(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
疎水性ポリマーブロックAおよび電荷を含むかまたは荷電可能な親水性ポリマーブロックBを含む少なくとも1種のA−Bジブロックコポリマー、ならびに少なくとも1種のモノマーの単位、少なくとも1種の重合性色素の単位、任意に少なくとも1種の荷電したコモノマーの単位、および任意に少なくとも1種の架橋コモノマーのモノマー単位を含み、A−BジブロックコポリマーがブロックAとしてのPMMA(ポリメチルメタクリレート)およびブロックBとしてのPDMAEMA(ポリ−N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート)からなる、電気泳動デバイスにおいて使用するための着色されたポリマー粒子。
ブロックBが部分的にもしくは完全に四級化された窒素基または部分的にもしくは完全に中和された酸基に基づいて0.2%〜100%の永久的電荷で荷電されていることを特徴とする、請求項1に記載の着色されたポリマー粒子。
ブロックBを部分的にもしくは完全に四級化された窒素基または部分的にもしくは完全に中和された酸基に基づいて0.2%〜100%の永久的電荷で荷電することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
ポリマー粒子をモノマー、A−Bブロックコポリマー、架橋剤、重合性色素、イオン性コモノマーおよび開始剤を含む組成物から、バッチエマルションプロセスにおいて製造することを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
近年、低電力、低コストおよび軽量ディスプレイデバイスについての必要性が高まっている。EPD(電気泳動ディスプレイ)は、この要件を満たすことができる。EPDの1つの使用は、電子ペーパー用である。画像が表示された後に、画像がさらなる電圧を印加せずに長期間にわたり保持され得ることが必須である。したがって、これは、低電力使用の要件を満たし、また画像が、他の画像が必要とされるまで視覚可能であり得ることを意味する。
【0003】
EPDは一般に、各々が1つ以上の電極を含む2つの基板間に分散した荷電電気泳動粒子を含む。電極間の空間は、粒子の色に対して異なる色であり得る分散媒体で満たされている。電極間の空間はまた、透明な分散媒体および反対の符号の電荷を有する2種類の粒子で満たされ得る。電圧を電極間に印加した場合、荷電粒子は、反対の極性の電極に移動する。粒子は、観察者の側の電極を被覆することができ、したがって、画像を観察者の側から観察した際に、粒子の色と同一の色が表示される。あらゆる画像を、多数のピクセルを使用して観察することができる。
【0004】
EPDの利用可能な技術は、商業的に電子書籍において用いられる電子ペーパーを含む。この用途は、白黒または色を用いる。しかし、従来技術のEPDの主要な欠点は、鮮やかな(bright)全色系の欠如である。
【0005】
異なる着色粒子の単一のピクセルにおける使用は、最近の特許文献(US 7,304,634、GB 2 438 436、US2007/0268244)において例示されているが、これらのアプローチのすべては、複雑なセル構造および駆動スキームを用いることを必要とする。EPDのための特別な着色粒子およびそれらの調製のための方法は、US 2007/0297038、US 2008/0013156、US 6,822,782、WO 2007/048721、WO 2008/003619、WO 2008/003604、US 2005/0267263、WO 2006/126120およびJ. Nanosci. Nanotechn. 2006, Vol. 6, No. 11, p. 3450 - 3454に開示されている。無機粒子および樹脂粒子を含む2つの粒子系もまた、知られている(EP 1 491 941)。これらの着色粒子は、複雑なプロセスによって達成可能であるに過ぎず、かつ/またはそれらは、特定の用途に適するに過ぎない。同様の着色粒子およびそれらの調製プロセスは、分析手法について(US 5,607,864およびUS 5,716,855)、ならびにインクジェット印刷のためのトナー粒子として(US 4,613,559)知られている。
【0006】
EPDにおいて、粒子を無極性流体中で有効に移動させるために、および粒子の軟凝集を回避するために、粒子は、立体的に安定化され、かつ荷電されていることが要求される。EPDに適しているポリマー粒子を製造する報告された方法は、複雑であり、多数のステップを有する。EPDに適しているポリマー粒子の複雑な製造を単純化する必要がある、無極性媒体中に容易に分散させることができる荷電した着色された粒子の単純な製造、電気泳動移動度を示し、それは分散剤中の色を浸出しない。したがって、本発明の目的は、カラー電気泳動ディスプレイのための電気光学的に活性な媒体およびそのような媒体中で用いるための特別に設計された着色粒子を提供することにある。
【0007】
この目的は、疎水性ポリマーブロックAおよび電荷を含むかまたは荷電可能な親水性ポリマーブロックBを含む少なくとも1種のA−Bジブロックコポリマー、ならびに少なくとも1種のモノマーの単位、少なくとも1種の重合性色素の単位、任意に少なくとも1種の荷電したコモノマーの単位、および任意に少なくとも1種の架橋コモノマーのモノマー単位を含む、電気泳動デバイスにおいて使用するための着色されたポリマー粒子によって、電気泳動デバイスにおいて使用するためのポリマー粒子の製造方法であって、a)少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種のA−Bジブロックコポリマー、少なくとも1種の開始剤、任意に少なくとも1種の重合性色素、任意に少なくとも1種の荷電したコモノマー、および任意に少なくとも1種の架橋コモノマーの反応、b)任意に、ポリマー粒子を、少なくとも1種の色素および/または少なくとも1種の前重合した色素および/または少なくとも1種の重合性色素の包含によって着色すること、ならびに任意にc)ポリマー粒子を洗浄すること、を含む前記製造方法によって、これらの粒子自体によって、電気泳動デバイスの製造のためのこれらの粒子の使用によって、かかる粒子および新たな重合性色素を含む電気泳動ディスプレイによって解決される。
【0008】
本発明の主題は特に、特別に設計されたポリマー粒子および誘電性有機媒体中でのそれらの分散体を用いて、特にフルカラー電子新聞または電気泳動ディスプレイの電気的にスイッチング可能な部品として適した組成物を製造することに関する。本発明のポリマー粒子の利点は、特に、以下のものであり得る:
【0009】
・画質に関する、50〜500nm、好ましくは150〜400nmの小さい直径範囲を有する粒子のサイズ、単分散サイズ分布の優れた制御および/または
・光学的透明度および色適合性に関する、ガラス状のポリマーの性質および/または
・耐溶媒性に関する、均一な架橋ネットワーク構造および/または
・EPD溶媒媒体中に分散させた際の非膨張性、衝撃強度、硬度および/または
【0010】
・EPDに最も用いられている媒体である無極性の連続相における分散性、および/または
・誘電性媒体中での高い電気泳動移動度、および/または
・すべての色にわたる色素の包含に対して、技術が普遍的に適用可能である、および/または
・正確なゼータ電位が可能である、および/または
【0011】
・すべての色が、同一の密度を有する(沈降/凝集性能について良好である)、および/または
・同程度の電圧における優れたスイッチング挙動、より迅速な応答時間、および/または
・一貫した表面特性、および/または
・良好な再現性、および/または
・担体流体に近い密度。
【0012】
本発明の主な利点は、適切な色、例えば赤色、緑色および青色またはシアン、マゼンタおよび黄色および黒色の組み合わせの粒子を製造することが可能であること、ならびに所望のサイズの、かつ高い単分散性を有し、立体的安定性を有し、好ましくは電気泳動的移動を可能にするために電荷を包含する着色された粒子を製造することができることである。
【0013】
通常、本発明によるモノマー組成物は、少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種のA−Bジブロックコポリマー、少なくとも1種の開始剤、任意に少なくとも1種の重合性色素、任意に少なくとも1種の荷電したコモノマー、および任意に少なくとも1種の架橋コモノマーを含む。好ましくは、本発明によるモノマー組成物は、基本構造を提供するモノマー、A−Bジブロックコポリマー、重合性色素、架橋コモノマー、イオン性コモノマーおよび開始剤を含む。好ましくは、本発明による重合は、フリーラジカル重合である。イオン性重合もまた、適用可能である。
【0014】
本発明の着色されたポリマー粒子を費用効率的な生産工程を可能にする単純な1ステップ反応において製造するのが、特に好ましい。好ましくは、着色されたポリマー粒子を、単に、反応組成物から、ろ過によって、好ましくはある細孔径のフィルター、つまり0.1μmの細孔径のフィルターを通して懸濁液を注ぐことにより分離する。好ましくは、粒子を洗浄し、かつ/または凍結乾燥してもよい。
【0015】
別の主な利点は、好ましくは水溶液中のミニエマルション重合を使用することができることである。ミニエマルション重合は、水に難溶のモノマーを水溶性の開始剤によって重合する周知の重合プロセスである。この経路によって、単分散性、画質のためのサブミクロンサイズの小さな直径範囲を有する粒子サイズに対する優れた制御が得られる。溶媒としての水の使用によって、有機溶媒の使用に関する明白な安全性および環境上の利点が得られる。重合条件の選択は、粒子の要求されるサイズおよびサイズ分布に依存する。重合条件の調整は、ある当業者に周知である。
【0016】
有利には、エマルション重合を行う手順は、得られる粒子サイズおよびポリマー特性に対して顕著な効果を有する。実に、全く異なる性能特性を有する粒子を、同じ反応配合物から、重合プロセスおよび使用する条件の適切な制御によって生成することができる。当業者は、かかる重合条件を熟知しており、それらをいかにして使用し、制御するかを知っている。エマルション重合条件の包括的な調査は、“Emulsion polymerization”; van Herk, Alex; Gilbert, Bob; Department of Polymer Chemistry, Eindhoven University of Technology, Eindhoven, Neth. Editor(s): Van Herkに示されている。
【0017】
好ましくは、バッチエマルション重合プロセスを使用し、ここですべての反応体を、重合プロセスの最初に完全に加える。かかるプロセスにおいて、比較的少数の変数のみを、所与の配合物のために調整しなければならない。かかる場合において行うことができる好ましい変更は、反応温度、反応器設計ならびに撹拌のタイプおよび速度に対してである。
したがって、バッチエマルション重合プロセスを、反応配合物の限定された多用途性および単純な評価のために製造対半連続的なバッチ操作のために使用する。
【0018】
単純な1ステップ反応を非水性の、好ましくは無極性の媒体中で使用することがまた、可能である。好ましい溶媒は、無極性の炭化水素溶媒、特にEPD流体中で使用されるもの、つまりIsoparシリーズ(Exxon-Mobil)、Norpar、Shell-Sol (Shell)、Sol-Trol (Shell)、ナフサ、および他の石油溶媒、ならびに長鎖アルカン、例えばドデカン、テトラデカン、デカンおよびノナンである。特に好ましいのは、ドデカンである。油溶性開始剤は、この分散重合において好ましい。好ましくは、着色されたポリマー粒子を、単に、反応懸濁液からろ過により、好ましくはある細孔径のフィルター、つまり0.1μmの細孔径のフィルターを通して懸濁液を注ぐことにより分離するか、または粒子を、遠心分離により清浄にすることができる。
【0019】
本プロセスによって作成された粒子のさらなる利点は、界面活性剤なしの乳化共重合プロセスを使用することができることである。界面活性剤は、通常、粒子内安定性および粒子サイズ制御に対するそれらの影響のためにエマルション重合における重要な配合物変形であるが、それらは、電気泳動的応答に対して有害な効果を有し得る。A−Bジブロックコポリマーが粒子において結合するので、EPDに適しているあらゆる溶媒中に浸出することはほとんどありそうもない。
【0020】
本発明の主な主題は、少なくとも1種のモノマーの、少なくとも1つのA−Bジブロックコポリマーの、少なくとも1種の重合性色素の、任意に式1〜7の色素から選択された、任意に少なくとも1種の荷電したコモノマーの、および任意に少なくとも1種の架橋コモノマーのモノマー単位を含む着色されたポリマー粒子である。
【0021】
本プロセスによって製造したポリマー粒子の本質的な構成成分は、立体安定剤および/または粒子中への表面改質剤として作用するA−Bジブロックコポリマーである。有利に、A−Bジブロックコポリマーは、疎水性のAブロックおよび親水性のBブロックからなる。正確に荷電して追加的な電荷反発を生じ、しかしまた荷電してポリマー粒子を電極に移動させることができるのは、Bブロックである。それは、EPD用途のために特に好ましい。
【0022】
Aブロックを、ほとんどのモノマータイプ、特にメチルメタクリレート、エチルヘキシルメタクリレートおよびスチレンから製造することができる。好ましくは、Aブロックは、合成の間の包含を確実にするために、粒子中のポリマーと同様の性質であり、したがってA−Bジブロックコポリマーは、依然として粒子中で絡まったままである。粒子が主としてポリメチルメタクリレート(PMMA)で構成される場合、AブロックはPMMAであるべきであり、粒子が主としてポリスチレンで構成される場合、Aブロックはポリスチレンであるべきであるなど。さらなる好適なAブロックポリマーは、以下のもののポリマーである:2−エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレートおよびアクリレート、メタクリルアミド、スチレン系およびアクリルアミド等価物。
【0023】
Bブロックを、ほとんどのモノマータイプ、特に荷電可能なモノマー、例えばジメチルアミノエチルメタクリレートおよびメタクリル酸から製造することができる。Bブロックが荷電したコモノマーおよび/またはポリマー粒子の色素と同じ電荷を示すことが、好ましい。したがって、Bブロックは、好ましくは、例えば、ポリマー粒子がアクリル酸を含む場合にアニオン性(ナトリウム塩など)であり得るポリアクリル酸を含む親水性単位である。好ましいカチオンは、対イオン、例えば塩化物またはメチルサルフェートを有する四級化アミンモノマーである。さらに、Bブロックは、ポリマー粒子がアミノ基を含む場合にはアミノ基を含む。かかるBブロックは、四級化されて、親水性のカチオン性ブロックを生成することができる。好ましいアニオンは、カルボン酸またはスルホン酸モノマー、例えばメタクリル酸および3−スルホプロピルメタクリレートである。
【0024】
特に好ましいのは、ブロックBとしてのポリ−N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート(PDMAEMA)である。PDMAEMAブロックは、正確に四級化されて、四級化された親水性のカチオン性ブロックを生成して、例えば10%、20%および100%の永久的な電荷を有する試料を生成することができる。かかるカチオン性Bブロックは、2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(MOTAC)に最良に適合し、一般に水溶性の重合性カチオン性色素を使用する。さらなる好適なBブロックポリマーは、以下のもののポリマーである:ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルメタクリレート、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]ジメチルアミン、これらのアクリレートおよびアクリルアミド等価物ならびにこれらのモノマーの四級化塩。
【0025】
特に好ましいのは、ブロックAとしてのPMMAおよびブロックBとしてのPDMAEMAからなるA−Bジブロックコポリマーである。PMMAブロックは、好ましいラテックスと整合し、PDMAEMAブロックは、表面から突起し、立体的反発を引き起こす。
【0026】
本発明による好ましいA−Bジブロックコポリマーは、PMMA
m−q
xPDMAEMA
nであり、ここでmは、ブロックAのモノマー単位の数であり、nは、ブロックBのモノマー単位の数であり、q
xは、アミノ基の総数に基づいたブロックBの四級化の百分率である。nは、好ましくは>10、特に10〜20の範囲内であり、mは、好ましくは>10、特に15〜110の範囲内であり、q
xは、好ましくは>10%、特に10%、20%および100%である。特に好ましいのは、PMMA
14−PDMAEMA
21、PMMA
14−q
20PDMAEMA
21、PMMA
14−q
100PDMAEMA
21、PMMA
14−PDMAEMA
54、PMMA
14−q
20PDMAEMA
54、PMMA
14−q
100PDMAEMA
54、PMMA
14−PDMAEMA
108、PMMA
14−q
20PDMAEMA
108、PMMA
14−q
100PDMAEMA
108である。
【0027】
2000〜50000、好ましくは3000〜30000、特に4000〜25000の分子量Mnを有するA−Bジブロックコポリマーが、好ましい。特に、狭い分子量分布多分散性指数(PDI)<1.5、好ましくは<1.3、特に<1.1を有するA−Bジブロックコポリマーが、好ましい。分子量Mnを、PMMAを標準として使用してテトラヒドロフラン中でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって決定することができるか、または
1H NMR分析からの結果に基づいて計算する。好ましくは、分子量Mnを、テトラヒドロフラン中でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、以下の実験の部において詳細に記載するように決定する。
【0028】
A−Bジブロックコポリマーおよびそれらの合成は、当業者に知られている。狭い重量分布を有するブロックコポリマーを、特に、リビングラジカル重合、例えば原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキシド媒介重合(NMP)および可逆的添加断片化移動重合(RAFT)により製造する。リビング重合の特徴は、すべてのモノマーが消費されるまでの重合進行、反応の化学量論による分子量制御、および連続的なモノマー添加によるブロックコポリマー製造である。
【0029】
好ましくは、A−Bジブロックコポリマーを、RAFT重合によって製造する。RAFT重合は、2ステップ合成であり、ここでブロックAを形成するホモポリマーを、第1のステップにおいて製造し、第2のステップにおいてBブロックを構成するモノマーを有するRAFT剤の使用によりカップリングさせる。好適なRAFT剤は知られており、特に4−シアノペンタンジチオベンゾエート(CPDB)を使用する。RAFTおよびRAFT剤の合成は、文献(J. Chiefari et al, Macromolecules, 1998,
31, 5559;Moad G. et al., Polym. Int., 2000,
49, 993-1001;Zard S. Z. et al, Tet. Lett, 1999,
40, 277-280;Thang S. H. et al, Tet. Lett, 1999,
40, 2435-2438)に記載されている。
【0030】
好ましくは、A−BジブロックコポリマーのBブロックは、それがアミノ基を含む場合には荷電している、例えば四級化されている。かかる四級化を、好ましくはメチルハロゲン、特にヨウ化メチルとの反応によって行う。反応条件は、公の知識である。
【0031】
有利には、本発明は、立体的安定性、電荷、単分散性および色を有するポリマー粒子の合成のための単純な方法を提供する。かかる粒子によって、減法的モード(substractive mode)EPDディスプレイのための主な候補の1つと見なされて、シャッターモードを利用する電気泳動ディスプレイの構築が促進される。本発明によるプロセスおよび粒子において立体安定剤として使用するA−Bジブロックコポリマーの利点は、特に以下のことであり得る:
【0032】
− ABブロックポリマーの包含によって立体安定剤の長さの独立した正確な制御による、立体的安定化の制御、
− 粒子様部分と独立した安定剤(親水性Bブロック)の荷電可能な部分の長さの正確な制御
− 粒子に安定剤を合わせる、例えば粒子をPMMAから作成する場合、安定剤は部分的にPMMA(疎水性Aブロック)からであり得る、
− 正確な電荷を有する安定剤の包含による粒子電荷の制御、
− 電荷を含むかまたは荷電され得る立体安定剤の使用によって、粒子は電場において移動可能である。
【0033】
ポリマー粒子の製造のための以下に記載するモノマー(およびコモノマー)をまた、重合性色素と組み合わせて、重合性色素/モノマー混合物を生産することができ、かつ/またはモノマーを重合性混合物中に段階的に包含させて、特別の効果、例えばコア−シェル効果を生じ、したがって粒子のシェル上により多量の色素があるようにすることができる。特に好ましいのは、重合性色素に類似するモノマー、例えばディスパースレッド1アクリレートを有するメチルメタクリレートである。コモノマーの添加は、それが重合のために利用可能な反応性基の量を増大させ、重合が追加のモノマーでより迅速に進行するという点で有利に見える。
【0034】
粒子を、ほとんどのモノマータイプ、特にメタクリレート、アクリレート、メタクリルアミド、アクリロニトリル、α置換アクリレート、スチレンおよびビニルエーテル、ビニルエステル、プロペニルエーテル、オキセタンおよびエポキシから製造することができるが、典型的にはモノマーである最大の百分率、次に架橋剤から製造され、荷電したモノマー(例えば四級化されたモノマー)を含むだろう。特に好ましいのは、架橋剤としてのメチルメタクリレートおよびエチレングリコールジメチルメタクリレートならびに反応性の荷電したモノマーとしての2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(MOTAC)であるが、他に多くのものを使用することができ、以下は、Sigma-Aldrich化学会社から商業的に入手できる使用することができるすべての例である。
【0035】
メタクリレート:
メタクリル酸、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、n−ブチルメタクリレート(BMA)、2−アミノエチルメタクリレート塩酸塩、アリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−(tert−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、カプロラクトン2−(メタクリロイルオキシ)エチルエステル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、
【0036】
2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、ジ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルメタクリレート、エチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリコシルオキシエチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
【0037】
ヒドロキシプロピルメタクリレートとヒドロキシイソプロピルメタクリレートとのヒドロキシプロピルメタクリレート混合物、2−ヒドロキシプロピル2−(メタクリロイルオキシ)エチルフタレート、イソボルニルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、塩化メタクリロイル、メタクリル酸、2−(メチルチオ)エチルメタクリレート、モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルマレエート、モノ−2−(メタクリロイルオキシ)エチルスクシネート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、フェニルメタクリレート、リン酸2−ヒドロキシエチルメタクリレートエステル、ステアリルメタクリレート、3−スルホプロピルメタクリレートカリウム塩、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、3−(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、トリメチルシリルメタクリレート、ビニルメタクリレート。好ましくは、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、メタクリル酸、および/またはn−ブチルメタクリレート(BMA)を用いる。
【0038】
アクリレート:
アクリル酸、4−アクリロイルモルホリン、[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、アクリル酸、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート、ベンジル2−プロピルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、2−[(ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]エチルアクリレート、tert−ブチル2−ブロモアクリレート、4−tert−ブチルシクロヘキシルアクリレート、2−カルボキシエチルアクリレート、無水2−カルボキシエチルアクリレートオリゴマー、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、i(エチレングリコール)エチルエーテルアクリレート技術的等級、ジ(エチレングリコール)2−エチルヘキシルエーテルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、エチルアクリレート、2−エチルアクリロイルクロリド、エチル2−(ブロモメチル)アクリレート、
【0039】
エチルシス(β−シアノ)アクリレート、エチレングリコールジシクロペンテニルエーテルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、エチル2−エチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチル2−プロピルアクリレート、エチル2−(トリメチルシリルメチル)アクリレート、ヘキシルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソブチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチル2−アセトアミドアクリレート、メチルアクリレート、メチルα−ブロモアクリレート、メチル2−(ブロモメチル)アクリレート、メチル3−ヒドロキシ−2−メチレンブチレート、オクタデシルアクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテルアクリレート大豆油、エポキシド化アクリレート、3−スルホプロピルアクリレートカリウム塩、テトラヒドロフルフリルアクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレート。好ましくは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、アクリル酸および/またはn−ブチルアクリレートを用いる。
【0040】
アクリルアミド:
2−アクリルアミドグリコール酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩溶液、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド溶液、3−アクリロイルアミノ−1−プロパノール溶液プラム(purum)、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、メタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、
【0041】
スチレン
スチレン、ジビニルベンゼン、4−アセトキシスチレン、4−ベンジルオキシ−3−メトキシスチレン、2−ブロモスチレン、3−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、α−ブロモスチレン、4−tert−ブトキシスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,6−ジフルオロスチレン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、3,4−ジメトキシスチレン、α,2−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン,N,N−ジメチルビニルベンジルアミン、
【0042】
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、4−エトキシスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、4−フルオロスチレン、2−イソプロペニルアニリン、3−イソプロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネート、メチルスチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−ニトロスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、2−(トリフルオロメチル)スチレン、3−(トリフルオロメチル)スチレン、4−(トリフルオロメチル)スチレン、2,4,6−トリメチルスチレン。好ましくは、スチレンおよび/またはジビニルベンゼンを用いる。
【0043】
ビニル群
3−ビニルアニリン、4−ビニルアニリン、4−ビニルアニソール、9−ビニルアントラセン、3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、ビニルベンジルクロリド、4−ビニルベンジルクロリド、(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、4−ビニルビフェニル、2−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニル4−tert−ブチルベンゾエート、クロロギ酸ビニル、クロロギ酸ビニル、ケイ皮酸ビニル、デカン酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、ピバル酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、
【0044】
用いてもよい他のモノマーは、粒子の安定化を助けるための基を有するもの、例えばポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)フェニルエーテルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ラウリルアクリレートおよび上記のもののフッ素化されたモノマーである。モノマーの数種は、所望によりさらなる反応のための基、例えばグリシジルエタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを有する。
【0045】
以下の化合物を、可溶性制御および溶媒膨張耐性のための粒子内架橋モノマーとして用いることができる:エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、アリルメタクリレート(ALMA)、ジビニルベンゼン、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]アジペート、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]1,6−ヘキサンジイルビスカルバメート、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]イソフタレート、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル](メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスカルバメート、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]スクシネート、ビス[4−(ビニルオキシ)ブチル]テレフタレート、ビス[4−(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチル]グルタレート、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、
【0046】
1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ジビニルエーテル、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、エチレングリコールビニルエーテル、トリス[4−(ビニルオキシ)ブチル]トリメリテート、3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ビス[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]ホスフェート、ビスフェノールAプロポキシレートジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ジウレタンジメタクリレート、N,N’−エチレンビス(アクリルアミド)、
【0047】
グリセロール1,3−ジグリセロレート、グリセロールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジイルビス[オキシ(2−ヒドロキシ−3,1−プロパンジイル)]ビスアクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートビス[6−(アクリロイルオキシ)ヘキサノエート]、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリシクロ[5.2.1.0]デカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパンベンゾエートジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートメチルエーテルジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート。
【0048】
任意に、モノマー組成物は、少なくとも1種の荷電コモノマーを含む。
粒子安定性および粒径制御のためのカチオン性モノマーの例は、2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(MOTAC)、アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(AOTAC)、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムメチルサルフェート溶液、テトラアリルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリドである。好ましくは、2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(MOTAC)、アクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(AOTAC)および[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムメチルサルフェート溶液を、用いる。
【0049】
アニオン性モノマーの例は、メタクリル酸、アクリル酸、2−(トリフルオロメチル)アクリル酸、3−(2−フリル)アクリル酸、3−(2−チエニル)アクリル酸、3−(フェニルチオ)アクリル酸、ポリ(アクリル酸)カリウム塩、ポリ(アクリル酸)ナトリウム塩、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸、ナトリウム塩)溶液、トランス−3−(4−メトキシベンゾイル)アクリル酸、2−メトキシケイ皮酸、3−インドールアクリル酸、3−メトキシケイ皮酸、4−イミダゾールアクリル酸、4−メトキシケイ皮酸、ポリ(スチレン)−ブロック−ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン−コ−アクリル酸)、ジカルボキシ末端、ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン−コ−アクリル酸)、ジカルボキシ末端、グリシジルメタクリレートジエステル、
【0050】
2,3−ジフェニル−アクリル酸、2−Me−アクリル酸、3−(1−ナフチル)アクリル酸、3−(2,3,5,6−テトラメチルベンゾイル)アクリル酸、3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸、3−(4−ピリジル)アクリル酸、3−p−トリル−アクリル酸、5−ノルボルネン−2−アクリル酸、トランス−3−(2,5−ジメチルベンゾイル)アクリル酸、トランス−3−(4−エトキシベンゾイル)アクリル酸、トランス−3−(4−メトキシベンゾイル)アクリル酸、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス(3−(2−アミノフェニル)アクリル酸)、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス(3−(2−アミノフェニル)アクリル酸)塩酸塩、2,2’−(1,3−フェニレン)ビス(3−(2−ニトロフェニル)アクリル酸)、2−[2−(2’,4’−ジフルオロ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−2−オキソエチル]アクリル酸、2−(2−(2−クロロアニリノ)−2−オキソエチル)−3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸、2−(2−((2−ヒドロキシエチル)アミノ)−2−オキソエチル)−3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸、2−(2−(シクロヘキシルアミノ)−2−オキソエチル)−3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸のナトリウム、カリウムまたはトリエチルアミン塩である。
【0051】
好ましいモノマー組成物は、架橋剤としてのメチルメタクリレートおよびエチレングリコールジメタクリレートならびに反応性の荷電したモノマーとしての2−メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(MOTAC)または[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドを含む。
【0052】
好ましくは、水溶性開始剤を、界面活性剤なしの乳化共重合において、サイズ、粒子形態を制御し、反応の終了時に残留モノマーを減少させるために使用する。例は、アゾ化合物またはペルオキシド化合物、ヒドロペルオキシドまたは過酸エステルである。好ましくは、アゾ化合物、特にアゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩(AIBA)および同様の化合物を使用する。
【0053】
好ましくは、油溶性開始剤を、非水性共重合において、サイズ、粒子形態を制御し、反応の終了時に残留モノマーを減少させるために使用する。好ましくは、油溶性熱開始剤を、本プロセスにおいて加える。好ましくは、2,2’−アゾビス(2.4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)またはVazo 67を、使用する。
【0054】
本プロセスは、好ましくは、着色された粒子をエマルション重合、および典型的なEPD流体中に浸出しない重合性色素の重合によってin-situで製造する単純な方法を提供する。粒子の発達段階における重合性色素の使用によって、色素がモノマーおよびコモノマーと不可逆的に結合することになり、粒子の固有の部分になることが可能になる。色素が粒子中のモノマーに共有結合するので、EPDに適している任意の溶媒中に浸出することはほとんどありそうもない。さらに、この合成において、色素および表面改質剤は別個の実体であり、色素および電荷が本来結合する最先端技術におけるのとは異なって独立して変化し得る。
【0055】
このプロセスの必須の構成成分は、重合性色素である。一般に、重合性色素は溶媒可溶性または水溶性であり得、それらはアニオン性、カチオン性または中性であり得る。好ましくは、水溶性色素を使用する。重合性色素の機能は、粒子を着色することである。重合性色素は、発色団、1つ以上の重合性基、任意のリンカー基(スペーサー)および物理的特性(例えば可溶性、耐光性など)を修正するための任意の基および任意に荷電した基(単数または複数)からなる。
【0056】
重合性色素は、好ましくは、発色団ならびに重合性基、例えばメタクリレート、アクリレート、メタクリルアミド、アクリルアミド、アクリロニトリル、α置換アクリレート、スチレンおよびビニルエーテル、ビニルエステル、プロペニルエーテル、オキセタンおよびエポキシなどから選択された官能基または複数の官能基、特にメタクリレートおよびアクリレートを含む。重合した基は、発色団に直接付着してもよく、またはリンカー基によって付着してもよい。好適なリンカー基の一例は、任意に置換されたアルキル鎖、ポリエーテルアルキル鎖、シクロアルキルもしくは芳香環、複素芳香環またはそれらの組み合わせである。
【0057】
発色団は、好ましくは、以下のもの:アゾ(モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、結合したアゾなどを含む)、金属化アゾ、アントラキノン、ピロリン、フタロシアニン、ポリメチン、アリール−カルボニウム、トリフェンジオキサジン、ジアリールメタン、トリアリールメタン、アントラキノン、フタロシアニン、メチン、ポリメチン、インドアニリン、インドフェノール、スチルベン、スクアリリウム、アミノケトン、キサンテン、フルオロン、アクリデン、キノレン、チアゾール、アジン、インヅリン、ニグロシン、オキサジン、チアジン、インジゴイド、キノニオイド、キナクリドン、ラクトン、ベンゾジフラノン、フラボノール、ケイロン、ポリエン、クロマン、ニトロ、ナフトラクタム、ホルマゼンもしくはインドレン基または2つ以上のかかる基の組み合わせを含む共役芳香環(複素環を含む)および/または多重結合から構成される。好ましい発色団は、アゾ基(特にモノアゾおよびビスアゾ)、アントラキノンおよびフタロシアニン基である。好ましくは、重合性色素は、発色団およびアクリレートまたはメタクリレート骨格から選択された1つ以上の官能基を含む。
【0058】
重合性色素は、例えば明るい黄色、マゼンタまたはシアン色および自己陰黒色(self shade blacks)と共に単一の発色団を含んでもよい。しかしながら、それはまた、例えば黒色を得るために共有結合した茶色および青色または黄色、マゼンタおよびシアンによって、混合共有結合発色団を含んでもよい。緑色を、黄色およびシアンなどによって得ることができる。拡張した共役発色団をまた使用して、いくつかの陰を得ることができる。例えばビスおよびトリスアゾ化合物を使用して、黒色およびより不活発な陰(濃紺、茶色、オリーブグリーンなど)を得ることができる。
【0059】
重合性色素の混合物をまた使用して、正確な粒子陰を得ることができる;例えば、茶色および青色または黄色の単一成分混合物、マゼンタおよびシアン前重合色素からの黒色。同様に、陰を、例えば、少量の別個の重合性色素を加えて、粒子の色(例えばより緑色の黄色の陰を得るための95%黄色および5%シアン)を修正することにより調整することができる。
【0060】
Colour Index(The Society of Dyers and Colourists with the American Association of Textile Chemists and Colorists、例えば第3版、1982発行)によって示される反応性(アニオン性)、直接(アニオン性)、酸性(アニオン性)および塩基性(カチオン性)色素の適用基からの修飾した重合性色素(反応性基(単数または複数)を有する)が、好ましい。任意に、色素を、式1〜7の色素から選択してもよい。
【0061】
【化1】
【0062】
【化2】
【0063】
式中
R1、R2、R3、R5、R7=アルキル、好ましくはC1〜C4アルキル、
R4、R6、R8=HまたはCH
3、
Hal=ハロゲン、
R9、R10、R12、R13、R15およびR17〜R19=Hおよびアルキル、好ましくはC1〜C4アルキル、特にCH3およびC2H5、
R11、R14、R16およびR20=HまたはCH3、好ましくはCH3、
Lは、単結合
;任意に置換されたシクロアルキルまたは芳香環
;直鎖状または分枝状、任意に置換されたアルキレンであり、ここで1個以上の隣接していないC原子は、O、Sおよび/もしくはNによって置き換えられていてもよく、かつ/または1つ以上の二重および/もしくは三重結合は、鎖および/もしくは側
鎖中に存在してもよく
;またはその組み合わせであり、好ましくはフェニレンまたはC1〜C6アルキルもしくはポリエーテルアルキル鎖またはそれらの組み合わせであり、ならびに
A−=ハロゲン
または一塩基酸(オキソ)アニオン、好ましくはアセテート、プロピオネート、ラクテート、メタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、水酸化物または硝酸塩である。
【0064】
WO 2010/089057、WO 2012/019704、WO 2013/079146およびWO 2013/170935に開示されている色素、特に好ましい色素は、本発明のために有利である。好ましくは、1つより多い重合性基を有する色素を、使用する。原則として、好ましくは1つより多い重合性基を有する(最も好ましくは2つの重合性基を有する)、および好ましくはメタクリレートまたはアクリレート官能性を有するあらゆる重合性色素を、使用することができる。さらに、これが有機溶媒相中に優先的に浸出せず、粒子中に残るので、無極性タイプの溶媒に不溶性である色素、例えばカチオン性またはアニオン性色素を、使用することができる。
【0065】
ほとんどの好ましい色素およびそれらの合成は、WO 2010/089060、WO 2010/089057、WO 2012/019704、WO 2013/170935およびWO 2013/079146に開示されている。
【0066】
重合性色素の例を、以下の表中に要約する:
表1 溶媒可溶性の反応性色素の例、色素例1〜8は、Sigma-Aldrich化学会社から商業的に入手できる。
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
カチオン性重合性色素は、適用中に正の荷電を有するかまたは発色団基に正荷電を含む共有結合的に付着した基(単数または複数)を含む。それらは、窒素、リン、酸素もしくは硫黄原子またはそれらを含む基、例えば複素芳香環(チアゾール、イミダゾール)非局在化窒素塩基(グアニジンなど)のプロトン付加または四級化から誘導され得る。関連するアニオンは、好ましくは単一の電荷を有し、好ましくはハロゲン、好ましくはF
−、Cl
−、Br
−、一塩基酸(オキソ)アニオン、好ましくはアセテート、プロピオネート、ラクテート、メタンスルホネート、p−トルエンスルホネート、水酸化物、硝酸塩)であり得る。
【0072】
水溶性のカチオン性重合性色素の好ましい例を、表2に列挙する(対イオンMeOSO
3;また好ましくは、好適なのは、Cl
−、Br
−および酢酸塩である)
表2
【表6】
【0073】
【表7】
【0074】
【表8】
【0075】
アニオン性重合性色素は、適用において負の電荷を有し、酸性基、例えばスルホン酸、カルボン酸、ホスホン酸の脱プロトン化から誘導され得る共有結合的に付着した基(単数または複数)を含む。関連するカチオンは、好ましくは単一の電荷を有し、金属性(Li
+、Na
+、K
+など)、荷電した窒素(NH
4+、NEt
3H
+、NEt
4+、NMe
4+、イミダゾリウムカチオンなど)、正に荷電したリン、硫黄などであり得る。水溶性のアニオン性色素の好ましい例は、酸のNa
+、NH
4+、NEt
4+塩である。
【0076】
別の好ましい例は、CuPc(SO
3−)
n(SO
2NHCH
2CH
2COOCMe==CH
2)mであり、式中CuPcは、銅フタロシアニンであり、m≧1、n≧1、m+n≧2および≦16ならびに好ましくは2〜5の範囲内である。
好ましい色素酸を、表3に列挙する。好ましい水分散性中性色素を、表4に列挙する。
【0077】
表3
【表9】
【0078】
表4
【表10】
【0079】
重合性の水溶性色素モノマー、例えばカチオン性ベーシックブルー41(表2に番号1および2として列挙する)ならびに式1による同様の色素のアクリレートまたはメタクリレート誘導体を、使用することができる。かかる色素およびそれらの製造は、WO 2010/089057およびWO 2010/089060に開示されている。
【0080】
また好ましいのは、表2の色素5〜8または式4に示す同様の色素のような構造を有する色素である。
【化3】
式中、R9およびR10=互いに独立してHおよびアルキル、好ましくはC1〜C4アルキル、特にH、CH
3およびC
2H
5であり、
R11=HまたはCH3、好ましくはCH
3であり、ならびに
Lは、単結合、任意に置換されたシクロアルキルまたは芳香環、直鎖状または分枝状、任意に置換されたアルキレンであり、ここで1個以上の隣接していないC原子は、O、Sおよび/もしくはNによって置き換えられていてもよく、かつ/または1つ以上の二重結合および/もしくは三重結合が、鎖および/もしくは側鎖またはその組み合わせ中に存在し得、好ましくはフェニレンまたはC1〜C6アルキル、
【0081】
特に好ましいのは、式4で表され、すべてのR9が同一であり、好ましくはCH
3またはC
2H
5に等しく、R10がCH
3またはC
2H
5に等しく、R11がCH
3に等しく、LがC
2H
4に等しい化合物である。
かかる重合性色素の製造を、L=C
2H
4、R9=CH
3およびR10=C
2H
5を有するメタクリレート誘導体について例示し、それを、以下のスキームに示す3ステップ反応によって製造することができる:
【0082】
【化4】
【0083】
また好ましいのは、表2の色素9〜12または式5a/bに示す同様の色素のような構造を有する色素である。
【化5】
【0084】
式中、Lは、単結合、任意に置換されたシクロアルキルまたは芳香環、直鎖状または分枝状、任意に置換されたアルキレンであり、ここで1個以上の隣接していないC原子は、O、Sおよび/もしくはNによって置き換えられていてもよく、かつ/または1つ以上の二重結合および/もしくは三重結合が、鎖および/もしくは側鎖またはその組み合わせ中に存在し得、好ましくはフェニレンまたはC1〜C6アルキル、ならびに
R12およびR13=Hおよびアルキル、好ましくはC1〜C4アルキル、特にCH
3およびC
2H
5であり、ならびに
R14=HまたはCH
3、好ましくはCH
3である。
【0085】
特に好ましいのは、式5で表され、R12およびR13がアルキル、好ましくはC1〜C4アルキル、特にCH
3またはC
2H
5に等しく、R14がCH
3に等しく、LがC
2H
4に等しい化合物である。
【0086】
かかる重合性色素の製造を、L=C
2H
4、R12=CH
3およびR13=C
2H
5を有するメタクリレート誘導体について例示し、それを、以下のスキームに示す3ステップ反応によって製造することができる:
【化6】
【0087】
また好ましいのは、表2の色素13〜16または式6a/bに示す同様の色素のような構造を有する色素である。
【化7】
【0088】
式中、Lは、単結合、任意に置換されたシクロアルキルまたは芳香環、直鎖状または分枝状、任意に置換されたアルキレンであり、ここで1個以上の隣接していないC原子は、O、Sおよび/もしくはNによって置き換えられていてもよく、かつ/または1つ以上の二重結合および/もしくは三重結合が、鎖および/もしくは側鎖またはその組み合わせ中に存在し得、好ましくはフェニレンまたはC1〜C6アルキル、
R15=Hおよびアルキル、好ましくはC1〜C4アルキル、特にCH
3またはC
2H
5であり、ならびに
R16=HまたはCH
3、好ましくはCH
3である。
【0089】
特に好ましいのは、式6で表され、R15がCH
3およびC
2H
5に等しく、R16がCH
3に等しく、LがC
2H
5に等しい化合物である。
かかる重合性色素の製造を、式6bに従ってR15=C
2H
5を有するメタクリレート誘導体について例示し、それを、以下のスキームに示す4ステップ反応によって製造することができる:
【化8】
【0090】
また好ましいのは、表1の色素24または式7に示す同様の色素のような構造を有する色素である。
【化9】
【0091】
式中、Lは、単結合、任意に置換されたシクロアルキルまたは芳香環、直鎖状または分枝状、任意に置換されたアルキレンであり、ここで1個以上の隣接していないC原子は、O、Sおよび/もしくはNによって置き換えられていてもよく、かつ/または1つ以上の二重結合および/もしくは三重結合が、鎖および/もしくは側鎖またはその組み合わせ中に存在し得、好ましくはフェニレンまたはC1〜C6アルキル、
R17〜R19は、互いに独立してHおよびアルキル、好ましくはC1〜C4アルキル、特にCH
3およびC
2H
5に等しく、ならびに
R20=HまたはCH
3、好ましくはCH
3である。
【0092】
特に好ましいのは、式7で表され、R17およびR18がCH
3およびC
2H
5に等しく、R19がHまたはCH
3に等しく、R20がCH
3に等しく、LがC
2H
5に等しい化合物である。
かかる重合性色素の製造を、R17およびR18=C
2H
5およびR19=Hを有するメタクリレート誘導体について例示し、それを、以下のスキームに示す3ステップ反応によって製造することができる:
【化10】
【0093】
好ましくは、ディスパースレッド1のアクリレートまたはメタクリレート誘導体、式1の色素、特にカチオン性ベーシックブルー41のメタクリレートまたはアクリレート誘導体、式2の色素、特にR5およびR6=CH
3およびHal=Cl、および式3の色素、特にR7およびR8=CH
3、式4の色素、特にR9=C
2H
5およびR10およびR11=CH
3、式5a/bの色素、特にR11およびR13=CH
3およびR12=C
2H
5、式6a/bの色素、特にR15=C
2H
5およびR16=CH
3、および式7の色素、特にR17およびR18はC
2H
5に等しく、R19はHに等しく、R20はCH
3に等しく、LはC
2H
5と等しいものを、本発明のための重合性色素として使用する。特に好ましいのは、カチオン性ベーシックブルー41のメタクリレート誘導体、および式4、5、6および7の好ましい色素である。
【0094】
一般に、式1〜7によるすべての色素を、重合性組成物中で、電気泳動流体およびディスプレイにおいて使用するための着色されたポリマー粒子の製造のために使用することができる。色素を、モノマー、コモノマー、任意に界面活性剤、任意に安定剤と組み合わせて使用することができ、開始剤および重合方法は、前に記載したようにエマルション重合または非水性重合であり得る。
【0095】
好ましくは、1つより多い重合性基を有する色素を、使用する。原則として、好ましくは1つより多い重合性基を有する(最も好ましくは2つの重合性基を有する)、および好ましくはメタクリレートまたはアクリレート官能性を有するあらゆる重合性色素を、使用することができる。さらに、無極性タイプの溶媒に不溶性である色素、例えばカチオン性またはアニオン性色素を、これが有機溶媒相中に優先的に浸出せず、粒子中に残るので、使用することができる。
ほとんどの好ましい色素およびそれらの合成は、WO 2010/089057、WO 2012/019704、WO 2013/170935およびWO 2013/079146に開示されている。
【0096】
本発明の好ましい変形において、エマルションまたは分散重合によって製造した着色されたポリマー粒子は、例えば式1〜7による少なくとも1種の重合性色素、少なくとも1種のモノマー、任意に少なくとも1種の荷電したコモノマーおよび任意に少なくとも1種の架橋コモノマーの単位を含む。有利には、かかる着色されたポリマー粒子は、さらに本発明による少なくとも1つのA−Bジブロックコポリマーを含む。
【0097】
本発明の別の好ましい変形において、着色されたポリマー粒子を、少なくとも2つの重合性基を有する重合性色素の使用によって製造する。特に、WO 2012/019704、WO 2013/170935およびWO 2013/079146による重合性色素を、使用することができる。
【0098】
本発明の重合性組成物は、通常、10重量%まで、好ましくは0.005〜7.5重量%、特に0.05〜5重量%のA−Bジブロックコポリマー、10重量%まで、好ましくは0.005〜10重量%、特に0.05〜5重量%の色素、50〜95重量%、好ましくは70〜90重量%のモノマー、1〜40重量%、好ましくは1〜10重量%の架橋モノマー、1〜30重量%、好ましくは1〜10重量%のイオン性モノマーおよび0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の開始剤を含み、すべての百分率は、重合性組成物(溶媒を除く)の全重量に基づく。
【0099】
架橋コポリマーナノ粒子を、好ましくは、メチルメタクリレート(MMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、および色素モノマー、好ましくは式1〜6の色素、特に前に記載した好ましい色素の乳化剤なしの共重合によって、開始剤としての2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩および立体安定剤としての(PMMA−PDMAEMA)ジブロックコポリマー、特に(PMMA
14−PDMAEMA
21)、(PMMA
14−PDMAEMA
54)または(PMMA
14−PDMAEMA
108)を使用して製造することができる。好ましくは、四級化された(PMMA−PDMAEMA)ジブロックコポリマーを、使用する。好ましくは、エマルション重合を、バッチプロセスを使用して行う。
【0100】
ポリマー粒子を重合性色素を使用せずに製造する場合、既知の手法、例えばWO 2009/100803に記載されている粒子の溶媒膨潤によって少なくとも1種の色素の包含によって粒子を着色することが、可能である。多数の恐らく吸収可能な色素が好適であり、例えばアゾ色素、アントラキノン色素、トリアリールメタン色素、アクリジン色素、シアニン色素、オキサジン色素、ポリメチン色素またはチアジン色素である。アゾに基づいた色素、アントラキノンに基づいた色素およびトリアリールメタンに基づいた色素は、好ましい例である。好適な色素は、好ましくは粒子膨潤溶媒に可溶であり、水に不溶である。この特徴によって、様々な色素がナノ粒子内の溶媒によって駆動され、内側に保持されることが可能になる。
【0101】
好ましい色素は、LubrizolからのWaxoline青色APFW(化学的カテゴリー:アントラキノン)、Europhtal - Franceによって流通しているsolvent yellow(カラーインデックス:11021)+solvent blue(カラーインデックス: 61556)の混合物、Europhtal Franceによって分配されたorganolred(化学的カテゴリー:p.フェニルアゾアニリン)、Bayerからのmacrolexblue RR GRAN(化学的カテゴリー: アントラキノン)、Bayerからのmacrolex red violet(化学的カテゴリー:アントラキノン)、Europhtal Franceによって流通しているsolvent yellow16(カラーインデックス12700)、LubrizolからのWaxolineblack OBP[solvent yellow14(アントラキノン)+カーボンブラック])である。
【0102】
好ましくは、前重合した色素を、この着色手法において使用する。前重合したとは、重合性色素を、それを使用してポリマー粒子を着色する前に重合したことを意味する。単独重合した前重合した色素、例えば商業的に入手できるポリ(ディスパースレッド1メタクリレート)が好適であり、また好適なのは、他のモノマーと重合した前重合した色素、例えばメチルメタクリレートと一緒に重合したディスパースイエロー7アクリレートである。
【0103】
特に好ましいのは、その後のプロセスステップにおいて重合する重合性色素の使用である。好適な重合性色素は、着色したポリマー粒子、有利には好ましい色素を形成するためのモノマーおよびA−Bジブロックコポリマーとの共重合のための先に記載したものである。
【0104】
一般に、色素、のために、溶媒可溶性または水溶性であり得、それらはアニオン性、カチオン性または中性であり得る。色素の混合物をまた使用して、正確な粒子陰を得ることができる;例えば、茶色および青色または黄色、マゼンタおよびシアン前重合色素の単一の構成成分混合物からの黒色。同様に、陰を、例えば少量の個別の前重合した色素を加えて粒子の色を修正することにより調整することができる(例えば黄緑色の陰を得るための95%黄色および5%シアン)。最後に、ポリマー粒子を洗浄し、任意に乾燥してもよい。
【0105】
本発明において調製するポリマー粒子は、好ましくは、50〜1000nmの範囲内のサイズ(直径)を有し、好ましくは単分散性の粒度分布を有する球形粒子である。好ましい粒径は、50〜600nm、好ましくは50〜560nm、特に50〜500nm、さらにより好ましくは100〜400nmである。特に好ましいのは、150〜400nm、特に150〜350nmの粒径を有する粒子である。粒径を、一般的な装置、例えばMalvern NanoZS粒子分析器によって、水性粒子分散体の光子相関分光法によって、または好ましくはSEM(走査電子顕微鏡法)および画像解析によって決定する。
【0106】
電気泳動的流体中のポリマー粒子のサイズは、溶媒および/または界面活性剤の影響のために、水性分散体中で測定されるサイズと異なり得る。電気泳動的流体において、本発明のポリマー粒子は、好ましくは100〜800nm、特に100〜700nmの粒径を有し、好ましくは150〜700nmが好ましい。特に好ましいのは、150〜600nmの粒径を有するポリマー粒子である。
【0107】
本発明の粒子は、主として電気泳動ディスプレイにおいて使用するために設計されている。したがって、本発明のさらなる主題は、本発明による粒子を含む電気泳動流体および電気泳動ディスプレイである。典型的な電気泳動ディスプレイは、好ましくは、低極性または無極性の溶媒中に分散した粒子、それと共に電気泳動特性、例えば安定性および電荷を改善するための添加剤、ならびに任意に無機粒子からなる。かかる電気泳動性分散体の例は、文献、例えばUS 7,247,379;WO 99/10767;US 2007/0128352;US 7,236,290;US 7,170,670;US 7,038,655;US 7,277,218;US 7,226,550;US 7,110,162;US 6,956,690;US 7,052,766;US 6,194,488;US 5,783,614;US 5,403,518;US 5,380,362に良好に記載されている。
【0108】
電気泳動流体の安定性を(立体的安定化によって、または荷電剤として用いることによって)改善するための典型的な添加剤は、当該分野における専門家に知られており、Brij、SpanおよびTweenシリーズの界面活性剤(Aldrich)、Solsperse、IrcosperseおよびColorburstシリーズ(Lubrizol)、OLOA荷電剤(Chevron Chemicals)ならびにAerosol-OT(Aldrich)を含む(しかしそれらには限定されない)。電気泳動的特性を改善するすべての他の添加剤を、それらが処方物媒体、特に硬化効果を最小にするように設計された増粘剤またはポリマー添加剤に可溶である場合に、包含させることができる。
【0109】
分散溶媒を、主に誘電率、屈折率、密度および粘度を基準として選択することができる。好ましい溶媒の選択によって、低い誘電率(<10、より好ましくは<5)、高い体積抵抗率(約10
15オーム−cm)、低い粘度(5cst未満)、低い水溶性、高い沸点(>80℃)および屈折率ならびに粒子のものと同様の密度が示される。これらの変数を微調整することは、最終的な用途の挙動を変化させるために有用であり得る。例えば、低速スイッチング用途、例えばポスターディスプレイまたは棚ラベルにおいて、増大した粘度を有して、より遅いスイッチング速度を犠牲にして画像の存続期間を改善することが、有利であり得る。しかし、迅速なスイッチング、例えば電子書籍およびディスプレイを必要とする用途において、画像が依然として安定である(およびしたがってディスプレイとしての電力消費の増大がより頻繁なアドレッシングを必要とする)、より低い粘度によって、存続期間を犠牲にしてより速いスイッチングが可能になる。
【0110】
好ましい溶媒は、しばしば無極性炭化水素溶媒、例えばIsoparシリーズ(Exxon-Mobil)、Norpar、Shell-Sol (Shell)、Sol-Trol (Shell)、ナフサおよび他の石油溶媒、ならびに長鎖アルカン、例えばドデカン、テトラデカン、デカンおよびノナンである。これらは、低誘電性、低粘度かつ低密度の溶媒である傾向がある。密度整合粒子/溶媒混合物によって、はるかに改善された沈殿/沈降特徴が得られ、したがって所望される。この理由によって、しばしば、ハロゲン化溶媒を加えて密度整合を可能にすることが、有用であり得る。そのような溶媒の典型的な例は、Halocarbon油シリーズ(Halocarbon製品)またはテトラクロロエチレン、四塩化炭素、1,2,4−トリクロロベンゼンおよび同様の溶媒である。これらの溶媒の多くの否定的な観点は、毒性および環境適合性であり、したがっていくつかの場合において、そのような溶媒を用いることよりもむしろ、添加剤を加えて沈降に対する安定性を増強することが、有益であり得る。
【0111】
本発明の粒子の処方において用いる好ましい添加剤および溶媒は、OLOA11000(Chevron Chemicals)、Ircosperse 2153(Lubrizol Ltd)およびドデカン(Sigma Aldrich)である。
【0112】
通常、電気泳動的流体は、表面層で被覆して誘電性媒体および誘電性流体媒体中への良好な分散性を促進した、荷電無機ナノ粒子、例えばチタニア、アルミナまたは硫酸バリウムを含む。さらに、本発明の着色された粒子を、a)少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種の白色反射性粒子、少なくとも1種の極性溶媒、少なくとも1種の無極性溶媒、および少なくとも1種の界面活性剤を含む逆エマルションを形成し、ならびにb)極性溶媒(単数)または極性溶媒(複数)を蒸発的方法によって除去するステップを含むプロセスによって製造した白色反射性ポリマー粒子と組み合わせて使用してもよい。
【0113】
「逆エマルション」は、無極性溶媒(好ましくはドデカン、または相当する脂肪族炭化水素)が連続相を形成し、極性溶媒(好ましくは水)が不連続相を形成することを意味する。かかるプロセスをまた、逆エマルションを形成し、次に溶媒を内部相から蒸発的方法によって除去して、固体粒子を形成することに関与するステップにより、「蒸発的沈殿」または「逆エマルション溶媒除去」(RESR)のいずれかと称する。
【0114】
粒子を分散させるために用いる溶媒および添加剤は、本発明の例内で用いるものに限定されておらず、多くの他の溶媒および/または分散剤を、用いることができる。電気泳動ディスプレイに適する溶媒および分散剤のリストを、既存の文献、特にWO 99/10767およびWO 2005/017046中に見出すことができる。次に、電気泳動的流体を、電気泳動ディスプレイ素子中に種々のピクセル構造によって包含させ、それは、例えばElsevier B.V., Amsterdamによって公表されているC. M. Lampert, Displays; 2004, 25(5)中に見出され得る。電気泳動流体を、いくつかの手法、例えばインクジェット印刷、スロットダイ噴霧、ノズル噴霧、およびフレキソ印刷、またはあらゆる他の接触もしくは非接触印刷または堆積手法によって適用してもよい。
【0115】
電気泳動ディスプレイは、典型的に、ピクセルまたはパターン化された素子を白黒光学的状態またはそれらの中間のグレースケール状態間でスイッチングするのに適する、モノリシックまたはパターン化されたバックプレーン電極構造を密接に組み合わせた電気泳動ディスプレイ媒体を含む。
【0116】
本発明の電気泳動的粒子は、すべての既知の電気泳動的媒体および電気泳動ディスプレイ、例えば柔軟なディスプレイ、TIR−EPD(全反射電気泳動デバイス)、1粒子系、2粒子系、染色された流体、マイクロカプセルを含むシステム、マイクロカップシステム、エアギャップシステムおよび他のものに適し、それは、Elsevier B.V., Amsterdamによって公表されたC. M. Lampert, Displays; 2004, 25(5)に記載されている通りである。柔軟なディスプレイの例は、動的キーパッド、電子新聞腕時計、動的価格設定および広告、電子書籍リーダー、ロール可能な(rollable)ディスプレイ、スマートカード媒体、製品包装、携帯電話、ラブトップ(lab top)、ディスプレイカード、電子看板である。
【0117】
本発明の粒子をまた、光学的、電気光学的、電子的、電気化学的、電子写真、エレクトロウェッティング(electrowetting)ディスプレイおよび/またはデバイス、例えばTIR(全反射電子デバイス)において、ならびにセキュリティ、化粧品、装飾および診断的適用において使用してもよい。
【0118】
引用した参考文献における開示は、明らかにまた本出願の開示内容の一部である。以下の例は、本発明を、保護の範囲を限定せずにより詳細に説明する。
【0119】
例
略語
AIBN:2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)または2,2’アゾイソブチロニトリル
CPDB:4−シアノペンタン酸ジチオベンゾエート
DMAEMA:N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
RAFT:可逆的付加断片化連鎖移動
DMSO ジメチルスルホキシド
THF テトラヒドロフラン
PTFE ポリテトラフルオロエチレン
PMMA ポリ(メチルメタクリレート)
PDMAEMA ポリ(N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート)
【0120】
A−BジブロックコポリマーPMMA−b−PDMAEMAを、J. Chiefari et al, Macromolecules, 1998, 31, 5559によるRAFT重合によって、CPDB、MMA、DMAEMAおよびAIBNを使用して製造する。
【0121】
分析的手法の記載
粒子分析
配合物の特徴づけを、Malvern NanoZS粒子分析器を用いて行った。この機器は、分散体中の粒子のサイズおよび電気泳動的流体のゼータ電位を測定する。ゼータ電位(ZP)は、電気泳動移動度の即時の測定値から誘導され、したがって電気泳動的用途において用いるための流体の好適性の指標である。粒子サイズをまた、ある場合においてSEMおよび画像解析を使用して計算する。使用するSEMはLeo 1455 VP SEMであり、使用する画像解析ソフトウェアはImageJである。少なくとも500の粒子を各場合において計数し、粒子サイズ多分散性を中間のサイズの百分率標準偏差として計算する。
【0122】
1H NMR
1H NMRスペクトルを、Bruker AC-500(500MHz)分光計上で、5mm直径の管を使用して記録する。使用するNMR溶媒は、CDCl
3またはDMSOである。化学シフト規模を、NMR溶媒ピークに対して校正する。スペクトルの分析を、Bruker 1D WinNMRソフトウェアを使用して行う。ポリマー変換を、モノマーのビニルプロトンに対応するピーク整数値、および広いCH
2ポリマーピーク、それに加えて等価なモノマーCH
2基に対応する整数値を使用することによって決定する。以下の方程式を使用する:
【数1】
【0123】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
SECを使用して、ポリマーの数平均モル質量(M
n)および多分散指数(PDI=M
w/M
n、M
wは重量平均モル質量)を決定する。ポリマー試料を、THFに溶解し、0.2μmのPTFE薄膜フィルターを通してろ過する。試料を、30℃でサーモスタットを付けた直列の2つのPLgel混合Cカラム(ビーズ直径5μm)中に注入する。THF溶離剤の流量は、1mL/分である。検出を、RI検出器で行う。データ分析を、Polymer LaboratoriesからのCirrusソフトウェアを使用して行い、計算を、Polymer Laboratoriesからのポリ(メチルメタクリレート)PMMA標準に基づいた校正曲線を使用して行った。以下のMark-Houwinkパラメーターを、PMMA、K=10.4およびα=0.697について使用する。
【0124】
ABポリマーの包含の証拠
ABブロックポリマーを、ヨウ化メチルを使用して四級化して、どれだけのポリマーがこれらの粒子中に含まれたか計算する。TiSTおよび銀環電極を備えたMetrohm 798 MPT Titrino装置を使用した銀滴定を、使用する。硝酸銀溶液0.1mol/Lでの表面電荷滴定(低速)を使用して、粒子中に包含されるABジブロックポリマーの量を決定する。約10.0000gのラテックスを、150mLビーカー中に秤量し、脱イオン水(100ml)および硝酸(5ml、25%)を加え、混合する。電位差滴定を、強く攪拌しながら硝酸銀溶液(0.1mol/L)で行う。計算を、以下の式に対する機器ソフトウェア付随物による滴定の終了後に自動的に行う:
【数2】
V(AgNO
3)=容積測定的なAgNO
3溶液0.1mol/Lの消費
t(AgNO
3)=容積測定的なAgNO
3溶液0.1mol/Lの滴定量
試料重量物質=物質の秤量して入れた質量。
【0125】
例1
[3−{4−エチル−2[−(2−メチルアクリロイルオキシ)−エチル]アミノ}−フェニルアゾ)フェニル]トリメチルアンモニウムクロリド(イエロー4)
【化11】
ステージ1.3−アミノ−N,N,N−トリメチルアニリニウムサルフェートの製造
硫酸ジメチル(50.45g、0.4mol)を、3−アミノアセトアニリド(15g、0.1mol)を水(100ml)に溶解した撹拌した溶液に、50℃で50〜60℃で滴加する。pHを、水酸化ナトリウム溶液で7.5〜8.5で保持する。混合物を、50℃で16時間攪拌し、その後溶液が生成する。溶液を5℃に冷却し、硫酸(比重1.83、15ml)を加え、混合物を100℃に加熱し、この温度で3時間保持する。冷却後、溶液を150mlにし、それ自体で使用し、それは0.01m/15mlである。
【0126】
ステージ2.N−エチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アニリン
無水メタクリロイル(18.5g、0.12mol)を、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−アニリン(16.5g、0.1mol)をピリジンに溶解した撹拌した溶液に滴加する。混合物を55℃で2時間撹拌し、氷/水上に注ぎ、ヘキサンで抽出する。有機層を、ヘキサンで溶出させてシリカゲルに通じ、続いて溶媒を除去して、N−エチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アニリン(17.4g、70%)を淡黄色油として得る。
【0127】
ステージ3.[3−{4−エチル−2[−(2−メチルアクリロイルオキシ)−エチル]アミノ}−フェニルアゾ)フェニル]トリメチルアンモニウムクロリド(イエロー4)
3−アミノトリメチルアニリニウムサルフェート溶液(0.01mol)を、0〜5℃でジアゾ化する;2−メタクリル酸−(2−エチルフェニルアミノ)−エチルエステル(1.2g、0.005m)を酢酸(5ml)に溶解した溶液を、加える。低温溶液のpHを、2Nアンモニア水の滴加によって3に上昇させる。混合物を室温で16時間攪拌して、粘性のタールを得、それを塩化メチレンに溶解し、シリカゲルに通じることにより精製する。適切な画分の採集、続いて溶媒の蒸発によって、赤みを帯びた黄色のタール(0.19g、9%)が得られる。λmax 432、εmax 30,000。
【0128】
例2
2−メタクリル酸−2−[エチル−(5−フェニルイミノ−5H−ベンゾ[a]フェノキサジン−9−イル)−アミノ]−エチルエステル(マゼンタ4)
【化12】
ステージ1. 2−[エチル(4−ニトロソフェニル)アミノ]エタノール
2N亜硝酸ナトリウムを、N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル(16.5g、0.1mol)を希塩酸に溶解した撹拌した溶液に滴加し、すべての出発物質が消費されるまで、5℃より低い温度およびpH1.5〜2.0で保持する。アンモニア溶液を、pH9に到達するまで加え、得られた油を、塩化メチレンで抽出する。溶媒の除去によって、緑色を帯びた油が得られる。収量16g、82%。
【0129】
ステージ2. 9−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)−アミノ]ベンゾ[a]フェノキサジン−7−イリウム硝酸塩
2−[エチル(4−ニトロソフェニル)アミノ]エタノール塩酸塩(4.6g、0.02mol)を、ガス状HClをジエチルエーテル中の2−[エチル(4−ニトロソフェニル)アミノ]エタノール(0.02mol)に添加することにより作成する。溶媒をデカントして除去し、新鮮に製造した化合物を、2時間にわたって、2−ナフトール(2.88g、0.02mol)および塩化亜鉛(1.54g、0.0113mol)の混合物に、還流メチレーテッドスピリット(20ml)中で分割して加える;還流を、さらに2時間継続する。冷却の際に、固体を採集し、小さい容積のメチレーテッドスピリット(4.5g、46%)で洗浄する。この固体を沸騰水(400ml)中で攪拌し、冷却の際に、これを、濃硝酸(12ml)で処理する。得られたタール状固体を、希硝酸(0.2N)でのデカンテーションによって洗浄し、乾燥する。収量2.3g、29%。
【0130】
ステージ3. 9−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)−アミノ]−5−フェニルアミノ−ベンゾ[a]フェノキサジン
9−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)−アミノ]ベンゾ[a]フェノキサジン−7−イリウム硝酸塩(2.3g、0.006mol)およびアニリン(2.0g、0.0215mol)を、メタノール(25ml)中で室温で16時間攪拌する。溶媒をデカンテーションによって除去し、残留するタール状固体を、トルエンでのデカンテーションによって繰り返し洗浄する。放置した後、タールは固体になった。収量2.4g、85%。
λ
max(MeOH+1滴の2N HCl)652nm;ε
max 60,000。
λ
max(アセトン)522nm、ε
max 35,000;
λ
max(アセトン+1滴の2N HCl)、λ
max 658nm;ε
max 70,000。
【0131】
ステージ4. 2−メタクリル酸−2−[エチル−(5−フェニルイミノ−5H−ベンゾ[a]フェノキサジン−9−イル)−アミノ]−エチルエステル(マゼンタ4)
メタクリロイルクロリド(0.58g、0.0057mol)を、9−[エチル−(2−ヒドロキシエチル)−アミノ]−5−フェニルアミノ−ベンゾ[a]フェノキサジン塩基(1.8g、0.0038mol)をピリジン(15ml)に溶解して撹拌した溶液に滴加し、撹拌した混合物を、70℃で18時間保持する。冷却する際に、溶液を、水(150ml)中に注ぐ;得られた固体を採集し、水で十分洗浄し、乾燥する。収量1.3g、62%。
【0132】
例3
3/4−メチル−2−[4−{N−エチル−N−(β−アクリロイルオキシエチル)フェニルアミノ}フェニルアゾ]−[1,2,4]−チアジアゾリウムメトサルフェート(マゼンタ3)
【化13】
ステージ1.N−エチル−N−β−アクリロイルオキシエチルアニリン
N−ヒドロキシエチル−N−エチルアニリンを、定量的収量において、ピリジン中の無水メタクリル酸と共に、周囲温度で18時間攪拌することによりアシル化する。少量の水を加えて、過剰の無水物を破壊し、反応混合物を水中に注ぐ。生成物をヘキサン中に抽出し、有機層をシリカゲルに通じる。溶媒の除去の際に、生成物が淡黄色油として得られ、それを直接使用する。
【0133】
ステージ2.2−[4−{N−エチル−N−(β−アクリロイルオキシエチル)フェニルアミノ}フェニルアゾ]−[1,2,4]−チアジアゾール
2−アミノ−1,2,4−チアジアゾール(2.02g、0.02mol)を、酢酸および水の混合物中で攪拌し、濃硫酸(2g)、続いて亜硝酸ナトリウム(1.4g、0.021mol)を加えることによりジアゾ化する。混合物を0〜5℃で3時間攪拌し、過剰の亜硝酸を少量のスルファミン酸を加えることにより破壊する。小さな容量の酢酸を溶解した上記のカップリング構成成分N−エチル−N−β−アクリロイルオキシエチルアニリン(4.66g、0.02mol)を、攪拌しながら加える。生成物が可動性のタールとして沈殿し、塩化メチレンで抽出する。これを2N炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、シリカゲルに通じて、基準不純物を除去する。生成物を含む画分を採集し、溶媒を除去して、タール状油を残留させ、それは、薄層クロマトグラフィーによって本質的に均質であるが、誘発されて結晶し得ない。
【0134】
3/4−メチル−2−[4−{N−エチル−N−(β−アクリロイルオキシエチル)フェニルアミノ}フェニルアゾ]−[1,2,4]−チアジアゾリウムメトサルフェート(マゼンタ3)
上記の分散性色素を、酢酸エチルおよびジメチルスルホキシドの混合物に溶解する。硫酸ジメチル(1.5m当量)を加え、撹拌した混合物を、80℃に加熱した油浴に浸漬させる。当該反応は完了まで行くように誘発され得ず、したがって反応混合物を放冷する。沈殿したタール状残留物を採集し、シリカゲルに通じる。酢酸エチルでの溶出によって、出発分散色素が除去される;アセトンでのさらなる溶出によって、所望の生成物が異性体の混合物として得られた。収量 0.2g、〜2%。
λ
max(メタノール) 568nm
【0135】
例4
CIベーシックブルー41(青色1)のメタクリレートエステル誘導体の製造
【化14】
ステージ1
2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール(18.0g)を、酢酸(70ml)およびプロピオン酸(50ml)の混合物中で、50℃にて撹拌する。得られた溶液を、−10℃に冷却する。ニトロシル硫酸溶液(硫酸中40重量%)(32.0g)を滴加する。この混合物を、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アニリンおよびスルファミン酸(1.0g)を酢酸(25ml)および氷/水(100ml)に溶解した、撹拌した溶液に加える。20分後、pHは、水酸化カリウム溶液の滴加によって4まで上昇する。タール状残留物が生成する;混合物を、タールが固化するまでさらに2時間撹拌する。この固体を採集し、水で洗浄し、次にアルコールおよびアセトンに溶解して、深い赤色の溶液を得る。高温水を加えて、固体を沈殿させ、それを濾過によって除去する。固体を、冷アルコールで洗浄し、乾燥する(29.5g、収率83%)。Mp 178〜179℃。
【0136】
ステージ2
上記のヒドロキシエチル分散色素(10.7g)色素を、塩化メチレン(100ml)およびピリジン(20ml)中で撹拌する。無水メタクリル酸(10ml)を加え、混合物を環流下で24時間加熱する。室温に冷却した際に、水(5ml)を加え、混合物を2時間撹拌する。揮発性物質を、減圧下で除去して、タール状残留物を残留させ、それを、5重量%の水性重炭酸ナトリウム溶液中で16時間撹拌する。得られた粗生成物を塩化メチレン/ヘキサン(60/40)に溶解し、シリカゲルに通じる。溶媒を除去した後、固体残留物(9.7g)を、プロパン−2−オールから結晶化して、ルビン(rubine)結晶質固体を得る。
収量7.0g、55%。mp 123〜125℃。
【0137】
ステージ3
ジメチルサルフェート(1ml)を、メタクリレートエステル(1.06g)をトルエン(25ml)に溶解した撹拌した溶液に、100℃にて滴加する。10分後、タールがフラスコの壁上に蒸着を開始し、混合物を室温に放冷する。タールを冷トルエンで洗浄し、酢酸エチル(25ml)中で一晩撹拌する。得られた半固体残留物を採集し、プロパン−2−オールに加え、混合物を加熱して沸騰させる。冷却の際に、固体が沈殿し、それを冷プロパン−2−オールで洗浄し、乾燥する。
【0138】
収量1.22g、89%。Mp 140〜142℃(97.3%、hplcによる主成分)
C23H27N4OSによって、439の質量イオンが得られる。
試料の質量スペクトルによって、正のイオンモードにおけるスペクトルが得られた。(EI+)
スペクトルは、m/z 439にてイオンを示し、それは、提案された構造についてカチオンと一致する。
【0139】
例5 N−[5−ジエチルアミノ−2−(5−エチルチオ−[1,3,4]−チアジアゾール−2−イルアゾ)−フェニル]−アクリルアミド(マゼンタ14)
以下に詳述する通りの4ステップ手順によって製造した:
【化15】
【0140】
ステップ1:N,N−ジエチル−m−フェニレンジアミン
3−ジエチルアミノアセトアニリド(10.8g、0.05mol)を、10%HCl(45ml)中で4時間還流下で攪拌する。当該溶液を蒸発乾固させ、タール状残留物を、それが凝固するまでいくつかの部分の低温アセトンで洗浄する。塩酸塩を水(100ml)に溶解し、15℃で攪拌し、その間苛性の液体を、pHが9〜10であり、生成物がシロップとして分離するまで滴加する。この生成物を塩化メチレン中に抽出し、乾燥し(MgSO
4)、シリカゲルを通して注ぎ、蒸発乾固させて、N,N−ジエチル−m−フェニレンジアミンが可動性の薄茶色油(9.0g、約100%)として得られる。
【0141】
ステップ2:3−クロロ−N−(3−ジエチルアミノフェニル)−プロピオンアミド
N,N−ジエチル−m−フェニレンジアミン(8.2g、0.05mol)および炭酸水素ナトリウム(10g、0.119mol)を、室温で塩化メチレン(80ml)中で攪拌し、その間β−クロロプロピオニルクロリド(7.61g、0.06mol)を30分にわたって滴加する。反応混合物を、室温で一晩攪拌する。水(5ml)を加え、周囲温度でさらに2時間撹拌する。塩化メチレン画分を乾燥し(MgSO
4)、シリカゲルを通して注ぎ、蒸発乾固させ、3−クロロ−N−(3−ジエチルアミノフェニル)−プロピオンアミドを灰褐色固体(12.2g、95%)として得る。当該物質をメタノールから再結晶し、当該物質を0℃でほとんど無色の針として単離する。mp=88〜90℃。
【0142】
ステップ3:3−クロロ−N−[5−ジエチルアミノ−2−(5−エチルチオ−[1,2,4]−チアジアゾリル−2−イルアゾ)−フェニル]−プロピオンアミド
2−アミノ−5−エチルチオ−[1,3,4]−チアジアゾール(2.32g、0.02mol)を、分割して、プロピオン酸(10ml)および酢酸(20ml)の混合物に加え、室温で攪拌する。得られた溶液を冷却し、0〜5℃で攪拌し、その間ニトロシル硫酸(6.34g、0.02mol)を滴加する。0〜5℃でさらに1時間後、ジアゾニウム塩溶液を、3−クロロ−N−(3−ジエチルアミノフェニル)−プロピオンアミド(5.5g、0.016mol)をアセトンに溶解した溶液を少量のスルファミン酸を含む氷および水の撹拌した混合物に加えることにより製造した懸濁液に滴加する。反応混合物を一晩攪拌し、室温まで放置して加温し、生成物をろ過によって採集し、冷水で洗浄する。乾燥後、粗製の生成物をシリカフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、塩化メチレン/メチレーテッドスピリットからの再結晶によって、3−クロロ−N−[5−ジエチルアミノ−2−(5−エチルチオ−[1,2,4]−チアジアゾリル−2−イルアゾ)−フェニル]−プロピオンアミドが深紅色針状結晶(2.5g、29%)として得られる、λ
max(EtOAc) 516nm、ε
max 60,000、1/2バンド幅 79nm。当該製造を、0.015M規模で繰り返し、2.7g(42%)の生成物が得られる。
【0143】
ステップ4:N−[5−ジエチルアミノ−2−(5−エチルチオ−[1,3,4]−チアジアゾール−2−イルアゾ)−フェニル]−アクリルアミド(マゼンタ14)
3−クロロ−N−[5−ジエチルアミノ−2−(5−エチルチオ−[1,2,4]−チアジアゾリル−2−イルアゾ)−フェニル]−プロピオンアミド(6.1g、0.0143mol)を、周囲温度でジクロロメタン(60ml)中で攪拌し、トリエチルアミン(3.1g、0.308mol)を、滴加する。溶液を一晩撹拌し、水(75ml)で抽出し、乾燥し(MgSO
4)、蒸発乾固させる。塩化メチレン/メチレーテッドスピリットからの再結晶によって、N−[5−ジエチルアミノ−2−(5−エチルチオ−[1,3,4]−チアジアゾール−2−イルアゾ)−フェニル]−アクリルアミド(マゼンタ14)が深紅色針状結晶(5.1g、91%)として得られる。λ
max(EtOAc) 518nm、ε
max 59,000、1/2バンド幅 78nm。
【0144】
例6
PMMA粒子の合成
A−Bジブロックコポリマー(PMMA
14−PDMAEMA
21)(0.14g)を、凝縮器、オーバーヘッドスターラーおよび窒素入口を装備した250mlの3つ首フラスコ中で水(85g)に加える。メチルメタクリレート(7.13g)、エチレングリコールジメタクリレート(0.60g)および[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド溶液(水中75重量%)(0.30g)を、加える。反応混合物を、窒素雰囲気下で70℃に加熱する。開始剤2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(0.08g)を、水(10g)に加え、溶解するまで撹拌し、反応混合物に加える。
【0145】
20時間後、ラテックスを室温に放冷し、5ミクロンの布を通してろ過する。水で洗浄した後に、ゼータサイズ分析は216nmであり、ゼータ電位は水中で63mVである。懸濁液を凍結乾燥して、微細な白色粉末を得る。
PMMA粒子を、表5のPMMA−b−PDMAEMA A−Bジブロックコポリマー1〜9を使用して製造する。詳細を、表6に示す。
【0146】
表5:ジブロックコポリマーPMMA−b−PDMAEMAの記載
【表11】
a 四級化の程度を、DMSO中の
1H NMR分析から計算する。
b 試料1、4および7の分子量Mnおよび多分散性PDIを、テトラヒドロフラン中のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、PMMAを標準として使用して決定する。
c 分子量を、
1H NMR分析からの結果に基づいて計算する。
【0147】
表6:PMMA粒子の詳細
【表12】
【0148】
ABポリマーの包含の証拠:
PMMA粒子4:
0.71mmol/100gのヨウ化物、2.21mmol/100gの塩化物(試料重量13.7g、9.4wt%)
分析によって、ヨウ化物含量が100gあたり0.71mmolであり、これと比較して反応混合物に加えた100gの理論あたり1.08mmolであることが示され、したがって66%の包含が示される。
【0149】
PMMA粒子24:
0.35mmol/100gのヨウ化物、1.97mmol/100gの塩化物(試料重量11.3g、8.3wt%)
分析によって、ヨウ化物含量が、理論上の100gあたり0.357mmolと比較して、100g溶液あたり0.35mmolであることが示され、これにより、包含の98%はハロゲン化物交換をしないことが推測される。
【0150】
例7
PMMA粒子22を含む電気泳動流体
0.19950gのPMMA粒子22を、2.002gのドデカン(Sigma Aldrich)中の0.0199gのOLOA 11000(Chevron Chemicals)および0.0600gのSolsperse 3000(Lubrizol)に加え、ボルテックス混合する。得られた分散体を、次にultra-turrax T25ホモジナイザーを使用して30分間均質化し、Ultrawave超音波浴中でさらに30分間超音波処理する。当該分散体を、次に一晩ローラー混合して、電気泳動流体を得る。
サイズ(142nm)、電気泳動移動度(0.05643μmcm/V)、ZP(+60.8mV)
【0151】
例8
PMMA粒子22を含む電気泳動流体
0.0602gのPMMA粒子22を、2.08gのドデカン(Sigma Aldrich)中の0.111gのSolsperse 3000(Lubrizol)に加え、ボルテックス混合する。得られた分散体を、次にultra-turrax T25ホモジナイザーを使用して30分間均質化し、Ultrawave超音波浴中でさらに30分間超音波処理する。0.09gのAerosol-OT (Aldrich)を、荷電制御剤として加える。当該分散体を、次に一晩ローラー混合して、電気泳動流体を得る。
サイズ(172nm)、電気泳動移動度(0.02103μmcm/V)、ZP(−22.7mV)。
【0152】
例9
PMMA粒子1を含む電気泳動流体
0.035gのPMMA粒子1を、0.963gのドデカン(Sigma Aldrich)中の0.0102gのSolsperse 13940(Lubrizol)に加え、ボルテックス混合する。得られた分散体を、次にultra-turrax T25ホモジナイザーを使用して30分間均質化し、Ultrawave超音波浴中でさらに30分間超音波処理する。当該分散体を、次に一晩ローラー混合して、電気泳動流体を得る。
サイズ(215nm)、電気泳動移動度(0.01515μmcm/V)、ZP(+16.3mV)