(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被加工物を保持面で保持するチャックテーブルと、スピンドルの先端に装着されたバイト工具を含むバイトホイールで該チャックテーブルに保持された被加工物を旋回切削する切削ユニットと、装置基台に設置され該チャックテーブルを該保持面と平行な加工送り方向に相対移動させる加工送りユニットと、該装置基台に立設するコラムに固定され該切削ユニットを該保持面と直交する方向に移動させる切り込み送りユニットと、を備え、各構成要素を収容する外装カバーで覆われたバイト切削装置であって、
該切削ユニットの該スピンドルを回転させるモーターの周囲の雰囲気の温度を測定する温度測定器と、
該切削ユニットで該チャックテーブルの該保持面を切削して新たな保持面を形成した際の該雰囲気の温度である基準温度と、該基準温度より高い閾値温度とを記録する温度記録部と、
該雰囲気を該外装カバーの外側へ排出する排気ユニットと、
該雰囲気の温度が該閾値温度に達した際に該排気ユニットを作動させる排気ユニット制御部と、を備えることを特徴とするバイト切削装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0011】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るバイト切削装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るバイト切削装置の構成例を示す斜視図である。
図2は、実施形態1に係るバイト切削装置の被加工物の一例を示す平面図である。
図3は、
図2に示された被加工物のデバイスを示す平面図である。
図4は、
図2に示された被加工物の旋回切削加工前の要部の断面図である。
図5は、
図2に示された被加工物の旋回切削加工後の要部の断面図である。
【0012】
実施形態1に係る
図1に示すバイト切削装置1は、被加工物Wの表面を平坦に旋回切削加工するものである。バイト切削装置1の加工対象である被加工物Wは、実施形態1ではシリコン、サファイア、ガリウムヒ素などを基板SBとする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ、金属や樹脂で形成されたパッケージ基板、インターポーザー基板などである。被加工物Wは、
図2に示すように、交差(実施形態1では、直交)する複数の分割予定ラインLによって区画された複数の領域にそれぞれデバイスDが形成されている。デバイスDの表面は、
図3に示すように、モールド樹脂UFが被覆されて、モールド樹脂UFから複数のバンプBPが露出している。
【0013】
また、旋回切削加工前の被加工物Wは、
図4に示すように、基板SBの表面に形成されたバンプBPが、モールド樹脂UFにより被覆されている。被加工物Wは、バイト切削装置1により旋回切削加工が施されて、モールド樹脂UF及びバンプBPが平坦に形成されて、
図5に示すように、バンプBPが露出される。なお、本発明において、被加工物Wは、
図2に示されているものに限定されない。
【0014】
次に、実施形態1に係るバイト切削装置1を図面を参照して説明する。
図6は、実施形態1に係るバイト切削装置のチャックテーブルの斜視図である。
図7は、
図6のVII−VII線に沿う断面図である。バイト切削装置1は、は、
図1に示すように、装置基台2と、チャックテーブル10と、切削ユニット20と、加工送りユニット30と、切り込み送りユニット40とを備える。
【0015】
チャックテーブル10は、被加工物Wを保持面10aで保持するものである。チャックテーブル10は、ステンレス鋼等の金属材によって円盤状に形成されている。チャックテーブル10は、
図6及び
図7に示すように、外周部に外周環状保持部11が形成され、外周環状保持部11の内側に吸引凹部12が形成されており、吸引凹部12内に複数の支持ピン13が設けられている。なお、実施形態1において、外周環状保持部11の幅が1mm程度に形成され、支持ピン13は直径が1mmの円柱状に形成されている。このように構成されたチャックテーブル10における外周環状保持部11および複数の支持ピン13の上面には、
図7に示すように、被加工物Wを保持する保持面10aを構成する厚みが200μm程度のニッケル等により構成されたメッキ層14が形成されている。
【0016】
チャックテーブル10に形成された吸引凹部12は、吸引通路15を介して図示しない吸引手段に連通されている。チャックテーブル10は、図示しない吸引手段を作動することにより、吸引通路15を介して吸引凹部12に負圧が作用し、保持面10a上に載置された被加工物Wを吸引保持する。このとき、被加工物Wは、外周環状保持部11と複数の支持ピン13によって支持される。チャックテーブル10は、Z軸方向と平行な軸心回りに回転自在な図示しない支持基台に支持されている。なお、Z軸方向は、鉛直方向と平行である。
【0017】
切削ユニット20は、スピンドル21の先端に装着されたバイト工具22を含むバイトホイール23でチャックテーブル10に保持された被加工物Wを旋回切削するものである。切削ユニット20は、切り込み送りユニット40を介して装置基台2に立設するコラム3に支持され、かつスピンドル21を軸心P回りに回転させるモーター24を備える。
【0018】
加工送りユニット30は、装置基台2上に設置され、チャックテーブル10を保持面10aと平行な加工送り方向であるY軸方向に相対移動させるものである。加工送りユニット30は、チャックテーブル10を支持した支持基台をY軸方向に移動させることで、チャックテーブル10を切削ユニット20が離間した搬出入位置と切削ユニット20の下方の加工位置とに亘って移動させる。
【0019】
切り込み送りユニット40は、装置基台2に立設するコラム3に固定され、切削ユニット20を保持面10aと直交する切り込み送り方向であるZ軸方向に移動させるものである。コラム3は、鋳物であり、装置基台2の加工位置寄りの端部から立設した柱状に形成されている。切り込み送りユニット40は、切削ユニット20を下降させてバイト工具22を加工位置のチャックテーブル10に保持された被加工物Wに近付け、切削ユニット20を上昇させてバイト工具22を加工位置のチャックテーブル10に保持された被加工物Wから遠ざける。
【0020】
加工送りユニット30及び切り込み送りユニット40は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のパルスモータ及びチャックテーブル10又は切削ユニット20をY軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。
【0021】
また、バイト切削装置1は、カセット8,9と、位置合わせ手段4と、搬入手段5と、搬出手段6と、洗浄手段60と、搬出入手段7と、温度測定器70と、排気ユニット80と、制御ユニット100とを備え、各構成要素を収容する外装カバー50で覆われている。
【0022】
外装カバー50は、装置基台2の上方を覆って、バイト切削装置1の各構成要素を収容する。
【0023】
カセット8,9は、被加工物Wを収容するための収容器であり、装置基台2の搬出入位置寄りの端部に設置される。一方のカセット8は、旋回切削加工前の被加工物Wを収容し、他方のカセット9は、旋回切削加工後の被加工物Wを収容する。また、位置合わせ手段4は、カセット8から取り出された被加工物Wが仮置きされて、その中心位置合わせを行うためのテーブルである。
【0024】
搬入手段5は、吸着パッドを有し、位置合わせ手段4で位置合わせされた旋回切削加工前の被加工物Wを吸着保持して搬出入位置に位置するチャックテーブル10上に搬入する。搬出手段6は、吸着パッドを有し、搬出入位置に位置するチャックテーブル10上に保持された旋回切削加工後の被加工物Wを吸着保持して洗浄手段60に搬出する。
【0025】
洗浄手段60は、バイト研削加工後の被加工物Wを洗浄する。搬出入手段7は、例えばU字型ハンド7aを備えるロボットピックであり、U字型ハンド7aによって被加工物Wを吸着保持して搬送する。具体的には、搬出入手段7は、旋回切削加工前の被加工物Wをカセット8から位置合わせ手段4へ搬出するとともに、旋回切削加工後の被加工物Wを洗浄手段60からカセット9へ搬入する。
【0026】
温度測定器70は、外装カバー50内でかつ切削ユニット20のスピンドル21を回転させるモーター24の周囲の雰囲気の温度を測定する。温度測定器70は、外装カバー50に取り付けられて、モーター24の近傍に配置されている。温度測定器70は、測定結果を制御ユニット100に出力する。温度測定器70は、サーミスタ、抵抗測温体、熱電対、又は放射温度計などの種々の温度センサにより構成される。
【0027】
排気ユニット80は、外装カバー50内でかつ切削ユニット20のスピンドル21を回転させるモーター24の周囲の雰囲気を外装カバー50の外側に排出する。排気ユニット80は、外装カバー50に取り付けられて、モーター24の近傍に配置されている。排気ユニット80は、外装カバー50に取り付けられ、かつ外装カバー50の内外を連通される排気管81と、排気管81内に設けられた図示しないファンなどを備える。
【0028】
制御ユニット100は、バイト切削装置1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御するものである。即ち、制御ユニット100は、被加工物Wに対する加工動作をバイト切削装置1に実行させるものである。制御ユニット100は、温度記録部101と、排気ユニット制御部102とを備える。
【0029】
バイト切削装置1は、被加工物Wの旋回切削加工前に切削ユニット20でチャックテーブル10の保持面10aを切削して、Z軸方向と直交する新たな保持面10aを整形(形成)するセルフ切削を実施する。このとき、バイト切削装置1の切削ユニット20の軸心Pは、Z軸方向と平行である。バイト切削装置1は、旋回切削加工を行うとモーター24の発生する熱などによりコラム3などが変形して、切削ユニット20の軸心PがZ軸方向に対して傾く。
【0030】
温度記録部101は、切削ユニット20でチャックテーブル10の保持面10aを切削して、新たな保持面10aを整形(形成)したセルフ切削を実施した際の外装カバー50内でかつ切削ユニット20のスピンドル21を回転させるモーター24の周囲の雰囲気の温度である基準温度と、基準温度より高い閾値温度とを記録する。閾値温度と基準温度との差である所定値は、スピンドル21即ち切削ユニット20の軸心PとZ軸方向とのなす角度が2度以内となる温度である。温度記録部101は、予め基準温度と所定値との関係を記憶しておき、温度測定器70から基準温度が入力すると記憶した関係から所定値を読み出して、閾値温度を算出して、算出した閾値温度を記録する。
【0031】
排気ユニット制御部102は、外装カバー50内でかつ切削ユニット20のスピンドル21を回転させるモーター24の周囲の雰囲気の温度が閾値温度に達した際に、排気ユニット80を作動させるものである。排気ユニット制御部102は、外装カバー50内でかつ切削ユニット20のスピンドル21を回転させるモーター24の周囲の雰囲気の温度が閾値温度を下回るまで、排気ユニット80を作動させる。
【0032】
制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インタフェース装置とを有し、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、バイト切削装置1を制御するための制御信号を生成する。制御ユニット100の演算処理装置は、生成した制御信号を入出力インタフェース装置を介してバイト切削装置1の各構成要素に出力する。また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示手段や、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力手段と接続されている。入力手段は、表示手段に設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0033】
制御ユニット100の温度記録部101の機能は、演算処理装置がROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、基準温度と閾値温度とを記憶装置に記録することにより実現される。制御ユニット100の排気ユニット制御部102の機能は、演算処理装置がROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行することにより実現される。
【0034】
また、バイト切削装置1は、外装カバー50内でかつ切削ユニット20のスピンドル21を回転させるモーター24の周囲の雰囲気の温度が閾値温度より高くなった事を知らせる報知部200を備える。報知部200は、光又は音を発生することにより閾値温度より高くなった事をバイト切削装置1のオペレータに知らせる。
【0035】
次に、バイト切削装置の加工動作の一例を説明する。
図8は、実施形態1に係るバイト切削装置の加工動作を示すフローチャートである。
図9は、実施形態1に係るバイト切削装置の旋回切削加工を示す平面図である。
図10は、実施形態1に係るバイト切削装置の旋回切削加工を示す他の平面図である。
【0036】
先ず、オペレータは、旋回切削加工前の被加工物Wを収容したカセット8と、被加工物Wを収容していないカセット9を装置基台2に取り付け、加工情報を制御ユニット100に登録する。バイト切削装置1は、加工動作の開始指示があった場合に、加工動作を開始する。
【0037】
加工動作において、バイト切削装置1の制御ユニット100は、被加工物Wの旋回切削加工前に切削ユニット20でチャックテーブル10の保持面10aを切削して、Z軸方向と直交する新たな保持面10aを整形するセルフ切削を実施する(ステップST1)。ステップST1では、バイト切削装置1の制御ユニット100は、加工送りユニット30を作動して被加工物Wを保持していないチャックテーブル10を加工位置に向けて移動し、チャックテーブル10を
図9に示す位置に位置付ける。そして、バイト切削装置1の制御ユニット100は、モーター24を回転駆動し、チャックテーブル10を軸心回りに回転して、バイト工具22が取り付けられたバイトホイール23を
図9に矢印で示す方向に例えば6000rpmの回転速度で回転する。
【0038】
次に、バイト切削装置1の制御ユニット100は、切削ユニット20を下降させバイト工具22を所定の切り込み位置に位置付ける。そして、チャックテーブル10を
図9に示す位置から例えば2mm/秒の送り速度で
図10に示す位置まで移動する。この結果、バイトホイール23の回転に伴って回転するバイト工具22の切れ刃によってチャックテーブル10を構成する外周環状保持部11および複数の支持ピン13の上面に形成されたメッキ層14が旋削され、新たな保持面10aが整形(形成)される。なお、メッキ層14を旋削する深さは5μm程度でよい。バイト切削装置1の制御ユニット100は、ステップST1における温度測定器70の測定結果を基準温度として記録し、閾値温度を生成して、基準温度及び閾値温度を記録する。
【0039】
次に、バイト切削装置1の制御ユニット100は、カセット8内の被加工物Wに1枚ずつ旋回切削加工を施す(ステップST2)。バイト切削装置1の制御ユニット100は、ステップST2では、搬出入手段7にカセット8から被加工物Wを取り出させ、位置合わせ手段4へ搬出させる。バイト切削装置1の制御ユニット100は、位置合わせ手段4に被加工物Wの中心位置合わせを行わさせ、搬入手段5に位置合わせされた被加工物Wを搬出入位置に位置するチャックテーブル10上に搬入させる。バイト切削装置1の制御ユニット100は、チャックテーブル10に被加工物Wを保持させ、加工送りユニット30に被加工物Wを加工位置に搬送する。
【0040】
バイト切削装置1の制御ユニット100は、バイトホイール23を回転させ、チャックテーブル10を軸心回りに回転させて、バイト工具22を所定の切り込み位置に位置付けて、加工位置で被加工物Wの表面にバイト工具22を切り込ませて、被加工物Wに旋回切削加工を施して、被加工物Wの表面を平坦に形成するとともに、バンプBPを露出させる。バイト切削装置1の制御ユニット100は、旋回切削加工を施した被加工物Wを搬出入位置まで搬送させ、搬出手段6に洗浄手段60に搬送させ、洗浄手段60に洗浄させた後、搬出入手段7に被加工物Wをカセット9に収容させる。バイト切削装置1の制御ユニット100は、次の被加工物Wをカセット8から取り出させて、旋回切削加工を施す。
【0041】
バイト切削装置1の制御ユニット100は、旋回切削加工中に、温度測定器70の測定結果に基づいて、温度測定器70が検出した雰囲気の温度が閾値温度に達したか否かを判定する(ステップST3)。バイト切削装置1の制御ユニット100は、温度測定器70が検出した雰囲気の温度が閾値温度未満であると判定する(ステップST3:No)と、カセット8内の全ての被加工物Wに旋回切削加工を施したか否かを判定する(ステップST4)。バイト切削装置1の制御ユニット100は、カセット8内の全ての被加工物Wに旋回切削加工を施していないと判定する(ステップST4:No)と、ステップST3に戻り、カセット8内の全ての被加工物Wに旋回切削加工を施したと判定する(ステップST4:Yes)と加工動作を終了する。
【0042】
バイト切削装置1の制御ユニット100は、温度測定器70が検出した雰囲気の温度が閾値温度に達したと判定する(ステップST3:Yes)と、被加工物Wのバイト切削中であっても、旋回切削加工を中断し、排気ユニット80を作動させて、閾値温度よりも高い場合に報知部200に報知させて(ステップST5)、ステップST3に戻る。そして、バイト切削装置1の制御ユニット100は、温度測定器70が検出した雰囲気の温度が閾値温度未満であると判定する(ステップST3:Yes)まで、排気ユニット80を作動させて、閾値温度よりも高い場合に報知部200に報知させる(ステップST5)。バイト切削装置1の制御ユニット100は、温度測定器70が検出した雰囲気の温度が閾値温度未満であると判定する(ステップST3:Yes)と、排気ユニット80及び報知部200を停止させて、旋回切削加工を再開して、ステップST4に進む。なお、実施形態1では、ステップST5において、被加工物Wのバイト切削中であっても旋回切削加工を中断したが、本発明は、加工中の被加工物Wの旋回切削加工を完了した後に、旋回切削加工を中断しても良いし、加工を継続しても良い。
【0043】
以上のように、実施形態1に係るバイト切削装置1は、新たな保持面10aを整形(形成)するセルフ切削時のスピンドル21を回転させるモーター24の周囲の雰囲気の温度を測定して基準温度として記録し、雰囲気の温度が基準温度より所定値高い閾値温度よりも高くなった際に外装カバー50内の雰囲気を外へ排気し、外装カバー50内の雰囲気の温度を下げ、コラム3の変形を防ぐため、被加工物Wの仕上がり厚さの変動を抑制することができるという効果を奏する。
【0044】
次に本発明の発明者は、実施形態1に係るバイト切削装置1の効果を被加工物Wの面内厚さのばらつきを測定することにより確認した。結果を表1に示す。なお、表1の本発明品は、実施形態1に係るバイト切削装置1による被加工物Wの面内厚さのばらつきを測定し、比較例は、排気ユニット80を備えない実施形態1に係るバイト切削装置1による被加工物Wの面内厚さのばらつきを測定している。本発明品と比較例とも、セルフ切削後、約10枚後に旋回切削加工を実施した被加工物Wの予め定められた所定箇所の厚さを測定し、面内厚さばらつきを測定している。
【0046】
比較例は、モーター24の発熱によりコラム3の前方側(切削ユニット20側)が膨張し、コラム3が装置後方に反った状態となり、保持面10aで保持された被加工物Wの中心からX方向両側が中央にくらべて低くなってしまい、
図9のチャックテーブル10に被加工物Wを保持して加工する場合、被加工物Wの中央より
図9中の上下の両側が薄くなってしまう。表1の結果よれば、このような比較例の面内厚さのばらつきが3μmであるのに対し、本発明品の面内厚さのばらつきが1μmであるので、雰囲気の温度が基準温度より所定値高い閾値温度よりも高くなった際に外装カバー50内の雰囲気を外へ排気することで、被加工物Wの面内厚さのばらつきを抑制でき、被加工物Wの仕上がり厚さの変動を抑制できることが明らかとなった。
【0047】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、実施形態1のバイト切削装置1は、切削ユニット20を一つのみ備えたが、本発明は、
図11に示すように、切削ユニット20を複数備え、熱源となるモーター24を複数備えるバイト切削装置1−2にも適用することができる。
図11は、実施形態1の変形例に係るバイト切削装置の構成例を示す斜視図である。
図11は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。