW1を含む。無線通信装置10は、スイッチSW1を切り替えて送信回路11とアンテナ13とを接続することにより、無線送信装置として送信動作を行う。また、無線通信装置10は、スイッチSW1を切り替えて受信回路12とアンテナ13とを接続することにより、無線受信装置として受信動作を行う。
【0014】
また、無線通信装置10は、第1の変調方式であるASK(Amplitude Shift Keying)方式及び第2の変調方式であるBPSK(Binary Phase Shift Keying)のいずれの変調方式にも対応した無線送信を行うことが可能に構成されている。無線通信装置10は、BPSK変調方式による変調を行う送信モード(以下、BPSKモードと称する)又はASK変調方式による変調を行う送信モード(以下、ASKモードと称する)を指定するモード指定信号MODの入力を受け、これに応じて送信モードを切り替えつつ無線信号の送信を行う。
【0015】
送信回路11は、PLL(Phase Locked Loop)回路14、極性反転回路15、デジタルフィルタ回路16、振幅制御回路17、電力増幅回路18、データ入力端子T1及びスイッチSW2を含む。
【0016】
データ入力端子T1は、送信対象であるデータ信号(以下、送信データ信号DSと称する)の入力を受ける。送信データ信号DSは、論理値‘0’及び‘1’の2値の信号レベルの系列からなるデジタル信号である。
【0017】
スイッチSW2は、ASKモード又はBPSKモードを指定するモード指定信号MODの入力を受ける変調指定受付部であり、送信回路11の外部から供給されたモード指定信号MODに応じて、極性反転回路15の接続先をデータ入力端子T1又は接地電位GNDに切り替える。
【0018】
スイッチSW2は、BPSKモードを指定するモード指定信号MOD信号(すなわち、BPSK変調指定)が供給された場合、極性反転回路15とデータ入力端子T1とを接続する。これにより、送信データ信号DSが極性制御信号PSとして極性反転回路15に供給される。
【0019】
一方、ASKモードを指定するモード指定信号MOD(すなわち、ASK変調指定)が供給された場合は、スイッチSW2は、極性反転回路15をインバータN2を介して接地電位GNDに接続する。これにより、論理値‘1’の一定の信号レベルを有する信号が極性制御信号PSとして極性反転回路15に供給される。
【0020】
PLL回路14は、VCO(電圧制御発振器)、ループフィルタ、位相比較器、分周器等から構成される位相同期ループ回路であり、例えば900MHzの搬送波信号CSを生成する。
【0021】
極性反転回路15は、インバータN1及びスイッチSW3から構成されている。インバータN1は、PLL回路14から供給された搬送波信号CSの論理レベルを反転させる。スイッチSW3は、極性制御信号PSに応じて接続を切り替え、電力増幅回路18とPLL回路14とを直接又はインバータN1を介して接続する。具体的には、極性制御信号PSの信号レベルが論理値‘1’である間はPLL回路14と電力増幅回路18とを直接接続し、極性制御信号PSの信号レベルが論理値‘0’である間はインバータN1を介してPLL回路14と電力増幅回路18とを接続する。これにより、極性制御信号PSの信号レベルが‘1’である間は搬送波信号CSと同じ論理レベル(正極性)を有し、極性制御信号PSの信号レベルが‘0’である間は搬送波信号CSの極性を反転(すなわち、搬送波信号CSの位相を180度変化)させた論理レベル(負極性)を有する極性反転信号RSが生成される。すなわち、極性反転信号RSは、極性制御信号PSの信号レベルが論理値‘1’である間は搬送波信号CSと同位相、極性制御信号PSの信号レベルが論理値‘0’である間は搬送波信号CSと逆位相の信号となる。
【0022】
なお、上記の通り、BPSKモードでは送信データ信号DSが極性制御信号PSとして極性反転回路15のスイッチSW3に供給される。従って、BPSKモードにおいて、極性反転回路15は、送信データ信号DSの信号レベルに応じて搬送波信号CSの極性を反転させた極性反転信号RSを生成し、これを電力増幅回路18に供給する。
【0023】
一方、ASKモードでは論理値‘1’の一定の信号レベルを有する信号が極性制御信号PSとして極性反転回路15のスイッチSW3に供給される。従って、極性反転回路15は、ASKモードにおいて、搬送波信号CSの極性を反転させず、搬送波信号CSをそのまま電力増幅回路18に供給する。
【0024】
デジタルフィルタ回路16は、送信データ信号DSにフィルタリング処理を施し、送信データ信号DSの信号レベルの変化に対応した振幅を有する振幅制御信号ACSを生成する振幅制御信号生成回路である。デジタルフィルタ回路16は、例えばガウシアン特性やナイキストフィルタ特性等、送信信号の帯域制限に従ったフィルタ特性を有する。デジタルフィルタ回路16には、動作クロック信号CLK1及びモード指定信号MODが供給されている。
【0025】
デジタルフィルタ回路16は、例えば
図2に示すようなトランスバーサル型のフィルタにより構成され、縦列接続されたn個(nは2以上の整数)のフリップフロップFF
1〜FF
nと、n個の係数乗算器M
1〜M
nと、加算器ADとを含む。フリップフロップFF
1〜FF
nは、データ入力端子T1から供給された送信データ信号DSを、動作クロック信号CLK1の立ち上がりタイミングで順次シフトしつつ取り込む。なお、動作クロック信号CLK1は、送信データ信号DSのデータ遷移に同期したクロック信号(データクロック信号CLK2)よりも高速であるため、動作クロック信号CLK1の立ち上がりタイミング毎に同じデータ値が複数取り込まれる。係数乗算器M
1〜M
nは、フリップフロップFF
1〜FF
nの各々の出力に、夫々フィルタ係数K
1〜K
nを乗算する。加算器ADは、係数乗算器M
1〜M
n各々の乗算結果を全て加算して得られた加算結果を、振幅制御信号ACSとして出力する。
【0026】
また、デジタルフィルタ回路16は、モード指定信号MODに応じて係数乗算器M
1〜M
nにおけるフィルタ係数の設定を切り替えるフィルタ係数設定部21を有する。すなわち、フィルタ係数設定部21は、モード指定信号MODの供給を受け、当該モード指定信号MODがASKモードを指定するものかBPSKモードを指定するものかに応じて、フィルタ係数K
1〜K
nを変更する。これにより、ASKモードとBPSKモードとで、異なるフィルタ係数K
1〜K
nが設定される。従って、例えば同じ波形の送信データ信号DSが入力された場合であっても、ASKモードの場合とBPSKモードの場合とで夫々異なる波形の振幅制御信号ACSが生成される。
【0027】
振幅制御回路17は、振幅制御信号ACSに基づいて、電力増幅回路18の増幅率を制御する。例えば、振幅制御回路17は、振幅制御信号ACSの振幅に応じた電源電圧VDD、振幅制御信号ACSの振幅に応じたゲートバイアス電圧VG、電力増幅回路18における増幅段の段数等を変化させるスイッチ制御信号S1〜S4等(以下、これらをまとめて増幅率制御信号GSとも称する)を電力増幅回路18に供給して、電力増幅回路18の増幅率を制御する。
【0028】
電力増幅回路18は、振幅制御信号ACSに応じた増幅率で、極性反転回路15から供給された信号(極性反転信号RS又は搬送波信号CS)の増幅を行う。例えば、BPSKモードでは、極性反転回路15から極性反転信号RSが供給されるため、電力増幅回路18は、BPSKモードにおいて、振幅制御信号ACSに応じた増幅率で極性反転信号RSを増幅してBPSK変調信号を得る。
【0029】
一方、ASKモードでは、極性反転回路15から搬送波信号CSが供給されるため、電力増幅回路18は、振幅制御信号ACSに応じた増幅率で搬送波信号CSに対して振幅変調を行い、ASK変調信号を得る。
【0030】
図3は、振幅制御回路17が振幅制御信号ACSの振幅に応じた電源電圧VDDを電力増幅回路18に供給する場合における、振幅制御回路17及び電力増幅回路18の構成例を示す図である。振幅制御回路17は、電圧可変電源回路22から構成され、振幅制御信号ACSの信号レベルに応じた電圧値の電源電圧VDDを生成して、電力増幅回路18に供給する。
【0031】
電力増幅回路18は、極性反転信号RSの増幅又は搬送波信号CSの振幅変調を行う増幅回路であり、例えばC級増幅回路として構成されている。電力増幅回路18は、例えばコイル型の抵抗L1(以下、コイル抵抗L1と称する)、トランジスタTR1、第1のキャパシタC1、第2のキャパシタC2及び抵抗R1を含む。
【0032】
トランジスタTR1は、例えば第1導電型であるn型のMOSトランジスタである。トランジスタTR1のソースは、接地電位に接続されている。トランジスタTR1のドレインは、コイル抵抗L1の他端及び第2のキャパシタC2に接続されている。トランジスタTR1のゲートは、第1のキャパシタC1及び抵抗R1に接続されている。
【0033】
トランジスタTR1のゲートには、第1のキャパシタC1を介して極性反転信号RS又は搬送波信号CSが供給される。また、トランジスタTR1のゲートには、抵抗R1を介してゲートバイアス電圧VGが印加される。トランジスタTR1のドレインには、コイル抵抗L1を介して、電源電圧VDDがドレイン電圧として供給される。
【0034】
電力増幅回路18は、極性反転信号RS又は搬送波信号CSを増幅して、変調信号MSを得る。すなわち、電力増幅回路18は、BPSKモードにおいて極性反転回路15から供給される極性反転信号RSを増幅することにより、変調信号MS(すなわち、BPSK変調信号)を得る。一方、電力増幅回路18は、ASKモードにおいて極性反転回路15から供給される搬送波信号CSを増幅して振幅変調を行うことにより、変調信号MS(すなわち、ASK変調信号)を得る。電力増幅回路18は、変調信号MSをトランジスタTR1のドレインとコイル抵抗L1との接続端から、第2のキャパシタC2を介して出力する。
【0035】
電力増幅回路18の増幅率は、トランジスタTR1のドレインに供給されるドレイン電圧、すなわち電源電圧VDDの値に応じて変化する。このため、変調信号MSは、電源電圧VDDの値に応じて増幅(又は振幅変調)された振幅を有する信号となる。すなわち、
図3に示す振幅制御回路17は、振幅制御信号ACSに基づいて電源電圧VDDの値を変化させることによって、変調信号MSの振幅を変化させる。
【0036】
図4は、振幅制御回路17が振幅制御信号ACSの信号レベルに応じたゲートバイアス電圧VGを電力増幅回路18に供給する場合における、振幅制御回路17及び電力増幅回路18の構成例を示す図である。振幅制御回路17は、DAC(デジタル−アナログ変換回路:Digital Analog Converter)23から構成され、振幅制御信号ACSの振幅に応じた電圧値のゲートバイアス電圧VGを電力増幅回路18のトランジスタTR1のゲートに印加する。
【0037】
電力増幅回路18の構成は、
図3に示したものと同様であるため説明を省略する。電力増幅回路18は、極性反転信号RSを増幅又は搬送波信号CSを振幅変調することにより、変調信号MSを得る。
【0038】
電力増幅回路18における増幅率は、トランジスタTR1に供給されるゲートバイアス電圧VGの値に応じて変化する。このため、変調信号MSは、トランジスタTR1に供給されるゲートバイアス電圧VGの値に応じて増幅(又は振幅変調)された振幅を有する信号となる。すなわち、
図4に示す振幅制御回路17は、振幅制御信号ACSに基づいてゲートバイアス電圧VGの値を変化させることによって、変調信号MSの振幅を変化させる。
【0039】
図5は、電力増幅回路18が複数のトランジスタからなる増幅段を有し、振幅制御回路17が振幅制御信号ACSの振幅に応じて電力増幅回路18の増幅段の段数(並列接続されるトランジスタの個数)を切り替える場合における、振幅制御回路17及び電力増幅回路18の構成例を示す図である。
【0040】
振幅制御回路17は、例えば振幅制御信号ACSを復号するデコード論理回路24から構成される。デコード論理回路24は、振幅制御信号ACSを復号してスイッチ制御信号S1〜S4を生成し、これを電力増幅回路18に供給する。スイッチ制御信号S1〜S4は、論理値‘1’又は‘0’の信号レベルを有する2値の信号である。
【0041】
電力増幅回路18は、
図3及び
図4に示す回路とは異なり、第1トランジスタTR1、第2トランジスタTR2、第3トランジスタTR3及び第4トランジスタTR4と、第1〜第4トランジスタTR1〜TR4及び接地電位を切り替え可能に接続するスイッチ切替部25と、を含む。
【0042】
第1〜第4トランジスタTR1〜TR4は、例えば第1導電型であるn型のMOSトランジスタから構成され、切り替え可能に並列接続されている。第1〜第4トランジスタTR1〜TR4の各々のドレインは、コイル抵抗L1の他端及び第2のキャパシタC2に接続されている。第1〜第4トランジスタTR1〜TR4の各々のゲートは、第1のキャパシタC1及び抵抗R1に接続されている。第1〜第4トランジスタTR1〜TR4の各々のソースは、スイッチ切替部25を介して接地電位に接続されている。
【0043】
スイッチ切替部25は、振幅制御回路17(デコード論理回路24)から供給されたスイッチ制御信号S1〜S4に基づいて、第1〜第4トランジスタTR1〜TR4と接地電位との間の接続を切り替える。
【0044】
例えば、振幅制御回路17から論理値‘1’のスイッチ制御信号S1が供給された場合、スイッチ切替部25は、第1トランジスタTR1のソースを接地電位に接続する。これにより、電力増幅回路18において増幅動作を行う増幅段を構成するトランジスタとして、第1トランジスタTR1が設定される。一方、論理値‘0’のスイッチ制御信号S1が供給された場合、スイッチ切替部25は、第1トランジスタTR1のソースを接地電位と切り離す。これにより、第1トランジスタTR1は、電気的にフローティング状態となるため、電力増幅回路18の増幅段を構成しない。
【0045】
同様に、論理値‘1’のスイッチ制御信号S2〜S4が供給された場合、スイッチ切替部25は、夫々第2〜第4トランジスタTR2〜TR4のソースを接地電位に接続する。論理値‘0’のスイッチ制御信号S2〜S4が供給された場合、スイッチ切替部25は、夫々第2〜第4トランジスタTR2〜TR4のソースを接地電位と切り離す。
【0046】
これにより、論理値‘1’のスイッチ制御信号S2が供給された場合、第2トランジスタTR2が増幅段を構成するトランジスタとして設定される。また、論理値‘1’のスイッチ制御信号S3が供給された場合、第3トランジスタTR3が増幅段を構成するトランジスタとして設定される。また、論理値‘1’のスイッチ制御信号S4が供給された場合、第4トランジスタTR4が増幅段を構成するトランジスタとして設定される。
【0047】
かかる切替動作により、例えば論理値‘1’のスイッチ制御信号S1及びS2が供給された場合、電力増幅回路18において増幅動作を行う増幅段の段数は2段(第1トランジスタTR1及び第2トランジスタTR2)となる。また、論理値‘1’のスイッチ制御信号S1〜S3が供給された場合、電力増幅回路18において増幅動作を行う増幅段の段数は3段(第1トランジスタTR1、第2トランジスタTR2及び第3トランジスタTR3)となる。また、論理値‘1’のスイッチ制御信号S1〜S4が供給された場合、電力増幅回路18において増幅動作を行う増幅段の段数は4段(第1トランジスタTR1、第2トランジスタTR2、第3トランジスタTR3及び第4トランジスタTR4)となる。
【0048】
電力増幅回路18における増幅率は、増幅段の段数、すなわち増幅動作を行うトランジスタの並列接続数に応じて変化する。このため、変調信号MSは、トランジスタの並列接続数に応じた振幅を有する信号となる。すなわち、
図5に示す振幅制御回路17は、振幅制御信号ACSに基づいて電力増幅回路18におけるトランジスタの並列接続数を変化させることによって、変調信号MSの振幅を変化させる。
【0049】
なお、トランジスタの数及び増幅段の段数は4つに限られない。電力増幅回路18は、切り替え可能に並列接続された複数のトランジスタからなり、段数を1〜n段(nは2以上の整数)に設定可能な増幅段を有し、増幅段は複数のトランジスタのうち並列接続されたトランジスタの個数k(1≦k≦n)に応じて段数がk段に設定されるものであれば良い。この構成によれば、振幅制御回路17が振幅制御信号ACSの振幅に応じて複数のトランジスタの接続を切り替えることにより、増幅段の段数が設定され、電力増幅回路18の増幅率が制御される。上記説明は、かかる構成について、n=4の場合を例として説明したものである。
【0050】
アンテナ13は、送信動作時にはスイッチSW1を介して送信回路11の電力増幅回路18と接続され、変調信号MSを無線送信する。また、アンテナ13は、受信動作時にはスイッチSW1を介して受信回路12に接続され、受信した受信信号JSを受信回路12に供給する。受信回路12は、受信信号JSに復調処理を施し、受信データ信号RDを得る。
【0051】
次に、ASKモードでの無線送信における送信回路11の各部の動作及び生成される各信号の信号波形について、
図6のタイムチャートを参照して説明する。ここでは、送信データ信号DSが、‘010110…’のデータ系列からなる場合の例を示している。すなわち、送信データ信号DSは、データクロック信号CLK2の立ち上がりタイミング(クロック期間CP)に同期して信号レベルが‘010110…’と遷移する信号である。
【0052】
データ入力端子T1には、送信データ信号DSが入力される。送信回路11のスイッチSW2は、ASKモードを指定するモード指定信号MODの供給を受け、極性反転回路15をインバータN2を介して接地電位GNDに接続する。これにより、論理値‘1’の一定の信号レベルを有する信号が極性制御信号PSとして極性反転回路15のスイッチSW3に供給される。
【0053】
デジタルフィルタ回路16は、動作クロック信号CLK1及びASKモードを指定するモード指定信号MODの供給を受ける。デジタルフィルタ回路16のフィルタ係数設定部21は、ASKモードを指定するモード指定信号MODに応じて、係数乗算器M
1〜M
nにおけるフィルタ係数を設定する。具体的には、
図6に示すように、送信データ信号DSが‘1’の期間で信号レベルがハイレベルとなり、送信データ信号DSが‘0’の期間で信号レベルがローレベルとなるように、送信データ信号DSの信号レベルに応じて振幅が段階的に変化する波形となる振幅制御信号ACSが生成されるように、フィルタ係数設定部21は、係数乗算器M
1〜M
nのフィルタ係数を設定する。
【0054】
PLL回路14は、連続した正弦波の波形を有する900MHzの搬送波信号CSを生成し、極性反転回路15に供給する。極性反転回路15のスイッチSW3には一定の信号レベルである論理値‘1’の極性制御信号PSが供給されているため、スイッチSW3は、PLL回路14と電力増幅回路18とを直接接続した状態(すなわち、インバータN1を介さずに接続した状態)を維持する。従って、極性反転回路15は、PLL回路14から供給された搬送波信号CSをそのまま電力増幅回路18に供給する。
【0055】
振幅制御回路17は、振幅制御信号ACSに基づいて、電力増幅回路18の増幅率を制御する増幅率制御信号GSを電力増幅回路18に供給する。電力増幅回路18は、増幅率制御信号GSに応じた増幅率、すなわち振幅制御信号ACSに応じた増幅率で搬送波信号を振幅変調し、変調信号MS(すなわち、ASK変調信号)を生成する。従って、変調信号MSは、送信データ信号DSの信号レベルに応じた増幅率で搬送波信号CSを振幅変調した信号となる。
【0056】
次に、BPSKモードでの無線送信における送信回路11の各部の動作及び生成される各信号の信号波形について、
図7のタイムチャートを参照して説明する。ここでは、
図6のタイムチャートと同様、送信データ信号DSが、‘010110…’のデータ系列からなる場合の例を示している。
【0057】
データ入力端子T1には、送信データ信号DSが入力される。送信回路11のスイッチSW2は、BPSKモードを指定するモード指定信号MODの供給を受け、データ入力端子T1を極性反転回路15と接続する。これにより、送信データ信号DSが極性制御信号PSとして極性反転回路15のスイッチSW3に供給される。
【0058】
デジタルフィルタ回路16は、動作クロック信号CLK1及びBPSKモードを指定するモード指定信号MODの供給を受ける。デジタルフィルタ回路16のフィルタ係数設定部21は、BPSKモードを指定するモード指定信号MODに応じて、係数乗算器M
1〜M
nにおけるフィルタ係数を設定する。具体的には、
図7に示すように、送信データ信号DSの信号値が‘0’から‘1’又は‘1’から‘0’へと遷移するタイミングで一時的に低振幅(すなわち、極小値)となる波形を有する振幅制御信号ACSが生成されるように、フィルタ係数設定部21は、係数乗算器M
1〜M
nのフィルタ係数を設定する。なお、ここで「一時的に」とは、データクロック信号CLK2の1クロック期間CPよりも短い期間を指す。
【0059】
PLL回路14は、連続した正弦波の波形を有する900MHzの搬送波信号CSを生成し、極性反転回路15に供給する。極性反転回路15のスイッチSW3には、送信データ信号DSが極性制御信号PSとして供給されているため、スイッチSW3は、送信データ信号DSの信号レベルに応じて接続を切り替え、極性制御信号PSの信号値が‘1’である期間でPLL回路14と電力増幅回路18とを直接接続し、極性制御信号PSの信号値が‘0’である期間ではインバータN1を介してPLL回路14と電力増幅回路18とを接続する。これにより、極性反転回路15は、極性制御信号PSの信号値が‘1’である期間において搬送波信号CSと同じ極性(正極性)となり、極性制御信号PSの信号値が‘0’である期間において搬送波信号CSの論理レベルを反転させた反対極性(負極性)となる波形を有する極性反転信号RSを生成する。すなわち、極性反転信号RSは、極性制御信号PSの信号値が‘1’である期間において搬送波信号CSと同位相であり、極性制御信号PSの信号値が‘0’である期間において位相が搬送波信号CSと180度異なる逆位相の信号となる。
【0060】
振幅制御回路17は、振幅制御信号ACSに基づいて、電力増幅回路18の増幅率を制御する増幅率制御信号GSを電力増幅回路18に供給する。電力増幅回路18は、増幅率制御信号GSに応じた増幅率、すなわち振幅制御信号ACSに応じた増幅率で極性反転信号RSを増幅し、変調信号MS(すなわち、BPSK変調信号)を得る。従って、変調信号MSは、送信データ信号DSの信号レベルが遷移するタイミングで一時的に低増幅率(すなわち、極小値)となり、送信データ信号DSの信号レベルが遷移しない期間では一定の高増幅率となる増幅率で極性反転信号RSを増幅した信号となる。
【0061】
上記の通り、極性反転信号RSは、送信データ信号DSの信号値が‘1’の期間において搬送波信号CSと同位相であり、送信データ信号DSの信号値が‘0’の期間において位相が搬送波信号CSと180度異なる逆位相の信号である。すなわち、極性反転信号RSは、搬送波信号CSに対して送信データ信号DSに基づいて180度の位相偏移を行った信号となる。従って、変調信号MSは、位相が偏移するタイミング(すなわち、送信データ信号DSの信号レベルが遷移するタイミング)の前後で減少及び増加して一時的に低増幅率(すなわち、極小値)となり、位相が偏移しない期間では一定の高増幅率となる増幅率で、極性反転信号RSを増幅した信号となる。
【0062】
このように、本発明の送信回路11における電力増幅回路18は、BPSKモードにおいて、位相が反転するタイミングでは最小の増幅率で極性反転信号RSを増幅し、位相が維持されている期間においては大きい増幅率で極性反転信号RSを増幅する。これにより、BPSK変調における位相偏移時に生じるスプリアス発射の発生を抑えつつ、信号増幅を行うことができる。
【0063】
以上のように、本発明の送信回路11は、ASKモードにおいて、送信データ信号DSの信号レベルに応じて電力増幅回路18の増幅率を変化させる振幅制御信号ACSを生成し、かかる増幅率で搬送波信号CSを増幅(すなわち、振幅変調)することによって、変調信号MSを得る。従って、送信データ信号DSをアナログ信号に変換して搬送波信号CSと混合する処理を経る必要がないため、D/A変換器や混合器が不要となる。よって、回路規模の増大を抑えつつASK変調方式に対応した無線送信を行うことができる。
【0064】
また、本発明の送信回路11は、BPSKモードにおいて、送信データ信号DSの信号レベルに応じて搬送波信号CSの極性を反転させた極性反転信号RSを生成することにより、位相偏移を行う。従って、I信号(同相信号)及びQ信号(直交信号)に変換して処理を行う必要がないため、I信号及びQ信号に対応した2つの系を設ける必要がなく、I信号及びQ信号を加算するための加算器も不要となる。よって、回路規模の増大を抑えつつBPSK変調方式に対応した無線送信を行うことができる。
【0065】
また、本発明の送信回路11では、ASKモードであるかBPSKモードであるかにかかわらず、電力増幅回路18において振幅制御信号ACSの信号レベルに応じた増幅率で増幅(振幅変調)を行う。すなわち、電力増幅回路18がASKモードにおける振幅変調手段と両モードにおける信号増幅手段とを兼ねているため、従来の構成とは異なり、変調後の信号をあらためて増幅する必要がない。従って、変調後の信号を線形増幅する必要がないため、A級増幅回路やB級増幅回路のような電力効率の低い線形増幅回路が不要となる。よって、より電力効率の高いC級増幅回路等を電力増幅回路18として用いることができるため、消費電力を抑えつつ無線送信を行うことができる。
【0066】
また、本発明の送信回路11では、デジタルフィルタ回路16は、モード指定信号MODに応じてフィルタ係数の設定を切り替えて送信データ信号DSにフィルタリング処理を行い、ASKモードとBPSKモードとで異なる波形の振幅制御信号ACSを生成する。従って、各モードに対応したデジタルフィルタを別個に設ける必要がないため、回路規模の増大を抑えつつ変調及び無線送信を行うことができる。
【0067】
従って、本発明によれば、回路規模及び消費電力を抑えつつBPSK及びASKの2種類の変調方式のいずれにも対応した無線送信を行うことが可能となる。
【0068】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施例では、極性反転回路15がインバータN1及びスイッチSW3から構成される例について説明した。しかし、極性反転回路16の構成はこれに限られず、例えばスイッチSW3の代わりにセレクタを用いても良い。また、差動信号の反転を用いて極性反転を行っても良く、エクスクルーシブオアゲート回路や乗算回路を用いて極性反転回路16を構成しても良い。
【0069】
また、上記実施形態では、PLL回路14が900MHzの搬送波信号CSを生成する例について説明した。しかし、搬送波信号CSの周波数はこれに限られない。
【0070】
また、上記実施例では、外部から供給されるモード指定信号MODに基づいてスイッチSW2及びデジタルフィルタ回路16がASKモード及びBPSKモードの切り替えを行う例について説明した。しかし、データ入力端子T1に入力される送信データ信号DSのデータ速度に応じてASK変調を行うかBPSK変調を行うかを判定し、送信モードの切り替えを行う構成であっても良い。
【0071】
また、上記実施例では、電力増幅回路18がC級増幅回路から構成される例について説明した。しかし、D級増幅回路やE級増幅回路を用いて電力増幅回路18を構成しても良い。