特許第6758594号(P6758594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758594
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】ロータリードライヤのシール構造
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/32 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   F26B17/32 Q
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-54158(P2016-54158)
(22)【出願日】2016年3月17日
(65)【公開番号】特開2017-166778(P2017-166778A)
(43)【公開日】2017年9月21日
【審査請求日】2018年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134979
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 博
(74)【代理人】
【識別番号】100167427
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】峯岸 孝彰
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 伸充
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−174157(JP,A)
【文献】 特開昭56−066678(JP,A)
【文献】 特開2010−249476(JP,A)
【文献】 特開2015−224823(JP,A)
【文献】 特開2004−271142(JP,A)
【文献】 特開2004−060931(JP,A)
【文献】 実開昭53−041344(JP,U)
【文献】 実公昭45−016063(JP,Y1)
【文献】 特開2004−053183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 1/00 − 25/22
F27B 5/00 − 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリードライヤの回転胴部に設けられた装入口のシール構造であって、
前記回転胴部の一端に設けられた前記装入口を有する鏡板と、
該鏡板の装入口内に設置された、前記回転胴部とともに回転する筒状部材と、を備えており、
該筒状部材は、
その外端が前記回転胴部の鏡板から外方に突出し、その内端が前記回転胴部の鏡板より内方に位置するように設けられており、
その外端から被乾燥物を供給するコンベアが挿入されており、
前記回転胴部の鏡板は、
内端が前記装入口の開口端を形成し、外端が前記回転胴部の一端縁に連結される複数枚の分割プレートを組み合わせて形成されており、
前記筒状部材は、
複数枚の分割プレートと同じ枚数の樋状部材を組み合わせて形成されている
ことを特徴とするロータリードライヤのシール構造。
【請求項2】
前記筒状部材は、
その外周面が、前記回転胴部の鏡板における装入口の内端との間に隙間ができないように、該装入口の内端に連結されている
ことを特徴とする請求項1記載のロータリードライヤのシール構造。
【請求項3】
前記筒状部材は、
その内面に、螺線状に形成された搬送プレートを備えている
ことを特徴とする請求項1または2記載のロータリードライヤのシール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリードライヤのシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
銅精鉱等の粒状物や粉体が水分を有している場合、次工程での処理を適切に行うために、所定の水分量以下にすることが行われる。この場合、種々の方法や装置を用いて粒状物や粉体の乾燥が行われる。例えば、銅精鉱は、浮遊選鉱等の前工程の影響により10重量%程度の水分が含まれている。このため、銅精鉱を乾燥させて水分1重量%以下の乾燥精鉱とした後に、この乾燥精鉱を用いて熔解製錬が行われる。
【0003】
上述した銅精鉱を蒸気、熱風等によって乾燥させる場合の装置として、ロータリードライヤがある。図4に示すように、ロータリードライヤ1は、中空な筒状の回転胴部10を備えている。この回転胴部10は、その一端に銅精鉱を装入するための装入口10aが設けられており、その他端には排出口10bが設けられている。この回転胴部10は、その中心軸周りに回転可能であり、その中心軸が水平方向に対して若干傾斜した状態となるように設置されている。具体的には、回転胴部10は、その一端から他端に向かって(図4では右から左に向かって)若干下傾するように設けられている。そして、回転胴部10の周囲には、回転胴部10内の銅精鉱を加熱するための加熱部が設けられている。
【0004】
かかる構造であるので、ヤードから搬送された銅精鉱をコンベア2によって装入口10aから回転胴部10内に供給すれば、加熱部からの熱によって銅精鉱を乾燥させることができる。しかも、回転胴部10を回転させれば、銅精鉱を攪拌しつつ装入口10aから排出口10bに向かって移動させることができる。
【0005】
しかるに、装入口10aから供給される銅精鉱の量が急に変動したり、銅精鉱の水分量が変化したりすると、回転胴部10内を移動する銅精鉱の流動性が変化する。銅精鉱の流動性が低下した場合には、装入口10aから供給された銅精鉱は適切に搬送されず、装入口10aからこぼれ落ちてしまうこと場合がある。このため、装入口10aからこぼれ落ちた銅精鉱を回収するために漏れ鉱コンテナCが設けられており、漏れ鉱コンテナCに回収された銅精鉱は、ヤードに運ばれて、新たに搬送する銅精鉱に混ぜられていた。
【0006】
しかし、漏れ鉱コンテナをヤードに運んで銅精鉱に混ぜる作業は、非常にロスが大きい。しかも、装入口10aから銅精鉱がこぼれ落ちる際に粉じんが発生し、設備環境が悪化するという問題が生じている。
また、装入口10aからこぼれ落ちる銅精鉱の量は一定ではなく、銅精鉱の状態やその他の状況によって変動し、ロータリードライヤ1に対する銅精鉱の供給量を低減させる状態となることもある。
このような事情もあり、ロータリードライヤ1において、回転胴部10の装入口10aからこぼれ落ちる銅精鉱を少なくすることが求められている。
【0007】
装入口10aからこぼれ落ちる銅精鉱を少なくする方法としては、装入口10aにシール構造を設けることが考えられる。装入口10aにシール構造を設けた技術として特許文献1等に開示された技術がある。しかし、特許文献1等に開示されているシール構造は、ロータリードライヤの回転胴部内に外気が侵入することを防止するためなど、回転胴部を気密にすることを目的としており、被乾燥物が装入口からこぼれ出ることを抑制するものではなかった。
【0008】
一方、銅精鉱等の被乾燥物が装入口からこぼれることを防止するシール装置が、特許文献2に開示されている。
特許文献2のシール装置は、ロータリードライヤの回転胴部における装入口の周囲に回転胴部とともに回転する回転側部材と、この回転側部材と接触するコンベア架台に固定された固定側部材と、を設けている。具体的には、回転側部材を内周面が外部に向かって狭まる截頭円錐面に形成し、この固定側部材の截頭円錐面に接触するように、固定側部材を環状の帯で形成している。つまり、特許文献2のシール装置では、コンベアと装入口の間を回転側部材と固定側部材によってシールする構造となっている。このため、装入口に供給された被乾燥物は、装入口からこぼれ落ちようとしても、回転側部材と固定側部材によって装入口から回転胴部内に戻すことができるので、被乾燥物が装入口からこぼれ出ることを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−053217号公報
【特許文献2】特開2013−44467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、特許文献2の技術では、回転側部材と固定側部材の接触状態が良好に維持されていれば、被乾燥物が装入口からこぼれ出ることをある程度抑制できる。しかし、シール構造が回転胴部とともに回転する回転側部材とコンベア架台に固定された固定側部材が接触する構造となっているので、回転側部材と固定側部材の摩耗が生じる。摩耗が生じるとその部分は両者の接触状態が悪くなるので、その部分から被乾燥物が漏れる可能性がある。したがって、回転側部材と固定側部材の接触状態を良好に維持するためには、摩耗状況を監視しなければならない。そして、摩耗状況に応じて回転側部材や固定側部材を交換しなければならないので、シール構造のメンテナンス作業の負担が大きい。
【0011】
また、摩耗が生じていなくても、回転側部材と固定側部材の接触状態が悪ければ被乾燥物がこぼれてしまう場合があるため、回転側部材と固定側部材をある程度精度よく設置しなければならない。したがって、シール構造の設置作業や交換作業の負担が大きくなる。
【0012】
本発明は上記事情に鑑み、装置の設置作業やメンテナンス作業が容易になり、作業者の負担を軽減できるロータリードライヤのシール構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明のロータリードライヤのシール構造は、ロータリードライヤの回転胴部に設けられた装入口のシール構造であって、前記回転胴部の一端に設けられた前記装入口を有する鏡板と、該鏡板の装入口内に設置された、前記回転胴部とともに回転する筒状部材と、を備えており、該筒状部材は、その外端が前記回転胴部の鏡板から外方に突出し、その内端が前記回転胴部の鏡板より内方に位置するように設けられており、その外端から被乾燥物を供給するコンベアが挿入されており、前記回転胴部の鏡板は、内端が前記装入口の開口端を形成し、外端が前記回転胴部の一端縁に連結される複数枚の分割プレートを組み合わせて形成されており、前記筒状部材は、複数枚の分割プレートと同じ枚数の樋状部材を組み合わせて形成されていることを特徴とする。
第2発明のロータリードライヤのシール構造は、第1発明において、前記筒状部材は、その外周面が、前記回転胴部の鏡板における装入口の内端との間に隙間ができないように、該装入口の内端に連結されていることを特徴とする。
第3発明のロータリードライヤのシール構造は、第1または第2発明において、前記筒状部材は、その内面に、螺線状に形成された搬送プレートを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1発明によれば、被乾燥物を搬送するコンベアなどの一端を筒状部材内に配置すれば、筒状部材の内部を通して被乾燥物を回転胴部内に供給することができる。また、筒状部材の外端が回転胴部の鏡板の外方まで突出しているので、コンベアの一端を筒状部材内に配置しておけば、コンベアから落ちた被乾燥物を筒状部材内に留めておくことができる。さらに、筒状部材の内端が回転胴部の鏡板より内方に配置されているので、回転胴部の回転で移動する被乾燥物が装入口を通して外部に漏れることを抑制することができる。鏡板および筒状部材が、複数枚の分割プレートと複数枚の樋状部材で形成されているので、部品の組み立てや交換が容易になる。したがって、シール構造のメンテナンスなどの作業が容易になる。
第2発明によれば、回転胴部の鏡板の装入口と筒状部材の隙間から被乾燥物が漏れることを抑制することができる。
第3発明によれば、回転胴部が回転すれば、筒状部材内の内部に堆積している被乾燥物は搬送プレートによって回転胴部に向かって搬送されるので、筒状部材内の被乾燥物が外部に漏れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態のロータリードライヤのシール構造20の概略拡大説明図である。
図2】本実施形態のロータリードライヤのシール構造20を採用したロータリードライヤ1を装入口10a側から見た概略説明図である。
図3】本実施形態のロータリードライヤのシール構造20を採用したロータリードライヤ1の概略説明図である。
図4】ロータリードライヤ1の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のロータリードライヤのシール構造は、ロータリードライヤの装入口から被乾燥物が漏れることを防止するものであり、装置の設置作業やメンテナンス作業が容易になるようにしたことに特徴を有している。
【0017】
本発明のロータリードライヤのシール構造は、種々の被乾燥物を乾燥させるロータリードライヤにおいて、被乾燥物を装入する装入口のシール構造に採用することができる。
【0018】
(ロータリードライヤ1の基本構造)
まず、本実施形態のロータリードライヤのシール構造20(以下単に本実施形態のシール構造20という)を説明する前に、本実施形態のシール構造20が採用されるロータリードライヤ1について簡単に説明する。
【0019】
図3に示すように、ロータリードライヤ1は、中空な筒状の回転胴部10を備えている。この回転胴部10は、その中心軸周りに回転可能となるように設置されている。しかも、回転胴部10は、その中心軸が水平方向に対して若干傾斜した状態となるように設置されている。具体的には、回転胴部10は、その一端(図3では右端)から他端(図3では左端)に向かって若干下傾するように設けられている。この回転胴部10の胴部には、回転胴部10内の空間10hを囲むように加熱部が設けられている。この加熱部は、加熱蒸気が供給される配管等によって形成されており、加熱蒸気の熱を空間10h内に供給できるようになっている。つまり、空間10h内に被乾燥物が供給されると、被乾燥物を加熱して乾燥できるようになっている。
【0020】
この回転胴部10の軸方向の一端(図3では右端)には、鏡板11が設けられている。この鏡板11には、鏡板11を貫通する装入口10aが設けられている。この装入口10aは、回転胴部10の中心軸とほぼ同軸な円形に形成された孔である。この装入口10aには、後述するシール構造20の筒状部材21が取り付けられている。そして、装入口10a、言い換えれば、シール構造20の筒状部材21には、被乾燥物を搬送する搬送コンベア2の一端が挿入されている。つまり、搬送コンベア2によって搬送された被乾燥物は、筒状部材21を通して、装入口10aから回転胴部10の中空な空間10h内に供給されるようになっている。
【0021】
一方、回転胴部10の軸方向の他端(図3では左端)は、鏡板等は設けられておらず、開放されている。つまり、回転胴部10の他端が、乾燥物を排出する排出口10bとなっている。この回転胴部10の軸方向の他端は、密閉式のコンベアに連結されており、排出口10bから排出された乾燥物は密閉式のコンベアによって次工程に搬送される。
なお、回転胴部10の他端にも鏡板を設けて、その鏡板に貫通孔を設けて排出口10bとしてもよい。
また、排出口10bは、回転胴部10の他端縁に沿って堰を設けた構造としてもよい。この場合、堰を越えて乾燥物が排出されるので、乾燥物の滞留時間を長くできるので、乾燥状態を向上させることができる。
つまり、回転胴部10の空間10h内の乾燥物を外部に排出できるのであれば、排出口10bを設ける位置や排出口10bの構成はとくに限定されない。
【0022】
以上のような構成であるので、ヤード等の原料貯留庫等から被乾燥物をコンベア2によって搬送すれば、筒状部材21を通して、装入口10aから回転胴部10の中空な空間10h内に被乾燥物を供給できる。すると、加熱部からの熱によって、空間10h内の被乾燥物を乾燥させることができる。
【0023】
また、回転胴部10は、その一端(上流側端部)から他端(下流側端部)に向かって若干下傾(水平に対して2°程度)するように設けられているので、回転胴部10が回転すれば、被乾燥物は攪拌されながら上流側端部から下流側端部に向かって移動する。つまり、回転胴部10が回転すると、装入された被乾燥物は回転胴部10の内側壁との摩擦により側壁に沿って回転方向に上昇し、ある程度の高さまで上昇すると重力により落下する。回転胴部10は傾斜しているので、被乾燥物が落下する位置は元の位置よりも下流側になる。したがって、被乾燥物は、攪拌されながら上流側端部から下流側端部に向かって移動する。
【0024】
以上のように、ロータリードライヤ1は、コンベア2から供給された被乾燥物を、乾燥しながら上流側端部から下流側端部に向かって移動させて、乾燥した乾燥物を排出口10bから排出することができる。
【0025】
(シール構造20)
つぎに、シール構造20について、図1および図3に基づいて説明する。
【0026】
上述したように、鏡版11に形成されている装入口10a内には、シール構造20の筒状部材21が取り付けられている。この筒状部材21は、両端が開口した中空な筒状の部材であり、一端(外端)が鏡版11よりも外方に突出しており、他端(内端)は回転胴部10の内部に突出している。そして、この筒状部材21は、その中心軸が回転胴部10の中心軸と同軸になるように、その外周面が装入口10aの開口端に連結されている。つまり、筒状部材21は、回転胴部10が回転すると、その中心軸まわりに回転胴部10とともに回転するように設けられている。そして、筒状部材21には、その外端からコンベア2の一端が挿入されている。
【0027】
以上のように、コンベア2の一端が筒状部材21内に配置されており、しかも、筒状部材21の外端が回転胴部10の鏡板11の外方まで突出しているので、コンベア2から被乾燥物が落ちても、被乾燥物を筒状部材21内に留めておくことができる。つまり、コンベア2からこぼれた被乾燥物が外部に漏れることを防ぐことができる。
【0028】
しかも、筒状部材21の内端が回転胴部10の内部に突出するように配置されているので、回転胴部10の回転によって装入口10aの上方まで移動した被乾燥物が落下しても、被乾燥物が装入口10aから外部に漏れることを防ぐことができる。つまり、落下する被乾燥物は、せいぜい筒状部材21の上部に載ったり筒状部材21内に入ったりするだけであり、装入口10aを通って直接外部に漏れることはない。
【0029】
そして、筒状部材21は回転胴部10と同様に傾斜しているので、筒状部材21内部の被乾燥物は、回転することによって回転胴部10内の被乾燥物と同様に、内端側に向かって(図3では左方向に向かって)移動する。したがって、筒状部材21内に被乾燥物が入っても、この被乾燥物を回転胴部10内に戻すことができ、筒状部材21内の被乾燥物が外部に漏れることを防ぐことができる。
【0030】
とくに、筒状部材21に螺旋状に配設された搬送プレート22を設けておけば、筒状部材21内の被乾燥物を回転胴部10内に搬送する機能を高めることができるので、筒状部材21内の被乾燥物が外部に漏れることをより確実に防止することができる。
【0031】
具体的には、搬送プレート22は、筒状部材21の内面に立設されたプレートであり、筒状部材21の内面の周方向に沿って連続するように設けられている。そして、搬送プレート22は、回転胴部10の回転方向に沿って移動するにしたがって、軸方向おける位置が回転胴部10内に向かって移動するように形成されている。つまり、搬送プレート22は、回転胴部10(つまり筒状部材21)が回転すると、内部の被乾燥物を回転胴部10に向かって移動させるように設けられている。このため、回転胴部10とともに筒状部材21が回転すれば、上述したような被乾燥物の動き(上方に持ち上げられて落下する動き)に加えて、螺線状に形成された搬送プレート22による送り込み効果によって、筒状部材21内の被乾燥物を回転胴部10に向かって移動させることができる。
【0032】
(鏡板11および筒状部材21について)
鏡板11と筒状部材21は固定されていてもよいし、着脱可能に取り付けられていてもよい。つまり、鏡板11の装入口10aの開口端と筒状部材21の外面が溶接などによって完全に隙間なく連結されていてもよいし、ボルトナットなどによって鏡板11と筒状部材21とが着脱可能に連結されていてもよい。ボルトナットなどによって着脱可能とする方法はとくに限定されないが、例えば、図1に示すように、筒状部材21の外面に取り付け片21aを設けて、この取り付け片21aの貫通孔と鏡板11の貫通孔にボルトを挿通して固定する方法を挙げることができる。
【0033】
なお、鏡板11と筒状部材21は、装入口10aの開口端と筒状部材21の外面との間に隙間ができるように連結してもよい。例えば、鏡板11の装入口10aの開口端と筒状部材21の外面との間を棒状や板状の連結部材によって繋いでもよい。しかし、鏡板11と筒状部材21が隙間なく連結されていれば、回転胴部10の装入口10aと筒状部材11の隙間から被乾燥物が漏れることを抑制することができる。
【0034】
また、鏡板11や筒状部材21は、一つの部材で形成されていてもよいし、複数の部材を組み合わせて形成してもよい。一つの部材で形成する場合、例えば、鏡板11であれば、板状の部材に装入口10aとなる貫通孔を設けた板状の部材を使用することができる。また、筒状部材21であれば、円筒管を使用することができる。
【0035】
一方、複数の部材を組み合わせて鏡板11や筒状部材21を形成してもよい。この場合、鏡板11および筒状部材21を複数枚の部材で形成すれば、取り扱う各部品を小型軽量にできる。すると、鏡板11および筒状部材21の組み立てや交換が容易になるので、回転胴部10の内部点検などのメンテナンス作業が容易になる。
【0036】
鏡板11や筒状部材21を分割して形成する場合、各ピースの形状はとくに限定されない。例えば、図2に示すような構造とすることができる。
図2では、鏡板11は、ドーナッツ状の板状部材を円周方向に沿って複数に分割した略扇形の分割プレート11cを組み合わせて形成されている。この場合、各分割プレート11cの内端によって装入口10aの開口端が形成され、外端は回転胴部10の一端縁に連結されることになる。
また、図2では、筒状部材21は、円管をその周方向に沿って複数の部材に分割した樋状の樋状部材21cを組み合わせて形成されている。この場合、各樋状部材21cの外面が装入口10aの開口端に連結されることになる。
【0037】
さらに、鏡板11および筒状部材21を複数枚の部材で形成する場合には、その数や形状はとくに限定されない。しかし、鏡板11を上述したような分割プレート11cで形成し、筒状部材21を上述したような樋状部材21cで形成した場合には、樋状部材21cの分割数と、分割プレート11cの分割数が同じになるように形成し、各樋状部材21cが分割プレート11cと対応するように形成することが望ましい。
【0038】
具体的には、各樋状部材21cの外周の長さが、対応する分割プレート11cの内端縁(開口端を形成する端縁)の長さに形成することが望ましい(図2参照)。この場合には、特定の分割プレート11cと樋状部材21cの組み合わせたピースだけであれば、樋状部材21cと分割プレート11cを連結したままでも、そのピースだけを交換することも可能となるという利点が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のロータリードライヤのシール構造は、銅精鉱等のような粉体を乾燥させるロータリードライヤにおいて、粉体が外部に漏れることを防ぐ構造として好適である。
【符号の説明】
【0040】
1 ロータリードライヤ
2 コンベア
10 回転胴部
10a 装入口
10a 排出口
11 鏡板
12 装入口
20 シール構造
21 筒状部材
22 搬送プレート
図1
図2
図3
図4