(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記積層金網を構成する全ての金網から任意に選択される2枚の金網の前記目開きの比が、全て1.18〜15の範囲内であること、を特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
前記積層金網を構成する全ての金網の目開きが32〜850μmの範囲内であること、を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
前記積層金網を構成する全ての金網は経線と緯線が直交するものであり、全ての金網の経線及び全ての金網の緯線が、それぞれ略平行となるように配置されていること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
空気流を用いて前記着色樹脂粒子を篩に供給する際に、空気に対する着色樹脂粒子の固気比を、質量換算で0.05〜0.37の範囲とすること、を特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、空気流を用いて着色樹脂粒子を篩に供給することによって、当該着色樹脂粒子中の粗大粒子を除去する篩分工程を有する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記篩として、少なくとも2枚の目開きが異なる金網を、焼結により張り合わせた積層金網を使用し、前記積層金網は、前記着色樹脂粒子の供給側に目開きが最小の金網が配置され、目開きの大きさ順に金網が積層されたものであって、前記積層金網を構成する金網の中で、目開きが最小である金網の目開きが32〜110μmの範囲内であること、を特徴とする。
【0013】
以下、本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)の製造方法ついて、詳細に説明する。
【0014】
1.着色樹脂粒子中の粗大粒子を除去する篩分工程
本発明のトナーの製造方法は、空気流を用いて着色樹脂粒子を篩に供給することによって、着色樹脂粒子中の粗大粒子を除去する篩分工程を有する。
【0015】
本発明の製造方法において、空気流を用いて着色樹脂粒子を篩に供給することができれば使用する装置等に特に制限はないが、通常、気流中に被処理粉体を分散させた状態の流体を、静止した篩を通過させることにより、篩分けを行う方式の装置を使用する。
このような装置の具体例として、ハイボルター(商品名、東洋ハイテック株式会社製)、スピンエアシープ(商品名、株式会社セイシン企業製)などを挙げることができる。
【0016】
本発明の製造方法において、着色樹脂粒子は、
図1に示すようなエジェクター1を介して篩に分散供給されることが好ましい。エジェクター1とは、圧縮空気を空気吹き出しノズル2より吹き出し、部分的に真空にして粉流体4を粉流体吸入ノズル3より吸入して分散させて供給する分散機のことをいう。エジェクターを使用することにより、着色樹脂粒子を篩に対して均一に供給することができ、篩の寿命を延ばすことができる。
【0017】
本発明の製造方法において、空気流を用いて着色樹脂粒子を篩に供給する条件にも特に制限はないが、空気に対する着色樹脂粒子の固気比を、質量換算で0.05〜0.37の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは0.07〜0.34、さらに好ましくは0.10〜0.30の範囲とするとさらに好ましい。固気比が0.05未満では篩に供給される着色樹脂粒子が少ないため生産性の低下を招くことがある。これに対して、0.37を超えると着色樹脂粒子の濃度が高すぎて空気流中に均一に分散することができず、目詰まりの誘発、収率の低下を招くことがある。
【0018】
本発明において、質量換算での空気に対する着色樹脂粒子の固気比は、以下の式(1)により求める。
【0019】
式(1)
固気比(kg/kg)=着色樹脂粒子供給レート(kg/Hr)/空気の供給レート(kg/Hr)
【0020】
式(1)中、空気の供給レートは以下の式(2)により求める。
【0021】
式(2)
空気の供給レート(kg/Hr)=ブロワー風量(m
3/Hr)×空気密度(kg/m
3)
【0022】
本発明では、式(2)において空気密度を0℃、1気圧下の密度である1.293kg/m
3として算出する。
【0023】
本発明の製造方法では、篩を通過させる空気流の線速度にも特に制限はないが、60〜125m/minの範囲とすることが好ましい。空気流の線速度を前記範囲にしておくことにより、篩の寿命を延ばすことができる。
また、本発明の方法においては、篩前後の圧力差が通常3kPa以下、好ましくは2kPa以下となるようにして粗大粒子の除去を行う。篩前後の圧力差を前記範囲となるように粗大粒子の除去を行うことにより、篩の目詰まりを起こさずに、効率よく粗大粒子を除去することができる。
【0024】
本発明の製造方法では、篩として、少なくとも2枚の目開きが異なる金網を焼結により張り合わせた積層金網を使用する。目開きが異なる金網同士を焼結により張り合わせた積層金網を使用することによって、積層金網の破損を抑制し、効率よく着色樹脂粒子中の粗大粒子を除去することが可能となる。
本発明で積層金網を構成する金網は、経線及び緯線が等間隔に配置された金網であれば、特に制限はなく、当該経線の間隔と緯線の間隔は同一であっても良いし、異なっていても良い。入手の容易性などの観点から、当該経線の間隔と緯線の間隔は同一であることが好ましい。
図2に示すように、経線及び緯線が等間隔に配置され、当該経線の間隔と緯線の間隔が同一である金網では、緯線を基準とした目開きと経線を基準とした目開きが同一であることから、目開きは金網のどの箇所で測定しても誤差を除けば同一である。
一方、経線及び緯線が等間隔に配置され、経線の間隔と緯線の間隔が異なる金網では、経線を基準とした目開きと緯線を基準とした目開きが異なる。
本発明において、経線の間隔と緯線の間隔が異なる金網を使用する場合には、「目開き」の用語は、経線及び緯線を基準とした目開きのうち、より小さい目開きを示すものとする。
また、本発明で使用する金網は経線と緯線が直交するものであることが好ましい。
金網の織り方に特に制限はないが、たとえば、平織りや綾織りなどが挙げられる。
【0025】
本発明で使用する積層金網は、前記着色樹脂粒子の供給側に目開きが最小の金網が配置され、目開きの大きさ順に金網が積層されている。
図3に例示すように、開孔率を極力低下させない観点から、積層金網を構成する全ての金網の経線及び全ての金網の緯線が、それぞれ略平行である積層金網を使用することが好ましい。
【0026】
本発明で使用する積層金網は、構成する金網の中で目開きが最小である金網の目開きが32〜110μmの範囲内であり、38〜100μmの範囲内であると好ましく、45〜90μmの範囲内であるとさらに好ましい。
目開きが最小である金網の目開きが32μm未満では、焼結後の開口率が非常に小さく篩前後の差圧が大きくなりすぎ、焼結金網といえども破損の懸念が高くなる。更に、目開きが小さい事によって発生する目詰りの発生確率も格段に上昇する為、本技術の目的である生産性の向上と製造コストの低減に寄与しない。
一方、目開きが最小である金網の目開きが110μmを超えると、本来除去すべき粗大粒子までが通過してしまう事となり、印字性能が優れたトナーを製造することができない。
【0027】
本発明で使用する積層金網は、少なくとも2枚の目開きが異なる金網から構成されるものであれば、積層する金網の枚数に特に制限はないが、4枚以下であることが好ましく、3枚以下であると更に好ましい。
【0028】
本発明で使用する積層金網は、当該積層金網を構成する全ての金網から任意に選択される2枚の金網の目開きの比が、当該目開きの比を目開きが相対的に小さい金網の目開きに対する目開きが相対的に大きい金網の目開きの比と特定したときに、全て1.18〜27の範囲内あることが好ましく、1.50〜15の範囲内であるとより好ましく、2.0〜10の範囲内であるとさらに好ましい。
目開きが相対的に小さい金網の目開きに対する目開きが相対的に大きい金網の目開きの比が1.18未満では相対的に目開きの大きい金網による補強の効果が小さく、相対的に小さい金網の開孔率が著しく低下する為、積層金網の目詰まりや破損を招くことがある。一方、当該比が27を超える場合には相互の目開きの差が大きすぎて相対的に目開きの小さい金網が相対的に目開きの大きい金網の目を抜けてしまい、補強の効果が小さくなる。
【0029】
本発明で使用する積層金網は、積層する金網すべての目開きが32〜850μmの範囲内である事が好ましい。
積層金網を構成する金網として、目開き32μm未満の金網を使用すると、焼結金網といえども破損の懸念が高くなるうえ、目詰りの発生確率も格段に上昇する。積層金網を構成する金網として、目開き850μmを超える金網を使用すると、篩の補強する効果を示さない。
【0030】
積層金網を構成する金網の緯線と経線に使用するワイヤーの材料に特に制限はないが、例えばステンレスなどが挙げられる。前記ワイヤーは、静電防止処理が行われているものが好ましい。
前記ワイヤーの線径にも特に制限はないが、目開きが相対的に小さい金網の線径は、20〜90μmの範囲内であると好ましく、25〜80μmの範囲内であるとさらに好ましい。
また、当該積層金網を構成する全ての金網から任意に選択される2枚の金網の線径の比が、当該線径の比を目開きが相対的に小さい金網の線径に対する目開きが相対的に大きい金網の線径の比と特定したときに、全て1.1〜26の範囲内であることが好ましく、1.15〜20の範囲内であるとより好ましい。
本発明で使用する積層金網は、積層する金網すべての線径の範囲が20〜550μmの範囲内であることが好ましく、25〜525μmの範囲内であるとより好ましい。
【0031】
2.篩分工程に適用できる着色樹脂粒子
本発明の製造方法に適用できる着色樹脂粒子は、通常、結着樹脂、着色剤を必須成分として含有し、必要に応じて、帯電制御剤や離型剤等を含有したものを用いる。
後述する公知の着色樹脂粒子の製造方法では、得られる着色樹脂粒子中に、白抜けやフィルミングを発生させる粗大粒子が混入してしまう。従って、高い印字性能を有するトナーを得るためには、当該粗大粒子を除去する必要がある。特に、体積平均粒径(Dv)が4〜11μmの範囲にあり、体積平均粒径(Dv)が20μm以上の粗大粒子が体積基準で0.2%以上含まれる着色樹脂粒子では、本発明の製造方法で粗大粒子を除去することによる印字性能の向上効果が顕著である。着色樹脂粒子中のDvが20μm以上の粗大粒子の含有量は、例えば、粒度分析計(商品名:マルチサイザー、ベックマン・コールター製)等を用いて測定することができる。
【0032】
本発明の製造方法に適用できる着色樹脂粒子製造方法に特に制限はないが、公知の製造方法としては、湿式法、または乾式法が挙げられる。以下、湿式法の代表例として(A)懸濁重合法、乾式法の代表例として(B)破砕法を挙げ、それぞれの一般的なプロセスについて説明する。
【0033】
(A)懸濁重合法
(A−1)重合性単量体組成物の調製工程
先ず、重合性単量体、着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤、及び離型剤等のその他の添加物を混合、溶解又は分散して重合性単量体組成物の調製を行なう。重合性単量体組成物を調製する際には、例えば、メディア式分散機を用いて行なう。
【0034】
重合性単量体とは、重合可能な官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を用いることが好ましい。
モノビニル単量体としては、例えば、スチレン;ビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体;アクリル酸、及びメタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、及びメタクリルアミド;エチレン、プロピレン、及びブチレン等のオレフィン;等が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記モノビニル単量体のうち、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステルが特に好適に用いられる。
【0035】
重合性単量体の一部として、トナーの保存性(耐ブロッキング性)を改善するために、上記モノビニル単量体と共に、任意の架橋性の重合性単量体を用いることができる。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を有するモノマーのことをいう。
架橋性の重合性単量体としては、一般に、トナー用の架橋性の重合性単量体として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の二官能性のエチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等のヘテロ原子含有ジビニル化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びジメチロールプロパンテトラアクリレート等の3個以上のビニル基を有する化合物;等が挙げられる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
【0036】
また、重合性単量体の一部として、トナーの保存性と低温定着性とのバランスを向上させるために、上記モノビニル単量体と共に、任意のマクロモノマーを用いることができる。
マクロモノマーとは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有し、数平均分子量(Mn)が、通常1,000〜30,000の反応性のオリゴマーまたはポリマーのことをいう。マクロモノマーとして、重合性単量体を重合して得られる重合体(結着樹脂)のガラス転移温度(Tg)よりも高いTgを有するオリゴマーまたはポリマーを用いることが好ましい。
本発明では、マクロモノマーを、モノビニル単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
【0037】
着色剤としては、カラートナー(通常、ブラックトナー、シアントナー、イエロートナー、及びマゼンタトナーの4種類のトナーが用いられる。)を製造する場合、ブラック着色剤、シアン着色剤、イエロー着色剤、及びマゼンタ着色剤をそれぞれ用いることができる。
【0038】
ブラック着色剤としては、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等の顔料を用いることができる。
【0039】
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン顔料、その誘導体、及びアントラキノン顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Blue2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。
【0040】
イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、及び186等が挙げられる。
【0041】
マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ顔料、縮合多環顔料等の化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Red31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、251、及びC.I.Pigment Violet19等が挙げられる。
【0042】
これらの着色剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明では、着色剤を、重合性単量体100重量部に対して、通常、1〜10重量部の割合で用いることが望ましい。
【0043】
その他の添加物として、トナーの帯電性を向上させるために、正帯電性又は負帯電性の帯電制御剤を用いることができる。
帯電制御剤としては、一般にトナー用の帯電制御剤として用いられているものであれば、特に限定されないが、帯電制御剤の中でも、結着樹脂(又は重合性単量体)との相溶性が高く、安定した帯電性(帯電安定性)をトナー粒子に付与させることができることから、正帯電性又は負帯電性の帯電制御樹脂が好ましく用いられる。
正帯電性の帯電制御樹脂としては、藤倉化成社製の市販品等を用いることができ、例えば、FCA−161P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−207P(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、及びFCA−201−PS(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
負帯電性の帯電制御樹脂としては、藤倉化成社製の市販品等を用いることができ、例えば、FCA−626N(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、FCA−748N(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)、及びFCA−1001N(:商品名、スチレン/アクリル樹脂)等が挙げられる。
本発明では、帯電制御剤を、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.3〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部の割合で用いることが望ましい。
【0044】
その他の添加物として、結着樹脂の分子量や分子量分布を調整するために、分子量調整剤を用いることができる。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、及びN,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いることが望ましい。
【0045】
(A−2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
上記(A−1)重合性単量体組成物の調製工程により得られた重合性単量体組成物を、水系分散媒体中に懸濁させて懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を得る。ここで、懸濁とは、水系分散媒体中で重合性単量体組成物の液滴を形成させることを意味する。液滴形成のための分散処理は、例えば、インライン型乳化分散機(荏原製作所社製、商品名:マイルダー)、高速乳化・分散機(プライミクス社製、商品名:T.K.ホモミクサー MARK II型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行なうことができる。
【0046】
水系分散媒体としては、水単独でもよいが、低級アルコール、及び低級ケトン等の水に溶解可能な溶剤を併用することもできる。
液滴形成において、着色樹脂粒子の粒径コントロール、及び円形度を向上させるために、水系分散媒体中に分散安定化剤を含有させて用いることが好ましい。
【0047】
分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物、並びに、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物などの金属化合物;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子化合物;アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等の有機高分子化合物;等が挙げられる。これらの中でも、金属水酸化物が好ましく、特に、pH領域が、通常pH7.5〜11で用いられる水酸化マグネシウムが好ましい。
【0048】
上記分散安定化剤の中でも、酸溶液に溶解する難水溶性の金属水酸化物(難水溶性無機化合物)のコロイドを含有する分散安定化剤が好ましく用いられる。上記分散安定化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
分散安定化剤の添加量は、重合性単量体100重量部に対して0.1〜20重量部であることが好ましく、0.2〜10重量部であることがより好ましい。
【0049】
重合性単量体組成物の重合に用いられる重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の無機過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;等が挙げられる。これらの中でも、有機過酸化物が好ましく用いられる。
【0050】
重合開始剤は、重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に分散させた後、液滴形成前の段階で添加されてもよいが、重合性単量体組成物に直接添加されてもよい。
重合開始剤の添加量は、重合性単量体100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、0.3〜15重量部であることがより好ましく、1.0〜10重量部であることがさらに好ましい。
【0051】
(A−3)重合工程
上記(A−2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)により得られた、所望の懸濁液(重合性単量体組成物の液滴を含有する水系分散媒体)を、加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液が得られる。
本発明における重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜98℃であることがより好ましい。また、本発明における重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
なお、重合性単量体組成物の液滴を安定に分散させた状態で重合を行うために、本重合工程においても上記(A−2)懸濁液を得る工程(液滴形成工程)に引き続き、攪拌による分散処理を行いながら重合反応を進行させてもよい。
【0052】
重合工程により得られる着色樹脂粒子を、コア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、コアシェル構造(または、「カプセル型」ともいう。)を有する着色樹脂粒子としてもよい。
コアシェル構造を有する着色樹脂粒子は、低軟化点の物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質であるシェル層で被覆することにより、トナーの定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスをとることができる。
【0053】
上記コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては、特に制限はなく従来公知の方法によって製造することができる。in situ重合法や相分離法が、製造効率の観点から好ましい。
【0054】
in situ重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)とシェル用重合開始剤を添加し、重合を行なうことでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。
【0055】
シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様のものを用いることができる。その中でも、スチレン、メチルメタクリレート等のTgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。
【0056】
シェル用重合性単量体の重合に用いるシェル用重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の水溶性のアゾ化合物;等の重合開始剤を挙げることができる。
シェル用重合開始剤の添加量は、シェル用重合性単量体100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、1〜20重量部であることがより好ましい。
【0057】
シェル層の重合温度は、50℃以上であることが好ましく、60〜95℃であることがより好ましい。また、シェル層の重合時間は、1〜20時間であることが好ましく、2〜15時間であることがより好ましい。
【0058】
(A−4)洗浄、ろ過、脱水、及び乾燥工程
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。
【0059】
上記の洗浄の方法としては、分散安定化剤として無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子の水分散液への酸、又はアルカリの添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性の無機水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色樹脂粒子水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。
【0060】
脱水、ろ過の方法は、種々の公知の方法等を用いることができ、特に限定されない。例えば、遠心ろ過法、真空ろ過法、加圧ろ過法等を挙げることができる。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。
【0061】
(B)粉砕法
粉砕法を採用して着色樹脂粒子を製造する場合、以下のようなプロセスにより行われる。
まず、結着樹脂、着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤、離型剤等のその他の添加物を混合機、例えば、ボールミル、V型混合機、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、高速ディゾルバ、インターナルミキサー等を用いて混合する。次に、上記により得られた混合物を、加圧ニーダー、二軸押出混練機、ローラ等を用いて加熱しながら混練する。得られた混練物を、ハンマーミル、カッターミル、ローラミル等の粉砕機を用いて、粗粉砕する。更に、ジェットミル、高速回転式粉砕機等の粉砕機を用いて微粉砕して粉砕法による着色樹脂粒子を得る。
【0062】
なお、粉砕法で用いる結着樹脂、着色剤、さらに必要に応じて添加される帯電制御剤、離型剤等のその他の添加物は、前述の(A)懸濁重合法で挙げたものを用いることができる。また、粉砕法により得られる着色樹脂粒子は、前述の(A)懸濁重合法により得られる着色樹脂粒子と同じく、in situ重合法等の方法によりコアシェル型の着色樹脂粒子とすることもできる。
【0063】
結着樹脂としては、他にも、従来からトナーに広く用いられている樹脂を使用することができる。粉砕法で用いられる結着樹脂としては、具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ポリエステル樹脂、及びエポキシ樹脂等を例示することができる。
【0064】
3.篩分工程で粗大粒子が除去された着色樹脂粒子
本発明の製造方法の篩分工程において、粗大粒子が除去された着色樹脂粒子では、除去前と比較して体積平均粒径(Dv)が20μm以上の粗大粒子の含有割合が減少し、粒径の分布範囲が狭まっている。
本発明の製造方法で粗大粒子が除去された着色樹脂粒子は、体積平均粒径(Dv)が、好ましくは4〜11μmであり、更に好ましくは5〜10μmである。Dvが4μm未満である場合には、トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、画像濃度が低下したりする場合がある。Dvが11μmを超える場合には、画像の解像度が低下する場合がある。
【0065】
本発明の製造方法で粗大粒子が除去された着色樹脂粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dnが1.3を超える場合には、転写性、画像濃度及び解像度の低下が起こる場合がある。着色樹脂粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分析計(ベックマン・コールター製、商品名:マルチサイザー)等を用いて測定することができる。
【0066】
本発明の製造方法で粗大粒子が除去された着色樹脂粒子は、平均円形度が、画像再現性の観点から、0.96〜1.00であることが好ましく、0.97〜1.00であることがより好ましく、0.98〜1.00であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。
【0067】
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
【0068】
4.粗大粒子が除去された着色樹脂粒子からトナーを製造する工程
本発明の製造方法では、上記篩分工程で得られた粗大粒子が除去された着色樹脂粒子からトナーを製造する方法に特に制限はない。粗大粒子が除去された着色樹脂粒子をそのままトナーとしても良いが、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)とすることが好ましい。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。
【0069】
外添処理を行う攪拌機は、着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、ホソカワミクロン社製)、及びメカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行うことができる。
【0070】
外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び/又は酸化セリウム等からなる無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂、シリコーン樹脂、及び/又はメラミン樹脂等からなる有機微粒子;等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ、及び/又は酸化チタンが好ましく、特にシリカからなる微粒子が好適である。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。
【0071】
5.本発明の製造方法により得られるトナー
上記工程を経て得られるトナーは、粗大粒子が除去されているため、白抜け及びフィルミングの発生が少なく、優れた印字性能を有する。
【実施例】
【0072】
以下に、実施例、及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。なお、篩分工程は篩に破損又は目詰まりが発生した時点で終了し、破損又は目詰まりが発生しなかった場合には1000時間連続運転後に終了した。また、本実施例で使用した全ての金網は、経線と緯線が直交するものであり、且つ、当該経線及び緯線が等間隔に配置され、当該経線の間隔と緯線の間隔が同一である金網(金網の開孔部は正方形)である。
【0073】
[実施例1]
1.篩機の準備
線径が45μm、目開きAが63μmの第1金網、及び線径が340μm、目開きBが500μmの第2金網を、それぞれの経線と緯線が互いに平行である状態で焼結して張り合わされた積層金網を準備した。
前記積層金網を、第1金網側から着色樹脂粒子が供給されるように、ブロースルー式篩機(商品名:ハイボルター、型式:NR−450S、東洋ハイテック株式会社製)に装着した。
【0074】
2.篩分前の着色樹脂粒子の準備
モノビニル単量体としてスチレン81部及びn−ブチルアクリレート19部(得られる共重合体のTg=55℃)、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6、得られる重合体のTg=94℃)0.3部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.5部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.2部、及びブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:#25B)7部を混合し、メディア式分散機を用いて湿式粉砕を行なった。
【0075】
上記湿式粉砕により得られた混合物に、帯電制御剤として帯電制御樹脂(藤倉化成社製、商品名:アクリベース FCA−207P、スチレン/アクリル樹脂)1部、及び離型剤としてジペンタエリスリトールヘキサミリステート(日本油脂社製、商品名:W−663)7部を添加し、混合、溶解して、重合性単量体組成物を得た。
【0076】
他方、室温下で、イオン交換水に塩化マグネシウムを溶解した水溶液に、イオン交換水に水酸化ナトリウムを溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
【0077】
一方、メチルメタクリレート(得られる重合体のTg=105℃)1部、及び水65部を、超音波乳化機を用いて、微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。
【0078】
上記水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下で、上記重合性単量体組成物を投入し、攪拌した。そこへ重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名:パーブチルO)5部を添加した後、インライン型乳化分散機(大平洋機工社製、商品名:マイルダー)を用いて、15,000rpmの回転数で懸濁液(重合性単量体組成物分散液)が10回循環するまで、高速剪断攪拌して分散を行ない、重合性単量体組成物の液滴を形成した。
【0079】
上記重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、90℃に昇温し、重合反応を開始させた。重合転化率が、ほぼ100%に達したときに、前記シェル用重合性単量体の水分散液にシェル用重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)(和光純薬社製、商品名:VA−086、水溶性)0.1部を溶解し、それを反応器に添加し、90℃で4時間反応を継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型構造を有する着色樹脂粒子水分散液(pH9.3)を得た。
【0080】
上記着色樹脂粒子水分散液を、室温下で、着色樹脂粒子水分散液のpHが6.0となるまで、攪拌しながら、10%希硫酸水溶液(硫酸を10重量%含有する水溶液)を滴下し、酸洗浄し、pH調整を行なった。pH調製後の着色樹脂粒子水分散液から遠心分離により液体を除去し、得られた沈殿を真空乾燥機によって乾燥した。
上記方法により、体積平均粒径(Dv)が7.8μmであり、Dvが20μm以上の粗大粒子(以下、単に粗大粒子と称することがある。)を0.3vol%含有する篩分前の着色樹脂粒子を準備した。
【0081】
3.篩分工程
前記ブロースルー式篩機を用いて、ブロワー風量が14m
3/min、着色樹脂供給量が250kg/Hr、固気比が0.23の条件で、前記篩分前の着色樹脂粒子を前記積層金網に供給し、篩分けを行った。
【0082】
[実施例2]
実施例1において、第1金網を線径が52μm、目開きAが75μmの金網に変更した積層金網を準備したこと、及び、Dvが9.5μmであり、粗大粒子を0.7vol%含有する篩分前の着色樹脂粒子を準備したこと以外は、実施例1と同様にして篩分を行った。
【0083】
[実施例3]
実施例1において、第1金網を線径が32μm、目開きAが45μmの金網に変更した積層金網を準備したこと、Dvが9.5μmであり、粗大粒子を0.7vol%含有する篩分前の着色樹脂粒子を準備したこと、及び、着色樹脂供給量を200kg/Hr、固気比を0.18に変更したこと以外は、実施例1と同様にして篩分を行った。
【0084】
[実施例4]
実施例1において、Dvが6.0μmであり、粗大粒子を0.4vol%含有する篩分前の着色樹脂粒子を準備したこと、及び、着色樹脂供給量を100kg/Hr、固気比を0.09に変更したこと以外は、実施例1と同様にして篩分を行った。
【0085】
[実施例5]
実施例1において、第1金網を線径が52μm、目開きAが75μmの金網に、第2金網を線径が523μm、目開きBが850μmの金網に変更した積層金網を準備したこと、Dvが6.0μmであり、粗大粒子を0.4vol%含有する篩分前の着色樹脂粒子を準備したこと以外は、実施例1と同様にして篩分を行った。
【0086】
[実施例6]
実施例1において、線径が32μm、目開きAが45μmの第1金網、線径が104μm、目開きBが150μmの第2金網、及び線径が523μm、目開きCが850μmの第3金網の順に、それぞれの経線と緯線が互いに平行である状態で焼結して張り合わされた積層金網を準備したこと、Dvが6.0μmであり、粗大粒子を0.4vol%含有する篩分前の着色樹脂粒子を準備したこと、及び、着色樹脂供給量を200kg/Hr、固気比を0.18に変更したこと以外は、実施例1と同様にして篩分を行った。
【0087】
[実施例7]
実施例1において、着色樹脂供給量を350kg/Hr、固気比を0.32に変更したこと以外は、実施例1と同様にして篩分を行った。
【0088】
[比較例1]
実施例1において、第1金網を線径が32μm、目開きAが45μmの金網に変更し、焼結による張り合わせを行わなかった積層金網を準備したこと、及び、Dvが9.5μmであり、粗大粒子を0.7vol%含有する篩分前の着色樹脂粒子を準備したこと以外は、実施例1と同様にして篩分を行った。
【0089】
[比較例2]
実施例1において、第1金網を線径が23μm、目開きAが25μmの金網に変更し、第2金網を線径75μm、目開きBが106μmの金網に変更した積層金網を準備したこと、及び、着色樹脂供給量を200kg/Hr、固気比を0.18に変更したこと以外は、実施例1と同様にして篩分を行った。
5.結果
実施例1〜7、及び比較例1〜2の篩分条件及び篩分け効率の評価結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
以下、表1を参照しながら、篩分条件と篩分けの効率の関係について検討する。
表1より、比較例1では、焼結による張り合わせを行わなかった積層金網を篩として使用して、着色樹脂粒子中の粗大粒子の除去を行った。
比較例1では、篩前の着色樹脂粒子は、粗大粒子の含有量が体積基準で0.7%であるが、篩後に得られた着色樹脂粒子では、粗大粒子の含有量が0.4%であることから、着色樹脂粒子中の粗大粒子を除去することが可能であった。
しかし、連続運転時間が400時間で、積層金網が破損していることから、効率的に着色樹脂粒子から粗大粒子除去することはできなかった。第1金網と第2金網を焼結しなかったため、強度が不足したためであると考えられる。
【0092】
表1より、比較例2では、目開きが最小である第1金網の目開きAが25μmである積層金網を篩として使用して、着色樹脂粒子中の粗大粒子の除去を行った。
比較例2では、篩前の着色樹脂粒子は粗大粒子の含有量が体積基準で0.3%であるが、篩後に得られた着色樹脂粒子では、粗大粒子の含有量で0.1%であることから、着色樹脂粒子中の粗大粒子を除去することが可能であった。
しかし、連続運転時間が10時間で、積層金網に目詰まりが発生していることから、効率的に着色樹脂粒子から粗大粒子除去することはできなかった。目開きが最小である第1金網の目開きが25μmと小さすぎるために、目詰りの発生しやすくなったことによると考えられる。
【0093】
これらに対し、表1より、実施例1〜7では、目開きの異なる2又は3枚の金網を焼結により張り合わせたものであって、目開きが最小である第1金網の目開きAが45〜75μmの範囲にある積層金網を篩として使用して、着色樹脂粒子中の粗大粒子の除去を行った。
実施例1〜7の全てにおいて、篩前の着色樹脂粒子中の粗大粒子の含有量が、篩後に減少していることから、着色樹脂粒子中の粗大粒子を除去することが可能であった。
また、実施例1〜7では、積層金網に目詰まりや破損が発生することなく、1000時間以上連続運転することが可能であったことから、効率的に着色樹脂粒子から粗大粒子を除去することができることが明らかとなった。
目開きが最小である第1金網の目開きAが45〜75μmであるために、目詰まりを起こすことなく、粗大粒子を除去することが可能であるうえ、目開きが最小である金網に当該金網より目開きが大きい金網を焼結により張り合わせて積層することによって、十分な強度を得ることができたためであると考えられる。