特許第6758749号(P6758749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6758749トリアリールトリアジン化合物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6758749
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】トリアリールトリアジン化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 251/24 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   C07D251/24
【請求項の数】3
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2016-44509(P2016-44509)
(22)【出願日】2016年3月8日
(65)【公開番号】特開2017-160145(P2017-160145A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2019年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】相原 秀典
(72)【発明者】
【氏名】荘野 智宏
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−280330(JP,A)
【文献】 特開2006−278042(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/137958(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103539751(CN,A)
【文献】 特開2010−155826(JP,A)
【文献】 特開2016−019002(JP,A)
【文献】 特開2010−095452(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/085387(WO,A1)
【文献】 CHANG, Y. et al.,Hyperbranched Poly(ether sulfone) with 1,3,5-s-Triazine Moiety,Korea Polymer Journal,2000年,8(3),pp. 142-146
【文献】 KRASOVSKIY, A. et al.,A LiCl-Mediated Br/Mg Exchange Reaction for the Preparation of Functionalized Aryl- and Heteroarylmagnesium Compounds from Organic Bromides,Angewandte Chemie International Edition,2004年,43(25),pp. 3333-3336
【文献】 YOSHIDA, H. et al.,Insertion of Arynes into Carbon-Chlorine Bonds of Chlorotriazines,Chemistry Letters,2009年,38(12),pp. 1132-1133
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化シアヌルと、一般式(4)
【化1】
(式中、Rは、塩素原子、臭素原子、又塩素原子もしくは臭素原子で置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜5の整数を表す。nが2〜5の時、複数のRは同一又は相異なっていてもよい。Z及びQはハロゲン原子を表す。tは1〜5の整数を表す。)
で示される第1のグリニヤール試剤との反応で、一般式(1)
【化2】
(式中、Rは、塩素原子、臭素原子、又塩素原子もしくは臭素原子で置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜5の整数を表す。nが2〜5の時、複数のRは同一又は相異なっていてもよい。)
で示される4,6−ジクロロトリアジン化合物を得ることと、
該一般式(1)で示される4,6−ジクロロトリアジン化合物と、一般式(2)
【化3】
(式中、Arは、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、及び炭素数1〜8のハロアルキル基から成る群より選ばれる基で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基を表す。X及びYは、各々独立に、ハロゲン原子を表す。mは0〜5を表す。)
で示される第2のグリニヤール試剤とを反応させることと、を備え、
前記第1のグリニヤール試剤と、前記第2のグリニヤール試剤とが異なるものであることを特徴とする、一般式(3)
【化4】
(式中、Ar、R及びnは前記と同じ意味を表す。)
で示されるトリアリールトリアジン化合物の製造方法。
【請求項2】
mが0を表す、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
nが2である請求項1または2に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子に用いる電荷輸送材料の合成中間体として有用なトリアリールトリアジン化合物の簡便で安価な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1,3,5−トリアジン環の2及び4位と、6位にそれぞれ異なる2種類の芳香族基を有するトリアリールトリアジン化合物が、有機電界発光素子に用いる電荷輸送材料の合成中間体として有用であることが報告されている(例えば、特許文献1,2参照。)。しかし、一般に1,3,5−トリアジンの合成法として知られる、酸触媒による芳香族ニトリルの環化3量化反応(例えば、非特許文献1参照)では、トリアジン環に異なる2種類の芳香族基を有する該トリアリールトリアジン化合物を選択的に得ることはできない。
【0003】
特許文献3には、芳香族ニトリルと芳香族カルボン酸クロリドに対して、塩化アンチモンを作用させることで該トリアリールトリアジン化合物を選択性良く製造する方法が開示されているが、この方法では後処理の際に反応試剤である塩化アンチモンに由来する難溶性の無機塩が多量に生成するため、この無機塩の除去及び処理の費用が大きく、問題である。また、この方法では該トリアリールトリアジン化合物の反応収率も十分ではない。
【0004】
また、特許文献4及び非特許文献2には芳香族アルデヒドと芳香族アミジンから該トリアリールトリアジン化合物を製造する方法が開示されている。しかし、この方法では反応性に劣る芳香族アルデヒドを活性化するために一旦イミン中間体へ変換することが必要である点、及びトリアジン環の形成工程にて酸化剤を必要とする点が、経済的観点から好ましいとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−280330公報
【特許文献2】特表2010−155826号公報
【特許文献3】特開2010−95452号公報
【特許文献4】WO2005/085387号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chemistry Letters,1999年,7巻,545頁
【非特許文献2】European Journal of Organic Chemistry,2012年,3492頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、有機電界発光素子に用いる電荷輸送材料の合成中間体として有用なトリアリールトリアジン化合物の簡便で安価な工業的に優れる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、異なる2種類の芳香族基を有するトリアリールトリアジン化合物に特定のアリールグリニヤール試剤反応させることによって、トリアリールアジン系合成中間体を効率よく製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、
(i)一般式(1)
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、Rは、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のハロアルキル基、又はハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を表す。nは1〜5の整数を表す。nが2〜5の時、複数のRは同一又は相異なっていてもよい。)
で示される4,6−ジクロロトリアジン化合物と、一般式(2)
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、Arは、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、及び炭素数1〜8のハロアルキル基から成る群より選ばれる基で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基を表す。X及びYは、各々独立に、ハロゲン原子を表す。mは0〜5を表す。)
で示されるグリニヤール試剤とを反応させることを特徴とする、一般式(3)
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、Ar、R及びnは前記と同じ意味を表す。)
で示されるトリアリールトリアジン化合物の製造方法;
(ii)一般式(1)及び(3)中、Rがハロゲン原子、又はハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基である前記(i)に記載の製造方法;
(iii)一般式(1)及び(3)中、nが2又は3であり、Rがハロゲン原子である前記(i)に記載の製造方法;
(iv)一般式(1)及び(3)中、nが2であり、Rで表されるハロゲン原子が、塩素原子又は臭素原子である前記(i)に記載の製造方法;
(v)一般式(1)及び(3)中、Arが、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基である前記(i)〜(iv)のいずれかに記載の製造方法;
に関するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法を用いることで、有機電界発光素子に用いる電荷輸送材料の合成中間体として有用なトリアリールトリアジン化合物の簡便かつ安価に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明のトリアリールトリアジン化合物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」と称する)にて、製造中間体として有用な、前記一般式(1)で示される4,6−ジクロロトリアジン化合物におけるR及びnの定義について説明する。
【0019】
Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を例示することができ、安価かつ反応性が良い点で、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
【0020】
Rで表される炭素数1〜18のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状アルキル基のいずれでもよく、具体的には、メチル基、シクロヘキシルメチル基、エチル基、2−シクロペンチルエチル基、プロピル基、2−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、3−シクロプロピルプロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、2−ブチル基、3−メチルブタン−2−イル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、2−メチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、2−ペンチル基、2−メチルペンタン−2−イル基、4,4−ジメチルペンタン−2−イル基、3−ペンチル基、3−エチルペンタン−3−イル基、シクロペンチル基、2,5−ジメチルシクロペンチル基、3−エチルシクロペンチル基、ヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、2−ヘキシル基、2−メチルヘキサン−2−イル基、5,5−ジメチルヘキサン−2−イル基、3−ヘキシル基、2,4−ジメチルヘキサン−3−イル基、シクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、4−プロピルシクロヘキシル基、4,4−ジメチルシクロヘキシル基、ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、オクチル基、2−オクチル基、3−オクチル基、4−オクチル基、シクロオクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノニル基、5−ノニル基、デシル基、2−デシル基、5−デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、又はオクタデシル基等を例示することができる。
【0021】
Rで表される炭素数1〜8のハロアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状ハロアルキル基のいずれでもよく、具体的には、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1−ジフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチル基、ペルフルオロシクロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロプロピル基、ペルフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−(トリフルオロメチル)プロピル基、1−(トリフルオロメチル)プロピル基、1−メチル−3,3,3−トリフルオロプロピル基、ペルフルオロシクロブチル基、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロシクロブチル基、ペルフルオロペンチル基、2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基、1,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロ−1−(ペルフルオロエチル)プロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−(ペルフルオロエチル)プロピル基、ペルフルオロシクロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基、5,5,6,6,6−ペンプタフルオロヘキシル基、6,6,6−トリフルオロヘキシル基、ペルフルオロシクロヘキシル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、2−クロロエチル基、又は3−ブロモプロピル基等を例示することができ、原料の入手が容易である点でトリフルオロメチル基が好ましい。
【0022】
Rで表されるハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基としては、モノハロフェニル基、ジハロフェニル基、トリハロフェニル基、テトラハロフェニル基、又はペンタハロフェニル基が例示でき、具体的には2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,3,5−トリクロロフェニル基、3,4,5−トリクロロフェニル基、2,3,5,6−テトラクロロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2,3−ジブロモフェニル基、2,4−ジブロモフェニル基、2,5−ジブロモフェニル基、2,6−ジブロモフェニル基、3,4−ジブロモフェニル基、3,5−ジブロモフェニル基、2,3,5−トリブロモフェニル基、3,4,5−トリブロモフェニル基、2−ヨードフェニル基、3−ヨードフェニル基、4−ヨードフェニル基、3,4−ジヨードフェニル基、3,5−ジヨードフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3,5−トリフルオロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2,3,5,6−テトラフルオロフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、2−ブロモ−3−クロロフェニル基、3−ブロモ−2−クロロフェニル基、2−ブロモ−4−クロロフェニル基、4−ブロモ−2−クロロフェニル基、2−ブロモ−5−クロロフェニル基、5−ブロモ−2−クロロフェニル基、2−ブロモ−6−クロロフェニル基、3−ブロモ−4−クロロフェニル基、4−ブロモ−3−クロロフェニル基、3−ブロモ−5−クロロフェニル基、4−ブロモ−3,5−ジフルオロフェニル基、3−ブロモ−5−ヨードフェニル基、5−ヨード−3−クロロフェニル基、3−ブロモ−5−フルオロフェニル基、又は3−クロロ−5−フルオロフェニル基等を例示することができる。4,6−ジクロロトリアジン化合物の合成上の汎用性が高い点で、モノ、ジ又はトリハロフェニル基が好ましく、モノ又はジハロフェニル基がさらに好ましく、具体的には、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3−ブロモ−5−クロロフェニル基、又は3,5−ジブロモフェニル基が好ましい。
【0023】
nで表される1〜5の整数としては、4,6−ジクロロトリアジン化合物の合成上の汎用性が高い点で、1〜3が好ましく、2又は3がさらに好ましく、2が殊更好ましい。
【0024】
一般式(1)で示される4,6−ジクロロトリアジン化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、以下の1−1〜1−89に示す構造の化合物を具体的に例示することができる。
【0025】
【化4】
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】
【化15】
【0037】
【化16】
【0038】
【化17】
【0039】
【化18】
【0040】
次に、本発明の製造方法について説明する。
【0041】
本発明の製造方法は、次の工程1に示される。
【0042】
【化19】
【0043】
(式中、R及びnは前記と同じ意味を表す。Arは、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルキル基、及び炭素数1〜8のハロアルキル基から成る群より選ばれる基で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基を表す。X及びYは、各々独立に、ハロゲン原子を表す。mは0〜5を表す。nは1〜5の整数を表す。)
工程1は4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)とグリニヤール試剤(2)とを反応させ、トリアリールトリアジン化合物(3)を製造する工程である。
【0044】
工程1に用いるグリニヤール試剤(2)は、例えば、Angew.Chem.Int.Ed.,2004年,43号,3333頁に開示されている方法及び実施例−1〜6に開示した方法に従って調製することができる。また、市販品を用いてもよい。
【0045】
Arで表される炭素数6〜14のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、又はアントレニル基等を例示することができ、トリアリールトリアジン化合物(3)の電荷輸送材料としての性能が良い点で、フェニル基又はビフェニリル基が好ましい。
【0046】
Arで表される炭素数6〜14のアリール基はハロゲン原子で置換されていてもよく、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を例示することができ、安価かつ反応性が良い点で、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
【0047】
Arで表される炭素数6〜14のアリール基は炭素数1〜18のアルキル基で置換されていてもよく、炭素数1〜18のアルキル基としては、前記Rにて例示したアルキル基と同様のものを例示することができる。トリアリールトリアジン化合物(3)の溶解性が良い点で、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
【0048】
Arで表される炭素数6〜14のアリール基は炭素数1〜8のハロアルキル基で置換されていてもよく、炭素数1〜8のハロアルキル基としては、前記Rにて例示したハロアルキル基と同様のものを例示することができる。トリアリールトリアジン化合物(3)の疎水性が高い点で、トリフルオロメチル基が好ましい。
【0049】
X及びYで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を例示することができ、グリニヤール試剤(2)の反応性が良い点で、塩素原子が好ましい。
【0050】
mは0〜5を表し、グリニヤール試剤(2)の反応性が良い点で、0〜2の範囲にあることが好ましい。
【0051】
nで表される1〜5の整数としては、4,6−ジクロロトリアジン化合物の合成上の汎用性が高い点で、1〜3が好ましく、2又は3がさらに好ましく、2が殊更好ましい。
【0052】
工程1に用いるグリニヤール試剤(2)のモル当量に特に制限は無いが、4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)に対して1.5〜20モル等量が好ましく、トリアリールトリアジン化合物(3)の反応収率がよい点で2〜6モル当量がさらに好ましい。
【0053】
工程1は溶媒中で実施することができる。用いることのできる溶媒に特に制限はなく、反応を阻害しない溶媒であればよい。このような溶媒としては、具体的には、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、CPME、THF、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ニトロベンゼン、アニソール、又はテトラリン等の芳香族炭化水素等を例示することができ、これらを任意の比で混合して用いてもよい。溶媒の使用量に特に制限はない。これらのうち、トリアリールトリアジン化合物(3)の反応収率がよい点でTHF、トルエン又はこれらの混合溶媒を用いることが好ましい。
【0054】
工程1を実施する際の反応温度には特に制限はないが、0〜150℃から適宜選択された温度にて実施することができ、トリアリールトリアジン化合物(3)の反応収率が良い点で60〜120℃から適宜選択された温度にて実施することが好ましい。
【0055】
トリアリールトリアジン化合物(3)は、工程1の反応の終了後に通常の処理を行うことで得ることができる。必要に応じて、再結晶、カラムクロマトグラフィ−、昇華又は分取HPLC等で精製してもよい。
【0056】
本発明の製造方法により得られるトリアリールトリアジン化合物(3)としては、特に限定するものではないが、例えば、以下の3−1〜3−187に示す構造の化合物を具体的に例示することができる。
【0057】
【化20】
【0058】
【化21】
【0059】
【化22】
【0060】
【化23】
【0061】
【化24】
【0062】
【化25】
【0063】
【化26】
【0064】
【化27】
【0065】
【化28】
【0066】
【化29】
【0067】
【化30】
【0068】
【化31】
【0069】
【化32】
【0070】
【化33】
【0071】
【化34】
【0072】
【化35】
【0073】
【化36】
【0074】
【化37】
【0075】
【化38】
【0076】
【化39】
【0077】
【化40】
【0078】
【化41】
【0079】
【化42】
【0080】
【化43】
【0081】
【化44】
【0082】
【化45】
【0083】
【化46】
【0084】
【化47】
【0085】
【化48】
【0086】
【化49】
【0087】
【化50】
【0088】
【化51】
【0089】
【化52】
【0090】
【化53】
【0091】
【化54】
【0092】
【化55】
【0093】
【化56】
【0094】
【化57】
【0095】
【化58】
【0096】
【化59】
【0097】
【化60】
【0098】
【化61】
【0099】
【化62】
【0100】
【化63】
【0101】
【化64】
【0102】
【化65】
【0103】
【化66】
【0104】
【化67】
【0105】
本発明の製造方法(工程1)に用いる4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)は、次の反応式に示す、工程2〜4から成る4,6−ジクロロトリアジン化合物の製造方法により、製造することができる。
【0106】
【化68】
【0107】
(式中、R及びnは前記と同じ意味を表す。Z及びQはハロゲン原子を表す。tは0〜5を表す。)
工程2は、アリールグリニヤール試剤(4)と塩化シアヌルとを反応させ、4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)を製造する工程である。
【0108】
工程2に用いるアリールグリニヤール試剤(4)は、例えば、Angew.Chem.Int.Ed.,2004年,43号,3333頁に開示されている方法及び一般的なグリニヤール試薬の調整方法に従って調製することができる。また、市販品を用いてもよい。
【0109】
Qで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を例示することができ、アリールグリニヤール試剤(4)の反応性が良い点で、塩素原子が好ましい。
【0110】
Zで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を例示することができ、アリールグリニヤール試剤(4)の反応性が良い点で、臭素原子が好ましい。
【0111】
tは0〜5を表し、アリールグリニヤール試剤(4)の反応性が良い点で、0〜2の範囲にあることが好ましい。
【0112】
工程2に用いる塩化シアヌルのモル当量に特に制限は無いが、アリールグリニヤール試剤(4)に対して0.5〜10モル等量が好ましく、4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)の反応収率がよい点で2〜6モル当量がさらに好ましい。
【0113】
工程2は溶媒中で実施することができる。用いることのできる溶媒に特に制限はなく、反応を阻害しない溶媒であればよい。このような溶媒としては、具体的には、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、CPME、THF、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ニトロベンゼン、アニソール、又はテトラリン等の芳香族炭化水素等を例示することができ、これらを任意の比で混合して用いてもよい。溶媒の使用量に特に制限はない。これらのうち、4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)の反応収率がよい点でTHF、又はトルエン及びこれらの混合溶媒を用いることが好ましく、THFがさらに好ましい。
【0114】
工程2を実施する際の反応温度には特に制限はないが、−20〜100℃から適宜選択された温度にて実施することができ、4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)の反応収率が良い点で0〜60℃から適宜選択された温度にて実施することが好ましい。
【0115】
工程2の終了後、引き続き工程3又は4を行ってもよいが、通常の処理を行うことでも4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)を得ることができ、さらに必要に応じて、再結晶やカラムクロマトグラフィ−等で精製してもよい。
【0116】
工程3は、工程2の終了後、未反応の塩化シアヌルを水によって加水分解した後、4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)を得る工程であり、一般的な加水分解条件を適用することで収率よく本発明の中間体(1)を得ることができる。
【0117】
工程3で用いる水の量に特に制限は無く、工程2に引き続いて工程3を行う場合には、工程2で用いた溶媒の5〜300体積%が好ましく、加水分解の効率がよい点で50〜150体積%がさらに好ましい。
【0118】
工程3を実施する際の反応温度に特に制限はないが、0〜150℃から適宜選択された温度にて実施することができ、加水分解の効率が良い点で20〜80℃から適宜選択された温度にて実施することが好ましい。
【0119】
4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)は、工程3の終了後に通常の処理を行うことで得ることができる。必要に応じて、再結晶やカラムクロマトグラフィ−等で精製してもよい。
【0120】
工程4は、工程2の終了後、未反応の塩化シアヌルを減圧下に昇華した後、4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)を得る工程であり、一般的な昇華の条件を適用することで収率よく4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)を得ることができる。
【0121】
工程4は減圧下に実施する。この際の減圧度は1〜100Paから適宜選択された圧力で実施することができ、塩化シアヌルの昇華速度が速い点で、5〜20Paから適宜選択された圧力で実施することがさらに好ましい。
【0122】
工程4を実施する際の温度には特に制限はないが、0〜150℃から適宜選択された温度にて実施することができ、塩化シアヌルの昇華速度が速い点で20〜80℃から適宜選択された温度にて実施することが好ましい。
【0123】
4,6−ジクロロトリアジン化合物(1)は、工程4の終了後に通常の処理を行うことで得ることができる。必要に応じて、再結晶やカラムクロマトグラフィ−等で精製してもよい。
【実施例】
【0124】
以下、実施例及び参考例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0125】
本発明の製造方法により得られるトリアリールトリアジン化合物及び4,6−ジクロロトリアジン化合物の同定には、以下の分析方法を用いた。H−NMR及び19F−NMRの測定には、Bruker ASCEND 400(400MHzおよび376MHz)を用いた。H−NMRは、重クロロホルム(CDCl)を測定溶媒とし、内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて測定した。また、試薬類は市販品を用いた。
【0126】
実施例−1
【0127】
【化69】
【0128】
アルゴン雰囲気下、臭化フェニルマグネシウムのTHF溶液(1.02M,6.3mL,6.4mmol)を量りとり、減圧下でTHFを除去した後、トルエン(9.7mL)を加えた。この溶液に参考例1又は2にて合成した2−(3−ブロモ−5−クロロフェニル)−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン(660mg,2.0mmol)加えた後、反応混合物を80℃で1.5時間撹拌した。室温まで放冷後、反応混合物に塩化アンモニウム水溶液及びクロロホルムを加えた。有機層を分離し、水層をクロロホルムで二回抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。固体をろ別した後、低沸分を減圧除去し、得られた残渣を真空下で乾燥し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をメタノールで洗浄した後、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム)にて精製し、目的の2−(3−ブロモ−5−クロロフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン(70%,586mg,1.4mmol)を得た。
【0129】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.76(dd,J=1.7,1.5Hz,1H),8.74(dd,J=7.2,1.5Hz,4H),8.66(dd,J=1.9,1.4Hz,1H),7.74(dd,J=1.9,1.7Hz,1H)7.64(tt,J=7.2,1.5Hz,2H),7.59(t,J=7.2Hz,4H).
実施例−2
【0130】
【化70】
【0131】
アルゴン雰囲気下、臭化(4−ドデシルフェニル)マグネシウムのTHF溶液(0.23M,6.6mL,1.5mmol)を量りとり、減圧下でTHFを除去した後、トルエン(2.5mL)を加えた。この溶液に参考例−3にて合成した2−(2−クロロフェニル)−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン(130mg,0.5mmol)加えた後、反応混合物を80℃で3時間撹拌した。室温まで放冷後、塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止し、クロロホルムを加えた。有機層を分離し、水層をクロロホルムで二回抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。固体をろ別した後、低沸点留分を減圧除去し、得られた残渣を真空下で乾燥し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/クロロホルム)にて精製し、目的の2−(2−クロロフェニル)−4,6−ビス(4−ドデシルフェニル)−1,3,5−トリアジン(52%,174mg,0.26mmol)を得た。
【0132】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.63(d,J=8.3Hz,4H)8.15−8.11(m,1H),7.61−7.55(m,1H),7.49−7.42(m,2H),7.36(d,J=8.3Hz,4H),2.71(t,J=7.6Hz,4H),1.68(tt,J=7.6,7.6Hz,4H),1.42−1.19(m,36H),0.88(t,J=6.8Hz,6H).
実施例−3
【0133】
【化71】
【0134】
アルゴン雰囲気下、臭化(3−ビフェニリル)マグネシウムのTHF溶液(0.19M,7.9mL,1.5mmol)を量りとり、減圧下でTHFを除去した後、トルエン(2.5mL)を加えた。この溶液に参考例−4にて合成した2−(3−ブロモフェニル)−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン(153mg,0.5mmol)加えた後、反応混合物を80℃で1.5時間撹拌した。室温まで放冷後、反応混合物に塩化アンモニウム水溶液及びクロロホルムを加えた。有機層を分離し、水層をクロロホルムで二回抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。固体をろ別した後、低沸点留分を減圧除去し、得られた残渣を真空下で乾燥し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/クロロホルム)にて精製し、目的の4,6−ビス(3−ビフェニリル)−2−(3−ブロモフェニル)−1,3,5−トリアジン(58%,157mg,0.29mmol)を得た。
【0135】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.99(t,J=1.7Hz,2H),8.91(t,J=1.7Hz,1H),8.76(td,J=1.7,7.7Hz,2H),8.76−8.72(m,1H),7.86(td,J=1.7,7.7Hz,2H),7.76(d,J=7.7Hz,4H),7.79−7.73(m,1H)7.68(t,J=7.7Hz,2H),7.54(t,J=7.7Hz,4H),7.48(t,J=7.9Hz,1H),7.43(t,J=7.7Hz,2H).
実施例−4
【0136】
【化72】
【0137】
臭化(3−ビフェニリル)マグネシウムのTHF溶液を臭化(3−フルオロフェニル)マグネシウムのTHF溶液(0.27M,5.5mL,1.5mmol)に変更した以外は実施例−3と同様の操作を行い、目的の2−(3−ブロモフェニル)−4,6−ビス(3−フルオロフェニル)−1,3,5−トリアジン(46%,96mg,0.23mmol)を得た。
【0138】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.86(dd,J=2.0,1.5Hz,1H),8.68(ddd,J=7.9,1.5,1.1Hz,1H),8.55(ddd,J=7.8,1.5、0.9Hz,2H),8.42(ddd,J=9.9,2.6,1.5Hz,2H),7.76(ddd,J=7.9,2.0,1.1Hz,1H),7.56(ddd,J=8.2,7.8,5.7Hz,2H),7.46(dd,J=7.9,7.9Hz,1H),7.33(dddd,J=8.2,8.2,2.6,0.9Hz,2H).
19F−NMR(379MHz,CDCl):δ−112.4(s,2F).
実施例−5
【0139】
【化73】
【0140】
アルゴン雰囲気下、臭化(3−フルオロフェニル)マグネシウムのTHF溶液(0.27M,5.5mL,1.5mmol)を量りとり、減圧下でTHFを除去した後、トルエン(2.5mL)を加えた。このトルエン溶液に実施例−5にて合成した2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン(147mg,0.5mmol)を加えた後、反応混合物を80℃で22時間撹拌した。室温まで放冷後、塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止し、クロロホルムを加えた。有機層を分離し、水層をクロロホルムで二回抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。固体をろ別した後、低沸点留分を減圧除去し、得られた残渣を真空下で乾燥し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/クロロホルム)にて精製し、目的の4,6−ビス(3−フルオロフェニル)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,5−トリアジン(30%,61mg,0.15mmol)得た。
【0141】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.82(d,J=8.2Hz,2H),8.52(ddd,J=7.8,1.5,0.9Hz,2H),8.40(ddd,J=9.9,2.6,1.5Hz,2H),7.82(d,J=8.2Hz,2H),7.55(ddd,J=8.2,7.8,5.7Hz,2H),7.33(dddd,J=8.2,8.2,2.6,0.9Hz,2H).
19F−NMR(379MHz,CDCl):δ−62.9(s,3F),−112.3(s,2F).
参考例−1
【0142】
【化74】
【0143】
アルゴン雰囲気下、1,3−ジブロモ−5−クロロベンゼン(2.70g,10.0mmol)をTHF(38mL)に溶解した。この混合物を−15℃に冷却し、塩化イソプロピルマグネシウム・塩化リチウム錯体のTHF溶液(0.86M,12.3mL,10.5mmol)を加えた後、3時間かけ0℃まで昇温した。反応混合物に同温度で塩化シアヌル(5.53g,30.0mmol)を加えた後、室温まで昇温し、24時間撹拌した。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応を停止した後、酢酸エチルを加えた。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで二回抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。固体をろ別した後、低沸点留分を減圧除去し、得られた残渣を真空下で乾燥し、粗生成物を得た(6.74g)。得られた粗生成物(6.6g)を減圧下(8Pa)、4時間40℃に加熱した後、さらに50℃に昇温し、12時間加熱した。室温まで放冷した後、シリカゲルクロマトグラフィーにて(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル)精製し、目的の2−(3−ブロモ−5−クロロフェニル)−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン(82%,2.80g,8.2mmol)を得た。
【0144】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.54(t,J=1.7Hz,1H),8.44(t,J=1.7Hz,1H),7.80(t,J=1.7Hz,1H).
参考例−2
アルゴン雰囲気下、1,3−ジブロモ−5−クロロベンゼン(811mg,3.0mmol)をTHF(6mL)に溶解した。この混合物を−15℃に冷却し、塩化イソプロピルマグネシウム・塩化リチウム錯体のTHF溶液(1.28M,2.5mL,3.2mmol)を加えた後、3時間かけ0℃まで昇温した。反応混合物に同温度で塩化シアヌル(1.66g,9.0mmol)を加えた後、室温まで昇温し、5時間撹拌した。反応混合物に蒸留水(2mL)を加え、50℃で1時間撹拌した後、室温まで放冷し、クロロホルムを加えた。生じた不溶物をろ別し、クロロホルムおよび水で洗浄した。有機層を分離し、水層をクロロホルムで二回抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。固体をろ別した後、低沸点留分を減圧除去し、得られた残渣を真空下で乾燥し粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにて(溶離液:クロロホルム)精製し、目的の2−(3−ブロモ−5−クロロフェニル)−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン(67%,667mg,2.0mmol)を得た。
【0145】
参考例−3
【0146】
【化75】
【0147】
アルゴン雰囲気下、1−ブロモ−2−クロロベンゼン(960mg,5.0mmol)をTHF(17mL)に溶解した。この混合物を−15℃に冷却し、塩化イソプロピルマグネシウム・塩化リチウム錯体のTHF溶液(1.28M,4.1mL,5.3mmol)を加えた後、3時間かけ0℃まで昇温した。反応混合物に同温度で塩化シアヌル(2.77g,15.0mmol)を加えた後、室温まで昇温し、5時間撹拌した。反応混合物に蒸留水(3mL)を加え、50℃で1時間撹拌した後、室温まで放冷し、クロロホルムを加えた。生じた不溶物をろ別し、クロロホルムおよび水で洗浄した。有機層を分離し、水層をクロロホルムで二回抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。固体をろ別した後、低沸点留分を減圧除去し、得られた残渣を真空下で乾燥し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/クロロホルム)にて精製し、目的の4,6−ジクロロ−2−(2−クロロフェニル)−1,3,5−トリアジン(68%,878mg,3.4mmol)を得た。
【0148】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.00(dd,J=7.7,1.7Hz,1H),7.56(dd,J=8.0,1.3Hz,1H),7.51(ddd,J=8.0,7.2,1.7Hz,1H),7.43(ddd,J=7.7,7.2,1.3Hz,1H).
参考例−4
【0149】
【化76】
【0150】
アルゴン雰囲気下、1,3−ジブロモベンゼン(610μL,5.0mmol)をTHF(17mL)に溶解した。この溶液を−15℃に冷却し、塩化イソプロピルマグネシウム・塩化リチウム錯体のTHF溶液(1.16M,4.5mL,5.3mmol)を加えた後、4時間かけ室温まで昇温し、同温でさらに7時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、塩化シアヌル(2.77g,15.0mmol)を加えた後、室温まで昇温し、5時間撹拌した。反応混合物に蒸留水(3mL)を加え、50℃で1時間撹拌した後、室温まで放冷し、クロロホルムを加えた。生じた不溶物をろ別し、クロロホルムおよび水で洗浄した。有機層を分離し、水層をクロロホルムで二回抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。固体をろ別した後、低沸点留分を減圧除去し、得られた残渣を真空下で乾燥し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/クロロホルム)にて精製し、目的の2−(3−ブロモフェニル)−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン(70%,1.06g,3.5mmol)を得た。
【0151】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.65(dd,J=2.0,1.6Hz,1H),8.45(ddd,J=7.9,1.6,1.1Hz,1H),7.78(ddd,J=8.0,2.0,1.1Hz,1H),7.42(dd,J=8.0,7.9Hz,1H).
参考例−5
【0152】
【化77】
【0153】
アルゴン雰囲気下、4−ブロモベンゾトリフルオリド(700μL,5.0mmol)をTHF(17mL)に溶解した。この溶液に室温で塩化イソプロピルマグネシウム・塩化リチウム錯体のTHF溶液(1.16M,4.5mL,5.3mmol)加えた後、9時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、塩化シアヌル(2.77g,15.0mmol)を加えた後、室温まで昇温し、5時間撹拌した。反応混合物に蒸留水(3mL)を加え、50℃で1時間撹拌した後、室温まで放冷し、クロロホルムを加えた。生じた不溶物をろ別し、クロロホルムおよび水で洗浄した。有機層を分離し、水層をクロロホルムで二回抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。固体をろ別した後、低沸点留分を減圧除去し、得られた残渣を真空下で乾燥し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/クロロホルム)にて精製し、目的の4,6−ジクロロ−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−1,3,5−トリアジン(46%,665mg,2.3mmol)を得た。
【0154】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.64(d,J=8.2Hz,2H),7.80(d,J=8.2Hz,2H).
19F−NMR(379MHz,CDCl):δ−63.3(s,3F).
参考例−6
【0155】
【化78】
【0156】
アルゴン雰囲気下、3−ブロモフルオロベンゼン(560μL,5.0mmol)をTHF(17mL)に溶解した。この溶液に室温で塩化イソプロピルマグネシウム・塩化リチウム錯体のTHF溶液(1.28M,4.1mL,5.3mmol)をゆっくり加えた後、3時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、塩化シアヌル(2.77g,15.0mmol)を加えた後、室温まで昇温し、5時間撹拌した。反応混合物に蒸留水(3mL)を加え、50℃で1時間撹拌した後、室温まで放冷し、クロロホルムを加えた。生じた不溶物をろ別し、クロロホルムおよび水で洗浄した。有機層を分離し、水層をクロロホルムで二回抽出した。有機層を合わせ、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。固体をろ別した後、低沸点留分を減圧除去し、得られた残渣を真空下で乾燥し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/クロロホルム)にて精製し、目的の4,6−ジクロロ−2−(3−フルオロフェニル)−1,3,5−トリアジン(56%,685mg,2.8mmol)を得た。
【0157】
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.32(ddd,J=7.9,1.5,1.2Hz,1H),8.20(ddd,J=9.6,2.6,1.5Hz,1H),7.55(ddd,J=8.2,7.9,5.6Hz,1H),7.36(dddd,J=8.2,8.2,2.6,1.2Hz,1H).
19F−NMR(379MHz,CDCl):δ−111.3(s,1F).