(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
食用油をボトル容器等の容器に充填した後、容器のヘッドスペースに存在する空気を窒素ガス等の不活性ガスで置換することにより、食用油の保存性が良くなることが知られている。
【0003】
容器のヘッドスペースに存在する空気を不活性ガスで置換する工程は、その置換率を高めるために不活性ガス雰囲気の中で行われることが最適であるが、不活性ガスの使用量が多くなるためコスト高となり、また、不活性ガス雰囲気中での作業は作業者の生命を危険に晒すこととなる。
【0004】
したがって、経済性と安全性を考えると、少量の不活性ガスを使用して効率よく置換する方法が好ましく、当該置換方法の開発が望まれている。
【0005】
容器のヘッドスペースのガス置換の方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法がある。
【0006】
特許文献1には、瓶に内容物を充填した後、この瓶の瓶口にキャップを供給し、密封を行う瓶詰飲料の製造方法であって、瓶口にキャップを供給する工程で、キャップが瓶口に斜めに半被りの状態となったとき、このキャップ内空部に向けて、不活性ガスもしくは不活性ガスと蒸気との混合ガスを噴射し、キャップ内空部の空気をこのガスで置換すると共に、キャップ内空部壁面にあたって反射したこのガスで、瓶のヘッドスペース内の空気を置換する瓶詰飲料の製造方法が開示されている。
【0007】
また、特許文献1(段落〔0009〕〜〔0011〕、
図8〜9)には、その従来技術として、特許文献2が挙げられている。特許文献2には、キャップシューター側壁部に、シューター用不活性ガス吹き込みノズル管を装着せしめると共に、該キャップシューターのキャップ送出口側方部に、先端及び下側壁部に噴出孔を有する容器・キャップ用不活性ガス吹き込みノズル管を配設せしめた容器ヘッドスペース内ガス充填装置が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔容器充填液状食品の製造装置〕
図1は、ボトル容器への液状食品の充填工程及び該容器の閉栓工程を含む容器充填液状食品の製造工程全体を示す概略図である。また、
図2は、
図1における閉栓工程を拡大して示す概略図である。
容器充填液状食品の製造工程は、充填ブース10内で行なわれる。
【0018】
容器充填液状食品の製造装置は、第1搬送機11と、充填機12と、第2搬送機13と、閉栓機14と、第3搬送機15と、窒素ガス置換プレート1とを含んで構成される。
【0019】
第1搬送機11は、ドーナツ形状の搬送ルートと、ボトル容器16の側部を挟んで保持し搬送ルートに沿って搬送させる手段とを備え、充填ブース10の外部から搬送されてくる空のボトル容器16を次の充填機12へと搬送する。
【0020】
充填機12は、ドーナツ形状の搬送ルートと、ボトル容器16の側部を挟んで保持し搬送ルートに沿って搬送させる手段と、液状食品充填手段とを備え、第1搬送機11から搬送されてくる空のボトル容器16を搬送させる手段で捉えて、ボトル容器16が1回転する間に液状食品充填手段により液状食品を充填した後、次の第2搬送機13へと搬送する。液状食品は、ボトル容器16の上部に所定容量のヘッドスペースを有するように所定量が充填される。
【0021】
第2搬送機13は、ドーナツ形状の搬送ルートと、ボトル容器16の側部を挟んで保持し搬送ルートに沿って搬送させる手段とを備え、充填機12から搬送されてくる液状食品を充填済みのボトル容器16を次の閉栓機14へと搬送する。
【0022】
閉栓機14は、ドーナツ形状の搬送ルートと、ボトル容器16の側部を挟んで保持し搬送ルートに沿って搬送させる手段と、閉栓手段(
図7に記載のキャップ搬送機18)とを備える。閉栓機14は、第2搬送機13から搬送されてくる液状食品を充填済みのボトル容器16を搬送させる手段で捉えて、第2搬送機13から閉栓機14への連絡部分に設置された窒素ガス置換プレート1により窒素ガスがボトル容器16の容器口16aに吹き付けられた直後に、キャップ搬送機18によりボトル容器16を閉栓して密封し、次の第3搬送機15へと搬送する。
【0023】
第3搬送機15は、ドーナツ形状の搬送ルートと、ボトル容器16の側部を挟んで保持し搬送ルートに沿って搬送させる手段とを備え、閉栓機14から搬送されてくる閉栓済みのボトル容器16(容器充填液状食品)を搬送させる手段で捉えて、充填ブース10の外部へ向けて搬送する。
【0024】
(窒素ガス置換プレート)
図3は、本発明の実施の一形態に係る窒素ガス置換プレートのプレート上面を示す平面図であり、
図4は、本発明の実施の一形態に係る窒素ガス置換プレートのプレート下面を示す底面図である。
【0025】
本発明の実施の形態に係る容器充填液状食品の製造装置は、窒素ガス置換プレート1に特徴を有する。
【0026】
窒素ガス置換プレート1は、図示を省略している支柱等に固定して所定の箇所に設置され、容器のヘッドスペース等のガスを窒素ガスに置換するために使用されるものである。なお、後述するように、窒素ガスに限らず種々の不活性ガスに置換するために使用できるため、総称的に不活性ガス置換プレートとも言う。また、例えば、容器のヘッドスペース等のガスを炭酸ガスに置換するために使用する場合には炭酸ガス置換プレートとも言う。
【0027】
窒素ガス置換プレート1は、例えば、内部にガス流通路が形成された1枚のプレート(平板)からなる。あるいは、2枚のプレート(平板)と2枚のプレートを連結する側壁とからなり、これらで囲まれた内部の空洞がガス流通路として機能するものであってもよい。ガス流通路は、後述する流出孔とガス供給口とを連通させ、窒素ガス等の不活性ガスが流れる通路である。
【0028】
窒素ガス置換プレート1は、不活性ガスである窒素ガスを流出する第1の流出孔をプレート下面に2つ以上有する。第1の流出孔は、3つ以上設けられることが好ましく、4つ以上設けられることがより好ましい。第1の流出孔の数の上限は特にないが、10つ以下であることが好ましく、9つ以下であることがより好ましい。
図2〜4では、第1の流出孔を7つ有する実施形態を例示している。
【0029】
窒素ガス置換プレート1は、不活性ガスである窒素ガスを流出する第2の流出孔をプレート上面に2つ以上有することが好ましい。第2の流出孔は、3つ以上設けられることがより好ましく、4つ以上設けられることが更に好ましい。第2の流出孔の数の上限は特にないが、10つ以下であることが好ましく、9つ以下であることがより好ましい。
図2〜4では、第2の流出孔を7つ有する実施形態を例示している。
【0030】
窒素ガス置換プレート1は、当該窒素ガス置換プレート1の下を通過するボトル容器16の容器口16aに向けて窒素ガスを吹き付けることが可能な形態であれば、その形状は特に限定されるものではないが、当該窒素ガス置換プレート1の上を通過するキャップ17のキャップ口に向けて窒素ガスを吹き付けることが可能な形態であることが好ましく、
図2〜4に示す形態が好ましい。
【0031】
図2〜4に示される窒素ガス置換プレート1の上面及び下面は、第2搬送機13のドーナツ形状の搬送ルートの円弧と略同一の円弧から成る辺と、閉栓機14のドーナツ形状の搬送ルートの円弧と略同一の円弧から成る辺とから形成される先細り形状を有する。プレート下面の第2搬送機13側の円弧から成る辺に沿って第1の流出孔1A〜7Aが等間隔に設けられ、プレート上面の閉栓機14側の円弧から成る辺に沿って第2の流出孔1B〜7Bが等間隔に設けられている。円弧から成る各辺の長さは、例えば140〜200mmである。先細り形状の最も細い部分(流出孔1A、1Bが設けられている部分)と対向する部分の形状は、特に限定されるものではなく、
図2〜4に示すような2直線で構成される形状であっても、円弧から成る各辺の流出孔7A、7Bが設けられている側の端部を1直線で連結した形状であってもよい。
【0032】
第1の流出孔1Aの中心軸と第2の流出孔1Bの中心軸との距離は、例えば0〜8mmであり、第1の流出孔7Aの中心軸と第2の流出孔7Bの中心軸との距離は、例えば80〜120mmである。
【0033】
第1の流出孔の直径は、例えば3.5〜5mmである。また、第2の流出孔の直径は、例えば3.5〜5mmである。各孔の形状は、円形を例示したが、これに限られず、多角形形状や楕円形状であってもよい。
【0034】
窒素ガス置換プレート1は、
図2に示すガス供給管2が接続されたガス供給口1aから供給される窒素ガスが上記流出孔以外から漏れないように構成されている。
【0035】
窒素ガス置換プレート1の厚みは、8mm以下であることが好ましく、6mm以下であることがより好ましく、3〜5mmであることが更に好ましい。
【0036】
窒素ガス置換プレート1の材質としては、例えば鉄、ステンレス、アルミ等の金属や硬質プラスチックが好ましい。
【0037】
〔容器充填液状食品の製造方法〕
本発明の実施の形態に係る容器充填液状食品の製造方法は、第1搬送機11により空のボトル容器16を充填機12へと搬送する工程、充填機12によりボトル容器16にヘッドスペースを有するように液状食品を充填する工程、第2搬送機13により液状食品充填済み容器16を閉栓機14へと搬送する工程、ボトル容器16の容器口16aに向けて窒素ガスを窒素ガス置換プレート1により吹き付け、ボトル容器16のヘッドスペース内に存在する気体を窒素ガスに置換する工程、閉栓機14によりボトル容器16に閉栓して密封する工程、第3搬送機15により閉栓済みのボトル容器16(容器充填液状食品)を充填ブース10の外部へ向けて搬送する工程を有する。好ましくは、閉栓して密封する工程の前に、キャップ17のキャップ口に向けて窒素ガスを窒素ガス置換プレート1により吹き付け、キャップ内に存在する気体を窒素ガスに置換する工程を有する。本発明の実施の形態に係る容器充填液状食品の製造は、例えば上述した容器充填液状食品の製造装置を使用して行なうことができる。
【0038】
特に、容器のヘッドスペース内に存在する気体を窒素ガスに置換する工程が本発明において特徴的であり、以下に詳細に説明する。窒素ガスに置換する工程以外の工程は、省略や代替が可能である。
【0039】
具体的には、本発明の実施の形態に係る容器充填液状食品の製造方法は、液状食品を充填したボトル容器16の容器口16aにキャップ17を閉栓する位置から容器16が70〜120mm上流側の位置で容器口16aに向けて窒素ガスを窒素ガス置換プレート1により吹き付けて容器16のヘッドスペース内に存在する気体を窒素ガスに置換する工程を有することを特徴とする。
【0040】
窒素ガス置換プレート1による容器口16aに向けての窒素ガスの吹き付けを、キャップ17を閉栓する位置から容器16が70〜120mm上流側の位置で行なうことが最も窒素置換効率が良い。ここで、上流側とは、ボトル容器16の移動方向に対する上流側を指す。
【0041】
窒素ガス置換プレート1のプレート下面には、上記の70〜120mm上流側の位置で窒素ガスを容器口16aに向けて吹き付けるための窒素ガスを流出する第1の流出孔が1つ以上設けられていればよい。当該第1の流出孔の数は、2つ以上が好ましく、3〜5つがより好ましい。
【0042】
上記の70〜120mm上流側の位置に設けられる第1の流出孔以外に、その下流側に第1の流出孔が更に1〜2つ設けられていることが好ましく、また、その上流側に第1の流出孔が更に1〜2つ設けられていることが好ましい。
【0043】
例えば、
図3〜4に示す第1の流出孔1A〜7Aは、
図2に示すキャップ17を閉栓する位置からの距離がそれぞれ、1A:36.2mm、2A:56.0mm、3A:75.8mm、4A:95.6mm、5A:115.4mm、6A:135.2mm、7A:155.0mmであるので、流出孔3A〜5Aが上記の70〜120mm上流側の位置に設けられた孔に相当する。流出孔1A〜2Aがその下流側、流出孔6A〜7Aがその上流側に設けられた孔に相当する。
【0044】
窒素ガス置換プレート1の下を通過する際のボトル容器16の移動速度(搬送速度)は、例えば195〜560mm/sが好適である。これは、1分間に窒素ガス置換プレート1の下を通過するボトル容器16の本数:25〜70本/分の速さに相当する。より好ましくは、240〜480mm/s(30〜60本/分相当)である。
【0045】
第1の流出孔からの窒素ガス等の不活性ガスのブロー量は、一孔あたり10〜18L/minであることが好ましく、11〜16L/minであることがより好ましい。また、この時の第1の流出孔の面積は、一孔あたり3.1〜28.3mm
2が好ましく、7.0〜20.0mm
2がより好ましく、11.0〜14.00mm
2が更に好ましい。
【0046】
図5は、
図3における容器口と窒素ガス置換プレート(流出孔)の位置関係を示す側面図である。
【0047】
図5において、窒素ガス等の不活性ガスを容器口16aに向けて吹き付ける際の、容器口16aの最上端と、第1の流出孔(本実施の形態では窒素ガス置換プレート1のプレート下面)との距離dは、6mm以下であることが好ましく、5mm以下であることがより好ましく、1〜4mmであることが更に好ましい。
【0048】
図6は、
図3における容器口と窒素ガス置換プレートの流出孔の位置関係を示す拡大平面図である。
【0049】
図6において、窒素ガス等の不活性ガスを容器口16aに向けて吹き付ける際の、第1の流出孔の容器口16aの中央からの第2搬送機13の中心側へのズレ(距離D
1)は、5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることが更に好ましい。また、窒素ガス等の不活性ガスを容器口16aに向けて吹き付ける際の、第1の流出孔の容器口16aの中央からの閉栓機14の中心側へのズレ(距離D
2)は、5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることが更に好ましい。
【0050】
一方、窒素ガス置換プレート1のプレート上面には、窒素ガスをキャップ17のキャップ口に向けて吹き付けるための窒素ガスを流出する第2の流出孔が1つ以上設けられていることが好ましい。当該第2の流出孔の数は、2つ以上が好ましく、3つ以上がより好ましい。
【0051】
窒素ガス置換プレート1によるキャップ口に向けての窒素ガスの吹き付けを、キャップ17を閉栓する位置からキャップ17が20〜60mm上流側の位置で行なうことが最も窒素置換効率が良い。ここで、上流側とは、キャップ17の移動方向に対する上流側を指す。後述する
図7で示されるように、キャップ17は上方より斜め下の方向へ容器口16aに向かって降りてくるため、窒素ガス置換プレート1に近づくほど、すなわち、閉栓する位置から近い位置で吹き付けを行なうほど窒素置換効率が良い。
【0052】
例えば、
図3〜4に示す第2の流出孔1B〜7Bは、
図2に示すキャップ17を閉栓する位置からの距離がそれぞれ、1B:36.2mm、2B:56.0mm、3B:75.8mm、4B:95.6mm、5B:115.4mm、6B:135.2mm、7B:155.0mmであるので、流出孔1B〜2Bが上記の20〜60mm上流側の位置に設けられた孔に相当する。
【0053】
窒素ガス置換プレート1の上を通過する際のキャップ17の移動速度(搬送速度)は、窒素ガス置換プレート1の下を通過する際のボトル容器16の移動速度(搬送速度)に同調させる。
【0054】
第2の流出孔からの窒素ガス等の不活性ガスのブロー量は、一孔あたり10〜18L/minであることが好ましく、11〜16L/minであることがより好ましい。また、この時の第2の流出孔の面積は、一孔あたり3.1〜28.3mm
2が好ましく、7.0〜20.0mm
2がより好ましく、11.0〜14.0mm
2が更に好ましい。
【0055】
図7は、本発明の実施の形態に係る閉栓工程におけるキャップを搬送及び閉栓する動作を示す概略図である。
図7は、ボトル容器16が図の右側(
図7(a))から左側(
図7(c))へ移動しながら、キャップ17を保持して降下してくるキャップ搬送機18によりボトル容器16が閉栓される様子を示している。
図7において、窒素ガス置換プレート1は図示省略している。
【0056】
窒素ガスの吹き付けは、
図7(b)の位置までの移動過程において行い、吹き付け直後に容器を閉栓することが好ましい。なお、吹き付け直後とは、窒素ガスの吹き付けからキャップを閉栓するまでの時間が0.05秒以上1秒以下が好ましく、0.1秒以上0.5秒以下がより好ましく、0.15秒以上0.35秒以下が更に好ましい。
【0057】
(不活性ガス)
上記実施の形態においては、窒素ガスを例に説明したが、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、及び炭酸ガスから選ばれる1種以上の不活性ガスを使用することができる。汎用性およびコストの観点から、窒素ガスであることが好ましい。
【0058】
(容器)
容器は、上記実施の形態においては、ボトル容器16を例に説明したが、種々の容器を使用できる。ボトル容器16を使用することが好ましい。ボトル容器16は、キャップにより閉栓される容器口をボトル容器の上部に備え、液状食品が充填された後、不活性ガスで置換されたヘッドスペースを有する状態で密封される。この時、ボトル容器に液状食品を充填する前に、不活性ガスを吹き込み、空気と不活性ガスを置換しておくことが好ましい。
【0059】
ボトル容器16は、いわゆるボトル形状の容器であり、ヘッドスペースの容器断面径が液状食品の充填された部分の容器断面径よりも小であるものが機能的にもデザイン的にも好ましい。容器口の直径は、例えば、12〜25mmである。
【0060】
ボトル容器10の大きさは特に限定されないが、例えば、収容する液状食品の量が100〜1800g用のものを使用できる。ヘッドスペースは、開栓時の液ハネを防止することが可能なように一定容量以上を確保する。例えば、ヘッドスペースの総容量として30ml以下が好ましい。また、収容する液状食品の量(g)に対するヘッドスペースの容量(ml)の割合が0.02〜0.2(ml/g)となるようにすることがより好ましい。
【0061】
容器の材質は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニール(PVC)、ポリ乳酸等の樹脂、ガラス、金属等が材料として使用される。好ましくは、樹脂を用いたプラスチック容器またはガラス容器であり、特に好ましくはプラスチック容器である。また、これにフィルムを組み合わせた多層構造のものとしてもよい。また、積層剥離容器(いわゆるデラミ容器)であってもよい。
【0062】
プラスチック容器は、容器の形態を保つために、ブロー成形したプラスチック容器であることが好ましい。また、廃棄時の容量を減らせるように、押圧等により変形可能であることがより好ましい。
【0063】
(液状食品)
本実施の形態において使用できる液状食品の種類は特に限定されない。10〜25℃で流動性のある液状の食品であれば、特に限定されない。例えば、食用油、ドレッシング、飲料があげられるが、食用油が好ましい。
【0064】
食用油の種類は、特に限定されない。例えば、大豆油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、ゴマ油、ゴマサラダ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、牛脂、ラード、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ油、藻類油、品種改良によって低飽和化されたこれらの油脂およびこれらの混合油脂、エステル交換油脂、水素添加油脂、分別油脂等が挙げられる。
【0065】
また、食用油には、L−アスコルビン酸やL−アスコルビン酸誘導体、ビタミンE、トコフェロール類、アスコルビン酸脂肪酸エステル、リグナン、コエンザイムQ、リン脂質、オリザノール、植物ステロール、ジアシルグリセロール、カテキン類、及びポリフェノール類、茶抽出物などの抗酸化剤や乳化剤などのその他の添加物を添加しても良い。
【0066】
乳化剤としては、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、縮合リシノレイン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル等や、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の乳化剤が挙げられる。
【0067】
抗酸化剤及び乳化剤から選ばれる1種以上を添加した油脂であることが好ましい。
【0068】
〔本発明の実施の形態の効果〕
本発明の実施の形態によれば、容器のヘッドスペースを不活性ガスで置換するガス置換の効率がよく、上記不活性ガス置換工程後のボトル容器10のヘッドスペース内の酸素濃度を5容量%以下にすることができ、好ましい実施形態によれば、同酸素濃度を4.5容量%以下にすることができ、より好ましい実施形態によれば、同酸素濃度を4容量%以下にすることができ、更に好ましい実施形態によれば、同酸素濃度を3.5容量%以下にすることができる。
また、ガス置換の効率がよく、かつ、キャップシューター式以外の閉栓装置にも適用できる。更に、不活性ガス雰囲気で行う場合に比べガスの使用量を減らせるためガス置換の経済性と安全性に優れる。
【0069】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0070】
図1に記載の充填ブース10内で、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のボトル容器16(容量145g)に日清オイリオグループ(株)製の菜種油を充填機12により充填した後、
図2〜4に示す窒素ガス置換プレート1(第1の流出孔1A〜7A及び第2の流出孔1B〜7Bの位置は前述した例示の通り。第1及び第2の流出孔の直径4mm)を使用して、下記の表1に記載の条件に従って、ボトル容器16のヘッドスペース(24ml)の空気を窒素ガスに置換するべく、窒素ガスをボトル容器16の容器口16a及び/又はキャップ17のキャップ口に吹き付け、窒素ガス置換プレート1の下をボトル容器16が通過後直ちに、キャップ搬送機18によりねじ込み式キャップ17を容器口16aに閉栓して密封した。
【0071】
各サンプルについて、密封直後(密封後、10分以内)のヘッドスペースの酸素濃度(容量%)を以下の方法により測定し、測定結果を表1に示した。測定本数は、各2本であり、2本の平均値を示した。
【0072】
<ヘッドスペースの酸素濃度の測定方法>
測定対象となる上記の密封直後の容器について、蓋部上方から測定対象ガス吸引用チューブに接続された吸引針を差し込み、ここから採取したヘッドスペースガスを飯島電子工業株式会社製の残存酸素計「パックマスター (RO−103)」のセンサー部に送り込み、これを測定した。
【0073】
【表1】
【0074】
テストNo.1より、第1の流出孔と容器口16aの間隔d(
図5)が小さいほどヘッドスペースの酸素濃度が低く、ヘッドスペースの気体が効率良く窒素ガスに置換されていることが判る。ヘッドスペースの酸素濃度を5容量%以下にするには、第1の流出孔と容器口16aの間隔dをおよそ6mm以下にするとよいことが推測できる。
【0075】
テストNo.2−1及び2−2より、第1の流出孔3A又は5Aを開放時に窒素置換率が急上昇したことが判る。これより、第1の流出孔3A〜5Aの位置で容器口16aに吹き付けることが優れた窒素置換効果を奏するために重要であると言える。また、開放する第1の流出孔の数を増やすほど窒素置換効果が高まると言える。
【0076】
テストNo.2−1及び2−2で判明した第1の流出孔3A及び5Aの重要性を確認するべく、テストNo.3−1及び3−2を行なった。これより、第1の流出孔3A及び5Aの重要性が確認できた。
【0077】
テストNo.4より、第2の流出孔1Bの位置でキャップ口に吹き付けることが優れた窒素置換効果を奏するために重要であると言える。
【0078】
テストNo.5及びNo.6の2つ目より、第1の流出孔のボトル容器口16aの中心からのずれ(D
1=2mm以上6mm以下)があった方が第1の流出孔をボトル容器口16aの中心に位置させるよりも窒素置換効果がよいと言える。
【0079】
テストNo.6より、ボトル容器16の移動速度を適度な速さ(398mm/秒程度)とすることが最も優れた窒素置換効果を奏するために重要であると言える。ボトル容器16の移動速度が遅すぎると窒素ガス吹き付け後からキャップ17を容器口16aに閉栓するまでの時間が長くなるため、窒素ガスがヘッドスペースから抜けてしまうと考えられる。
【0080】
なお、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されず種々に変形実施が可能である。