特許第6757940号(P6757940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6757940
(24)【登録日】2020年9月3日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】チタン酸バリウム粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/00 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   C01G23/00 C
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-93697(P2016-93697)
(22)【出願日】2016年5月9日
(65)【公開番号】特開2017-202942(P2017-202942A)
(43)【公開日】2017年11月16日
【審査請求日】2019年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100079120
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】山中 和美
(72)【発明者】
【氏名】水谷 英人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一実
(72)【発明者】
【氏名】三村 憲一
【審査官】 中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−137649(JP,A)
【文献】 特開2012−188334(JP,A)
【文献】 特開2002−211926(JP,A)
【文献】 特開2007−137759(JP,A)
【文献】 特開昭59−045928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 23/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜10の範囲で上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含む四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて中和して、水酸化チタンの水スラリーを得る第1工程と、
(B)第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記水酸化チタンと水酸化バリウムを水中、常圧下にpH12以上にて、温度50℃以上にて反応させ、その際、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を0.5〜20の範囲として、チタン酸バリウム前駆体粒子を含む水スラリーを得る第2工程と(但し、第2工程においては、新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えてもよく、加えなくてもよく、新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えないときは、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じである。)
(C)第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを加圧下にpH7以上にて、100℃以上の温度にて水熱処理し、その際、上記第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜20の範囲とする第3工程と(但し、第3工程においては、新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えてもよく、加えなくてもよく、新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えないときは、上記第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じである。)
を含むチタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造方法。
【請求項2】
前記第1、第2及び第3の水溶性カルボン酸がそれぞれ独立に酢酸、プロピオン酸及び酪酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のチタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造方法。
【請求項3】
前記第3工程において、前記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーをpH12以上にて水熱処理する請求項1に記載のチタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造方法。
【請求項4】
前記第1工程において、10℃以上の温度にて四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液で中和する請求項1に記載のチタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造方法。
【請求項5】
(A)第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜10の範囲で40℃以上の温度にて上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含む四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて中和して、水酸化チタンの水スラリーを得る第1工程と、
(B)第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記水酸化チタンと水酸化バリウムを水中、常圧下にpH12以上にて、温度50℃以上にて反応させ、その際、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を2〜18の範囲として、チタン酸バリウム前駆体粒子を含む水スラリーを得る第2工程と(但し、第2工程においては、新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えてもよく、加えなくてもよく、新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えないときは、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じである。)
(C)第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを加圧下にpH12以上にて、100〜160℃の範囲の温度にて水熱処理し、その際、上記第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比2〜18の範囲とする第3工程と(但し、第3工程においては、新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えてもよく、加えなくてもよく、新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えないときは、上記第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じである。)
を含むチタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造方法。
【請求項6】
前記第1、第2及び第3の水溶性カルボン酸がそれぞれ独立に酢酸、プロピオン酸及び酪酸から選ばれる少なくとも1種である請求項5に記載のチタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造方法。
【請求項7】
(A)第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜10の範囲で40℃以上の温度にて上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含む四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて中和して、水酸化チタンの水スラリーを得る第1工程と、
(B)第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記水酸化チタンと水酸化バリウムを水中、常圧下にpH12以上にて温度50℃以上にて反応させ、その際、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を2〜18の範囲とする第2工程と(但し、第2工程においては、新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えてもよく、加えなくてもよく、新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えないときは、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じである。)
を含む、チタン酸バリウムの直方体状の粒子を製造するための比表面積80m2/g以上、Ba/Tiモル比0.6〜0.9の範囲であるほぼ球状乃至不定形のチタン酸バリウム前駆体粒子の製造方法。
【請求項8】
前記第1及び第2の水溶性カルボン酸がそれぞれ独立に酢酸、プロピオン酸及び酪酸から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載のチタン酸バリウムの直方体状の粒子を製造するための比表面積80m2/g以上、Ba/Tiモル比0.6〜0.9の範囲であるほぼ球状乃至不定形のチタン酸バリウム前駆体粒子の製造方法。
【請求項9】
比表面積80m2/g以上、Ba/Tiモル比0.6〜0.9の範囲であるほぼ球状乃至不定形のチタン酸バリウム前駆体粒子の水スラリーを水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下に加圧下にpH12以上にて、100〜160℃の範囲の温度にて水熱処理し、その際、上記水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比2〜18の範囲とするチタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造方法。
【請求項10】
前記水溶性カルボン酸が酢酸、プロピオン酸及び酪酸から選ばれる少なくとも1種である請求項9に記載のチタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチタン酸バリウム粒子の製造方法に関し、詳しくは、チタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造方法と、水熱処理によってそのようなチタン酸バリウムの直方体状の粒子を与えるチタン酸バリウム前駆体粒子の製造方法に関する。更に、本発明は、上記チタン酸バリウム前駆体粒子を出発物質として用いるチタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造方法に関する。
【0002】
近年、種々の電子機器の小型化、高性能化及び軽量化に伴い、これらを構成する素子や、また、それらを製造するための出発原料について、特性の改善が強く求められている。
【0003】
なかでも、積層セラミックコンデンサ(MLCC)は電子回路の基本素子として広く用いられており、そのMLCCにおいて高誘電率誘電体として用いられているチタン酸バリウムについては、近年のMLCCの薄層化に対応して、物性、特に、粒子径や形状の改善が求められている。
【0004】
そこで、チタン酸バリウム粒子について、近年、直方体状や立方体状の粒子や、その製造方法が幾つか提案されている。従来、広く用いられている球状のチタン酸バリウム粒子は、最密充填した場合であっても、その充填率は74%であるが、立方体状の粒子の場合は、最密充填すれば、その充填率を100%とすることができることから、これを例えば、上述したMLCCにおける誘電体として用いることによって、MLCCの性能や機能に新たな改善が期待できるからである。
【0005】
例えば、四塩化チタンのようなチタン原料の水溶液にクエン酸のようなキレート剤を加え、これに酢酸バリウムのようなバリウム塩を加えて、チタン/クエン酸/バリウムゲルのスラリーを得、これを乾燥させ、焼成して、チタン酸バリウムの直方体状の粒子を得る方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかし、この方法は焼成工程を含むので、均一な粒子を得ることが困難であるうえに、粒子の凝集も強く、微粒子状の結晶、特に、粒子径100nm以下のチタン酸バリウム粒子を得ることができない。
【0007】
そこで、水酸化バリウムと水溶性の乳酸チタン錯体と水酸化ナトリウムとt−ブチルアミンとオレイン酸を含む水溶液を水熱反応させて、1辺の長さが15nmの立方体状のチタン酸バリウムの粒子を得る方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
この方法によれば、チタン酸バリウムの立方体状の粒子を得ることができるが、乳酸チタン錯体が高価であるので、工業的な製造には採用し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−211058号公報
【特許文献2】特開2012−188334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、チタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造における上述した問題を解決するためになされたものであって、工業的に入手が容易である原料を用いて、微細で、好ましくは粒子径が均一であるチタン酸バリウムの直方体状粒子を製造する方法と、そのようなチタン酸バリウム粒子を与えるチタン酸バリウム前駆体粒子を製造する方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、そのようなチタン酸バリウム前駆体粒子を出発物質として用いて上述したようなチタン酸バリウムの直方体状の粒子を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、
(A)第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜10の範囲で上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含む四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて中和して、水酸化チタンの水スラリーを得る第1工程と、
(B)第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記水酸化チタンと水酸化バリウムを水中、常圧下にpH12以上にて温度50℃以上にて反応させ、その際、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を0.5〜20の範囲として、チタン酸バリウム前駆体粒子を含む水スラリーを得る第2工程と、
(C)第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを加圧下にpH7以上にて100℃以上の温度にて水熱処理し、その際、上記第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜20の範囲とする第3工程と
を含むチタン酸バリウム粒子の製造方法が提供される。
【0012】
上述した本発明によるチタン酸バリウムの製造方法の上記第3工程においては、チタン酸バリウム前駆体粒子の水スラリーを12以上のpHにて水熱処理することが好ましい。
【0013】
本発明によれば、特に、チタン酸バリウム粒子の好ましい製造方法として、
(A)第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜10の範囲で40℃以上の温度にて上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含む四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて中和して、水酸化チタンの水スラリーを得る第1工程と、
(B)第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記水酸化チタンと水酸化バリウムを水中、常圧下にpH12以上にて、温度50℃以上にて反応させ、その際、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を2〜18の範囲として、チタン酸バリウム前駆体粒子を含む水スラリーを得る第2工程と、
(C)第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを加圧下にpH12以上にて、100〜160℃の範囲の温度にて水熱処理し、その際、上記第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比2〜18の範囲とする第3工程と
を含むチタン酸バリウム粒子の製造方法が提供される。
【0014】
以下において、上述した本発明によるチタン酸バリウム粒子の好ましい製造方法を第2の(チタン酸バリウム粒子の)製造方法ということがある。
【0015】
更に、本発明によれば、
(A)第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜10の範囲で40℃以上の温度にて上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含む四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて中和して、水酸化チタンの水スラリーを得る第1工程と、
(B)第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記水酸化チタンと水酸化バリウムを水中、常圧下にpH12以上にて、温度50℃以上にて反応させ、その際、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を2〜18の範囲とする第2工程と
を含む比表面積80m2/g以上、Ba/Tiモル比0.6〜0.9の範囲であるほぼ球状乃至不定形のチタン酸バリウム前駆体粒子の製造方法が提供される。
【0016】
また、本発明によれば、比表面積80m2/g以上、Ba/Tiモル比0.6〜0.9の範囲であるほぼ球状乃至不定形のチタン酸バリウム前駆体粒子の水スラリーを第4の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下に加圧下にpH12以上にて、100〜160℃の範囲の温度にて水熱処理し、その際、上記水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比2〜18の範囲とするチタン酸バリウム粒子の製造方法が提供される。
【0017】
本発明において、上記第1、第2、第3及び第4の水溶性カルボン酸はそれぞれ独立に酢酸、プロピオン酸及び酪酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0018】
また、本発明において、上記第1、第2、第3及び第4の水溶性カルボン酸とその水溶性塩はいずれも、通常、水溶性カルボン酸とその水溶性塩のいずれかを用いればよいが、必要に応じて、両者を併用してもよい。
【0019】
本発明において、上記第1、第2、第3及び第4の水溶性カルボン酸の水溶性塩としては、好ましくは、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩のようなアルカリ金属塩が用いられるが、バリウム塩も用いることができる。従って、上記水溶性カルボン酸の水溶性塩の代表例としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸バリウム、プロピオン酸カリウム、酪酸カリウム等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、工業的に入手が容易である原料を用いて、微細で、好ましくは粒子径が均一である直方体状のチタン酸バリウム粒子を得ることができる。
【0021】
このようなチタン酸バリウム粒子は、例えば、MLCCの性能や機能を新たに改善する誘電体として期待される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に従って、実施例1において得られたチタン酸バリウムの透過型電子顕微鏡写真である。
図2】本発明に従って、実施例2において得られたチタン酸バリウムの透過型電子顕微鏡写真である。
図3】本発明に従って、実施例3において得られたチタン酸バリウムの透過型電子顕微鏡写真である。
図4】本発明に従って、実施例6において得られたチタン酸バリウムの透過型電子顕微鏡写真である。
図5】本発明に従って、実施例9において得られたチタン酸バリウム前駆体粒子の一例の透過型電子顕微鏡写真である。
図6】本発明に従って、実施例9において得られたチタン酸バリウム前駆体粒子の一例の粉末X線回折パターンである。
図7】本発明に従って、実施例9において得られたチタン酸バリウムの透過型電子顕微鏡写真である。
図8】本発明に従って、実施例10において得られたチタン酸バリウムの透過型電子顕微鏡写真である。
図9】本発明に従って、実施例16において得られたチタン酸バリウムの透過型電子顕微鏡写真である。
図10】本発明に従って、実施例17において得られたチタン酸バリウムの透過型電子顕微鏡写真である。
図11】比較例として得られたチタン酸バリウムの一例(比較例1)透過型電子顕微鏡写真である。
図12】比較例として得られたチタン酸バリウムの一例(比較例2)透過型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明によるチタン酸バリウム粒子の製造方法は、
(A)第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜10の範囲で上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含む四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて中和して、水酸化チタンの水スラリーを得る第1工程と、
(B)第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記水酸化チタンと水酸化バリウムを水中、常圧下にpH12以上にて、温度50℃以上にて反応させ、その際、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を0.5〜20の範囲として、チタン酸バリウム前駆体粒子を含む水スラリーを得る第2工程と、
(C)第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを加圧下にpH7以上にて、100℃以上の温度にて水熱処理し、その際、上記第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜20の範囲とする第3工程と
を含む。
【0024】
上述したような本発明の方法によれば、チタン酸バリウムの微細な直方体状の粒子を得ることができる。ここに、直方体状の粒子とは、長方形乃至正方形の面がほぼ直角に交わった六面体の形状を有する粒子をいい、直方体の頂点の部分が幾分、丸みを帯びている形状の粒子をも含むものとする。
【0025】
本発明によるチタン酸バリウム粒子の製造方法において、第1工程は、第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜10の範囲で上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含む四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて中和して、水酸化チタンの水スラリーを得る工程である。
【0026】
本発明において、上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含む四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて中和する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、以下に説明する同時中和や、また、四塩化チタン水溶液にアルカリ水溶液を加え、又はアルカリ水溶液に四塩化チタン水溶液を加える片液中和によることができるが、なかでも、同時中和が好ましい。
【0027】
第1工程において、四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて同時中和するには、例えば、以下の方法によることができる。予め、容器に適当量の水を入れ、上記容器に四塩化チタン水溶液とアルカリ水溶液をそれぞれ適宜の速度にて同時に加え、その際、上記容器中に生成する混合物のpHを所定の範囲に調節しながら、四塩化チタンを中和する。このように、四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて同時中和する際の上記pHも特に限定されるものではないが、通常、1.5〜3.5の範囲が好ましい。
【0028】
本発明によれば、上記第1工程において、四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて中和する際の温度は、特に限定されるものではないが、通常、10℃以上であり、好ましくは、40℃以上であり、より好ましくは、50℃以上である。
【0029】
上記第1工程において、第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比は0.5〜10の範囲であり、好ましくは、0.5〜8の範囲である。第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比が0.5よりも小さいときは、微細で粒子径が均一で分散性にすぐれる水酸化チタンを得ることができない。しかし、第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比が10よりも大きいときは、四塩化チタンの中和に必要なアルカリが水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の中和に消費されるので、四塩化チタンの中和に必要なアルカリ水溶液の量が増えるだけでなく、上記モル比を10よりも大きくしても、それによる更なる利点が特にないので、製造費用を徒に高めることとなる。
【0030】
本発明によるチタン酸バリウム粒子の製造方法によれば、このような第1工程によって、微細で粒子径が均一で分散性にすぐれる水酸化チタンを得ることができ、このような水酸化チタンを後続する第2及び第3工程に付することによって、直方体状の微細なチタン酸バリウム粒子を得ることができる。
【0031】
上記第1工程において得られた水酸化チタンの水スラリーは、濾過、洗浄せずに、後続する第2工程にそのまま、供してもよく、また、上記第1工程において得られた水酸化チタンの水スラリーは、濾過、洗浄した後、再度、水スラリーとし、これを第2工程に供してもよい。
【0032】
本発明によるチタン酸バリウム粒子の製造方法において、第2工程は、第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記第1工程で得られた水酸化チタンを水中にて水酸化バリウムと常圧下にpH12以上にて温度50℃以上にて反応させ、その際、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を0.5〜20の範囲として、チタン酸バリウム前駆体粒子を含む水スラリーを得る工程である。
【0033】
本発明において、上記チタン酸バリウム前駆体粒子とは、その粉末X線回折によって、チタン酸バリウムであることが確認され、また、その形状が直方体状の粒子ではなく、ほぼ球状乃至不定形の粒子であることは電子顕微鏡写真によって確認される。本発明によれば、第2工程で得られたこのようなチタン酸バリウム前駆体粒子の水スラリーを第3工程において水熱処理することによって、目的とする直方体状の微細なチタン酸バリウム粒子を得ることができる。
【0034】
本発明において、上記第2工程における第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は、水酸化チタンと水酸化バリウムを含む水中において、水酸化チタンに由来するチタンに対する上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩のモル比を0.5〜20の範囲とするために、上記水中に存在する水溶性カルボン酸又はその水溶性塩をいう。
【0035】
本発明によれば、前述したように、上記第1工程において、得られた水酸化チタンの水スラリーは、濾過、洗浄せずに、そのまま、後続する第2工程に供してもよい。このような場合、第1工程で用いられた第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は、そのまま、第2工程で用いられる水酸化チタン水スラリーに含まれるので、第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は、第1工程で用いられた第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含む。
【0036】
従って、第2工程において、水酸化バリウムと水酸化チタンを水中、反応させるに際して、この反応系に新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えないときは、第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は、第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じであり、第2工程における第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の量は、第1工程において用いた第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じである。
【0037】
しかし、第2工程において、水酸化バリウムと水酸化チタンを水中、反応させるに際して、この反応系に新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えるときは、結果として、上記反応系に存在することになる第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は、成分組成において、上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じであってもよく、また、相違していてもよい。
【0038】
また、第2工程において、上記反応系に新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えたときは、第2工程における第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の量は、第1工程において用いた第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と第2工程において反応系に新たに加えた水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の量の合計量である。
【0039】
上記第1工程において得られた水酸化チタンの水スラリーを濾過、洗浄して、ケ−キとして得た後、このケーキを再度、水スラリーとし、これを第2工程に供した場合には、第2工程において、水酸化チタンと水酸化バリウムを水中、反応させるに際して、この反応系に新たに加えた水溶性カルボン酸又はその水溶性塩が第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩であり、第2工程における第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の量は、第2工程において反応系に新たに加えた水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の量の合計量である。
【0040】
本発明において、第2工程において、第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩、例えば、酢酸の存在下、水酸化チタンと水酸化バリウムを水中、pH12以上にて温度50℃以上にて反応させるには、例えば、水酸化バリウム八水和物と適宜の塩基性物質、例えば、水酸化ナトリウムを水に溶解し、適宜濃度の水溶液とし、一方、水酸化チタンの水スラリーと酢酸を混合し、適宜濃度のスラリーとし、これらを共に50℃以上の温度として、両者を混合すればよい。
【0041】
別の方法として、水酸化バリウム八水和物と酢酸と水酸化ナトリウムを水に溶解し、適宜濃度の水溶液とし、一方、水酸化チタンの水スラリーを適宜濃度とし、これらを共に50℃以上の温度として、両者を混合すればよい。
【0042】
更に別の方法として、水酸化バリウム八水和物と酢酸を水に溶解し、適宜濃度の水溶液とし、一方、水酸化ナトリウムを加えた水酸化チタンの水スラリーを適宜濃度とし、これらを共に50℃以上の温度として、両者を混合すればよい。いずれの方法においても、上記反応は常圧下に行われる。
【0043】
しかし、第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、水酸化チタンと水酸化バリウムを水中、pH12以上にて温度50℃以上にて反応させる方法は、上述した例示に限定されるものではない。
【0044】
本発明において、第2工程において、水酸化チタンと水酸化バリウムを含む水に12以上のpH値を有せしめるために、通常、上述したように、塩基性物質が用いられるが、この塩基性物質としては、アルカリ金属水酸化物、好ましくは、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が用いられる。しかし、上記塩基性物質は上記アルカリ金属水酸化物に限定されるものではない。
【0045】
本発明によれば、第2工程において、水酸化チタンと水酸化バリウムを水中において反応させる際、上記水のpHが12よりも低いときは、水酸化チタンと水酸化バリウムの反応性が低く、チタン酸バリウムが生成し難い。水酸化チタンと水酸化バリウムを反応させる上記水のpHは、好ましくは、13〜14の範囲である。
【0046】
上述したようにして、第2工程において、水酸化チタンと水酸化バリウムを反応させるに際して、その反応温度が50℃よりも低いときも、水酸化チタンと水酸化バリウムの反応性が低く、チタン酸バリウムが生成し難い。上記反応温度は、好ましくは、60℃以上である。
【0047】
第2工程において、水酸化チタンと水酸化バリウムを水中で反応させるに際して、水酸化バリウムに由来するバリウムの水酸化チタンに由来するチタンに対する仕込みのBa/Tiモル比は、特に限定されるものではないが、通常、1.0〜2.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは、1.0〜1.7の範囲、更により好ましくは、1.0〜1.5の範囲であり、最も好ましくは、1.0〜1.3の範囲である。水酸化チタンに対して水酸化バリウムを余りに過剰に用いても、製造費用を徒に高めることになる。
【0048】
第2工程において、上記水中にて水酸化チタンと水酸化バリウムを反応させるに際して、反応濃度、即ち、水酸化チタンと水酸化バリウムとの反応によって得られるチタン酸バリウム換算の濃度は、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜0.6モル/Lの範囲である。この反応濃度が余りに高いときは、得られる反応混合物が高粘度となり、反応が円滑に進行しないおそれがある。しかし、上記反応濃度が余りに低いときは、生産性が低くなる問題がある。
【0049】
更に、本発明によれば、第2工程において、上記水中にて水酸化チタンと水酸化バリウムを反応させるに際して、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の水酸化チタンに由来するチタンに対するモル比は0.5〜20の範囲である。上記モル比が0.5よりも小さいときは、得られるチタン酸バリウム前駆体を第3工程において水熱処理しても、目的とするチタン酸バリウムの直方体状の粒子を得ることができない。しかし、モル比が20よりも大きいときは、水酸化チタンと水酸化バリウムの反応性が低く、チタン酸バリウムの生成が阻害される。
【0050】
このようにして、本発明によれば、第2工程において、チタン酸バリウム前駆体粒子の水スラリーを得ることができ、このチタン酸バリウム前駆体粒子の水スラリーを第3工程において水熱処理することによって、目的とする微細な直方体状のチタン酸バリウム粒子をえることができる。
【0051】
本発明において、第3工程は、第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下に上述したチタン酸バリウム前駆体の水スラリーを加圧下にpH7以上にて、100℃以上の温度にて水熱処理する工程である。
【0052】
本発明において、第2工程で得られたチタン酸バリウム前駆体粒子の水スラリーは、これを濾過し、洗浄し、チタン酸バリウム前駆体粒子を得、これを再度、水に分散させて、水スラリーとし、この水スラリーを第3工程において用いてもよく、また、第2工程で得られたチタン酸バリウム前駆体粒子の水スラリーは、これを濾過、洗浄することなく、そのままか、又は適宜に希釈して、第3工程において水熱処理に供してもよい。
【0053】
第2工程で得られたチタン酸バリウム前駆体粒子の水スラリーを濾過、洗浄することなく、そのままか、又は適宜に希釈して、第3工程において用いる場合、第2工程で用いられた第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は、そのまま、第3工程において、チタン酸バリウム前駆体の水スラリーに第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩として含まれる。
【0054】
そこで、本発明によれば、第3工程において、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーに新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えて、又は新たに加えずして、第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下に、加圧下に第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜20の範囲でpH7以上にて水熱処理を施して、チタン酸バリウムの直方体状の微細な粒子を得る。
【0055】
従って、第2工程で得られたチタン酸バリウム前駆体の水スラリーに第3工程において新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えないときは、第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じであり、第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の量は、第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の量と同じである。
【0056】
しかし、第3工程において、チタン酸バリウム前駆体の水スラリーに新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えたときは、結果として、チタン酸バリウム前駆体の水スラリーに存在することになる第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は、成分組成において、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じであってもよく、また、相違していてもよい。
【0057】
また、第3工程において、チタン酸バリウム前駆体の水スラリーに新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えたときは、第3工程における第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の量は、第2工程において用いた第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と第3工程においてチタン酸バリウム前駆体の水スラリーに新たに加えた水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の量の合計量である。
【0058】
第3工程において、反応濃度、即ち、チタン酸バリウム前駆体粒子の濃度は、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜0.6モル/Lの範囲である。反応濃度が余りに高いときは、得られる反応混合物が高粘度となり、反応が円滑に進行しないおそれがある。しかし、反応濃度が余りに低いときは、生産性が低くなる問題がある。
【0059】
また、第3工程において、上記第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比が0.5よりも小さいときは、目的とする直方体状の微細なチタン酸バリウム粒子を得ることができない。しかし、上記モル比が20を超えるとき、目的とするチタン酸バリウムの直方体状の粒子を得ることができるが、上記モル比が20を超えることによる付加的な利点が特にないので、製造費用を徒に高めることとなる。
【0060】
第2工程で得られたチタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーがpH12以上を有していても、第3工程における第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩のチタンに対するモル比を高めるように、上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーに新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えるとき、水スラリーのpHが7よりも低くなることが往々にしてある。
【0061】
このような場合、本発明によれば、第3工程において、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーに新たに塩基性物質を加えて、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーのpHを7以上とする必要があり、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーのpHは、好ましくは、12以上であり、好ましくは、12〜14の範囲である。第3工程において、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーのpHが7よりも低いときは、チタン酸バリウム前駆体からバリウムイオンが溶出し、目的とするチタン酸バリウムの直方体状の粒子を得ることができない。
【0062】
本発明において、第3工程において、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーに所定のpH値を有せしめるためには、通常、塩基性物質としては、アルカリ金属水酸化物、好ましくは、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が用いられるが、しかし、上記塩基性物質は上記アルカリ金属水酸化物に限定されるものではない。
【0063】
第3工程は、上述したように、第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下に上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを加圧下にpH7以上にて、100℃以上の温度にて水熱処理する工程であり、好ましくは、加圧下にpH12以上にて、100℃以上の温度にて水熱処理する工程であり、より好ましくは、加圧下にpH12以上にて、100〜350℃の範囲で水熱処理する工程であり、更に好ましくは、加圧下にpH12以上にて、100〜200℃の範囲で水熱処理する工程である。水熱処理の温度が200℃を超えるときは、融着粒子が増える傾向にあり、場合によっては、一部、粒子径の大きい直方体状のチタン酸バリウム粒子が生成するおそれがある。また、350℃を超える水熱処理は、反応装置の劣化が激しく、実用的ではない。
【0064】
本発明によって得られるチタン酸バリウムは、立方体に近い直方体状の粒子であり、しかも、微細である。本発明の方法によれば、得られるチタン酸バリウム粒子は、通常、粒子径は100nm以下であり、好ましくは、約10〜80nm程度である。更に、本発明によって得られるチタン酸バリウム粒子は、直方体状の粒子であって、粉末X線回折によれば、チタン酸バリウムの結晶粒子である。
【0065】
本発明の方法によれば、第2工程で得られたほぼ球状乃至不定形のチタン酸バリウム前駆体は、第3工程において、前記第3のカルボン酸又はその水溶性塩の存在下に直方体状の粒子に成長する。そのメカニズムは明確でなく、また、本発明はそのようなメカニズムによって何ら制約を受けるものではないが、前記カルボン酸又はその水溶性塩はチタン酸バリウムの(100)面、(010)面及び(001)面の結晶成長を抑制するように作用し、そして、上記3つの面はほぼ等価であるので、第3工程で得られるチタン酸バリウム粒子は立方体状に近い直方体状を有する。
【0066】
本発明による好ましいチタン酸バリウム粒子の製造方法、即ち、本発明による第2のチタン酸バリウム粒子の製造方法は、
(A)第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比0.5〜10の範囲で40℃以上の温度にて上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含む四塩化チタン水溶液をアルカリ水溶液にて中和して、水酸化チタンの水スラリーを得る第1工程と、
(B)第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記水酸化チタンと水酸化バリウムを水中、常圧下にpH12以上にて、温度50℃以上にて反応させ、その際、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を2〜18の範囲として、チタン酸バリウム前駆体粒子を含む水スラリーを得る第2工程と、
(C)第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを加圧下にpH12以上にて、100〜160℃の範囲の温度にて水熱処理し、その際、上記第3の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比2〜18の範囲とする第3工程と
を含む方法である。
【0067】
本発明によれば、このような方法によって、チタン酸バリウムの微細な直方体状の粒子であって、概ね、粒子径の均一な粒子を得ることができる。
【0068】
上記チタン酸バリウム前駆体粒子は、粉末X線回折によって、チタン酸バリウムであることが確認される。また、上記チタン酸バリウム前駆体粒子は、比表面積80m2/g以上、Ba/Tiモル比0.6〜0.9の範囲であるほぼ球状乃至不定形のチタン酸バリウム粒子である。
【0069】
本発明による第2のチタン酸バリウム粒子の製造方法において、上記第2工程において、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーがpH12よりも低いときは水酸化チタンと水酸化バリウムの反応性が低く、チタン酸バリウムが生成し難い。
【0070】
そこで、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーのpHを12以上とするために、必要に応じて、塩基性物質としては、アルカリ金属水酸化物、好ましくは、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を用いる。しかし、上記塩基性物質は上記アルカリ金属水酸化物に限定されるものではない。
【0071】
本発明による上記第2のチタン酸バリウムの製造方法における上記第3工程において、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを水熱処理して、目的とするチタン酸バリウムの直方体状の粒子を得るに際して、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーのpHは、好ましくは、12以上の範囲であり、水熱処理の温度は、100〜160℃の範囲である。
【0072】
このようにして、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを水熱処理して得られるチタン酸バリウムは、立方体に近い直方体状の粒子であり、しかも、微細であって、粒子径は100nm以下、好ましくは、約10〜80nm程度であって、概ね、均一である。
【0073】
更に、本発明によってこのようにして得られるチタン酸バリウム粒子は結晶粒子である。即ち、粉末X線回折によれば、本発明によって得られるチタン酸バリウムの直方体状の粒子は、チタン酸バリウムの結晶粒子からなる。
【0074】
上述したように、本発明によって得られる上記チタン酸バリウム前駆体粒子は、その水スラリーをそれ自体で、水熱処理によって、微細な直方体状のチタン酸バリウム粒子を与える前駆体として有用である。
【0075】
即ち、本発明によれば、上述した比表面積80m2/g以上、Ba/Tiモル比0.6〜0.9の範囲であるほぼ球状乃至不定形のチタン酸バリウム前駆体粒子の水スラリーを第4の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下に加圧下にpH12以上にて、100〜160℃の範囲の温度にて水熱処理し、その際、上記水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比2〜18の範囲とすることによって、直方体状の微細なチタン酸バリウム粒子を得ることができる。
【0076】
このチタン酸バリウム粒子の製造方法は、前述した本発明によるチタン酸バリウム粒子の製造方法における第3工程と同じである。
【0077】
このように、チタン酸バリウム前駆体粒子を出発物質として用いる上記チタン酸バリウム粒子の製造方法に従って、Ba/Tiモル比が0.6よりも大きいチタン酸バリウム前駆体粒子を用いるとき、前駆体粒子中の未反応のチタン化合物の残存量が少ないので、得られる直方体状のチタン酸バリウム粒子が均一性が向上する。
【0078】
また、比表面積が80m2/g以上であるチタン酸バリウム前駆体粒子を用いるとき、前駆体粒子が小さいので、微細な直方体状のチタン酸バリウム粒子を得やすい。チタン酸バリウム前駆体粒子の比表面積は特に限定されるものではないが、通常、130m2/g以下である。
【実施例】
【0079】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はそれら実施例によって限定されるものではない。
【0080】
以下において、得られたチタン酸バリウム粒子とチタン酸バリウム前駆体粒子の比表面積Sは、全自動比表面積測定装置((株)マウンテック製HM model−1220)を用いて、205℃で30分脱気した後、BET1点法で測定した。
【0081】
得られたチタン酸バリウム粒子の粒子径、即ち、比表面積相当径D(nm)は、粒子の上記比表面積S(m2/g)とチタン酸バリウムの密度ρ(g/cm)から次式によって求めた。
D=(6/(S×ρ))×1000
【0082】
但し、ρは6.0g/cmとした。ここに、粒子が立方体の場合、Dは立方体の1辺の長さに相当し、粒子が球形の場合、Dは粒子の直径に相当する。
【0083】
得られたチタン酸バリウム粒子とチタン酸バリウム前駆体粒子の透過型電子顕微鏡写真は、粉末をマイクログリッドに載せて、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)JEM−2100F)を用いて撮影した。また、得られたチタン酸バリウム粒子とチタン酸バリウム前駆体粒子の形状の判別は、上記透過型電子顕微鏡観察によった。
【0084】
得られたチタン酸バリウム粒子とチタン酸バリウム前駆体粒子の粉末X線回折パターンは、粉末X線回折装置((株)リガク製RINT−TTRIII、線源CuKα)を用いて得た。
【0085】
また、得られたチタン酸バリウム粒子の形状と粒子径の評価については、上記透過型電子顕微鏡観察にて行った。粒子の形状が直方体状でないときを×とし、粒子の形状が直方体状であるときを○とし、そのなかでも、粒子径が均一であるときを◎とした。
【0086】
実施例1
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
四塩化チタン水溶液((株)大阪チタニウムテクノロジーズ製、TiO2 換算で3.8モル/L、以下、同じ)250mLに酢酸(和光純薬工業(株)製特級、以下、同じ)56.7gを加えた。
【0087】
ビーカー中の予め60℃に加温した水500mLに、そのpHを2.5に調整しながら、上記酢酸を含む四塩化チタン水溶液を2.5mL/分の速度で加えると同時に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、同時中和することによって、水酸化チタンの水スラリーを得た。この水スラリーを濾過、水洗し、ナトリウムイオンと塩化物イオンを除去して、水酸化チタンのケーキを得た。
【0088】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物(堺化学工業(株)製、以下、同じ)129.22gと水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製特級、以下、同じ)96.58gを入れ、純水で全量210mLに調整した。この水溶液を反応液Aとする。
【0089】
上記第1工程で得た水酸化チタンのケーキをTiO2 として24.1gに酢酸144.86gを加え、純水で全量290mLに調整した。この水溶液を反応液Bとする。
【0090】
上記反応液Aを温度80℃に保ちながら、これに温度80℃とした上記反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度80℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。反応時のpHは13.3であった。また、水酸化バリウム水溶液に水酸化チタンの水スラリーを加え終わった時点におけるBa/Tiモル比は1.3であった。
【0091】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
上記チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリー50mLに純水を加え、全量90mlに調整した。このスラリーをオートクレーブに入れ、pH13.3にて120℃で12時間水熱処理した。この後、オートクレーブの内容物を室温まで放冷した。得られた水スラリーを濾過、水洗した後、130℃で乾燥して、チタン酸バリウムを粉体として得た。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図1に示す。
【0092】
実施例2
第3工程において、140℃で12時間、水熱処理した以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウムを粉体として得た。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図2に示す。
【0093】
実施例3
第3工程において、120℃で72時間、水熱処理した以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウムを粉体として得た。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図3に示す。
【0094】
実施例4
第3工程において、実施例1で得られたチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリー50mLをオートクレーブに入れて、120℃で72時間水熱処理した以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウムを粉体として得た。
【0095】
実施例5
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
実施例1と同様に第1工程を行って、水酸化チタンのケーキを得た。
【0096】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物129.22gと水酸化ナトリウム48.29gを入れ、純水で全量210mLに調整した。この水溶液を反応液Aとする。
【0097】
上記第1工程で得た水酸化チタンのケーキをTiO2 として24.1gに酢酸72.43gを加え、純水で全量290mLに調整した。この水溶液を反応液Bとする。
【0098】
上記反応液Aを温度80℃に保ちながら、これに温度80℃とした上記反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度80℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。反応時のpHは13.1であった。また、水酸化バリウム水溶液に水酸化チタンの水スラリーを加え終わった時点におけるBa/Tiモル比は1.3であった。
【0099】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
実施例1と同様に第3工程を行って、チタン酸バリウムを粉体として得た。
【0100】
実施例6
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
実施例1と同様に第1工程を行って、水酸化チタンのケーキを得た。
【0101】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物129.22gと水酸化ナトリウム48.29gを入れ、純水で全量210mLに調整した。この水溶液を反応液Aとする。
【0102】
上記第1工程で得た水酸化チタンのケーキをTiO2 として24.1gに酢酸72.43gを加え、純水で全量290mLに調整した。この水溶液を反応液Bとする。
【0103】
上記反応液Aを温度80℃に保ちながら、これに温度80℃とした上記反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度80℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。反応時のpHは13.1であった。また、水酸化バリウム水溶液に水酸化チタンの水スラリーを加え終わった時点におけるBa/Tiモル比は1.3であった。
【0104】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
上記チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリー160℃で12時間水熱処理した以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウムを粉体として得た。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図4に示す。
【0105】
実施例7
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
実施例1と同様に第1工程を行って、水酸化チタンのケーキを得た。
【0106】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
実施例1と同様にして、反応液Aと反応液Bを調製した。上記反応液Aを温度70℃に保ちながら、これに温度70℃とした上記反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度70℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。反応時のpHは12.5であった。また、水酸化バリウム水溶液に水酸化チタンの水スラリーを加え終わった時点におけるBa/Tiモル比は1.3であった。
【0107】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
実施例1と同様に第3工程を行って、チタン酸バリウムを粉体として得た。
【0108】
実施例8
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
実施例1と同様に第1工程を行って、水酸化チタンのケーキを得た。
【0109】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
実施例1と同様にして、反応液Aと反応液Bを調製した。上記反応液Aを温度70℃に保ちながら、これに温度70℃とした上記反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度70℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。反応時のpHは12.5であった。また、水酸化バリウム水溶液に水酸化チタンの水スラリーを加え終わった時点におけるBa/Tiモル比は1.3であった。
【0110】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
上記チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを100℃で72時間水熱処理した以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウムを粉体として得た。
【0111】
実施例9
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
実施例1と同様に第1工程を行って、水酸化チタンのケーキを得た。
【0112】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
実施例1と同様にして、反応液Aと反応液Bを調製した。上記反応液Aを温度100℃に保ちながら、これに温度100℃とした上記反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度100℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。反応時のpHは13.6であった。また、水酸化バリウム水溶液に水酸化チタンの水スラリーを加え終わった時点におけるBa/Tiモル比は1.3であった。
【0113】
このようにして得られたチタン酸バリウム前駆体粒子の透過型電子顕微鏡写真を図5に示し、粉末X線回折パターンを図6に示す。
【0114】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
実施例1と同様に第3工程を行って、チタン酸バリウムを粉体として得た。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図7に示す。
【0115】
実施例10
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
実施例1と同様に第1工程を行って、水酸化チタンのケーキを得た。
【0116】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物129.22gと水酸化ナトリウム96.58gを入れ、純水で全量380mLに調整した。この水溶液を反応液Aとする。
【0117】
上記第1工程で得た水酸化チタンのケーキをTiO2 として24.1gに酢酸144.86gを加え、純水で全量290mLに調整した。この水溶液を反応液Bとする。
【0118】
上記反応液Aを温度80℃に保ちながら、これに温度80℃とした上記反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度80℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.5モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。反応時のpHは13.6であった。また、水酸化バリウム水溶液に水酸化チタンの水スラリーを加え終わった時点におけるBa/Tiモル比は1.3であった。
【0119】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
上記チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリー67mLに純水を加え、全量90mLに調整した。得られたチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーをオートクレーブに入れ、pH13.3にて120℃で12時間水熱処理した。この後、実施例1同様に処理して、チタン酸バリウムを粉体として得た。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図8に示す。
【0120】
実施例11
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
実施例1と同様に第1工程を行って、水酸化チタンのケーキを得た。
【0121】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物99.59gと水酸化ナトリウム48.29gを入れ、純水で全量210mLに調整した。この水溶液を反応液Aとする。
【0122】
上記第1工程で得た水酸化チタンのケーキをTiO2として24.1gに酢酸72.43gを加え、純水で全量290mLに調整した。この水溶液を反応液Bとする。
【0123】
上記反応液Aを温度80℃に保ちながら、これに温度80℃とした上記反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度80℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。反応時のpHは13.2であった。水酸化バリウム水溶液に水酸化チタンの水スラリーを加え終わった時点におけるBa/Tiモル比は1.0であった。
【0124】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
上記チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリー50mLに水酸化ナトリウム16.87g、酢酸25.34g及び水酸化バリウム八水和物2.96gを加えて、純水で全量90mLに調整し、オートクレーブに入れ、200℃で12時間水熱処理した以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウム粉体を得た。
【0125】
実施例12
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
四塩化チタン水溶液247mLに酢酸28.19gを加えた。ビーカー中の予め60℃に加温した水500mLに、そのpHを2.5に調整しながら、上記酢酸を含む四塩化チタン水溶液を2.5mL/分の速度で加えると同時に、水酸化ナトリウム水溶液を加えて、同時中和することによって、TiO2 として25g/Lの水酸化チタンの水スラリーを得た。
【0126】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物77.53gと水酸化ナトリウム3.62gを入れ、純水で全量122mLに調整した。この水溶液を反応液Aとする。上記第1工程で得た水酸化チタンの水スラリー578mLを反応液Bをとする。これら反応液A及びBを用いて実施例1と同様に反応させて、BaTiO3 換算で0.3モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。
【0127】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
上記チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリー120mLをオートクレーブに入れ、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。
【0128】
実施例13
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
実施例12と同様に第1工程を行って、水酸化チタンの水スラリーを得た。
【0129】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物77.53gと水酸化ナトリウム130.38gを入れ、純水で全量210mLに調整した。この水溶液を反応液Aとする。実施例12で得られた水酸化チタンの水スラリー578mLに酢酸190.13gを加え、純水で全量790mLに調整した。この水溶液を反応液Bをとする。これら反応液A及びBを用いて実施例1と同様に反応させて、BaTiO3換算で0.2モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。
【0130】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
上記チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリー120mLをオートクレーブに入れ、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。
【0131】
実施例14
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
実施例1と同様に第1工程を行って、水酸化チタンのケーキを得た。
【0132】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
実施例1と同様にして、反応液Aと反応液Bを調製した。上記反応液Aを温度100℃に保ちながら、これに温度100℃とした上記反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度100℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。反応時のpHは13.6であった。また、水酸化バリウム水溶液に水酸化チタンの水スラリーを加え終わった時点におけるBa/Tiモル比は1.3であった。
【0133】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
上記チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを加圧下に100℃で72時間水熱処理した以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウム粉体を得た。
【0134】
実施例15
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
四塩化チタン水溶液247mLに酢酸451.11gを加えた。ビーカー中の予め60℃に加温した水500mLに、そのpHを2.5に調整しながら、上記酢酸を含む四塩化チタン水溶液を2.5mL/分の速度で加えると同時に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、同時中和することによって、TiO2 として15g/Lの水酸化チタンの水スラリーを得た。
【0135】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物77.53gと水酸化ナトリウム57.95gを入れ、純水で全量126mLに調整した。この水溶液を反応液Aとする。上記第1工程で得られた水酸化チタンの水スラリー964mLを反応液Bとする。
【0136】
これら反応液A及びBを用いて実施例1と同様に反応させて、BaTiO3換算で0.2モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。反応時のpHは13.0であった。また、水酸化バリウム水溶液に水酸化チタンの水スラリーを加え終わった時点におけるBa/Tiモル比は1.3であった。
【0137】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
上記チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリー500mLをオートクレーブに入れ、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。
【0138】
実施例16
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
四塩化チタン水溶液247mLに酢酸56.4gを加えた。ビーカー中の温度18℃の水500mLに、そのpHを2.5に調整しながら、上記酢酸を含む四塩化チタン水溶液を2.5mL/分の速度で加えると同時に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、同時中和することによって、水酸化チタンの水スラリーを得た。この水スラリーを濾過、水洗し、ナトリウムイオンと塩化物イオンを除去して、水酸化チタンのケーキを得た。
【0139】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
実施例1と同様に第2工程を行って、チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。
【0140】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
実施例1と同様に第3工程を行って、チタン酸バリウムを粉体として得た。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図9に示す。
【0141】
実施例17
(第1工程−水酸化チタン水スラリーの調製)
四塩化チタン水溶液247mLに酢酸56.4gを加えた。ビーカー中の予め90℃に加温した水500mLに、そのpHを2.5に調整しながら、上記酢酸を含む四塩化チタン水溶液を2.5mL/分の速度で加えると同時に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、同時中和することによって、水酸化チタンの水スラリーを得た。この水スラリーを濾過、水洗し、ナトリウムイオンと塩化物イオンを除去して、水酸化チタンのケーキを得た。
【0142】
(第2工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
実施例1と同様に第2工程を行って、チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。
【0143】
(第3工程−チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
実施例1と同様に第3工程を行って、チタン酸バリウムを粉体として得た。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図10に示す。
【0144】
比較例1
(チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物68.6gを入れ、純水で全量245mLに調整して、反応液Aを調製した。
【0145】
四塩化チタン水溶液を水酸化ナトリウム水溶液で温度60℃、pH2.0に調整しながら同時中和して、水酸化チタンの水スラリーを得た。この水酸化チタンの水スラリーをTiO2 として16.6gに水酸化ナトリウム33.26gを加え、純水で全量170mLに調整して、反応液Bを調製した。
【0146】
上記反応液Aを温度60℃に保ちながら、これに温度60℃とした反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度60℃で10分反応させて、BaTiO3換算で0.5モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。反応時のpHは14であった。
【0147】
(チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.5モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリー80mLに水酸化ナトリウム31.52gと酢酸43.84gを加え、純水で全量を120mlに調整し、pHを14として、200℃で12時間水熱処理した以外は、実施例1と同様にして、チタン酸バリウム粉体を得た。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図11に示す。
【0148】
比較例2
5L容量の反応容器に純水567mLと水酸化バリウム八水和物959gを入れて、反応液Aを調製した。比較例1で得られた水酸化チタンの水スラリーをTiO2として106gを純水で全量950mLに調整して、反応液Bを調製した。
【0149】
上記反応液Aを温度100℃に保ちながら、これに温度を100℃とした反応液Bを1時間かけて加えた後、温度100℃で2時間反応させて、BaTiO3換算で0.7モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーを得た。反応時のpHは14であった。
【0150】
(チタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.7モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体粒子水スラリーをオートクレーブに入れ、180℃で20時間水熱処理した。以下、実施例1と同様に処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。このようにして得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図12に示す。
【0151】
上記実施例及び比較例における第1工程の反応条件を表1に示す。上記実施例及び比較例における第2工程の反応条件と得られたチタン酸バリウム前駆体粒子の比表面積とBa/Ti比を表2に示す。上記実施例及び比較例における第3工程の反応条件と得られたチタン酸バリウム粒子の粒子形状、透過型電子顕微鏡観察による粒子形状と粒子径の均一性の評価、比表面積及び比表面積相当径を表3に示す。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
【表3】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12