(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6759275
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】ボンドパッド間のゲートフィンガを含むワイドバンドギャップ半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20200910BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20200910BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20200910BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20200910BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20200910BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20200910BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20200910BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20200910BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20200910BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20200910BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20200910BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20200910BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L29/78 652S
H01L29/78 657G
H01L29/78 652J
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/78 655G
H01L27/04 E
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/04 P
H01L27/088 C
H01L21/60 301B
H01L21/88 T
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-92205(P2018-92205)
(22)【出願日】2018年5月11日
(65)【公開番号】特開2018-198316(P2018-198316A)
(43)【公開日】2018年12月13日
【審査請求日】2018年5月14日
(31)【優先権主張番号】10 2017 110 536.0
(32)【優先日】2017年5月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501209070
【氏名又は名称】インフィネオン テクノロジーズ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ペーテルス, デトハルト
【審査官】
恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−234850(JP,A)
【文献】
特表2013−500604(JP,A)
【文献】
特開2000−101076(JP,A)
【文献】
特開2009−141007(JP,A)
【文献】
特開2003−101039(JP,A)
【文献】
特表2014−531752(JP,A)
【文献】
特開2003−017697(JP,A)
【文献】
特開2012−146998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/3205
H01L 21/60
H01L 21/768
H01L 21/822
H01L 21/8234
H01L 23/522
H01L 27/04
H01L 27/06
H01L 27/088
H01L 29/06
H01L 29/12
H01L 29/739
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、前記半導体デバイスは、
ワイドバンドギャップ半導体材料の半導体本体と、
前記半導体デバイスの第1の負荷端子に接続された複数の第1のボンド区域と、
前記第1のボンド区域の間に配置された第1のゲートフィンガであって、前記第1のゲートフィンガは第1の横方向に延び、第1のゲート線部分および第2のゲート線部分のうちの少なくとも一方から分岐する、第1のゲートフィンガと、
前記第1の横方向に延びる第2のゲートフィンガと、
を備え、
前記第1の横方向に沿った前記第1のゲートフィンガの第1の長さが、前記第1の横方向に沿った前記第2のゲートフィンガの第2の長さよりも大きく、前記第1の長さと前記第2の長さとの合計が、前記第1の横方向に沿った前記第1のゲート線部分と前記第2のゲート線部分との間の横方向距離以上であり、
前記第1の長さが前記第1のゲートフィンガの間の第1の横方向距離よりも大きく、前記第2の長さが前記第2のゲートフィンガの間の第2の横方向距離よりも小さい、半導体デバイス。
【請求項2】
前記第2の長さが前記第2のゲートフィンガの間の第2の横方向距離の60%よりも小さい、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
半導体デバイスであって、前記半導体デバイスは、
ワイドバンドギャップ半導体材料の半導体本体と、
前記半導体デバイスの第1の負荷端子に接続された複数の第1のボンド区域と、
前記第1のボンド区域の間に配置された第1のゲートフィンガであって、前記第1のゲートフィンガは第1の横方向に延び、第1のゲート線部分および第2のゲート線部分のうちの少なくとも一方から分岐する、第1のゲートフィンガと、
前記第1の横方向に延びる第2のゲートフィンガと、
を備え、
前記第1の横方向に沿った前記第1のゲートフィンガの第1の長さが、前記第1の横方向に沿った前記第2のゲートフィンガの第2の長さよりも大きく、前記第1の長さと前記第2の長さとの合計が、前記第1の横方向に沿った前記第1のゲート線部分と前記第2のゲート線部分との間の横方向距離以上であり、
前記第2の長さが前記第2のゲートフィンガの間の第2の横方向距離の60%よりも小さい、半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1のゲートフィンガの間の第1の横方向距離が前記第2のゲートフィンガの間の第2の横方向距離に対応する、請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記第1の長さが0.2mm〜10mmであり、前記第1のゲートフィンガの間の第1の横方向距離が0.1mm〜1.5mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記第1のボンド区域が、連続したメタライゼーション区域のボンド区域区分を含み、前記ボンド区域区分は、前記連続したメタライゼーション区域の第1の相互接続区分によって合併されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記第1および第2のゲートフィンガ、前記第1および第2のゲート線部分、ならびに前記ボンド区域区分の各々が、単一かつ同一のパターニングされたメタライゼーション構造の対応する部分を含む、請求項6に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記ワイドバンドギャップ半導体材料がSiCである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
第1のボンドワイヤをさらに備え、前記第1のボンドワイヤの各々の一方の端部は、前記第1のボンド区域のうちの対応するものに取り付けられており、前記第1のボンドワイヤは、前記第1の横方向と最大+/−20°のずれをもって角度付けられた第3の横方向に沿って延びる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
第2の横方向に沿って延びるゲート構造をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記ゲート構造のゲート電極が前記ゲート構造と前記第1または第2のゲートフィンガとの交差部において前記第1および第2のゲートフィンガに電気接続されている、請求項10記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記第1のゲート線部分および前記第2のゲート線部分が、前記ゲート構造を含むトランジスタセル区域を少なくとも部分的に包囲する連続したゲート線の部分であり、前記連続したゲート線は第2のボンド区域に電気結合されている、請求項10または11に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記連続したゲート線と前記第2のボンド区域との間に電気結合されたゲート抵抗をさらに備える、請求項12に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記ゲート抵抗の抵抗が2Ω〜30Ωに及ぶ、請求項13に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記トランジスタセル区域を少なくとも部分的に包囲するソース線をさらに備え、前記ゲート線が前記トランジスタセル区域と前記ソース線との間に配置されている、請求項12〜14のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項16】
前記ソース線および前記第1のボンド区域が、前記ゲート線の反対の端部の間の間隙を通って延びる相互接続部によって電気接続されている、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項17】
前記半導体本体内の縁部終端構造をさらに備え、前記縁部終端構造は前記トランジスタセル区域を少なくとも部分的に包囲し、前記ソース線に電気接続されている、請求項15または16に記載の半導体デバイス。
【請求項18】
前記縁部終端構造が接合終端拡張(JTE)構造である、請求項17に記載の半導体デバイス。
【請求項19】
前記JTE構造が、互いに横方向に離間された第1の導電型の複数の半導体領域を含み、前記複数の半導体領域は、前記第1の導電型の半導体ウェル領域内に配置され、それによって包囲されており、前記複数の半導体領域の最大ドーピング濃度は前記半導体ウェル領域の最大ドーピング濃度よりも大きく、前記半導体ウェル領域は第2の導電型のドリフトゾーンに隣接する、請求項18に記載の半導体デバイス。
【請求項20】
前記ゲート構造のゲート電極材料が、ドープされた多結晶シリコンおよび金属ケイ化物のうちの一方またはこれらの組み合わせである、請求項10〜19のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項21】
前記半導体デバイスが、前記第1のボンド区域の各々について1A〜60Aの範囲内の電流を導通するように構成されたパワー半導体電界効果トランジスタである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項22】
前記半導体デバイスが、前記半導体本体の第1の面における第1の負荷端子および制御端子、ならびに前記半導体本体の第2の面における第2の負荷端子を備える垂直半導体トランジスタである、請求項1〜21のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の半導体デバイスを備える半導体モジュール。
【請求項24】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の前記半導体デバイスを複数個並列接続させた構成を含む半導体モジュール。
【請求項25】
前記半導体モジュールが、50A〜2000Aの範囲内の電流を導通するように構成されたパワー半導体モジュールである、請求項23または24に記載の半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ワイドバンドギャップ半導体デバイスは、少なくとも2eVまたは少なくとも3eVのバンドギャップを有する半導体材料をベースとし、従来のシリコンベースの半導体デバイスと比べて、より低いオン状態抵抗およびより高い電流密度を可能にする。例えば、電界効果トランジスタ(field effect transistor、FET)または絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor、IGBT)などのワイドバンドギャップ半導体デバイスにおいて高電流密度を高周波数でスイッチングする際には、非一様な電流分布によって生じ得、半導体デバイスの信頼性を劣化させ得る過剰な応力を回避するために、トランジスタセルアレイの活性区域にわたる一様な電流分布が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
ワイドバンドギャップ半導体デバイスの活性区域にわたる負荷電流分布の均一性を増大させることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、ワイドバンドギャップ半導体材料の半導体本体を備える半導体デバイスに関する。複数の第1のボンド区域が半導体デバイスの第1の負荷端子に電気接続されている。第1のゲートフィンガが第1のボンド区域の間に配置されている。第1のゲートフィンガは第1の横方向に延び、第1のゲート線部分および第2のゲート線部分のうちの少なくとも一方から分岐する。第2のゲートフィンガが第1の横方向に延びる。第1の横方向に沿った第1のゲートフィンガのうちの任意のものの第1の長さは、第1の横方向に沿った第2のゲートフィンガのうちの任意のものの第2の長さよりも大きい。第1の長さと第2の長さとの合計は、第1の横方向に沿った第1のゲート線部分と第2のゲート線部分との間の横方向距離以上である。
【0004】
当業者は、以下の詳細な説明を読み、添付の図面を見れば、追加の特徴および利点を認識するであろう。
【0005】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は実施形態を例示し、明細書と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。本発明の他の実施形態および意図される利点は、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より深く理解されるようになるため、容易に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】
図1Aは、ボンドパッドの間のゲートフィンガを含むワイドバンドギャップ半導体デバイスを示すための概略平面図である。
【
図1B】
図1Bは、ボンドパッドの間のゲートフィンガを含むワイドバンドギャップ半導体デバイスを示すための概略平面図である。
【
図2】
図2は、ボンドパッドの間のゲートフィンガを含むワイドバンドギャップ半導体デバイスを示すための概略平面図である。
【
図3】
図3は、ストライプ状トレンチゲート構造を示す
図2の線A−Aに沿った概略断面図の一例である。
【
図4】
図4は、ゲート線とゲートボンド区域との間の電気接続を示す
図2の線B−Bに沿った概略断面図の一例である。
【
図5】
図5は、ソース線に電気接続された縁部終端構造を示す
図2の線C−Cに沿った概略断面図の一例である。
【
図6】
図6は、ボンドワイヤリングパターンを示すための概略平面図の一例である。
【
図7】
図7は、ワイドバンドギャップ半導体デバイスを含む半導体モジュールを示すための概略平面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の発明を実施するための形態では、本明細書の一部をなし、本開示が実施され得る特定の実施形態が例として示される添付の図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用されてもよく、構造的変更または論理的変更が行われてもよいことを理解されたい。例えば、一実施形態のために図示または説明されている特徴は、なおさらなる実施形態を生み出すために、他の実施形態上で用いるか、またはそれらと併せて用いることができる。本開示はこのような変更および変形を含むことが意図されている。例は特定の文言を用いて説明されるが、その文言は添付の請求項の範囲を限定するものと解釈すべきでない。図面は原寸に比例しておらず、単に図解を目的とするものにすぎない。明確にするために、同じ要素は、別途説明のない限り、異なる図面において、対応する参照記号によって指定されている。
【0008】
用語「〜を有する(having)」、「〜を包含する(containing)」、「〜を含む(including)」、「〜を備える(comprising)」および同様のものはオープンなものであり、用語は、述べられている構造、要素または特徴の存在を指示するが、追加の要素または特徴の存在を除外しない。冠詞「a」、「an」および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数形も単数形も含むことが意図される。
【0009】
用語「電気接続される(electrically connected)」は、電気接続された要素の間の永久的な低オーミック接続、例えば、当該要素の間の直接的接触、または金属および/または高濃度にドープされた半導体を介した低オーミック接続を記述する。用語「電気結合される(electrically coupled)」は、信号伝送のために適合された1つ以上の介在要素、例えば、第1の状態における低オーミック接続、および第2の状態における高オーミック電気減結合を一時的に提供する要素が、電気結合された要素の間に存在してもよいことを含む。
【0010】
用語「水平(horizontal)」は、本明細書において使用される時、半導体基板または本体の第1の表面または主表面と実質的に平行な向きを記述することを意図する。これは、例えば、ウェハまたはダイの表面であることができる。
【0011】
用語「鉛直(vertical)」は、本明細書において使用される時、第1の表面と垂直に、すなわち、半導体基板または本体の第1の表面の法線方向と平行に実質的に配置される向きを記述することを意図する。
【0012】
本明細書では、半導体基板または半導体本体の第2の表面は、下面または裏側面によって形成されると見なされ、それに対して、第1の表面は、半導体基板の上面、前面または主表面によって形成されると見なされる。したがって、用語「〜の上方(above)」および「〜の下方(below)」は、本明細書において使用される時、他方に対する構造特徴の相対ロケーションを記述する。
【0013】
本明細書では、p型にドープされたものは第1の導電型と呼ばれ、その一方で、n型にドープされたものは第2の導電型と呼ばれる。代替的に、半導体デバイスは、第1の導電型がn型にドープされたものとなることができ、第2の導電型がp型にドープされたものとなることができるよう、反対のドーピング関係を有するように形成され得る。
【0014】
図1Aおよび
図1Bは、ボンドパッドの間のゲートフィンガを含むワイドバンドギャップ半導体デバイス1000を示すための概略平面図である。
【0015】
半導体デバイス1000はワイドバンドギャップ半導体材料の半導体本体を備える。複数の第1のボンド区域102が、半導体デバイスの第1の負荷端子、例えば、FETのソース端子またはIGBTのエミッタ端子に電気接続されている。いくつかの実施形態では、第1のボンド区域102は第1の負荷端子のコンタクトメタライゼーションの一部を構成し、例えば、不活性化層内の開口部によって各々画定されていてもよい。第1のゲートフィンガ104が第1のボンド区域102の間に配置されている。第1のゲートフィンガ104は第1の横方向x1に延び、第1のゲート線部分106および第2のゲート線部分108のうちの少なくとも一方から分岐する。第2のゲートフィンガ110が第1の横方向x1に延びる。第1の横方向x1に沿った第1のゲートフィンガ104のうちの任意のものの第1の長さl1は、第1の横方向x1に沿った第2のゲートフィンガ110のうちの任意のものの第2の長さl2よりも大きい。第1の長さl1と第2の長さl2との合計は、第1の横方向x1に沿った第1のゲート線部分106と第2のゲート線部分108との間の横方向距離d以上である。第1および第2のゲート線部分はゲート線またはいわゆるゲートランナの一部であってもよく、ゲート線またはゲートランナは、例えば、ゲートボンド区域に電気結合されていてもよい。
【0016】
図1Aおよび
図1Bに示されるように、第1のゲートフィンガ104の各々は第1のボンド区域102の長手方向と平行に延びていてもよい。長手方向は、任意の横方向に沿った第1のボンド区域102の最大延長の方向である。
図1Aおよび
図1Bに示される実施形態では、長手方向は第1の横方向x1と一致している。実施形態によっては、長手方向に沿った第1のボンド区域102の長さは0.2mm〜10mmに及び得る。1つ以上の実施形態では、第1のゲートフィンガ104は、第1のゲート線部分106から、または第2のゲート線部分108から、第1のボンド区域102の長手方向に沿って、第1のボンド区域102のうちの隣り合う2つの間の間隙を通り、第1のボンド区域102の横方向端部Eまで、またはその向こう側まで延び得る。
【0017】
図1Aおよび
図1Bに示される実施形態では、第1のゲートフィンガ104および第1のボンド区域102が第2の横方向x2に沿って交互に配置されている。第2の横方向x2は第1の横方向x1と垂直であってもよい。
図1Aに示される実施形態では、第1のゲートフィンガ104は第1のゲート線部分106から分岐する。
図1Bに示される実施形態では、第1のゲートフィンガ104は、第1のゲート線部分106から、および第2のゲート線部分108から分岐する。
【0018】
実施形態によっては、第1のゲートフィンガ104のうちの隣り合う2つの間の横方向距離、例えば、
図1Aに示されるとおりの横方向距離d1は、第1のゲートフィンガ104の間で一定であってもよい。
【0019】
第1のゲートフィンガ104と同様に、また、第2のゲートフィンガ110も第1のゲート線部分106および/または第2のゲート線部分108から分岐し得る。いくつかの実施形態では、第2のゲートフィンガ110のうちの隣り合う2つの間の横方向距離、例えば、
図1Aに示されるとおりの横方向距離d2は、第2のゲートフィンガ110のうちの複数または全ての間で等しくてもよい。1つ以上の実施形態では、第1の距離d1は第2の距離d2に対応してもよい。これは、第1のボンド区域102からワイドバンドギャップ半導体デバイス1000のゲート電極へ伝搬するゲート信号の同様または等しいゲート信号通過時間という点で有利になり得る。ゲートパッドとゲート電極との間のゲートフィンガおよびゲート線の抵抗によって生じる信号遅延は、ゲートフィンガと、ゲートフィンガまでの最大距離を有するゲート電極における位置との間のゲート電極の抵抗と比べて、通例無視できるため、d1をd2と等しく、またはそれと同様に設定することは、ゲート電極が第2の方向x2に沿って延びる場合には、ゲート電極が第1のゲートフィンガ104によって駆動されるか、または第2のゲートフィンガ110によって駆動されるかにかかわらず、ゲートフィンガと、ゲート電極に沿った任意の位置との間の最大距離をd1の半分に設定することを可能にする。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1および第2のゲートフィンガ104、110に加えて、例えば、規則的なゲートフィンガコンタクトアレイの一部となることができない隅部領域またはその周りに位置するトランジスタセル区域の部分内のゲート電極を電気接続するために、さらなるゲートフィンガが第1または第2のゲート線部分106、108から分岐してもよい。
【0021】
1つ以上の実施形態では、第1のボンド区域102は、連続したメタライゼーション区域の第1のボンド区域区分112を含み、第1のボンド区域区分112は、連続したメタライゼーション区域の第1の相互接続区分114によって合併されている。連続したメタライゼーション区域は、例えば、1つ以上のメタライゼーションレベル内に形成され得る1つ以上のメタライゼーション層の、リソグラフィによるパターニングによって形成され得る。いくつかの実施形態では、第1のゲートフィンガ104の各々は第2の横方向x2に沿って第2のゲートフィンガ110の各々に対してオフセットしており、これにより、第1のボンド区域区分112と第1の相互接続区分114との間の方向コンタクトを提供する。
【0022】
図1Aに示される実施形態では、長さl1は第1のゲートフィンガ104の間で一定である。同様に、長さl2は、
図1Aに示される第2のゲートフィンガ110の間で一定である。1つ以上の他の実施形態では、第1のゲートフィンガ104の一部または全ての長さは互いに異なってもよく、第1のゲートフィンガ104の一部または全ての長さはまた、第1のゲートフィンガ104のうちの任意のものの第1の長さl1が第2のゲートフィンガ110のうちの任意のものの第2の長さl2よりも大きいという条件で、互いに異なってもよい。
【0023】
1つ以上の実施形態では、第1の長さl1は0.2mm〜10mmであり、第1のゲートフィンガの間の第1の横方向距離d1は0.1mm〜1.5mmである。
【0024】
1つ以上の実施形態では、第1の長さl1は、第1のゲートフィンガ104のうちの隣り合う2つの間の第1の横方向距離d1よりも大きく、第2の長さl2は第2のゲートフィンガ110の間の第2の横方向距離d2よりも小さい。いくつかの実施形態、例えば、
図1Aに示される実施形態では、第2の長さl2は第2のゲートフィンガ110の間の第2の横方向距離d2の60%よりも小さい。これは、第1の相互接続区分114が、第1のボンド区域区分112から、ワイドバンドギャップ半導体デバイス1000の第1の負荷領域、例えば、第1の相互接続区分114の下方に位置し、コンタクトプラグによって第1の相互接続区分114に電気接続され得るソース領域までの低オーミック電気接続を提供することを可能にし得る。
【0025】
1つ以上の実施形態では、半導体デバイス1000は、並行ストライプの形状で延び得るゲート構造を含む。ゲート構造は、第1の横方向x1と垂直な第2の横方向x2に沿って延びてもよい。ゲート構造はまた、第2の横方向x2と異なる別の横方向に沿って延びてもよい。1つ以上の実施形態では、ゲート構造は、ゲート誘電体によってワイドバンドギャップ半導体本体の周囲部分から電気絶縁されたトレンチ内のゲート電極を含むトレンチゲート構造である。一部の他の実施形態では、ゲート構造は、半導体本体の表面上に配置されており、ゲート誘電体によってワイドバンドギャップ半導体本体の周囲部分から電気絶縁されている平坦ゲート電極を含む平坦ゲート構造である。1つ以上の実施形態では、ゲート構造のゲート電極材料は、ドープされた多結晶シリコンおよび金属ケイ化物のうちの一方またはこれらの組み合わせである。
【0026】
半導体デバイス1000は、2.0eV以上のバンドギャップを有するワイドバンドギャップ半導体材料の半導体本体をベースとする。ワイドバンドギャップ半導体材料は六方晶格子を有してもよく、例として、炭化ケイ素(SiC)または窒化ガリウム(GaN)であってもよい。例えば、半導体材料は、2H−SiC(2HポリタイプのSiC)、6H−SIC、または15R−SiCである。別の実施形態によれば、半導体材料は4Hポリタイプの炭化ケイ素(4H−SiC)である。SiCおよびGaN以外のワイドバンドギャップ半導体材料も、大電流密度における動作を必要とする半導体デバイスを実現するために代替的に用いられ得る。
【0027】
1つ以上の実施形態では、第1および第2のゲートフィンガ104、110、第1および第2のゲート線部分106、108、第1のボンド区域区分112、ならびに第1の相互接続区分114の各々は、単一かつ同一のパターニングされたメタライゼーション構造の部分である。
【0028】
いくつかの実施形態では、例えば、
図1A、
図1Bに示される実施形態では、半導体デバイス1000はソース線116をさらに備え、第1のゲート線部分106はソース線116とトランジスタセル区域118との間に配置されており、第2のゲート線部分108はソース線116とトランジスタセル区域118との間に配置されている。第1および第2のゲート線部分106、108、第1のボンド区域区分112、ならびに第1の相互接続区分114と同様に、また、ソース線116も単一かつ同一のパターニングされたメタライゼーション構造の一部であり得る。ソース線116は、例えば、トランジスタセル区域118の外側にあり、この区域を完全に、または部分的に包囲する区域内にある半導体本体内の縁部終端構造を電気接続するという点で有利になり得る。
【0029】
図2の概略平面図を参照すると、ソース線116および第1のボンド区域102が、ゲート線122の反対の端部E1、E2の間の間隙を通って延びる第2の相互接続部120によって電気接続されている。第1のゲート線部分106および第2のゲート線部分108は、トランジスタセル区域を少なくとも部分的に包囲するゲート線122の一体部分であり、ゲート線122は第2のボンド区域区分125を含む第2のボンド区域124に電気結合されている。第2のボンド区域124は、例えば、ゲートボンド区域であってもよい。
【0030】
1つ以上の実施形態では、例えば、
図2に示される実施形態では、ゲート抵抗126がゲート線122と第2のボンド区域124との間に電気結合されている。いくつかの実施形態では、ゲート抵抗126の抵抗は2Ω〜30Ωに及ぶ。ゲート抵抗126の抵抗は、例えば、ゲート信号遅延を設定することを可能にし得る。ゲート線122およびゲート抵抗126は測定区域128を通じて電気接続されていてもよい。測定区域128は、第1および第2のボンド区域102、124と同様の構造を有し得、第1および第2のボンド区域102、124とサイズに関して異なり得る。例として、測定区域128のサイズは、ワイヤボンディングのためには小さすぎるが、試験組立体のコンタクト針によって接触されるためには十分大きくてもよい。
【0031】
第1および第2のゲートフィンガ104、110に加えて、半導体デバイス1000は、活性トランジスタセル区域の隅部区域内におけるトランジスタセルのゲート電極を電気接続するための第3のゲートフィンガ130をさらに含む。これらの隅部区域は、例えば、第2のボンド区域124の配置のゆえに、第1および第2のゲートフィンガ104、110によって形成された規則的なコンタクトパターンの外側にある。
【0032】
図3は、ゲート構造の延長方向である
図2の線A−Aに沿った例示的な断面図を示す。例示的な断面図は、第2の横方向x2に沿って延びるトレンチ内のゲート電極132およびゲート誘電体134を含むトレンチゲート構造を示す。p
+ドープ遮蔽構造136がトレンチ構造の底部側においてゲート誘電体134に隣接している。遮蔽構造136は、例えば、トレンチ隅部における、ゲート誘電体134内の電界強度を抑制することによって、遮断条件下における半導体デバイス1000の所望の信頼性を達成することを可能にし得る。半導体デバイス1000は、n
−ドープドリフトゾーン138を含む垂直FETであってもよい。n
−ドープドリフトゾーン138は半導体本体の第2の面において第2の負荷端子L2に電気結合されていてもよい。
【0033】
ゲート構造のゲート電極132はゲート構造と第1のゲートフィンガ104との交差部において第1のゲートフィンガ104に電気接続されている。絶縁構造140が、例えば、第1のゲートフィンガ104と第1のボンド区域区分112との間、および第1のボンド区域区分112と半導体本体との間の電気絶縁を提供する。絶縁構造140は、1つまたは複数の絶縁材料、例えば、酸化物および/または窒化物を含み得る。不動態化構造142が、絶縁構造140上、および第1のボンド区域区分112上に配置されている。不動態化構造142は、1つまたは複数の不動態化材料、例えば、イミド、窒化物、および酸化物を含み得る。不動態化構造142内の開口部が、例えば、ワイヤボンディングによって、チップコンタクトを提供するために第1のボンド区域区分112を露出させ、第1のボンド区域102を画定する。
【0034】
図4に、
図2の第2のボンド区域124における線B−Bに沿った例示的な断面図が示されている。ゲート抵抗126は、ドープされた半導体材料によって、例えば、ドープされた多結晶シリコンによって形成され得る。pドープ本体構造137がソース線116および第1の相互接続区分114に電気接続されている。pドープ本体構造137は、
図3に示されるp
+ドープ遮蔽構造136を含み得る。
図5に、
図2の半導体本体の縁部における線C−Cに沿った例示的な断面図が示されている。半導体デバイス1000は半導体本体内の縁部終端構造143をさらに備える。縁部終端構造143は、例えば、
図2に示されるゲート線と同様に、トランジスタセル区域を少なくとも部分的に包囲し、pドープ本体構造137を介してソース線116に電気接続されている。
【0035】
1つ以上の実施形態では、例えば、
図5に示される実施形態では、縁部終端構造143は接合終端拡張(junction termination extension、JTE)構造である。JTE構造は、互いに横方向に離間された複数のpドープ半導体領域146を含む。複数のpドープ半導体領域146はp
−ドープ半導体ウェル領域144内に配置され、それによって包囲されている。pドープ半導体領域146の最大ドーピング濃度はp
−ドープ半導体ウェル領域144の最大ドーピング濃度よりも大きい。
【0036】
1つ以上の実施形態、例えば、
図1A〜
図5に示される実施形態では、半導体デバイス1000は、第1のボンド区域102の各々について1A〜60Aの範囲内の電流を導通するように構成されたパワー半導体電界効果トランジスタ(パワーFET)またはパワー絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(パワーIGBT)である。いくつかの実施形態では、半導体デバイスは、例えば、2A/mm
2〜20A/mm
2の範囲内の電流密度で動作するように構成されている。それゆえ、第1のボンド区域102の数を合計することによって、最大定格電流が決定され、半導体デバイス1000のデータシート内で指定され得る。1つ以上の実施形態、例えば、
図1A〜
図5に示される実施形態では、半導体デバイス1000は、半導体本体の第1の面における第1の負荷端子および制御端子、ならびに半導体本体の第2の面における第2の負荷端子を備える垂直半導体トランジスタである。
【0037】
図6の概略平面図では、半導体デバイス1000は第1のボンドワイヤ150をさらに含み得、第1のボンドワイヤ150の各々の一方の端部は、第1のボンド区域102のうちの対応するものに取り付けられている。第1のボンドワイヤ150は、第1の横方向x1と最大+/−20°のずれをもって角度付けられた第3の横方向x3に沿って延びる。したがって、以上において第1のボンド区域102に関して説明された詳細が当てはまる。
図6の例示的な図では、第1の横方向x1は第3の横方向x3と一致する。しかし、第1のボンドワイヤ150の延長方向は、
図6において点線によって示される+/−20°の角度範囲内にあり得る。第1のボンドワイヤ150は、例えば、リードフレームの第1の負荷導体レール152にさらに取り付けられていてもよい。
【0038】
第2のボンドワイヤ154が第2のボンド区域124に取り付けられており、リードフレームのゲートコンタクト区域156にさらに取り付けられている。第3のボンドワイヤ158が第1のボンド区域102のうちの1つに取り付けられており、補助コンタクト区域159にさらに取り付けられている。
【0039】
1つ以上の実施形態では、半導体モジュールが、上述の実施形態のうちの任意のものを参照して説明された半導体デバイス1000を備える。半導体モジュールは、例えば、並列に接続された複数の半導体デバイス1000を含み得る。半導体モジュールは半導体デバイス1000以外のさらなる半導体デバイスを含み得る。
【0040】
1つ以上の実施形態では、半導体モジュールは、50A〜2000Aの範囲内の電流を導通するように構成されたパワー半導体モジュールである。
【0041】
図7の概略平面図は、並列に接続された半導体デバイス1000を少なくとも3つ含む半導体モジュール2000の一部分を示す。3つの半導体デバイス1000の第1のボンドワイヤ150は第1の負荷導体レール152に取り付けられている。3つの半導体デバイス1000の第2のボンドワイヤ154はゲート導体レール1560に取り付けられている。半導体デバイス100の第2の負荷端子コンタクトが、半導体本体の第2の面を介して、例えば、半導体本体の後面を介して、第2の負荷導体レール160に取り付けられていてもよい。第1の負荷導体レール152は半導体モジュール2000の外部の第1の負荷コネクタLC1に電気接続されていてもよい。第2の負荷導体レール160は半導体モジュール2000の外部の第2の負荷コネクタLC2に電気接続されていてもよい。ゲート導体レール1560は半導体モジュール2000の外部のゲート負荷コネクタCC1に電気接続されていてもよい。
【0042】
上述の実施形態は、ワイドバンドギャップ半導体デバイスの活性区域にわたる負荷電流分布の均一性の増大を可能にする。
【0043】
本明細書においては、特定の実施形態が図示され、説明されているが、種々の代替および/または同等の実装形態が、本発明の範囲から逸脱することなく、図示され、説明されている特定の実施形態と置き換えられ得ることが当業者によって理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明されている特定の実施形態の任意の適応例または変形例を包括することを意図されている。したがって、本発明は請求項およびそれらの均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【符号の説明】
【0044】
102 第1のボンド区域
104 第1のゲートフィンガ
106 第1のゲート線部分
108 第2のゲート線部分
110 第2のゲートフィンガ
112 第1のボンド区域区分
114 第1の相互接続区分
116 ソース線
118 トランジスタセル区域
120 第2の相互接続部
122 ゲート線
124 第2のボンド区域
125 第2のボンド区域区分
126 ゲート抵抗
128 測定区域
130 第3のゲートフィンガ
132 ゲート電極
134 ゲート誘電体
136 p
+ドープ遮蔽構造
137 pドープ本体構造
138 n
−ドープドリフトゾーン
140 絶縁構造
142 不動態化構造
143 縁部終端構造
144 p
−ドープ半導体ウェル領域
146 pドープ半導体領域
150 第1のボンドワイヤ
152 第1の負荷導体レール
154 第2のボンドワイヤ
156 ゲートコンタクト区域
158 第3のボンドワイヤ
159 補助コンタクト区域
160 第2の負荷導体レール
1000 半導体デバイス
1560 ゲート導体レール
2000 半導体モジュール