(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「オルガノポリシロキサン」は、10量体を超える有機シロキサンをいう。
「低分子シロキサン化合物」は、10量体以下の有機シロキサンをいう。
「融点」は、固体が融解し液体になる時の温度である。
「沸点」は、物質の臨界点以下の圧力と液体の飽和蒸気圧が等しくなる温度である。
「粘度」は、回転式E型粘度計を用い、25℃にて測定した粘度である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基およびメタクリロイル基の総称である。
「活性エネルギー線」は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
図1〜
図6における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。また、
図2〜
図5においては、
図1と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0012】
<粘着剤付き微細凹凸構造体>
本発明の粘着剤付き微細凹凸構造体は、複数の凸部および複数の凸部間に形成される凹部とからなる微細凹凸構造を、少なくとも1つの表面に有する微細凹凸構造体と、微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に接する粘着剤とを有するものである。
【0013】
図1は、本発明の微細凹凸構造体の一例を示す上面図であり、
図2は、
図1のII−II断面図である。
粘着剤付き微細凹凸構造体10は、微細凹凸構造体20と;微細凹凸構造体20の微細凹凸構造28を有する表面に接する粘着剤30とを有する。
微細凹凸構造体20は、基材22と;基材22の表面に形成された、複数の凸部24および複数の凸部24間に形成される凹部26とからなるからなる微細凹凸構造28を表面に有する硬化樹脂層29とを有する。
【0014】
(基材)
基材の材料としては、アクリル系樹脂(メチルメタクリレート(共)重合体等)、ポリカーボネート、スチレン系樹脂(スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等)、セルロース系樹脂(セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等)、脂環式ポリオレフィン、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル等)、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、ガラス等が挙げられる。
基材の材料としては、微細凹凸構造体の用途の点から、光を透過する材料が好ましい。
【0015】
基材の形態としては、フィルム、シート、板、任意形状の成形品等が挙げられ、微細凹凸構造体の生産性、取扱性の点から、フィルムまたはシートが好ましい。
基材は、射出成形法、押出成形法、キャスト成形法等の公知の製造方法によって製造できる。
基材の表面には、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、コーティング処理、コロナ処理等が施されていてもよい。
【0016】
(硬化樹脂層)
硬化樹脂層は、後述の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる膜であり、複数の凸部および複数の凸部間に形成される凹部とからなる微細凹凸構造を表面に有する。
複数の凸部が並んだ微細凹凸構造(いわゆるモスアイ構造)は、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
【0017】
硬化樹脂層の微細凹凸構造としては、微細凹凸構造体の反射防止性能等がさらに優れる点、および低コストで大面積の微細凹凸構造体を製造しやすい点から、陽極酸化ポーラスアルミナの複数の細孔を転写して形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造が好ましい。陽極酸化ポーラスアルミナの複数の細孔を転写して形成された微細凹凸構造は、複数の凸部が平面六方格子状に配列した微細凹凸構造となる。
【0018】
隣接する凸部間の平均間隔は、可視光線の波長以下、すなわち400nm以下であり、380nm以下が好ましい。隣接する凸部間の平均間隔が可視光線の波長以下であれば、良好な反射防止性能を発現する。隣接する凸部間の平均間隔が380nm以下であれば、可視光線の散乱を十分に抑制できる。
陽極酸化ポーラスアルミナの複数の細孔を転写して凸部を形成する場合、細孔間隔を大きくするには電圧を高くする必要があり、陽極酸化ポーラスアルミナを工業的に製造しづらくなることから、隣接する凸部間の平均間隔は、200nm以下が特に好ましい。
隣接する凸部間の平均間隔は、凸部を形成しやすい点から、20nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましい。
隣接する凸部間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって、隣接する凸部間の間隔P(凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離)を無作為に50点測定し、これらの値を平均したものである。
【0019】
凸部の平均高さは、可視光線の波長以下、すなわち400nm以下であり、380nm以下が好ましく、350nm以下が好ましい。凸部の平均高さが400nm以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好になる。また、凸部を形成しやすい。
凸部の平均高さは、60nm以上が好ましく、90nm以上がより好ましい。凸部の平均高さが60nm以上であれば、最低反射率や特定波長の反射率の上昇を抑制でき、十分な反射防止性能が得られる。
凸部の平均高さは、電子顕微鏡観察によって、凸部の最頂部と、これに隣接する凹部の最底部との間の垂直距離Hを無作為に50点測定し、これらの値を平均したものである。
【0020】
凸部のアスペクト比(凸部の平均高さ/凸部間の平均間隔)は、0.8〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0がさらに好ましい。凸部のアスペクト比が0.8以上であれば、微細凹凸構造体の反射防止性能がさらに優れる。凸部のアスペクト比が5.0以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。また、凸部を形成しやすい。
【0021】
凸部の形状としては、円錐形状、角錐形状、釣鐘形状、円柱形状等が挙げられる。空気から微細凹凸構造を形成する材料表面まで連続的に屈折率を増大させて低反射率と低波長依存性を両立させた反射防止性能を発現させるためには、円錐形状、角錐形状、釣鐘形状等のように、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最頂部から深さ方向に連続的に増加する形状が好ましい。
凸部は、微細な複数の凸部が合一して1つの凸部となったものであってもよい。
【0022】
(微細凹凸構造の形成方法)
微細凹凸構造は、例えば、下記の方法等によって形成できる。
(方法1)微細凹凸構造の反転構造を表面に有するモールドを用いて射出成形またはプレス成形を行い、基材の表面に直接微細凹凸構造を形成する方法。
(方法2)微細凹凸構造の反転構造を有するモールドと、基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を挟持した状態にて、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化樹脂層を形成した後、硬化樹脂層とモールドとを分離する方法。
(方法3)微細凹凸構造の反転構造を有するモールドと、基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を挟持し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物にモールドの微細凹凸構造を転写してからモールドを分離した後、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて硬化樹脂層を形成する方法。
微細凹凸構造の形成方法としては、微細凹凸構造の転写性、表面組成の自由度の点から、方法2または方法3が好ましく、方法2が特に好ましい。
【0023】
モールドとしては、例えば、下記のモールド等が挙げられる。
・リソグラフィ法によって表面に微細凹凸構造の反転構造を設けたモールド。
・レーザー加工によって表面に微細凹凸構造の反転構造を設けたモールド。
・複数の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールド。
・微細凹凸構造を有するマザーモールドから電鋳法等で複製されたレプリカモールド。
【0024】
リソグラフィ法としては、電子ビームリソグラフィ法、レーザ干渉リソグラフィ法等が挙げられる。リソグラフィ法によるモールドの製造方法としては、例えば、下記の方法が挙げられる。
・基板の表面にフォトレジスト膜を塗布し、紫外線レーザ、電子線、X線等で露光し、現像することによってレジストパターンからなる微細凹凸構造を表面に有するモールドを得る方法。
・前記レジストパターンを介して基板をドライエッチング等によって選択的にエッチングし、レジストパターンを除去して、微細凹凸構造が基板の表面に直接形成されたモールドを得る方法。
【0025】
陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールドの製造方法としては、例えば、アルミニウムをシュウ酸、硫酸、リン酸等を電解液として所定の電圧にて陽極酸化する方法が挙げられる。この方法によれば、高純度アルミニウムを定電圧で長時間陽極酸化した後、酸化皮膜の全部または一部を一旦除去し、再び陽極酸化することによって、非常に高規則性の細孔が自己組織化的に形成された陽極酸化ポーラスアルミナを形成できる。さらに、2回目に陽極酸化する工程で陽極酸化処理と孔径拡大処理を組み合わせることによって、断面が矩形でなく三角形や釣鐘型である細孔も形成可能となる。また、陽極酸化処理および孔径拡大処理の時間、回数、条件等を適宜調節することによって、細孔最奥部の角度を鋭くすることも可能である。
【0026】
モールドとしては、低コストで大面積のモールドを製造しやすい点から、陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールドが好ましい。
陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールドの具体的な製造方法については、例えば、特許文献1等に記載されている。
【0027】
モールドの形状としては、例えば、平板状、ベルト状、ロール状等が挙げられる。モールドの形状としては、連続的に微細凹凸構造を転写でき、生産性をより高めることができる点から、ベルト状またはロール状が好ましい。
【0028】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化する樹脂組成物である。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合性化合物と、重合開始剤と、必要に応じて他の添加剤とを含む。
【0029】
重合性化合物としては、例えば、分子中にラジカル重合性結合およびカチオン重合性結合のいずれか一方または両方を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等を有する単官能モノマーや多官能モノマーが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリレート、その誘導体等が挙げられる。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられる。
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
【0030】
重合開始剤としては、公知の光重合開始剤、電子線重合開始剤、熱重合開始剤等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて非反応性のポリマーを含んでいてもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて酸化防止剤、離型剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
【0031】
微細凹凸構造の表面に、撥水性(具体的には水の接触角が90°以上であること)が求められる場合には、疎水性の材料を形成しうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、フッ素含有化合物またはシリコーン系化合物を含む組成物を用いることが好ましい。
微細凹凸構造の表面に、親水性(具体的には水の接触角が25°以下であること)が求められる場合には、親水性の材料を形成しうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート、2官能以上の親水性(メタ)アクリレート、必要に応じて単官能モノマーを含む組成物を用いることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の具体的な組成等については、例えば、特許文献1等に記載されている。
【0032】
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、硬化したときに基材との屈折率差が小さくなるようなものが好ましい。具体的には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物、すなわち硬化樹脂層と基材との屈折率差が0.3以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましい。屈折率差が小さいほど、硬化樹脂層と基材との界面における光の反射が小さくなり、反射防止性能がさらに優れる微細凹凸構造体が得られる。
【0033】
モールドと基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を挟持する方法としては、モールドと基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を配置した状態でモールドと基材とを押圧することによって、モールドの微細凹凸構造に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を注入する方法等が挙げられる。
陽極酸化ポーラスアルミナが表面に形成されたモールドを備えた装置、および該装置および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いた微細凹凸構造の具体的な形成方法については、例えば、特許文献1等に記載されている。
【0034】
(粘着剤)
粘着剤は、微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に接する。
微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に粘着剤が接するケースとしては、例えば、後述する本発明の接合体を製造する際に、他の部材と接合する前の微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面にあらかじめ粘着剤を設けたケース等が挙げられる。また、微細凹凸構造体がタッチパネルである場合、タッチパネルを製造する際に各部材を接合するために用いた粘着剤の一部が微細凹凸構造を有する表面に付着してしまったケース等が挙げられる。
【0035】
粘着剤は、粘着成分を含む。粘着成分は、粘着性に寄与する粘着剤の主成分であり、粘着成分には、溶媒、粘着性に寄与しない添加剤等は含まれない。
粘着成分としては、オルガノポリシロキサン、シリル化ウレタン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン、アクリル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、ゴム、ポリエステル、ポリイミド、フェノール樹脂等が挙げられる。
粘着成分としては、電気絶縁性、耐熱性、耐寒性の点から、オルガノポリシロキサンが好ましく、ポリジメチルシロキサンがより好ましい。
【0036】
粘着剤に粘着成分として含まれる低分子シロキサン化合物の割合は、粘着剤100質量%のうち、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。低分子シロキサン化合物の割合が0.5質量%以下であれば、微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に付着した粘着剤がさらに濡れ広がりにくい。
【0037】
粘着剤に粘着成分として含まれる低分子シロキサン化合物の割合は、例えば、溶媒分離法やGPC測定法により取得することができ、測定精度の点からGPC測定法を用いることが好ましい。
GPC測定では、粘着剤をテトラヒドロフラン(THF)等の溶剤に溶解させて測定を行い、分子量分布曲線を得る。得られた分子量分布曲線から例えば分子量1000以下の成分を低分子化合物として、その面積比率により低分子化合物の割合を求める。なお、粘着剤の場合は、架橋体であることが多く、溶媒不溶成分が生じることがある。その場合は、溶媒不溶成分をろ過や遠心分離により回収し不溶成分比率を求め、溶媒不溶成分は高分子量成分としてみなして低分子シロキサン化合物の割合を求めることとする。
【0038】
低分子シロキサンとしては、例えば、下記のものが挙げられる(括弧内の沸点、融点はScopasで検索した文献値である)。
鎖状メチルシロキサン2量体(ヘキサメチルジシロキサン、分子量:162、沸点:100℃、融点:−66℃)、
鎖状メチルシロキサン3量体(オクタメチルトリシロキサン、分子量:236、沸点:153℃、融点:−86℃)、
鎖状メチルシロキサン4量体(デカメチルテトラシロキサン、分子量:310、沸点:194℃、融点:−76℃)、
鎖状メチルシロキサン5量体(ドデカメチルペンタシロキサン、分子量:384、沸点:232℃、融点:−80℃)、
鎖状メチルシロキサン6量体(テトラデカメチルヘキサシロキサン、分子量:458、沸点:259℃、融点:−59℃)、
鎖状メチルシロキサン7量体(ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、分子量:532、沸点:286℃、融点:−78℃)、
鎖状メチルシロキサン8量体(オクタデカメチルオクタシロキサン、分子量:606、沸点:310℃、融点:−63℃)、
鎖状メチルシロキサン9量体(エイコサメチルノナシロキサン、分子量:680、沸点:307℃、融点:データなし)、
鎖状メチルシロキサン10量体(ドコサメチルデカシロキサン、分子量:754、沸点:168℃(2Torr)、融点:データなし)、
環状メチルシロキサン3量体(ヘキサメチルシクロトリシロキサン、分子量:222、沸点:134℃、融点:64℃)、
環状メチルシロキサン4量体(オクタメチルシクロテトラシロキサン、分子量:296、沸点:175℃、融点:18℃)、
環状メチルシロキサン5量体(デカメチルシクロペンタシロキサン、分子量:370、沸点:210℃、融点:−30℃)、
環状メチルシロキサン6量体(ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、分子量:444、沸点:245℃、融点:−3℃)、
環状メチルシロキサン7量体(テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、分子量:518、沸点:154℃、融点:−26℃)、
環状メチルシロキサン8量体(ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン、分子量:592、沸点:290℃、融点:31℃)、
環状メチルシロキサン9量体(オクタデカメチルシクロノナシロキサン、分子量:666、沸点:188℃(20Torr)、融点:データなし)、
環状メチルシロキサン10量体(エイコサメチルシクロデカシロキサン、分子量:740、沸点:451.8±28.0℃(Preditected)、融点:データなし)等。
【0039】
粘着剤としては、沸点が90℃以上であり、融点が70℃以下である成分を含まないものが好ましく、沸点が80℃以上であり、融点が60℃以下である成分を含まないものがより好ましい。沸点が90℃以上であり、融点が70℃以下である成分は、通常の使用環境下で液体であるため、微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面を濡れ広がりやすい。
【0040】
粘着剤としては、下記拡大量が8mm未満となるものを用いる。粘着剤としては、拡大量が7.5mm以下となるものが好ましく、拡大量が5mm以下となるものがより好ましく、拡大量が3mm以下となるものがさらに好ましい。拡大量が8mm未満となる粘着剤は、微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に付着した粘着剤が濡れ広がりにくい。
拡大量:25℃において微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に粘着剤の0.1mLを滴下した直後の前記表面における粘着剤の最大径D1と、25℃において前記表面にて粘着剤を288時間静置した後の前記表面における粘着剤の最大径D2との差(D2−D1)。
【0041】
硬化前の粘着剤の粘度は、0.5mPa・s以上が好ましく、1.0mPa・s以上がより好ましい。粘着剤の粘度が0.5mPa・s以上であれば、微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に付着した粘着剤がさらに濡れ広がりにくい。
硬化前の粘着剤の粘度は、粘着剤の塗布のしやすさの点、および粘着剤の取り扱いのしやすさの点から、10Pa・s以下が好ましく、5Pa・s以下がより好ましい。
【0042】
粘着剤としては、市販の粘着剤を用いてもよい。市販の粘着剤としては、シリコーン系粘着剤、シリル化ウレタン樹脂系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ポリオレフィン系粘着剤、塩素化ポリオレフィン系粘着剤、アクリル系粘着剤、シアノアクリレート系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリイミド系粘着剤、フェノール系粘着剤等が挙げられる。
粘着剤の形態としては、液状に限定されず、ホットメルト粘着剤、両面粘着テープ等であってもよい。
【0043】
(用途)
本発明の粘着剤付き微細凹凸構造体の用途としては、透明保護部材(計器類のカバー、照明の前面板、額縁の前面板)、透明ケース(美術品のケース、商品のショーケース)、光学部材(眼鏡、鏡、光学レンズ等)、輸送機器(自動車、電車、船舶等)の窓、建築部材(窓、壁、屋根等)、画像表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置等)を構成する部材(画像表示パネル、タッチパネル等)が挙げられる。
【0044】
(他の形態)
本発明の粘着剤付き微細凹凸構造体は、複数の凸部および複数の凸部間に形成される凹部とからなる特定の微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体と、微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に接する特定の粘着剤とを有するものであればよく、図示例のものに限定はされない。
【0045】
例えば、微細凹凸構造体は、硬化樹脂層のみからなるものであってもよく、微細凹凸構造が基材の表面に直接形成されたものであってもよい。ただし、効率よく微細凹凸構造を形成できる点から、図示例のように微細凹凸構造が硬化樹脂層に形成されたものが好ましい。
微細凹凸構造体は、基材と硬化樹脂層との間に、基材および硬化樹脂層以外の他の層を有していてもよく;基材の裏面側に、基材および硬化樹脂層以外の他の層や他の部材を有していてもよい。
【0046】
(作用機序)
以上説明した本発明の粘着剤付き微細凹凸構造体にあっては、微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に接する粘着剤において、粘着成分として含まれる低分子シロキサン化合物の割合が低く抑えられているため、微細凹凸構造を有する表面に付着した粘着剤が濡れ広がりにくい。この理由は、以下のとおりである。
図1および
図2に示す微細凹凸構造体20は、平均高さが可視光線の波長以下であり、隣接する凸部24間の平均間隔が可視光線の波長以下である複数の凸部24と、複数の凸部24間に形成される凹部26とからなる微細凹凸構造28を有する。この微細凹凸構造28においては、微細凹凸構造28を有する表面に付着した粘着剤30に含まれる低分子量成分32は、
図3および
図4に示すように微細凹凸構造28を伝って濡れ広がりやすい。本発明の粘着剤付き微細凹凸構造体10においては、粘着剤30に粘着成分として含まれる低分子シロキサン化合物、すなわち低分子量成分32の割合を低く抑えているため、微細凹凸構造28を有する表面に付着した粘着剤30の低分子量成分32が濡れ広がりにくい。
【0047】
<接合体>
本発明の接合体は、上述した特定の微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体と、他の部材と、微細凹凸構造体と他の部材とを接合する粘着剤とを有する。
【0048】
(微細凹凸構造体)
接合体が画像表示装置である場合、微細凹凸構造体としては、保護板、タッチパネル、画像表示パネル等が挙げられ、保護板またはタッチパネルと空気との界面における液晶表示パネルからの光(画像)の反射を防止して画像表示装置の視認性を向上させる点から、保護板またはタッチパネルが好ましい。
【0049】
(他の部材)
他の部材は、微細凹凸構造を表面に有しない部材であってもよく、微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体であってもよい。微細凹凸構造体である場合、上述した特定の微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体であることが好ましい。
【0050】
接合体が画像表示装置であり、かつ他の部材が微細凹凸構造を表面に有しない部材である場合、他の部材としては、保護板、タッチパネル、画像表示パネル等が挙げられ、液晶表示パネルと空気との界面における光の反射が画像表示装置の視認性にあまり影響を与えない点から、画像表示パネルが好ましい。
【0051】
(粘着剤)
粘着剤は、微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に接する。
粘着剤としては、本発明の粘着剤付き微細凹凸構造体に用いられたものが挙げられ、好ましい形態も同様である。
【0052】
(接合体の実施形態例)
図5は、本発明の接合体である画像表示装置の一例を示す断面図である。
画像表示装置1は、画像表示装置本体としての液晶表示パネル40と;液晶表示パネル40の画像が表示される側に隙間を介して対向配置されたタッチパネル21と;液晶表示パネル40とタッチパネル21と接合する接合用部材34と;液晶表示パネル40の、タッチパネル21が配置された側とは反対側に配置されたバックライト80とを有する。
【0053】
液晶表示パネル40とタッチパネル21とは、タッチパネル21の低反射フィルム70が、隙間を介して液晶表示パネル40に対向するように接合される。
低反射フィルム70をタッチパネル21の液晶表示パネル40に対向する表面に設けることによって、タッチパネル21と空気との界面における液晶表示パネル40からの光(画像)の反射を防止して画像表示装置1の視認性を向上させる。
【0054】
(液晶表示パネル)
液晶表示パネル40は、カラーフィルタ(図示略)、透明電極(図示略)、配向膜(図示略)等が形成された第1のガラス基板41と;透明電極(図示略)、配向膜(図示略)等が形成された第2のガラス基板42と;第1のガラス基板41と第2のガラス基板42とに挟まれた液晶層43と;液晶層43とは反対側の第1のガラス基板41の表面に接着剤層(図示略)を介して貼り合わされた第1の偏光フィルム44と;液晶層43とは反対側の第2のガラス基板42の表面に接着剤層(図示略)を介して貼り合わされた第2の偏光フィルム45とを有する。
接着剤層の接着剤としては、光学用途に用いられる公知の透明接着剤、透明粘着剤等が挙げられる。
【0055】
(タッチパネル)
タッチパネル21は、入力面Sに接近または接触した導電体(指、金属等)の位置を静電容量の変化として検出する静電容量方式のタッチパネルである。
タッチパネル21は、入力面Sを有するカバーガラス50と;カバーガラス50を挟んで入力面Sの反対側に、接着剤層54を介して貼り合わされた電極基板60と;電極基板60の透明電極に電気的に接続し、入力面Sに導電体が接近または接触した際の静電容量の変化を検出する検出部(図示略)と;電極基板60の表面に接着剤層56を介して貼り合わされた低反射フィルム70とを有する。
【0056】
電極基板:
電極基板60は、基板本体62と;基板本体62の一方の表面に形成された、第1の方向に延びる複数の電極パターンからなるストライプ状の第1の透明電極64と;基板本体62の他方の表面に形成された、第1の方向に交差する第2の方向に延びる複数の電極パターンからなるストライプ状の第2の透明電極66とを有する。
【0057】
基板本体62は、透明な板、フィルム、シート等からなる。基板本体62の材料としては、ガラス、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン等が挙げられる。
【0058】
第1の透明電極64および第2の透明電極66は、光を透過でき、かつ導電性を有する薄膜である。
第1の透明電極64および第2の透明電極66としては、導電性金属酸化物薄膜等が挙げられる。導電性金属酸化物としては、スズがドープされた酸化インジウム(以下、ITOと記す。)等が挙げられる。
【0059】
検出部:
検出部は、例えば、透明電極に所定の電圧を印加しつつ、入力面に導電体が接近または接触した際の導電体と電極との間の静電容量の変化を検出し、いずれの箇所に導電体が接近または接触したかを検出するものである。
【0060】
低反射フィルム:
低反射フィルム70は、基材22と;基材22の表面に形成された、複数の凸部24および複数の凸部24間に形成される凹部26とからなるからなる微細凹凸構造28を表面に有する硬化樹脂層29とを有する。
【0061】
接着剤層:
接着剤層54、接着剤層56の接着剤としては、光学用途に用いられる公知の透明接着剤、透明粘着剤等が挙げられる。
【0062】
(接合用部材)
接合用部材34は、液晶表示パネル40の第1の偏光フィルム44側と、タッチパネル21の低反射フィルム70側とを接合するものである。
画像表示装置1は、画像表示部と、画像表示部の周縁のベゼル等(図示略)によって覆われる遮光部とを有しており、接合用部材34は、タッチパネル21の微細凹凸構造28を有する表面のうち、遮光部に対応する領域に枠状に設けられており、画像表示部に対応する領域には設けられていない。
接合用部材34は、粘着剤のみからなるものであってもよく、テープ基材の両面に粘着剤が配置された両面粘着テープであってもよい。
【0063】
(他の形態)
本発明の接合体は、特定の微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体と、他の部材と、微細凹凸構造体と他の部材とを接合する特定の粘着剤とを有し、粘着剤が、微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に接するものであればよく、図示例のものに限定はされない。
【0064】
例えば、画像表示装置としては、タッチパネルの代わりに保護板を設けたものであってもよい。
画像表示パネルは、液晶表示パネルに限定はされず、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル、CRT等であってもよい。
タッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルに限定されず、抵抗膜方式のタッチパネル等であってもよい。
微細凹凸構造は、タッチパネルの表面のみに形成することに限定されず、画像表示パネルの表面に形成してもよく、タッチパネルの表面および画像表示パネルの表面の両方に形成してもよい。
また、接合体は、画像表示装置に限定されず、微細凹凸構造体が設けられた計器類、照明、額縁、各種ケース、眼鏡、鏡、光学機器、窓、建築部材等であってもよい。
【0065】
(作用機序)
以上説明した本発明の接合体にあっては、微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に接する粘着剤において、粘着成分として含まれる低分子シロキサン化合物の割合が低く抑えられているため、微細凹凸構造体と他の部材とを接合する粘着剤が濡れ広がりにくい。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
(モールドの細孔の平均間隔および平均深さ)
陽極酸化ポーラスアルミナからなるモールドの一部の縦断面に白金を1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて加速電圧3.00kVで観察し、隣接する細孔間の間隔および細孔の深さを測定した。それぞれ50点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
【0068】
(微細凹凸構造体の凸部の平均間隔および平均高さ)
微細凹凸構造体の縦断面に白金を10分間蒸着し、モールドの場合と同じ装置および条件にて、隣接する凸部間の間隔および凸部の高さを測定した。それぞれ50点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
【0069】
(粘着剤の拡大量)
25℃において微細凹凸構造体の微細凹凸構造を有する表面に粘着剤の0.1mLを滴下した直後の前記表面における粘着剤の最大径D1と、25℃において前記表面にて粘着剤を288時間静置した後の前記表面における粘着剤の最大径D2との差(D2−D1)を求め、これを粘着剤の拡大量とした。下記基準にて評価した。
◎(優) :粘着剤の拡大量が5mm以下である。
〇(良) :粘着剤の拡大量が5mm超8mm未満である。
×(不良):粘着剤の拡大量が8mm以上である。
【0070】
(モールドの作製)
図6に示す工程にしたがい、モールドを以下のように作製した。
まず、純度99.99%のアルミニウム板100を、羽布研磨し、さらに過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
【0071】
工程(a):
鏡面化したアルミニウム板100について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行い、細孔101を有する酸化皮膜102を形成した。
【0072】
工程(b):
酸化皮膜102を形成したアルミニウム板100を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜102を除去し、細孔101に対応する周期的な窪み103を露出させた。
【0073】
工程(c):
窪み103を露出させたアルミニウム板100について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行い、細孔105を有する酸化皮膜104を形成した。
【0074】
工程(d):
酸化皮膜104を形成したアルミニウム板100を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔105の径拡大処理を行った。
【0075】
工程(e):
径拡大処理を行ったアルミニウム板100について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行い、細孔105の下方に小径の細孔が延びる酸化皮膜104を形成した。
【0076】
工程(f):
工程(d)および工程(e)を合計で4回繰り返し、最後に工程(d)を行い、平均間隔100nm、平均深さ190nmの略円錐形状の細孔105を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。得られた陽極酸化ポーラスアルミナを脱イオン水で洗浄し、表面の水分をエアーブローで除去し、表面防汚コーティング剤(ダイキン工業社製、オプツール(登録商標)DSX)を固形分0.1質量%になるように希釈剤(ハーベス社製、HD−ZV)で希釈した溶液に10分間浸漬し、20時間風乾してモールド106を得た。
【0077】
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製、A−DPH)の25質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬社製、PET−3)の25質量部、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、DPEA−12)の25質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、M260)の25質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製、イルガキュア(登録商標)184)の1質量部、およびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(BASFジャパン社製、イルガキュア(登録商標)819)の0.5質量部を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0078】
(低反射フィルム(微細凹凸構造体)の製造)
モールドの細孔が形成された表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布し、その上に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを被せた。フィルム側から紫外線照射機(フュージョンランプDバルブ)を用いて積算光量1000mJ/cm
2の紫外線を照射して、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化し、硬化樹脂層を形成した。硬化樹脂層からモールドを剥離して、低反射フィルム(微細凹凸構造体)を得た。
ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面には、隣接する凸部の平均間隔が100nm、凸部の平均高さが180nmである略円錐形状の複数の凸部と、凸部間の凹部とからなる微細凹凸構造を表面に有する厚さ7μmの硬化樹脂層が形成されていた。
【0079】
(実施例1〜8、比較例1、2)
低反射フィルム(微細凹凸構造体)および表1および表2に示す粘着剤を用いて、粘着剤の拡大量を測定した。結果を表1および表2に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
(実施例9)
(電極基板の製造)
アルゴンガスの98体積%および酸化スズの2体積%からなる0.4Paの雰囲気中で酸化インジウム97質量%および酸化スズ3質量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法によって、厚さ1mmのガラス板の両面に厚さ30nmのITO膜を形成した。
ITO膜の表面にストライプ状のレジストパターンを形成した後、25℃、5質量%の塩酸に1分間浸漬して両面のITO膜のエッチングを行い、ストライプ状の透明電極を形成した。
【0083】
(タッチパネル(微細凹凸構造体)の製造)
低反射フィルム、電極基板、および厚さ3mmのカバーガラス用のガラス板を、接着剤を介して順に積層した。電極基板の透明電極に検出部を実施例1の粘着剤を用いて接続し、静電容量方式のタッチパネル(微細凹凸構造体)を組み立てた。粘着剤の一部が、タッチパネルの微細凹凸構造を有する表面のうち、画像表示装置の遮光部に対応する領域に付着していた。
タッチパネルを1日放置したところ、粘着剤が、タッチパネルの微細凹凸構造を有する表面のうち、画像表示装置の画像表示部に対応する領域に塗れ拡がることはなかった。
【0084】
(画像表示装置(接合体)の製造)
タッチパネルと液晶表示パネルとを実施例1の粘着剤を用いて接合し、画像表示装置(接合体)を組み立てた。タッチパネルおよび液晶表示パネルともに動作に問題なく、また、液晶表示パネルに対向するタッチパネルの表面における反射が抑制されており、鮮明な画像が表示されることが確認された。
【0085】
(比較例3)
粘着剤を比較例1の粘着剤に変更した以外は、実施例1と同様にしてタッチパネル(微細凹凸構造体)を組み立てた。粘着剤の一部が、タッチパネルの微細凹凸構造を有する表面のうち、画像表示装置の遮光部に対応する領域に付着していた。
タッチパネルを1日放置したところ、粘着剤が、タッチパネルの微細凹凸構造を有する表面のうち、画像表示装置の画像表示部に対応する領域に塗れ拡がり、ムラ模様が観察された。